(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フロントハウジングは、前記プレート配置部の外周部の周方向に設けられ、前記プレート配置面に対応する前記プレート配置部を切り欠くことで形成された複数の第2の切欠き部を含んでおり、
前記スラストプレートは、該スラストプレートの外周部の周方向に設けられ、折り曲げられた状態で前記複数の第2の切欠き部内にそれぞれ配置された爪部を有する請求項1に記載のスクロール圧縮機。
前記ボルトの頭部と前記スラストプレートの貫通穴との間に形成された第1のクリアランスは、前記スラストプレートが折り曲げられた位置と前記第2の切欠き部との間に形成された第2のクリアランスよりも小さい請求項2に記載のスクロール圧縮機。
前記スラストプレートの半径方向において、複数の前記爪部は、前記スラストプレートに設けられた複数の貫通穴の形成位置とは異なる位置に設ける請求項2から4のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
図1〜
図3を参照して、本発明の第1の実施形態のスクロール圧縮機10について説明する。なお、
図1に示すO
1は、駆動軸14の軸線(以下、「軸線O
1」という)を示している。
図2は、
図1に示すプレート配置部42、スラストプレート27、ボルト12、及びリアハウジング32をA視した図である。
図2では、説明の便宜上、リアハウジング32を断面で図示する。
図2に示すEは、プレート配置部42の周方向(以下、「周方向E」という)を示している。
図2及び
図3では、
図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。また、
図3では、説明の便宜上、
図2に図示されていない端板51A(
図1参照)を図示する。
【0033】
スクロール圧縮機10は、ハウジング11と、複数のボルト12と、主軸受13と、駆動軸14と、サブ軸受15と、リップシール17と、駆動軸14と、サブ軸受15と、リップシール17と、従動クランク機構19と、圧縮機本体21と、自転抑制部材23と、スラストプレート27と、を有する。
【0034】
ハウジング11は、密閉構造とされており、リアハウジング32と、フロントハウジング34と、を有する。
リアハウジング32は、円筒状とされたカップ状の部材である。リアハウジング32は、一方の側が開放端とされている。リアハウジング32は、ハウジング11の外部からハウジング11内に流体を導入するための吸入口35を有する。
【0035】
フロントハウジング34は、リアハウジング32の開放端を塞ぐように、リアハウジング32の開放端側に設けられている。フロントハウジング34は、第1のハウジング部36と、第2のハウジング部37と、を有する。
【0036】
第1のハウジング部36は、リアハウジング32の開放端側に、シール部材(例えば、Oリング等)を介して、リアハウジング32に嵌合されている。
第1のハウジング部36は、主軸受収容部41と、プレート配置部42と、を有する。主軸受収容部41は、内側に主軸受13を収容可能な空間を有する。
【0037】
プレート配置部42は、軸線O
1において、主軸受収容部41と旋回スクロール51との間に配置されている。プレート配置部42は、主軸受13の外側に位置する主軸受収容部41から旋回スクロール51に向かう方向に突出している。プレート配置部42の形状は、リング状とされている。
プレート配置部42は、旋回スクロール51と対向する平面であるプレート配置面42aを有する。プレート配置面42aは、リング状の平面である。プレート配置面42aには、スラストプレート27が配置されている。
【0038】
プレート配置部42は、複数(
図2の場合、一例として、2つ)のボルト穴42Aと、切欠き溝42Bと、を有する。複数のボルト穴42Aには、それぞれボルト12が締結される。複数のボルト穴42Aは、例えば、吸入口35からプレート配置部42の周方向Eに離間した位置に設けることが好ましい。
【0039】
このように、吸入口35からプレート配置部42の周方向Eに離間した位置に複数のボルト穴42Aを設けることで、複数のボルト12を吸入口35からプレート配置部42の周方向Eに離間した位置に配置させることが可能となる。
これにより、吸入口35から吸引された直後の流体がボルト12の頭部12Aに衝突することを抑制することが可能となるので、ハウジング11内に形成される気流に乱れが発生することを抑制できる。
【0040】
また、
図2に示すように、プレート配置部42が2つのボルト穴42Aを有する場合、2つのボルト穴42Aは、軸線O
1を挟んで、対向配置させるとよい。このような位置に2つのボルト穴42Aを設けることで、2つのボルト12を用いて、プレート配置42に対してのスラストプレート27の位置をしっかりと規制することができる。
なお、
図2では、一例として、2つのボルト穴42Aを設けた場合を例に挙げて説明したが、ボルト穴42Aの数は、複数であればよく、2つに限定されない。
【0041】
切欠き溝42Bは、プレート配置面42aの内周部の一部を切欠くことで形成されている。切欠き溝42Bは、プレート配置部42の周方向に複数(
図2の場合、一例として2つ)配置されている。
図2に示すように、2つの切欠き溝42Bを設ける場合、軸線O
1を挟んで対向配置させるとよい。
【0042】
複数のボルト12は、頭部12Aと、頭部12Aと一端が接続された軸部12Bと、を有する。複数のボルト12は、プレート配置部42に設けられている。ボルト12は、頭部12Aの下面12Aaがプレート配置面42aと接触した状態で、2つのボルト穴42Aに対して締結されている。これにより、頭部12A全体は、プレート配置面42aから突出している。複数のボルト12は、スラストプレート27の外周部の周方向に配置されている。
【0043】
ボルト12の頭部12Aは、スラストプレート27の後述する貫通穴64内に配置されることで、スラストプレート27が変位する際に、貫通穴64を区画するスラストプレート27が当接されることで、スラストプレート27の変位を抑制する。
【0044】
複数のボルト12は、例えば、吸入口35からプレート配置部42の周方向に離間した位置に設けるとよい。
このように、プレート配置部42の周方向において、流体を吸入する吸入口35から離間した位置に複数のボルト12を設けることで、ボルト12の頭部12Aに流体が衝突しにくくなる。これにより、ハウジング11内の流体の気流に乱れが発生することを抑制できる。
【0045】
第2のハウジング部37は、旋回スクロール51との間に第1のハウジング部36が配置されるように、第1のハウジング部36に一体形成されている。
第2のハウジング部37は、軸線O
1方向に延在する筒状の部材であり、両端が開放端とされている。第2のハウジング部37の外径及び内径は、主軸受収容部41の外径及び内径よりも小さくなるように構成されている。
【0046】
主軸受13は、外輪13Aと、内輪13Bと、複数の転動体13Cと、を有する。外輪13Aは、主軸受収容部41に固定されている。内輪13Bは、駆動軸14の基端部14Aの外周部に固定されている。複数の転動体13Cは、外輪13Aと内輪13Bとの間に配置されている。
【0047】
駆動軸14は、軸線O
1方向に延在しており、基端部14Aと、先端部14Bと、クランクピン14Cと、を有する。
駆動軸14は、ハウジング11内から第2のハウジング部37を貫通している。駆動軸14の先端部14Bの一部は、第2のハウジング部37との間にサブ軸受15を配置可能な隙間を介在させた状態で第2のハウジング部37内に収容されている。
駆動軸14の先端部14Bの残部(先端部14Bの一部よりも先端側に位置する部分)は、第2のハウジング部37の外側に突出している。
【0048】
基端部14Aは、先端部14Bよりも拡径されている。クランクピン14Cは、先端部14Bが配置された側とは反対側に位置する基端部14Aに設けられている。クランクピン14Cは、軸線O
1に対して所定寸法偏心した位置に配置されている。
【0049】
サブ軸受15は、第2のハウジング部37と駆動軸14の先端部14Bの一部との間に設けられている。サブ軸受15は、外輪15Aと、内輪15Bと、複数の転動体15Cと、を有する。外輪15Aは、第2のハウジング部37の内側に固定されている。
内輪15Bは、駆動軸14の先端部14Bの一部の外周部に固定されている。複数の転動体15Cは、外輪15Aと内輪15Bとの間に配置されている。
これにより、サブ軸受15は、主軸受13とともに、駆動軸14を回転可能に支持している。
【0050】
リップシール17は、サブ軸受15よりも駆動軸14の基端部14A側に位置する第2のハウジング部37の内壁に設けられている。リップシール17は、駆動軸14の外周面に対しての当接されている。リップシール17は、ハウジング11内の気密を保つため(ハウジング11外の空気の侵入を防ぐため)のシール部材である。
【0051】
従動クランク機構19は、ドライブブッシュ46と、旋回軸受47と、を有する。ドライブブッシュ46は、クランクピン14Cを収容しており、クランクピン14Cの外側に固定されている。旋回軸受47は、ドライブブッシュ46の外側に設けられている。
【0052】
圧縮機本体21は、ハウジング11内に収容されており、固定スクロール49と、旋回スクロール51と、を有する。
固定スクロール49は、端板49Aと、ラップ部49Bと、を有する。端板49Aは、軸線O
1に対して直交している。端板49Aは、軸線O
1方向において、旋回スクロール51を介して、フロントハウジング34と対向配置されている。端板49Aは、軸線O
1に対して直交するとともに、旋回スクロール51と対向する一面49Aaを有する。固定スクロール49の端板49Aは、ボルト等により、リアハウジング32に固定されている。
【0053】
ラップ部49Bは、渦巻形状とれており、端板49Aの一面49Aaに設けられている。ラップ部49Bは、軸線O
1方向に立設されている。
【0054】
旋回スクロール51は、フロントハウジング34と固定スクロール49との間に配置されている。旋回スクロール51は、端板51Aと、ラップ部51Bと、ボス部51Cと、を有する。
端板51Aは、軸線O
1に対して直交している。端板51Aは、固定スクロール49の一面49Aaと対向する一面51Aaと、他面51Abと、第1の切欠き部51Acを有する。
一面51Aaは、スラストプレート27の内周部と接触しており、複数のボルト12の頭部12Aが設けられた位置よりも内側に配置されている。
【0055】
他面51Abは、一面51Aaの反対側に配置されており、軸線O
1に対して直交している。他面51Abは、従動クランク機構19と対向している。
第1の切欠き部51Acは、旋回スクロール51が公転旋回した際に、ボルト12の頭部12Aを収容可能ように、端板51Aの外周部に設けられている。
このような構成とされた第1の切欠き部51Acを端板51Aの外周部に設けることで、旋回スクロール51が公転旋回した際に、旋回スクロール51の外周部とボルト12の頭部12Aとが接触すること抑制できる。
【0056】
ラップ部51Bは、渦巻形状とれており、端板51Aの一面51Aaに設けられている。ラップ部51Bは、軸線O
1方向(端板49Aに向かう方向)に立設されている。ラップ部51Bは、ラップ部49Bに対して噛み合わされている。これにより、固定スクロール49と旋回スクロール51との間には、流体を圧縮する圧縮室21Aが区画されている。
【0057】
ボス部51Cは、端板51Aの他面51Abに設けられている。ボス部51Cは、端板51Aの他面51Abからフロントハウジング34に向かう方向に突出している。ボス部51Cは、従動クランク機構19の一部を収容している。ボス部51Cは、従動クランク機構19を介して、クランクピン14Cに連結されている。
これにより、旋回スクロール51は、固定スクロール49に対して公転旋回駆動可能な構成とされている。
【0058】
なお、先に説明した複数のボルト12の材料は、例えば、旋回スクロール51の材料よりも硬い材料を用いるとよい。
このように、複数のボルト12の材料として、旋回スクロール51の材料よりも硬い材料を用いることで、旋回スクロール51が公転旋回した際に、旋回スクロール51の外周部とボルト12の頭部12Aとが接触した場合でもボルト12の頭部12Aが損傷することを抑制可能となる。これにより、スラスト荷重が増大した場合でも、複数のボルト12により、スラストプレート27の変位を抑制することを抑制できる。
【0059】
次に、
図1、
図2、及び
図4を参照して、自転抑制部材23について説明する。
図4では、フロントハウジング34側から平面視した自転抑制部材23を図示する。また、
図4では、自転抑制部材23の一例として、オムダムリングを図示する。
【0060】
自転抑制部材23は、プレート配置部42と旋回スクロール51との間に設けられている。自転抑制部材23は、リング状部材55と、第1の係合用突起56と、第2の係合用突起57と、を有する。リング状部材55は、旋回スクロール51の端板51Aと接触する面と、該面とは反対側に配置された面55aと、を有する。面55aは、フロントハウジング34と対向する面である。
【0061】
第1の係合用突起56は、リング状部材55の面55aに切欠き溝42Bと同じ数設けられている。第1の係合用突起56は、リング状部材55の面55aに対して直交する方向に突出している。第1の係合用突起56は、切欠き溝42Bに挿入可能な位置に配置されている。
【0062】
第2の係合用突起57は、面55aの反対側に位置するリング状部材55の面55aに複数(
図3の場合、一例として、2つ)設けられている。第2の係合用突起57は、面55aの反対側に位置するリング状部材55の面55aから突出している。第2の係合用突起57は、リング状部材55よりも幅広形状とされている。第2の係合用突起57は、端板51Aに形成された溝部に挿入されている。
上記構成とされた自転抑制部材23は、旋回スクロール51が自転することを抑制する。
【0063】
なお、
図4では、自転抑制部材23の一例として、オルダムリングを例に挙げて説明したが、例えば、ピン/リンク方式の自転抑制部材や他の方式の自転抑制部材を用いてもよい。
【0064】
次に、
図1〜
図4を参照して、スラストプレート27について説明する。
スラストプレート27は、薄い金属製の板であり、プレート配置部42と旋回スクロール51との間に設けられている。スラストプレート27は、プレート本体61と、複数の挿入用切欠き部62と、複数の貫通穴64と、を有する。
【0065】
プレート本体61は、リング状の板材である。プレート本体61は、一方の面全体がプレート配置面42aと接触しており、他方の面の内周部が旋回スクロール51の端板51Aと接触している。これにより、プレート本体61の外周部は、端板51Aから露出されている。
【0066】
複数(
図2の場合は、一例として、2つ)の挿入用切欠き部62は、プレート本体61の内周部に設けられている。複数の挿入用切欠き部62は、切欠き溝42Bの形成位置に対応するように設けられている。
複数の挿入用切欠き部62には、第1の係合用突起56の一部が挿入されている。第1の係合用突起56が挿入用切欠き部62及び切欠き溝42Bに挿入されることで、プレート配置部42、スラストプレート27、及び自転抑制部材23の位置が規制される。
【0067】
図2に示すように、2つの挿入用切欠き部62を設ける場合、2つの挿入用切欠き部62は、軸線O
1を挟んで対向するように配置するとよい。なお、挿入用切欠き部62の数は、複数であればよく、2つに限定されない。
【0068】
複数(
図2の場合は、一例として、2つ)の貫通穴64は、プレート本体61の外周部を貫通することで形成された円形の穴である。複数の貫通穴64の径は、ボルト12の頭部12Aを通過させることが可能な大きさとされている。複数の貫通穴64とボルト12の頭部12Aとの間には、第1のクリアランスCL
1が設けられている。複数の貫通穴64は、第1のクリアランスCL
1を介して、ボルト12の頭部12Aを囲んでいる。
【0069】
このように、プレート配置部42のプレート配置面42aに配置され、プレート配置面42aから突出するボルト12の頭部12Aが通過可能な大きさとされた複数の貫通穴64を含むスラストプレート27を有することで、プレート配置部42に締結された複数のボルト12をプレート配置部42から取り外すことなく、複数のボルト12がプレート配置部42に締結された状態で、スラストプレート27をプレート配置面42aに配置させることが可能となる。
これにより、ボルト12の頭部12Aとスラストプレート27の貫通穴64との嵌合により、スラストプレート27の位置規制を高めることができる。
また、スラストプレート27をボルト12で直接締結しない構成とすることで、ボルト締結に起因するスラストプレート27の歪みや変形の発生が抑制されるので、スクロール圧縮機10の信頼性を向上させることができる。
【0070】
また、複数の貫通穴64は、例えば、複数の挿入用切欠き部62から離間した位置に設けるとよい。
このように、複数の挿入用切欠き部62から離間した位置に複数の貫通穴64を設けることで、スラストプレート27のうち、貫通穴64を区画する部分、及び挿入用切欠き部62を区画する部分の強度の低下を抑制することができる。
【0071】
上記構成とされたスクロール圧縮機10では、複数のボルト12がプレート配置部42のボルト穴42Aに締結された状態で、スラストプレート27から旋回スクロール51を離間させて、スラストプレート27の交換作業(メンテナンス)を行う。
【0072】
第1の実施形態のスクロール圧縮機10によれば、旋回しないフロントハウジング34のうち、プレート配置面42aを区画するプレート配置部42に締結され、プレート配置42に対してのスラストプレート27の位置を規制する複数のボルト12を有することで、旋回スクロール51の旋回により遠心力が大きくなって、スラスト荷重が増大した場合でも、スラストプレート27の変位を抑制することが可能となる。
これにより、スラストプレート27とフロントハウジング34との干渉が抑制されるので、スラストプレート27及び周辺部品(スラストプレート27の周辺に配置された部品)の破損を抑制することができる。
【0073】
次に、
図5を参照して、プレート配置部42に締結されるボルトの変形例について説明する。
図5では、
図3に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0074】
ボルト67は、
図3に示すボルト12の構成に、さらに突出部68を設けたこと以外はボルト12と同様に構成される。複数のボルト67は、ボルト穴42Aに締結されている。突出部68は、軸部12Bの他端に設けられている。
突出部68は、軸部12Bの延在方向に突出している。突出部68の外径は、軸部12Bの外径よりも小さくなるように構成されている。
【0075】
このように、複数のボルト67の軸部12Bの他端に、軸部12Bの外径よりも小さい外径とされ、かつ軸部12Bの延在方向に突出する突出部68を有することで、ボルト穴42Aにボルト67を締結させる際に、ボルト穴42Aに突出部68を挿入させることで、ボルト穴42Aに対してボルト67を自立させることが可能となる。これにより、複数のボルト穴42Aに対するボルト67の締結作業を容易に行うことができる。
【0076】
次いで、
図6を参照して、第1の実施形態の変形例に係るスクロール圧縮機70について説明する。
図6では、スクロール圧縮機70の構成要素の一部のみ図示する。
図6では、
図3に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0077】
スクロール圧縮機70は、第1の実施形態のスクロール圧縮機10を構成するボルト穴42Aに替えて、ボルト穴71を有すること以外は、スクロール圧縮機10と同様に構成される。
【0078】
ボルト穴71は、頭部収容部71Aと、軸部用穴71Bと、を有する。頭部収容部71Aは、プレート配置部42のプレート配置面42a側に設けられている。頭部収容部71Aは、ボルト12の頭部12Aの一部を収容している。軸部用穴71Bは、ボルト12の軸部12Bが螺合される穴であり、頭部収容部71Aと一体に形成されている。
【0079】
このような構成とされたボルト穴71をプレート配置部42に設け、ボルト穴71にボルト12を締結することにより、プレート配置面42aから突出する頭部12Aの突出量を少なくすることが可能となる。
これにより、
図3に示す構造体(プレート配置面42aから頭部12A全体が突出した構造体)と比較して、第1の切欠き部51Acの幅W(
図1に示す軸O
1方向の幅)を小さくすることができる。
【0080】
(第2の実施形態)
図3、
図7、及び
図8を参照して、第2の実施形態のスクロール圧縮機75を説明する。
図7では、スクロール圧縮機75の主要部のみを模式的に示す。また、
図6では、
図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。また、
図7では、
図1及び
図7に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0081】
第2の実施形態のスクロール圧縮機75は、第1の実施形態で説明したプレート配置部42に複数の第2の切欠き部76を設けるとともに、第1の実施形態のスクロール圧縮機10を構成するスラストプレート27に替えてスラストプレート78を有すること以外は、スクロール圧縮機10と同様に構成される。
【0082】
複数の第2の切欠き部76は、プレート配置面42aを区画するプレート配置部42の外周部の周方向に設けられている。第2の切欠き部76は、プレート配置面42aに対して直交する面76aを有する。
第2の切欠き部76は、例えば、ボルト12と切欠き溝42Bとの間に配置することが可能である。
このような位置に第2の切欠き部76を設けることで、挿入用切欠き部62及び貫通穴64が設けられていない位置に第2の切欠き部76を配置させることができる。
【0083】
スラストプレート78は、複数の爪部79を有すること以外は、第1の実施形態で説明したスクロール圧縮機10と同様に構成される。
複数の爪部79は、プレート本体61の外周縁から突出した部分が第2の切欠き部76側に折り曲げられることで構成されている。爪部79は、複数の第2の切欠き部76内に配置されている。
【0084】
このように、複数の第2の切欠き部76内に折り曲げられた状態でそれぞれ配置された爪部79を有することで、爪部79及びボルト12の頭部12Aの両方の部材を用いてスラストプレート78の位置を規制することが可能となるので、スラスト荷重が増大した場合でも、スラストプレート78の変位をさらに抑制できる。
また、爪部79及びボルト12の頭部12Aの両方の部材を用いてスラストプレート78の位置を規制することが可能となることで、爪部79及びボルト12の頭部12Aのうち、いずれか一方が摩耗などによりスラストプレート78の位置規制の機能を失った場合でも、他方を用いてスラストプレート78の位置規制を行うことが可能となる。これにより、スクロール圧縮機75の信頼性を向上させることができる。
【0085】
また、複数の爪部79は、例えば、スラストプレート78に設けられた複数の貫通穴64の形成位置よりも外側に配置するとよい。
複数の爪部79は、薄い金属製の板であるスラストプレート78を折り曲げることで構成されている。このため、爪部79は、大きなスラスト荷重を受けると、損傷する可能性がある。
【0086】
そこで、スラストプレート78に設けられた複数の貫通穴64の形成位置(言い換えれば、複数のボルト12の位置)よりも外側に複数の爪部79を設けることで、スラストプレート78に大きなスラスト荷重が印加された場合でも、複数の爪部79の内側に配置された複数のボルト12にスラストプレート78が当接されることで、スラストプレート78の外周部におけるスラスト荷重を低減することが可能となるので、複数の爪部79が大きなスラスト荷重を受けることがなくなる。
これにより、複数の爪部79の損傷を抑制した上で、スラストプレート78の変位をさらに抑制することができる。
【0087】
さらに、複数の爪部79は、スラストプレート78の半径方向において、スラストプレート78に設けられた複数の貫通穴64の形成位置とは異なる位置に設けるとよい。
このような位置に複数の爪部79を設けることで、複数の爪部79の強度が低下することを抑制できる。
【0088】
第2の切欠き部76の面76aと爪部79との間には、第2のクリアランスCL
2が形成されている。先に説明した第1のクリアランスCL
1は、例えば、第2のクリアランスCL
2よりも小さくするとよい。
【0089】
このように、第1のクリアランスCL
1を第2のクリアランスCL
2よりも小さくすることで、スラストプレート78が変位した際、貫通穴64を区画する部分のスラストプレート78とボルト12とが接触することで、爪部79が第2の切欠き部76の角76Aに衝突することを抑制可能となる。
これにより、爪部79が第2の切欠き部76の角76Aに衝突することに起因する爪部79の損傷を抑制することができる。
【0090】
第2の実施形態のスクロール圧縮機75によれば、プレート配置42に対してのスラストプレート78の位置を規制する複数のボルト12の他に、スラストプレート78の外周縁の周方向に配置された複数の爪部79を有することで、複数の爪部79の損傷を抑制した上で、スラストプレート78の変位をさらに抑制することができる。
【0091】
なお、第2の実施形態において、複数のボルト12に替えて、
図5に示すボルト67を用いてもよい。また、第2の実施形態において、
図6に示すボルト穴71を用いてもよい。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。