(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態の冷凍ウニの製造方法を示す図である。本実施の形態の冷凍ウニは、長期保存が可能であり、解凍後も、身溶けが無く、食感、味が良好な、生ウニ(生ウニ風のウニとも言う)となる。
【0021】
1)むきウニ
まず、
図1の1)に示すように、ウニを準備し、殻1から内容物(生ウニ10)を取り出してむき身にする(むきウニ工程)。ウニの可食部は、ウニの生殖巣(精巣および卵巣)である。ウニの種類に制限はないが、キタムラサキウニ、エゾバフンウニ、アカウニなどを用いることができる。特に、むき身が柔らかいウニを用いてブランチングにより製造した冷凍ウニは、身溶けし易いため、本実施の形態の冷凍ウニの製造方法を用いて好適である。
【0022】
2)通電前処理
次いで、
図1の2)に示すように、生ウニ10を、食塩水11に浸漬する。即ち、容器9に生ウニ10と食塩水11とを入れる。食塩濃度は、例えば、0.5重量%〜4.0重量%程度である。特に、海水に近い塩分濃度とすることで、生ウニの風味を保つことができる。塩水としては、食塩水の他、ろ過した海水を用いてもよい。
【0023】
3)通電処理
次いで、
図1の3)に示すように、生ウニ10を浸漬した食塩水11に通電処理(通電加熱処理)を施す。通電処理装置としては、例えば、
図2に示す装置を使用する。
図2に示す装置は、容器12の側壁に沿って電極EL1、EL2が配置されている。この電極EL1、EL2間には、電源13により電圧が印加される。なお、容器12を覆うように図示しない安全カバーが設けられている。
【0024】
例えば、生ウニ10を浸漬した食塩水11を水槽(容器12)に入れ、この水槽(容器12)中の電極EL1、EL2間に電圧を印加し、通電する。例えば、電極間の距離は、25cm程度であり、印加電圧は、50V以上200V以下であり、印加時間は、10秒以上180秒以下である。この通電により、生ウニ10を浸漬した食塩水11の到達温度(通電加熱温度)は、例えば、50℃以上90℃未満となる。この通電加熱温度は、55℃以上75℃以下がより好ましい。
【0025】
このように、通電処理によれば、加熱温度差が、生ウニの表面と中心部とで小さく、生ウニ全体を短時間で、均一に処理することができる。また、印加電圧や印加時間(通電時間)により、加熱温度を容易に調整することができる。このため、例えば、タンパク質が完全に凝固する90℃未満の温度範囲での加熱温度の微調整が可能となる。よって、生ウニの風味を維持した状態で通電処理が可能となる。また、通電処理によれば、印加時間が短く、短時間で効率よく処理を行うことができる。
【0026】
また、ここでは、攪拌機15により、生ウニ10を浸漬した食塩水11を撹拌しながら通電処理を行う。撹拌速度は、生ウニ10が1分間当たり5周回する程度の速度とする。撹拌速度が小さすぎると、生ウニ10が容器12の底部に沈み重みで生ウニが潰れる。また、撹拌速度が大きすぎると生ウニ10同士が衝突し潰れる。このため、撹拌速度は、生ウニ10が1分間当たり3〜20周回する程度の速度とすることが好ましい。
【0027】
また、生ウニ10の量としては、生ウニ10と食塩水11との合計重量に対し、10%〜80%の重量とすることが好ましい。生ウニ10の割合が小さすぎると生産性が低下する。また、生ウニ10の割合が大きすぎると通電処理が不均一となり、また、生ウニ10同士の衝突により形が崩れる。
【0028】
また、容器12の容量としては5L〜30L程度であり、生ウニ10の一回の通電処理量は、例えば、500g〜24kg程度である。なお、本明細書においてA〜Bは、A以上B以下を示す。
【0029】
4)凍結前処理
次いで、通電処理を施した生ウニを冷却し、水切りする。例えば、
図1の4)に示すように、水槽(容器12)中の生ウニ10を、0℃程度に冷却した食塩水11に浸漬することにより冷却する。次いで、冷却した生ウニ10を、さらし(漂白布)20上に載せて脱水する。この水切り工程を冷蔵庫内で行ってもよい。
【0030】
次いで、水切りした生ウニ10をトレイ(販売用容器)33に並べ、トレイ33の上部を透明フィルム34などを用いてシール(封止)する。これにより、容器詰めされた生ウニ(パックウニ)30が完成する。
【0031】
5)凍結処理
次いで、
図1の5)に示すように、容器詰めされた生ウニ(パックウニ)30を、急速凍結(急速冷凍)し、冷凍ウニとする。具体的には、容器詰めされた生ウニ30の温度が−1℃から−5℃に低下する温度帯である、最大氷結晶生成帯を通過する時間が20分以内となる条件で、凍結(冷凍)する。例えば、−30℃のアルコールブライン凍結を行う。エアブラスト凍結を行う場合は、−40℃以下の超低温帯で行う。最終温度としては、概ね、パックウニ30が−25℃以下となるまで凍結する。
【0032】
ブライン凍結とは、液体冷媒に、容器詰めされた食品を浸漬して凍結を行う凍結方法である。液体冷媒としてアルコールを用いるものをアルコールブライン凍結と言う。−30℃のアルコールブライン凍結とは、液体冷媒としてアルコールを用い、−30℃に冷やしたアルコールに、容器詰めされた生ウニ30を浸漬して凍結を行うことを意味する(
図1の5)参照)。なお、液体冷媒としてアルコール以外の冷媒を用いてもよい。但し、アルコールは食品に用いて安全な液体であり、液体冷媒として用いて好適である。
【0033】
エアブラスト凍結とは、冷却した空気(気体冷媒)を食品に接触させることで凍結を行う凍結方法である。−75℃の超低温帯でのエアブラスト凍結とは、−75℃の空気を食品に接触させることで凍結を行うことを意味する。エアブラスト凍結は、ブライン凍結よりも熱伝導率が低いため、冷媒の温度をより低くすることが必要である。
【0034】
図3は、アルコールブライン凍結時およびエアブラスト凍結時の冷却曲線を示す図である。
図3において、横軸は凍結時間(h:m:s)、縦軸は容器の中心温度(℃)である。凍結装置(アルコールブライン凍結装置、エアブラスト凍結装置)内に、製品に見立てた生ウニを入れたシャーレを置き、温度センサーを貫通させてシャーレ内部の生ウニの温度変化を測定する。グラフaは、−30℃のアルコールブライン凍結時の冷却曲線であり、グラフbは、−30℃のエアブラスト凍結時の冷却曲線であり、グラフcは、−75℃の超低温帯でのエアブラスト凍結時の冷却曲線である。グラフaおよびグラフcにおいては、中心温度が−1℃から−5℃に低下する温度帯である、最大氷結晶生成帯を通過する時間が20分以内である。また、グラフaおよびグラフcにおいては、中心温度が−1℃から−5℃に低下する温度帯である、最大氷結晶生成帯を通過する時間が15分以内である。これに対し、グラフbにおいては、中心温度が−1℃から−5℃に低下する温度帯である、最大氷結晶生成帯を通過する時間が20分を超え、30分に近い。
【0035】
このような、最大氷結晶生成帯を通過する時間が20分以内である凍結を急速凍結と言い、最大氷結晶生成帯を通過する時間が20分を超える凍結を緩慢凍結と言う。
【0036】
6)保管
次いで、
図1の6)に示すように、冷凍ウニ(急速凍結後の容器詰めされた生ウニ30)を、−18℃〜−80℃の冷凍庫内で1カ月〜3カ月保存(冷凍保管、貯蔵)する。
【0037】
7)解凍
次いで、
図1の7)に示すように、冷凍保管された冷凍ウニ(急速凍結後に冷凍保管された容器詰めされた生ウニ(パックウニ)30)を、10℃の冷蔵庫内で解凍する。解凍方法としては、パックウニ30に流水を接触させる方法、または、氷水中にパックウニ30を浸漬する方法などを用いてもよい。
【0038】
このように、本実施の形態によれば、生ウニに、通電処理および急速凍結処理を施し、冷凍ウニとすることにより、解凍後に、身溶けが無く、食感、味が良好な、冷凍ウニを得ることができる。
【0039】
[実施例]
次いで、実施例について説明する。
1)むきウニ
試料として、岩手県の沿岸で採取したキタムラサキウニを用いた。キタムラサキウニは、殻から内容物(生ウニ)を取り出してむき身にした。
2)通電前処理
生ウニを、15℃、1〜4%の食塩水に、生ウニ:食塩水が7:4の重量比となるように、浸漬した。
3)通電処理
生ウニを浸漬した食塩水を、100mm角のアクリル製の水槽に、800g入れ、さらに、水槽中の電極により、通電した。印加電圧は、80V、印加時間は、30秒〜120秒とした。通電処理によって、生ウニを浸漬した食塩水が昇温し、通電時間によって、生ウニを浸漬した食塩水の温度は、50℃〜90℃程度となった。通電処理には、フロンティアエンジニアリング社製の装置を使用した。
4)凍結前処理
通電処理を施した生ウニを、0℃、1〜4%の食塩水に3回潜らせ、冷却し、水切りした。水切りした生ウニをトレイに並べ、トレイの上部をシール(封止)することによりパックした。
5)凍結処理
パックされた生ウニを、急速凍結した。生ウニの温度が−1℃から−5℃に低下する温度帯である、最大氷結晶生成帯を通過する時間が20分以内となるように、凍結した。急速凍結として、−30℃のアルコールブライン凍結または−75℃の超低温帯でのエアブラスト凍結を行った。最終凍結温度は、−25℃〜−30℃とした。
6)保管
急速凍結した生ウニ(冷凍ウニ)を、−25℃〜−30℃で1カ月保管した。
7)解凍
1カ月後の冷凍ウニを、10℃の冷蔵庫内で解凍した。
8)評価
解凍後の生ウニについて、解凍後の身溶けの程度について評価した。また、食感、味について、官能試験を行った。
【0040】
身溶けの程度については、ドリップ量がかなり多く(20%以上)、目視において身溶けが確認されたものを××とし、ドリップ量が10%以上20%未満であり、身溶けが確認されたものを×とし、ほとんどドリップがなく(5%未満)、身溶けが確認されないもの(−)を○とした。
【0041】
また、食感については、ねっとり感、凝集(ボソボソ感)について判断し、ねっとり感の有るもの(+)を○、無いものを×とし、凝集(ボソボソ感)の有るものを×、少し有るものを△、無いもの(−)を○とした。また、味については、生臭さ、エグ味、苦味について判断した。これらが有るものを×、少し有るものを△、無いもの(−)を○とした。
9)比較例
比較例として、通電処理を行わなかったもの、また、急速凍結に代えて緩慢凍結したものについても、同様に、評価した。
【0042】
図4は、生ウニの処理フローおよび解凍後の生ウニの様子を示す図である。以下の実施例および比較例の評価結果を表1に示す。
【0043】
実施例1は、65℃〜70℃となる通電処理および−30℃のアルコールブライン凍結による急速凍結処理を施した冷凍ウニの評価である。貯蔵温度は、−25℃〜−30℃であり、貯蔵期間は1カ月である。解凍後の生ウニについて、評価した。
【0044】
実施例2は、50℃となる通電処理および−75℃の超低温帯でのエアブラスト凍結による急速凍結処理を施した冷凍ウニの評価である。貯蔵温度は、−25℃〜−30℃であり、貯蔵期間は1カ月である。解凍後の生ウニについて、評価した。
【0045】
実施例3は、55℃となる通電処理および−75℃の超低温帯でのエアブラスト凍結よる急速凍結処理を施した冷凍ウニの評価である。貯蔵温度は、−25℃〜−30℃であり、貯蔵期間は1カ月である。解凍後の生ウニについて、評価した。
【0046】
実施例4は、60℃となる通電処理および−75℃の超低温帯でのエアブラスト凍結による急速凍結処理を施した冷凍ウニの評価である。貯蔵温度は、−25℃〜−30℃であり、貯蔵期間は1カ月である。解凍後の生ウニについて、評価した。
【0047】
実施例5は、65℃となる通電処理および−75℃の超低温帯でのエアブラスト凍結による急速凍結処理を施した冷凍ウニの評価である。貯蔵温度は、−25℃〜−30℃であり、貯蔵期間は1カ月である。解凍後の生ウニについて、評価した。
【0048】
実施例6は、70℃となる通電処理および−75℃の超低温帯でのエアブラスト凍結による急速凍結処理を施した冷凍ウニの評価である。貯蔵温度は、−25℃〜−30℃であり、貯蔵期間は1カ月である。解凍後の生ウニについて、評価した。
【0049】
比較例1は、通電処理を行わず(未処理)、−30℃のエアブラスト凍結による緩慢凍結処理を施した冷凍ウニの評価である。貯蔵温度は、−25℃〜−30℃であり、貯蔵期間は1カ月である。解凍後の生ウニについて、評価した。
【0050】
比較例2は、通電処理を行わず(未処理)、−75℃の超低温帯でのエアブラスト凍結による急速凍結処理を施した冷凍ウニの評価である。貯蔵温度は、−25℃〜−30℃であり、貯蔵期間は1カ月である。解凍後の生ウニについて、評価した。
【0051】
比較例3は、65℃〜70℃となる通電処理および−30℃のエアブラスト凍結による緩慢凍結処理を施した冷凍ウニの評価である。貯蔵温度は、−25℃〜−30℃であり、貯蔵期間は1カ月である。解凍後の生ウニについて、評価した。
【0052】
比較例4は、90℃以上となる蒸成(あるいは蒸煮)処理および−75℃の超低温帯でのエアブラスト凍結による急速凍結処理を施した冷凍ウニの評価である。貯蔵温度は、−25℃〜−30℃であり、貯蔵期間は1カ月である。解凍後の生ウニについて、評価した。
【0054】
図4に示すように、ステップSt1のむきウニ工程を経て、ステップSt2の通電処理(通電加熱処理)を行わず、ステップSt3の容器詰め、ステップSt4aの緩慢凍結(−30℃のエアブラスト凍結)を経て、冷凍保管し、ステップSt5の解凍を行った生ウニ(写真a)は、上記比較例1に対応する。
【0055】
また、ステップSt1のむきウニ工程、ステップSt2の通電処理(通電加熱処理)、ステップSt3の容器詰め、ステップSt4aの緩慢凍結(−30℃のエアブラスト凍結)を経て、冷凍保管し、ステップSt5の解凍を行った生ウニ(写真b)は、上記比較例3に対応する。
【0056】
また、ステップSt1のむきウニ工程、ステップSt2の通電処理(通電加熱処理)、ステップSt3の容器詰め、ステップSt4bの急速凍結(−30℃のアルコールブライン凍結)を経て、冷凍保管し、ステップSt5の解凍を行った生ウニ(写真c)は、上記実施例1に対応する。
【0057】
また、
図4には示していないが、ステップSt1のむきウニ工程を経て、ステップSt2の通電処理(通電加熱処理)を行わず、ステップSt3の容器詰め、ステップSt4bの急速凍結(−30℃のアルコールブライン凍結)を経て、冷凍保管し、ステップSt5の解凍を行った生ウニは、上記比較例2に対応し、解凍後の状態は、上記比較例1(写真a)と同程度の身溶けが確認された。
【0058】
表1および
図4に示すように、通電処理、急速凍結処理の双方を施した冷凍ウニ(実施例1、3〜6)については、解凍後において、身溶けが無く、食感、味が良好であった。
【0059】
これに対し、通電処理を行うものの、緩慢凍結処理を施した冷凍ウニ(比較例3)については、解凍後において、身溶け(×)が生じた。
【0060】
また、通電処理を行わず、急速凍結処理を施した冷凍ウニ(比較例2)については、解凍後において、酷い身溶け(××)が生じ、また、味が不良であった。
【0061】
また、90℃以上となる水蒸気処理を施した冷凍ウニ(比較例4)は、いわゆる蒸しウニ状態となり、身溶けは生じないものの、生ウニの食感が損なわれていた。
【0062】
また、通電処理を行わず、緩慢凍結処理を施した冷凍ウニ(比較例1)については、解凍後において、酷い身溶け(××)が生じ、また、味が不良であった。
【0063】
(考察)
冷凍ウニの身溶けには、(1)微生物やウニが保持する酵素(プロテアーゼ)の作用による身溶けと、(2)最大氷結晶生成帯をゆっくり(例えば、30分程度かけて)通過することにより、氷結晶が細胞(20〜30ミクロン)より大きく、例えば、100〜250ミクロンとなり、細胞壁を破壊することによる身溶け(ドリップの流出)の2つの原因が考えられる。
【0064】
これに対し、本実施例においては、通電処理により酵素を失活させることでその働きを抑え身溶けを低減するとともに、急速凍結により、氷結晶が細胞壁を破壊することを防止することができる。
【0065】
また、通電処理により、細菌やその細菌の持つ酵素を失活させることで生臭さを低減することができる。具体的には、生臭さの要因である揮発性塩基窒素(例えば、トリメチルアミン)の生成を抑制することができる。
【0066】
また、通電処理により、脂質の酸化を促進する酵素の働きを失活させることで、エグ味や苦味を低減することができる。
【0067】
また、通電処理においては、加熱温度を低く(例えば、75℃以下)に制御することができ、生ウニの醍醐味であるねっとり感を残しつつ、凝集(ボソボソ感)を抑制することができる。
【0068】
このように、生ウニに、通電処理および急速凍結処理を施し、冷凍ウニとすることにより、解凍後に、身溶けが無く、食感、味が良好な、冷凍ウニを得ることができる。即ち、解凍後においても、凍結前の生ウニと同等の見た目であり、食感、味も、凍結前の生ウニと同等の冷凍ウニを得ることができる。
【0069】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1の応用例について説明する。
【0070】
(応用例1)
実施の形態1においては、
図1の3)に示すように、攪拌機15により、生ウニ10を浸漬した食塩水11を撹拌しながら通電処理を行ったが、振とう機により、生ウニ10を浸漬した食塩水11を揺り動かしながら通電処理を行ってもよい。
【0071】
図5は、本実施の形態の応用例1の通電処理工程を示す図である。
図5に示すように、振とう機40のステージ41に、生ウニ10を浸漬した食塩水11が入った水槽(容器12)を搭載し、揺り動かしながら通電処理を行う。
【0072】
(応用例2)
上記応用例1においては、振とう機を用いて水槽(容器12)自体を揺り動かしたが、生ウニをネットに入れた状態で、ネットを上下することにより、生ウニを揺り動かしてもよい。
【0073】
図6は、本実施の形態の応用例2の通電処理工程を示す図である。
図6に示すように、水槽(容器12)中に生ウニ10を入れたネット42を浸漬し、ネット42を上下することにより、生ウニ10を揺り動かしつつ、通電処理を行う。なお、ネット42の昇降手段は、例えば、容器12を覆う安全カバー(図示せず)の内部に設けられている。
【0074】
生ウニ10を入れたネットは、上下の他、左右に動かしてもよい。また、ネットを水平方向に回転させてもよい。
【0075】
(応用例3)
実施の形態1の攪拌機(
図1の3)参照)の構成としては、種々の構成を採用し得る。
図7は、本実施の形態の応用例3の攪拌機を示す図である。
図7に示すように、攪拌機15の羽(W1、W2)は、2枚でもよく、また、4枚(W1〜W4)でもよい。もちろん、3枚でもよい。また、攪拌機15を水槽(容器12)内に複数設けてもよい。
【0076】
(応用例4)
上記応用例2においては、ネット42を上下することにより、生ウニを揺り動かしたが、生ウニが通過し得る孔Hを複数有する円盤51を制御部50により、上下することにより、生ウニを揺り動かしてもよい。
図8は、本実施の形態の応用例4の振とう機を示す図である。
【0077】
(応用例5)
実施の形態1においては、生ウニに、通電処理および急速凍結処理を施すことによる身溶け等について説明したが、通電処理により殺菌効果を奏する。例えば、60℃、60秒の通電加熱を行ったウニ(ペースト状)を、10℃で3日間保存した後、低温細菌培養を行い、菌数を調べた。上記通電加熱を行ったウニの保有菌数は、1g当たり200個(cfu/g)以下であった。これに対し、通電加熱を行っていないウニ(ペースト状)について、同様に菌数を調べたところ、1g当たり1.7×10
4個であった。
【0078】
(応用例6)
実施の形態1においては、通電処理時の温度として、50℃以上90℃未満の温度を例示し、温度の下限を50℃としたが、通電処理時の温度の下限を、35℃としてもよい。
【0079】
図9は、本実施の形態の応用例6のウニ(ペースト状)の動的粘弾性データを示す図である。横軸は、温度T(℃)であり、左側の縦軸は、弾性を示す貯蔵弾性率G’(Pa)および粘性を示す損失弾性率G”(Pa)であり、右側の縦軸は、tan(δ)である。
【0080】
即ち、グラフa(△)は、貯蔵弾性率の温度変化を示し、グラフb(□)は、損失弾性率の温度変化を示す。また、グラフc(○)は、貯蔵弾性率と損失弾性率との比を示す。
【0081】
グラフcに示すように、tan(δ)は、35℃近傍において極大となっている。これにより、35℃近傍において、ウニの変性が生じていると考えられる。この結果から、通電処理時の温度として、35℃以上より好ましくは40℃以上の温度においても、身溶けの抑制や、食感、味の向上の効果を得られる可能性がある。
【0082】
(応用例7)
実施の形態1においては、保存期間を1カ月としたが、例えば、上記実施例において保存期間を3カ月とした場合にも、身溶けが無く、食感、味が良好な、冷凍ウニを得ることができることが確認されている。また、実施の形態1の通電処理および急速凍結処理を施した冷凍ウニについては、保存期間を12カ月程度とすることも可能である。例えば、12カ月程度の保存が可能となることにより、ウニの収穫量が少ない時期においても、安定して高品質の生ウニ(冷凍ウニ)を供給することができる。また、美味しい時期のウニ(例えば、6月前後の収穫物)を冷凍ウニとすることで、高品質の生ウニ(冷凍ウニ)を、長期間に渡り市場に供給することができる。
【0083】
(応用例8)
例えば、実施の形態1の通電処理において、通電処理装置(例えば、
図2)を2台準備し、交互に通電処理を行ってもよい。これにより、連続的な処理が可能となる。
【0084】
(応用例9)
実施の形態1において、1)のむきウニ工程から5)の凍結工程までの時間は、4時間以内とすることが好ましい。また、4)の凍結前処理工程は、10℃以下の雰囲気で行うことが好ましい。なお、冷却ステージの上で作業してもよい。
【0085】
(応用例10)
実施の形態1においては、電極間の距離が25cmの場合を例示したが、この距離は、通電処理の対象物の処理量により適宜変更可能である。例えば、電極間の距離を30cm〜40cmとしてもよい。この場合、実施の形態1の場合より、印加電圧を高くしてもよい。また、印加時間を長くしてもよい。但し、加熱むらを少なくするためには、印加時間を短く、10秒以上180秒以下とすることが好ましく、処理量を多くする場合には、印加電圧を高くすることで通電処理条件を調整する方が好ましい。
【0086】
(応用例11)
実施の形態1においては、通電処理(
図1の3))において、生ウニ10を浸漬した食塩水11を水槽(容器12)に入れ、この水槽(容器12)中の電極EL1、EL2間に電圧を印加し、通電した。この場合の食塩水11は、室温(25℃程度)であるが、予め、保温した食塩水11に生ウニ10を投入し、通電処理を施してもよい。保温温度は、55℃以上75℃以下である。例えば、生ウニ10を60℃の食塩水11に投入したものを水槽(容器12)に入れ、通電処理を行う。
【0087】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態および実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。