(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
<
参考例>
参考例に係る救命具10について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示されるように、本
参考例に係る救命具10は、救命具本体部12と、命綱部材14とを含んで構成されている。
【0021】
救命具本体部12は、ナイロン及びポリエチレン等を主成分とする防水性の材質で略袋状に形成されており、内部に使用者(人)が入り込むことができるように構成されている。すなわち、本
参考例の救命具本体部12は、使用者の全身を収容可能な大きさに形成されている。なお、救命具本体部12は、防水性を備えていれば他の材質で形成してもよく、例えば、ゴアテックス(登録商標)などで形成してもよい。
【0022】
救命具本体部12は、使用者の腕を覆う腕被覆部16、使用者の脚を覆う脚被覆部18、及び使用者の頭部を覆う頭部被覆部20を備えている。腕被覆部16は、左右に一対設けられており、それぞれ先端部に手の形状に対応した手被覆部17が設けられている。このため、使用者は、腕被覆部16に腕を通した状態であっても、手被覆部17に手を入れることで、外部の物を掴んだりすることができるように構成されている。
【0023】
脚被覆部18は、左右に一対設けられており、使用者が脚を通すことができるように構成されている。また、頭部被覆部20は、使用者の頭部に対応する形状に形成されており、使用者が頭部を入れることができるように構成されている。ここで、頭部被覆部20の前部又は一部は、視界を確保するために透明に形成されている。透明な部分は、素材自体を透明にしてもよい。また、曇り止めの表面処理を施したプラスチックなどの材質で形成してもよい。
【0024】
ここで、救命具本体部12は、使用者の使用中に周囲に対して不安感を払拭するためのデザインが施されている。例えば、本
参考例の救命具本体部12は、かぐや姫などの和装のキャラクターをイメージしたデザインが施されており、頭部被覆部20には顔のイラストが描画されている。
【0025】
また、救命具本体部12は、腕被覆部16と頭部被覆部20との間に、空気を保持可能な第1空気溜まり部22が設けられている。さらに、腕被覆部16と脚被覆部18との間には、空気を保持可能な第2空気溜まり部24が設けられている。第1空気溜まり部22及び第2空気溜まり部24は、空気が入り込むことで膨張し、空気が抜けることで収縮する。
【0026】
救命具本体部12には、使用者が出入り可能な出入口部26が設けられている。出入口部26は、救命具本体部12における股の位置に開閉可能に形成されており、開口部26Aと、開口部26Aを閉塞するためのファスナー26Bとを含んで構成されている。
【0027】
開口部26Aは、左右の脚被覆部18を広げた際に、使用者が出入り可能な大きさに形成されている。また、ファスナー26Bは、開口部26Aの縁に沿って形成されており、線ファスナー又は面ファスナーによって構成されている。好ましくは、ファスナー26Bは、防水ファスナー又は止水ファスナーによって構成されている。
【0028】
救命具本体部12には、命綱部材14が設けられている。本
参考例の命綱部材14は一例として、略紐状に形成されており、命綱部材14の一端部は、救命具本体部12における一方の肩口に固定されている。また、命綱部材14の他端部は、救命具本体部12における他方の肩口に固定されている。そして、命綱部材14の一端部と他端部との間の部分は、頭部被覆部20の上方に略アーチ状に形成されており、フックなどが引掛けられる形状に形成されている。
【0029】
また、
図1に示される救命具10では、救命具本体部12の肩口から脚被覆部18の先端まで上下に高剛性部28が設けられている。高剛性部28は、左右一対設けられて救命具本体部12よりも高剛性の材質で形成されており、命綱部材14に張力が作用した際に、命綱部材14と救命具本体部12との固定部に作用する荷重の一部を負担する構成となっている。
【0030】
(使用例)
次に、本
参考例の救命具10の使用例について説明する。先ず、使用者は、救命具本体部12に形成された出入口部26の開口部26Aを開いた状態で歩いたり走ったりすることで開口部26Aから救命具本体部12の内部に空気を送り込む。強風時には、開口部26Aを風上へ向けることによって救命具本体部12へ空気を送り込んでもよい。
【0031】
救命具本体部12へ空気を送り込むことで、救命具本体部12が膨張する。そして、使用者は、開口部26Aから救命具本体部12の内部に入り込む。このとき、第2空気溜まり部24によって手足を移動させるための空間が形成されているため、容易に腕被覆部16及び脚被覆部18に腕及び脚を通すことができる。
【0032】
使用者が救命具本体部12の内部に入り込んだ後、ファスナー26Bを閉めて密閉させる。このとき、使用者が手を手被覆部17に入れておくことで、ファスナー26Bを閉める動作を容易に行うことができる。
【0033】
(作用)
次に、本
参考例の作用を説明する。
【0034】
本
参考例に係る救命具10では、使用者は、腕被覆部16及び脚被覆部18によって救命具本体部12によって全身が覆われた状態であっても、歩行及び腕を動かすことが可能となる。
【0035】
また、非使用時には、救命具本体部12を収縮させた状態で携帯することができるため、外出先で津波などの水害が発生した場合であっても、救命具10を使用することができる。例えば、
図11には、救命具10をショッピングバッグとして使用している状態が示されている。
図11に示す状態では、救命具10が所定の手順で折り畳まれており、命綱部材14が使用者Pの肩に掛けられている。また、出入口部26が上方へ向けられた状態となっており、この出入口部26から救命具10の内部に荷物を入れることで、バッグとして機能する。
【0036】
また、本
参考例では、使用者が出入口部26から救命具本体部12の内部に入って出入口部26を閉塞すれば、水の浸入を抑制することができる。また、万が一、外力などによって出入口部26に隙間が生じた場合であっても、股の部分から水が浸入するため、例えば、救助されるまでの一定期間の間、使用者の呼吸が妨げられずに済む。このようにして、水害時でも使用者が呼吸可能となる。
【0037】
特に、本
参考例では、第1空気溜まり部22及び第2空気溜まり部24に空気が保持可能なとなっている。これにより、救命具本体部12を密閉した状態であっても、一定の期間は不自由なく呼吸を行うことができる。例えば、酸素欠乏症を回避するためには酸素濃度が18%以上である環境が好ましく、救命具本体部12の内部の容積が0.33m
3程度確保されていれば、密閉後20分程度は酸素濃度が18%を下回らない。
【0038】
また、本
参考例の救命具10は命綱部材14を備えている。これにより、命綱部材14を建物の一部、及び地面に立設された柱などに掛けることで、水害時に水に流されるのを抑制することができる。
【0039】
さらに、本
参考例の救命具10は、目立ちやすいキャラクターがデザインされていることから、救助者が見つけ易い。例えば、上空からヘリコプターなどで捜索する際でも、比較的見つかり易く、フックなどを命綱部材14に引掛けることで、救助することができる。
【0040】
さらにまた、本
参考例の救命具10は、股の位置に出入口部26が設けられているため、例えば、水害が収まった後などの状況で排泄を行う際に、出入口部26の開口部26Aを開くだけで排泄することができ、使用者の下半身が周囲に見られずに済む。
【0041】
なお、
図2に示される変形例の命綱部材32を採用してもよい。
【0042】
(変形例)
変形例に係る救命具30は、
参考例と外観が異なるが、命綱部材32を除いて
参考例と同様の構成とされている。
【0043】
命綱部材32は、腰から背部を通って股をくぐるように配設されており、出入口部26の両端に接続されている。具体的には、命綱部材32は、連続する第1綱部32A、第2綱部32B及び第3綱部32Cを含んで構成されている。第1綱部32Aは、救命具本体部12の首の後ろを通って両方の肩口から前方へ延出され、折り返されて腰部へ延びている。第2綱部32Bは、第1綱部32Aと連続して股の間から前方へ延出されて出入口部26の端部を貫通して上方へ延びている。第3綱部32Cは、第2綱部32Bから連続して柱100に掛けられており、左右の第1綱部32Aに掛け渡されている。
【0044】
柱100は、建物の一部であってもよく、地面に立設されたポールなどでもよい。例えば、ガードレールの一部でもよい。そして、命綱部材32は、上記のように構成されているため、柱100に掛けられた状態で第3綱部32Cが引っ張られると、第2綱部32Bを介して出入口部26が折り曲げられた状態で上方へ持ち上げられる。すなわち、本変形例の命綱部材32は、張力が作用した際に前記出入口部に閉塞する方向の力を加えるように構成されている。
【0045】
変形例の救命具30によれば、命綱部材32を柱100などに掛けることで、水害時に水に流されるのを抑制することができる。また、命綱部材32を柱100に掛けた状態で水流から力を受けることで、命綱部材32に張力が作用する。これにより、出入口部26に対して閉塞する方向の力が加えられるので、出入口部26から水が浸入するのを効果的に抑制することができる。
【0046】
<
参考例>
次に、
参考例に係る救命具34について、
図3、4を参照して説明する。なお、
図1及び図2の参考例と同様の構成については、同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0047】
図3に示されるように、本
参考例の救命具34は、
図1及び図2の参考例とデザインされたキャラクターが異なるが、同様の機能を備えている。すなわち、救命具34は、救命具本体部12と命綱部材36とを含んで構成されており、救命具本体部12には出入口部38が設けられている。
【0048】
ここで、本
参考例の命綱部材36は、出入口部38と接続されており、命綱部材36に張力が作用した際に出入口部38に閉塞する方向の力を加えるように構成されている。具体的には、出入口部38は、救命具本体部12の股の位置に設けられており、使用者が出入り可能な開口部38Aと、開口部38Aを閉塞するための開閉部38Bとを含んで構成されている。また、開閉部38Bは、開口部38Aよりも上方に位置している。
【0049】
一方、命綱部材36は、第1綱部36A及び第2綱部36Bを含んで構成されている。第1綱部36Aは、左右両方の肩口から腰部へ延在されており、首の後側と腰部の後側でそれぞれ繋がっている。
【0050】
第2綱部36Bは、上部が第1綱部36Aに掛け渡されており、下部が開閉部38Bに通されている。この際、開閉部38Bでは、第2綱部36Bを左右に引っ張ることで開閉部38Bが閉塞するように配策されている。
【0051】
(作用)
次に、本
参考例の作用を説明する。
【0052】
本
参考例では、使用者が救命具本体部12に入りこんだ後、命綱部材36の第2綱部を左右に引っ張ることで開閉部38Bが閉塞される。これにより、救命具本体部12が密閉されて水の浸入を抑制することができる。
【0053】
また、本
参考例では、開閉部38Bが開口部38Aよりも上方に位置している。このため、開口部38Aを閉塞する構成と比較して、より効果的に水の浸入を抑制することができる。
【0054】
さらに、本
参考例では、使用者が
図3の状態からさらに第2綱部36Bを左右に引っ張ると、
図4に示されるように出入口部38が上方へ持ち上げられる。これにより、出入口部38を水から遠ざけることができる。なお、
図4では、使用者が第2綱部36Bを交差して引っ張っているが、交差させずに
図3の状態からさらに左右に引っ張っても同様に出入口部38を上方へ持ち上げることができる。その他の作用については
上記参考例と同様である。
【0055】
<第
1実施形態>
次に、第
1実施形態に係る救命具40について、
図5〜8を参照して説明する。なお、
上記参考例と同様の構成については、同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
図5に示されるように、本実施形態の救命具40は、使用状態で出入口部42が救命具本体部12の内部に位置している点で
上記参考例と異なっている。
【0056】
本実施形態の救命具40は、救命具本体部12と命綱部材44とを含んで構成されており、救命具本体部12の内部には出入口部42が設けられている。出入口部42は、救命具本体部12の股に位置に開閉可能に形成されており、救命具本体部12の内部に開口された開口部42Aが設けられている。
【0057】
また、出入口部42には、開口部42Aを開閉可能な開閉部42Bが設けられている。開閉部42Bには、後述する開閉ロープ46が通されている。
【0058】
図6に示されるように、命綱部材44は、使用者Pの肩口から斜めに延在されており、首の後側と腰部の後側でそれぞれ繋がっている。また、命綱部材44は、腰部で腰ベルト48と繋がっている。腰ベルト48は、腰部の周囲に設けられており、さらに腰部から前方へ延出されたベルト部48Aを備えている。ベルト部48Aの先端にはフック48Bが取り付けられており、このフック48Bによってガードレールなどに連結することができるように構成されている。なお、
図5では腰ベルト48の図示を省略している。
【0059】
開閉ロープ46は、出入口部42の開閉部42Bに通されて開口部42Aを開閉させるための紐状の部材であり、腕が通される挿通部46Aと、挿通部46Aから下方へ延在されて開閉部42Bに通された張力付与部46Bとを含んで構成されている。このため、使用者Pが両腕をそれぞれの挿通部46Aに挿通した後、両腕を上げることで、張力付与部46Bが左右に引っ張られて開閉部42Bが縛られることで開口部42Aが閉塞される。
【0060】
ここで、
図7に示されるように、開閉ロープ46の張力付与部46Bにはそれぞれ固定フック49が設けられている。固定フック49は、出入口部42を縛って上方へ持ち上げた状態で腰ベルト48の高さに位置するように設けられている。このため、使用者Pが両腕を上げて開閉部42Bを縛った状態で固定フック49を腰ベルト48に引掛けることで、開閉ロープ46が緩むのを抑制できるように構成されている。なお、固定フック49を腰ベルト48に引掛ける際には、使用者Pが救命具本体部12の内部で腕を腕被覆部16から抜いて行う。
【0061】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0062】
本実施形態の救命具40によれば、
図6に示されるように、出入口部42が救命具本体部12の内部に位置しているため、この出入口部42が直接水流に接触せずに済み、水の浸入を抑制することができる。また、使用者Pが救命具本体部12の内部から出入口部42を視認して出入口部42の状態を把握することができる。例えば、開閉部42Bが緩んでいる場合には、開閉ロープ46を引っ張るなどの対応をとることができる。
【0063】
また、本実施形態では、開閉ロープ46が設けられているため、使用者Pが両腕を上げるだけで出入口部42の開口部42Aを閉塞させることができ、複雑な操作が不要となる。このとき、
図7に示されるように、固定フック49を腰ベルト48に引掛けることで、開閉部42Bを閉塞した状態を容易に維持することができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、
図8に示されるように、命綱部材44を柱100に掛けた状態で水流から図中矢印の方向に力を受けた場合に左右の脚被覆部18の間のウォーターガードとして機能する部分が変形した場合であっても、出入口部42に水流から圧力が作用しない構造となっている。なお、救命具本体部12の初期状態を図中の二点鎖線で示している。
【0065】
さらにまた、出入口部42が股の位置に設けられているため、
図8のように水流によって股の方向が水流の下流側に向けられる。これにより、出入口部42の近傍は負圧となり、水が浸入しにくくなる。その他の作用については
上記参考例と同様である。
【0066】
<第
2実施形態>
次に、第
2実施形態に係る救命具50について、
図9を参照して説明する。なお、
上記参考例と同様の構成については、同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0067】
図9(A)に示されるように、本実施形態の救命具50は、ホイッスル52が設けられている点を除いて第1実施形態と同様の構成とされている。このため以下の説明では、ホイッスル52についてのみ説明する。
【0068】
ホイッスル52は、主として、吹込部52A、音発生部52B及び逆止弁58を含んで構成されている。吹込部52Aは、使用者Pが口でくわえて空気を送り込む場所であり、頭部被覆部20の内側に位置している。また、吹込部52Aは、非使用時には、カバー部材54でカバーされている。カバー部材54は、吹込部52Aに取り付けられる取付部54Aを備えており、この取付部54Aは、ヒンジ部54Bによってホイッスル52と繋がれている。取付部54Aは、使用者Pが口でくわえて、又は手を使って取り外すことができる。
図9(B)に示されるように、取付部54Aは、取り外された状態でもヒンジ部54Bによってホイッスル52に繋がれているため、紛失することがない。
【0069】
吹込部52Aには、逆止弁58が設けられている。逆止弁58は、使用者Pから外側へ向かう空気のみを通すように構成されており、例えば、ダイアフラム型の逆止弁などを用いることができる。
【0070】
音発生部52Bは、頭部被覆部20の外部に位置している。音発生部52Bには、孔部52Cが形成されている。また、音発生部52Bの内部には、球体56が設けられており、使用者Pから吹き込まれた空気によって球体56が揺動することで孔部52Cから音が発生する。
【0071】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0072】
本実施形態では、使用者Pがホイッスル52を用いて音を発生させることで、救助者に対して使用者Pの居場所を知らせることができる。また、逆止弁58によってホイッスル52から救命具本体部12の内部へ水が浸入するのを抑制することができる。その他の作用については第1実施形態と同様である。
【0073】
<第
3実施形態>
次に、第
3実施形態に係る救命具60について、
図10を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0074】
図10(A)及び
図10(B)に示されるように、本実施形態の救命具60は、払拭機構64が設けられている点を除いて第1実施形態と同様の構成とされている。このため以下の説明では、払拭機構64についてのみ説明する。
【0075】
本実施形態の救命具本体部12における頭部被覆部20には、使用者Pの目に対応する位置に左右一対のレンズ62が設けられている。例えば、レンズ62はそれぞれ、曇り止めなどの表面加工が施されている。
【0076】
本実施形態の払拭機構64は、ロッド部材64A、払拭部材64B及び操作部64Cを含んで構成されている。ロッド部材64Aは、上下方向に延在された長尺状の部材であり、ロッド部材64Aの上端部が頭部被覆部20における頭頂部の上方で回動可能に固定されている。また、ロッド部材64Aの下端部には、後述する操作部64Cが設けられている。
【0077】
操作部64Cよりも上方には、払拭部材64Bが設けられている。払拭部材64Bは、例えばスポンジ及び不織布などによって形成されており、ロッド部材64Aの周囲に固定されている。また、払拭部材64Bは、初期位置で左右のレンズ62の間に位置している。
【0078】
操作部64Cは、使用者Pの鼻の孔に引掛けられる形状に形成されている。そして、使用者Pが操作部64Cを鼻の孔に引掛けた状態で、頭部を左右に動かすことで、ロッド部材64Aが左右に移動して払拭部材64Bがレンズ62の内面を摺動する。これにより、レンズ62の内面の曇りが除去される。
【0079】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0080】
本実施形態では、曇り止めの表面処理が施されたレンズ62が設けられているため、使用者Pの視界を良好に維持することができる。また、万が一、レンズ62が曇った場合には、払拭機構64を用いてレンズ62を払拭することができるため、視界が損なわれるのを抑制することができる。
【0081】
特に、本実施形態では、使用者Pが払拭機構64を装着した状態で頭部を左右に移動させるだけでレンズ62の曇りを払拭することができるため、手を使うことができない状況でも視界を良好に維持することができる。その他の作用については第1実施形態と同様である。
【0082】
(補足説明)
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、和装の女性のキャラクターを描画したが、これに限定されない。例えば、男性のキャラクターを描画してもよく、災害時であっても心が和むデザインが好ましい。
【0083】
また、上
記実施形態を組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態の救命具
40に対して、
図9(A)に示される第
2実施形態のホイッスル52を設けた構成としてもよい。
【0084】
さらに、上記第
2実施形態では、ホイッスル52がカバー部材54でカバーされた構成を説明したが、これに限定されない。例えば、カバー部材54が無く、ホイッスル52の吹込部52Aが露出した構成としてもよい。
【0085】
また、ホイッスル52の内部に水溶性のフィルムなどを配設してもよい。この場合、使用者が津波に流されて気を失った場合、ホイッスル52から入り込んだ水によって水溶性フィルムが溶解することで、冷たい水が使用者Pの顔に当たり、使用者Pを気付かせることができる。また、水溶性フィルムは、通気性を有しているため、水溶性フィルムが溶解されていない場合でも使用者Pがホイッスル52を使用することが可能となる。
【0086】
さらに、上記第
1実施形態において、開閉ロープ46に小物入れ用の小袋を取付けてもよい。小袋に携帯電話及び貴重品などを入れて持ち運ぶことができる。
【0087】
さらにまた、上記実施形態において、出入口部とは別に、緊急用の脱出口を備えた構成を採用してもよい。緊急用の脱出口は、例えば、救命具本体部における胸部の位置、又は首部の位置などに形成される。また、例えば、脱出口は、通常時には開かないように、縫い合わされており、使用者が救命具本体部の内側から縫い目に強い力を加えることで開く構造としてもよい。そして、万が一、股の出入口部から水が浸入するなどして、出入口部から出ることができなくなった際には、脱出口を開いて脱出することができる。
【解決手段】救命具10は、防水性の材質で膨張及び収縮可能に形成されると共に、使用者の腕を覆う腕被覆部16及び脚を覆う脚被覆部18を含んで構成されて使用者の全身を収容可能な救命具本体部12を備えている。また、救命具本体部12における股の位置には、開閉可能な出入口部26が形成されており、この出入口部26から使用者が出入り可能となる。