(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6906819
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】ボール持ち上げ具
(51)【国際特許分類】
A63B 57/40 20150101AFI20210708BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20210708BHJP
【FI】
A63B57/40
A63B102:32
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-115251(P2020-115251)
(22)【出願日】2020年7月2日
【審査請求日】2020年7月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506369025
【氏名又は名称】出羽商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】佐 藤 一 憲
(72)【発明者】
【氏名】平 田 敏 之
【審査官】
石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−263227(JP,A)
【文献】
米国特許第08740716(US,B1)
【文献】
登録実用新案第3224105(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3222779(JP,U)
【文献】
特開平09−140845(JP,A)
【文献】
米国特許第01599734(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A63B57/40
G09F17/00
E04H12/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒状に形成されると共にその側面に上側スリットと下側スリットを設けた旗竿本体と、
当該旗竿本体の内部空間に、その軸方向に移動可能に内挿されたシャフト部材と、
当該シャフト部材に連結されて前記上側スリットから前記旗竿本体の外側に突出しているフック部材と、
当該前記下側スリットを介して前記シャフト部材の下端側に連結されて、旗竿本体の外周面に沿って昇降移動可能なプレート部材とからなることを特徴とする旗竿。
【請求項2】
1又は2以上のホールカップを備えたゴルフ施設であって、
前記ホールカップには旗竿が設けられていると共に、当該旗竿には請求項1に記載の旗竿が使用されていることを特徴とするゴルフ施設。
【請求項3】
1又は2以上のホールカップを備えたゴルフ施設においてカップインしたボールを取り出す動作を含むゴルフプレー方法であって、
前記ホールカップに設けられた旗竿に装着された請求項1に記載の旗竿におけるフック部材をゴルフクラブで持ち上げ、当該ボール持ち上げ具におけるプレート部材を上昇させることでホールカップ内のボールを取り出すことを特徴とするゴルフのプレー方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホールカップからゴルフボールを取り出すためのボール持ち上げ具に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ競技については2019年にルールが改正され、旗竿(「ピン」とも言う)を抜かずにパターが行えるようになった。しかしカップインしたボールを、旗竿を抜かずに拾いあげるには、旗竿が邪魔になる。無理にカップ内のボールを拾い上げると、手やボールがカップ周りのホールエッジ(芝によって形作られたホールの開口縁)に触れてしまい、ホールエッジの形が次第に削られてしまう。その結果、その後のプレーに大きな影響を及ぼしかねない。
【0003】
またパッティンググリーン上でホールカップに入ったボールを取り出す際には、プレーヤーが腰をかがめるか、しゃがみ込んで、ホールカップ内に手を入れてボールを取り出さなければならなかった。
【0004】
そこで従前においては、カップインしたボールの取り出しを補助する為の器具が幾つか提案されている。例えば特許文献1(実用新案登録第3223149号公報)では、カップインしたボールをホールカップから取り出す動作を迅速に行うことができるように、カップインしたボールを受け止めるボール受け部材と、ホールカップから立ち上げられたピンに上下動可能に装備されてボール受け部材をホールカップの底部への載置位置とホールカップの上方位置との間で上下動操作可能なシャフト部材としてのパイプ材とを有するホールカップ用補助具を提案している。
【0005】
また特許文献2(特許第6647494号公報)では、ピンを立てたままでパットをした場合に、ホールのふちを傷めることなくホールカップの外側でボールを取り出し、プレー時間の短縮を図ることができるゴルフコース旗竿として、ホールカップの中央に抜き差し可能に配置される軸体と、軸体の軸に沿って移動可能に保持され、ホールカップにカップインするボールを受けて保持する受け皿と、受け皿を、カップインするボールを受ける第1の位置からホールカップの外側でボールを取り出す第2の位置に移動させる移動手段を備えたゴルフコース旗竿が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3223149号公報
【特許文献2】特許第6647494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従前においてもカップインしたボールをホールカップから取り出すための器具や装置は提案されている。しかし前記特許文献1に開示されているホールカップ用補助具は、パイプ材を手で持って上下させなければならず、当該パイプ材は複数のプレーヤーが把持することから衛生上の問題が危惧された。また当該パイプ材を取り付ける旗竿(ピン)の下端にはホールカップへの取付部(ヘラール)が設けられることから、当該パイプ部材、ひいてはホールカップ用補助具の取付が困難になる事が危惧された。
【0008】
また前記特許文献2に開示されているゴルフコース旗竿は、移動手段としてコイルばねや保持機構を使用している。しかし旗竿は野晒で設置されることから、腐食やゴミの付着による動作不良の可能性も危惧された。また、手で保持機構を操作しなければならない事から、やはり衛生上の問題が危惧されていた。
【0009】
そこで本発明は、プレーヤーが手を触れなくともホールカップ内のボールを取り出すことができるようにして、(1)ゴルフプレー時におけるゴルフ施設の衛生上の問題を解消すること、(2)野晒で設置した場合であっても動作に支障が生じないこと及び、(3)パッティング時におけるカップインに支障を来さないようにすること、の少なくとも何れかの課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の少なくとも何れかを解決するべく本発明者が鋭意研究を行った結果、ゴルフクラブを使用してホールカップ内のボールを持ち上げる事により、複数の利用者が接触する共有部分に触れることなく、ボールを取り出せることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0011】
即ち本発明においては、前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、ホールカップ内のボールを持ち上げる為のボール持ち上げ具であって、ホールカップ内に立設されている旗竿の軸方向に移動自在としたシャフト部材と、当該シャフト部材の下方に設けられ、当該シャフト部材の移動によってホールカップ内のボールを持ち上げるプレート部材とからなり、前記シャフト部材には、当該シャフト部材を旗竿の軸方向に持ち上げるフック部材を設けたボール持ち上げ具を提供する。
【0012】
前記シャフト部材は、前記フック部材の持ち上げ動作によって前記プレート部材を引き上げる為に機能し得る部材を使用できる。当該シャフト部材は、前記旗竿を内挿する円筒部材である他、旗竿に沿って延伸する1又は2以上の棒部材又は軸部材であっても良い。更に前記旗竿が中空円筒部材で形成されている場合には、当該旗竿の内部空間を軸方向に移動する円筒部材又は軸部材であって良い。当該シャフト部材を前記旗竿の外側に設ける場合には、ホールカップへのボールの落下に支障を来さないように形成するのが望ましい。よって当該シャフト部材を、前記旗竿を内挿する筒状に形成した場合には、当該シャフト部材の外周には凹凸が存在せず、その外径は18mm以下、特に16mm以下の大きさに形成するのが望ましい。また当該シャフト部材は、ボールが当たった時に塑性変形しない程度の剛性を有するか、又は弾性変形可能な柔軟性を有することが望ましい。特に当該ボール持ち上げ具は野晒で設置されることから、少なくとも当該シャフト部材は耐候性を有する材料、例えばステンレスか、FRPのような繊維強化樹脂などの樹脂を用いて形成することが望ましい。
【0013】
また当該シャフト部材を筒状に形成して、その内部に旗竿を内挿する場合には、当該シャフト部材は、周方向に2又は3以上に分割(即ち軸方向に縦割り)して、これを組み合わせて形成することが望ましい。当該シャフト部材を円筒状に形成する場合には、半円筒体を接合した円筒状に形成することが望ましい。
【0014】
前記プレート部材はホールカップ内のボールを持ち上げることができる限りにおいて各種形状及び構造に形成できる。例えばホールカップ内に広がる円盤形状に形成する他、ホールカップ内に放射状に延伸する軸からなるフレーム形状に形成することができる。当該プレート部材は、均一な厚さに形成する他、外縁に向かって薄くなるように上面を傾斜させて形成することもできる。更に当該プレート部材は、ホールカップ内のボールを持ち上げることができる程度の剛性を有することが望ましい。また当該プレート部材は、ボールが落下した時の音を考慮すれば金属で形成するのが望ましい。また当該プレート部材は、ホールカップに落下したボールが弾むことが無い様にゴム等の使用は避けることが望ましい。
【0015】
前記フック部材は、前記シャフト部材を持ち上げる為に機能し得る限りにおいて各種形状及び構造に形成できる。当該フック部材はゴルフクラブで引き上げることができる形状に形成することが望ましい。例えば当該フック部材は、筒体形状に形成したシャフト部材の上端側から水平方向に延伸する延伸部と、当該延伸部の先端側を下方に湾曲させた湾曲部とで形成できる。また当該フック部材として、前記シャフト部から上方に立ち上がると共に、その先端部に湾曲部を形成しても良い。また当該フック部材として、シャフト部材にゴルフクラブで操作可能な突起やリングなどを設けても良い。即ち当該フック部材はゴルフクラブで操作できる限りにおいて各種形状及び構造に形成することができる。また当該フック部材はゴルフクラブでの操作を前提とする場合には、地上高10cm以上、150cm以下の高さ、特に地上高10cm以上、50cm以下の高さに形成するのが望ましい。そして当該フック部材は各種材料で形成しても良いが、望ましくはゴルフクラブを損傷させることが無い様な柔軟性を有する材料が表面に存在することが望ましい。
【0016】
上記本発明に係るボール持ち上げ具において、前記シャフト部材は半円筒体を接合して構成される筒体であって、その中空部に前記旗竿を内挿して設けられ、当該各半円筒体の下端側には外向きフランジが形成されており、半円筒体の上端は前記フック部材を保持するリング体によって緊結されると共に、その下端は前記フランジにおいて、半円盤体を組み合わせてなる前記プレート部材によって一体化し、当該シャフト部材の外周には凹凸が存在せず、その外径は18mm以下に形成することができる。
【0017】
そして本発明では、前記ボール持ち上げ具を一体化した旗竿を提供する。即ちゴルフ施設に設けられる旗竿であって、前記本発明に係るボール持ち上げ具を設けた旗竿である。また当該旗竿は、中空円筒状に形成されると共にその側面に上側スリットと下側スリットを設けた旗竿本体と、当該旗竿本体の内部空間に、その軸方向に移動可能に内挿されたシャフト部材と、当該シャフト部材に連結されて前記上側スリットから前記旗竿本体の外側に突出しているフック部材と、当該前記下側スリットを介して前記シャフト部材の下端側に連結されて、旗竿本体の外周面に沿って昇降移動可能なプレート部材とからなる旗竿とすることもできる。
【0018】
また本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、前記本発明のボール持ち上げ具を用いたゴルフ施設を提供する。即ち、1又は2以上のホールカップを備えたゴルフ施設であって、前記ホールカップには旗竿が設けられていると共に、当該旗竿には、前記本発明に係るボール持ち上げ具を設けたことを特徴とするゴルフ施設を提供する。かかるゴルフ施設は、ゴルフコースである他ゴルフ練習場であっても良く、更にゴルフパッティングの練習具であっても良い。
【0019】
また本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、前記本発明に係るボール持ち上げ具を用いたゴルフのプレー方法を提供する。即ち、1又は2以上のホールカップを備えたゴルフ施設においてカップインしたボールを取り出す動作を含むゴルフプレー方法であって、前記ホールカップに設けられた旗竿に装着された本発明に係るボール持ち上げ具におけるフック部材をゴルフクラブで持ち上げ、当該ボール持ち上げ具におけるプレート部材を上昇させることでホールカップ内のボールを取り出すゴルフのプレー方法である。かかるゴルフプレー方法はトーナメントなどの公式戦の他、各種のゴルフプレーであって良く、更にはゴルフの練習におけるプレーであっても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明のボール持ち上げ具は、ホールカップ内に立設されている旗竿の軸方向に移動自在としたシャフト部材と、当該シャフト部材の移動によってホールカップ内のボールを持ち上げるプレート部材とからなり、前記シャフト部材には、当該シャフト部材を旗竿の軸方向に持ち上げるフック部材を設けている。その結果、当該フック部材をゴルフクラブなどで操作して、シャフト部材を上下動させ、前記プレート部材によってホールカップ内のボールを取り出すことができる。よって、プレーヤーが手を触れなくともホールカップ内のボールを取り出すことができ、衛生上の問題を解消したボール持ち上げ具とすることができる。
【0021】
そして前記ボール持ち上げ具はバネ等を使用していない事から野晒で設置しても動作に支障が生じない。特に前記シャフト部材をステンレスやFRPのような繊維強化樹脂などの樹脂で形成した場合には耐候性も向上し、またパッティングによりゴルフボールが衝突した際の変形も阻止できる。
【0022】
そして上記シャフト部材を円筒形状に形成して前記旗竿を内挿した場合には、旗竿の周方向に均等な厚さにすることができる為、全ての方向においてホールカップの内径とシャフト部材の外径との間の距離を均等にすることができる。またシャフト部材の周方向に凹凸が存在しないようにすることができる。その結果、パッティング時におけるカップインに支障を生じさせないボール持ち上げ具が実現する。更に当該シャフト部材の外径を18mm以下、特に16mm以下にする事により、当該ホールカップの内径とシャフト部材の外径との間の距離を十分に確保することができる。よってパッティング時におけるカップインに支障を生じさせないボール持ち上げ具が実現する。
【0023】
そして前記フック部材を、筒体形状のシャフト部材の上端側から水平方向に延伸する延伸部と、当該延伸部の先端側を下方に湾曲させた湾曲部とで形成し、当該フック部材の延伸部を、地上高10cm以上とする事により、当該フック部材がパッティング時におけるボールの挙動に影響を与えることが無くなり、パッティング時におけるカップインに支障を生じさせないボール持ち上げ具が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の実施の形態に係るボール持ち上げ具の使用状態を示す側面図
【
図2】第1の実施の形態に係るボール持ち上げ具の分解斜視図
【
図3】第2の実施の形態に係るボール持ち上げ具に使用するシャフト部材を示す分解斜視図
【
図4】第2の実施の形態に係るボール持ち上げ具の(A)フック部材の設置状態を示すA−A矢視図、(B)部分省略側面図、(C)プレート部材の設置状態を示すC−C矢視図
【
図5】第3の実施の形態に係るボール持ち上げ具の(A)縦断面図、(B)正面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかるボール持ち上げ具10を具体的に説明する。
図1は第1の実施の形態に係るボール持ち上げ具10の使用状態を示す側面図である。
図2は第1の実施の形態に係るボール持ち上げ具10の分解斜視図である。
【0026】
図1及び2を参照しながら、第1の実施の形態に係るボール持ち上げ具10を説明する。この実施の形態に係るボール持ち上げ具10は旗竿5を、その中空部に内挿するシャフト部材20を用いて形成した実施の形態を示している。即ち、この実施の形態に係るボール持ち上げ具10は、旗竿5の下端側に、当該旗竿5を内挿して配置された円筒状のシャフト部材20と、このシャフト部材20の下端側に設けられたプレート部材30と、前記シャフト部材20の上端側に設けられたフック部材40とで形成されている。
【0027】
シャフト部材20は、旗竿5を内挿する中空部を備える筒体形状であって、当該旗竿5の軸方向に摺動自在(即ち移動自在)に形成されている。よって当該シャフト部材20は、旗竿5の外径よりも僅かに大きい内径で形成しており、本実施の形態では内径15mmに形成している。また当該シャフト部材20はホールカップ6内に存在する。よって当該シャフト部材20は、ホールカップ6の内周面との間に十分な空間を確保できるように、その外径を16mmにしている。また当該シャフト部材20はその軸方向長さを500mmとしている。その結果ホールカップ6の底面から立ち上がった状態においても、上端に設けられるフック部材40がパッティング時におけるボールの挙動に影響を与えない。また、当該フック部材40をゴルフクラブで操作しやすい高さに保持できる。但し、当該シャフト部材20の内径、外径及び長さはホールカップ6の内径、使用するゴルフボールの外径、及び旗竿5の外径に応じて適宜変更することができ、例えばゴルフルールの変更に伴って適宜変更することができる。
【0028】
そして上記プレート部材30は、前記ホールカップ6の内部空間に収容される大きさの円盤形状であって、前記ホールカップ6との間にゴルフボールが落下しない程度の隙間を確保する大きさに形成される。当該プレート部材30は、上面を外縁方向に向かって下がる様に傾斜させている。その結果、当該プレート部材30で持ち上げたボールは、ホールカップ6の外であるグリーンエリアに転がり出ることができる。
【0029】
当該プレート部材30はシャフト部材20の下端側に一体化されている為、当該シャフト部材20に連動して上下動する。そして当該シャフト部はその上端側に設けたフック部材40によって上方に持ち上げることができる。
【0030】
当該フック部材40は、シャフト部材20の上端側を緊結するリング体41と、当該リング体41に設けられた板状張出部42と、当該プレート部材30に設けられたフック本体43とで形成している。当該フック本体43はシャフト部材20の中心からの出幅が30〜100mm(本実施の形態では66mm)となる長さに形成している。当該旗竿5はグリーン上に横倒しする場合も有る為である。ただしフック本体43の出幅は適宜変更して良い。また当該フック部材40はプレーヤーが使用するゴルフクラブで持ち上げる事を想定している為、当該ゴルフクラブに傷をつけることの無い様に、その表面は弾性を有する樹脂(シリコン樹脂等)で被覆するのが望ましい。当該フック部材40をゴルフクラブで持ち上げることにより、引き上げの為の部材を別途準備する必要が無く、またプレーヤーの接触部分を大幅に削減できる。その結果、接触による感染などのリスクを大幅に軽減でき、衛生管理を徹底できる。以上から、望ましくは、当該フック部材40はゴルフクラブで持ち上げるのに適した長さ及び形状に形成する。
【0031】
図2は前記第1の実施の形態に係るボール持ち上げ具10の構造を示す1つの実施の形態を示す分解斜視図である。このボール持ち上げ具10は、特に旗竿5に対するシャフト部材20の取付容易性を向上させている。即ち、シャフト部材20は、対向配置された半円筒体21を接合して筒体を構成するように形成している。その結果、旗竿5の外周面を挟み込んで、当該半円筒体21を接合することで当該旗竿5に設置できる。よって旗竿5のヘラール7の存在に拘わらず、当該シャフト部材20を取り付けることができる。
【0032】
かかるシャフト部材20の下端には、外向きフランジを備えた下側留め具22が設けられている。当該下側留め具22も縦に分割して半円形状に形成している。分割した半円形状の下側留め具22の構成要素を組み合わせることで、前記シャフト部材20を挟持できる。よって、当該下側留め具22も前記旗竿5のヘラール7の存在に拘わらず、当該シャフト部材20に設置可能である。なお、当該シャフト部材20と下側留め具22との一体化はビス、接着剤、溶着、嵌合などで行うことができる。
【0033】
前記プレート部材30は、半円形状のプレート部材構成要素(半円盤体)31を正対させて一体化することで円盤形状となる。このプレート部材30も分割して形成し、その中央孔にシャフト部材20を挟み込んで一体化する。その結果、旗竿5のヘラール7の存在に拘わらず、当該シャフト部材20に設置できる。当該プレート部材30は、前記シャフト部材20の下端側に設けられた下側留め具22のフランジ部23に重ね合わされて固定できる
。下側留め具22の接合部と、プレート部材構成要素(半円盤体)31同士の接合部とを交差する向き(望ましくは直交する向き)で両者を一体化することにより、前記シャフト部材20の下端側を一体化することができる。
【0034】
そして前記シャフト部材20の上端側には、フック部材40を保持するリング体41を設けている。当該リング体41は半円筒体を接合して形成している。当該リング体41の接合は、接着剤や溶接によって行う他、篏合構造に形成したり、或いはリング体41に設けた板状張出部42同士をビスやボルトで緊結することができる。かかるフック部材40のリング体41の接合部分は、前記シャフト部材20を構成する半円筒体同士の接合部分と正対することが無い様に、両者をずらして(望ましくは90°)組み合わせることが望ましい。
【0035】
以上の構成により、当該ボール持ち上げ具10は、旗竿5のヘラール7の存在に拘わらず、当該旗竿5に設置することができる。従って既存の旗竿5に対しても設置可能であって、更に設置後におけるメンテナンスなどの交換作業を簡易に行うことができる。
【0036】
図3は第2の実施の形態に係るボール持ち上げ具10に使用するシャフト部材20を示す分解斜視図であり、
図4は第2の実施の形態に係るボール持ち上げ具10の(A)フック部材40の設置状態を示すA−A矢視図、(B)部分省略側面図、(C)プレート部材30の設置状態を示すC−C矢視図である。
【0037】
特にこの実施の形態に係るボール持ち上げ具10は、シャフト部材20にフランジ状の突出部25を設けている。かかる突出部25は全周にわたって形成する他、一部に形成しても良い。そして半円筒体21を接合することにより、フック部材40を保持するリング体41の設置個所、及びプレート部材30の設置個所にはフランジ状の突出部25を出現させている。即ち、フック部材40を保持するリング体41及びプレート部材30は、それぞれ突出部25同士の間に保持されている。その結果、これらの上下移動を阻止できると共に、シャフト部材20を構成する半円筒体21同士の上下方向のズレを阻止することができる。
【0038】
特に本実施の形態において、フック部材40は、シャフト部材20の上端側を緊結するリング体41と、当該リング体41に設けられたブロック状張出部44と、当該ブロック状張出部44に設けた孔部に挿入固定されるフック本体43とで形成している。当該フック部分は、水平方向に延伸する延伸部と当該延伸部の先端側を下方に湾曲させた湾曲部とで形成している。また前記リング体41は半円筒体を対向させて一体化しており、半円筒体同士は略「Ω」字状に形成すると共に、対向させたフランジ部分45同士をノッチロックなどの連結部材46を用いて一体化している。かかる構成により、当該フック部材40の設置容易性を向上させている。
【0039】
図5は第3の実施の形態に係るボール持ち上げ具10を示す(A)縦断面図、(B)正面図である。特にこの実施の形態に係るボール持ち上げ具10では、前記シャフト部材20を旗竿5の内部空間に設置している。即ち、当該ボール持ち上げ具10を設けた旗竿5として具体化することができる。
【0040】
当該旗竿5は、中空円筒状に形成されると共にその側面に上側スリット26と下側スリット27を設けた旗竿本体50と、当該旗竿本体50の内部空間に、その軸方向に移動可能に内挿されたシャフト部材20と、当該シャフト部材20に連結されて前記上側スリット26から前記旗竿本体50の外側に突出しているフック部材40と、当該前記下側スリット27を介して前記シャフト部材20の下端側に連結されて、旗竿本体50の外周面に沿って昇降移動可能なプレート部材30とからなる旗竿5としている。
【0041】
本実施の形態におけるシャフト部材20は、円筒形状である他、棒状であっても良く、少なくとも前記旗竿本体50の内部を上下昇降自在な大きさで形成される。また当該シャフト部材20の長さは、前記プレート部材30をホールカップ6の底面に存在させた状態において、前記フック部材40をゴルフクラブなどで操作できる長さに形成することができる。例えば当該シャフト部材20の長さは30cm〜70cm程度に形成することができる。
【0042】
前記フック部材40は、前記第1の実施の形態に示したフック部材40と同様に、ゴルフクラブで操作できる形状であれば制限なく実施できる。本実施の形態に係るフック部材40は、前記シャフト部材20の昇降移動を確保できる限りにおいて各種方法・構造で前記シャフト部材20に一体化すればよい。かかるフック部材40は、旗竿本体50の側面に形成された上側スリット26に沿って昇降移動することから、当該上側スリット26は、後述のプレート部材30の移動距離と同じか、それよりも長く形成する。
【0043】
前記プレート部材30は、前記第1の実施の形態に示したプレート部材30と同様に、ホールカップ6内のボールを持ち上げる事のできる形状及び大きさであれば制限なく実施できる。当該プレート部材30は、前記旗竿本体50に設けられた下側スリット27を貫通する軸などによって前記シャフト部材20に一体化できる。よって旗竿本体50の下側スリットは、当該プレート部材30の移動距離と同じか、それよりも長く形成する。
【0044】
この旗竿5は、旗竿本体50の上側スリット26から延出しているフック部材40を、ゴルフクラブなどで持ち上げると、旗竿本体50内のシャフト部材20も上昇する。そしてプレート部材30も下側スリット27を介して持ち上げられることから、ホールカップ6内のボールを持ち上げることができる。
【0045】
よって、上記本実施の形態に係るボール持ち上げ具を使用すれば、ゴルフ施設においてカップインしたボールを取り出す動作を含むゴルフプレー方法であって、ホールカップ6に設けられた旗竿5に装着されたボール持ち上げ具10、若しくは前記
図5に示した旗竿5において、フック部材40をゴルフクラブで持ち上げ、当該ボール持ち上げ具におけるプレート部材を上昇させることでホールカップ内のボールを取り出すことができるゴルフのプレー方法を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のボール持ち上げ具は、ゴルフ施設におけるホールカップ6の旗竿に設置して利用することができる。よって、ゴルフコースは勿論の事、屋内・屋外のゴルフ練習施設や、パター練習具等においても利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
5:旗竿、6:ホールカップ、7:ヘラール、10:ボール持ち上げ具、20:シャフト部材、21:半円筒体、22:下側留め具、23:フランジ部、25:突出部、26:上側スリット、27:下側スリット、30:プレート部材、31:プレート部材構成要素、40:フック部材、41:リング体、42:板状張出部、43:フック本体、44:ブロック状張出部、45:フランジ部分、46:連結部材、50:旗竿本体
【要約】
【課題】 プレーヤーが手を触れなくともホールカップ内のボールを取り出すことができるボール持ち上げ具を提供する。
【解決手段】 ホールカップ内のボールを持ち上げる為のボール持ち上げ具であって、ホールカップ内に立設されている旗竿の軸方向に移動自在としたシャフト部材と、当該シャフト部材の下方に設けられ、当該シャフト部材の移動によってホールカップ内のボールを持ち上げるプレート部材とからなり、前記シャフト部材には、当該シャフト部材を旗竿の軸方向に持ち上げるフック部材を設けたボール持ち上げ具。
【選択図】
図2