(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
医薬品ペンを受け入れるための近位開口部を有する、より太い近位端部部分と、前記より太い近位端部部分に段差部で対面する、より細い遠位端部部分とを有する針支持ハブと、
前記遠位端部部分内に凹設された前記ハブの針支持柱と、
前記段差部における前記遠位端部部分上の少なくとも1つの円周方向に配向された可撓性タブと、
前記可撓性タブの自由隅部を画定する、軸方向に延在するスロットを含む、前記ハブの前記近位端部部分の遠位面の開口部と
を備え、
前記ハブが医薬品ペンに設置されるとき、前記ハブは、前記ハブ上に医薬品ペンキャップを受け入れることを特徴とするペン針。
前記ハブの前記より細い遠位部分上に受け入れられ、前記ハブの前記より太い近位部分に当接し、ラビリンス密封で前記ハブに封着される外側カバーをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のペン針。
【背景技術】
【0003】
ペン針は、医薬品ペンに取り付けて使用され、特に、インスリンなどの自己投与注射が可能な医薬品を送達するために普及している。周知されている市販装置の1つにおいては、針支持ハブは、時に「外側遮蔽体」と呼ばれる、または単に「カバー」と呼ばれる漏斗形状外側カバーの内側に提供される。カニューレは、一方の端部がハブの遠位側または「患者側」から突出し、針の他方の端部が、ハブの近位側または「非患者」側のキャビティに凹設され、医薬品ペンへの取付けに適合された状態で、ハブの軸方向孔内に接着される。紙および箔製「しずく」ラベル(paper and foil "teardrop" label)が、漏斗形状外側カバーの開口端部の縁部に熱融着される。加えて、医薬品ペンは、医薬品ペンの遠位端部上に受け入れられ、ペン針が設置される開口部を覆うキャプを有することができる。使用者は、医薬品ペンキャップを取り外して、ペン針を医薬品ペンに設置する。それから使用者は、ペン針外側カバー上のラベルを取り外し、外側カバーを持って、典型的には、ハブをペン上にねじ込んでハブを設置する。医薬品ペンにハブが設置されると、外側カバーは、外側カバーを遠位に引くことでハブから取り外されることができる。別個の内側針遮蔽体が針を覆って着座しており、使用者は、注射剤を投与するために、これを取り外す必要がある。内側遮蔽体は、一般的には、ハブ上に着座し、滅菌バリアを形成することなく使用者が針を配置することを容易にする。使用後に、使用者は、外側カバーを用いてねじを回してペンからハブを取り外し、ペン針を処分することができる。
【0004】
医薬品ペンおよび関連したペン針が、特許文献1、特許文献2、および特許文献3に開示され、それらのすべてがペン針デザインおよび構造のそれらの教示に関し、その全体が参照により組み込まれる。ペン針を注射ペンに着脱自在に配置し、ペン針を嵌合格納部(mating storage)または処分容器に解放するための装置が開示され(例えば、特許文献4参照)、やはり参照により組み込まれる。
【0005】
上述の先行技術では、使用者が、ハブが医薬品ペンに適切に着座されたことを知ることは、常に可能であるとは限らない。ペンは、ペン針がペンに着座されたことについて、(それ自体のねじ接続の締め付け以外)知覚フィードバックを提供しない。これは、ペンへのペン針の過度な締め付けにつながる恐れがあり、過度な締め付けは、ペン針を取り外すことを難しくしてしまう、または、ペンへのペン針の締め付け不足につながる恐れがあり、ペン針の漏れを引き起こす恐れがある。同様に、針を取り外すとき、外側カバーが常にハブ上に適切に整合しているとは限らず、ハブを回して抜くのに2回以上の試みが必要となる場合もある。使用後に針の非患者側端部(non-patient end)を自動的に遮蔽するペンを含む、受動的に遮蔽されるペンが知られているが、多くのペンは、針の非患者側端部を使用後に露出したままにし、近位端部キャビティが使用後の不慮の針刺しからの保護を提供するのに頼るのみである。先行技術のこれらの認識されている欠点に対処するペン針を有することが望まれる。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の1つの目的は、ペン針が医薬品ペンに確実に着座されたときに、知覚フィードバックを提供することである。「知覚フィードバック」には、単にペンがねじで固く締められたか、または、ゆるいのかという感覚だけでなく、可聴または触知可能感覚が含まれる。本発明の別の目的は、ペン針構造に可塑性材料をあまり用いないこと、および、使いやすさを強化する特徴部を提供することである。本発明のさらに別の目的は、ペン針上に改良された滅菌バリアを提供し、医薬品ペンキャップが医薬品ペンに設置されたペン針を覆って配置されることを可能にしながら、汚染を防止することである。
【0008】
本発明のこれらの目的および他の目的は、1つの態様において、医薬品送達装置へ取り付けるためのねじ山または他の手段と、ねじ山の近位に位置する、少なくとも1つの円周方向に配向された可撓性タブとを有する針支持ハブを備えるペン針により達成される。ハブ上に受け入れられる外側カバーは、外側カバーを回転させることによりハブが医薬品ペンに設置されるとき、ハブ上の少なくとも1つの可撓性タブに係合し、使用者のために知覚フィードバックを提供する少なくとも1つの半径方向内方突出部を有する。
【0009】
1つの実施形態では、外側カバーは、ハブが医薬品ペンに設置されている間、ハブと共に回転するが、ハブが完全に着座されると、外側カバーはハブに対して回転し、ペン上へのハブのさらなる締め付けは発生しない。これは、使用者に対する可聴および触知可能フィードバックを伴う。この目的は、医薬品送達装置へ取り付けるためのねじ山と、ねじ山の近位に位置する、2つの円周方向に配向された可撓性タブとを有する針支持ハブを備えるペン針により達成される。可撓性タブはそれぞれ、突出部を有する半径方向外方面を有し、突出部はそれぞれ、面取り側を有する。外側カバーは、複数の半径方向内方リブを有して設けられ、リブはそれぞれ、可撓性タブ上の突出部の面取り面と係合する面取り面を有し、外側カバーがハブに対して回転するとき、医薬品ペン上にハブをさらに締め付けることなく、ハブ上の可撓性タブが撓み、外側カバー上のリブを乗り越え、ハブが医薬品ペンに完全に設置されたことを示す可聴および/または触知可能なインジケーションを生成する。
【0010】
別の実施形態では、ハブが医薬品ペンに設置されている間、外側カバーはハブと共に回転する。所望する締め付けにハブが達すると、装置は、外側カバーがハブ上のハードストップ(hard stop)に係合する前に、可聴クリック、または、連続クリックを提供する。この態様では、本発明によるペン針は、医薬品送達装置へ取り付けるためのねじ山を有する針支持ハブと、ねじ山の近位に位置し、半径方向外方の方向に突出する、ハブ上の少なくとも1つの停止部と、ねじ山の近位に位置する、ハブ上の少なくとも1つの円周方向に配向された可撓性タブであって、可撓性タブはそれぞれ、半径方向外方突出部を有する、可撓性タブと、可撓性タブ上の半径方向外方突出部を停止部材から離間する円周方向の隙間と、少なくとも1つの半径方向内方に突出するリブを有する外側カバーとを備え、ペン針を医薬品ペンに取り付けるために外側カバーがハブに対して回転するとき、可撓性タブ上の前記突出部は、外側カバー上のリブを乗り越え、ハブが医薬品ペンに完全に設置されたことを示す可聴および/または触知可能なインジケーションを生成する。
【0011】
実施形態では、可撓性タブは、ハブの近位端部に、医薬品ペンが受け入れられるハブの開口部の近位に設けられることができる。あるいは、可撓性タブは、ハブの遠位部分に、例えば、より細い遠位端部部分がより太い近位基体部に対面する段差部に設けられる。この配置は、ハブの基部は、なおも従来の医薬品ペンのねじ山が付けられた開口部を収容するのに十分太くありながら、より細い外形を有する外側カバー(slimmer profile outer cover)が針を覆って設置されることを可能にする。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、ハブを受け入れている外側カバーは、ハブが医薬品ペンに完全に着座された後に、解放位置にパチンと嵌まる(snap)。この実施形態によるペン針は、医薬品送達装置へ取り付けるためのねじ山または他の手段と、ねじ山の近位に位置する、1つの円周方向に配向された可撓性タブとを有する針支持ハブを備える。ハブは、針の軸に鉛直の、ハブ上の係止面を形成する段差部分を含む半径方向外方面を有する。ハブ上に受け入れられる外側カバーは、閉塞遠位端部と、開口近位端部と、半径方向内方に突出し、ハブ上の係止面と当接する、開口近位端部の係止リブとを有する。可撓性タブは、ハブ上の段差部分の1つの端部に位置決めされる半径方向外方突出部を有する。ハブが、医薬品ペンへの設置のために回転されるとき、係止リブは、ハブ上の可撓性タブ上の突出部に係合し、外側カバーをハブと共に回転させる。ハブが医薬品ペンに完全に着座された後に、外側カバーとハブとの間に十分な力が発生すると、係止リブは、ハブ上の可撓性タブ上の突出部を乗り越え、可撓性タブを半径方向内方へ撓ませる。次いで、係止リブは解放チャネルに位置決めされて、そこで、係止リブは係止面から解放され、外側カバーは取り外されることができる。したがって、係止リブは、使用者への可聴および/または触知可能なフィードバックを伴って、それが解放され得る位置にパチンと嵌まる。
【0013】
本発明の別の態様では、従来のしずくラベルを不要にするために、迂曲経路バリア(tortuous path barrier)が用いられる。この目的のため、外側キャップおよび外側カバーが用いられ、迂曲経路バリアにより結合されて無菌性を確保する。あるいは、外側カバーの代わりに箔または紙箔製ラベルが、ハブの近位側に受け入れられてもよく、外側カバーは、迂曲経路バリアと共にハブ上に受け入れられ、カニューレ上に受け入れられる慣例的な内側遮蔽体を省いてもよい。
【0014】
本発明によるペン針は、ハブが医薬品ペンに完全に着座されるまで、針へのアクセスを制限する特徴部も組み入れることができる。実施形態では、これは、ハブの半径方向外方面上の対応するスロットに係合する、ペン針外側カバーの半径方向内方面上の対称的に配置されたタブを用いて達成される。ハブ上の第1のスロットは、針の軸に鉛直の遠位係止縁部を有し、これは、外側カバー上の対応するタブに係合し、タブが第1のスロットと係合されているとき、外側カバーがハブに対して遠位に移動することを防止する。ハブ上の第2のスロットは、開口遠位端部を有し、したがって、タブが第2のスロットと係合されたとき、外側カバーは、ハブに対して遠位に動くことができる。ハブが医薬品ペンに完全に着座された後、外側カバーは、第1のスロットに係合する第1の位置から、第2のスロットに係合する第2の位置に回転されることができる。
【0015】
別の態様では、本発明は、患者側端部(patient end)遮蔽体と、非患者側端部遮蔽体とを有するペン針であり、患者側端部遮蔽体と、非患者側端部遮蔽体は、針支持ハブに直接取り付けられ、したがって、必要とされる機能性を維持しながら、現在市販されているペン針の外側カバーおよび紙箔製ラベルを排除する。
【0016】
本発明の別の態様では、ペン針ハブは細い外形を備え、ペン針ハブの遠位端部に段差を有し、したがって、遠位端部は近位基体部よりも細くなっている。これは、いつハブが設置されたか使用者に対して示すために、可聴および/または触知可能フィードバック用の手段が設けられ、同時に、針を覆う外側カバーが、従来の注射ペンキャップの下に受け入れられることを可能にする。この目的のため、ハブの遠位部分上の成形特徴部が、近位基体部がより細い遠位端部部分に対面するハブの段差部分に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の1つの実施形態による、外側カバーを有したハブ組立体の非患者側から見た斜視図である。
【
図2A】本発明の別の実施形態による外側カバーの図である。
【
図2B】
図2Aに示される外側カバー内に保持されるように適合されたハブの図である。
【
図4】本発明の別の実施形態による、ハブと組み立てられ、内側針カバーを用いず、迂曲経路バリアを用いて、患者側端部針の周囲に無菌密閉を提供する外側カバーの図である。
【
図5】本発明の別の実施形態による、外側カバーの近位端部上で外側キャップと組み立てられた外側カバーの図である。
【
図6】
図1の実施形態を組み入れた医薬品ペンおよびペン針の組立体の分解図である。
【
図7】無菌パッケージ内にある
図1のペン針および外側カバーの組立体の図である。
【
図8】軸方向の視点から見た
図1の組立体の断面図である。
【
図9】
図5の外側カバー組立体を組み入れた医薬品ペンおよびペン針の組立体の分解図である。
【
図10】無菌パッケージ内にある
図5のペン針および外側カバーの組立体の斜視図である。
【
図11】
図2Aおよび2Bの外側カバーおよびハブの組立体を組み入れた医薬品ペンおよびペン針の組立体の分解図である。
【
図12】無菌パッケージ内にある
図2Aおよび
図2Bのペン針および外側カバーの組立体の斜視図である。
【
図13】
図4の外側カバーおよびハブの組立体を組み入れた医薬品ペンおよびペン針の組立体の分解図である。
【
図14】無菌パッケージ内にある
図4のペン針および外側カバーの組立体の斜視図である。
【
図15】本発明の別の実施形態によるペン針外側カバー組立体の図である。
【
図16】係止位置において外側カバーがハブに係合された状態の、
図15の実施形態の詳細図である。
【
図17】ハブに対して遠位移動が可能な解放位置において外側カバーがハブに係合された状態の、
図15の実施形態の詳細図である。
【
図18A】患者側端部遮蔽体および非患者側端部遮蔽体が、ハブから延在しスピンドル構成(spindle configuration)をなす、本発明の別の実施形態による分解図である。
【
図19A】本発明の実施形態によるハブの図である。
【
図20】医薬品ペンに取り付けられた
図19Aのハブ、および関連する外側カバーの図である。
【
図21A】本発明の実施形態による知覚フィードバック機構を有するハブの図である。
【
図21B】
図21Aに示されるハブに係合するように適合された外側カバーの図である。
【
図22】本発明の実施形態による、外側カバーに受け入れられた、知覚フィードバック機構を有するハブの内部の図である。
【
図23】本発明の実施形態による、外側カバーに受け入れられた、知覚フィードバック機構を有するハブの内部の図である。
【
図25A】本発明の実施形態による組み立てられたハブおよび外側カバーの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面は一定の縮尺になっておらず、他の特徴部をよりわかりやすく図示するために、ある見方においては、いくつかの特徴部が省略される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「遠位」方向は、注射部位の方向であり、「近位方向」は、逆方向である。「軸」方向は、注射器の長手方向軸に沿った方向である。針カニューレは、概して、装置内で軸方向に配置される。「半径方向」は、軸方向に鉛直の方向である。したがって、「半径方向内方」とは、概して、針寄りであることを意味する。「円周方向」は、円周の周りに配置されることを意味し、したがって、ねじ山は、螺着部の端部に円周方向に配置される。ペン針の「頂面」図とは、針の先端部を見た図である。
【0020】
図1に示される構成では、ハブ10は、ハブ10の非患者側のキャビティ内に円周方向に配置され、医薬品ペンへの取付けに適合されたねじ山16を備える。少なくとも1つの可撓性タブ12、14が、ハブねじ山の近位側に設けられ、以下に記載するように外側カバー20に係合する。示される実施形態では、1対の可撓性タブ12、14が、ハブねじ山16の近位側に円周方向に、隙間15により離間されて配置される。描かれた例では、可撓性タブ12、14は、約180度異なる、ハブ上の半径方向に対向する位置に存在する。ハブ10が医薬品ペンに螺合されるとき、可撓性タブ12、14は、外側カバー20の半径方向内方面から突出する1または複数の内リブ22に係合する。外側カバー20は、円形縁部29により規定された開口近位端部を有し、その中にハブが受け入れられる。ハブが医薬品ペン上で回転されると、外側カバー20上のリブ22は、可撓性タブ12、14の端部の突出部18に係合する。ハブ10が医薬品ペンに設置される当初は、可撓性タブ12、14と外側カバー20の内面上のリブ22との間に力はほとんど発生せず、したがって、外側カバー20およびハブ10は共に回転する。ハブ10が完全に設置されると、外側カバー20をさらに回すことにより、可撓性タブ12、14は撓み、内リブ22を乗り越えて、ハブ10が完全に着座されたことを示す可聴および/または触知可能なクリックを伴ってリブ22間の空間にパチンと嵌まる。外側カバー20に印加されるさらなる回転力がハブ10に伝達されないため、これは、ハブ10が過度に締め付けられないことも保証する。
【0021】
外側カバー20およびハブ10は、ハブが完全に着座された後まで、ハブ10と外側カバー20との係合が、外側カバーがハブ10に対して遠位に動くことを防止するように構成されることができる。例えば、本発明の別の態様に関連して論じられるように、外側カバー20をハブに対して回転させることで、リブ22を干渉面との係合から解除し、外側カバー20が遠位に動くように解放し、その結果、可聴および/または触知可能フィードバックが得られた後にのみ、使用者は外側カバー20を取り外すことができるように、外側カバー20上の内リブ22の遠位側がハブの表面の干渉面に当接してもよい。
【0022】
1または複数の可撓性タブ突出部18および外側カバー20上の1または複数の内リブ22は、好ましくは、一方の側が面取りされ、他方の側は直線で、円周方向に対して鉛直(外側カバーの円形開口部の接線に対して鉛直)である。このようにして、外側カバー20がハブ10に対して一方向(例えば、時計回り)に回転されると、可撓性タブ突出部19の面取り側が内リブ22の面取り側23と接触し、可撓性タブ12、14上の突出部18は、リブ22上で撓まされることができる。各可撓性タブ12、14上の突出部18は、可撓性タブの端部にあり、可撓性タブが撓まされるとき、最も大きく変位する。そのような突出部18のそれぞれは、外側カバー20が回されている最中に、2つ以上のリブ22を乗り越え、ラチェット音を生成することができる。半時計回り方向では、外側カバー20上のリブ22の平坦な側27が、ハブ10上の可撓性タブ12、14上の突出部18の平坦な側25と接触するとき、可撓性タブはリブ周囲で撓まない。その代わり、ハブ10が、外側カバー20の回転と共に回転する。このようにして、使用者が外側カバーと共にハブを取り外すことを補助する。本発明のこの実施形態は、医薬品ペンに設置される前に、外側カバー20からハブ10が滑脱することを防止する保持具を組み込んでもよい。
【0023】
図1に示された実施形態の変形形態が、
図21A、
図21B、および
図22に描かれており、この変形形態では、ハブ210が注射ペンに完全に着座されたとき、ハブ210と遮蔽体200との係合が、最初の可聴および/または触知可能な感覚を生成し、ハードストップが続く。この目的のために、少なくとも1つ、好ましくは複数のリブ220が、外側カバー200の内側面上に設けられ、ハブ210上の可撓性タブ212と係合する。
図22は、本発明の実施形態による外側カバー200に受け入れられたハブ210を示し、この実施形態では、リブ220上の面取り面214および可撓性タブ212上の突出部216上の第2の面取り面215が、リブ220が可撓性タブ212を撓ませ、突出部216を乗り越えることを可能にする。撓まされた後の可撓性タブ212の回復が、可聴および触知可能な感覚をもたらす。ハードストップ240は、半径方向の高さと、円周方向に鉛直の面242とを有し、ハブ210に対する外側カバー200のさらなる回転を防止する。タブ212上のハードストップ240と突出部216との間の隙間230は、リブ220を収容する。前述の実施形態の場合と同じく、1または複数の追加的なリブ220と連動し、1または複数の追加的なタブ212’が利用されてもよい。前述の実施形態とは異なり、リブ220がハードストップ240に当接した後は、ハブ210に対する遮蔽体200の時計回りの回転は妨げられる。
図22の組立体と比較すると、
図21Aおよび
図21Bの実施形態における外側カバー200およびハブ210の構造にはわずかな違いがある。しかしながら、全体的な概念は同じである。
【0024】
図23に示される変形形態では、外側カバー200の内側面の両側に、2組の2つのリブ220が設けられる。リブ220の数、半径方向の高さ、および間隔、ならびに、可撓性タブ212の剛度は、ペン上へのハブ210の螺合が、より大きいまたはより小さい抵抗を呈し、より大きいまたはより小さい音を生み出すように選択されることができる。リブ220の数および間隔などは、ハブ210が完全に着座されたことを合図するクリックに先立つラチェットのような音の質も左右する。したがって、
図22の実施形態は、1回のクリックを生み出した後に停止し、
図23の実施形態は、2回のクリックを生み出した後に停止する。3回、または、4回以上のクリックの後に停止する形態の知覚フィードバックを提供するには、追加のリブ220を足し、リブ220間に適切な間隔を選択すればよいだけのことである。
【0025】
図25Aおよび
図25Bに示される、さらに別の関連する実施形態では、可撓性タブ212は、半径方向外方の方向に傾いた傾斜部分250を有する。外側カバー200がハブ210に対して回転すると、リブ220が傾斜部250に沿って乗り上げる。傾斜部250の傾度およびタブ212の剛度の程度に応じ、回転が進むにつれて、医薬品ペンへのハブ210の螺合に対し、より大きいまたはより小さい抵抗が呈される。加えて、または、あるいは、可撓性タブ250の端部に一連の「洗濯板」突出部251、252が設けられてもよく、その結果、リブ220が突出部220を乗り越える際、ハードストップ240に対面する前に一連のクリックが発生される。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、医薬品送達装置へ取り付けるためのねじ山を有する内部面を有する近位端部部分と、近位端部部分よりも細く、段差部分で近位端部に対面する遠位端部部分とを有する針支持ハブを備えるペン針を備え、遠位端部は、平坦な遠位端部面と、側壁と、側壁から半径方向外方の方向へ延在する可撓性の半径方向突出部であって、外側カバーとの接触により移動されるように適合され、ハブが医薬品送達装置に設置されると、ハブ上の可撓性の半径方向突出部と外側カバー上の内方に突出するリブとの係合から知覚フィードバックを提供するように適合された、可撓性の半径方向突出部とを備える。
【0027】
この段差付きハブの実施形態の変形形態が、
図19Aおよび
図19Bに示される。この実施形態では、ハブ10は、医薬品ペンを受け入れるための近位端部部分190と、針196を支持する遠位端部部分194とを有する。遠位端部部分194は、遠位端部面198を有し、近位端部部分190も、遠位端部部分194が近位端部部分190に対面する場所で段差部を形成する遠位端部面197を有する。開口部199が、近位端部部分の遠位端部面197に形成され、ストリップ(strip)193の近位側を画定し、ストリップ193は曲がって、可撓性の半径方向突出部192が、外側カバー上の内方に突出するリブに係合するのを可能にし、また、従来のプラスチック絞り成形技法による製作も簡素化する。開口部199の1つの端部から軸方向に延在するスリット(slit)191は、ストリップ193の端部を規定する。実施形態では、ストリップ193は、成形を容易にするために、その遠位側にスリットを有さず成形される。ハブ10上の段差部分に半径方向外方突出部12を設けることで、知覚フィードバック機構が半径方向に占める空間をより少なくし、その結果、より細い外形を有する外側カバーが使用され得、組立体全体が、従来の医薬品ペンの外側キャップの下に収まることができる。
【0028】
図20の例では、ハブ10は、ペン13に取り付けられた近位端部部分よりも細い遠位端部部分194を備える。したがって、知覚フィードバック特徴部は、半径方向内方の針寄りに設けられ、ペンキャップ200は、ハブ10の基部上の突出部に干渉することなく、医薬品ペンに設置されたハブ10上に嵌まる。
【0029】
図6は、医薬品ペン13に設置されたハブ10の図を、外側カバー20および内側遮蔽体61と共に分解図で提供する。この実施形態は、医薬品ペン13に取り付けられた、段差が付けられたハブ10を含むことができる。ハブ10は、段差部19で対面する、より太い近位部分と、より細い遠位部分11とを有することができる。任意選択の内側遮蔽体61の近位端部は、ハブのより細い部分11上に受け入れられる。示される実施形態では、内側遮蔽体61は、従来の内側針遮蔽体よりも太くなっており、内側遮蔽体を取り外すとき、使用者がこの部品を握ることを容易にする。任意選択で、リブ63が内側遮蔽体61の外側面上に設けられ、握ることを容易にしてもよい。外側カバー20は、その開口端部が、医薬品ペン13に取り付けられるハブ10の近位の非患者側端部と整合するように適合される。リブ22は、可撓性タブ12と係合する。
図7に示されるように、ハブ10および内側遮蔽体61は、外側カバー20の内側に受け入れられ、箔製タブ72で閉塞され、パッケージユニット(packaged unit)70として無菌密閉を形成することができる。外側カバー20を透明にし、内側遮蔽体が見えるようにしてもよいが、これは、主として審美的な選択肢である。ハブ10上の患者に面する平面69は、針支持体を遠位面の下に窪ませて得てもよい。この構成は、
図4の断面図に示される。平坦な圧力パッド領域を有するハブが特許文献2に開示され、参照により組み込まれる。
【0030】
本発明による別の実施形態も、ハブ上のねじ山の近位に位置する可撓性タブを組み入れ、
図2A、
図2B、および
図3に描かれるような外方突出部を有する。先行する実施形態にあるように、ハブは、その近位端部上に、医薬品ペン上にハブを確実に回転させるためのねじ山を備えるキャビティを有して設けられる。この実施形態では、外側カバー102は、最初は遠位方向へ動くことが妨げられており、ハブが医薬品ペン上に完全に着座された後に、それがハブから取り外されることができる位置にパチンと嵌まる。
【0031】
外側カバー102とハブ100との間の係合を達成するために、ハブ100は、ねじ山16の近くに位置する円周方向に配向された可撓性タブ92を備える(
図3に図示)。ハブ100は、拡径された段差部分35を含む半径方向外方面を有する。段差部分35は、針の軸に鉛直の、ハブ上の係止面29を形成し、係止面29は、外側カバー102上の内方に突出する係止リブ21と係合し、係止面29が係止リブ21に係合する限り、外側カバー102が遠位に動くことを防止する。ハブ100上に受け入れられる外側カバー102は、閉塞遠位端部と、開口近位端部と、半径方向内方に突出する、開口近位端部の係止リブ21とを有する。係止リブ21は、係止面29に係合し、その結果、外側カバーは、回転することはできるが、遠位に動くことは阻止される。可撓性タブ92は、可撓性タブの端部から突出し、係止面29の1つの端部に位置決めされる突出部95を有する、半径方向外方面を有する。係止リブ21は、ハブ上の可撓性タブ上の突出部95と係合し、ハブが医薬品ペンに螺合している間、外側カバーをハブと共に回転させる。しかしながら、ハブが医薬品ペンに完全に着座され、突出部95に対し十分な力が係止リブ21により印加されると、係止リブが、可撓性タブ上の突出部を乗り越え、タブが半径方向内方へ撓められる。
【0032】
タブが内方に撓められると、係止リブ29は、拡径を有する(漏斗形状部97の領域に比べ半径方向に高さが増す)、解放チャネル99に向かって収束する2つの対向する斜面により形成された漏斗形状部97の底部に位置決めされる。この位置では、係止面29は、もはやリブ21と干渉せず、外側カバー102は、遠位に引くことにより取り外されることができる。係止リブ21がこの位置に達すると、可撓性タブ92は、係止リブ21の後方でパチンと戻って嵌まり、ハブ100が医薬品ペンに設置され、完全に着座されたことを示す可聴および/または触知可能なインジケーションを使用者に提供する。漏斗形状領域97を形成する対向する斜面により、ハブ100の患者側端部針を覆う外側カバーを交換することが容易になる。係止リブ21は、解放チャネル99へと案内され、そこで、それは、医薬品ペンからハブを取り外すために、反時計回り方向に回転することで戻り回転され、係止面29と当接係合することができる。
図2Bに示されるように、初期状態では、内側カバー103が針を覆って設けられ、注射を実施する前に取り外される。
【0033】
本発明の別の態様では、内側遮蔽体とハブとの間、または、外側カバーとハブとの間(内側遮蔽体を完全に排除)に、迂曲経路無菌バリアが設けられる。
図4の断面図に示された実施形態では、外側カバー40がハブ10の段差部分に当接する。外側カバー40は、ハブ10に迂曲経路バリア42と共に封着され、針の無菌性を確保し、従来の内側遮蔽体を排除する。この実施形態の箔または紙箔製可撓性カバーは、外側カバーではなく、ハブ10の開口近位縁部に直接熱融着される。完成した組立体130が
図14に示され、医薬品ペンへのこの実施形態の設置は
図13に示される。より太い近位部分と、より細い遠位部分とを有するハブを使用することで、外側カバーがハブに確実に当接し、ラビリンス密封(labyrinth seal)によってハブと無菌バリアを形成することを可能にする。ラビリンス密封の概念は、生体医学装置技術でよく知られており、空中浮遊有機体が迂曲経路に当たり(presented with a tortuous path)、それが、有機体が、カニューレ周囲の密閉空間を汚染するのを防止し、それによって、無菌性を確保することを単に意味する。バリアは、使用前に使用者によって壊される必要のあるタイプの密封を形成するが、不便さを生じる程の強い力は必要とされない。この概念は、参照により組み込まれる特許文献5に詳述される。
【0034】
迂曲経路バリアを組み込んださらに別の実施形態が、
図5、
図9、および
図10に描かれ、この実施形態では、患者側端部針52と、非患者側端部針54とを有する針支持ハブが、遠位外側カバー56および近位外側キャップ58内に密閉される。遠位外側カバー56および近位外側キャップ58は、ラビリンス密封で密封され、使用前非患者側端部針および患者側端部針の周囲に無菌密閉を形成する。この構成は、紙箔製にしずくラベルの必要性を排除し、小さい物体を簡単に扱うことができない患者にとって好ましいものとなるであろう。使用者のペン針に対する把持感を向上し、迂曲経路バリアを壊しやすくするために、遠位外側カバー56および近位キャップ58上の把持部92、94、ならびに、遠位外側カバー上の成形面が設けられることができる。
【0035】
図15、
図16、および
図17に描かれる本発明の実施形態によれば、外側カバー150は、半径方向内方面上に少なくとも1つの突出部152を備える。ハブ151(ここでは、カニューレなしで示される)は、医薬品ペンを受け入れるためのねじ山を有するキャビティを、その近位側に備える。ハブ151の外側面は、遠位縁部155を有する少なくとも1つのインボードスロット(inboard slot)154を有する。
図16に示されるように、突出部152がインボードスロット154に係合されると、インボードスロット154の遠位縁部155は、第1の係止位置において、突出部152が遠位に動くことを防止する。外側カバーおよびハブが時計回りに回転されると、ハブおよび外側カバーは、ハブが医薬品ペンに着座されるまで共に回転する。ハブが着座された後は、外側カバーとハブとの間に十分な力が発生し、その結果、外側カバーは、ハブに対して回転し、突出部152は、
図17に示されるように、端部が開口したスロット156に係合する。この位置では、外側カバーは、遠位に自由に移動する。好ましくは、外側カバーとの係合のために、複数のインボードスロット154、および、複数の端部が開口したスロット156が、ハブの半径方向外方面上に散在する。好ましくは、外側カバーは、複数の対称的に配置された突起部を備え、複数のそれぞれのスロット内での外側カバーの滑らかな遠位移動を案内する。2つ、好ましくは3つ、および、4つ以上の突起部152が、この目的のために設けられてもよい。
【0036】
図18Aおよび
図18Bに描かれる実施形態では、本発明によるペン針は、非患者側端部カニューレ上、および、患者側端部カニューレ上にそれぞれ受け入れられた2つの相対的に細い円筒形の針遮蔽体510、530を有するスピンドルの外観を帯びる。針カバーとしての遮蔽体の機能性が、使用者にすぐにわかるように、遮蔽体を、ハブの直径の約3分の1から約10分の1とすることができる。ハブ520の非患者側端部の内部面上のねじ山は、非患者側端部遮蔽体510上の側方に延在する円盤形状部材上のねじ山と噛合い、非患者側端部カニューレの領域周囲に滅菌バリアを提供する。レーザマーキング(laser marking)を用いて、非患者側端部遮蔽体の細い円筒形部分上にラベル情報を施してもよい。技術分野でよく知られるように、レーザマーキング添加剤が、部品を作成するために成形される高分子に添加されてもよい。
【0037】
患者側端部針の周囲の無菌性は、迂曲経路バリアによりもたらされることができ、これは、空中浮遊微生物がこの領域を汚染することを防止するが、外されることができる。
図18Aに描かれるように、ハブ520は、軸方向に位置するハブ柱522を備え、そこにカニューレが固定される。挿入図に示されるように、患者側遮蔽体530は、内部面上に第1の輪郭532を備え、これは、ハブ柱522の外方面上の輪郭524と噛合い無菌密封を提供し、この密封は、非患者側のねじ接続とは異なり、ハブから遮蔽体を分離するために十分な力が印加されると壊されることができる。
図18Aの挿入図に示されるように、ハブ上の迂曲経路形成面は、ハブ柱上に形成されることができ、これは、ハブ上の従来の針支持部材である。患者側遮蔽体は、この要素の針遮蔽体としての機能が使用者に直観的にわかるように、円筒形で、相対的に細い従来の患者側遮蔽体と類似する形状を有することができる。ペン針500の組立図が
図18Bに示され、この図では、患者側遮蔽体および非患者側遮蔽体の両方が、ハブの円筒形の外周に比べ細い円筒であり、その結果、装置が組み立てられると、遮蔽体およびハブが一緒になりスピンドルのように見える。材料コストを削減するために、より小さい遮蔽体要素を使用することが期待されている。非患者側遮蔽体の近位端部は、ハブから部材を回して抜くことを可能にするための把持部を提供する小さい拡張部512を備えることができる。
【0038】
患者側の遮蔽体は、ハブ520が医薬品ペンに設置された後に容易に外されるだけなので、カニューレ周囲の遮蔽体を取り外す順序は、事実上予め決められる。
図18Aに示される実施形態では、非患者側遮蔽体510は、拡張部512によって形成された平坦部分を有し、遮蔽体およびハブの境界面にあるねじ山の係合解除を可能にする。使用者は、まず、ねじを回して非患者側端部遮蔽体510を取り外すことが要求される。使用者は、ペン針が設置された医薬品ペンを握り、医薬品ペンをハブに取り付けたことにより生成されたてこの力を用いて滅菌バリアを壊し、患者側端部遮蔽体を取り外すことにより、患者側端部遮蔽体を外すことができる。患者側遮蔽体の遠位端部にも同様に、ハブ柱から遮蔽体を外すことを容易にする側方拡張部536を設けることができる。
【0039】
前述の各実施形態では、ハブおよび外側カバーの構成要素は、典型的には、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレンなどの射出成形プラスチックであり、カニューレは、サージカルグレードステンレス鋼(surgical grade stainless steel)である。医薬品ペン技術の当業者に周知の他の材料および製造方法が、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書での使用に適合されることができる。部品を組み立てるには、ハブ組立体は、針とは別個に構築され、境界領域に接着剤を塗布しカニューレをハブに固定することができ、次いで、この下位組立体が、内側遮蔽体と組み立てられ(任意選択で、実施形態に応じて)、外側カバー内に干渉により嵌められることができる。
【0040】
好ましい実施形態の前述の記載は、本発明を限定するものとはみなされず、本発明は、以下の特許請求の範囲により規定される。前述の記載は、記載された実施形態の変形例を実施する十分な情報を有する当業者に提供されるものである。従属請求項に記載された、または、1つの実施形態に関連して記載された特徴部および改良点は、本発明の範囲から逸脱することなく別の独立請求項または別の実施形態と組み合わされることができる。