特許第6906704号(P6906704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6906704スイッチキャビネット用ロックデバイスおよび対応するスイッチキャビネット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906704
(24)【登録日】2021年7月1日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】スイッチキャビネット用ロックデバイスおよび対応するスイッチキャビネット
(51)【国際特許分類】
   E05C 3/04 20060101AFI20210708BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20210708BHJP
   H02B 1/38 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   E05C3/04 E
   H05K5/03 D
   H02B1/38 A
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-526364(P2020-526364)
(86)(22)【出願日】2018年9月14日
(65)【公表番号】特表2021-502507(P2021-502507A)
(43)【公表日】2021年1月28日
(86)【国際出願番号】DE2018100783
(87)【国際公開番号】WO2019101260
(87)【国際公開日】20190531
【審査請求日】2020年5月13日
(31)【優先権主張番号】102017127576.2
(32)【優先日】2017年11月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512086138
【氏名又は名称】リッタル ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Rittal GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリュック,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルベルアウアー,ザッシャ
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−518965(JP,A)
【文献】 特表2019−537422(JP,A)
【文献】 特開平09−018166(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0159335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 3/04
H05K 5/03
H02B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックドア(1)と補助ドア(2)を有し、前記補助ドア(2)には、ヒンジ側とは反対側の垂直外縁部(5)に、前記補助ドア(2)の扉(6)に形成されたU字形材部(7)が設けられ、前記U字形材部(7)は前記ロックドア(1)のロック機構用の受け部(8)を有し、前記受け部は前記扉(6)よりも後ろに奥まっており、また前記扉(6)に向かって開放している、スイッチキャビネット(100)用のロックデバイスにおいて、
前記補助ドア(2)の外端面である、前記U字形材部(7)の外側自由形材面(10)に、前記補助ドア(2)のロック(12)の回転レバー(11)が、開放位置とロック位置との間で回転軸(x)の周りに枢動可能に取付けられていることを特徴とする、スイッチキャビネット用ロックデバイス。
【請求項2】
前記回転レバー(11)が、前記外側自由形材面(10)に対して平行に延在する平面内で、前記開放位置と前記ロック位置との間で枢動可能であることを特徴とする請求項1に記載のロックデバイス。
【請求項3】
前記回転軸(x)が、前記U字形材部(7)の前記外側自由形材面(10)に対して垂直に延在していることを特徴とする請求項1または2に記載のロックデバイス。
【請求項4】
前記外側自由形材面(10)が、前記扉(6)に対して少なくとも略直角にまたは鈍角に延在していることを特徴とする請求項1〜3何れか一項に記載のロックデバイス。
【請求項5】
前記回転レバー(11)は、前記開放位置において前記補助ドア(2)の前側まで扉面を越えて延在し、また前記回転レバー(11)は、前記ロック位置において前記扉面より完全に後ろ側に配置されることを特徴とする請求項1〜4何れか一項に記載のロックデバイス。
【請求項6】
前記補助ドア(2)の前記ロック(12)に第1プッシュロッド(13)と第2プッシュロッド(13)が備えられ、ここに前記回転レバー(11)がはさみ状部材(14)を介して機械的に連結され、前記補助ドア(2)の後ろ側に設けられた前記U字形材部(7)の追加形材面(22)の外側面(3)に沿って、各プッシュロッド(13)が延在し、前記追加形材面は、前記U字形材部(7)の前記外側自由形材面(10)に接する屈曲端部により形成されることを特徴とする請求項1〜5何れか一項に記載のロックデバイス。
【請求項7】
前記補助ドア(2)の前記ロック(12)に第1プッシュロッド(13)と第2プッシュロッド(13)が備えられ、ここに前記回転レバー(11)がはさみ状部材(14)を介して機械的に連結され、前記はさみ状部材(14)の第1トグルレバー(15)は、両端が対応する第1回転コネクタ(16)を介して、前記第1プッシュロッド(13)と前記回転レバー(11)に接続され、前記はさみ状部材(14)の第2トグルレバー(15)は、両端が対応する第2回転コネクタ(16)を介して、前記第2プッシュロッド(13)と前記回転レバー(11)に接続される、ことを特徴とする請求項1〜6何れか一項に記載のロックデバイス。
【請求項8】
前記回転レバー(11)の各設置位置において、それぞれのトグルレバー(15)のうち少なくとも1つが、その全長にわたって、前記U字形材部(7)の前記外側自由形材面(10)またはそこに固定されてそこから突出している挟み防止カバー(17)に重なり合っていることを特徴とする請求項7に記載のロックデバイス。
【請求項9】
それぞれのトグルレバー(15)のうち少なくとも1つに、トグルレバーロッド(18)およびV字状挟み防止カバー(17)が備えられ、前記V字状挟み防止カバー(17)は、前記トグルレバーロッド(18)に一体的に形成されるか、または解放可能に接続されることを特徴とする、請求項7または8に記載のロックデバイス。
【請求項10】
前記それぞれのトグルレバー(15)が何れも、対応するプッシュロッド(13)にL字形状連結部材(19)を介して接続されており、前記L字形状連結部材には、前記U字形材部(7)の前記外側自由形材面(10)と平行に延在し、また前記回転コネクタ(16)が設けられている第1取付け面(20)が設けられ、また前記L字形状連結部材には、前記プッシュロッド(13)に接続され、前記補助ドア(2)の後ろ側に設けられた前記U字形材部(7)の追加形材面(22)の外側面(3)と平行に延在する第2取付け面(21)が設けられることを特徴とする、請求項7〜9の何れか一項に記載のロックデバイス。
【請求項11】
挟み防止カバー(17)が、前記U字形材部(7)に固定され、前記U字形材部(7)の前記外側自由形材面(10)と平行に延在しており、前記U字形材部(7)の後ろ側から突出していることを特徴とする、請求項7〜10の何れか一項に記載のロックデバイス。
【請求項12】
前記回転レバー(11)の開放位置において、前記それぞれのトグルレバー(15)のうち第1のトグルレバーが、前記U字形材部(7)の前記外側自由形材面(10)と平行に延在し、前記U字形材部の後ろ側から突出していることを特徴とする、請求項7〜11の何れか一項に記載のロックデバイス。
【請求項13】
前記回転レバー(11)の開放位置において、前記それぞれのトグルレバー(15)のうち第2のトグルレバーが、前記U字形材部(7)の前記外側自由形材面(10)と平行に延在し、前記U字形材部(7)の前側を越えて突出していることを特徴とする、請求項7〜12の何れか一項に記載のロックデバイス。
【請求項14】
前記それぞれのトグルレバー(15)が前記回転レバー(11)に、前記回転レバー(11)の回転軸(x)に対して向かい合うようにして取付けられ、
前記それぞれのトグルレバー(15)を前記回転レバー(11)に接続している前記回転コネクタ(16)の追加回転軸(y)が、前記回転レバー(11)の回転軸と平行になるように、前記回転レバー(11)と前記それぞれのトグルレバー(15)との間に配置されることを特徴とする請求項7〜13の何れか一項に記載のロックデバイス。
【請求項15】
前記回転レバー(11)の開放位置において、前記追加回転軸(y)がそれぞれ前記扉(6)に向かい合って配置され、前記扉(6)および前記U字形材部(7)に対して両側で突出しており、かつ前記回転レバー(11)のロック位置において、前記追加回転軸(y)がそれぞれ、前記U字形材部(7)の前記外側自由形材面(10)の前に位置していることを特徴とする請求項14に記載のロックデバイス。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか一項に記載のロックデバイスを備えたスイッチキャビネット(100)であって、前記ロックドア(1)と前記補助ドア(2)が、前記スイッチキャビネット(100)のフレーム(110)の両側の鉛直形材にヒンジ留めされ、ロックドア(1)と補助ドア(2)が閉じている状態で、前記補助ドア(2)の前記受け部(8)が前記ロックドア(1)により覆われることを特徴とするスイッチキャビネット(100)。
【請求項17】
前記フレーム(110)には、前記鉛直形材の両端を互いに接続する水平支柱(120)が備えられ、前記フレーム(110)の外側面に対して開放している形材受け部(210)を有する封止中央部材(200)が、前記水平支柱(120)に取付けられ、また前記形材受け部(210)に封止部材(220)が受け入れられ、これにより前記U字形材部(7)が、その縦端部の1つにおいて、前記形材受け部(210)に対して封止されることを特徴とする、請求項16に記載のスイッチキャビネット(100)。
【請求項18】
前記封止中央部材(200)が前記水平支柱(120)のZ端部(121)に取付けられ、前記Z端部(121)の上部水平形材面(122)には、規則的に間隔をあけた固定用受け部(123)に係るシステム貫通孔が設けられ、また前記封止中央部材(200)には、前記ロック(12)のプッシュロッド(13)の自由端用の前記固定用受け部(123)の1つに位置合わせされた通路部(230)が設けられ、前記回転レバー(11)の前記ロック位置において、前記自由端が、前記通路部(230)および位置合わせされた前記固定用受け部(123)を通って、前記水平支柱(120)の中まで延在することを特徴とする、請求項17に記載のスイッチキャビネット(100)。
【請求項19】
前記封止中央部材(200)には、前記形材受け部(210)を有するハード部材と、前記封止部材(220)を形成しているソフト部材とが備えられ、前記封止部材は、前記形材受け部(210)の内周に沿って前記形材受け部(210)を内張りしており、前記封止部材(220)には、互いに平行に間隔があけられ、前記内周から水平に突出している数個の封止リップ(240)が設けられていることを特徴とする請求項17または18に記載のスイッチキャビネット(100)。
【請求項20】
前記フレーム(110)の内部を向く側において、前記形材受け部(210)に切り欠きが設けられ、前記切り欠きの中に向かって前記封止部材(220)の一部が突出していることを特徴とする請求項17〜19の何れか一項に記載のスイッチキャビネット(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロックドアと補助ドアを有し、前記補助ドアには、そのヒンジ側とは反対側の垂直外縁部に、前記補助ドアの扉に形成されたU字形材部が設けられ、前記U字形材部は前記ロックドアのロック機構用の受け部を有し、前記受け部は前記扉に対して前記スイッチキャビネット内部側に向かって後ろに奥まっており、また前記扉に向かって開放している。このようなロック装置は特許文献1により知られている。特許文献2にも類似のロック装置が記載されている。
【背景技術】
【0002】
現在の技術水準で知られている上記タイプのロック装置は、補助ドアをロックするために手動で動作される機構が、ロックドアが解放されているときにのみ不十分にアクセス可能である点で不利であって、これはとりわけ、補助ドアロックを操作するために手動で回旋されるレバーが、スイッチキャビネット内部を向く補助ドア側に配置されているために、ユーザーに視認されないという事実に起因するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第19806064号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19946773号明細書
【特許文献3】独国特許第201610117378号明細書
【特許文献4】独国特許第102016117378号明細書
【特許文献5】独国特許第102015121193号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的はしたがって、上記タイプのロック装置が使用しやすいようにさらに発展させる点にある。
【0005】
この目的は請求項1の特徴を有するロック装置により実現される。請求項16はこれに対応するスイッチキャビネットに関する。例示的な実施形態は従属請求項の主題である。
【0006】
したがって、U字形材部の外側自由形材面に、補助ドアのロックの回転レバーが、開放位置とロック位置との間で回転軸の周りに、枢動可能に取付けられている。
【0007】
外側自由形材面は特に補助ドアの外端面とすることができ、補助ドアの扉に対して直角もしくは鈍角に延在している。補助ドアロックの回転レバーが、開放位置とロック位置との間で回転軸の周りで可動であるとき、この回転軸は特に端面に垂直にして延在させてもよく、開放位置とロック位置との間で回転レバーが、補助ドアの扉の面に対して実質的に直角または鈍角に動くようになっている。回転レバーはしたがってロック装置の前側から、特にまたスイッチキャビネットの前側から、あらゆる設置位置でアクセス可能となっており、現在の技術水準から知られている配置とは対照的に、補助ドアでカバーされていない。回転レバーは、自由形材面に対して平行に延在する平面内で、ロック位置と開放位置との間で回旋可能である。特に、回転軸は自由形材面に対して垂直に延在することができる。
【0008】
自由形材面は扉に対して少なくとも略直角にまたは鈍角に延在することができる。
【0009】
開放位置において、回転レバーは補助ドアの前側まで扉面を越えて延在することができる。さらに、閉鎖レバー位置において、回転レバーは扉面の後ろに完全に配置させることができる。特に、回転レバーは、補助ドアの端面、またはU字形材部の外側自由形材面の前に、それぞれ位置することができる。
【0010】
補助ドアのロックは第1プッシュロッドと第2プッシュロッドを具備可能であって、ここに回転レバーがはさみ状部材を介して機械的に連結されており、各プッシュロッドは、補助ドアの後ろ側に配置されたU字形材部の追加形材面の外側面に沿って延在しており、この追加形材面はU字形材部の外側自由形材面に接する屈曲端部により形成されている。
【0011】
U字形材部は補助ドアの扉と一体的に形成することができる。特にU字形材部は、補助ドアのヒンジ側と反対側にある補助ドアの鉛直長手端面で、補助ドアの扉を屈曲させることにより形成することができる。U字形材部は、例えば、扉からなる3つの連続した90°屈曲端部、および/または、鈍角屈曲端部により形成することができる。補助ドアの扉と一体的に形成された好適なU字形材部は、特許文献1から知られている。
【0012】
補助ドアのロックは第1プッシュロッドと第2プッシュロッドを具備可能で、これらに回転レバーがはさみ状部材を介して機械的に連結されていて、はさみ状部材の第1トグルレバーは、対応する第1回転コネクタを介して、その両端が第1プッシュロッドと回転レバーに接続されており、はさみ状部材の第2トグルレバーは、対応する第2回転コネクタを介して、その両端が第2プッシュロッドと回転レバーに接続されている。
【0013】
回転レバーのそれぞれの設置位置において、少なくとも1つのトグルレバーは、その全長が、U字形材部の外側自由形材面またはそこに固定されてそこから突出している挟み防止カバーに重なり合っている。
【0014】
トグルレバーの少なくとも1つを、複数の部材から作製するか、または一体的に形成することができる。トグルレバーは、トグルレバーロッドとV字状挟み防止カバーを具備することができる。挟み防止カバーはトグルレバーロッドと一体的に形成されるか、トグルレバーロッドに解放可能に接続することができる。解放可能な接続としては、例えばクリップやプラグ接続などとすることができる。解放可能に接続可能な挟み防止カバーは、特にプラスチック成形品とすることができる。挟み防止カバーは、開放位置とロック位置との間で回転レバーを調節する際、はさみ状部材のトグルレバーロッドが、U字形材部の外側自由形材面に対して、U字形材部の外側自由形材面とトグルレバーロッドとの間で変化する重なり具合を有して旋回させるときに、特に指が挟まれることを防止することを意図したものである。
【0015】
トグルレバーは何れも、L字形状連結部材を介して対応するプッシュロッドに接続することができる。連結部材は、U字形材部の外側自由形材面に平行に延在し、かつ回転コネクタを有する第1取付け面、を備えることができる。連結部材はまた第2取付け面を有しており、これはプッシュロッドに接続され、補助ドアの後部に配置されたU字形材部の追加形材面の外側面に平行に延在している。
【0016】
挟み防止カバーをU字形材部に固定可能で、U字形材部の外側自由形材面に対して平行に延在させ、U字形材部から突出させることができる。
【0017】
回転レバーの開放位置において、第1のトグルレバーをU字形材部の外側自由形材面と平行に延在させ、U字形材部の後ろ側から突出させることができる。
【0018】
さらに、回転レバーの開放位置において、第2トグルレバーをU字形材部の外側自由形材面に平行に延在させ、U字形材部の前側を越えて突出させることができる。
【0019】
トグルレバーは、回転レバーに、回転レバーの回転軸に向かい合うようにして、取り付けることができ、各トグルレバーを回転レバーに接続している回転コネクタの追加回転軸を、回転レバーの回転軸と平行になるように、各トグルレバーと回転レバーとの間に設けることができる。
【0020】
回転レバーの開放位置において、追加回転軸を扉に対し向かい合わせで配置させ、扉およびU字形材部に対して、両側から突出させることができ、回転レバーのロック位置では、これら他の回転軸はU字形材部の外側自由形材面の前に配置される。
【0021】
また別の実施形態として、上記タイプのロック装置を有するスイッチキャビネットが説明されており、ロックドアと補助ドアが、スイッチキャビネットのフレームの、両側垂直形材にヒンジ留めされ、ロックドアと補助ドアが閉じた状態で、補助ドアの受け部がロックドアにより覆われる。
好適なスイッチキャビネットフレームおよびロックドアと補助ドアをフレームの垂直形材にヒンジ留めさせるためのヒンジは、特許文献3から知られている。
【0022】
フレームは、垂直形材の両端部を互いに接続させる水平支柱を有することができ、フレームの外側面に向かって開放されている形材受け部を有する封止中央部材が、水平支柱に取付けられ、封止部材が形材受け部の中に受け入れられており、U字形材部が、縦端部の1つにおいて、形材受け部に対して封止される。
【0023】
封止中央部材は水平支柱のZ端部に取付け可能であって、Z端部の上部水平形材面には、規則的に間隔があけられた、固定用受け部のシステム貫通孔が設けられており、封止中央部材には通路部が設けられ、前記通路部はロックのプッシュロッドの自由端用の固定用受け部の1つに位置合わせされており、回転レバーのロック位置で、この自由端が通路部および位置合わせされた固定用受け部を通って、水平支柱の中に延在する。開放位置では、この自由端を固定用受け部と位置合わせされた通路部から完全に取り外すことにより、補助ドアをフレームからロック解除して振り外すことができる。
【0024】
封止中央部材は、形材受け部を有するハード部材と、封止部材を形成するソフト部材とを備えることができる。封止部材は、形材受け部をその内周に沿って内張りすることができ、封止部材は、互いに平行に間隔を空けられ、当該内周面から水平に突出している、数個の封止リップが設けられている。
【0025】
フレームの内部を向く側面において、形材受け部に切り欠きを設けることができ、この中に向かって封止部材の一部が突出する。
【0026】
ハード部材には、ロック装置のプッシュロッドの自由端部用の通路部が設けられ、この通路部はフレームの水平形材の固定用受け部のうちの1つと位置合わせされている。通路部は少なくとも1つの水平入り口ガイドにより形成することができ、また好ましくは2つの平行入り口ガイドを有しており、プッシュロッドの自由端部が水平方向に案内されることにより、例えば、全体のシステムに対して公差補償が提供されるようになっている。このようにして、スイッチキャビネットの製造上の公差、特にフレームとロックシステムの製造上の公差を補償することができる。
【0027】
通路部にはまた、水平入り口ガイドに対して垂直に延在し、かつ水平方向に対して鋭角に延在する封止圧縮用のかけあがり傾斜部が設けられている。
【0028】
ハード部材は、垂直形材に向かう背面側にセンタリングドームを設けることができ、このセンタリングドームを介して、ハード部材が水平支柱の固定用受け部の中に篏合し、水平支柱に対してハード部材が事前配置される。
【0029】
ハード部材はまた略U字状の挟み輪郭形状を有し、これによりハード部材が水平支柱の輪郭ウェブを把持することで、ハード部材が水平支柱と垂直の方向に配列されるようになっている。
【0030】
ソフト部材には、スイッチキャビネットを封止するための数個の、特に4つのラメラを設けることができ、これらラメラのうち3つのラメラは、補助ドアに形成されたU字形材部を直接的に支持するように構成されている。
【0031】
ラメラのU字形材部に対するオフセット支持によるロック力の分配は、第1のラメラから第3のラメラにかけて鉛直方向に長さが減少する異なるラメラ長を有する各ラメラにより達成することができる。
【0032】
ラメラを例えば水平から18°傾斜させることにより、ドアが閉まったときに再現性のあるラメラの接触を実現させることができる。特に、水の影響を受ける場合に、板が、発生する水しぶきと反対側に、常に接触することでドアに押し付けられ、増大する封止効果を達成させることができる。封止ラメラの自由端面に波形の輪郭を設けることができる。
【0033】
第4のラメラを補助ドアのドアパネルを越えて延在させ、特にスイッチキャビネットの床面または天井面から水が浸入することを防止するために使用することができる。この目的のため、ラメラが水圧下でドアパネルに接触することで、ソフト部材のU字形状受け部を閉鎖または覆うことができる。
【0034】
IP保護機能を高くするために二重の封止リップを提供することができる。さらに、ソフト部材とハード部材の間の形状適合を実現させることにより、重要な封止領域におけるソフト部材の密着性と寸法安定性を高めることができる。下記図面を用いて本発明のさらなる詳細が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】開放位置に配置されている回転レバー付き補助ドアの斜視図を示す。
図2】ロック装置の鉛直面の平面図におけるに図1に係る実施形態を示す。
図3】スイッチキャビネット内部を向く、図1に係るロック装置の後ろ側の斜視図を示す。
図4】スイッチキャビネットのベースフレームの領域においてスイッチキャビネット内部を向く補助ドアとロックドアの側面に係る斜視図を示す。
図5】本発明の実施形態に係る封止中央部材の斜視図を示す。
図6】補助ドアロックと共に、ロックドアと補助ドアがロックしている位置におけるロック装置の別の実施形態に係る、スイッチキャビネット内部を向く補助ドアとロックドアの側面に係る斜視図を示す。
図7】本発明に係るロック装置の別の実施形態の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
説明を簡単にするため、図1に図示のスイッチキャビネット用のロック装置がロックドア1を省略して図示されているが、ロックドア1は図示の補助ドア2を補完するものである。補助ドア2は扉6のあるシート金属部として設計され、その鉛直縦端部にはU字形材部7が特に扉6から折り曲げられるようにして一体的に形成されている。このような補助ドアは、例えば特許文献1から公知である。
【0037】
外側端面において、U字形材部7は外側自由形材面10を有しており、ここに回転レバー11が、補助ドア2のロック機構12の開放位置とロック位置との間で平行に枢動自在になっている。特に回転レバー11は、U字形材部7の外側自由形材面10に対して垂直に延びている回転軸xの周りで回転可能となっている。
【0038】
回転軸yの前後に配置されている回転軸xに関し、トグルレバー15は、回転コネクタ16を介して回転レバー11に固定されていて、回転レバー11に対して回転自在になっている。2つのトグルレバー15は、回転レバー11から遠ざかる方の末端部が、追加回転コネクタ16を介して、何れも連結部材19に接続されており、連結部材19を介してトグルレバー15は何れも、U字形材部7の後ろ側に設けられたプッシュロッドに連結されている。このプッシュロッド機構は、最先端の技術から知られているロック装置の場合と同様に、スイッチキャビネット内部を向く補助ドア側に設けられてはいるが、この補助ドアロック12、ひいてはその回転レバー11は補助ドア2の前側からアクセス可能になっており、補助ドアが操作しやすくなっている。
【0039】
図2および図3を参照すると、図1に図示のロック装置の詳細がさらに明確になる。特に、トグルレバー15は、補助ドアロック12の開放位置で補助ドア2の前面から突出しているが、トグルレバー15のトグルレバーロッド18に形成された挟み防止カバー17を有している。図2に図示の通り、挟み防止カバー17は、U字形材部7の外側自由形材面10、補助ドア2の前側から突出するトグルレバーロッド18、および回転レバー11の間の領域を覆うことによって、回転レバー11が回旋するときに指が巻き込まれないようになっており、これによりはさみ状部材14の上記部品が互いにずれないようになっている。
【0040】
U字形材部7の追加形材面22の、スイッチキャビネットの内部を向く外側面3に、追加挟み防止カバー17が取り付けられているが、これは外側面3を越えて延在しており、つまりスイッチキャビネット内部の方向に取り付けられた状態で延在している。この追加挟み防止カバー17は、U字形材部7の追加形材面22にネジ留めするなどして、U字形材部7に取り付けることができる。
【0041】
図2はさらに、プッシュロッド13がU字形材部7の追加形材面22に溶接ボルト9を用いて固定され、プッシュロッド13が鍵穴を介してボルト9に設置される領域において、プッシュロッド13に楕円穴が設けられ、これに沿ってそれぞれのプッシュロッド13がそれぞれのボルト9を跨いで移動できるようになっていることを、示している。図3にさらなる詳細が示されている。
【0042】
2つのトグルレバー15は何れも、L字形状連結部材19を介してプッシュロッドに接続されている。トグルレバー15はU字形材部7の外側自由形材面10と平行に延在する平面内で枢動自在であるが、はさみ状部材14を利用して実現される並進直線運動は、L字形状連結部材19を介し、補助ドア2の後側において、U字形材部7の外側形材面22の外側面3に沿って延在する平面内で変位する。このようにして、プッシュロッド機構が、補助ドア2の後ろに覆われて配置されたときに、回転レバー11そのものを補助ドア2の前側に配置させることで、ユーザーが簡単にアクセスできるようにすることができる。図1〜3の組み合わせはまた、図示の実施形態が、簡単な技術手段を用いて実現されることを示している。例えば、L字形状連結部材はまた、簡単な縁付きシート金属部材として形成することができる。
【0043】
図4は、フレーム110のベースフレームの領域におけるスイッチキャビネット100に係る実施形態を示している。ベースフレームは前側水平支柱120を有しており、これによりベース側におけるフレーム110のドア側の開放が制限される。ロックドア1と補助ドア3は例えば、特許文献4から知られているように、フレーム110の対向垂直形材(図示せず)にヒンジ留めさせることができる。
【0044】
フレーム110の水平支柱120は、垂直形材の対向する各端部を互いに接続し、また封止中央部材200を有し、これはフレーム110の外側に開放している形材受け部210を介して水平支柱120に取り付けられている。封止部材220が形材受け部210の中に受け入れられており、補助ドア3のU字形材部7を、その底部縦端部で形材受け部210に対して封止する。
【0045】
好適なベースフレームは、例えば特許文献5より公知である。図4に図示の実施形態に係る水平支柱120は、その外周部にZ端部121が設けられ、これを介して封止中央部材200が水平支柱120に取り付けられるようにして形成される。加えて、Z端部121の上部水平形材面122には、規則的に間隔をあけた固定用受け部123に係るシステム貫通孔が設けられている。封止中央部材200には通路部230が設けられ、通路部230はロック12のプッシュロッド13の自由端用の固定用受け部123の1つに位置合わせされており、これによりプッシュロッド13の自由端がロック位置で通路部230と位置合わせされた固定用受け部123を通って、水平支柱120の中まで延在することで、補助ドアをフレームに対してロックする。
【0046】
図5に認められる通り、通路部230にはかけあがり傾斜部270が設けられており、プッシュロッド13が解放位置からロック位置に移動するときに、プッシュロッドの自由端がここに接触する。したがって、U字形材部7は、封止部材220の予負荷の下で形材受け部210の中に押し込まれ、封止部材220が圧縮されることにより、補助ドア3のU字形材部7の、フレームに対する有効的な封止が実現される。
【0047】
特に、封止中央部材200はプラスチック成形品として形成することができ、封止部材220は、形材受け部210をその内周に沿って内張りすることができる。封止部材220には互いに平行に間隔を置いた幾つかの封止リップ240が設けられ、内周側から水平に突出している。
【0048】
図4図5の組み合わせは、封止部材220は形材保持部210から突出する末端部に、封止ウェブ260が互いに対向して設けられ、これを用いて封止中央部材200が、図4に図示の補助ドア2の閉鎖位置で、補助ドア2の内側に取り付けられる封止部24に対して封止されることも示している。
【0049】
同様にして、追加封止中央部材を、フレームの上部水平支柱に配置させ、U字形材部7を上端部でフレームに対して封止させることができる。ドアの内側に取り付けられた封止部24と封止中央部材を利用することで、スイッチキャビネットフレームに対して、スイッチキャビネットドア側の周囲方向に密閉された封止すること達成することができる。
【0050】
図6はロック位置にあるロック装置の実施形態の1つを示しており、はさみ状部材の全部材、特に2つのトグルレバーs15と回転レバー11そのものが、U字形材部7の外側自由形材面10と一直線に配置されていることでスペースが省かれ、ロック装置のロックドアを閉めるときに、補助ドアロック12がロックドアと衝突しない一方で、はさみ状部材14の各部材がスイッチキャビネット筐体の取付けスペースに突出せず、またそこにあるスイッチキャビネット部品にぶつからないようになっている。プッシュロッド機構を越えてスイッチキャビネット筐体の内部まで突出するロック装置の唯一の部材は挟み防止カバー17のみである。一実施形態において、これらはトグルレバーロッド18またはU字形材部7にそれぞれ取り外し可能に接続可能であって、挟み防止カバー17とスイッチキャビネット内部が衝突する虞があるような用途では、挟み防止機能を犠牲にして挟み防止カバー17の使用を省略することができる。
【0051】
中空ドアフレーム23は何れも、補助ドア2とロックドア1の内側に配置されており、ロックドア側の中空ドアフレーム23は、図6に図示のロックドア1と補助ドア2が閉じられている位置で、U字形材部7の外側自由形材面10と中空ドアフレーム23との間に十分な空間が創出されることにより、補助ドアロック12のロック位置で、中空ドアフレーム23と外側自由形材面10の間に補助ドアロック12が受け入れられるようにして、配置されている。
【0052】
図7を参照して、U字形材部7の追加形材面22の外側面3へのプッシュロッド機構の取付けが図示されている。溶接ボルト9が追加形材面22に外側面3を介して固定されており、ここにプッシュロッドがさらに鍵穴状の楕円穴を介して取付けられている。プッシュロッド13がボルト9から緩まないように、ボルトに設置された固定取付け具25を用いてプッシュロッドが固定されるが、これは図7の下部の詳細図に示されている通り、楕円状鍵穴26の中に篏合することにより、止め具としての機能を併せて有しており、鍵穴26の中に篏合している固定取付け具25の一部が止め具を形成し、この止め具によりボルト9が鍵穴26の幅広端に揃って配置されることが防止され、プッシュロッド13が緩まないようになっている。
【0053】
上記の明細書、図面、および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、本発明を個別にまたは任意の組み合わせで実現するために不可欠であり得る。
【符号の説明】
【0054】
1 ロックドア
2 補助ドア
3 外側面
4 回転コネクタ
5 外縁部
6 扉
7 U字形材部
8 受け部
9 ボルト
10 形材面
11 回転レバー
12 ロック
13 プッシュロッド
14 はさみ状部材
15 トグルレバー
16 回転コネクタ
17 挟み防止カバー
18 トグルレバーロッド
19 連結部材
20 第1取付け面
21 第2取付け面
22 追加形材面
23 中空ドアフレーム
24 封止部
25 連結部材
26 鍵穴
100 スイッチキャビネット
110 フレーム
120 水平支柱
121 Z端部
122 水平形材面
123 固定用受け部
200 封止中央部材
210 形材受け部
220 封止部材
230 通路部
240 封止リップ
250 取付穴
260 封止ウェブ
270 かけあがり傾斜部
x 回転軸
y 追加回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7