特許第6906814号(P6906814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6906814
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/02 20060101AFI20210708BHJP
   F24T 10/15 20180101ALI20210708BHJP
   F03G 4/00 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   F28D7/02
   F24T10/15
   F03G4/00 501
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-67087(P2020-67087)
(22)【出願日】2020年4月2日
【審査請求日】2020年12月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505237879
【氏名又は名称】株式会社竹内建築研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100218280
【弁理士】
【氏名又は名称】安保 亜衣子
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100173864
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】竹内 和男
【審査官】 西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−122784(JP,A)
【文献】 特開2019−219159(JP,A)
【文献】 特開2000−329413(JP,A)
【文献】 実開昭60−151917(JP,U)
【文献】 米国特許第04570452(US,A)
【文献】 中国実用新案第207047836(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/02
F03G 4/00
F24T 10/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不凍液層及び空気層を内部に有する格納管と、
前記不凍液層及び前記空気層に接し、前記内部に保持された管状の内側熱交換ユニットと、
前記格納管を収納する、複数の細孔を有する穴開き管と、
前記内側熱交換ユニットに連続し、前記穴開き管の外側に配置された管状の外側熱交換ユニットと、
を備え、
前記内側熱交換ユニットが、前記格納管の長手方向と平行な中心軸を有するらせん構造である内側送り管と、前記内側送り管に連続し、前記内側送り管と同一の中心軸を有し、前記内側送り管とは逆巻きのらせん構造である内側戻り管から構成され、
前記外側熱交換ユニットが、前記長手方向と平行な中心軸を有するらせん構造である外側送り管と、前記外側送り管に連続し、前記外側送り管と同一の中心軸を有し、前記外側送り管とは逆巻きのらせん構造である外側戻り管から構成されることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記穴開き管の外周面が遮熱素材を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記穴開き管の外周面に複数の台座を更に備え、
前記複数の台座に前記外側熱交換ユニットが固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記長手方向が水平方向であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記長手方向が鉛直方向であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中熱との熱交換を行う熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地中熱を利用する熱交換器においては、熱媒を通す管路の表面積を増大させる等で、熱交換性能を上げるための工夫がされてきた。管路の表面積を増大させるためには、例えば、管路をループ構造やらせん構造とし、限られた範囲で管路を長くとる必要がある。
【0003】
従来技術として、特許文献1においては、熱交換管のうち、地中に熱媒を通すらせん構造と、熱媒を地中から地上に通す直管構造を有する熱交換器の発明が記載されている。戻り管となる直管構造は、送り管となるらせん構造のちょうど中心軸の位置に配置されている。又、特許文献2においては、送り管となる往き管がらせん構造であり、戻り管が直管構造である熱交換器の発明が記載されている。戻り管は、送り管のらせん構造の外側に位置する。
【0004】
しかし、特許文献1及び2のいずれであっても、送り管と戻り管のうちらせん構造は一方のみであり、同程度の全体サイズのままでは、表面積の増大には限界があった。又、特許文献1及び2のいずれであっても、送り管と戻り管との間の熱交換の抑止が考慮されておらず、らせん構造である送り管で効率良く地中熱と熱交換したとしても、地上に戻るまでの熱損失が発生するため、熱交換率を高めることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−103367号公報
【特許文献2】特開2017−44416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題に着目してなされたものであって、従来技術よりも熱交換表面積を大幅に増大させ、かつ、熱交換器内の構成部材どうしでの熱交換を極力低減させた高効率の熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、(a)不凍液層及び空気層を内部に有する格納管と、(b)不凍液層及び空気層に接し、格納管の内部に保持された管状の内側熱交換ユニットと、(c)格納管を収納する、複数の細孔を有する穴開き管と、(d)内側熱交換ユニットに連続し、穴開き管の外側に配置された管状の外側熱交換ユニットとを備えることを特徴とする熱交換器であることを要旨とする。
【0008】
本発明によれば、従来技術よりも熱交換表面積を大幅に増大させ、かつ、熱交換器内の構成部材どうしでの熱交換を極力低減させた高効率の熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る熱交換器の内部構造を示した、正面模式図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る熱交換器の外観を示した、正面模式図である。
図3図2のA−A方向から見た拡大断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る熱交換器の内部構造を示した、正面模式図である。
図5図1のA部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、図面を参照して、本発明の第1及び第2実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。したがって、具体的な装置の構造や配置、部材間の連係、設置方法等は以下の説明から理解できる技術的思想の趣旨を参酌してより多様に判断すべきものである。本発明の技術的思想は、本発明の第1及び第2実施形態で記載された内容に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明特定事項の有機的結合が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
(第1実施形態)
(熱交換器の構造概要)
本発明の第1実施形態に係る熱交換器は、図1に示すように地中に埋設して地中熱との熱交換を行う熱交換器であって、(a)不凍液層35及び空気層41を内部に有する格納管15と、(b)不凍液層35及び空気層41に接し、格納管15の内部に保持された管状の内側熱交換ユニット(11a、11b)と、(c)格納管15を収納する、複数の細孔を有する穴開き管17と、(d)内側熱交換ユニット(11a、11b)に連続し、穴開き管17の外側に配置された管状の外側熱交換ユニット(13a、13b)とを備える。
【0012】
図1に示すように、第1実施形態に係る熱交換器は、元々の地盤である現地地盤39の掘削した穴に載置して用いるものである。格納管15の長手方向、穴開き管17の長手方向、内側熱交換ユニット(11a、11b)の中心軸及び外側熱交換ユニット(13a、13b)の中心軸は、それぞれ互いに平行となり、略水平方向である。内側熱交換ユニット(11a、11b)及び外側熱交換ユニット(13a、13b)は、それぞれ熱交換の主体である熱媒が通る管路であり、互いの管路は連続した構造である。図1において、図示外のヒートポンプから、下向き矢印の方向で送られた熱媒はまず第1連絡管19aを通り、次に内側熱交換ユニット(11a、11b)及び外側熱交換ユニット(13a、13b)を通るうちに熱交換され、第2連絡管19bを通って上向き矢印の方向で再びヒートポンプに戻る。
【0013】
第1実施形態に係る熱交換器は、図1及び図3図5に示すように、内側熱交換ユニット(11a、11b)を保持する第1取付棒21a〜第4取付棒21dを、格納管15の内部に更に備える。又、第1実施形態に係る熱交換器は、図1〜3、図5に示すように、外側熱交換ユニット(13a、13b)を保持する第1台座25a〜第8台座25hを、穴開き管17の外周面に更に備える。又、第1実施形態に係る熱交換器は、図1に示すように、長手方向が約90°異なる格納管15と配管18とを接続するベンド管16を更に備える。
【0014】
第1実施形態に係る熱交換器は、一方の端部でベンド管16に接続する配管18及び配管18の他方の端部と接続するケーシングである中間室20を更に備える。又、第1実施形態に係る熱交換器は、中間室20及び配管18の内部の空洞に、ヒートポンプ及び内側熱交換ユニット(11a、11b)に接続した第1連絡管19aを更に備える。又、第1実施形態に係る熱交換器は、ヒートポンプ及び外側熱交換ユニット(13a、13b)に接続した第2連絡管19bを更に備える。第1連絡管19a及び第2連絡管19bはそれぞれ、第1断熱部27a及び第2断熱部27bにより覆われている。
【0015】
図1及び図5においては、熱交換器の内部構造を示すために、内側熱交換ユニット(11a、11b)、第1台座25a、第5台座25e、第1取付棒21a〜第3取付棒21c、第1連絡管19a及び第2連絡管19b以外の部分を断面で示している。図1においては、内側熱交換ユニット(11a、11b)、第1台座25a、第5台座25e、第1取付棒21a〜第3取付棒21c、第1連絡管19a及び第2連絡管19b以外の部分は、穴開き管17の両端部の鉛直方向の直径部分を含む面で2分割した際の断面である。
【0016】
(熱交換器の構造詳細)
図1及び図5に示すように、第1実施形態に係る格納管15は、内部において不凍液層35を下層に、空気層41を上層に有する。不凍液層35の不凍液の種類及び量は、熱交換量の調整の観点で、設置する者により任意に設定可能である。不凍液層35の不凍液は水、グリコール系、アルコール系、有機酸塩系、塩類等、いずれでもよい。格納管15の一方の端部、即ち図1において向かって右側の端部は、不凍液層35の不凍液を格納管15内に留めておく都合上、閉じた構造が好ましい。格納管15は、図1のように、外側の穴開き管の端部に直接接続してもよいし、格納管15自体が穴開き管17の内部に保持されるのであれば、直接的な接触はなくてもよい。格納管15の素材は問わず、例えば塩化ビニル等の樹脂であってもよいし、金属から成るものであってもよい。
【0017】
図1等に示すように、内側熱交換ユニット(11a、11b)は格納管15の内部、即ち、不凍液層35及び空気層41の両方に外面を接し、第1取付棒21a〜第4取付棒21dに巻き付いた状態で保持されている。内側熱交換ユニット(11a、11b)は、格納管15の長手方向と平行な中心軸を有するらせん構造である内側送り管11aと、内側送り管11aに連続し、内側送り管11aと同一の中心軸を有し、内側送り管11aとは逆巻きのらせん構造である内側戻り管11bから構成される。内側熱交換ユニット(11a、11b)は、まず内側送り管11aとして第1取付棒21a〜第4取付棒21dに等間隔でらせん状に巻き付けられる。内側送り管11aは、第1取付棒21a〜第4取付棒21dの端部付近でらせんの向きを折り返し、次は内側戻り管11bとして、内側送り管11aとは逆巻きの等間隔でらせん状に巻き付けられる。図1及び図5に示すように、内側戻り管11bは、内側送り管11aの一部に接触して交差するように巻き付いた状態である。内側送り管11a及び内側戻り管11bの素材は問わず、ポリエチレン等の樹脂であってもよいし、金属であってもよい。図1に示すように、内側送り管11aは、第1連絡管19aと連続した、継ぎ手の無い構造であってもよいし、別個の構造である内側送り管11a及び第1連絡管19aをジョイント等で接続して連続させてもよい。図1においては、内側送り管11aは、らせん構造及び、それに連続する管路であって図1の第1断熱部27aに覆われていない部分を指し、第1断熱部27aに覆われた部分の管路は第1連絡管19aと定義する。
【0018】
第1取付棒21a〜第4取付棒21dは、図1及び図3図5に示すように、格納管15の内部に互いに平行に配置されている。図1においては、第1取付棒21a〜第3取付棒21cのそれぞれの一方の端部は格納管15の一方の端部に固定されている(図1の右側)。第1取付棒21a〜第3取付棒21cのそれぞれの他方の端部は、格納管15の内部の底部に据え付けられた取付棒支持体に固定されている(図1の左側)。図1において図示は省略しているが、第4取付棒21dの両端部においても同様である。第1取付棒21a〜第4取付棒21dは、取付棒支持体以外の部分で互いを連結するような部材があってもよい。第1実施形態に係る熱交換器においては、内側熱交換ユニット(11a、11b)を巻き付ける取付棒は4本であるが、熱交換の妨げにならないのであれば、本数に制限はない。又、図3に示すように、第1取付棒21a〜第3取付棒21cは丸棒であるが、角棒等のその他の形状であってもよい。
【0019】
図1図3に示すように、穴開き管17は格納管15及び格納管15に収納されている内側熱交換ユニット(11a、11b)を覆う管状部材であり、素材は問わないが樹脂製であることが好ましい。穴開き管17の長手方向と格納管15の長手方向は一致することが好ましい。図2に示すように、穴開き管17には側面全体に細孔が多数貫通している。穴開き管17の両端部については図示を省略しているが、例えば、側面と同様に細孔を多数有する円形の板で蓋がされ、図1における格納管15の一方の端部に接続してもよい。又、内側充填材31の充填のしやすさの観点では、穴開き管17の両端部は開放されていてもよい。穴開き管17の細孔の大きさや個数については問わないが、内側充填材31を充填できる程度であればいずれでもよく、例えば細孔の大きさは5〜9mm程度とすることができる。内側充填材31としては、砂利や砂等いずれでもよいが、熱伝導度の観点からは好ましくは20μm程度の細砂である。
【0020】
穴開き管17の内周面と格納管15の外周面との間は、熱交換効率の観点では、いずれの部位でも一定の離間距離であることが好ましい。即ち、穴開き管17の中心軸と格納管15の中心軸とが一致した状態が好ましい。穴開き管17の外周面は遮熱素材であることが好ましい。穴開き管17の遮熱素材としてはアルミニウム素材が好ましく、アルミニウム蒸着で形成されてもよいし、アルミニウムシートの貼付けによるものでもよいし、それ以外でもよい。アルミニウムシートの貼付けによる場合は、アルミニウムシートにあらかじめ細孔を開けておいてから貼り付けてもよいし、貼り付けてから細孔を開けてもよいものとする。図1〜3、図5に示すように、穴開き管17の外周面には、第1台座25a〜第8台座25hが等間隔で設置されている。第1台座25a〜第8台座25hは、管状の外側熱交換ユニット(13a、13b)を巻き付けるように保持する台座である。図1図3に示すには、第1台座25a〜第8台座25hはそれぞれ断面が略L字型の長尺部材、いわゆる「アングル」と呼ばれる部材であるが、外側熱交換ユニット(13a、13b)が巻き付けられるのであれば形状は問わない。図3においては、第1台座25a〜第8台座25hの断面の角度は90°以上であるが、90°未満であってもよい。第1台座25a〜第8台座25hには複数の孔が開いていてもよい。第1台座25a〜第8台座25は計8個の台座であるが、個数は問わないものであり、台座は8個未満であってもよいし、8個以上であってもよい。第1台座25a〜第8台座25のように、外側熱交換ユニット(13a、13b)と点接触に近い接触の仕方をする方が好ましい。
【0021】
特に図2に示すように、外側熱交換ユニット(13a、13b)は、穴開き管17の外側、即ち穴開き管17の外周面に設けられた第1台座25a〜第8台座25に巻き付いた状態で保持されている。外側熱交換ユニット(13a、13b)は、長手方向と平行な中心軸を有するらせん構造である外側送り管13aと、外側送り管13aに連続し、外側送り管13aと同一の中心軸を有し、外側送り管13aとは逆巻きのらせん構造である外側戻り管13bから構成される。外側熱交換ユニット(13a、13b)は、まず外側送り管13aとして第1台座25a〜第8台座25に等間隔でらせん状に巻き付けられる。外側送り管13aは、第1台座25a〜第8台座25の端部付近でらせんの向きを折り返し、次は外側戻り管13bとして、外側送り管13aとは逆巻きの等間隔でらせん状に巻き付けられる。図2に示すように、外側戻り管13bは、外側送り管13aの一部に接触して交差するように巻き付いた状態である。外側送り管13a及び外側戻り管13bの素材は問わず、ポリエチレン等の樹脂であってもよいし、金属であってもよい。図1に示すように、外側送り管13aは内側戻り管11bと連続した構造であり、外側戻り管13bは第2連絡管19bと連続した構造である。内側戻り管11bは、らせん構造及びそれに連続する図1の配管18の外側に出るまでの管路を指し、配管18の外側の管路からは外側送り管13aと定義する。外側戻り管13bは、らせん構造及び、それに連続する管路であって図1の第2断熱部27bに覆われていない部分を指し、第2断熱部27bに覆われた部分の管路は第2連絡管19bと定義する。図1に示すように、内側戻り管11b、外側送り管13a、外側戻り管13b及び第2連絡管19bは、それぞれ継ぎ手の無い連続した構造であってもよいし、別個の構造をジョイント等で接続して連続させた構造であってもよい。
【0022】
内側熱交換ユニット(11a、11b)、外側熱交換ユニット(13a、13b)、第1連絡管19a及び第2連絡管19bを通す熱媒としては、水、グリコール系、アルコール系、有機酸塩系、塩類、空気等、いずれでもよい。
【0023】
外側熱交換ユニット(13a、13b)の外側、かつ、現地地盤の内側に充填される外側充填材33としては、内側充填材31と同様、砂利や砂等いずれでもよいが、熱伝導度の観点からは好ましくは20μm程度の細砂である。
【0024】
(第1実施形態に係る熱交換器の設置方法)
図1及び図3に示すように、第1実施形態に係る熱交換器は、元々の地盤である現地地盤39を掘削して、穴開き管17の長手方向を水平方向に一致させて穴の中に置き、上から盛土を行って設置する。盛土を行って盛土地盤37を形成する前に、穴開き管17と現地地盤39との間に外側充填材33を充填する。
【0025】
より具体的な設置方法は以下に例示する。掘削した現地地盤39の穴に外側充填材33の一部を敷き、外側充填材33の上に第1実施形態に係る熱交換器を載置し、外側熱交換ユニット(13a、13b)が隠れる程度まで外側充填材33を被せていく。この時、外側充填材33に水を含ませることにより、各部材に密着させながら充填し、各部材との隙間を生じさせないようにする。外側充填材33の上から盛土をし、外側熱交換ユニット(13a、13b)より上方の部材を埋設する。外側充填材33と内側充填材31とが同一の素材である場合は、載置した第1実施形態に係る熱交換器に外側充填材33を被せる際に、外側充填材33を内側充填材31として、穴開き管17の細孔等を通して、穴開き管17の内部に同時に充填してもよい。外側充填材33と内側充填材31の素材の相違にかかわらず、内側充填材31の充填のタイミングは、第1実施形態に係る熱交換器の載置の前後を問わない。不凍液層35の不凍液の充填のタイミングも同様に、第1実施形態に係る熱交換器の載置の前後を問わない。
【0026】
第1実施形態に係る熱交換器の全体や個々の部材のサイズは特に問わず、設置スペースや熱交換容量に応じて自由に設計することができる。第1実施形態に係る熱交換器としては、例えば、穴開き管17の直径を30cm程度、長さを3〜4m程度にすることができ、地中深度2m程度の所に埋設して使用することが可能である。埋設する深さは2m程度以上あればよく、現地地盤の種類も問わず、地下水の有無も問わない。設置スペースや熱交換容量に応じて、熱交換器の「本体」、即ち、外側熱交換ユニット(13a、13b)を含めたそれより内側の熱交換の主体となる部分を複数本つくり、直列又は並列でヒートポンプに連結させて設置することも可能である。
【0027】
(第1実施形態の熱交換器の使用方法)
埋設された第1実施形態に係る熱交換器は、第1連絡管19、第2連絡管19b、内側熱交換ユニット(11a、11b)及び外側熱交換ユニット(13a、13b)にヒートポンプからの熱媒が通されると使用できる状態となる。暖房使用時には約0℃・冷房使用時には約20℃の熱媒がヒートポンプから送られ、内側熱交換ユニット(11a、11b)にて「第1次熱交換」が、外側熱交換ユニット(13a、13b)にて「第2次熱交換」が行われ、再びヒートポンプへ戻る。
【0028】
(暖房使用時)
暖房使用時には約0℃の熱媒がヒートポンプから送られ、図1の第1連絡管19aを通り、行き帰りらせん構造である内側熱交換ユニット(11a、11b)を通る内に、不凍液層35及び空気層41との間で「第1次熱交換」が行われる。多少の地域差はあるが、地中熱は15℃程度で年間通してほぼ一定であり、現地地盤39の地中熱は、外側充填材33、内側充填材31及び格納管15等を介して、不凍液層35及び空気層41に常時伝達される。内側熱交換ユニット(11a、11b)を通る初期温度約0℃の熱媒は、第1次熱交換により約5℃となるのが好ましい。第1次熱交換における熱媒の温度上昇は、不凍液層35の不凍液の充填量で任意に調節することができる。液体と気体との熱伝導度の違いを利用した仕組みであり、基本的に、熱媒の温度が希望温度に達しない場合は不凍液の充填量を増やし、熱媒の温度が希望温度を超える場合は不凍液の充填量を減らすことで、熱媒を希望温度に近づけることができる。第1次熱交換が行われると不凍液層35及び空気層41の温度は下がるが、周囲の現地地盤39から、外側充填材33、内側充填材31及び格納管15等を介して、地中熱が常時補填されるため、継続して安定的に第1次熱交換を行うことができる。
【0029】
約5℃の熱媒が内側熱交換ユニット(11a、11b)から送られ、行き帰りらせん構造である外側熱交換ユニット(13a、13b)を通る内に、外側充填材33との間で「第2次熱交換」が行われる。現地地盤39の地中熱は、外側充填材33に常時伝達される。又、穴開き管17の外周面に設けられた遮熱素材で反射した熱も「第2次熱交換」に使用され得る。第2次熱交換においては、初期温度約5℃の熱媒が地中温度に近い約15℃程度となるのが好ましい。第2次熱交換が行われると外側充填材33の温度は下がるが、周囲の現地地盤39から地中熱が常時補填されるため、継続して安定的に第2次熱交換を行うことができる。
【0030】
(冷房使用時)
冷房使用時には約20℃の熱媒がヒートポンプから送られ、図1の第1連絡管19aを通り、内側熱交換ユニット(11a、11b)を通る内に、不凍液層35及び空気層41との間で「第1次熱交換」が行われる。暖房使用時と同様に約15℃の現地地盤39の地中熱は、外側充填材33、内側充填材31及び格納管15等を介して、不凍液層35及び空気層41に常時伝達され得る。内側熱交換ユニット(11a、11b)を通る初期温度約20℃の熱媒は、第1次熱交換により数度下げられる。第1次熱交換における熱媒の温度低下は、暖房使用時と同様に、不凍液層35の不凍液の充填量で任意に調節することができる。基本的に、熱媒の温度が希望温度まで下がらない場合は不凍液の充填量を増やし、熱媒の温度が希望温度を下回る場合は不凍液の充填量を減らすことで、熱媒を希望温度に近づけることができる。第1次熱交換が行われると不凍液層35及び空気層41の温度は上がるが、周囲の現地地盤39へ、外側充填材33、内側充填材31及び格納管15等を介して、熱が拡散されるため、継続して安定的に第1次熱交換を行うことができる。
【0031】
熱媒が内側熱交換ユニット(11a、11b)から送られ、外側熱交換ユニット(13a、13b)を通る内に、外側充填材33との間で「第2次熱交換」が行われる。現地地盤39の地中熱は、外側充填材33に常時伝達され得る。又、穴開き管17の外周面に設けられた遮熱素材で反射した熱も「第2次熱交換」に使用され得る。第2次熱交換においては、熱媒が地中温度に近い約15℃程度となるのが好ましい。第2次熱交換が行われると外側充填材33の温度は上がるが、周囲の現地地盤39へ熱が拡散されるため、継続して安定的に第2次熱交換を行うことができる。
【0032】
(第1実施形態の熱交換器の効果)
第1実施形態の熱交換器によれば、内側熱交換ユニット(11a、11b)及び外側熱交換ユニット(13a、13b)がらせん構造を4つ保有しており、管路の総延長を従来より長くすることができるため、熱交換に資する表面積を広くすることが容易となる。これにより、熱交換性能を大幅に高めることが容易となる。
【0033】
第1実施形態の熱交換器によれば、内側熱交換ユニット(11a、11b)と外側熱交換ユニット(13a、13b)とを、格納管15及び穴開き管17等で隔離しているため、温度の干渉を極力抑制することができ、熱損失を抑えることができる。又、第1実施形態の熱交換器は、第1連絡管19aと第2連絡管19bについても隔離した構造であるため、温度の干渉をより抑制することができ、熱損失を抑えることができる。
【0034】
第1実施形態の熱交換器によれば、不凍液層35及び空気層41を設けることにより、暖房使用時には、熱交換器の「本体」の中心軸に近いほど温度が低くなり、現地地盤39との温度差(温度勾配)を大きくすることができるため、熱交換器の「本体」の中心軸への熱移動速度を大きくすることができる。これにより、熱交換に必要な熱を中心に効率的に供給することが可能となり、内側熱交換ユニット(11a、11b)及び外側熱交換ユニット(13a、13b)の両方での熱交換効率を上げることができる。
【0035】
第1実施形態の熱交換器によれば、不凍液層35及び空気層41を設けることにより、冷房使用時には、熱交換器の「本体」の中心軸に近いほど温度が高くなり、現地地盤39との温度差(温度勾配)を大きくすることができるため、熱交換器の「本体」の中心軸から周囲への熱移動速度を大きくすることができる。これにより、迅速に熱を拡散することが可能となり、内側熱交換ユニット(11a、11b)及び外側熱交換ユニット(13a、13b)の両方での熱交換効率を上げることができる。
【0036】
第1実施形態の熱交換器によれば、熱交換器の設置後であっても不凍液層35の不凍液の充填量は自在に調整することが可能であるため、暖房使用時と冷房使用時とで不凍液の充填量を変動させ、熱交換効率も任意に変動させることが可能となる。
【0037】
第1実施形態の熱交換器によれば、穴開き管17の外周面に遮熱素材を設けているため、遮熱素材により反射した熱も利用することができ、外側熱交換ユニット(13a、13b)の熱交換率を高めることができる。又、穴開き管17の外周面に遮熱素材により、穴開き管17の内外の温度差を大きいまま保持することが容易となる。
【0038】
第1実施形態の熱交換器によれば、熱交換器の「本体」をよりコンパクトにすることができるため、地盤を深く広く掘削する必要が無くなり、設置の手間や時間、費用等を大幅に抑えることが可能となる。第1実施形態の熱交換器はコンパクトであるため、一般戸建住宅の冷暖房・給湯他、プールや病院等の公共施設や店舗等の民間施設の冷暖房、道路融雪、ハウスの加温等の農業用用途等、様々な用途に用いることが可能である。
【0039】
(第2実施形態)
(熱交換器の構造概要)
本発明の第2実施形態に係る熱交換器は、図4に示すように地中に埋設して地中熱との熱交換を行う熱交換器であって、(a)不凍液層35b及び空気層41bを内部に有する格納管15と、(b)不凍液層35b及び空気層41bに接し、格納管15の内部に保持された管状の内側熱交換ユニット(11a、11b)と、(c)格納管15を収納する、複数の細孔を有する穴開き管17と、(d)内側熱交換ユニット(11a、11b)に連続し、穴開き管17の外側に配置された管状の外側熱交換ユニット(13a、13b)とを備える。
【0040】
図4に示すように、第2実施形態に係る熱交換器は、元々の地盤である現地地盤39の掘削した穴に載置(挿入)して用いるものである。第2実施形態に係る熱交換器が第1実施形態に係る熱交換器と異なる主な点は、格納管15の長手方向、穴開き管17の長手方向、内側熱交換ユニット(11a、11b)の中心軸及び外側熱交換ユニット(13a、13b)の中心軸は、それぞれ互いに平行となり、略鉛直方向である点である。内側熱交換ユニット(11a、11b)及び外側熱交換ユニット(13a、13b)は、それぞれ熱交換の主体である熱媒が通る管路であり、互いの管路は連続した構造である。図4において、図示外のヒートポンプから、下向き矢印の方向で送られた熱媒はまず第1連絡管19aを通り、次に内側熱交換ユニット(11a、11b)及び外側熱交換ユニット(13a、13b)を通るうちに熱交換され、第2連絡管19bを通って上向き矢印の方向で再びヒートポンプに戻る。
【0041】
図4においては、熱交換器の内部構造を示すために、内側熱交換ユニット(11a、11b)、第1台座25a、第5台座25e、第1取付棒21a〜第3取付棒21c、第1連絡管19a及び第2連絡管19b以外の部分を断面で示している。図4においては、内側熱交換ユニット(11a、11b)、第1台座25a、第5台座25e、第1取付棒21a〜第3取付棒21c、第1連絡管19a及び第2連絡管19b以外の部分は、穴開き管17を縦に2分割した際の断面である。図4には図示を省略しているが、第1連絡管19a及び第2連絡管19bは、第1実施形態と同様、それぞれ断熱部で覆われているものとする。
【0042】
図4に示すように、第2実施形態に係る熱交換器が第1実施形態に係る熱交換器と異なる他の点は、格納管15及び穴開き管17の上部を覆う蓋29、及び、格納管15及び穴開き管17の下方に配置された下端部30を更に備える点である。蓋29は内側充填材31及び格納管15の内部を露出させないために設けられている。図4においては、第1取付棒21a〜第3取付棒21dのそれぞれの上端は蓋29に固定され、それぞれの下端は格納管15の下端に固定されている。図4おいて図示は省略しているが、第4取付棒の両端においても同様である。下端部30は尖頭を有し、地中深くに第2実施形態に係る熱交換器を埋設しやすくするために設けられている。又、第2実施形態に係る熱交換器は全体的に鉛直方向に載置されるため、管路の向きを鉛直方向に転換するために必要であったベンド管やその他の配管は、必ずしも必要ではない。図示は省略しているが、図1等に示す第1実施形態に係る熱交換器と同様、配管や中間室が設けられていてもよい。
【0043】
図4に示すように、第2実施形態に係る熱交換器が第1実施形態に係る熱交換器と異なる更に他の点は、不凍液層35b及び空気層41bの、格納管15に対する相対的な位置関係である。第1実施形態に係る熱交換器における不凍液層35は、図1及び図3に示すように、格納管15の長手方向に沿って一定の深さで充填され、空気層41は不凍液層35の上方に存在する。一方の第2実施形態に係る熱交換器における不凍液層35bは、図4に示すように、格納管15の長手方向の一方の端部側に偏在し、空気層41bは不凍液層35の上方に存在する。格納管15の下端は、不凍液層35bの不凍液を格納管15内に留めておく都合上、閉じた構造が好ましい。格納管15は、図4のように、外側の穴開き管の端部に直接接続してもよいし、格納管15自体が穴開き管17の内部に保持されるのであれば、直接的な接触はなくてもよい。この相違に応じて、第2実施形態に係る熱交換器においては、内側熱交換ユニット(11a、11b)における熱交換様式が、第1実施形態に係る熱交換器と異なってくる。第1実施形態に係る熱交換器においては、内側熱交換ユニット(11a、11b)の管路全体を通して、熱媒が不凍液層35及び空気層41と熱交換するタイミングが、一定時間ごとに複数回交互に出現する。一方の第2実施形態に係る熱交換器においては、熱媒は、内側熱交換ユニット(11a、11b)の管路の序盤では空気層41bと熱交換し、中盤では不凍液層35bと熱交換し、終盤では再び空気層41bと熱交換することとなる。
【0044】
図4においては、内側送り管11aは、らせん構造及び、それに連続する管路であって穴開き管17の内側までを指し、穴開き管17の外側からは第1連絡管19aと定義する。内側戻り管11bは、らせん構造及びそれに連続する図1の配管18の外側に出るまでの管路を指し、配管18の外側の管路からは外側送り管13aと定義する。外側戻り管13bは、らせん構造及び、それに連続する管路であって水平に伸長する部分を指し、その水平に伸長する部分から折れ曲がって上方に向かう部分以降の管路は第2連絡管19bと定義する。図4に示すように、内側戻り管11b、外側送り管13a、外側戻り管13b及び第2連絡管19bは、それぞれ継ぎ手の無い連続した構造であってもよいし、別個の構造をジョイント等で接続して連続させた構造であってもよい。
【0045】
第2実施形態に係る熱交換器は、上述した相違、即ち、全体的な載置の方向、蓋29及び下端部30の存在、不凍液層35b及び空気層41bの格納管15に対する相対的な位置等以外については、第1実施形態に係る熱交換器と同様である。第2実施形態に係る熱交換器の各部材の構成、素材、部材間の接続の態様、熱媒の通し方、図示外のヒートポンプへの接続の仕方、使用方法等については、第1実施形態に係る熱交換器と同様の考え方である。
【0046】
(第2実施形態に係る熱交換器の設置方法及び使用方法)
図4に示すように、第2実施形態に係る熱交換器は、元々の地盤である現地地盤39をボーリング等で掘削して、穴開き管17の長手方向を鉛直方向に一致させて穴の中に置いて設置する。穴開き管17と現地地盤39との間には、外側充填材33を充填する。
【0047】
より具体的な設置方法は以下に例示する。掘削した現地地盤39の穴に外側充填材33の一部を敷き、外側充填材33の上に第2実施形態に係る熱交換器を上から挿入し、外側熱交換ユニット(13a、13b)と現地地盤39の間に外側充填材33を充填する。この時、外側充填材33に水を含ませることにより、各部材に密着させながら充填し、各部材との隙間を生じさせないようにする。外側充填材33と内側充填材31とが同一の素材である場合は、挿入した第2実施形態に係る熱交換器に外側充填材33を充填する際に、外側充填材33を内側充填材31として、蓋29を除いた上方から、又は、穴開き管17の細孔等を通して、穴開き管17の内部に同時に充填してもよい。外側充填材33と内側充填材31の素材の相違にかかわらず、内側充填材31の充填のタイミングは、第2実施形態に係る熱交換器の挿入の前後を問わない。不凍液層35bの不凍液の充填のタイミングも同様に、第2実施形態に係る熱交換器の挿入の前後を問わない。
【0048】
図1等に示す第1実施形態に係る熱交換器と同様、第2実施形態に係る熱交換器の全体や個々の部材のサイズは特に問わず、設置スペースや熱交換容量に応じて自由に設計し、埋設して使用することができる。
【0049】
(第2実施形態の熱交換器の効果)
第2実施形態の熱交換器によれば、内側熱交換ユニット(11a、11b)及び外側熱交換ユニット(13a、13b)がらせん構造を4つ保有しており、管路の総延長を従来より長くすることができるため、熱交換に資する表面積を広くすることが容易となる。これにより、熱交換性能を大幅に高めることが容易となる。
【0050】
第2実施形態の熱交換器によれば、内側熱交換ユニット(11a、11b)と外側熱交換ユニット(13a、13b)とを、格納管15及び穴開き管17等で隔離しているため、温度の干渉を極力抑制することができ、熱損失を抑えることができる。又、第2実施形態の熱交換器は、第1連絡管19aと第2連絡管19bについても隔離した構造であるため、温度の干渉をより抑制することができ、熱損失を抑えることができる。
【0051】
第2実施形態の熱交換器によれば、不凍液層35b及び空気層41bを設けることにより、暖房使用時には、熱交換器の「本体」の中心軸に近いほど温度が低くなり、現地地盤39との温度差(温度勾配)を大きくすることができるため、熱交換器の「本体」の中心軸への熱移動速度を大きくすることができる。これにより、熱交換に必要な熱を中心に効率的に供給することが可能となり、内側熱交換ユニット(11a、11b)及び外側熱交換ユニット(13a、13b)の両方での熱交換効率を上げることができる。
【0052】
第2実施形態の熱交換器によれば、不凍液層35b及び空気層41bを設けることにより、冷房使用時には、熱交換器の「本体」の中心軸に近いほど温度が高くなり、現地地盤39との温度差(温度勾配)を大きくすることができるため、熱交換器の「本体」の中心軸から周囲への熱移動速度を大きくすることができる。これにより、迅速に熱を拡散することが可能となり、内側熱交換ユニット(11a、11b)及び外側熱交換ユニット(13a、13b)の両方での熱交換効率を上げることができる。
【0053】
第2実施形態の熱交換器によれば、熱交換器の設置後であっても不凍液層35bの不凍液の充填量は自在に調整することが可能であるため、暖房使用時と冷房使用時とで不凍液の充填量を変動させ、熱交換効率も任意に変動させることが可能となる。
【0054】
第2実施形態の熱交換器によれば、穴開き管17の外周面に遮熱素材を設けているため、遮熱素材により反射した熱も利用することができ、外側熱交換ユニット(13a、13b)の熱交換率を高めることができる。又、穴開き管17の外周面に遮熱素材により、穴開き管17の内外の温度差を大きいまま保持することが容易となる。
【0055】
第2実施形態の熱交換器によれば、熱交換器の「本体」をよりコンパクトにすることができるため、地盤を深く広く掘削する必要が無くなり、設置の手間や時間、費用等を大幅に抑えることが可能となる。第2実施形態の熱交換器はコンパクトであるため、一般戸建住宅の冷暖房・給湯他、プールや病院等の公共施設や店舗等の民間施設の冷暖房、道路融雪、ハウスの加温等の農業用用途等、様々な用途に用いることが可能である。第2実施形態の熱交換器は鉛直方向に長い構造であるため、建造物の杭の基礎内に収納して使用することも可能であり、又、既存の井戸内に設置して使用することも可能である。
【0056】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は上記の第1及び第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0057】
例えば、図1等において、内側熱交換ユニット(11a、11b)のらせん構造を形成する方法として、図1の右側から、内側送り管11a及び内側戻り管11bの各らせん構造を同時に形成してもよい。外側熱交換ユニット(13a、13b)においても同様である。らせん構造の巻きの間隔についても、望みの熱交換が行われるのであれば、等間隔でなくてもよい。
【0058】
又、例えば図1等の第1実施形態に係る熱交換器を、他の再生可能エネルギー等との組合せで使用することも可能である。従来のエネルギー源、例えば太陽熱の一部を第1実施形態に係る熱交換器による地中熱採熱技術で置換する等である。
【0059】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当と解釈しうる、特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0060】
11a…内側送り管
11b…内側戻り管
13a…外側送り管
13b…外側戻り管
15…格納管
16…ベンド管
17…穴開き管
18…配管
19a…第1連絡管
19b…第2連絡管
20…中間室
21a〜21d…第1〜第4取付棒
25a〜25h…第1〜第8台座
27a…第1断熱部
27b…第2断熱部
29…蓋
30…下端部
31…内側充填材
33…外側充填材
35、35b…不凍液層
37…盛土地盤
39…現地地盤
41、41b…空気層


【要約】
【課題】従来技術よりも熱交換表面積を大幅に増大させ、かつ、熱交換器内の構成部材どうしでの熱交換を極力低減させた高効率の熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器は、不凍液層及び空気層を内部に有する格納管と、不凍液層及び空気層に接し、格納管の内部に保持された管状の内側熱交換ユニットと、格納管を収納する、複数の細孔を有する穴開き管と、内側熱交換ユニットに連続し、穴開き管の外側に配置された管状の外側熱交換ユニットとを備える。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5