(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
火花点火式または圧縮点火式内燃機関の潤滑における、油溶性または油分散性ポリマー系摩擦調整剤(B)の、潤滑油組成物の全質量を基準として少なくとも0.1質量%の有効な少量の添加剤としての、大量の潤滑粘度を持つオイル(A)を含む潤滑油組成物中での使用であって、グリセロールモノオレエート摩擦調整剤、及び、油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩を含む比較される潤滑剤と比べて前記内燃機関の運転中における銅、又はその合金含有エンジン部品の腐蝕を減少させ、かつ/または、抑制するための、使用であり、
該油溶性または油分散性ポリマー系摩擦調整剤(B)が:(i)1種またはそれ以上のポリイソブチレン無水コハク酸(PIBSAs);(ii)1種またはそれ以上のポリ(C2〜C6アルキレン)グリコール;(iii)1種またはそれ以上のC2〜C20脂肪族ヒドロカルビルポリオール;及び、(iv)1種またはそれ以上のC6〜C30ヒドロカルビルモノカルボン酸、のみの反応生成物であり、
前記潤滑油組成物が、油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩(C)を、前記潤滑油組成物の全質量を基準として、ASTM D5185に従って測定された場合に、少なくとも500ppmのリンを前記潤滑油組成物に提供するような有効な少量の添加剤として含有する、前記使用。
前記ポリマー系摩擦調整剤(B)が;(i)1種またはそれ以上のポリイソブチレン無水コハク酸;(ii)1種またはそれ以上のポリエチレングリコール;(iii)グリセロール;及び、(iv)タル油脂肪酸、のみの反応生成物である、請求項1〜6の何れか1項に記載の使用。
前記油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩(C)が、亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェートである、請求項1〜8の何れか1項に記載の使用。
前記油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩(C)が、前記潤滑油組成物の全質量を基準として、ASTM D5185に従って測定された場合に、1,200質量ppm以下のリンを前記潤滑油組成物に提供する量で存在する、請求項1〜9の何れか1項に記載の使用。
【発明の概要】
【0005】
第一の局面によれば、本発明は、大量の潤滑粘度を持つオイル(A)を含む潤滑油組成物において使用するための添加剤を提供し、該添加剤は、火花点火式または圧縮点火式内燃機関の動作中の非鉄金属含有エンジン部品の腐蝕を減じおよび/または阻止(即ち、腐蝕を抑制)するための、油溶性または油分散性ポリマー系摩擦調整剤(B)を含み、ここで該油溶性または油分散性ポリマー系摩擦調整剤(B)は、(i) 1種またはそれ以上の官能化されたポリオレフィン;および(ii) 1種またはそれ以上のポリアルキレングリコール;および(iii) 1種またはそれ以上のポリオール;および(iv) 1種またはそれ以上のモノカルボン酸のみの反応生成物である。
適切には、上記非鉄金属含有エンジン部品は銅、鉛、またはこれら金属の合金を含む。
好ましくは、本発明の第一の局面において定義されたような潤滑油組成物は、クランクケース用潤滑剤である。
意外にも、大量の潤滑粘度を持つオイルを含む潤滑油組成物における、有効な少量での添加剤としての、本発明の第一の局面に従って定義されたようなポリマー系摩擦調整剤(B)の使用が、このポリマー系摩擦調整剤(B)を含まない同等な潤滑剤と比較して、非鉄金属(例えば、銅および/または鉛)含有エンジン部品の腐蝕の抑制を可能とすることが分かった。換言すれば、ポリマー系摩擦調整剤(B)は、該非鉄金属含有エンジン部品、とりわけ銅および/または鉛、またはこのような金属を含む合金を含有する該エンジン部品に関して、腐蝕防止剤として機能し得る。
【0006】
好ましくは、本発明の第一の局面において定義した如き潤滑油組成物は、更に(C) 少なくとも1種の油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩を、有効な少量での添加剤として含む。好ましくは、該油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩(C)は、油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート亜鉛塩(即ち、亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェート(ZDDP))、より好ましくは油溶性または油分散性亜鉛ジアルキルジチオホスフェートである。
従って、大量の潤滑粘度を持つオイルを含有する潤滑油組成物における、有効な少量添加剤としての、本発明の第一の局面において定義した如き油溶性または油分散性ポリマー系摩擦調整剤(B)と、有効な少量添加剤としての本明細書において定義されるような油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩との組合せによる使用が、典型的に以下に説明するような潤滑剤を与えることも分かった。即ち、この潤滑剤は、GMO等の無灰有機摩擦調整剤を、ここに定義するような油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩との組合せで含む同等な潤滑剤と比較して、非鉄金属(例えば、銅および/または鉛)を含むエンジン部品の腐蝕における、改善された阻害および/または低減(即ち、該腐蝕の抑制)を示す。
【0007】
また更に、大量の潤滑粘度を持つオイルを含有する潤滑油組成物における、有効な少量添加剤としての本発明の第一の局面において定義された如き油溶性または油分散性ポリマー系摩擦調整剤(B)と、有効な少量添加剤としての本明細書において定義されるような油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩との組合せによる使用が、典型的に以下のような潤滑剤を与えることが分かった。即ち、この潤滑剤は、(i) 該ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩を含むが、ポリマー系摩擦調整剤(B)を含まない同等な潤滑剤;および(ii) 該ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩およびポリマー系摩擦調整剤(B)両者を含まない同等な潤滑剤と比較して、銅含有金属製エンジン部品の腐蝕における、改善された阻害および/または低減(即ち、該腐蝕の抑制)を示す。
【0008】
従って、GMO等の無灰有機摩擦調整剤と比較して、ポリマー系摩擦調整剤(B)の使用に係る、このような低レベルの非鉄金属の腐蝕(例えば、低レベルの銅および/または鉛腐蝕)は、特にジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩との組合せで使用された場合に、該ポリマー系摩擦調整剤およびジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩と組合せた該ポリマー系摩擦調整剤の高い潤滑剤処理率の達成を可能とし得る。加えて、あるいはまたこのような低レベルの非鉄金属の腐蝕は、比較的高価な補足的腐蝕防止添加剤を使用する必要性を減じる可能性がある。従って、ポリマー系摩擦調整剤(B)の使用は、特にジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩との組合せで使用した場合には、典型的に、工業的潤滑油規格書および原装置製造業者の仕様書において規定されているような、厳格な耐摩耗性能および燃費性能基準を満たさねばならない潤滑油組成物を製造する場合に、該調合業者により高い融通性を与える。
第二の局面によれば、本発明は、エンジンに係る非鉄金属含有エンジン部品の腐蝕を阻害しおよび/または減じる(即ち、該腐蝕を抑制する)方法を提供し、該方法は、大量の潤滑粘度を持つオイル(A)および有効な少量の添加剤としての、本発明の第一の局面において定義された如き油溶性または油分散性のポリマー系摩擦調整剤(B)を含む潤滑油組成物で、該エンジンを潤滑する工程、および該エンジンを作動させる工程を含む。適切には、該非鉄金属含有エンジン部品は銅、鉛、またはこのような金属の合金を含む。適切には、本発明のこの第二の局面において定義された如きエンジンは、火花点火式または圧縮点火式内燃機関である。
【0009】
好ましくは、本発明の第二の局面において定義された如き潤滑油組成物は、有効な少量の添加剤として、(C) 少なくとも1種の油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩を更に含む。好ましくは、油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩(C)は、油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート亜鉛塩(即ち、亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェート(ZDDP))、より好ましくは油溶性または油分散性の亜鉛ジアルキルジチオホスフェートである。
好ましくは、本発明の各局面において定義された如き潤滑油組成物は、添加剤成分(B)および(C)以外の、無灰分散剤、金属洗浄剤、防錆剤、酸化防止剤、流動点降下剤、摩耗防止剤、摩擦調整剤、解乳化剤、消泡剤および粘度調整剤から選択される1種またはそれ以上の、有効な少量(例えば、0.1〜30質量%)の補助添加剤を更に含む。
好ましくは、本発明の各局面において定義された如き潤滑油組成物は、該組成物の全質量を基準として、1.2質量%に等しいかまたはそれ未満、より一層好ましくは1.1質量%に等しいかまたはそれ未満、より好ましくは1.0質量%に等しいかまたはそれ未満の硫酸灰分含有率(ASTM D874)を持つ。
【0010】
好ましくは、本発明の各局面において定義された如き潤滑油組成物は、低レベルのリンを含む。好ましくは、該潤滑油組成物は、該組成物の全質量を基準として、0.12質量%に等しいかまたはそれ未満、より好ましくは0.11質量%まで、より一層好ましくは0.10質量%に等しいかまたはそれ未満、より一層好ましくは0.09質量%に等しいかまたはそれ未満、より一層好ましくは0.08質量%に等しいかまたはそれ未満、最も好ましくは0.06質量%に等しいかまたはそれ未満の量でリン(ASTM D5185)を含む。適切には、本発明の各局面において定義された如き潤滑油組成物は、該組成物の全質量を基準として、0.01質量%に等しいかまたはこれを超え、好ましくは0.02質量%に等しいかまたはこれを超え、より好ましくは0.03質量%に等しいかまたはこれを超え、より一層好ましくは0.05質量%に等しいかまたはこれを超える量でリン(ASTM D5185)を含む。
典型的に、本発明の各局面において定義された如き潤滑油組成物は、低レベルの硫黄を含むことができる。好ましくは、該潤滑油組成物は、該組成物の全質量を基準として、0.4質量%まで、より好ましくは0.3質量%まで、より一層好ましくは0.2質量%までの量にて硫黄(ASTM D2622)を含む。
典型的に、本発明の各局面において定義された如き潤滑油組成物は、該組成物の全質量を基準として、0.30質量%まで、より好ましくは0.20質量%まで、最も好ましくは0.15質量%までの、ASTM法D5291に従って測定された如き窒素を含む。
適切には、本発明の各局面において定義された如き潤滑油組成物は4〜15mg KOH/g、好ましくは5〜12mg KOH/gの、ASTM D2896に従って測定された如き全塩基価(TBN)を持つことができる。
【0011】
本明細書において、以下の用語および表現は、使用される場合には、以下に与られる意味を持つ:
「活性成分」または「(a.i.)」は、希釈剤または溶媒ではない添加剤物質を意味する。
「含む(comprising)」または任意のその同語源の用語は、述べられた特徴、段階、または整数または成分の存在を規定するが、1種またはそれ以上の他の特徴、段階、整数、成分またはその基の存在または付加を妨げるものではない。表現「からなる(consist of)」または「から本質的になる(consist essentially of)」またはその同語源の用語は、「含む(comprise)」またはその同語源の用語に含めることができ、ここで「から本質的になる」とは、種々の物質が適用される上記組成物の諸特性に実質的な影響を及ぼすことのない該物質を含めることを可能とする。
「ヒドロカルビル」とは、ある化合物の化学基を意味し、該化学基は、水素および炭素原子を含み、かつ炭素原子を介して直接該化合物の残りと結合している。該基は、炭素および水素原子以外の、1種またはそれ以上の原子を含むことができるが、それらが該基の本質的なヒドロカルビル特性に影響しないことを条件とする。当業者は、適当な基(例えば、ハロ、特にクロロおよびフルオロ、アミノ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、スルホニル等)を認識しているであろう。好ましくは、該基は、特に述べない限り、水素および炭素原子から本質的になっている。好ましくは、該ヒドロカルビル基は、脂肪族ヒドロカルビル基を含む。該用語「ヒドロカルビル」とは、ここにおいて定義するような「アルキル」、「アルケニル」、「アリル」および「アリール」を含む。
【0012】
「アルキレン」は、「アルカンジイル」と同義であり、またアルカンから、その異なる2つの炭素原子由来の水素原子を除去することによって誘導されるC
2〜C
20、好ましくはC
2〜C
10、より好ましくはC
2〜C
6の二価の飽和非環式脂肪族炭化水素基を意味し、これは直鎖または分岐鎖であり得る。アルキレンの代表的な例は、エチレン(エタンジイル)、プロピレン(プロパンジイル)、ブチレン(ブタンジイル)、イソブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、へプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、1-メチルエチレン、1-エチルエチレン、1-エチル-2-メチルエチレン、1,1-ジメチルエチレンおよび1-エチルプロピレンを含む。
「ポリ(アルキレン)」は、アルカンジイル反復基を含むポリマーを意味する。このようなポリマーは、適当なアルケンの重合により形成することができる(例えば、ポリイソブチレンはイソブチレンを重合することにより形成し得る)。
「アルキル」は、単一の炭素原子を介して直接上記化合物の残りに結合しているC
1〜C
30アルキル基を意味する。特に述べない限り、アルキル基は、十分な数の炭素原子が存在する場合には、直鎖(即ち、分岐していない)または分岐、環式、非環式または部分環式/非環式であってもよい。好ましくは、該アルキル基は、直鎖または分岐鎖の非環式アルキル基を含む。アルキル基の代表的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ジメチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシルおよびトリアコンチルを含むが、これらに限定されない。
【0013】
「アルキニル」はC
2〜C
30、好ましくはC
2〜C
12の基であって、少なくとも一つの炭素-炭素三重結合を含み、かつ単一の炭素原子を通して直接上記化合物の残りに結合しており、さもなければ「アルキル」として定義される基を意味する。
「アリール」は、C
6〜C
18、好ましくはC
6 〜C
10の芳香族基であって、場合により1またはそれ以上のアルキル基、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシおよびアミノ基によって置換されており、単一の炭素原子を通して直接上記化合物の残りに結合している該芳香族基を意味する。好ましいアリール基は、フェニルおよびナフチル基、およびこれらの置換誘導体、特にフェニルおよびそのアルキル置換誘導体を含む。
「アルケニル」はC
2〜C
30、好ましくはC
2〜C
12の基であって、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を含み、かつ単一の炭素原子を通して直接上記化合物の残りに結合しており、さもなければ「アルキル」として定義される基を意味する。
「ポリオール」はアルコールを意味し、これは2またはそれ以上のヒドロキシル官能基を含む(即ち、多価アルコール)が、上記油溶性または油分散性ポリマー系摩擦調整剤を形成するのに使用される「ポリアルキレングリコール」(成分B(ii))を除外する。より具体的には、該用語「ポリオール」はジオール、トリオール、テトラオールおよび/またはこのような化合物の関連するダイマーまたは連鎖延長ポリマーを包含する。より一層具体的には、該用語「ポリオール」はグリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールおよびソルビトールを含む。
【0014】
「モノカルボン酸」は、有機酸、好ましくはヒドロカルビルカルボン酸を意味し、これは単一のカルボン酸官能基を含む。
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
本明細書において使用する「油溶性」または「油分散性」、あるいはその同語源の用語は、必ずしも、上記化合物または添加剤が、あらゆる割合で上記オイル中に懸濁可能であり、あるいは可溶性、溶解性、混和性であることを示すものではない。しかし、これら用語は、該化合物または添加剤が、例えばオイルが使用される環境内で、これらの意図された効果を発揮するのに十分な程度まで、該オイル中に溶解または安定に分散し得ることを意味する。その上、他の添加剤の付随的な組込みは、望ましい場合には、特別な添加剤のより高レベルでの組込みをも可能とし得る。
添加剤と関連する「無灰」とは、金属を含まない添加剤を意味する。
添加剤と関連する「灰分含有」とは、金属を含む添加剤を意味する。
「大量」とは、述べられた成分に関連して、またある組成物の全質量に関して表され、該成分の活性成分として計算して、該組成物の50質量%を超えることを意味する。
「少量」とは、述べられた添加剤に関連して、またある組成物の全質量に関連して表され、該添加剤の活性成分として計算して、該組成物の50質量%未満を意味する。
添加剤に関連する「有効な少量」とは、該添加剤がその所望の技術的効果を与えるような、潤滑油組成物におけるこのような添加剤の少量を意味する。
「非鉄金属」とは、金属またはその合金を含み、該金属または合金は鉛、銅、スズ、またはこのような金属の合金、好ましくは金属としての銅または鉛、またはこのような金属の合金、とりわけ銅またはその合金である。
【0015】
「非鉄金属の腐蝕」(例えば、銅および鉛の腐蝕)は、ASTM D6594に従って、高温腐食ベンチテスト(High Temperature Corrosion Bench Test)により測定される。
「ppm」は、上記潤滑油組成物の全質量を基準とする、質量基準での百万当たりの部を意味する。
上記潤滑油組成物または添加剤成分の「金属含有率」、例えばモリブデン含有率または該潤滑油組成物の全金属含有率(即ち、あらゆる個々の金属含有率の総和)は、ASTM D5185によって測定される。
添加剤成分または潤滑油組成物に関連する「TBN」は、ASTM D2896により測定された如き全塩基価(mg KOH/g)を意味する。
「KV
100」は、ASTM D445により測定されたような、100℃における動粘度を意味する。
「リン含有率」は、ASTM D5185によって測定される。
「硫黄含有率」は、ASTM D2622により測定される。
また、「硫酸灰分含有率」は、ASTM D874により測定される。
報告された全ての百分率は、特に述べない限り、活性成分を基本とする、即ちキャリヤまたは希釈オイルとは無関係の、質量%である。
【0016】
また、必須の並びに最適のおよび習慣的な、使用される様々な成分は、製造、保存または使用条件下で反応する可能性があり、また本発明が、あらゆるこのような反応の結果として得ることのできる、あるいは得られる生成物をも提供するものであることが理解されるであろう。
更に、ここにおいて述べられている任意の上限および下限量、範囲および比の境界は、独立に組合せ得ることが理解される。従って、本発明の特定の技術的特徴に関連して、ここにおいて述べられている任意の上限および下限量、範囲および比の境界は、本発明の1またはそれ以上の他の特定の技術的特徴との関連でここに述べられている、任意の上限および下限量、範囲および比の境界と、独立に組合せることができる。更に、本発明の任意の特定の技術的特徴、および全てのその好ましい変形は、任意の他の特定の技術的特徴および全てのその好ましい変形と、独立に組合せることができる。
また、本発明の各局面の好ましい特徴は、本発明のあらゆる他の局面に係る好ましい特徴であると見做されることが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
今から、適当である場合には、本発明の各局面および全ての局面に関連する本発明の特徴を、以下の通り、より一層詳しく説明する。
潤滑粘度を持つオイル(A)
上記潤滑粘度を持つオイル(しばしば「ベースストック」または「ベースオイル」と呼ばれる)は、潤滑剤の主な液状成分であり、そこに、例えば最終的な潤滑剤(または潤滑組成物)を製造するために、添加剤およびことによれば他のオイルがブレンドされる。ベースオイルは、濃厚物を製造するために、並びにこれから潤滑油組成物を製造するために有用であり、また天然(植物、動物または鉱物)および合成潤滑油およびこれらの混合物から選択することができる。
上記ベースストック群は、アメリカ石油協会(American Petroleum Institute (API))の刊行物「エンジンオイルのライセンスと認証システム(Engine Oil Licensing and Certification System)」, 産業サービス部門(Industry Services Department), 第14版, 1996年12月, 補遺1, 1998年12月において定義されている。典型的に、該ベースストックは、好ましくは3〜12mm
2/s(cSt)、より好ましくは4〜10mm
2/s、最も好ましくは4.5〜8mm
2/sという、100℃における粘度を持つであろう。
【0018】
本発明における上記ベースストックおよびベースオイルに関する定義は、アメリカ石油協会(API)の刊行物「エンジンオイルのライセンスと認証システム(Engine Oil Licensing and Certification System)」, 産業サービス部門(Industry Services Department), 第14版, 1996年12月, 補遺1, 1998年12月において見出される定義と同一である。該刊行物はベースストックを以下のように分類している:
a) グループIベースストックは、90%未満の飽和物および/または0.03%を超える硫黄を含み、また以下の表E-1に規定されたテスト法を用いて、80に等しいかまたはこれを超え、かつ120未満の粘度指数を持つ。
b) グループIIベースストックは、90%に等しいかまたはこれを超える飽和物および0.03%に等しいかまたはそれ未満の硫黄を含み、また以下の表E-1に規定されたテスト法を用いて、80に等しいかまたはこれを超え、かつ120未満の粘度指数を持つ。
c) グループIIIベースストックは、90%に等しいかまたはこれを超える飽和物および0.03%に等しいかまたはそれ未満の硫黄を含み、また以下の表E-1に規定されたテスト法を用いて、120に等しいかまたはこれを超える粘度指数を持つ。
d) グループIVベースストックは、ポリα-オレフィン(PAO)である。
e) グループVベースストックは、グループI、II、IIIまたはIVに含まれない全ての他のベースストックを含む。
【0020】
上記潤滑油組成物に含めることのできる、潤滑粘度を持つその他のオイルを、以下の通り詳述する:
天然オイルは、動物および植物油(例えば、ヒマシ油およびラード油)、液状石油油分およびパラフィン系、ナフテン系および混合パラフィン-ナフテン系の水素化精製、溶媒-処理鉱油系潤滑油を含む。石炭またはシェール由来の潤滑粘度を持つオイルも有用なベースオイルである。
合成潤滑油は炭化水素油、例えば重合および共重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、ポリ(1-デセン);アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェノール(例えば、ビフェニル、テルフェニル、アルキル化ポリフェノール);およびアルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィドおよびこれらの誘導体、類似体および同族体を含む。
合成潤滑油のもう一つの適当な群は、ジカルボン酸(例えば、フタール酸、コハク酸、アルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマール酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)と、様々なアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルを含む。これらエステルの具体的な例は、ジブチルアジペート、ジ(2-エチルヘキシル)セバケート、ジ-n-ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジエイコシルセバケート、リノール酸ダイマーの2-エチルヘキシルジエステル、および1モルのセバシン酸と、2モルのテトラエチレングリコールおよび2モルの2-エチルヘキサン酸との反応により形成される複合エステルを含む。
【0021】
合成オイルとして有用なエステルは、またC
5〜C
12モノカルボン酸とポリオール、およびポリオールエーテル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールとから製造されるエステルをも含む。
未精製、精製および再精製オイルは、本発明の組成物において使用し得る。未精製オイルは、天然または合成源から、更なる精製処理なしに直接得られるものである。例えば、レトルト操作によって直接得たシェールオイル、蒸留により直接得た石油油分またはエステル化工程から直接得たエステルオイルであって、更なる処理なしに使用されるものが未精製オイルであろう。精製オイルは、これ等を1またはそれ以上の精製段階において更に処理して、1またはそれ以上のその特性を改善したことを除き、該未精製オイルに類似する。多くのこのような精製技術、例えば蒸留、溶媒-抽出、酸または塩基抽出、濾過およびパーコレーションは、当業者には公知である。再精製オイルは、運転中に既に使用された精製オイルに対して適用された、精製オイルを得るために利用されたものと類似の諸工程によって得られる。このような再精製オイルは、再生油または再処理オイルとしても知られており、またしばしば使用済み添加剤およびオイル分解生成物に関して承認された技術によって付随的に処理される。
ベースオイルのその他の例は、ガス対液体(GTL)ベースオイルであり、即ちこのベースオイルは、フィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)触媒を使用して、H
2およびCOを含有する合成ガスから製造される、フィッシャー-トロプシュ合成された炭化水素由来のオイルであり得る。これら炭化水素は、ベースオイルとして有用なものとするために、典型的には更なる処理を要する。例えば、これらは、当分野において公知の方法によって、水素異性化;水素化分解かつ水素異性化;脱蝋;または水素異性化かつ脱蝋処理することができる。
【0022】
上記ベースオイルの組成物は、上記潤滑油組成物の特定の用途に依存し、また該オイルの調合業者は、妥当なコストで所望の性能特性を実現するために該ベースオイルを選択するであろうが、本発明による潤滑油組成物のベースオイルは、85質量%以下のグループIVベースオイルを典型的に含み、該ベースオイルは70質量%以下のグループIVベースオイルあるいは更に50質量%以下のグループIVベースオイルを含むことができる。本発明による潤滑油組成物のベースオイルは、0質量%のグループIVベースオイルを含むことができる。あるいはまた、本発明による潤滑油組成物のベースオイルは、少なくとも5質量%、少なくとも10質量%または少なくとも20質量%のグループIVベースオイルを含むことができる。本発明による潤滑油組成物のベースオイルは、0〜85質量%または5〜85質量%、あるいは10〜85質量%のグループIVベースオイルを含むことができる。
好ましくは、ノアック(NOACK)テスト(ASTM D5800)により測定されるような、上記潤滑粘度を持つオイルまたはオイルブレンドの揮発性は、20%に等しいかまたはそれ未満、好ましくは16%に等しいかまたはそれ未満、好ましくは12%に等しいかまたはそれ未満、より好ましくは10%に等しいかまたはそれ未満である。好ましくは、該潤滑粘度を持つオイルの粘度指数(VI)は、少なくとも95、好ましくは少なくとも110、より好ましくは120まで、より一層好ましくは少なくとも120、更に一層好ましくは少なくとも125、最も好ましくは約130〜140である。
【0023】
上記潤滑粘度を持つオイルは、少量の本明細書において定義した如き添加剤成分(B)との組合せで、場合により少量の本明細書において定義した如き添加剤成分(C)および必要ならば、潤滑油組成物を構成する1種またはそれ以上の補助添加剤、例えば本明細書に記載したような補助添加剤との組合せで、大量で与えられる。この調製は、該オイルに直接該添加剤を添加し、あるいはこれらをその濃厚物として添加して、該添加剤を分散または溶解させることによって実現し得る。添加剤は、当業者には公知の任意の方法により、その他の添加剤の添加前、該添加と同時に、またはその後の何れかにおいて、該オイルに添加することができる。
好ましくは、上記潤滑粘度を持つオイルは、上記潤滑油組成物の全質量を基準として、55質量%を超え、より好ましくは60質量%を超え、更に一層好ましくは65質量%を超える量で存在する。好ましくは、該潤滑粘度を持つオイルは、該潤滑油組成物の全質量を基準として、98質量%未満、より好ましくは95質量%未満、より好ましくは90質量%未満の量で存在する。
【0024】
上記潤滑油組成物を製造するために濃厚物が使用される場合、該濃厚物は、例えばその単位質量部当たり3〜100質量部、例えば5〜40質量部の潤滑粘度を持つオイルで希釈することができる。
好ましくは、上記潤滑油組成物は、粘度法デスクリプター(viscometric descriptor) SAE 20WX、SAE 15WX、SAE 10WX、SAE 5WXまたはSAE 0WXによって特定されるマルチグレードオイルであり、ここでXは20、30、40および50の内の任意の一つを表し、これら様々な粘度法グレードの特性は、SAE J300分類において見出すことができる。本発明の各局面に係る一態様において、その他の態様とは独立に、該潤滑油組成物は、SAE 10WX、SAE 5WXまたはSAE 0WXの形状にあり、好ましくはSAE 5WXまたはSAE 0WXの形状にあり、ここでXは20、30、40および50の内の任意の一つを表す。好ましくは、Xは20または30である。
【0025】
ポリマー系摩擦調整剤(B)
油溶性または油分散性のポリマー系摩擦調整剤(B)は、以下に列挙するもののみの反応生成物である:
(i) 1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン;および
(ii) 1種またはそれ以上のポリアルキレングリコール;および
(iii) 1種またはそれ以上のポリオール;および
(iv) 1種またはそれ以上のモノカルボン酸。
油溶性または油分散性のポリマー系摩擦調整剤(B)は(i)、(ii)、(iii)および(iv)のみの反応によって形成されるコポリマーであることが理解されよう。
官能化ポリオレフィン(B(i))
上記1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンはポリ(アルキレン)であり、これは少なくとも一つの二酸または無水物官能基を含む。該1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンはオレフィン、特に炭素原子数2〜6のモノオレフィン、例えばエテン、プロペン、ブト-1-エン、およびイソブテン(即ち、2-メチルプロペン)の重合により誘導されることが好ましく、またこの得られるポリオレフィンは、二酸または無水物官能基で官能化される。好ましくは該1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンはポリ(C
2〜C
6アルキレン)であり、これは少なくとも一つの二酸または無水物官能基を含む。更に一層好ましくは、該1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンは、イソブテンの重合により誘導され、またこの得られるポリイソブテンは少なくとも一つの二酸または無水物官能基で官能化される(即ち、該1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンは、1種またはそれ以上の官能化ポリイソブチレンであることが好ましい)。
【0026】
上記1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンのポリアルキレン部分(例えば、ポリ(C
2〜C
6アルキレン))は、適切には15〜500個(例えば、35〜500個、40〜500個、50〜500個)、好ましくは50〜200個の炭素原子からなる炭素鎖を含む。適切には、該1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンのポリアルキレン部分は、300〜5,000ダルトン、好ましくは500〜1,500ダルトン、とりわけ800〜1,200ダルトンの数平均分子量(Mn)を持つ。
上記1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンは、少なくとも一つの二酸または無水物官能基を含み、該基は、1種またはそれ以上のポリアルキレングリコール(B(ii))のヒドロキシル官能基または1種またはそれ以上のポリオール(B(iii))のヒドロキシル基と反応することができる。従って、該1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンは、該ポリオレフィン(即ち、ポリ(アルキレン))と、不飽和二酸または無水物との反応により製造することができる。好ましくは、該1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンは、無水物官能基を含む(即ち、少なくとも一つの無水物官能基を含むポリ(アルキレン))。適切には、該無水物官能化ポリアルキレンは、該ポリ(アルキレン)(例えば、ポリ(C
2〜C
6アルキレン))と、無水物、特に無水コハク酸官能基を形成する無水マレイン酸との反応により誘導される。従って、該1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン(1または複数)は、少なくとも一つの無水物官能基、特に無水コハク酸官能基を含むポリ(アルキレン)である(即ち、該1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンは、少なくとも一つの無水コハク酸官能基を含むポリ(アルキレン)である)。
【0027】
従って、上記1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンは、好ましくは無水物官能基を含む1種またはそれ以上のポリアルキレン、より好ましくは無水物官能基を含むポリ(C
2〜C
6アルキレン)、更に一層好ましくは無水コハク酸官能基を含むポリ(C
2〜C
6アルキレン)、特に1種またはそれ以上のポリイソブチレン無水コハク酸(PIBSAs)である。適切には、該PIBSAのポリイソブチレンは、300〜5,000ダルトン、好ましくは500〜1,500ダルトン、特に800〜1,200ダルトンの数平均分子量(Mn)を持つ。PIBは市場から入手できる化合物であり、グリッソパル(Glissopal)なる商品名の下にバスフ(BASF)により市販されており、この製品を反応させて、官能化ポリオレフィン(B(i))を生成し得る。
ポリアルキレングリコール(B(ii))
適切には、上記1種またはそれ以上のポリアルキレングリコールは、1種またはそれ以上のポリ(C
2〜C
20アルキレン)グリコール、好ましくは1種またはそれ以上のポリ(C
2〜C
10アルキレン)グリコール、より好ましくは1種またはそれ以上のポリ(C
2〜C
6アルキレン)グリコールである。より好ましくは、該1種またはそれ以上のポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールまたは混合ポリ(エチレン-プロピレン)グリコールである。最も好ましくは、該1種またはそれ以上のポリアルキレングリコールは、1種またはそれ以上のポリエチレングリコール(PEGs)、とりわけ1種またはそれ以上の水溶性PEGsである。
上記1種またはそれ以上のポリアルキレングリコールは、1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン(B(i))の二酸または無水物官能基と反応し、それにより本質的にポリオレフィン-ポリアルキレングリコールコポリマーを形成し得る、2つのヒドロキシル基を含む。このようなポリマー化合物は、官能化ポリオレフィン(B(i))、ポリアルキレングリコール(B(ii))、ポリオール(B(iii))および/またはモノカルボン酸(B(iv))と更に反応させ得ることが理解されよう。
【0028】
適切には、上記1種またはそれ以上のポリアルキレングリコール(例えば、PEG)は、300〜5,000ダルトン、好ましくは400〜1,000ダルトン、とりわけ400〜800ダルトンという数平均分子量(Mn)を持つ。従って、好ましい一態様において、1種またはそれ以上のポリアルキレングリコール(B(ii))はPEG
400、PEG
600またはPEG
1000である。好都合なことに、PEG
400、PEG
600およびPEG
1000は、クロダインターナショナル(Croda International)から市販品として入手し得る。
ポリオール(B(iii))
1種またはそれ以上のポリオール反応体(B(iii))は、1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン(B(i))と反応し、それにより官能化ポリオレフィンの別々のブロックを一緒に結合する主鎖部分を与えることができる。適切には、該1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィンが、無水物または二酸官能基で官能化されている場合、該ポリオールは、エステル結合を介して該ポリオレフィンの別々のブロックを一緒に結合する主鎖部分を与える。
上記1種またはそれ以上のポリオールは、2またはそれ以上のヒドロキシル官能基を含むアルコール(即ち、多価アルコール)であるが、上記油溶性または油分散性のポリマー系摩擦調整剤を形成するのに使用される「ポリアルキレングリコール」(成分(B(ii))を除外する。好ましくは、該1種またはそれ以上のポリオールは、3またはそれ以上のヒドロキシル官能基を含む。従って、該1種またはそれ以上のポリオールはジオール、トリオール、テトラオール、および/またはこのような化合物の関連するダイマーまたは連鎖延長ポリマーであり得る。適切には、該1種またはそれ以上のポリオールは、1種またはそれ以上のC
2〜C
20ヒドロカルビルポリオール、より好ましくは1種またはそれ以上のC
2〜C
20脂肪族ヒドロカルビルポリオール、より一層好ましくは飽和C
2〜C
20脂肪族ヒドロカルビルポリオール、より一層好ましくは飽和C
2〜C
15脂肪族ヒドロカルビルポリオールである。適切には、該ポリオールは400ダルトンに等しいかまたはそれ未満、好ましくは350ダルトンに等しいかまたはそれ未満、より好ましくは300ダルトンに等しいかまたはそれ未満、最も好ましくは280ダルトンに等しいかまたはそれ未満の分子量(Mw)を持つ。適当なポリオールの例はグリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールおよびソルビトールを含む。最も好ましくは、該1種またはそれ以上のポリオールはグリセロールを含む。
【0029】
モノカルボン酸(B(iv))
適切には、1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン(B(i))、1種またはそれ以上のポリアルキレングリコール(B(ii))および1種またはそれ以上のポリオール(B(iii))のコポリマー反応生成物は、反応性ヒドロキシル官能基(即ち、該ポリアルキレングリコールまたはポリオール部分と結合したヒドロキシル基)を含み、またこのようなコポリマーは、1種またはそれ以上のモノカルボン酸(B(iv))と反応し、それにより該反応のコポリマー生成物をキャッピングする(即ち、該モノカルボン酸は、ポリアルキレングリコールまたはポリオール部分と結合したヒドロキシル官能基と反応して、エステルを形成する)。
適切には、上記1種またはそれ以上のモノカルボン酸は、1種またはそれ以上のC
2〜C
36 ヒドロカルビルモノカルボン酸(例えば、C
2〜C
20ヒドロカルビルモノカルボン酸)、好ましくは1種またはそれ以上のC
6〜C
30ヒドロカルビルモノカルボン酸、より好ましくは1種またはそれ以上のC
12〜C
22ヒドロカルビルモノカルボン酸である。より好ましくは、該1種またはそれ以上のモノカルボン酸は、1種またはそれ以上の飽和または不飽和で、分岐または直鎖の非環式C
2〜C
36脂肪族ヒドロカルビルモノカルボン酸、とりわけ1種またはそれ以上の飽和または不飽和で、分岐または直鎖の非環式C
6〜C
30脂肪族ヒドロカルビルモノカルボン酸、より特別には1種またはそれ以上の飽和または不飽和で、分岐または直鎖の非環式C
12〜C
22脂肪族ヒドロカルビルモノカルボン酸である。更に一層好ましくは、該1種またはそれ以上のモノカルボン酸は、1種またはそれ以上の不飽和非環式C
6〜C
30脂肪族ヒドロカルビルモノカルボン酸、より特別には1種またはそれ以上の不飽和非環式C
12〜C
22脂肪族ヒドロカルビルモノカルボン酸である。
【0030】
更に一層好ましくは、上記1種またはそれ以上のモノカルボン酸はラウリン酸、エルカ酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、タル油脂肪酸、オレイン酸またはリノール酸およびこれらの混合物、とりわけタル油脂肪酸、オレイン酸またはリノール酸およびこれらの混合物から選択される。本発明の極めて好ましい態様において、該1種またはそれ以上のモノカルボン酸は、1種またはそれ以上のモノカルボン酸系脂肪酸、とりわけ主としてオレイン酸およびリノール酸からなるタル油脂肪酸である。
従って、極めて好ましい一態様によれば、油溶性または油分散性ポリマー系摩擦調整剤(B)は、以下に列挙するもののみの反応生成物である:
(i) 1種またはそれ以上の、ここにおいて定義された如きPIBSAs;および
(ii) 1種またはそれ以上の、ここにおいて定義された如きポリエチレングリコール;および
(iii) 1種またはそれ以上の、ここにおいて定義された如きポリオール、好ましくはグリセロール;および
(iv) 1種またはそれ以上の、ここにおいて定義された如きモノカルボン酸、好ましくはタル油脂肪酸。
【0031】
適切には、上記ポリマー系摩擦調整剤の製造中に、1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン(B(i))、1種またはそれ以上のポリアルキレングリコール(B(ii))、1種またはそれ以上のポリオール(B(iii))および1種またはそれ以上のモノカルボン酸(B(iv))の間の多重反応が起こる可能性がある。例えば、該官能化ポリオレフィンおよび該ポリアルキレングリコールは以下のように反応し得る。即ち、該ポリオレフィンが該ポリアルキレングリコールに直接結合し(例えば、エステル結合を介して)、また続いて起る反応が、この得られるポリマーと該官能化ポリオレフィン、ポリアルキレングリコール、ポリオールおよび/またはモノカルボン酸の何れかとの間で起きるように反応し得る。あるいは、または付随的に、1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン(B(i))は、1種またはそれ以上のポリオール(B(iii))と反応して、該ポリオールにより一緒に結合された(典型的には、エステル結合を介して)該官能化ポリオレフィンのブロックを形成することができ、またその後の反応は、この得られる官能化ポリオレフィンのブロックと、ポリアルキレングリコール(B(ii))および/またはモノカルボン酸(B(iv))との間で起きる可能性がある。
従って、官能化ポリオレフィン(B(i))、ポリアルキレングリコール(B(ii))、ポリオール(B(iii))およびモノカルボン酸(B(iv))は反応して、ブロックコポリマーを形成することができる。存在する場合には、上記有機摩擦調整添加剤内のブロックコポリマー単位の数は、典型的に2〜20単位、好ましくは2〜15単位、より好ましくは2〜10単位の範囲にある。
【0032】
全てのポリマーのように、上記ポリマー系摩擦調整剤は、典型的に様々な大きさを持つ分子の混合物を含む。ポリマー系摩擦調整剤(B)は、適切には1,000〜30,000ダルトン、好ましくは1,500〜25,000ダルトン、より好ましくは2,000〜20,000ダルトンの数平均分子量を持つ。
ポリマー系摩擦調整剤(B)は、適切には20mg KOH/gに等しいかまたはそれ未満、好ましくは15mg KOH/gに等しいかまたはそれ未満およびより好ましくは10mg KOH/gに等しいかまたはそれ未満の酸価(ASTM D974)を持つ。ポリマー系摩擦調整剤(B)は、適切には1mg KOH/gに等しいかまたはこれを超え、好ましくは3mg KOH/gに等しいかまたはこれを超え、より好ましくは5mg KOH/gに等しいかまたはこれを超える酸価を持つ。好ましい一態様において、ポリマー系摩擦調整剤(B)は、5〜12mg KOH/gの範囲の酸価を持つ。
適切には、ポリマー系摩擦調整剤(B)は、国際特許出願第WO 2011/107739号に記載されている方法と類似した合成法によって製造し得る。典型的には、ここにおいて定義した如き官能化ポリオレフィン、ここにおいて定義した如きポリアルキレングリコールおよび上記モノカルボン酸は、触媒(例えば、テトラブチルチタネート)の存在下で、100〜250℃にて加熱され、また水は除去される。
【0033】
好ましい一態様において、ポリマー系摩擦調整剤(B)は、マレイン化(maleinised)ポリイソブチレン(PIBSA)、PEG、グリセロールおよびタル油脂肪酸の反応生成物であり、ここで該マレイン化ポリイソブチレン(PIBSA)のポリイソブチレンは、約950ダルトンという数平均分子量を持ち、該PIBSAはおよその鹸化値98mg KOH/gを有し、また該PEGは数平均分子量約600ダルトンおよびヒドロキシル価190mg KOH/gを持つ。適当な添加剤は、110g(0.10モル)のPIBSA、72g(0.12モル)のPEG
600、25g(約0.1モル)のタル油脂肪酸および5g(0.054モル)のグリセロールを、窒素パージ、機械的攪拌装置、イソマントル(isomantle)ヒータおよび蒸留アームを備えた、ガラス製丸底フラスコ内に装入することにより製造し得る。この反応は、0.0mLのエステル化触媒であるテトラブチルチタネートの存在下で、200〜220℃にて、水を除去しつつ、最終的な酸価10mg KOH/gまで行われる。従って、別のポリマー系摩擦調整剤(B)は、類似の合成法によって調製し得る。
適切には、ポリマー系摩擦調整剤(B)は、上記潤滑油組成物中に、有効物質を基に、該潤滑油組成物の全質量を基準として、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.2質量%の量で存在する。適切には、該ポリマー系摩擦調整剤は、該潤滑油組成物中に、有効物質を基に、該潤滑油組成物の全質量を基準として、5質量%に等しいかまたはそれ未満、好ましくは3質量%に等しいかまたはそれ未満、より好ましくは1.5質量%に等しいかまたはそれ未満の量で存在する。
【0034】
ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩(C)
潤滑油組成物において、耐摩耗性を持つ、任意の適当な油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩を使用することができる。注目に値するものは、ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩であって、その金属がアルカリまたはアルカリ土類金属、またはアルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケル、銅、または好ましくは亜鉛であり得る該金属塩である。従って、好ましいジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩は、亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェート(ZDDP)、より好ましくは亜鉛ジアルキルジチオホスフェート、特に亜鉛ジ(C
2〜C
8アルキル)ジチオホスフェートであり、ここで該亜鉛ジ(C
2〜C
8アルキル)ジチオホスフェートのC
2〜C
8アルキル基は、同一または異なっていてもよい。
ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩は、公知の技術に従って、通常は1種またはそれ以上のアルコールまたはフェノールとP
2S
5とを反応させて、先ずジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を形成し、次いで形成された該DDPAを金属化合物で中和することにより製造することができる。例えば、ジチオリン酸は、一級および二級アルコールの混合物を反応させることにより製造することができる。あるいはまた、多数のジチオリン酸を製造することができ、ここで一つのジチオリン酸のヒドロカルビル基は、その性質において完全に二級であり、またその他のジチオリン酸上のヒドロカルビル基は、その性質において完全に一級である。その金属塩を製造するために、任意の塩基性または中性金属化合物を使用し得るが、その酸化物、水酸化物および炭酸塩が、最も一般的に使用される。市販の添加剤は、該中和反応において過剰の該塩基性金属化合物を使用していることから、しばしば過剰量の金属を含んでいる。
好ましい亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェート(ZDDP)は、ジヒドロカルビルジチオリン酸の油溶性塩であり、また以下の式で表すことができる:
【0036】
ここで、RおよびR’は、1〜18、好ましくは2〜12個の炭素原子を含む、同一または異なるヒドロカルビル基であり得、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルカリールおよび環式脂肪族基等の基を含む。基RおよびR’として特に好ましいものは、炭素原子数2〜8のアルキル基である。即ち、該基は、例えばエチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、アミル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、n-オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2-エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであり得る。油溶性を獲得するために、該ジチオリン酸中の全炭素原子数(即ち、RおよびR’)は、一般的に約5またはこれを超えるであろう。該亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェートは、従って亜鉛ジアルキルジチオホスフェートを含むことができる。
上記ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩、例えばZDDPは、上記潤滑油組成物の全質量を基準とし、またASTM D5185に従って測定したものとして、質量基準で1,200ppm以下、好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは900ppm以下、最も好ましくは850ppm以下のリンを該潤滑油に与えるのに十分な量で、該潤滑油組成物に添加される。適切には、該ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩、例えばZDDPは、該潤滑油組成物の全質量を基準とし、またASTM D5185に従って測定したものとして、質量基準で少なくとも100ppm、好ましくは少なくとも350ppm、より好ましくは少なくとも500ppmのリンを該潤滑油に与えるのに十分な量で該潤滑油組成物に添加する。
適切には、上記ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩、例えばZDDPは、上記潤滑油組成物の全質量を基準として、0.1質量%に等しいかまたはこれを超え、好ましくは0.25質量%に等しいかまたはこれを超え、より好ましくは0.5質量%に等しいかまたはこれを超える量にて存在する。適切には、該ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩、例えばZDDPは、該潤滑油組成物の全質量を基準として、10質量%に等しいかまたはそれ未満、好ましくは5.0質量%に等しいかまたはそれ未満、より好ましくは3.0質量%に等しいかまたはそれ未満の量にて存在する。
【0037】
エンジン
機械的エンジン部品、特に内燃機関、例えば火花点火式または圧縮点火式内燃機関、とりわけ火花点火式または圧縮点火式2-サイクル型または4-サイクル型レシプロエンジンにおけるエンジン部品に対して、上記潤滑油組成物を添加することによって、これらエンジン部品を潤滑するために該組成物を使用することができる。該エンジンは、夫々ガソリンまたは石油ディーゼルによって作動するように設計されている、従来のガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンであり得、あるいはまたこれらのエンジンは、アルコールを主成分とする燃料またはバイオディーゼル燃料により作動するように特別に改良することも可能である。
補助添加剤
同様に存在させることができ、添加剤成分(B)および(C)とは異なる補助添加剤を、その典型的な有効量と共に、以下に列挙する。掲載されている全ての値は、完全に調合された潤滑剤における、活性成分の質量%として表されている。
【0038】
(1):粘度調整剤は、マルチグレードオイルにおいてのみ使用した。
【0039】
典型的には上記添加剤またはその各々を上記ベースオイルにブレンドすることにより製造される最終的な潤滑油組成物は、5〜25質量%、好ましくは5〜18質量%、典型的には7〜15質量%の上記補助添加剤を含むことができ、該組成物の残部は潤滑粘度を持つオイルである。
適切には、上記潤滑油組成物は、添加剤成分(B)および(C)以外の、1種またはそれ以上の補助添加剤を少量で含み、該補助添加剤は無灰分散剤、金属洗浄剤、防錆剤、酸化防止剤、流動点降下剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤、解乳化剤、消泡剤および粘度調整剤から選択される。
上述の補助添加剤を、以下の通り、更に詳しく説明する。当分野において知られているように、幾つかの添加剤は多数の効果を与えることができ、例えば単一の添加剤が分散剤としてのおよび酸化防止剤としての役割を果たすことができる。
【0040】
金属洗浄剤は、デポジットを減じあるいは除去するための洗浄剤として、および酸中和剤または腐蝕抑制剤両者として機能し、それにより磨耗および腐蝕を減じ、またエンジン寿命を延長する。洗浄剤は、一般に長い疎水性の尾部を持つ極性ヘッドを含み、該極性ヘッドは、酸性有機化合物の金属塩を含む。該塩は、実質上化学量論的量の該金属を含むことができ、この場合において該塩は、通常正塩または中性塩として説明され、また典型的には0〜80mg KOH/gという全塩基価、即ちTBN(ASTM D2896により測定できるような)を持つであろう。過剰量の金属化合物(例えば、酸化物または水酸化物)と、酸性ガス(例えば、二酸化炭素)とを反応させることにより、大量の金属塩基を組入れることができる。この得られる過塩基性洗浄剤は、金属塩基(例えば、炭酸塩)ミセルの外側層として中和された洗浄剤を含む。このような過塩基性洗浄剤は、150mg KOH/gまたはこれを超えるTBNを持つことができ、また典型的には250〜450mg KOH/gまたはこれを超えるTBNを持つであろう。該過塩基性洗浄剤の量は減らすことができ、あるいは低レベルの過塩基性を持つ洗浄剤(例えば、100〜200mg KOH/gのTBNを持つ洗浄剤)または中性洗浄剤を使用することができ、結果として該潤滑油組成物の性能の低下をきたすことなしに、該組成物のSASH含有率における対応する低下がもたらされる。
【0041】
使用し得る洗浄剤は、金属、特にアルカリまたはアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、およびマグネシウムの、油溶性の中性および過塩基性スルホネート、フェネート、硫化フェネート、チオホスホネート、サリチレート、およびナフテネートおよび他の油溶性カルボキシレートを含む。最も普通に使用される金属は、両者共に潤滑剤において使用されている洗浄剤中に存在し得るカルシウムおよびマグネシウム、およびカルシウムおよび/またはマグネシウムとナトリウムとの混合物である。過塩基性または中性またはその両者であれ、洗浄剤の組合せを使用することができる。
本発明の一態様において、上記潤滑油組成物は、20〜450mg KOH/gのTBNを持つ中性または過塩基性スルホン酸カルシウム、および50〜450mg KOH/gのTBNを持つ中性および過塩基性カルシウムフェネートおよび硫化フェネートおよびこれらの混合物から選択される金属洗浄剤を含む。
スルホネートはスルホン酸から製造でき、これらは、典型的にアルキル置換芳香族炭化水素、例えば石油の分別から得られるもの等のスルホン化により、あるいは芳香族炭化水素のアルキル化により得られる。その例はベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニルまたはこれらのハロゲン化誘導体、例えばクロロベンゼン、クロロトルエンおよびクロロナフタレンを、アルキル化することにより得られるものを含む。該アルキル化は、約3〜70個を超える炭素原子を含むアルキル化剤と共に触媒の存在下で行うことができる。該アルカリールスルホネートは、通常、アルキル置換芳香族部分につき、約9〜約80個またはこれを超える炭素原子、好ましくは約16〜約60個の炭素原子を含む。該油溶性スルホネートまたはアルカリールスルホン酸は、上記金属の酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、カルボキシレート、スルフィド、ヒドロスルフィド、硝酸塩、ホウ酸塩およびエーテルにより中和することができる。該金属化合物の量は、最終生成物の所望のTBNを考慮して選択されるが、典型的には化学量論的に必要とされる値の約100〜220質量%(好ましくは少なくとも125質量%)の範囲にある。
【0042】
フェノールおよび硫化フェノールの金属塩は、適当な金属化合物、例えば酸化物または水酸化物との反応により製造され、また中性または過塩基性生成物は、当分野において周知の方法によって得ることができる。硫化フェノールはフェノールと、硫黄または硫黄-含有化合物、例えば硫化水素、硫黄モノハライドまたは硫黄ジハライドとを反応させて、一般的には2またはこれを超えるフェノールが、硫黄-含有架橋によって橋架けされている化合物の混合物である、生成物を形成することによって製造し得る。
本発明のもう一つの態様において、上記潤滑油組成物は金属洗浄剤を含み、該金属洗浄剤は50〜450mg KOH/gのTBN、好ましくは50〜250mg KOH/gのTBNを持つ、中性または過塩基性アルカリまたはアルカリ土類金属サリチレートまたはこれらの混合物である。極めて好ましいサリチレート洗浄剤は、アルカリ土類金属サリチレート、特にマグネシウムおよびカルシウム、とりわけカルシウムサリチレートを含む。本発明の一態様において、アルカリまたはアルカリ土類金属サリチレート洗浄剤は、該潤滑油組成物における唯一の金属-含有洗浄剤である。
上記潤滑油組成物に含めることのできる、ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩(添加剤成分(C))以外の補助的
耐摩耗剤は、1,2,3-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、硫化脂肪酸エステル、およびジチオカルバメート誘導体を含む。
【0043】
無灰分散剤は、分散すべき粒子と結合し得る官能基を持つ、油溶性のポリマー系炭化水素主鎖を含む。典型的には、該分散剤は、しばしば橋架け基を介して該ポリマー主鎖に結合したアミン、アルコール、アミドまたはエステル系極性部分を含む。該無灰分散剤は、例えば長鎖炭化水素-置換モノ-およびジ-カルボン酸またはその無水物の油溶性の塩、エステル、アミノエステル、アミド、イミド、およびオキサゾリン;長鎖炭化水素のチオカルボキシレート誘導体;直接結合しているポリアミンを含む長鎖脂肪族炭化水素;および長鎖置換フェノールとホルムアルデヒドおよびポリアルキレンポリアミンとを縮合することにより形成されるマンニッヒ(Mannich)縮合生成物から選択することができる。
摩擦調整剤は、高級脂肪酸のグリセロールモノエステル、例えばグリセロールモノオレエート(GMO);長鎖ポリカルボン酸とジオールとのエステル、例えばダイマー化不飽和脂肪酸のブタンジオールエステル;オキサゾリン化合物;およびアルコキシル化アルキル-置換モノアミン、ジアミンおよびアルキルエーテルアミン、例えばエトキシル化獣脂アミンおよびエトキシル化獣脂エーテルアミンを含む。典型的には、潤滑剤における追加の有機無灰摩擦調整剤の全量は、上記潤滑油組成物の全質量を基準として5質量%を超えず、また好ましくは2質量%を超えず、またより好ましくは0.5質量%を超えない。本発明の一態様において、該潤滑油組成物は、追加の有機無灰摩擦調整剤を含むことはない。
【0044】
その他の公知の摩擦調整剤は、油溶性有機-モリブデン化合物を含む。このような有機-モリブデン摩擦調整剤は、また潤滑油組成物に、酸化防止剤および耐摩耗剤的な評価を与える。適当な油溶性有機-モリブデン化合物はモリブデン-硫黄コアを持つ。例としては、ジチオカルバメート、ジチオホスフェート、ジチオホスフィネート、キサンテート、チオキサンテート、スルフィド、およびこれらの混合物を挙げることができる。特に好ましいものは、モリブデンジチオカルバメート、ジアルキルジチオホスフェート、アルキルキサンテートおよびアルキルチオキサンテートである。該モリブデン化合物は、二核または三核化合物である。
本発明の全ての局面において有用な、好ましい有機-モリブデン化合物の一群は、式:Mo
3S
kL
nQ
zの三核モリブデン化合物およびその混合物であり、ここにおいてLは、該化合物を上記オイルに対して可溶性または分散性とするのに十分な数の炭素原子を含む有機基を持つ、独立に選択されるリガンドであり、nは1〜4であり、kは4から7まで変動し、Qは中性の電子供与化合物、例えば水、アミン、アルコール、ホスフィン、およびエーテルからなる群から選択され、またzは0〜5の範囲にあり、また非化学量論的な値を含む。少なくとも21という全炭素原子数、例えば少なくとも25、少なくとも30、または少なくとも35という炭素原子が、該リガンドの有機基全体の中に存在すべきである。
上記モリブデン化合物は、0.1〜2質量%の範囲、または質量基準で少なくとも10ppm、例えば50〜2,000ppmのモリブデン原子を与える濃度にて上記潤滑油組成物中に存在し得る。
【0045】
好ましくは、上記モリブデン化合物由来のモリブデンは、上記潤滑油組成物の全質量を基準として、10〜1,500ppm、例えば20〜1,000ppm、より好ましくは30〜750ppmの量で存在する。幾つかの用途に対して、該モリブデンは500ppmを超える量で存在する。
粘度調整剤(VM)は、潤滑油に高温および低温操作性を付与するように機能する。使用するこのVMは、この機能のみを持つことができ、あるいは多機能性であってもよい。分散剤としても機能する多機能性粘度調整剤も公知である。適当な粘度調整剤は、ポリイソブチレン、エチレンおよびプロピレンおよびより高級のα-オレフィンのコポリマー、ポリメタクリレート、ポリアルキルメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸とビニル化合物とのコポリマー、スチレンとアクリル酸エステルとの共重合体、およびスチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエン、およびイソプレン/ブタジエンの部分水添コポリマー、並びにブタジエンおよびイソプレンの部分水添ホモポリマーおよびイソプレン/ジビニルベンゼンである。
酸化防止剤はしばしば酸化抑制剤と呼ばれ、上記組成物の酸化に対する抵抗性を高め、またパーオキサイドと化合し、また該パーオキサイドを変性することにより機能して、分解することにより、あるいは酸化触媒を不活性にすることによって、該パーオキサイドを無害にすることができる。酸化的劣化は、該潤滑剤中のスラッジ、金属表面上のワニス様のデポジット、および粘度の増大により立証し得る。
適当な酸化防止剤の例は、銅-含有酸化防止剤、硫黄-含有酸化防止剤、芳香族アミン-含有酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ジチオホスフェート誘導体、および金属チオカーバメートから選択される。好ましい酸化防止剤は、芳香族アミン-含有酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびこれらの混合物である。好ましい一態様において、酸化防止剤は、本発明の潤滑油組成物中に存在する。
【0046】
ノニオン性ポリオキシアルキレンポリオールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレンフェノール、およびアニオン性アルキルスルホン酸からなる群から選択される
防蝕剤を使用することができる。
銅および鉛ベアリング腐蝕抑制剤は使用可能であるが、典型的には必要とされない。典型的には、このような化合物は、5〜50個の炭素原子を含むチアジアゾールポリスルフィド、その誘導体およびそのポリマーである。1,3,4-チアジアゾールの誘導体、例えば米国特許第2,719,125号、同第2,719,126号および同第3,087,932号において記載されているものが典型的である。他の同様な物質は、米国特許第3,821,236号、同第3,904,537号、同第4,097,387号、同第4,107,059号、同第4,136,043号、同第4,188,299号、および同第4,193,882号に記載されている。その他の添加剤は、チアジアゾールのチオおよびポリチオスルフェンアミド、例えばUK特許明細書第1,560,830号において記載されているものである。ベンゾトリアゾール誘導体も、この添加剤群に帰属する。これら化合物が該潤滑組成物中に含められた場合、これらは、好ましくは0.2質量%の活性成分を超えない量で存在する。
少量の
解乳化成分を使用することができる。好ましい解乳化成分はEP 330522に記載されている。これは、ビス-エポキシドと多価アルコールとを反応させることにより得られる付加物とアルキレンオキサイドとを反応させることによって得られる。該解乳化剤は、0.1質量%を超えない活性成分レベルにて使用すべきである。0.001〜0.05質量%の活性成分という処理率が好適である。
【0047】
別途潤滑油流動性向上剤として知られている
流動点降下剤は、該流体が流動し、あるいはこれを流し込むことのできる最低温度を下げる。このような添加剤は周知である。該流体の該低温流動性を改善するこのような添加剤の典型例は、C
8〜C
18ジアルキルフマレート/ビニルアセテートコポリマー、ポリアルキルメタクリレート等である。
泡沫は、ポリシロキサン型の
消泡剤を包含する多くの化合物、例えばシリコーンオイルまたはポリジメチルシロキサンによって制御することができる。
上記個々の添加剤は、任意の都合の良い方法によりベースストックに組入れることができる。即ち、所望レベルの濃度にて、該成分各々を該ベースストックまたはベースオイルブレンドに分散または溶解することによって、該成分各々を、該ベースストックまたはベースオイルブレンドに直接添加することができる。このようなブレンド法は、周囲温度または高温度にて行うことができる。
好ましくは、上記粘度調整剤および上記流動点降下剤を除く全ての添加剤は、ブレンドして、濃厚物またはパッケージとされ、該パッケージは、ここにおいて添加剤パッケージとして記載され、これは、最終的な潤滑剤を製造するために、後にベースストックとブレンドされる。該濃厚物は、典型的には、適量で上記1または複数の添加剤を含み、該濃厚物が所定量のベース潤滑剤と組合された際に、その最終的な処方物に所定の濃度を与えるように調合されるであろう。
【0048】
上記濃厚物は、好ましくはUS 4,938,880に記載されている方法に従って製造される。この特許は、少なくとも約100℃の温度にて予めブレンドされている無灰分散剤と金属洗浄剤とのプレミックスの製造を記載している。その後、該プレミックスは少なくとも85℃まで冷却され、また上記追加の成分が添加される。
典型的に、上記潤滑油組成物を配合するのに使用される上記添加剤パッケージは25〜100、好ましくは45〜80という、ASTM D2896によって測定された如き全塩基価(TBN)を有し、また該潤滑油組成物は4〜15、好ましくは5〜12という、ASTM D2896によって測定された如き全塩基価(TBN)を持つ。本発明の一態様において、該添加剤パッケージは、62〜63.5の範囲のASTM D2896によって測定された如き全塩基価(TBN)を持つことはなく、また該潤滑油組成物は、9.05〜9.27の範囲のASTM D2896によって測定された如き全塩基価(TBN)を持つことはない。
上記最終的なクランクケース用潤滑油配合物は2〜20質量%、好ましくは4〜18質量%、および最も好ましくは5〜17質量%の上記濃厚物または添加剤パッケージを用いることができ、その残部はベースストックである。
本発明の一態様において、上記潤滑油組成物は0.2〜0.25質量%の、ASTM法D4927に従って測定された如き硫黄を含むことはない。
本発明の一態様において、潤滑油組成物は、0.08〜0.11質量%の、ASTM法D5291に従って測定された如き窒素を含むことはない。
【実施例】
【0049】
今から、本発明を、以下の実施例によって説明する。これら実施例は、本発明の特許請求の範囲の限定を意図するものではない。
特に述べない限り、これら実施例において記載される全ての添加剤は、潤滑剤用添加物製造会社、例えばインフィニウムUK社(Infineum UK Ltd)、ラブリゾール社(Lubrizol Corporation)、およびアフトンケミカルズ社(Afton Chemical Corporation)から標準的な添加剤として入手できる。
実施例1:ポリマー系摩擦調整剤(B)の製造
窒素パージ、気密スターラーベアリングを具備する攪拌機、温度プローブおよび出口バブラーに取付けられた蒸留アームを備えた500cm
3の5-口丸底フラスコを、PIBSA(110g、0.10モル)、PEG
600(72g、0.12モル)、タル油脂肪酸(25g、約0.1モル)およびグリセロール(5.0g、0.054モル)で満たし、またこの混合物を、攪拌しつつ180℃にて1時間加熱した。次いで、この反応混合物を、220℃の温度に1時間加熱し、次にこれにテトラブチルチタネート(0.1mL)を添加し、水を除去しつつ、温度220℃にておよび約5〜約15kPa(50〜150mbar)の減圧下で2時間、加熱および攪拌を継続した。この反応混合物を100℃以下に冷却したところ、ポリマー系摩擦調整剤(B)が、該丸底フラスコから流れ出てきた。ポリマー系摩擦調整剤(B)は、酸価10mg KOH/gを有していた。
【0050】
実施例2:耐蝕性能
5種の潤滑油組成物(ベース潤滑剤およびオイル1〜4)を製造した。これらベース潤滑剤およびオイル1〜4各々は、同一のグループIIベースストックおよび等量の以下の同一の添加剤を含んでいた:過塩基性スルホン酸カルシウム洗浄剤(TBN:300mg KOH/g);分散剤;酸化防止剤;モリブデン摩擦調整剤;および粘度調整剤。オイル1〜4は、また以下の表1に詳述するような、活性成分に基く追加の添加剤をも含んでいた。ZDDPを含有するこれらのオイル(即ち、オイル2〜4)は、880ppmというASTM D5185により測定された如きリン含有率を有していた。
【0051】
1:このポリマー系摩擦調整剤は、実施例1の化合物であった。
【0052】
テストおよび結果
腐蝕制御は、ASTM D6594-06に従って、高温腐食ベンチテスト(High Temperature Corrosion Bench Test (HTCBT))を用いて測定する。このテスト法は、潤滑剤中の非鉄金属、例えばカムフォロアおよびベアリングにおいて見出される銅および鉛の腐蝕をシミュレートし、この検討中の腐蝕過程は、潤滑剤の劣化または汚染というよりも寧ろ潤滑剤の化学的作用によって引起される。
銅、鉛、スズおよびリン青銅製の4種の金属検体を、サンプルチューブ内の秤量配分されたテスト潤滑油(100mL)中に浸漬させる。該サンプルチューブを、該テスト潤滑油が温度135℃まで加熱されるように、加熱した油浴に浸漬する。該テスト潤滑油を、135℃にて168時間に渡り加熱し、この期間中、乾燥空気を5L/時という比率にて該加熱オイルを通して吹込む。その後、該テスト潤滑油を冷却し、該金属検体を取出し、また腐蝕につき検査する。次いで、このテスト潤滑油組成物および該潤滑油組成物の参照サンプル(即ち、該テスト潤滑油の新たなサンプル)中の銅、スズおよび鉛の濃度を、ASTM D5185に従って測定する。該テスト潤滑油組成物中の該金属汚染物各々の濃度および該潤滑油組成物の参照サンプルに係る濃度との間の差が、該テスト前後の、該様々な金属濃度における変化に関する値を与える。API CJ-4の諸要件を満たすための工業的標準の限界は、銅に関して最大20ppmおよび鉛に関して最大120ppmである。該ベース潤滑剤およびオイル1〜4に関する結果を、以下の表2に公表する。
【0053】
【0054】
上記表2における結果から、ZDDP、無灰有機摩擦調整剤またはポリマー系摩擦調整剤(B)を含まない上記ベース潤滑剤が、23ppmという鉛腐蝕および33ppmという銅腐蝕を引起すことを理解することができる。該ベース潤滑剤+1種の無灰有機摩擦調整剤(GMO)に等価なオイル1の結果と該ベース潤滑剤に関する結果との比較は、該ベース潤滑剤内に該無灰有機摩擦調整剤を含めることにより、鉛腐蝕(403ppm対23ppm)および銅腐蝕(49ppm対33ppm)両者が大幅に増大することを立証している。
オイル2に関する結果と上記ベース潤滑剤に関する結果との比較によって理解し得るように、該ベース潤滑剤にZDDPを含めることは、鉛腐蝕(63ppm対23ppm)を増大するが、銅腐蝕における極僅かな改善(27ppm対33ppm)を示す。オイル3に関する結果と該ベース潤滑剤に関する結果との比較により理解し得るように、ZDDPおよび無灰有機摩擦調整剤(GMO)両者を該ベース潤滑剤(オイル3)に含めることは、鉛腐蝕を大幅に増大(420ppm対23ppm)するが、銅腐蝕における改善(22ppm対33ppm)をもたらす。オイル4(ZDDPおよびポリマー系摩擦調整剤(B)を含む潤滑剤)に関する結果とオイル3に関する結果との比較から、ポリマー系摩擦調整剤(B)が、オイル3中に存在する該無灰有機摩擦調整剤よりも著しく低い鉛腐蝕(85ppm対420ppm)を与え、また該ポリマー系摩擦調整剤が、銅腐蝕の阻害において、該無灰有機摩擦調整剤よりも著しく優れている(16ppm対22ppm)ことは注目に値する。その上、オイル4に関する結果と該ベース潤滑剤に関する結果との比較は、ZDDPおよびポリマー系摩擦調整剤(B)両者の存在が、銅腐蝕における著しい減少(16ppm対33ppm)をもたらすことを明確に立証している。
本発明は、以下の事項をも含んでいる。
(付記1)
大量の潤滑粘度を持つオイル(A)を含む潤滑油組成物において使用するための添加剤であって、該添加剤は、火花点火式または圧縮点火式内燃機関の動作中の、非鉄金属含有エンジン部品の腐蝕を減じおよび/または抑制するための、油溶性または油分散性ポリマー系摩擦調整剤(B)を含み、該油溶性または油分散性ポリマー系摩擦調整剤(B)が、(i) 少なくとも1種の二酸または無水物官能基で官能化されたポリ(アルキレン)である、1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン;および(ii) 1種またはそれ以上のポリアルキレングリコール;および(iii) 1種またはそれ以上のポリオール;および(iv) 1種またはそれ以上のモノカルボン酸のみの反応生成物であることを特徴とする、前記添加剤。
(付記2)
前記1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン(B(i))が、少なくとも1種の二酸または無水物官能基で官能化されたポリ(C2〜C6アルキレン)である、付記1記載の添加剤。
(付記3)
前記1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン(B(i))が、少なくとも1種の二酸または無水物官能基で官能化された、1種またはそれ以上のポリイソブチレンである、付記1記載の添加剤。
(付記4)
前記1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン(B(i))が、無水コハク酸官能基で官能化されている、付記1〜3の何れか1項に記載の添加剤。
(付記5)
前記1種またはそれ以上の官能化ポリオレフィン(B(i))が、1種またはそれ以上のポリイソブチレン無水コハク酸(PIBSAs)である、付記1記載の添加剤。
(付記6)
前記1種またはそれ以上のポリアルキレングリコール(B(ii))が、1種またはそれ以上のポリ(C2〜C6アルキレン)グリコールである、付記1〜5の何れか1項に記載の添加剤。
(付記7)
前記1種またはそれ以上のポリアルキレングリコールが、1種またはそれ以上のポリエチレングリコール(PEGs)である、付記6記載の添加剤。
(付記8)
前記1種またはそれ以上のポリオール(B(iii))が、1種またはそれ以上のC2〜C20脂肪族ヒドロカルビルポリオールである、付記1〜7の何れか1項に記載の添加剤。
(付記9)
前記1種またはそれ以上C2〜C20脂肪族ヒドロカルビルポリオールが、グリセロールである、付記8記載の添加剤。
(付記10)
前記1種またはそれ以上のモノカルボン酸(B(iv))が、1種またはそれ以上のC2〜C36脂肪族ヒドロカルビルモノカルボン酸である、付記1〜9の何れか1項に記載の添加剤。
(付記11)
前記1種またはそれ以上のモノカルボン酸(B(iv))が、タル油脂肪酸である、付記1〜10の何れか1項に記載の添加剤。
(付記12)
前記ポリマー系摩擦調整剤(B)が、(i) 1種またはそれ以上のポリイソブチレン無水コハク酸;および(ii) 1種またはそれ以上のポリエチレングリコール;および(iii) グリセロール;および(iv) タル油脂肪酸のみの反応生成物である、付記1〜11の何れか1項に記載の添加剤。
(付記13)
前記潤滑油組成物が、更に油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩(C)を、添加剤として有効な少量にて含む、付記1〜12の何れか1項に記載の添加剤。
(付記14)
前記油溶性または油分散性ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩(C)が、亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェートである、付記13記載の添加剤。
(付記15)
前記非鉄金属含有エンジン部品が銅、鉛、またはこのような金属の合金を含む、付記1〜14の何れか1項に記載の添加剤。