(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明者は、鋭意検討を行い、本発明によるケラチン繊維用組成物が、そのアンモニウム臭を抑え得ることを驚くべきことに見出した。
【0026】
(I)組成物
したがって、本発明による組成物は、ケラチン繊維、例えば毛髪用であり、
(a)少なくとも1種の非中和型陰イオン性界面活性剤、
(b)少なくとも1種の、ポリオキシエチレン化脂肪アルコールから選択される非イオン性界面活性剤、
(C)少なくとも1種の脂肪物質、
(d)少なくとも1種の、アンモニア及び/又はその塩及び/又はその誘導体を好ましくは含むアルカリ剤を含む。加えて、(a)の非中和型陰イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して0.9質量%未満であり、(b)のポリオキシエチレン化脂肪アルコールから選択される非イオン性界面活性剤の総HLBは、11以上、好ましくは12以上、より好ましくは13以上である。
【0027】
好ましくは、本発明による組成物は、リン酸界面活性剤を2質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下しか含まない。
【0028】
本発明のケラチン繊維のための組成物によれば、組成物から生じるアンモニア臭を減少させることができ、経時的な粘度の増加を抑えることができる。
【0029】
以下、本発明による組成物を、より詳細に説明する。
【0030】
(a)非中和型陰イオン性界面活性剤
用語「非中和型陰イオン性界面活性剤」とは、中和されていない陰イオン性界面活性剤を意味する。言い換えれば、用語「非中和型陰イオン性界面活性剤」は、その親水性官能基のプロトンが解離されていない陰イオン性界面活性剤を意味する。したがって、非中和型陰イオン性界面活性剤は、酸の形態となり、塩の形態又はイオン化された形態にはならない。2種以上の非中和型陰イオン性界面活性剤を用いてもよい。そのため、単一のタイプの非中和型陰イオン性界面活性剤、又は異なるタイプの非中和型陰イオン性界面活性剤の組合せが用いられ得る。
【0031】
本発明において用いることができる非中和型陰イオン性界面活性剤は、カルボン酸タイプの界面活性剤、スルホン酸タイプの界面活性剤、及び硫酸エステルタイプの界面活性剤を含むことができる。好ましくは、非中和型陰イオン性界面活性剤は、カルボン酸タイプの界面活性剤である。
【0032】
本発明において用いることができるカルボン酸タイプの界面活性剤としては、これらに限定されないが、脂肪カルボン酸、脂肪エーテルカルボン酸、N-アシルアミノ酸、及びタンパク質の陰イオン性誘導体が挙げられる。
【0033】
脂肪カルボン酸の非限定的な例には、式(I)に対応する、6から40個、好ましくは8から24個、より好ましくは12から22個、更に好ましくは14から20個の炭素原子を有する脂肪酸が挙げられる。
RCOOH (I)
[式中、
Rは、6から40個の炭素原子を有する炭化水素基である]。更に、Rは、直鎖状若しくは分枝状、非環式若しくは環式、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族、置換又は非置換となり得る。一般的には、Rは、直鎖状若しくは分枝状の、非環式C
6〜C
40アルキル若しくはアルケニル基又はC
1〜C
40アルキルフェニル基、より一般的にはC
8〜C
24アルキル基若しくはアルケニル基又はC
4〜C
20アルキルフェニル基、更により一般的にはC
12〜C
22アルキル基若しくはアルケニル基又はC
6〜C
16アルキルフェニル基であり、これらは置換されていてもよい。置換基の例として、一価の官能基、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C
1〜C
6アルコキシ基、アミノ基、C
1〜C
6アルキルアミノ基、C
1〜C
6ジアルキルアミノ基、ニトロ基、カルボニル基、アシル基、カルボキシル基、シアノ基等を挙げることができる。
【0034】
6から40個の炭素原子を有する適当な脂肪カルボン酸としては、これらに限定されないが、それらのINCI名(INCI:Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association Inc.(CTFA)、Washington D.C.、USAによって発表されたInternational Cosmetic Ingredient Dictionary、第10版による原材料についての命名法)により称される以下の典型例が挙げられる。アラキジン酸、アラキドン酸、ビーズワックス酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ヤシ脂肪酸(coconut acid)、イソステアリン酸、ラウリン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、オリーブ油脂肪酸(olive acid)、パルミチン酸、ナタネ油脂肪酸(rapeseed acid)、ステアリン酸、牛脂脂肪酸(tallow acid)、ウンデカン酸、ウンデシレン酸又はコムギ胚芽油脂肪酸(wheat germ acid)及びそれらの混合物。
【0035】
脂肪エーテルカルボン酸は、カルボン酸基が、ポリオキシアルキレン単位又はグリコールエーテル単位によって疎水基に結合する化合物を示すことができ、これらには限定されないが、ポリオキシアルキレン化アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化アルキルアリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化アルキルアミドエーテルカルボン酸、及びアルキルグリコールカルボン酸が挙げられる。
【0036】
脂肪エーテルカルボン酸の非限定的な例としては、式(II)に対応する化合物が挙げられる。
RO[CH
2O]
u[(CH
2)
xCH(R')(CH
2)
y(CH
2)
zO]
v[CH
2CH
2O]
wCH
2COOH (II)
[式中、
Rは、6から40個の炭素原子を含む炭化水素基であり、
u、v及びwは、互いに独立して、0〜60の数を表し、
x、y及びzは、互いに独立して、0〜13の数を表し、
R'は、水素、アルキル、好ましくはC
1〜C
12アルキルを表し、
x+y+zの合計は、0以上である]。
【0037】
式(II)に対応する脂肪エーテルカルボン酸は、単独のアルコキシドとしてのエチレンオキシド又はいくつかのアルコキシドによりアルコール ROHをアルコキシル化させ、その後酸化することにより得ることができる。u、v、及びwの数はそれぞれ、アルコキシル化の程度を表す。一方、分子レベルにおいて、u、v及びwの数並びにアルコキシル化の総計の程度は、ゼロを含めた整数となり得るに過ぎず、巨視的レベルにおいて、これらは、端数の形態の平均値である。
【0038】
式(II)中、Rは、直鎖状若しくは分枝状、非環式若しくは環式、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族、置換又は非置換である。置換基の例として、一価の官能基、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C
1〜C
6アルコキシ基、アミノ基、C
1〜C
6アルキルアミノ基、C
1〜C
6ジアルキルアミノ基、ニトロ基、カルボニル基、アシル基、カルボキシル基、シアノ基等を挙げることができる。一般的には、Rは、直鎖状若しくは分枝状の、非環式C
6〜C
40アルキル若しくはアルケニル基又はC
1〜C
40アルキルフェニル基、より一般的にはC
8〜C
24アルキル若しくはアルケニル基又はC
4〜C
20アルキルフェニル基、更により一般的には、C
10〜C
18アルキル基若しくはアルケニル基又はC
6〜C
16アルキルフェニル基であり、これらは置換されていてもよく;u、v、wは、互いに独立して、一般的には2から20までの数、より一般的には3から17までの数、最も一般的には5から15までの数であり;x、y、zは、互いに独立して、一般的には2から13までの数、より一般的には1から10までの数、最も一般的には0から8までの数である;
【0039】
適した脂肪エーテルカルボン酸としては、これらには限定されないが、それらのINCI名により称される以下の典型例が挙げられる。ブトキシノール(Butoxynol)-5カルボン酸、ブトキシノール-19カルボン酸、カプリレス(Capryleth)-4カルボン酸、カプリレス-6カルボン酸、カプリレス-9カルボン酸、セテアレス-25カルボン酸、コセス-7カルボン酸、C9〜11パレス-6カルボン酸、C
11〜C
15パレス-7カルボン酸、C12〜13パレス-5カルボン酸、C
12〜C
13パレス-8カルボン酸、C
12〜C
13パレス-12カルボン酸、C
12〜C
15パレス-7カルボン酸、C
12〜C
15パレス-8カルボン酸、C
14〜C
15パレス-8カルボン酸、デセス-7カルボン酸、ラウレス-3カルボン酸、ラウレス-4カルボン酸、ラウレス-5カルボン酸、ラウレス-6カルボン酸、ラウレス-8カルボン酸、ラウレス-10カルボン酸、ラウレス-11カルボン酸、ラウレス-12カルボン酸、ラウレス-13カルボン酸、ラウレス-14カルボン酸、ラウレス-17カルボン酸、PPG-6-ラウレス-6カルボン酸、PPG-8-ステアレス-7カルボン酸、ミレス-3カルボン酸、ミレス-5カルボン酸、ノノキシノール-5カルボン酸、ノノキシノール-8カルボン酸、ノノキシノール-10カルボン酸、オクテス(Octeth)-3カルボン酸、オクトキシノール-20カルボン酸、オレス-3カルボン酸、オレス-6カルボン酸、オレス-10カルボン酸、PPG-3-デセス-2カルボン酸、カプリレス-2カルボン酸、セテス-13カルボン酸、デセス-2カルボン酸、ヘキセス(Hexeth)-4カルボン酸、イソステアレス-6カルボン酸、イソステアレス-11カルボン酸、トルデセス(Trudeceth)-3カルボン酸、トリデセス-6カルボン酸、トリデセス-8カルボン酸、トリデセス-12カルボン酸、トリデセス-3カルボン酸、トリデセス-4カルボン酸、トリデセス-7カルボン酸、トリデセス-15カルボン酸、トリデセス-19カルボン酸、ウンデセス-5カルボン酸、及びそれらの混合物。
【0040】
好ましくは、脂肪エーテルカルボン酸は、オレス-10カルボン酸、ラウレス-5カルボン酸、及びラウレス-11カルボン酸である。
【0041】
一般的には、ポリオキシアルキレン化アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化アルキルアリールエーテルカルボン酸、及びポリオキシアルキレン化アルキルアミドエーテルカルボン酸は、エチレンオキシド単位を2から50個、好ましくは2から10個、より好ましくは2から5個含む。これらの化合物に含まれるアルキル基は、一般的にはC
4〜C
30アルキル基、好ましくはC
6〜C
28アルキル基、より好ましくはC
8〜C
24アルキル基である。
【0042】
ポリオキシアルキレン化アルキルエーテルカルボン酸の非限定的な例は、オキシエチレン化(6EO)ラウリルエーテルカルボン酸及びオキシエチレン化(6EO)トリデシルエーテルカルボン酸である。アミドエーテルカルボン酸の非限定的な例は、ラウリルアミドエーテルカルボン酸(3EO)である。
【0043】
アルキルグリコールカルボン酸に含まれるアルキル基は、一般的にはC
4〜C
30アルキル基、好ましくはC
6〜C
28アルキル基、より好ましくはC
8〜C
24アルキル基である。アルキルグリコールカルボン酸の非限定的な例は、ラウリルグリコールカルボン酸である。
【0044】
N-アシルアミノ酸を構成することができるアミノ酸は、カルボン酸を含めたアミノ酸となり得る。アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、リシン、サルコシン、及びそれらの混合物からなる群から一般的には選ぶことができる。
【0045】
N-アシルアミノ酸を構成することができるアシル基は、R'C=O[式中、R'は、10から30個の炭素原子、好ましくは12から22個の炭素原子、好ましくは14から22個の炭素原子、更に良好には16から20個の炭素原子を好ましくは含む、飽和若しくは不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を表す]によって表すことができる。アシル基は、ラウロイル基、ミリストイル基、ベヘノイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、オリボイル基、ココイル基又はオレオイル基、及びそれらの混合物からなる群から一般的に選ぶことができる。
【0046】
N-アシルアミノ酸の非限定的な例には、ココイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ココイルアラニン、ラウロイルアラニン、ココイルサルコシン、ミリストイルサルコシン、ラウロイルサルコシン、パルミトイルサルコシン、及びラウロイルリシンが挙げられる。
【0047】
N-アシルアミノ酸には、それらの誘導体、例えば、N-アシルアルキル(C
1〜C
12)アミノ酸等が含まれる。N-アシルアルキル(C
1〜C
12)アミノ酸の非限定的な例には、ラウロイルメチル-β-アラニン及びミリストイルメチル-β-アラニンが挙げられる。
【0048】
好ましくは、N-アシルアミノ酸は、ココイルグルタミン酸、ココイルサルコシン、ラウロイルメチル-β-アラニン、及びミリストイルメチル-β-アラニンである。
【0049】
タンパク質の陰イオン性誘導体は、疎水性基を含むタンパク質加水分解物であり、前記疎水性基は、タンパク質中に天然に存在していること、又はタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物の、疎水性化合物との反応により加えることが可能である。タンパク質は、植物起源又は絹由来であり、疎水性基は、特に、脂肪鎖、例えば10から22個の炭素原子を含むアルキル鎖となり得る。植物起源タンパク質の陰イオン性誘導体として更に特定して挙げることができるものは、10から22個の炭素原子を有するアルキル鎖を含む、リンゴ、コムギ、大豆又はエンバクタンパク質加水分解物及びそれらの塩である。アルキル鎖は、特にラウリル鎖であり得、塩はナトリウム塩、カリウム塩及び/又はアンモニウム塩であり得る。
【0050】
したがって、疎水基を含むタンパク質加水分解物として、例えば、タンパク質が、ラウリン酸によって改変された絹タンパク質であるタンパク質加水分解物;タンパク質がラウリン酸によって改変されたコムギタンパク質であるタンパク質加水分解物;タンパク質が10から22個の炭素原子を有するアルキル鎖を含むカラスムギタンパク質であるタンパク質加水分解物、更に詳細には、タンパク質がラウリン酸によって改変されたカラスムギタンパク質であるタンパク質加水分解物;又は10から22個の炭素原子を有するアルキル鎖を含むリンゴタンパク質加水分解物を挙げることができる。
【0051】
他のカルボン酸タイプの界面活性剤には、例えば、(C
8〜C
20)アシル乳酸及び(C
6〜C
30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸が含まれる。
【0052】
本発明に用いることができるスルホン酸タイプの界面活性剤としては、これらには限定されないが、(C
6〜C
30)アルキルスルホン酸、(C
6〜C
30)アルキルアミドスルホン酸、(C
6〜C
30)アルキルアリールスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、(C
6〜C
30)アルキルスルホコハク酸、(C
6〜C
30)アルキルエーテルスルホコハク酸、(C
6〜C
30)アルキルアミドスルホコハク酸、(C
6〜C
30)アルキルスルホ酢酸、(C
6〜C
30)アルキルポリグリコシドスルホコハク酸、(C
6〜C
24)アルキルイセチオン酸、N-[(C
6〜C
24)アシル]タウリン酸が挙げられる。
【0053】
本発明に用いることができる硫酸エステルタイプの界面活性剤としては、これらには限定されないが、(C
6〜C
30)アルキル硫酸、(C
6〜C
30)アルキルエーテル硫酸、(C
6〜C
30)アルキルアミドエーテル硫酸、アルキルアリールポリエーテル硫酸、及びモノグリセリド硫酸が挙げられる。
【0054】
カルボン酸タイプの界面活性剤の中で、(a)の非中和型陰イオン性界面活性剤が、6から40個の炭素原子、より好ましくは8から24個の炭素原子、更により好ましくは12から22個の炭素原子を有する脂肪カルボン酸から選択されることが好ましい。
【0055】
詳細には、(a)の非中和型陰イオン性界面活性剤は、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデカン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びベヘン酸からなる群から選択される。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、(a)の非中和型陰イオン性界面活性剤は、ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸及びステアリン酸からなる群から選択される。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、(a)非中和型陰イオン性界面活性剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.01〜0.9質量%、好ましくは0.05〜0.7質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%の範囲となり得る。
【0058】
(b)非イオン性界面活性剤
本組成物は、少なくとも1種の、ポリオキシエチレン化脂肪アルコールから選択される非イオン性界面活性剤を含む。2種以上のポリオキシエチレン化脂肪アルコールを組み合わせて用いてもよい。
【0059】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪アルコール(又はC
8〜C
30アルコール)の例には、ラウリルアルコールとのエチレンオキシドの付加物、特に、9から50個のオキシエチレン単位を含むもの、より詳細には、10から12個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてラウレス-10からラウレス-12)、ベヘニルアルコールとのエチレンオキシドの付加物、特に、9から50個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてベヘネス-9からベヘネス-50)、セテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物)とのエチレンオキシドの付加物、特に、2から30個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてセテアレス-2からセテアレス-30)、セチルアルコールとのエチレンオキシドの付加物、特に、10から30個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてセテス-10からセテス-30)、ステアリルアルコールとのエチレンオキシドの付加物、特に、2から30個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてステアレス-2からステアレス-30)、イソステアリルアルコールとのエチレンオキシドの付加物、特に、10から50個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてイソステアレス-10からイソステアレス-50)、オレイルアルコールとのエチレンオキシドの付加物、特に、15から50個のオキシエチレン基を含むもの、より詳細には、25から40個のオキシエチレン基を含むもの(CTFA名としてオレス-25からオレス-40、例えばオレス-30)、及びそれらの混合物が含まれる。
【0060】
好ましくは、(b)の非イオン性界面活性剤は、セテス-10、セテス-12、セテス-20、ステアレス-2、ステアレス-10、ステアレス-20、ステアレス-30、オレス-25、オレス-30、オレス-40、及びそれらの混合物からなる群から選ぶことができる。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、ポリオキシエチレン化脂肪アルコールから選択される非イオン性界面活性剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜7質量%の範囲となり得る。
【0062】
(c)脂肪物質
本発明による組成物は、少なくとも1種の脂肪物質を含む。2種以上の脂肪物質を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
用語「脂肪物質」は、周囲温度(25℃)及び大気圧(760mmHg)で水に不溶性である、即ち溶解度が5%未満、好ましくは1%、更により優先的には0.1%である有機化合物を意味すると理解される。それらは、それらの構造中に、少なくとも6個の炭素原子を含む少なくとも1つの炭化水素系鎖、又は少なくとも2つのシロキサン基を含有する1つの鎖を有する。加えて、脂肪物質は、同じ温度及び圧力の条件下で、有機溶媒、例としてはクロロホルム、エタノール、ベンゼン、液体ワセリン又はデカメチルシクロペンタシロキサンに一般に可溶である。
【0064】
より具体的には、脂肪物質は、脂肪アルコール、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステル、植物起源の油、動物起源の油、鉱物起源の油又は合成起源の油、炭化水素油、非シリコーンワックス、並びにシリコーンから選ばれる。
【0065】
本明細書において、用語「脂肪の」とは、比較的多数の炭素原子が含まれることを意味する。そのため、6個以上、好ましくは8個以上、より好ましくは10個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和でも不飽和でもよい。脂肪アルコールは、直鎖状でも分枝状でもよい。2種以上の脂肪アルコールを組み合わせて用いることができる。
【0066】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、8から40個の炭素原子、例えば8から30個の炭素原子を含む、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選ばれる)を有することができる。少なくとも一実施形態では、Rは、C
12〜C
24アルキル基及びC
12〜C
24アルケニル基から選ばれる。好ましくは、Rは、C
16〜C
22アルキル基、及びC
16〜C
22アルケニル基から選ばれる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
【0067】
挙げることができる脂肪アルコールの非限定的な例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、セテアリルアルコール、C
20〜C
22アルコール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0068】
適当な脂肪アルコールの例としては、これらに限定されないが、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、C
20〜C
22アルコール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0069】
脂肪アルコールは、脂肪アルコールの混合物を表すこともでき、これは、数種の脂肪アルコールが市販製品において混合物の形態で共存し得ることを意味する。
【0070】
少なくとも一実施形態によれば、本発明による組成物に用いられる脂肪アルコールは、セチルアルコール、セテアリルアルコール及びC
20〜C
22アルコールから選ばれる。
【0071】
植物油の例として、例えば亜麻仁油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、アブラナ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0072】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0073】
合成油の例として挙げることができるのは、イソドデカン及びイソヘキサデカン等のアルカン油、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドである。
【0074】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
26脂肪族モノ酸又はポリ酸の液体エステル、及び飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールの液体エステルであり、それらのエステルの炭素原子の総数は10個以上である。
【0075】
好ましくは、モノアルコールのエステルでは、そこから本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸の中の少なくとも1種が分枝状である。
【0076】
モノ酸及びモノアルコールのモノエステルの中では、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、カルボン酸ジカプリリル、ミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル等のミリスチン酸アルキル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0077】
C
4〜C
22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC
1〜C
22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と非糖C
4〜C
26ジヒドロキシアルコール、トリヒドロキシアルコール、テトラヒドロキシアルコール又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた用いることができる。
【0078】
特に、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールを挙げることができる。
【0079】
エステル油として、C
6〜C
30、好ましくはC
12〜C
22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを用いることができる。用語「糖」は、アルデヒド官能基又はケトン官能基を有する若しくは有していない、幾つかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であり得る。
【0080】
挙げることができる好適な糖の例としては、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにその誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースが含まれる。
【0081】
脂肪酸の糖エステルは、前述の糖類と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC
6〜C
30、好ましくはC
12〜C
22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から特に選ぶことができる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1〜3個の共役した又は共役していない炭素-炭素二重結合を有してもよい。
【0082】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにそれらの混合物からも選ぶことができる。
【0083】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えば、特にオレオパルミチン酸エステルとオレオステアリン酸エステルとパルミトステアリン酸エステルとの混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであり得る。
【0084】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、特に、モノオレイン酸若しくはジオレイン酸スクロース、グルコース又はメチルグルコース、ステアリン酸スクロース、グルコース又はメチルグルコース、ベヘン酸スクロース、グルコース又はメチルグルコース、オレオパルミチン酸スクロース、グルコース又はメチルグルコース、リノール酸スクロース、グルコース又はメチルグルコース、リノレン酸スクロース、グルコース又はメチルグルコース、及びオレオステアリン酸スクロース、グルコース又はメチルグルコースが用いられる。
【0085】
挙げることができる例は、Amerchol社によって名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0086】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、カルボン酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0087】
エーテル油の例として挙げることができるのは、2〜50モル、好ましくは10〜20モルのプロピレンオキシドを含有するポリオキシプロピレン化脂肪アルコール(脂肪アルコールのポリプロピレングリコールエーテル)である。
【0088】
2〜50モルのプロピレンオキシドを含有するポリオキシプロピレン化脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、セテアリルアルコール又はそれらの混合物等の、C
8〜C
30脂肪アルコール、好ましくはC
12〜C
24脂肪アルコールのポリオキシプロピレン化エーテルを挙げることができる。
【0089】
好ましくは、ポリオキシプロピレン化脂肪アルコールは、ポリオキシプロピレンセチルエーテル又はPPG-15ステアリルエーテルである。
【0090】
本発明の一実施形態によれば、ポリオキシプロピレン化脂肪アルコールの量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.1〜20質量%、好ましくは0.3〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲となり得る。
【0091】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0092】
シリコーン油の例として、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の直鎖状オルガノポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、シクロヘキサシロキサン等の環式オルガノポリシロキサン;及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0093】
好ましくは、シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサン、特に液状ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び液状シクロヘキサシロキサンから選ばれる。
【0094】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用されてもよい有機変性シリコーンは、上に定義しているシリコーン油であり、それらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含むシリコーン油である。
【0095】
オルガノポリシロキサンは、Walter NollのChemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Pressにおいてより詳細に定義されている。それらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0096】
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選ばれ、更により詳細には、以下のものから選ばれる:
(i)3から7個、好ましくは4から5個のケイ素原子を含む環式ポリジアルキルシロキサン。それらは、例えば、具体的にはUnion Carbide社によってVolatile Silicone(登録商標)7207の名称で、又はRhodia社によってSilbione(登録商標)70045 V2の名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によってVolatile Silicone(登録商標)7158の名称で、Rhodia社によってSilbione(登録商標)70045 V5の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によってSilsoft 1217の名称で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにそれらの混合物である。また、次式:
【0102】
のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えば、Union Carbide社によって販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109も挙げることができる。
また、環式ポリジアルキルシロキンの、有機ケイ素化合物との混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシロキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることができる。
(ii)2から9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10
-6m
2/s以下の粘度を有する直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社によってSH 200の名称で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この分類に属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、1976年1月、27〜32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて公表されている論文にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445 Appendix Cに従って25℃で測定される。
【0103】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンもまた用いることができる。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細には、ポリジアルキルシロキサンから選ばれ、その中で主に挙げることができるのは、トリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンである。
【0104】
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、以下の市販製品:
- Rhodia社によって販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例としては油70 047 V 500 000、
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社からの200シリーズの油、例えば60000mm
2/sの粘度を有するDC200、
- General Electric社からのViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社からのSFシリーズのある種の油(SF 96、SF 18)
を非限定的に挙げることができる。
【0105】
また、ジメチコノール(CTFA)の名称で知られるジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社からの48シリーズの油も挙げることができる。
【0106】
アリール基を含有するシリコーンの中で、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサンがある。挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社からのSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社からのRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社からの油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社からのPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社からのSFシリーズのある種の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0107】
有機変性された液体シリコーンは、特に、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含み得る。したがって、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、並びにUnion Carbide社からの油Silwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
【0108】
炭化水素油は、以下から選ぶことができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環式の、C
6〜C
16低級アルカン。例としては、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンを挙げることができる。
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0109】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水素化ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0110】
油が、室温で液体の形態にある炭化水素油、より好ましくは鉱油から選ばれることが好ましい。
【0111】
好ましくは、(c)の脂肪物質は、C
16〜C
22脂肪アルコール、炭化水素油、及びそれらの混合物から選ぶことができる。より好ましくは、(c)の脂肪物質は、セチルアルコール、セテアリルアルコール、C
20〜C
22アルコール、鉱油、PPG-15ステアリルエーテル、及びそれらの混合物から選ぶことができる。
【0112】
本発明の一実施形態によれば、(c)の少なくとも1種の脂肪アルコール又は油の量は、総計で、本発明による組成物の総質量に対して、0.1〜40質量%、好ましくは0.5〜35質量%、より好ましくは1〜25質量%の範囲となり得る。
【0113】
(d)アルカリ剤
アルカリ剤は、無機アルカリ剤となり得る。無機アルカリ剤は、アンモニア;アルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩、例えば、リン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウム;水酸化アンモニウム;及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択されることが好ましい。2種以上のアルカリ剤を用いることができる。
【0114】
アルカリ金属水酸化物の例として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例として、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤として、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、及び炭酸水素アンモニウムが好ましい。
【0115】
アルカリ剤は、有機アルカリ剤となり得る。有機アルカリ剤は、モノアミン及びそれらの誘導体;ジアミン及びそれらの誘導体;ポリアミン及びそれらの誘導体;塩基性アミノ酸及びそれらの誘導体;塩基性アミノ酸とそれらの誘導体とのオリゴマー;塩基性アミノ酸とそれらの誘導体とのポリマー;尿素及びそれらの誘導体;並びにグアニジン及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0116】
有機アルカリ剤の例として、モノ、ジ及びトリエタノールアミン並びにイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン;尿素、グアニジン及びそれらの誘導体;リジン、オルニチン又はアルギニン等の塩基性アミノ酸;並びに1,3-プロパンジアミン及びそれらの誘導体によって例示することができる、ジアミン、例えば、下記の構造:
【0118】
[式中、
Rは、ヒドロキシル又はC
1〜C
4アルキル基によって場合によって置換されている、アルキレン例えばプロピレンを表し、R
1、R
2、R
3及びR
4は、独立に、水素原子、アルキル基又はC
1〜C
4ヒドロキシアルキル基を表す]に記載されるものを挙げることができる。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましい。
【0119】
好ましくは、アルカリ剤には、その安全性及び性能、例えば、毛髪着色性能及び毛髪パーマネントウエーブ性能により、アンモニアが含まれる。別のアルカリ剤をアンモニアと混合してもよい。
【0120】
アルカリ剤は、混合物のpH値をアルカリpHに変えることができる。本発明による得られた組成物のpH値は、一般に、例えば7から12、好ましくは8から11、より好ましくは9から11である。
【0121】
本発明の一実施形態によれば、アルカリ剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜7質量%の範囲となり得る。
【0122】
他の成分
本発明による組成物は、ケラチン繊維のための化粧用組成物に通常用いられる他の成分、特に、ケラチン繊維を着色するための毛髪染色剤(hair dyeing agent)又はケラチン繊維を再成形するための毛髪のパーマネントウエーブ剤を含むことができる。他の成分としては、これらには限定されないが、油、水、酸化染料、直接染料、還元剤、及び様々なアジュバントが挙げられる。
【0123】
酸化染料は、1種若しくは複数のカプラーと場合によって組み合わせた1種又は複数の酸化ベースから一般に選ばれる。例えば、酸化ベースは、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール、及び複素環式ベース、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体及びピラゾール誘導体並びにそれらの付加塩から選ばれる。用いることができるカプラーには、これらには限定されないが、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、レソルシノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、ナフタレンに基づいたカプラー及び複素環式カプラー、またそれらの付加塩が挙げられる。
【0124】
酸化染料の量は、組成物の総質量に対して、0.0001〜10質量%、好ましくは0.005〜5質量%となり得る。カップラーの含有量は、それ(それら)が存在する場合には、有利には、本発明による組成物の総質量に対して、0.0001〜10質量%、好ましくは0.005〜5質量%を表す。
【0125】
本発明による組成物において用いることができる直接染料は、ニトロベンゼン染料、アゾ直接染料、及びメタン直接染料を含むことができる。これらの直接染料は、性質上非イオン性又はアニオン性又はカチオン性となり得る。直接染料は、組み合わせて用いてもよい。
【0126】
直接染料の量は、本発明による組成物の全質量に対して、0.0005〜12質量%、好ましくは0.005〜6質量%となり得る。
【0127】
アジュバントは、毛髪化粧用組成物において従来の方法で用いられるアジュバントであり得る。アジュバントの例には、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両性若しくは両イオン性コポリマー、又はそれらの混合物;鉱物性増粘剤(mineral thickener)、特に、充填材、例えば、クレイ、タルク;特に、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、及び両性ポリマー結合性(polymeric associative)増粘剤による有機増粘剤;浸透剤;イオン性界面活性剤、例えば、陽イオン性、陰イオン性、両イオン性界面活性剤;金属イオン封鎖剤、例えば、EDTA及びペンテト酸5ナトリウム;香料;分散剤;被膜剤;セラミド;保存剤;酸化防止剤、例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム;乳白剤;並びにポリオール、例えば、ソルビトール及びPEG-20が挙げられる。
【0128】
上記アジュバントはそれぞれ、本発明による組成物の質量に対して0.01質量%〜20質量%の間の量で一般に存在する。
【0129】
本発明はまた、25℃で粘度が、500mPa.s以下、好ましくは300mPa.s以下、特定すると250mPa.s以下であり、好ましくは10mPa.s以上である、ケラチン繊維用組成物にも関する。粘度は、周知の方法によって、例えば、Rheomat 180粘度計(Rheometric Scientific社)を用いて測定することができる。
【0130】
一実施形態では、本発明による組成物は、エマルションの形態である。エマルションは、(a)の非中和型陰イオン性界面活性剤、(b)の非イオン性界面活性剤、及び(c)の脂肪性物質を含む油相、並びに水性相を含み得る。有利には、本発明による組成物は、ゲル又はクリームの形態である。
【0131】
エマルション中の水性相は、本質的に水から成り得る、又は1から5個の炭素原子を有するモノアルコール、例えば、エタノール又はイソプロパノール、2〜8個の炭素原子を有するグリコール、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はジプロピレングリコール、C
3〜C
4ケトン、C
2〜C
4アルデヒド、並びにそれらの混合物から選ばれる水及び水混和性溶媒の混合物を含むことができる。
【0132】
本発明のこの実施形態によれば、水性相の量は、本発明による組成物の総質量に対して、1〜90質量%、好ましくは2〜85質量%、より好ましくは3〜80質量%の範囲となり得る。
【0133】
本発明による組成物のpH値は、一般に、例えば、6から12である。このpH値は、7から11、好ましくは8から11、より好ましくは9から11の範囲となり得る。
【0134】
本発明による組成物によってそのアンモニア臭を減らすことが可能になるメカニズムは、現時点ではあまり明らかでないが、本発明において、組成物中でアルカリ剤を捕捉する効果が生じていることが想定される。詳細には、アルカリ剤を加える前の組成物は、ラメラ構造からなるエマルション形態であると想定され、アルカリ剤を加えた後、アルカリ剤及び水がラメラ構造間に深く浸透すると想定される。したがって、アルカリ剤はラメラ構造間で捕捉され得ると想定される。
【0135】
本組成物は、毛髪等のケラチン繊維のための美容処置法のために用いることができる。例えば、本発明による組成物は、ケラチン繊維を着色するために用いることができる。
【0136】
本発明による組成物は、その不快なアンモニア臭を抑えることができる。詳細には、本組成物は、本組成物が酸化染毛剤又は毛髪脱色剤(すなわち、顕色剤)と混合するときに生じ得る不快なアンモニア臭を抑えることができる。
【0137】
本組成物が、ケラチン繊維を染色するために用いられるとき、ケラチン繊維の着色過程は、最初に、本発明による組成物を1種又は複数の酸化剤を含む顕色剤(デベロッパー)と混合することにより行うことができる。本発明による組成物対顕色剤の混合比は、1:1から1:3、好ましくは1:1から1:2.5となり得る。
【0138】
更に詳細には、酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、臭素酸アルカリ金属又はフェリシアン化物、及び過酸化塩、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属過硫化塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属過ホウ酸塩及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属過炭酸塩、並びにこれらの過酸及び前駆物質から選ばれる。
【0139】
酸化剤は、特に水溶液(過酸化水素水溶液)としての過酸化水素により、有利には構成され、その濃度は1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%の範囲となり得る。
【0140】
明色化の所望の程度に応じて、顕色剤はまた、過酸化塩から好ましくは選ばれる酸化剤を含むこともできる。
【0141】
顕色剤は、水性であっても非水性であってもよい。用語「水性」とは、顕色剤が、水5質量%超、好ましくは水10質量%超、更により有利には水20質量%超を含むことを意味する。
【0142】
通常、顕色剤のpHは、水性である場合、7未満である。
【0143】
顕色剤はまた、本分野において従来の方法で用いられる他の成分、特に本発明による組成物に関連して先に詳述した成分を含有することもできる。
【0144】
顕色剤は、様々な形態、例えば、溶液、エマルション又はゲルである。
【0145】
次に、本発明による組成物及び顕色剤の混合物を毛髪等のケラチン繊維に塗布し、適切な処理時間後に洗い流す。結果として、毛髪等のケラチン繊維は着色又は脱色され得る。
【0146】
(II)組成物を調製するための方法
本発明の別の態様は、(i)(a)の少なくとも1種の非中和型陰イオン性界面活性剤、(b)の少なくとも1種の、ポリオキシエチレン化脂肪アルコールから選択される非イオン性界面活性剤、及び(c)の少なくとも1種の脂肪物質を混合して油相を調製する工程と、(ii)工程(i)で得られた油相を水性相と混合してエマルションを調製する工程と、(iii)(d)の少なくとも1種のアルカリ剤を工程(ii)で得られたエマルションへ加える工程とを含む、ケラチン繊維用、例えば毛髪用組成物を調製するための方法に関する。
【0147】
本発明による方法は、本発明による組成物を調製するための方法である。一般的に、組成物は、(a)の少なくとも1種の非中和型陰イオン性界面活性剤、(b)の少なくとも1種の、ポリオキシエチレン化脂肪アルコールから選択される非イオン性界面活性剤、及び(c)の少なくとも1種の脂肪物質;及び(d)の少なくとも1種のアルカリ剤を混合することにより調製される。好ましくは、最初に成分(a)から(c)が混合され、次いで、成分(d)が混合される。
【0148】
本発明の方法によれば、これによって、アンモニア臭が減少した、ケラチン繊維用、例えば、毛髪用組成物を生成することができる。更に、本発明による方法によって、粘度が減少した組成物を生成し得ることを、驚くべきことに見出した。したがって、得られた組成物は、容易に混合し塗布され、塗布した時点で、適当に流れることになり留まったままとなろう。
【0149】
工程(i)は、(a)の少なくとも1種の非中和型陰イオン性界面活性剤、(b)の少なくとも1種の、ポリオキシエチレン化脂肪アルコールから選択される非イオン性界面活性剤、(c)の少なくとも1種の脂肪物質を混合して油相を調製する工程である。
【0150】
工程(i)中の温度は制限されないが、好ましくは、工程(i)は、40〜95℃、好ましくは50〜85℃の温度で行うことができる。
【0151】
工程(ii)は、工程(i)で得られた油相と水性相を混合してエマルションを調製する工程である。
【0152】
工程(ii)中の温度は制限されないが、好ましくは、工程(ii)は、40〜95℃、好ましくは50〜85℃の温度で行うことができる。
【0153】
工程(ii)におけるエマルションのpH値は、9.5未満、好ましくは9.0未満、より好ましくは8.0未満、更に好ましくは7.0未満、最も好ましくは7.0未満となり得る。
【0154】
工程(iii)は、(d)の少なくとも1種のアルカリ剤を工程(ii)で得られたエマルションに加える工程である。
【0155】
工程(iii)中の温度は制限されないが、好ましくは、工程(iii)は、0℃超〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度で行うことができる。
【0156】
したがって、成分(a)から(d)以外の他の成分は、工程(i)から(iii)の前、工程(i)から(iii)の間又は工程(i)から(iii)の後に加えることができる。油相、例えば、油、コポリマー、及び有機増粘剤に、例えば、分散することができる、溶解することができる、又は混和性となり得る他の成分は、工程(i)の間に油相に加えることができる。水性相に分散することができる、溶解することができ、又は混和性となり得る他の成分は、工程(ii)において水性相と共に加えることができる。他の成分の中でも、特に、感熱性成分は、アルカリ剤を加える場合、0℃超〜40℃の温度でエマルションに加えることができる。
【0157】
本発明による方法によって安定した組成物を生成することが可能になるメカニズムは、現時点ではあまり明らかでない。しかしながら、前述した本発明による組成物のアルカリ剤-捕捉効果のメカニズムと同じ方式で、エマルションのラメラ構造間のアルカリ剤の浸透によって、組成物の構造化された連続相を生成することができると想定できる。更に、ポリオキシエチレン化脂肪アルコールから選択される非イオン性界面活性剤の、10以上、好ましくは11以上、更により好ましくは12以上である総HLB値は、組成物の粘度の増加を抑えるために寄与するであろう。また、ポリオキシエチレン化脂肪アルコールから選択される非中和型陰イオン性界面活性剤の、組成物の総質量に対して0.9質量%未満である量は、組成物の粘度の増加を抑えるために寄与するであろう。したがって、本発明による方法は、安定な組成物を生成することができ、経時的な粘度の増加を抑えることができ、粘度を適当な範囲内に維持することができるとみなされ得る。
【実施例】
【0158】
本発明を、実施例によってより詳細に記述するが、これによって本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0159】
(I)におい嗅ぎ試験(スニフテスト)及び粘度における比較
実施例1から11及び比較例1から3による組成物を、Table 1及び2(表1及び2)に示す成分を混合することにより調製した。これらの例において、表に示す成分の量についての数値は、すべて「質量%」に基づく。
【0160】
[調製プロトコール]
(i)(a)の非中和型陰イオン性界面活性剤、(b)の非イオン性界面活性剤、(c)の脂肪物質を80℃で混合して油相を調製した。
(ii)工程(i)で得られた油相を、水、EDTA、PEG-8と80℃で混合してエマルションを調製し、次いでエリソルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール、レソルシノール、m-アミノフェノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、及び4-アミノ-2-ヒドロキシトルエンと40℃で混合してエマルションを調製した。
(iii)(d)のアルカリ剤及び香料を、工程(ii)で得られたエマルションに加え、得られた混合物を室温(25℃)で混合した。
【0161】
以下の成分を、実施例において使用した。
(b)セテス-10(Brij C10-SO-(AP)、Croda社)
(b)ステアレス-2(Brij S2-SO-(AP)、Croda社)
(b)ステアレス-20(Brij S20-SO-(AP)、Croda社)
(b)PPG-15ステアリルエーテル(Arlamol PS15E-LQ-(RB)、Croda社)
【0162】
【表1】
【0163】
【表2】
【0164】
[評価]
実施例1から11及び比較例1から3の各組成物について、アンモニアの蒸発をにおい嗅ぎ試験によって評価し、組成物の安定性をその粘度によって次の通り評価した。
【0165】
(におい嗅ぎ試験)
実施例1から11及び比較例1から3の得られた各組成物を、質量比1:1で顕色剤A組成物と混合した。顕色剤Aの構成成分をTable3(表3)に示す。
【0166】
【表3】
【0167】
判定員5名は、混合物を直接嗅ぐことにより官能検査を行った。
【0168】
1:アンモニア臭は非常に弱い
2:アンモニア臭は弱い
3:アンモニア臭は中程度である
4:アンモニア臭は強い
5:アンモニア臭は非常に強い
【0169】
結果において、アンモニア臭は、実施例1から11及び比較例1から7の全てについて、1(非常に弱い)又は2(弱い)と評価された。
【0170】
(粘度)
実施例1から11及び比較例1から3の、得られた各組成物の粘度を、25℃、200rpmでNo.3スピンドルを有するRheomat 180粘度計(Rheometric Scientific社)を用いることにより測定した。粘度の測定を、スピンドルの回転を開始した時間から30秒後に行い(T0粘度)、再度、20分後に測定し(T20粘度)、増粘化の増加(d(T20粘度-T0粘度))を、次の基準に従って、採点した。
【0171】
A:<500mPa.s 組成物のテクスチャは安定である
B:500から1000mPa.s 組成物のテクスチャは、やや増粘化している
C:>1000mPa.s 組成物のテクスチャは、より増粘化している
【0172】
これらの評価の結果をTable 1(表1)及びTable 2(表2)に示す。
【0173】
Table 1(表1)及びTable 2(表2)に示す通り、実施例1から11の組成物中のポリオキシエチレン化脂肪アルコールの総HLB値の全ては、10超(HLB値=14.13)であり、粘度の増加は、500未満((A)と採点した)であった。しかしながら、比較例1の組成物中のポリオキシエチレン化脂肪アルコールの総HLB値は、10未満(HLB値=9)であり、粘度の増加は、500超((B)と採点した)であった。詳細には、実施例11は、比較例1と対照を成し、それは、それらが、セテス-10、ステアレス-2及びステアレス-20の量においてのみ異なっているためである。
【0174】
実施例1から3では、(a)のステアリン酸の量が、それぞれ、0.1質量%、0.3質量%及び0.5質量%と変わったものの、粘度の増加についての評価は、全てが500未満((A)と採点した)であった。他方、比較例2及び3では、(a)のステアリン酸の量は、1質量%及び1.5質量%増え、粘度の増加についての評価は、比較例2及び3では、500超((B)と採点した)であった。
【0175】
実施例4では、成分(b)の、セテス-10、ステアレス-2及びステアレス-20の全ての量が、実施例2と比べて約2倍増えた。しかしながら、成分(b)の総HLB値は、変わらなかった。結果として、粘度の増加は、比較的低い値(d(T20-T0)=110、(A)と採点した)に、良好に抑えられた。
【0176】
実施例5及び6では、PPG-15ステアリルエーテルの量は、それぞれ、2質量%及び4質量%と変わった。粘度の増加は、実施例5及び実施例6の双方において良好に抑えられた。
【0177】
実施例7では、成分(c)の脂肪材料の組合せを、鉱油、C
20〜C
22アルコール及びPPG-15ステアリルエーテルに変えた。実施例8では、脂肪アルコール(セテアリルアルコール)及びPPG-15ステアリルエーテルを、(c)の脂肪物質として用いた。粘度の増加は、双方の実施例について、良好に抑えられた(d(T20-T0)=25、(A)と採点した)。
【0178】
実施例9から11及び実施例2では、PPG-15ステアリルエーテルの量を、それぞれ、0.5質量%、1質量%、1.5質量%及び2質量%と、段階的に増加させた。粘度の増加は、これら実施例の全てについて、良好に抑えられた(d(T20-T0)の値は、40から240の範囲であり、全てが(A)と採点した)。