特許第6906861号(P6906861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6906861-舵角センサ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906861
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】舵角センサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/30 20060101AFI20210708BHJP
   G01B 5/24 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   G01B7/30 H
   G01B5/24
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-187332(P2017-187332)
(22)【出願日】2017年9月28日
(65)【公開番号】特開2019-60797(P2019-60797A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】下村 亘
(72)【発明者】
【氏名】小澤 宏二
(72)【発明者】
【氏名】亀井 雄介
(72)【発明者】
【氏名】樋口 義朗
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−003625(JP,A)
【文献】 特開2008−026180(JP,A)
【文献】 特開2000−346639(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0093415(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/30
G01B 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの回転により回転する回転体に結合されて該回転体に連動して回転するメインギヤと、互いに噛合して前記メインギヤに連動して回転する第1サブギヤおよび第2サブギヤの少なくとも2つのサブギヤとを備える舵角センサにおいて、
前記第1サブギヤは、
前記メインギヤおよび前記第2サブギヤそれぞれに異なる回転面内において噛合するように配置され、
円錐台状の傘歯車から成り前記メインギヤと噛合する第1のギヤ部と、
該第1のギヤ部の径大側に連続した平歯車から成り前記第2サブギヤと噛合する第2のギヤ部と、
前記第2のギヤ部側に形成された収納凹部とを備え、
前記第1サブギヤを径小方向に付勢する付勢手段を前記収納凹部に設けたことを特徴とする舵角センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、メインギヤと、第1サブギヤおよび第2サブギヤの少なくとも2つのサブギヤとを備える舵角センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両において、ステアリングホイールの回転角度を検出するために舵角センサが設けられる。そして、この種の舵角センサは、例えば特許文献1に記載のように、ステアリングホイールの回転により回転する回転体に結合されて該回転体に連動して回転するメインギヤと、直列配置されて互いに噛合し前記メインギヤに連動して回転する少なくとも2つのサブギヤとを備える。
【0003】
このとき、例えば円環状の固定ケースとその内側に回転自在に設けられた回転ケースとを備えるロールコネクタが設けられ、ステアリングホイールの回転軸がロールコネクタの回転ケースに結合され、ロールコネクタの回転ケースがステアリングホイールに連動して回転する。一方、舵角センサのメインギヤがロールコネクタの回転ケースの外周に係合されて取り付けられ、ステアリングホイールの回転が回転ケースを介してメインギヤに伝達され、メインギヤに連動して一方のサブギヤが回転し、その回転が他方のサブギヤに伝達され、両サブギヤの回転に基づいてステアリングホイールの回転角度が舵角検出回路により検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−3625号公報(段落0018〜0026、図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、舵角センサ各ギヤの回転を円滑にするためには、メインギヤと一方のサブギヤとの噛合部分、2つのサブギヤ同士の噛合部分にバックラッシュと呼ばれる隙間を設ける必要があるが、舵角センサによる舵角の検出精度を向上するには、バックラッシュの影響を低減することが望ましいが、バックラッシュを小さくし過ぎると、ギヤの歯の折損を招き、大きくし過ぎると歯面とは面とがぶつかる歯打音が大きくなるという問題があることから、バックラッシュを自動調整できる構造が望まれる。
【0006】
本発明は、舵角センサを構成するギヤのバックラッシュを自動調整して、舵角の検出精度を向上できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の舵角センサは、ステアリングホイールの回転により回転する回転体に結合されて該回転体に連動して回転するメインギヤと、互いに噛合して前記メインギヤに連動して回転する第1サブギヤおよび第2サブギヤの少なくとも2つのサブギヤとを備える舵角センサにおいて、前記第1サブギヤは、前記メインギヤおよび前記第2サブギヤそれぞれに異なる回転面内において噛合するように配置され、円錐台状の傘歯車から成り前記メインギヤと噛合する第1のギヤ部と、該第1のギヤ部の径大側に連続した平歯車から成り前記第2サブギヤと噛合する第2のギヤ部と、前記第2のギヤ部側に形成された収納凹部とを備え、前記第1サブギヤを径小方向に付勢する付勢手段を前記収納凹部に設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メインギヤおよび第2サブギヤそれぞれに異なる回転面内において噛合するように第1サブギヤが配置され、円錐台状の傘歯車から成りメインギヤと噛合する第1のギヤ部と、該第1のギヤ部の径大側に連続した平歯車から成り第2サブギヤと噛合する第2のギヤ部とが第1サブギヤに設けられ、第2のギヤ部側に形成された収納凹部とを備え、付勢手段により第1サブギヤが径小方向に常に付勢されるため、第1サブギヤが付勢手段の付勢によりメインギヤに対して相対的に移動することによって、メインギヤと第1サブギヤと傘歯車状の第1のギヤ部との噛合状態を維持することができ、メインギヤとこれに噛合する第1サブギヤとのバックラッシュを、傘歯車状の第1のギヤ部により自動調整することができ、舵角の検出精度の向上を図ることができる。また、第1サブギヤが付勢手段の付勢により第2サブギヤに対して相対的に移動しても、第2サブギヤと、第1サブギヤの平歯車状の第2のギヤ部との噛合状態を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の舵角センサの一実施形態の概略図である。
図2図1の一部の断面図である。
図3図1の異なる一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る舵角センサの一実施形態について、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。
【0011】
本実施形態における舵角センサは、ステアリングホイールの回転を舵角検出回路に伝達するために、ステアリングホイールに連動して回転するロールコネクタ等の回転体に取り付けられ、図1に示すように構成されている。すなわち、図1に示すように、舵角センサ1は、リング状のメインギヤ2と、メインギヤ2に噛合するメインギヤ2よりも小径の第1サブギヤ3と、メインギヤ2よりも小径で第1サブギヤ3に噛合する第2サブギヤ4とを備える。
【0012】
このとき、図2に示すように、第1サブギヤ3は、円錐台状の傘歯車から成りメインギヤ2と噛合する第1のギヤ部3aと、この第1のギヤ部3aの径大側に連続した平歯車から成り第2サブギヤ4と噛合する第2のギヤ部3bと、第2のギヤ部3b側の端面に形成された収納凹部3cとを備える。
【0013】
そして、図3に示すように、第1サブギヤ3の第1のギヤ部3aとメインギヤとが噛合し、第1サブギヤ3の第2のギヤ部3bと第2サブギヤ4とが噛合し、第1サブギヤ3とメインギヤ2および第2サブギヤ4それぞれの回転面は異なるように、各ギヤ2,3,4が配置されている。
【0014】
さらに、第1サブギヤ3の収納凹部3cには、一端の大径の頭部が第1のギヤ部3側の凹部に貫設されて第1サブギヤの軸方向に移動可能にシャフト6が配設され、このシャフト6に付勢手段としてのコイルばね7が巻回され、コイルばね7の一方端が収納凹部3cの閉塞端面に係止されるとともに、コイルばね7の他方端が、収納凹部3cの開放端面側の外側において外部部材に固定して設けられた固定台8にシャフト6の他端とともに係止され、この固定台8に対してコイルばね7の付勢力が収納凹部3cの閉塞端面に作用して、第1サブギヤ3が第1のギヤ部3aの径大部から径小部方向に向かって常に付勢されている。
【0015】
このように、第1サブギヤ3が第1のギヤ部3aの径大部から径小部方向に向かって常時付勢されているため、図3中の双方向矢印に示すように、コイルばねの7の付勢によって第1サブギヤ3がその軸方向に移動することになり、例えば図3中の破線に示すようにメインギヤ2が実線の位置から相対的に移動しても、メインギヤ2は図3中の破線のように第1サブギヤ3の傘歯車状の第1のギヤ部3aと噛合した状態に維持されることになり、メインギヤ2とこれに噛合する第1サブギヤ3とのバックラッシュを調整することができる。
【0016】
一方、第1サブギヤ3が図3中の双方向矢印のように移動し、例えば図3中の破線に示すように、第1サブギヤ3が実線の位置から移動しても、第2サブギヤ4その軸方向に移動することなく第1サブギヤ3の平歯車状の第2のギヤ部3bと噛合した状態に保持される。
【0017】
したがって、上記した実施形態によれば、コイルばね7の付勢により、第1サブギヤ3が径小方向に常に付勢されるため、第1サブギヤ3がコイルばね7の付勢によりメインギヤ2に対して相対的に移動することによって、メインギヤ2と第1サブギヤ3と傘歯車状の第1のギヤ部3aとの噛合状態を維持することができ、メインギヤ2と第1サブギヤ3とのバックラッシュを第1のギヤ部3aにより自動調整することができ、舵角の検出精度の向上を図ることができる。
【0018】
一方、第1サブギヤ3がコイルばね7の付勢により第2サブギヤ4に対して相対的に移動しても、第2サブギヤ4が実線の位置から相対的に移動しても、第2サブギヤ4と第1サブギヤ3の平歯車状の第2のギヤ部3bとの噛合状態を保持することができる。
【0019】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。
【0020】
例えば、上記した実施形態では、付勢手段としてコイルばね7を用いた例を示したが、コイルばねに限らず、第1サブギヤ3をだい1のギヤ部3a径小方向に付勢できるものであればどのような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 …舵角センサ
2 …メインギヤ
3 …第1サブギヤ
3a …第1のギヤ部
3b …第2のギヤ部
3c …収納凹部
4 …第2サブギヤ
7 …コイルばね(付勢手段)
図1
図2
図3