(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した伝染病感染リスク判定プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0009】
図1は、本発明を適用した伝染病感染リスク判定プログラムが実装される伝染病感染リスク判定システム1の全体構成を示すブロック図である。伝染病感染リスク判定システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された探索装置2と、探索装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
【0010】
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する判別装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を判別装置2へと出力する。また情報取得部9は地図情報をスキャニングすることで位置情報を特定する手段により構成されていてもよい。また情報取得部9は、温度センサ、湿度センサ、風向センサ、を測るための照度センサで構成されていてもよい。また情報取得部9は、天候についてのデータを気象庁や民間の天気予報会社から取得する通信インターフェースで構成されていてもよい。また情報取得部9は身体に装着して身体のデータを検出するための身体センサで構成されていてもよく、この身体センサは、例えば体温、心拍数、血圧、歩数、歩く速度、加速度を検出するためのセンサで構成されていてもよい。また身体センサは人間のみならず動物の生体データを取得するものであってもよい。また情報取得部9は図面等の情報をスキャニングしたり、或いはデータベースから読み出すことで取得するデバイスとして構成されていてもよい。情報取得部9は、これら以外に臭気や香りを検知する臭気センサにより構成されていてもよい。
【0011】
データベース3は、伝染病感染リスク判定を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。伝染病感染リスク判定を行う上で必要な情報としては、過去に検出した一のユーザと、その相手間の距離に関する参照用距離情報、過去に検出した一のユーザの顔の方向に対する、その相手の顔の方向に関する参照用顔方向情報、過去に検出した一のユーザとその相手との参照用会話時間情報、過去に検出した一のユーザの参照用属性情報、過去に検出した一のユーザ及び/又はその相手における上記伝染病の感染歴に関する参照用感染歴情報、過去に検出した一のユーザ及び/又はその相手における上記伝染病の自覚症状に関する参照用自覚情報、過去に検出した一のユーザ及び/又はその相手における顔又は身体を撮像した参照用画像情報、過去に検出した一のユーザ及び/又はその相手における感染を防ぐための生活態様に関する参照用生活情報、各地域における伝染病の増加傾向に関する参照用増加傾向情報と、判定対象のユーザの感染リスクとのデータセットが記憶されている。
【0012】
つまり、データベース3には、このような参照用距離情報に加え、参照用顔方向情報、参照用会話時間情報、参照用属性情報、参照用感染歴情報、参照用自覚情報、参照用画像情報、参照用生活情報、参照用増加傾向情報の何れか1以上と、過去において判定された感染リスクとが互いに紐づけられて記憶されている。ちなみにこの過去において判定された感染リスクは、実際に過去において判定された各ユーザからの実データのみならず、架空のペルソナを設定し、これについて各機関や病院、医師等の専門家が判定した感染リスクを学習データに含めてもよい。
【0013】
探索装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この探索装置2による探索解を得ることができる。
【0014】
図2は、探索装置2の具体的な構成例を示している。この探索装置2は、探索装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う推定部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。更に、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
【0015】
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、探索装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
【0016】
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、推定部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
【0017】
推定部27は、探索解を推定する。この推定部27は、推定動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この推定部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
【0018】
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
【0019】
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
【0020】
上述した構成からなる伝染病感染リスク判定システム1における動作について説明をする。
【0021】
伝染病感染リスク判定システム1では、例えば
図3に示すように、参照用距離情報と、感染リスクとの3段階以上の連関度が予め設定され、取得されていることが前提となる。参照用距離情報とは、過去に検出した一のユーザと、その相手間の距離に関する情報である。この参照用距離情報は、判定対象のユーザの位置情報と、その相手との位置情報から求められる相手間との距離から求めるようにしてもよい。かかる場合は、ユーザと相手のそれぞれの位置情報をGPS等の周知の位置情報検出手段により求め、互いの距離間隔を算出するようにしてもよい。また、この参照用距離情報は、周知の距離センサにより互いの距離を計測するようにしてもよい。またスマートフォン等にインストール可能な周知の会話相手間の距離検知アプリを利用することで参照用距離情報を求めるようにしてもよい。
【0022】
ここでいう一のユーザは、感染リスクの判定対象のユーザと同一である必要は無く、以前において感染リスクを判定した他のいかなる者であってもよい。またこの一のユーザに対する相手とは、当該一のユーザと実際に会話相手として特定された者であることを前提としているが、これに限定されるものではなく、一のユーザとの会話相手外の者も含まれる。更にこの相手とは、実際に一のユーザと何ら面識のない通りすがりの者や電車やエレベータ内で近くに居た者も含まれる。
【0023】
感染リスクは、感染の危険度を示すものであり、危険性があるか否かの2値で表されていてもよいし、非常に危険性が高い、やや危険性があり、普通、やや安全、安全等の5段階でリスクが評価されるものであってもよい。また感染リスクは、例えば1000点満点のスコアで構成され、スコアが高いほど危険性が高くなるように評価されるものであってもよい。例えば、
図3における感染リスクAは上記スコアが844点、感染リスクBは424点、感染リスクCは、501点等のように評価されるものであってもよい。
【0024】
また感染リスクの判定対象となる伝染病は、一般的な風邪やインフルエンザ、ノロウィルス等、あらゆるウィルス、伝染病が含まれる。特に伝染病は、新型コロナウィルスや重症急性呼吸器症候群(SARS)も含まれる。
【0025】
つまり、この参照用距離情報と、感染リスクのデータセットを通じて、参照用距離情報に示される各距離に対して、実際にいかなる感染リスクが評価されたのかが分かる。つまり参照用距離情報に規定される距離と感染リスクとがデータセットとなっている。このため、参照用距離情報と感染リスクのデータセットを集めておくことにより、過去に検出した一のユーザと、その相手間の距離がどの程度であったとき、感染リスクがいくらであったかを知ることが可能となる。
【0026】
図3の例では、入力データとして例えば参照用距離情報P01〜P03であるものとする。このような入力データとしての参照用距離情報は、出力に連結している。この出力においては、出力解としての、感染リスクが表示されている。
【0027】
参照用距離情報は、この出力解としての感染リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用距離情報がこの連関度を介して左側に配列し、感染リスクが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用距離情報に対して、何れの感染リスクと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用距離情報が、いかなる感染リスクに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用距離情報から最も確からしい感染リスクを選択する上での的確性を示すものである。
図3の例では、連関度としてw13〜w19が示されている。このw13〜w19は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての感染リスクと互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての感染リスクと互いに関連度合いが低いことを示している。
【0029】
探索装置2は、このような
図3に示す3段階以上の連関度w13〜w19を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用距離情報と、その場合の感染リスクの何れが採用されたか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図3に示す連関度を作り上げておく。
【0030】
例えば、ある参照用距離情報が、ある距離(60cm)における感染リスクが916であるものとする。このような状況において、(60cm)からなる参照用距離情報において、感染リスクが916とされているものが同様に多かったものとする。このような場合には、その距離(60cm)において感染リスク916の連関度が強くなる。これに対して、全く同じ参照用距離情報(60cm)のパターン(分類)において感染リスクが412と判定されたものが多く、916と判定されたものが少なかったものとする。かかる場合には、感染リスクが412の連関度が強くなり、916の連関度が低くなる。
【0031】
実際にこのようなデータセットは、実際にユーザと相手の距離を測定し、これに応じて実際にその伝染病に感染したか否かを調査することで作り上げるようにしてもよい。またこのデータセットは、それ以外に各研究機関や病院において得られた研究成果や調査結果のデータから得るようにしてもよい。また実データそのものに加えて専門家による見解が加えられた形で感染リスクのデータを作り上げるようにしてもよい。
【0032】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用距離情報P01である場合に、過去の感染リスクのデータから分析する。これは、例えば各機関や病院等において保管されている過去の感染リスクのデータから抽出するようにしてもよい。
【0033】
参照用距離情報P01である場合に、感染リスクAの事例が多い場合には、この感染リスクAにつながる連関度をより高く設定し、感染リスクBの事例が多い場合には、この感染リスクBにつながる連関度をより高く設定する。例えば参照用距離情報P01の例では、感染リスクAと感染リスクCにリンクしているが、以前の事例から感染リスクAにつながるw13の連関度を7点に、感染リスクCにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0034】
また、この
図3に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0035】
かかる場合には、
図4に示すように、入力データとして参照用距離情報が入力され、出力データとして各感染リスクが出力され、入力ノードと出力ノードの間に少なくとも1以上の隠れ層が設けられ、機械学習させるようにしてもよい。また、逆に感染リスクが入力で参照用距離情報が出力となるように構成されていてもよい。このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。
【0036】
このような学習済みデータを作り上げた後、実際に判定対象のユーザの位置情報と、その相手との位置情報から求められる相手間との距離に関する距離情報を取得する。距離情報の取得方法は、上述した参照用距離情報の取得方法と同様である。また判定対象のユーザに対する相手は、当該ユーザと実際に会話相手として特定された者であることを前提としているが、これに限定されるものではなく、当該ユーザとの会話相手外の者も含まれる。更にこの相手とは、実際に判定対象のユーザと何ら面識のない通りすがりの者や電車やエレベータ内で近くに居た者も含まれる。
【0037】
このようにして新たに取得した時期情報に基づいて、感染リスクを探索する。かかる場合には、取得した距離情報からこれに対応する参照用距離情報を特定する。参照用距離情報がP02と同一かこれに類似するものである場合には、連関度を介して増減率Bがw15、増減率Cが連関度w16で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い増減率Bを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる増減率Cを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0038】
このようにして、新たに取得した距離情報から、判定すべき感染リスクを探索し、ユーザや各種機関、運営者に表示することができる。この探索結果を見ることにより、ユーザ等は、探索された感染リスクに基づいて、感染リスクを軽減するような行動を取ることを自覚することができ、また各機関や運営者は、今後の政策を検討することができる。ちなみに、この感染リスクを出力する過程において、単に探索された感染リスクのみを表示する以外に、この感染リスクに基づいた具体的な行動方針そのものを表示するようにしてもよいし、更には具体的な行動方針を強くユーザに促すようにしてもよく、例えば「もう少し距離を空けて会話してください」等を画面表示するようにしてもよい。
【0039】
図5の例では、入力データとして例えば参照用距離情報P01〜P03、参照用顔方向情報P14〜17であるものとする。このような入力データとしての、参照用距離情報に対して、参照用顔方向情報が組み合わさったものが、
図5に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、各感染リスクが表示されている。
【0040】
図5の例では、参照用距離情報と、参照用顔方向情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。参照用顔方向情報とは、過去に検出した一のユーザの顔の方向に対する、その相手の顔の方向に関する情報である。即ち、この参照用顔方向情報は、一のユーザの顔方向に対して、相手の顔方向が互いに180°関係で真正面で向き合っているのか否か、向き合っていないのであれば互いの顔方向の相対的な角度を示すものであってもよい。また参照用顔方向情報は、一のユーザの顔方向が北であり、相手の顔方向が南であるのか、北西であるのか、具体的な方角を示し、そこから互いの相対的な角度関係を求めるようにしてもよい。
【0041】
ここでいう顔の方向とは、実際に目や鼻、口が凡そどの方向に向いているのかを示すものである。このような参照用顔方向情報は、1°刻みで正確な顔の方向を検出する場合に限定されるものではなく、凡そ一のユーザの顔方向に対して、相手の顔方向が互いに向き合っているのか否かを示すものであればよく、周知のメガネ型端末やウェアラブル端末を通じてユーザや相手の顔の向きを検出するようにしてもよい。また街中や店舗等に設置されているカメラから、人物の視線をリアルタイムに検出することができる周知技術を活用し、参照用顔方向情報を求めるようにしてもよい。またスマートフォンに実装できるアプリを通じて会話相手の互いの顔を撮像して画像をリアルタイムに取得し、その画像を解析することで顔の方向や視線を検出するようにしてもよい。
【0042】
図5の例では、入力データとして例えば参照用距離情報P01〜P03、参照用顔方向情報P14〜17であるものとする。このような入力データとしての、参照用距離情報に対して、参照用顔方向情報が組み合わさったものが、
図5に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての感染リスクが表示されている。
【0043】
参照用距離情報と参照用顔方向情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての感染リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用距離情報と参照用顔方向情報がこの連関度を介して左側に配列し、感染リスクが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用距離情報と参照用顔方向情報に対して、各感染リスクと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用距離情報と参照用顔方向情報が、いかなる感染リスクに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用距離情報と参照用顔方向情報から最も確からしい各感染リスクを選択する上での的確性を示すものである。距離情報に加え、実際にその顔の方向に応じて飛沫が飛ぶ度合いも異なり、感染リスクは変化する。
【0044】
図5の例では、連関度としてw13〜w22が示されている。このw13〜w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0045】
探索装置2は、このような
図5に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で参照用距離情報と参照用顔方向情報、並びにその場合の感染リスクの何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図5に示す連関度を作り上げておく。
【0046】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用距離情報P01で、参照用顔方向情報P16である場合に、その感染リスクを過去のデータから分析する。感染リスクがAの事例が多い場合には、このAにつながる連関度をより高く設定し、Bの事例が多く、Aの事例が少ない場合には、Bにつながる連関度を高くし、Aにつながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、AとBの出力にリンクしているが、以前の事例からAにつながるw13の連関度を7点に、Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0047】
また、この
図5に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0048】
図5に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用距離情報P01に対して、参照用顔方向情報P14の組み合わせのノードであり、感染リスクCの連関度がw15、感染リスクEの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用距離情報P02に対して、参照用顔方向情報P15、P17の組み合わせのノードであり、感染リスクBの連関度がw17、感染リスクDの連関度がw18となっている。
【0049】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから伝染病感染リスク判定のための探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、新たに感染リスクの判定を行うユーザ並びにその相手から距離情報に加え、顔方向情報を取得する。顔方向情報の取得方法は、参照用顔方向情報の取得方法と同様である。
【0050】
このようにして新たに取得した距離情報に基づいて、最適な感染リスクを探索する。かかる場合には、予め取得した
図5(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した距離情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、その距離情報に規定される時期に応じた予約状況からなる参照用顔方向情報がP17と同一かこれに類似する場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、感染リスクCがw19、感染リスクDが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い感染リスクCを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる感染リスクDを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0051】
また、入力から伸びている連関度w1〜w12の例を以下の表2に示す。
【0053】
この入力から伸びている連関度w1〜w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1〜w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1〜w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0054】
図6は、上述した参照用距離情報と、参照用会話時間情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する感染リスクとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0055】
参照用会話時間情報とは、過去に検出した一のユーザとその相手との会話時間に関する情報である。ここでいう会話時間とは、互いに間隔を空けることなく交互に話をする場合には、その互いの会話の開始時点から終了時点までの時間間隔を示すものである。仮に会話が途中で間隔をおきつつ断続的に進行する場合には、その間隔を予め規定しておき、その規定した間隔よりも会話の休止期間が長い場合には、その前の会話の終わった時刻を上記終了時点とする。この予め規定した期間を何秒、何分にするかはユーザ側又はシステム側において自由に決めてよい。この参照用会話時間情報は、一のユーザ又はその相手が一方的に話をする場合には、その話の開始時点から終了時点までの時間間隔を示すものである。
【0056】
図6の例では、入力データとして例えば参照用距離情報P01〜P03、参照用会話時間情報P18〜21であるものとする。このような入力データとしての、参照用距離情報に対して、参照用会話時間情報が組み合わさったものが、
図6に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、感染リスクが表示されている。
【0057】
参照用距離情報と参照用会話時間情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、感染リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用距離情報と参照用会話時間情報がこの連関度を介して左側に配列し、感染リスクが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用距離情報と参照用会話時間情報に対して、感染リスクと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用距離情報と参照会話時間情報が、いかなる感染リスクに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用距離情報と参照用会話時間情報から最も確からしい各感染リスクを選択する上での的確性を示すものである。距離情報に加え、実際の会話時間の長さが長いほど相手側からの飛沫が体内に入るリスクは高くなり、感染リスクは変化する。このため、これらの参照用距離情報と参照用会話時間情報の組み合わせで、最適な感染リスクを探索していくこととなる。
【0058】
図6の例では、連関度としてw13〜w22が示されている。このw13〜w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0059】
探索装置2は、このような
図6に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用距離情報と参照用会話時間情報、並びにその場合の感染リスクが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図6に示す連関度を作り上げておく。
【0060】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用距離情報P01で、参照用会話時間情報P20である場合に、その感染リスクを過去のデータから分析する。例えば中間ノード61aの例では、感染リスクAと感染リスクBの出力にリンクしているが、以前の事例から感染リスクAにつながるw13の連関度を7点に、感染リスクBにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0061】
図6に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用距離情報P01に対して、参照用会話時間情報P18の組み合わせのノードであり、感染リスクCの連関度がw15、感染リスクEの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用距離情報P02に対して、参照用会話時間情報P19、P21の組み合わせのノードであり、感染リスクBの連関度がw17、感染リスクDの連関度がw18となっている。
【0062】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、新たに感染リスクの判定を行うユーザ並びにその相手から距離情報に加え、会話時間情報を取得する。会話時間情報の取得方法は、参照用会話時間情報の取得方法と同様である。
【0063】
このようにして新たに取得した距離情報、会話時間情報に基づいて、感染リスクを探索する。かかる場合には、予め取得した
図6(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した距離情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、新たに取得した会話時間情報に応じた参照用会話時間情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、感染リスクCがw19、感染リスクDが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い感染リスクCを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる感染リスクDを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0064】
図7は、上述した参照用距離情報と、参照用属性情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する感染リスクとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0065】
参照用属性情報とは、過去に検出した一のユーザの属性に関するあらゆる情報である。ここでいう属性とは、例えば、年齢、性別、職業以外に持病や実際に医者から制限されている生活態様、一日の残業時間、一日の運動量、一日の睡眠時間、夕食後に就寝するまでの時間、喫煙や飲酒の頻度等の健康に関する情報もこれに含まれる。
【0066】
図7の例では、入力データとして例えば参照用距離情報P01〜P03、参照用属性情報P18〜21であるものとする。このような入力データとしての、参照用距離情報に対して、参照用属性情報が組み合わさったものが、
図7に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、感染リスクが表示されている。
【0067】
参照用距離情報と参照用属性情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、感染リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用距離情報と参照用属性情報がこの連関度を介して左側に配列し、感染リスクが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用距離情報と参照用属性情報に対して、感染リスクと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用距離情報と参照属性情報が、いかなる感染リスクに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用距離情報と参照用属性情報から最も確からしい各感染リスクを選択する上での的確性を示すものである。距離情報に加え、実際の属性情報に応じて感染リスクは変化する。特に新型コロナウィルスの場合、年齢が高いほど死亡率が高くなることから、高齢の人をほどリスク管理を徹底する必要があることから、感染リスクは変化する。また新型コロナウィルスの場合、喫煙者ほど重症になり易い旨が報告されていることから、喫煙の有無に応じて感染リスクは変化する。このように、属性情報の種類に応じて感染リスクが異なることから、より感染リスクが高くなる属性ほど、より感染リスクが高くなるように連関度が形成されていてもよい。
【0068】
図7の例では、連関度としてw13〜w22が示されている。このw13〜w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0069】
探索装置2は、このような
図7に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用距離情報と参照用属性情報、並びにその場合の感染リスクが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図7に示す連関度を作り上げておく。
【0070】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用距離情報P01で、参照用属性情報P20である場合に、その感染リスクを過去のデータから分析する。例えば中間ノード61aの例では、感染リスクAと感染リスクBの出力にリンクしているが、以前の事例から感染リスクAにつながるw13の連関度を7点に、感染リスクBにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0071】
図7に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用距離情報P01に対して、参照用属性情報P18の組み合わせのノードであり、感染リスクCの連関度がw15、感染リスクEの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用距離情報P02に対して、参照用属性情報P19、P21の組み合わせのノードであり、感染リスクBの連関度がw17、感染リスクDの連関度がw18となっている。
【0072】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、新たに感染リスクの判定を行うユーザ並びにその相手から距離情報に加え、属性情報を取得する。属性情報の取得方法は、参照用属性情報の取得方法と同様である。
【0073】
このようにして新たに取得した距離情報、属性情報に基づいて、感染リスクを探索する。かかる場合には、予め取得した
図7(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した距離情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、新たに取得した属性情報に応じた参照用属性情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、感染リスクCがw19、感染リスクDが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い感染リスクCを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる感染リスクDを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0074】
図8は、上述した参照用距離情報と、参照用感染歴情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する感染リスクとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0075】
参照用感染歴情報とは、過去に検出した一のユーザ又はその相手における上記伝染病の感染歴に関するあらゆる情報である。この感染歴に関する情報は、過去に検出した一のユーザ、その相手の何れか一方のものであってもよいし、双方から抽出してもよい。
参照用感染歴情報は、判定対象の伝染病についての過去の感染歴に関する情報である。この参照用感染歴情報は、各ユーザやその相手が自らが情報取得部9により入力することで得るようにしてもよいし、医療機関等から得るようにしてもよい。参照用感染歴情報は、その伝染病にいつ、どこで、何回かかり、またどのようにして治療して治癒したか、また完治までの期間等、感染歴に関するあらゆる情報が含まれる。
【0076】
図8の例では、入力データとして例えば参照用距離情報P01〜P03、参照用感染歴情報P18〜21であるものとする。このような入力データとしての、参照用距離情報に対して、参照用感染歴情報が組み合わさったものが、
図8に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、感染リスクが表示されている。
【0077】
参照用距離情報と参照用感染歴情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、感染リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用距離情報と参照用感染歴情報がこの連関度を介して左側に配列し、感染リスクが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用距離情報と参照用感染歴情報に対して、感染リスクと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用距離情報と参照感染歴情報が、いかなる感染リスクに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用距離情報と参照用感染歴情報から最も確からしい各感染リスクを選択する上での的確性を示すものである。距離情報に加え、実際の感染歴情報に応じて感染リスクは変化する。特に以前感染歴があり、免疫があるのであれば感染リスクは減少する。一方、免疫があっても感染可能性が変化しない伝染病の場合、感染リスクは特段変化しない。仮に免疫の有無に応じて感染可能性が変化する伝染病の場合、免疫が強いほど、つまり感染歴があるほど、より感染リスクが高くなるように連関度が形成されていてもよい。
【0078】
図8の例では、連関度としてw13〜w22が示されている。このw13〜w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0079】
探索装置2は、このような
図8に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用距離情報と参照用感染歴情報、並びにその場合の感染リスクが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図8に示す連関度を作り上げておく。
【0080】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用距離情報P01で、参照用感染歴情報P20である場合に、その感染リスクを過去のデータから分析する。例えば中間ノード61aの例では、感染リスクAと感染リスクBの出力にリンクしているが、以前の事例から感染リスクAにつながるw13の連関度を7点に、感染リスクBにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0081】
図8に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用距離情報P01に対して、参照用感染歴情報P18の組み合わせのノードであり、感染リスクCの連関度がw15、感染リスクEの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用距離情報P02に対して、参照用感染歴情報P19、P21の組み合わせのノードであり、感染リスクBの連関度がw17、感染リスクDの連関度がw18となっている。
【0082】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、新たに感染リスクの判定を行うユーザ並びにその相手から距離情報に加え、感染歴情報を取得する。感染歴情報の取得方法は、参照用感染歴情報の取得方法と同様である。
【0083】
このようにして新たに取得した距離情報、感染歴情報に基づいて、感染リスクを探索する。かかる場合には、予め取得した
図8(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した距離情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、新たに取得した感染歴情報に応じた参照用感染歴情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、感染リスクCがw19、感染リスクDが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い感染リスクCを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる感染リスクDを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0084】
図9は、上述した参照用距離情報と、参照用自覚情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する感染リスクとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0085】
参照用自覚情報とは、過去に検出した一のユーザ又はその相手における上記伝染病の自覚症状に関するあらゆる情報である。この自覚症状に関する情報は、過去に検出した一のユーザ、その相手の何れか一方のものであってもよいし、双方から抽出してもよい。
【0086】
参照用自覚情報は、判定対象の伝染病について、実際に自らが自覚している症状を示すものであり、例えば、鼻水、倦怠感、体温、せきの出具合、呼吸の息苦しさ、動悸や息切れ等、自覚しているあらゆる症状がこれに含まれる。この参照用自覚情報は、各ユーザやその相手が自ら情報取得部9を介して入力されることで得るようにしてもよいし、各ユーザや相手からインタビューし、インタビュアーがこれを手入力してもよいし、医療機関等から得るようにしてもよい。
【0087】
図9の例では、入力データとして例えば参照用距離情報P01〜P03、参照用自覚情報P18〜21であるものとする。このような入力データとしての、参照用距離情報に対して、参照用自覚情報が組み合わさったものが、
図9に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、感染リスクが表示されている。
【0088】
参照用距離情報と参照用自覚情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、感染リスクに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用距離情報と参照用自覚情報がこの連関度を介して左側に配列し、感染リスクが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用距離情報と参照用自覚情報に対して、感染リスクと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用距離情報と参照自覚情報が、いかなる感染リスクに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用距離情報と参照用自覚情報から最も確からしい各感染リスクを選択する上での的確性を示すものである。距離情報に加え、実際の自覚情報に応じて感染リスクは変化する。特に伝染病毎に類型化されている自覚症状に当てはまっている場合には、その伝染病に疾患している可能性があり、相手側に与えるリスクはその分大きくなる。かかる場合には自覚症状があるほど、より感染リスクが高くなるように連関度が形成されていてもよい。
【0089】
図9の例では、連関度としてw13〜w22が示されている。このw13〜w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0090】
探索装置2は、このような
図9に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用距離情報と参照用自覚情報、並びにその場合の感染リスクが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図9に示す連関度を作り上げておく。
【0091】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用距離情報P01で、参照用自覚情報P20である場合に、その感染リスクを過去のデータから分析する。例えば中間ノード61aの例では、感染リスクAと感染リスクBの出力にリンクしているが、以前の事例から感染リスクAにつながるw13の連関度を7点に、感染リスクBにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0092】
図9に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用距離情報P01に対して、参照用自覚情報P18の組み合わせのノードであり、感染リスクCの連関度がw15、感染リスクEの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用距離情報P02に対して、参照用自覚情報P19、P21の組み合わせのノードであり、感染リスクBの連関度がw17、感染リスクDの連関度がw18となっている。
【0093】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、新たに感染リスクの判定を行うユーザ並びにその相手から距離情報に加え、自覚情報を取得する。自覚情報の取得方法は、参照用自覚情報の取得方法と同様である。
【0094】
このようにして新たに取得した距離情報、自覚情報に基づいて、感染リスクを探索する。かかる場合には、予め取得した
図9(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した距離情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、新たに取得した自覚情報に応じた参照用自覚情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、感染リスクCがw19、感染リスクDが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い感染リスクCを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる感染リスクDを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0095】
なお、本発明においては、この
図9に示す参照用自覚情報の代替として、過去に検出した一のユーザ及び/又はその相手における顔又は身体を撮像した参照用画像情報が参照用距離情報の組み合わせで連関度に関連付けられて学習されてなるものであってもよい。
【0096】
参照用画像情報とは、一のユーザ及び/又はその相手における顔又は身体をカメラにより撮像することで得られた情報である。こ実際にそのユーザや相手における顔にマスクがなされているのであれば、その分飛沫は飛びにくくなり、またユーザや相手の手に手袋がはめられていれば接触による感染の防止可能性が高まる。このようなマスクや手袋を初めとする、感染を防止できる可能性が高い状態になっているか否かを画像を通じて判別する。実際に一のユーザ及び/又はその相手における顔にマスクが装着されているのであれば、それを画像解析により読み取り、必要に応じてディープラーニング技術を利用し、解析画像の特徴量に基づいて自動判別し、データ化してもよい。
【0097】
また、連関度を通じて学習させる際には、そのマスクを装着することでどの程度感染リスクを防止できるか、様々な公衆衛生的なデータや専門家の見解等も含めて、感染リスクにつながる連関度を設計するようにしてもよい。
【0098】
かかる場合には、参照用距離情報と、参照用画像情報とを有する組み合わせと、感染リスクとの3段階以上の連関度を予め取得しておく。このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した距離情報に加え、判定対象のユーザ及び/又はその相手における顔又は身体の画像を撮像した画像情報を取得する。この画像情報は、上述した参照用画像情報と同種のデータで構成される。そして、連関度を参照した上で、新たに取得した距離情報と画像情報とに基づき、感染リスクを上述と同様に判定する。
【0099】
なお、本発明においては、この
図9に示す参照用自覚情報の代替として、過去に検出した一のユーザ及び/又はその相手における感染を防ぐための生活態様に関する参照用生活態様情報が参照用距離情報の組み合わせで連関度に関連付けられて学習されてなるものであってもよい。
【0100】
参照用生活態様情報とは、生活態様の中で特に感染を防ぐ上で効果的な生活態様を類型化した情報である。感染を防ぐ上で効果的な生活態様とは、例えばうがいや手洗い、入浴の有無や頻度、規則的な生活をしているか否かに加え、感染を防ぐ上で通勤時間を通勤ラッシュを避ける時間帯を選んでいるか否か、更には感染を防ぐために積極的に予防接種を受けているか否かに関する情報も含まれる。
【0101】
また、連関度を通じて学習させる際には、感染を防ぐ上で効果的な生活態様を取ることでどの程度感染リスクを防止できるか、様々な公衆衛生的なデータや専門家の見解等も含めて、感染リスクにつながる連関度を設計するようにしてもよい。
【0102】
かかる場合には、参照用距離情報と、参照用生活態様情報とを有する組み合わせと、感染リスクとの3段階以上の連関度を予め取得しておく。このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した距離情報に加え、判定対象のユーザ及び/又はその相手における生活態様情報を取得する。この生活態様情報は、上述した参照用生活態様情報と同種のデータで構成される。そして、連関度を参照した上で、新たに取得した距離情報と生活態様情報とに基づき、感染リスクを上述と同様に判定する。
【0103】
図10は、上述した参照用距離情報と、参照用顔方向情報に加えて、更に参照用増加傾向情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する感染リスクとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。参照用増加傾向情報とは、各地域における伝染病の増加傾向に関する情報である。この参照用増加傾向情報は、大きく分類してその伝染病の疾患者数が増加傾向にあるのか、或いは停滞傾向にあるのか、或いは減少傾向にあるのかを示す情報である。参照用増加傾向情報は、このような3つのレベルで示される場合に限定されるものではなく、その増加度合、減少度合が更に細かいピッチで示されていてもよい。また参照用増加傾向情報は、実際に都道府県別、或いは国別の伝染病の増加傾向や減少傾向を示す棒グラフ等のデータそのもので構成されていてもよい。このような参照用増加傾向情報がそれぞれ、都道府県別、或いは国別等により区分された各地域と紐付けられている。
【0104】
かかる場合において、連関度は、
図10に示すように、参照用距離情報と、参照用顔方向情報、参照用増加傾向情報との組み合わせの集合が上述と同様に中間ノードのノード61a〜61eとして表現されることとなる。
【0105】
例えば、
図10において、ノード61cは、参照用距離情報P02が連関度w3で、参照用顔方向情報P15が連関度w7で、参照用増加傾向情報P21が連関度w11で連関している。同様にノード61eは、参照用距離情報P03が連関度w5で、参照用顔方向情報P15が連関度w8で、参照用増加傾向情報P20が連関度w10で連関している。
【0106】
このような連関度が設定されている場合も同様に、新たに取得した距離情報、顔方向情報に加え、新たに地域情報を取得する。この地域情報は、判定対象のユーザの位置情報に対応した地域に関する地域情報である。仮に判定対象のユーザの位置情報が現時点において東京であれば地域情報は東京となる。また広い区分からなる地域情報では、日本となる。
【0107】
取得した地域情報に規定される地域に紐付けられた参照用増加傾向情報に基づき、
図10に示す連関度を参照しながら解探索を行う。
【0108】
この値段を推定する上で予め取得した
図10に示す連関度を参照する。例えば、取得した距離情報が参照用距離情報P02に同一又は類似で、取得した顔方向情報が参照用顔方向情報P15に対応し、更に取得した地域情報の地域に対応する参照用増加傾向情報がP21に対応する場合、その組み合わせはノード61cが関連付けられており、このノード61cは、感染リスクBが連関度w17で、また感染リスクDが連関度w18で関連付けられている。このような連関度の結果、w17、w18に基づいて、実際に探索解を求めていくことになる。
【0109】
このような入力パラメータの種類を3種類以上にわたり組み合わせる場合には、参照用増加傾向情報に加え、参照用距離情報、参照用顔方向情報、参照用会話時間情報、参照用属性情報、参照用感染歴情報、参照用自覚情報、参照用画像情報、参照用生活情報の何れ1以上で組み合わせが構成されたものであっても適用可能である。
【0110】
なお、距離情報に加えて、顔方向情報、会話時間情報、属性情報、感染歴情報、自覚情報、画像情報、生活情報等の何れか2以上を取得する場合には、その取得する2以上の情報に応じた、2以上の参照用情報(参照用顔方向情報、参照用会話時間情報、参照用属性情報、参照用感染歴情報、参照用自覚情報、参照用画像情報、参照用生活情報等)を参照用距離情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する感染リスクとの3段階以上の連関度からなる学習用データを作っておくことで、同様に解探索を行うことができる。
【0111】
また、距離情報に加えて、顔方向情報、会話時間情報、属性情報、感染歴情報、自覚情報、画像情報、生活情報等の何れか1以上に加え、更に、他の情報を取得する場合も同様に、その取得する情報に応じた参照用顔方向情報、参照用会話時間情報、参照用属性情報、参照用感染歴情報、参照用自覚情報、参照用画像情報、参照用生活情報等と、他の取得する情報に応じた参照用情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する感染リスクとの3段階以上の連関度からなる学習用データを作っておくことで、同様に解探索を行うことができる。
【0112】
また本発明は、
図11に示すように参照用情報Uと参照用情報Vという2種類以上の情報の組み合わせの連関度に基づいて各感染リスクを判別するものである。この参照用情報Uが参照用距離情報であり、参照用情報Vが、参照用顔方向情報、参照用会話時間情報、参照用属性情報、参照用感染歴情報、参照用自覚情報、参照用画像情報、参照用生活情報等であるものとする。或いは、参照用情報Uが参照用顔方向情報、参照用会話時間情報、参照用属性情報、参照用感染歴情報、参照用自覚情報、参照用画像情報、参照用生活情報等であり、参照用情報Vが、参照用距離情報であるものとする。
【0113】
このとき、
図11に示すように、参照用情報Uについて得られた出力をそのまま入力データとして、参照用情報Vとの組み合わせの中間ノード61を介して出力と関連付けられていてもよい。例えば、参照用情報Uについて、出力解を出した後、これをそのまま入力として、他の参照用情報Vとの間での連関度を利用し、出力を探索するようにしてもよい。
【0114】
上述した連関度においては、10段階評価で連関度を表現しているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の連関度で表現されていればよく、逆に3段階以上であれば100段階でも1000段階でも構わない。一方、この連関度は、2段階、つまり互いに連関しているか否か、1又は0の何れかで表現されるものは含まれない。
【0115】
上述した構成からなる本発明によれば、特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に融資を検討している企業の感染リスクの探索を行うことができる。また本発明によれば、この探索解の判断を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
【0116】
なお、上述した入力データ、及び出力データは、学習させる過程で完全に同一のものが存在しない場合も多々あることから、これらの入力データと出力データを類型別に分類した情報であってもよい。つまり、入力データを構成する情報P01、P02、・・・・P15、16、・・・は、その情報の内容に応じて予めシステム側又はユーザ側において分類した基準で分類し、その分類した入力データと出力データとの間でデータセットを作り、学習させるようにしてもよい。
【0117】
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0〜100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0118】
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいてより感染リスクに関する信憑性が高く、誤認の低い感染リスクを判別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。
【0119】
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
【0120】
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
【0121】
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また距離情報に加え、顔方向情報、会話時間情報、属性情報、感染歴情報、自覚情報、画像情報、生活情報等に関する知見、情報、データを取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
【0122】
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
【0123】
また、この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
【0124】
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
【解決手段】伝染病の感染リスクを判定する感染リスク判定プログラムにおいて、判定対象のユーザの位置情報と、その相手との位置情報から求められる相手間との距離に関する距離情報を取得する情報取得ステップと、過去に検出した一のユーザと、その相手間の距離に関する参照用距離情報と、上記伝染病の感染リスクとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにおいて取得した距離情報に基づき、上記判定対象のユーザの感染リスクを判定する判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。