(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持プレートの穴の内周面に凹溝を設け、この凹溝と前記ホーニングヘッドの外周面との間の隙間で、前記クーラント供給路と前記クーラント排出路とを連通する連通路を構成する請求項1に記載のホーニング加工装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホーニング加工は、
図9に示すようなホーニングヘッド120を用いて行う。ホーニングヘッド120は、円筒状の本体122と、本体122の外周面から外径に突出可能な複数の砥石124が設けられる。このホーニングヘッド120を、部品(例えば、コンロッド110)に設けられた穴に挿入し、コンロッド110の内周面112にホーニングヘッド120の砥石124を押し付けた状態で、ホーニングヘッド120を回転させながら昇降させることにより、コンロッド110の内周面112が研磨される。
【0005】
例えば、
図10に示すように、複数のコンロッド110を重ねて各コンロッド110の内周面112を同軸上に配置し、各コンロッド110の内周面112を一つのホーニングヘッドで一括して加工すれば、加工効率が高められる。しかし、加工誤差等によりコンロッド110の大端部114と小端部116の端面の高さが僅かに異なっていると、コンロッド110の端面同士を重ね合わせたときに、大端部114あるいは小端部116(図示例では小端部116)の端面間に隙間δが生じる。この隙間δを詰めて端面同士を接触させると、複数のコンロッド110の穴の同軸度が低下するため、穴の加工精度が低下する。このため、両コンロッド110間の隙間δを保持し、両コンロッド110の穴の同軸度を維持した状態でホーニング加工を行う必要があるが、このように両コンロッド110間の微小な隙間δを保持しながらホーニング加工を行うことは容易ではない。
【0006】
例えば、
図11に示すように、各コンロッド110をカセット(治具)に装着することで、各コンロッド110がカセットの支持プレート131,132で下方から支持された状態となるため、各コンロッド110の位置や姿勢の微調整がしやすくなり、複数のコンロッド110の内周面112を同軸上に配置しやすくなる。各支持プレート131,132には、ホーニングヘッド120が通過するための穴131a,132aが設けられる。
【0007】
しかし、
図11に示すように、砥石124全体が下側のコンロッド110の穴から上方に抜ける位置までホーニングヘッド120を上昇させると、その後にホーニングヘッド120を降下させて下側のコンロッド110の穴の内周に挿入する際に、砥石124が下側のコンロッド110の穴の上端開口部に干渉するおそれがある(点線参照)。
【0008】
このため、
図12(A)(B)に示すように、両コンロッド110の内周面112に砥石124が接触した状態を維持しながら、各ホーニングヘッド120を昇降させる必要がある。この場合、両コンロッド110の間に配された支持プレート131の穴131aに、常にホーニングヘッド120が挿入された状態となるため、この支持プレート131の穴131aの内周面とホーニングヘッド120の外周面との間の隙間Sは、ほぼ閉塞された状態となる。このため、上記の隙間Sに溜まった加工屑が排出されにくく、この加工屑により砥石124が目詰まりすることで、加工性が低下して加工不良を招くおそれがある。
【0009】
以上のような事情は、コンロッドのホーニング加工に限らず、複数の部品の内周面に対して一括してホーニング加工を施す場合に同様に生じる。
【0010】
そこで、本発明は、複数の部品の内周面に対して一括してホーニング加工を施すにあたり、加工屑に起因する加工不良を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、複数の部品の円筒面状の内周面を同軸上に配した状態で、これらの内周面に一括してホーニング加工を施すホーニング加工装置であって、複数の部品の間に配される支持プレートを備え、前記支持プレートが、ホーニングヘッドが挿入される穴と、前記穴の内周面と前記ホーニングヘッドの外周面との間の隙間にクーラントを供給するクーラント供給路と、前記隙間に供給されたクーラントを排出するクーラント排出路とを有するホーニング加工装置を提供する。
【0012】
このホーニング加工装置では、支持プレートの穴の内周面とホーニングヘッドの外周面との間の隙間に、支持プレートに設けたクーラント供給路を介してクーラントを供給すると共に、この隙間に供給されたクーラントを、支持プレートに設けたクーラント排出路を介して外部に排出することができる。これにより、上記の隙間に溜まった加工屑をクーラントと共に外部に排出することができるため、加工屑に起因する加工不良を防止することができる。
【0013】
支持プレートの穴の内周面とホーニングヘッドの外周面との間の隙間が小さい場合、上記の隙間の流路面積が小さくなってクーラントが流れにくくなるため、加工屑の除去効率が低下するおそれがある。そこで、前記支持プレートの穴の内周面に凹溝を設け、この凹溝と前記ホーニングヘッドとの間の隙間で、前記クーラント供給路と前記クーラント排出路とを連通する連通路を構成することで、連通路の流路面積が確保されるため、上記の隙間にクーラントを十分に供給して加工屑を効率的に除去することができる。
【0014】
例えば、支持プレートの穴の径を大きくし、上記の隙間の半径方向幅を大きくすれば、上記の隙間の流路面積を拡大することができる。しかし、この場合、支持プレートの端面の面積が小さくなるため、支持プレートの端面と部品の端面との接触面積が小さくなり、部品の支持が不安定となるおそれがある。
【0015】
そこで、前記凹溝は、前記支持プレートの内周面のうち、前記支持プレートの厚さ方向中間部に設けることが好ましい。これにより、支持プレートの端面の面積を縮小することなく凹溝を設けることができるため、支持プレートの端面と部品の端面との接触面積を確保して部品を安定的に支持することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、複数の部品の内周面に対して一括してホーニング加工を施すにあたり、加工不良を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
本実施形態に係るホーニング加工装置は、
図1及び
図2に示すように、ホーニングヘッド1と、複数のワークを固定する固定治具2とを備える。本実施形態では、複数(図示例では2個)のコンロッド110の小端部116の内周面112に対して一括してホーニング加工を施す場合を示す。
【0020】
ホーニングヘッド1は、円筒状の本体1aと、本体1aの外周面から突出可能な複数(図示例では4個)の砥石1bとを備える。本体1aの内部には、砥石1bの突出量を調整する機構(図示省略)が設けられる。ホーニングヘッド1は、駆動部(図示省略)により、回転駆動されると共に、本体1aの軸心方向(本実施形態では上下方向)に駆動される。
【0021】
固定治具2は、第1カセット10と、第2カセット20と、蓋30とを備える。第1カセット10及び第2カセット20には、それぞれコンロッド110が平置きの状態(大端部114及び小端部116の穴の軸心が上下方向となる状態)でセットされる。
【0022】
第1カセット10は、
図3に示すように、支持プレート11と、一対のガイドプレート12と、規制部材13とを備える。
【0023】
支持プレート11は、上面にコンロッド110が載置され、コンロッド110の大端部114及び小端部116の端面の全周を下方から支持する。支持プレート11には、厚さ方向に貫通し、ホーニングヘッド1が挿入される穴11aが設けられる。穴11aの内周面は円筒面状をなしている。穴11aの内周面には凹溝11a1が設けられる。本実施形態では、
図4に示すように、穴11aの内周面の上下方向(支持プレート11の厚さ方向)中間部に、環状の凹溝11a1が設けられる。
【0024】
図3(A)(B)に示すように、支持プレート11の内部には、後述するクーラント供給路として機能する流路11bが設けられる。本実施形態では、支持プレート11の穴11aの直径方向両側に、一対の流路11bが設けられる。流路11bは、水平方向に延びる水平部11b1と、厚さ方向に延びる垂直部11b2とを備える。水平部11b1の一端は、穴11aの内周面に開口し、図示例では凹溝11a1の底面に開口している。水平部11b1の他端は、垂直部11b2と連通している。
【0025】
支持プレート11には、後述するクーラント排出路として機能する流路として、切り欠き11cが設けられる。切り欠き11cは、穴11aから外径向きに延び、支持プレート11を厚さ方向に貫通している。図示例では、支持プレート11の穴11aの直径方向両側に、一対の切り欠き11cが設けられる。切り欠き11cの一端は、穴11aの内周面に開口し、特に、流路11bの開口部と異なる円周方向位置に開口している。
【0026】
一対のガイドプレート12は、支持プレート11の上面の幅方向(短辺方向)両端に固定され、コンロッド110の大端部114の幅方向の位置決めを行う。ガイドプレート12の上面及び下面には、後述するクーラント排出路として機能する溝12aが設けられる。
図3(A)に示す平面視では、ガイドプレート12の溝12aが、支持プレート11の切り欠き11cと一部重複している。すなわち、支持プレート11の切り欠き11c内の空間と、ガイドプレート12の下面の溝12aと支持プレート11の上面との間の隙間とが、直接連通している。ガイドプレート12には、支持プレート11の流路11bと連通する一対の貫通穴12bが設けられる。
【0027】
規制部材13は、支持プレート11の上面のうち、一対のガイドプレート12の幅方向間に設けられる。規制部材13は、支持プレート11の穴11aを囲む略U字形状の規制部13aを有する。規制部13aは、コンロッド110の小端部116の幅方向のおおよその位置決めを行うと共に、コンロッド110がそれ以上奥側(大端部114と反対側)に押し込まれることを規制する。
【0028】
第2カセット20は、第1カセット10とおおよそ同様の構成を有し、
図5に示すように、支持プレート21と、一対のガイドプレート22と、規制部材23とを備える。
【0029】
支持プレート21は、上面にコンロッド110が載置され、コンロッド110の大端部114及び小端部116の端面の全周を下方から支持する。支持プレート21には、厚さ方向に貫通し、ホーニングヘッド1が挿入される穴21aが設けられる。穴21aの内周面は円筒面状をなしている。穴21aの内周面の下端には、環状の凹溝21a1が設けられる。
【0030】
支持プレート21の内部には、後述するクーラント供給路として機能する流路21bが設けられる。図示例では、支持プレート21の穴21aの直径方向両側に、一対の流路21bが設けられる。本実施形態では、流路21bが、水平方向に延びる水平部21b1と、厚さ方向に延びる垂直部21b2とを備える。水平部21b1の一端は穴21aの内周面に開口し、図示例では、穴21aの内周面のうち、凹溝21a1とその他の領域(小径部)との境界に開口している。水平部21b1の他端は、垂直部21b2と連通している。
【0031】
支持プレート21には、後述するクーラント排出路として機能する流路として、切り欠き21cが設けられる。切り欠き21cは、穴21aから外径向きに延び、支持プレート21を厚さ方向に貫通している。図示例では、支持プレート21の穴21aの直径方向両側に、一対の切り欠き21cが設けられる。切り欠き21cの一端は、穴21aの内周面に開口し、特に、流路21bの開口部と異なる円周方向位置に開口している。
【0032】
一対のガイドプレート22は、支持プレート21の上面の幅方向(短辺方向)両端に固定される。ガイドプレート22の上面及び下面には、後述するクーラント排出路として機能する溝22aが設けられる。
図5(A)に示す平面視では、ガイドプレート22の溝22aが、支持プレート21の切り欠き21cと一部重複している。すなわち、支持プレート21の切り欠き21c内の空間と、ガイドプレート22の下面の溝22aと支持プレート21の上面との間の隙間とが、直接連通している。ガイドプレート22には、支持プレート21の流路21bと連通する一対の貫通穴22bが設けられる。
【0033】
規制部材23は、支持プレート21の上面のうち、一対のガイドプレート22の幅方向間に固定される。規制部材23は、支持プレート21の穴21aを囲む略U字形状の規制部23aを有する。
【0034】
第2カセット20には、支持プレート21及びガイドプレート22を厚さ方向に貫通する貫通穴24が設けられる。本実施形態では、
図5(A)に示す平面視において、ガイドプレート22に設けられた貫通穴22b及び貫通穴24が、正方形の各頂点上に配される。
【0035】
蓋30には、
図6に示すように、厚さ方向に貫通した穴31が設けられる。穴31の内周面には凹溝31aが設けられ、図示例では、穴31の内周面の上端に環状の凹溝31aが設けられる。蓋30の上面には、水平方向に延びる溝32が形成される。図示例では、凹溝31aの直径と同じ幅の溝32が形成される。
【0036】
蓋30には、後述するクーラント供給路を構成する流路33が設けられる。図示例では、穴31の直径方向両側に、一対の流路33が設けられる。流路33の一端は穴31の内周面に開口している。流路33は、蓋30の内部を水平方向に延びる水平部33aと、蓋の内部を上下方向に延びる垂直部33bとを有する。水平部33aの一端は、穴31の内周面に開口し、水平部33aの他端は、垂直部33bと連通している。垂直部33bの上端は閉塞され、垂直部33bの下端は蓋30の下面に開口している。
【0037】
上記の第1カセット10及び第2カセット20にそれぞれコンロッド110をセットした後、
図1に示すように、第2カセット20、第1カセット10、蓋30の順に下から重ねて、これらをボルト等の適宜の手段で固定して一体化する。本実施形態では、
図2に示すように、各カセット10,20にセットされたコンロッド110の小端部116の軸心を中心として、各カセット10,20の長手方向が直交するように、各カセット10,20を配置している。以上により、固定治具2に一対のコンロッド110が装着される。
【0038】
固定治具2に一対のコンロッド110を装着した状態では、
図7に示すように、両コンロッド110の小端部116の内周面112と、第1カセット10の支持プレート11の穴11aの内周面と、第2カセット20の支持プレート21の穴21aの内周面と、蓋30の穴31の内周面とが同軸上に配置される。各カセット10,20の支持プレート11,21の穴11a,21aの内周面、及び、蓋30の穴31の内周面は、各コンロッド110の小端部116の内周面112よりも僅かに大径であり、内周面112よりも外径側に配される。重ねて配置した一対のコンロッド110の小端部116の内周に位置決めピンを挿入することにより、各コンロッド110の小端部116の内周面112の芯出しが行われる。
【0039】
こうしてカセット10,20及び蓋30を重ねて固定することにより、第2カセット20の貫通穴24と、第1カセット10の支持プレート11の流路11bとが連通して、支持プレート11の穴11aの内周面の開口部からクーラントを供給する第1のクーラント供給路A1が形成される。また、第2カセット20の貫通穴24と、第1カセット10の支持プレート11の流路11b及びガイドプレート12の貫通穴12bと、蓋30の流路33とが連通して、蓋30の穴31の内周面の開口部からクーラントを供給する第2のクーラント供給路A2が形成される。さらに、第2カセット20の支持プレート21の流路21bにより、支持プレート21の穴21aの内周面の開口部からクーラントを供給する第3のクーラント供給路A3が形成される。
【0040】
また、第1カセット10の支持プレート11の切り欠き11cと、第1カセット10のガイドプレート12の下面の溝12aと支持プレート11の上面との間の隙間、及び、第2カセット20のガイドプレート22の上面の溝22aと第1カセット10の支持プレート11の下面との間の隙間とがそれぞれ連通して、第1のクーラント排出路B1及び第2のクーラント排出路B2が形成される。また、第2カセット20の支持プレート21の切り欠き21cと、第2カセット20のガイドプレート22の下面の溝22aと支持プレート21の上面との間の隙間とが連通して、第3のクーラント排出路B3が形成される。
【0041】
上記のように固定治具2に装着された複数のコンロッド110に対し、ホーニング加工が施される。具体的には、ホーニングヘッド1をコンロッド110の内周に挿入し、砥石1b(
図1参照)を各コンロッド110の小端部116の内周面112に押し付けた状態で、ホーニングヘッド1を回転させながら昇降させる。このとき、砥石1bは、常に両コンロッド110の内周面112に接触している(
図12参照)。
【0042】
ホーニング加工を施している間、加工部にクーラントが供給される。具体的には、図示しないクーラント供給部から、第1のクーラント供給路A1、第2のクーラント供給路A2、第3のクーラント供給路A3にクーラントを供給することで、第1カセット10の支持プレート11の穴11aの開口部、蓋30の穴31の開口部、及び第2カセット20の支持プレート21の穴21aの開口部からクーラントが供給される。これにより、ホーニングヘッド1がクーラントで冷却されると共に、ホーニング加工で生じた加工屑をクーラントで洗い流すことができる。
【0043】
そして、第1のクーラント供給路A1を介して、第1カセット10の支持プレート11の穴11aの開口部から供給されたクーラントは、大部分が第1のクーラント排出路B1及び第2のクーラント排出路B2を介して外部に排出される。また、第2のクーラント供給路A2を介して、蓋30の穴31の開口部から供給されたクーラントは、大部分が穴31の上方の開口部から排出される。また、第3のクーラント供給路A3を介して、第2カセット20の支持プレート21の穴21aの開口部から供給されたクーラントは、大部分が穴21aの下方の開口部から排出され、一部が第3のクーラント排出路B3を介して外部に排出される。上記の他、第1カセット10のガイドプレート12の上面の溝12aと蓋30の下面とで形成される流路や、第2カセット20のガイドプレート22の上面の溝22aと第1カセット10の支持プレート11の下面とで形成される流路を介して、クーラントが外部に排出される。
【0044】
上記のように、複数のコンロッド110の小端部116の内周面112に一括してホーニング加工を施す場合、ホーニングヘッド1の砥石1bが上下のコンロッド110の内周面112に常に接しているため、上下のコンロッド110の間に配された第1カセット10の支持プレート11の穴11aの内周には、常にホーニングヘッド1が挿入された状態となる。これにより、支持プレート11の穴11aの内周面とホーニングヘッド1との間の隙間Sがほぼ閉塞された状態となるため、この隙間Sに溜まった加工屑は排出されにくい。
【0045】
そこで、上記のように、両コンロッド110で挟まれた支持プレート11に、上記の隙間Sにクーラントを供給する第1のクーラント供給路A1と、上記の隙間Sからクーラントを排出する第1のクーラント排出路B1及び第2のクーラント排出路B2とを設けることにより、隙間Sに溜まった加工屑を効率よく排出することができる。
【0046】
また、本実施形態では、支持プレート11の穴11aの内周面に凹溝11a1を設けたことにより、
図8に示すように、第1のクーラント供給路A1を介して隙間Sに供給されたクーラントが、凹溝11a1とホーニングヘッド1との間の隙間で構成される連通路を介して、第1のクーラント排出路B1及び第2のクーラント排出路B2から排出される。これにより、隙間Sが非常に小さい場合であっても、クーラントの流路面積を確保できるため、クーラントをスムーズに供給・排出することができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、第1のクーラント排出路B1及び第2のクーラント排出路B2を構成する支持プレート11の切り欠き11cが、それよりも流路面積が大きい隙間(ガイドプレート12の下面の溝12aと支持プレート11の上面との間の隙間)に連通しているため、クーラントの排出がより一層スムーズになる。
【0048】
例えば、支持プレート11の穴11aの内周面全体の径を大きくすれば、ホーニングヘッド1との間の隙間Sが大きくなり、流路面積を大きくすることができる。しかし、支持プレート11の穴11aの径を大きくすると、支持プレート11の端面のうち、コンロッド110の小端部116の端面を支持する部分の面積が小さくなるため、コンロッド110の小端部116の支持が不安定になるおそれがある。特に、コンロッド110の小端部116が薄肉である場合、小端部116の端面の面積が小さいため、支持プレート11の穴11aを大径化すると、支持プレート11の端面によるコンロッド110の小端部116の支持面積が非常に小さくなり、小端部116の支持が不安定になるおそれが高い。
【0049】
そこで、上記のように、支持プレート11の穴11aの上下方向中間部に凹溝11a1を設けることで、支持プレート11の端面の面積、具体的には、上側のコンロッド110の小端部116を支持する上面の面積、及び、下側のコンロッド110の小端部116を支持する下面の面積の縮小が回避されるため、コンロッド110を安定的に支持することができる。
【0050】
本発明は、上記の実施形態に限られない。例えば、3個以上のコンロッド110の内周面112に一括してホーニング加工を施す際に、本発明を適用してもよい。この場合、隣接するコンロッド110の間に配された各支持プレートに、クーラント供給路及びクーラント排出路が設けられる。
【0051】
また、複数のコンロッド110の大端部114の内周面にホーニング加工を施す際に、本発明を適用してもよい。さらに、本発明のホーニング加工装置を適用する部品はコンロッドに限らず、円筒面状の内周面を高精度に仕上げる必要のあるあらゆる部品に対して適用することができる。