特許第6906954号(P6906954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTドコモの特許一覧

特許6906954端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム
<>
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000002
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000003
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000004
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000005
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000006
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000007
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000008
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000009
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000010
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000011
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000012
  • 特許6906954-端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906954
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】端末、無線基地局、無線通信方法及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/10 20090101AFI20210708BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20210708BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   H04W24/10
   H04W72/04 111
   H04L27/26 100
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-557522(P2016-557522)
(86)(22)【出願日】2015年10月9日
(86)【国際出願番号】JP2015078747
(87)【国際公開番号】WO2016072221
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2018年10月5日
(31)【優先権主張番号】特願2014-226467(P2014-226467)
(32)【優先日】2014年11月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100158528
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】原田 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】武田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】永田 聡
【審査官】 石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/150462(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/126107(WO,A1)
【文献】 特開2011−120196(JP,A)
【文献】 特開2012−100110(JP,A)
【文献】 Ericsson,Analysis of UE behaviour after measurement gap,3GPP TSG-RAN WG4♯69 R4-136686,2013年11月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/00−27/38
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のセルから構成されるグループを設定する無線基地局と通信を行う端末であって、
前記セルに関する情報を受信する受信部と、
前記セルに関する情報に基づいて前記グループ毎に少なくとも一つのセルのメジャメントを行う測定部と、を具備し、
前記測定部は、前記グループの少なくとも一つにおいて、前記グループに含まれる特定のセルのメジャメントを行い、
前記受信部はさらに、前記特定のセルのメジャメントの他のセルへの適用に関する情報を受信することを特徴とする端末。
【請求項2】
前記受信部は、前記セルに関する情報として前記特定のセルの識別情報を受信し、
前記測定部は、前記識別情報に応じて前記特定のセルのメジャメントを行うことを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記グループを設定する無線基地局にメジャメントに関する情報を送信する送信部を更に具備し、
前記送信部は、前記特定のセルのメジャメント結果を送信することを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項4】
前記送信部は、それぞれの前記グループにて前記測定部で一括的にメジャメント可能なセルの数を送信することを特徴とする請求項3に記載の端末。
【請求項5】
前記測定部は、前記セルに関する情報に基づいてRRMメジャメント、CSIメジャメント及びRRMメジャメント、CSIメジャメントのための時間又は周波数同期用のトラッキングのいずれかを行うことを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項6】
前記測定部は、前記グループ毎に設定される異なるメジャメントギャップに応じてメジャメントを行うことを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項7】
前記受信部は、RRCアイドル状態において特定の周波数に関する情報を受信し、
前記測定部は、RRCアイドル状態にて前記特定の周波数に関する情報に基づいてメジャメントを行うことを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項8】
1つ以上のセルから構成されるグループを設定して端末と通信を行う無線基地局であって、
前記セルに関する情報を送信する送信部と、
前記端末から前記グループの少なくとも一つにおいて行われた前記グループに含まれる特定のセルのメジャメント結果を受信する受信部と、を具備し、
前記送信部はさらに、前記特定のセルのメジャメントの他のセルへの適用に関する情報を送信することを特徴とする無線基地局。
【請求項9】
1つ以上のセルから構成されるグループを設定する無線基地局と端末との間で行われる無線通信方法であって、
前記端末で前記セルに関する情報を受信するステップと、
前記セルに関する情報に基づいて前記グループ毎に少なくとも一つのセルのメジャメントを行うステップと、を具備し、
前記メジャメントを行うステップでは、前記グループの少なくとも一つにおいて、前記グループに含まれる特定のセルのメジャメントを行い、
さらに、前記特定のセルのメジャメントの他のセルへの適用に関する情報を受信するステップを具備することを特徴とする無線通信方法。
【請求項10】
1つ以上のセルから構成されるグループを設定して通信を行う無線基地局及び端末を含む無線通信システムであって、
前記無線基地局は、
前記セルに関する情報を送信する送信部と、
前記端末から前記グループの少なくとも一つにおいて行われた前記グループに含まれる特定のセルのメジャメント結果を受信する受信部と、を具備し、
前記送信部はさらに、前記特定のセルのメジャメントの他のセルへの適用に関する情報を送信することを特徴とし、
前記端末は、
前記セルに関する情報を受信する受信部と、
前記セルに関する情報に基づいて前記グループ毎に少なくとも一つのセルのメジャメントを行う測定部と、を具備し、
前記測定部は、前記グループの少なくとも一つにおいて、前記グループに含まれる特定のセルのメジャメントを行い、
前記受信部はさらに、前記特定のセルのメジャメントの他のセルへの適用に関する情報を受信することを特徴とする、無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次世代移動通信システムにおける端末、無線基地局無線通信方法及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)ネットワークにおいて、さらなる高速データレート、低遅延などを目的としてロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)が仕様化された(非特許文献1)。そして、LTEからのさらなる広帯域化及び高速化を目的として、LTEアドバンストと呼ばれるLTEの後継システム(LTE−Aとも呼ばれる)が検討され、LTE Rel.10/11として仕様化されている。
【0003】
LTE Rel.10/11のシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域を一単位とする少なくとも1つのコンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)を含んでいる。このように、複数のCCを集めて広帯域化することをキャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)という。また、LTE Rel.11においては、CC間で異なるタイミング制御を可能とするマルチプルタイミングアドバンス(MTA:Multiple Timing Advances)が導入されている。このMTAの導入により、実質的に異なる位置に配置された複数の送受信点(例えば、無線基地局とRRH(Remote Radio Head))で形成された複数のCCにおけるCAが実現可能となっている。
【0004】
また、LTEのさらなる後継システムであるLTE Rel.12においては、複数の無線基地局が異なる周波数帯(キャリア)で用いられる様々なシナリオが検討されている。例えば、単一の無線基地局が複数のセルを形成する場合には、上述したMTAを適用したCAを適用する一方、複数のセルを形成する無線基地局が完全に異なる場合には、デュアルコネクティビティ(DC:Dual Connectivity)を適用することが検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したLTEの後継システム(LTE Rel.10−12)におけるCAにおいては、ユーザ端末(UE)当たりに設定可能なCC数が最大5個に制限されている。LTEのさらなる後継システムであるLTE Rel.13においては、より柔軟且つ高速な無線通信を実現するために、UE当たりに設定可能なCC数の制限を緩和し、6個以上のCCを設定することが検討されている。
【0007】
しかしながら、UE当たりに設定可能なCC数が6個以上に拡張される場合、各種のメジャメント(RRMメジャメント、CSIメジャメント等)や同期に要するUEの負担や電力消費が増大することが想定される。したがって、UE当たりに設定可能なCC数を拡張する場合には、メジャメントに伴うUEの負担や電力消費の増大を抑制することが重要な課題となる。
【0008】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、キャリアアグリゲーションにてユーザ端末当たりに設定可能なコンポーネントキャリアの数が拡張される場合であっても、メジャメントに伴うユーザ端末の負担や電力消費の増大を抑制することができる端末、無線基地局無線通信方法及び無線通信システムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の端末の一態様は、1つ以上のセルから構成されるグループを設定する無線基地局と通信を行う端末であって、前記セルに関する情報を受信する受信部と、前記セルに関する情報に基づいて前記グループ毎に少なくとも一つのセルのメジャメントを行う測定部と、を具備し、前記測定部は、前記グループの少なくとも一つにおいて、前記グループに含まれる特定のセルのメジャメントを行い、前記受信部はさらに、前記特定のセルのメジャメントの他のセルへの適用に関する情報を受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャリアアグリゲーションにてユーザ端末当たりに設定可能なコンポーネントキャリアの数が拡張される場合であっても、メジャメントに伴うユーザ端末の負担や電力消費の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】LTEの後継システムにおけるキャリアアグリゲーションの概要の説明図である。
図2】LTE Rel.13で検討されるキャリアアグリゲーションのコンポーネントキャリアの説明図である。
図3】本実施の形態に係る無線通信システムのネットワーク構成の一例を示す図である。
図4図3に示す無線通信システムにおいて設定されるタイミングアドバンスグループの一例を示す図である。
図5】無線基地局から通知されるタイミングアドバンスグループ内コンポーネントキャリアリストの一例を示す図である。
図6】ユーザ端末によりメジャメントが行われる特定のコンポーネントキャリアの一例を示す図である。
図7図4に示すタイミングアドバンスグループに含まれるコンポーネントキャリア毎のメジャメントを行う際のメジャメントギャップの一例の説明図である。
図8】本実施の形態に係る無線通信システムの概略構成の一例を示す概略構成図である。
図9】本実施の形態に係る無線基地局の全体構成の一例を示す図である。
図10】本実施の形態に係る無線基地局の機能構成の一例を示す図である。
図11】本実施の形態に係るユーザ端末の全体構成の一例を示す図である。
図12】本実施の形態に係るユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、LTEの後継システム(LTE Rel.10−12)におけるキャリアアグリゲーション(CA)の概要の説明図である。図1Aは、LTE Rel.10におけるCAの概要を示している。図1Bは、LTE Rel.11におけるCAの概要を示している。図1Cは、LTE Rel.12におけるDCの概要を示している。
【0013】
図1Aに示すように、LTE Rel.10におけるCAにおいては、LTEシステムのシステム帯域を一単位とするコンポーネントキャリア(CC)を最大5個(CC#1〜CC#5)集めて広帯域化することにより、高速なデータレートを実現している。
【0014】
図1Bに示すように、LTE Rel.11におけるCAにおいては、CC間で異なるタイミング制御を可能とするマルチプルタイミングアドバンス(MTA)が導入されている。MTAを適用したCAでは、送信タイミングで分類されるタイミングアドバンスグループ(TAG:Timing Advance Group)をサポートする。そして、1つの無線基地局のスケジューラにより、TAG毎に信号の送信タイミングが制御される。これにより、無線基地局と、この無線基地局に光ファイバのような高速回線などの理想的バックホール(ideal backhaul)で接続されたRRH(Remote Radio Head)などのように、実質的に同一の位置に配置された無線基地局で形成された複数のCCにおけるCAを実現している。
【0015】
図1Bでは、CC#1〜CC#3がTAG#1に割り当てられ、CC#4及びCC#5がTAG#2に割り当てられている。このようにMTAを適用したCAでは、例えば、無線基地局が形成したCC#1〜CC#3(TAG#1)で送信される信号と、この無線基地局に接続されたRRHが形成したCC#4及びCC#5(TAG#2)で送信される信号の送信タイミングが制御されてユーザ端末(UE)との間で通信が行われる。
【0016】
図1Cに示すように、LTE Rel.12においては、複数の無線基地局で形成される1つ以上のセルから構成されるセルグループ(CG:Cell Group)を集めて広帯域化するデュアルコネクティビティ(DC:Dual Connectivity)を導入することが検討されている。DCでは、複数の無線基地局がそれぞれ備えるスケジューラ間で信号の送信タイミングが調整される。これにより、完全に異なる位置に配置される無線基地局で形成された各CGに含まれるCCを用いた同時通信を実現できる。また、DCでは、MTAを用いたCAを同時に適用することができる。これにより、例えば、異なる位置に配置された無線基地局で形成されたCCと、いずれかの無線基地局に接続されたRRHで形成されたCCとを利用したCAを含む同時通信を実現できる。このため、LTE Rel.11におけるCAと比べて、UEとの間でより柔軟な通信を実現できる。
【0017】
図1Cでは、CC#1〜CC#3がCG#1に割り当てられ、CC#4及びCC#5がCG#2に割り当てられている。また、CG#1ではCC#1及びCC#2がTAG#1、CC#3がTAG#2に割り当てられる一方、CG#2ではCC#4及びCC#5がTAG#3に割り当てられている。このようにMTAを適用したCAを含むDCでは、例えば、第1の無線基地局及びこれに接続されたRRHが形成したCC#1〜CC#3(CG#1)で送信される信号と、第2の無線基地局が形成したCC#4及びCC#5(CG#2)で送信される信号の送信タイミングが各無線基地局のスケジューラ間で調整されてUEとの間で通信が行われる。
【0018】
これらのLTEの後継システム(LTE Rel.10−12)におけるCAにおいては、UE当たりに設定可能なCC数が最大5個に制限されている。一方、LTEのさらなる後継システムであるLTE Rel.13においては、UE当たりに設定可能なCCの数の制限を緩和し、6個以上のCCを設定することが検討されている。このようにUE当たりに設定可能なCC数の制限を緩和することにより、より柔軟且つ高速な無線通信を実現することが期待されている。また、特定事業者による独占的な使用が許可された帯域であるライセンスバンド(Licensed band)だけでなく、特定事業者に限定せずに無線基地局を設置可能な帯域であるアンライセンスバンド(Unlicensed band)や高周波数帯域で多数のCCを活用して高帯域化することが期待されている。
【0019】
図2は、LTE Rel.13で検討されるCAのCCの説明図である。図2に示すように、例えば、LTE Rel.13では、UE当たりに16個のCC(CC#1〜CC#16)を設定することが検討されている。この場合には、最大で320MHzの帯域幅を利用してUEとの間で通信することができる。これにより、例えば、通信に利用するCC数を増減又は変更することができ、柔軟且つ高速な無線通信を実現することが可能となる。
【0020】
しかしながら、UE当たりに設定可能なCC数が6個以上に拡張される場合、メジャメントに要するUEの負担や電力消費が増大することが想定される。ここで、メジャメントとは、UEが検出/測定用信号(例えば、PSS(Primary Synchronization Signal)、SSS(Secondary Synchronization Signal)、CRS(Cell-specific Reference Signal)、CSI−RS(CSI(Channel State Information)−Reference Signal)など)を受信して、当該検出/測定用信号を発見しその受信品質を測定することである。なお、UEにおいて測定される受信品質は、例えば、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)などである。このようなメジャメントは、CC毎に行う必要があるため、CC数に応じてメジャメントの回数や所要時間も増加することが想定される。
【0021】
一方で、CAにおいては、全てのセカンダリセル(SCell)はプライマリセル(PCell)と同期している。このため、伝搬遅延差等により異なる送信タイミングを有するCCについては、TAGとしてグルーピングすることが可能である。また、CAにおいて、各送信ポイントにて複数のCCが使用される場合には、周波数上で連続するCCが使用されることが一般的である。
【0022】
本発明者等は、これらのようなCAの特徴に着目し、UE当たりに設定可能なCC数が6個以上に拡張される場合、CC毎ではなく1つ以上のセルから構成されるグループ(以下、「CCグループ」という)毎にメジャメント処理を制御することにより、UEの負担や電力消費の増大を抑制することを着想した。具体的には、(1)無線基地局から送信されるCCグループに含まれるCCに関する情報に基づいてCCグループ毎にメジャメントを行うこと、並びに、(2)無線基地局から送信されるCCグループに含まれるCCに関する情報及びCCグループ毎の異なるメジャメントギャップ構成(measurement gap configuration)に基づいてメジャメントを行うことを着想した。ここで、CCグループとしては、例えば、MTAでサポートされるTAGを適用することができる。しかしながら、CCグループについてはTAGに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、DCでサポートされるCGを適用するようにしてもよい。以下においては、CCグループとしてTAGが適用される場合について説明するものとする。
【0023】
以下、本実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、CAを行う際にUE当たりに設定可能なCC数が10個である場合について説明する。しかしながら、本実施の形態に係る無線通信システムにおいて、UE当たりに設定可能なCC数は、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、UE当たりに設定可能なCC数を6個以上としたCAを「拡張CA」と呼ぶものとする。
【0024】
また、以下の説明においては、説明の便宜上、複数の無線基地局(eNB1〜eNB3)が光ファイバのような高速回線などの理想的バックホールで接続されているものとする。しかしながら、拡張CAは、複数の無線基地局(eNB1〜eNB3)が、X2インターフェースなどの遅延を無視できない非理想的バックホール(non-ideal backhaul)で接続される場合にも適用することができる。
【0025】
図3は、本実施の形態に係る無線通信システムのネットワーク構成の一例を示す図である。無線基地局eNB1は、例えば相対的に広いカバレッジを有するマクロ基地局で構成され、マクロセルMCを形成する。無線基地局eNB2は、局所的なカバレッジを有するスモール基地局で構成され、スモールセルSC1を形成する。無線基地局eNB3は、更に局所的なカバレッジを有するスモール基地局で構成され、スモールセルSC2を形成する。これらの無線基地局eNB1〜eNB3は、理想的バックホールで接続されている。
【0026】
UEは、これらの3つのセル(マクロセルMC、スモールセルSC1、SC2)に接続している。例えば、UEは、CC#1、#2で無線基地局eNB1と通信することができる。また、UEは、CC#3、#4で無線基地局eNB2と通信することができる。さらに、UEは、CC#5〜#10で無線基地局eNB3と通信することができる。拡張CAにおいては、これらのCC#1〜#10を集めて広帯域化する。
【0027】
無線基地局eNB1〜eNB3が理想的バックホールで接続される環境下では、1つのスケジューラ(より具体的には、無線基地局eNB1が有するスケジューラ)が複数のセル(マクロセルMC、スモールセルSC1、SC2)のスケジューリングを制御することができる。この際、無線基地局eNB1が有するスケジューラは、これらのCC#1〜#10にタイミングアドバンスグループ(TAG)を設定し、このTAGに応じて送信タイミングの制御を行う。
【0028】
図4は、図3に示す無線通信システムにおいて設定されるTAGの一例を示す図である。図4に示すように、例えば、無線基地局eNB1が有するスケジューラは、CC#1、#2にTAG#1を設定することができる。同様に、無線基地局eNB1が有するスケジューラは、CC#3、#4にTAG#2を設定し、CC#5〜#10にTAG#3を設定することができる。
【0029】
(第1の態様)
本発明の第1の態様では、無線基地局(ここでは、無線基地局eNB1)から各TAGに含まれるCCに関する情報(CC情報)をUEに送信する一方、UEにてこのCC情報に基づいてTAG毎にメジャメントを行うことを特徴とする。以下、第1の態様に係る無線基地局及びUEの制御について説明する。
【0030】
拡張CAによる通信に先立ち、無線基地局eNB1は、各TAGに含まれるCC情報をUEに送信する。例えば、無線基地局eNB1は、各TAGに含まれるCCを識別可能なリスト(以下、「TAG内CCリスト」という)をUEに送信する。例えば、無線基地局eNB1は、TAG内CCリストを上位レイヤシグナリングで通知することができる。しかしながら、UEに対してTAG内CCリストを通知するための信号については、これに限定されない。TAG内CCリストは、例えば、各CCに対するメジャメント対象(Measurement object)と一緒に上位レイヤシグナリングによってUEに通知されてもよい。
【0031】
図5は、無線基地局eNB1から通知されるTAG内CCリストの一例を示す図である。図5においては、図4に示すようにTAGに設定されたCCのリストを示している。図5Aに示すように、TAG内CCリストにおいては、TAGの識別情報であるTAG IDと、これに関連付けられたCC番号とが含まれる。TAG#1にはCC#1、#2が関連付けられている。同様に、TAG#2にはCC#3、#4が、TAG#3にはCC#5〜#10が関連付けられている。
【0032】
このようなTAG内CCリストを受信すると、UEは、各TAGに含まれるCC情報に基づいてTAG毎にメジャメントを行う。図5Aに示すTAG内CCリストを受信した場合、例えば、UEは、CC#1、#2を含むTAG#1について1回のメジャメントを行う。同様に、UEは、CC#3、#4を含むTAG#2について1回、CC#5〜#10を含むTAG#3について1回のメジャメントを行う。なお、TAG毎にメジャメントを行うことを前提として、メジャメントの実行回数は1回に限定されない。
【0033】
UEは、TAG毎のメジャメントを行う際、各TAGに含まれるCC情報に基づいて特定のCCに関するメジャメントを行うことができる。図6は、UEによりメジャメントが行われる特定のCCの一例を示す図である。図6Aに示すように、例えば、UEは、TAG#1〜#3に含まれるCCの代表となるCC(代表CC)に関するメジャメントを行うことができる。図6Aでは、TAG#1に含まれるCC#1、TAG#2に含まれるCC#3、TAG#3に含まれるCC#7を代表CCとして選択する場合について示している。
【0034】
UEによりメジャメントが行われる代表CCは、任意に選択することができる。例えば、各TAGに含まれるCCが連続する2個のCCである場合には、先頭のCCを代表CCとして選択することができる(図6Aに示すTAG#1、#2)。また、各TAGに含まれるCCが連続する3個以上のCCである場合には、周波数帯域における中央付近に配置されるCCを代表CCとして選択することができる(図6Aに示すTAG#3)。
【0035】
また、UEが1回のメジャメント処理でTAG内の複数のCCのメジャメントを行うことができる場合には、図6Bに示すように、各TAGに含まれる複数のCCを代表CCとして選択することができる。図6Bにおいては、UEが1回のメジャメント処理で2個のCCのメジャメントを行う場合について示している。図6Bにおいては、TAG#1に含まれるCC#1、#2の両方、TAG#2に含まれるCC#3、#4の両方、TAG#3に含まれるCC#6、#9が代表CCとして選択された場合について示している。
【0036】
これらのように代表CCのメジャメントを行った後、UEは、メジャメントを行った全ての代表CCにおけるメジャメント結果を無線基地局eNB1に報告することができる。また、メジャメントを行った代表CCのうち、最もメジャメント結果の特性が悪い代表CCのメジャメント結果を報告するようにしてもよい。このように最もメジャメント結果の特性が悪い代表CCのメジャメント結果を報告することにより、報告に要する上り信号のトラフィック量を低減することができる。なお、メジャメント結果は、メジャメントに関する情報を構成する。
【0037】
このようなメジャメント結果の報告を受けることにより、無線基地局eNB1では、UEとの通信に利用できるCCを特定することができる。例えば、メジャメントを行った全ての代表CCにおけるメジャメント結果を受信した場合、無線基地局eNB1は、予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCCを通信に利用することができる。一方、メジャメントを行った代表CCのうち、最もメジャメント結果の特性が悪い代表CCのメジャメント結果を受信した場合において、当該代表CCのメジャメント結果が予め定めた閾値よりも良好であった場合、無線基地局eNB1は、TAGに含まれる任意のCCを通信に利用することができる。
【0038】
このように第1の態様に係る無線通信システムでは、UEにおいて、無線基地局eNB1からTAGに含まれるCC情報を受信し、このCC情報に基づいてTAG毎にメジャメントを行う。これにより、CC毎にメジャメントを行う場合と比べてメジャメント対象となるCC数を低減することができる。この結果、CAにてUE当たりに設定可能なCC数が拡張される場合であっても、メジャメントに伴うUEの負担や電力消費の増大を抑制することができる。
【0039】
なお、以上の説明においては、TAG内CCリストにおける各TAGに含まれるCC情報に基づいてUEが代表CCを選択してメジャメントを行う場合について説明している。しかしながら、UEがメジャメントを行う代表CCを無線基地局eNB1側で指定するようにしてもよい。例えば、無線基地局eNB1は、TAG内CCリストに代表CCを含めることで、代表CCを指定することができる(図5B参照)。
【0040】
図5Bに示すTAG内CCリストにおいては、図5Aに示す情報に加え、TAG毎に代表CCが関連付けられている。より具体的には、TAG#1には代表CCとしてCC#1が関連付けられている。同様に、TAG#2には代表CCとしてCC#3が、TAG#3には代表CCとしてCC#7が関連付けられている。このようなTAG内CCリストを受信すると、UEは、各TAGにおける代表CCのメジャメントを行う。そして、上述した場合と同様に、メジャメントを行った全て(又は一部)の代表CCにおけるメジャメント結果を無線基地局eNB1に報告する。
【0041】
このように無線基地局eNB1側から指定された代表CCを利用してTAG毎にメジャメントを行う場合には、UEにて代表CCを選択する処理を省略することができる。これにより、メジャメントに伴うUEの動作負担を軽減することができる。また、メジャメントに要する処理時間を短縮することができる。
【0042】
なお、UEが1回のメジャメント処理で複数のCCのメジャメントを行うことができる場合には(図6B参照)、UEからそのCC数(一括的にメジャメント可能なCC数)を予め無線基地局eNB1側に通知しておくことが好ましい。例えば、UEは、capability情報として、メジャメント可能なCC数を無線基地局eNB1に報告することができる。メジャメント可能なCC数を受信した無線基地局eNB1では、例えば、TAG内CCリストに含まれる代表CCの数を、メジャメント可能なCC数に設定することができる。なお、UEにおける一括的にメジャメント可能なCC数は、メジャメントに関する情報を構成する。
【0043】
このようにUEが1回の処理でメジャメント可能なCC数がTAG内CCリストの代表CC数に反映される。そして、TAG内CCリストに指定された数の代表CCのメジャメントがUEで行われ、そのメジャメント結果が無線基地局eNB1に報告される。これにより、各TAGの複数のCCにおけるメジャメント結果に基づいて、UEとの通信に利用できるCCを特定することができる。
【0044】
また、以上の説明においては、無線基地局eNB1側でTAG内CCリストに代表CCを含めることで代表CCをUEに通知し、UE側で代表CCに対するメジャメントを行う場合について説明している。しかしながら、代表CCに対するUEによるメジャメントの実行方法については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、TAG内CCリストを通知することなく代表CCのみに対するメジャメントオブジェクトを設定するようにしてもよい。この場合には、UEは、TAG内CCリストを把握することなく代表CCのメジャメントを行うと共に、メジャメント結果を報告することができる。そして、このメジャメント結果を受信した無線基地局eNB1(ネットワーク)側でこの代表CCを含むCC群を設定するようにしてもよい。
【0045】
ここで、UEにより行われるメジャメントの対象としては、例えば、RRM(Radio Resource Management)メジャメントやCSI(Channel State Information)メジャメントが含まれる。また、UEにより行われるメジャメントには、RRMメジャメントやCSIメジャメントのために必要となる時間トラッキングや周波数トラッキングを含んでもよい。これらの対象についてUE側でTAG毎にメジャメントを行うことにより、無線基地局eNB1との接続前及び/又は接続後におけるメジャメントに伴うUEの負担や電力消費の増大を抑制することができる。
【0046】
また、TAG内CCリストに代表CCを含める場合、無線基地局eNB1は、RRMメジャメントやCSIメジャメント、これらのメジャメントに必要なトラッキング(時間トラッキング、周波数トラッキング)のそれぞれについて、代表CCでのメジャメント結果をTAG内の他のCCに適用して良いか否かを通知してもよい。このように代表CCでのメジャメント結果を適用可能なTAG内のCCを定めておくことにより、メジャメントに伴うUEの不要な処理を省略することができると共に、メジャメントに要する時間を短縮し、UEの負担を軽減することができる。なお、このような代表CCのメジャメント結果を適用可能なCCについて個別の通知がない場合、UEは、そのメジャメント結果をTAG内の他のCCに適用することができる。
【0047】
また、時間トラッキング及び周波数トラッキングの一方又は双方について、代表CCでのメジャメント結果をTAG内の他のCCに適用可能である旨が通知された場合、UEは、代表CCとTAG内の他のCCとがQCL(Quasi-Co-Location)関係にあると解釈することができる。なお、時間トラッキング及び周波数トラッキングの一方又は双方について、代表CCのメジャメント結果を適用可能なCCについて個別の通知がない場合においても同様である。
【0048】
特に、時間トラッキングについて、代表CCでのメジャメント結果をTAG内の他のCCに適用可能である場合には、UEは、ディレイスプレッド(delay spread)及びアベレージディレイ(average delay)についてQCL関係が確保されていると解釈することができる。この場合、例えば、UEは、代表CCにおける参照信号(CRS等)で取得した同期タイミングを用いてTAG内の他のCCでの信号の受信動作を行うようにしてもよい。
【0049】
また、周波数トラッキングについて、代表CCでのメジャメント結果をTAG内の他のCCに適用可能である場合には、UEは、ドップラーシフト(Doppler shift)及びドップラースプレッド(Doppler spread)についてQCL関係が確保されていると解釈することができる。この場合、例えば、UEは、代表CCにおける参照信号(CRS等)で取得した周波数オフセットを用いてTAG内の他のCCでの信号の受信動作を行うようにしてもよい。
【0050】
なお、以上の説明では、複数の無線基地局(eNB1〜eNB3)が理想的バックホールで接続される場合について説明している。一方、複数の無線基地局eNB1〜eNB3が非理想的バックホールで接続される場合には、無線基地局eNB1〜eNB3とUEとの間の通信にはデュアルコネクティビティ(DC)が適用される。DCにおいては、複数のスケジューラが独立して設けられ、当該複数のスケジューラ(例えば、無線基地局eNB1の有するスケジューラ及び無線基地局eNB2の有するスケジューラ)がそれぞれ管轄する1つ以上のセルグループ(CG)内のセル(CC)のスケジューリングを制御することができる。
【0051】
DCでは、各無線基地局が、1つ又は複数のセルから構成されるCGを設定する。PCellを含むCGはマスタセルグループ(MCG:Master Cell Group)と呼ばれ、MCG以外のCGはセカンダリセルグループ(SCG:Secondary Cell Group)と呼ばれる。MCG及びSCGを構成するセルの合計数は、所定値(例えば、5セル)以下となるように設定される。MCGが設定される(MCGを用いて通信する)無線基地局はマスタ基地局(MeNB:Master eNB)と呼ばれ、SCGが設定される(SCGを用いて通信する)無線基地局はセカンダリ基地局(SeNB:Secondary eNB)と呼ばれる。
【0052】
図4において、TAG#1及びTAG#2に含まれるCC#1〜#4がCG#1に割り当てられ、TAG#3に含まれるCC#5〜#10がCG#2に割り当てられた場合について考える。なお、ここでは、CG#1がMCGに設定され、無線基地局eNB1がマスタ基地局であるものとし、CG#2がSCGに設定され、無線基地局eNB3がセカンダリ基地局であるものとする。
【0053】
DCでは、無線基地局間(例えば、無線基地局eNB1と無線基地局eNB3との間)はCAと同等の協調は前提としない。そのため、UEは、CG毎に下りリンクL1/L2制御(PDCCH/EPDCCH)、上りリンクL1/L2制御(PUCCH/PUSCHによるUCI(Uplink Control Information)フィードバック)を独立に行う事が可能となっている。したがって、セカンダリ基地局においても、PCellと同等の機能(例えば、共通サーチスペース、PUCCHなど)を有する特別なSCellが必要となる。PCellと同等の機能を有する特別なSCellのことを、「PSCell」ともいう。
【0054】
このような無線通信システムにおいては、拡張CAによる通信に先立ち、無線基地局eNB1、eNB3からUEに対して各TAGに含まれるCC情報が送信される。上述した場合と同様に、各TAGに含まれるCC情報は、TAG内CCリストによりUEに送信することができる。無線基地局eNB1、eNB3からTAG内CCリストを受信したUEは、代表CCのメジャメントを行うことでTAG毎のメジャメントを行う。そして、TAG内CCリストを送信してきた各無線基地局にメジャメント結果を報告する。
【0055】
なお、DCでは、例えば、代表CCとして、CG#1に含まれるPCellを構成するCCや、CG#2に含まれるPSCellを構成するCCを選択することができる。また、UEが1回のメジャメント処理で複数のCCのメジャメントを行うことができる場合には(図6B参照)、これらのPCellやPSCellを構成するCCを含む複数のCCを代表CCとして選択するようにしてもよい。しかしながら、代表CCとして選択されるCCについては、これに限定されることなく適宜変更することが可能である。
【0056】
このように複数の無線基地局eNB1〜eNB3が非理想的バックホールで接続される場合であっても、UEにおいて、無線基地局eNB1からTAGに含まれるCCに関する情報を受信し、このCCに関する情報に基づいてTAG毎にメジャメントを行うことができる。これにより、CC毎にメジャメントを行う場合と比べてメジャメント対象となるCC数を低減することができる。この結果、CAにてUE当たりに設定可能なCC数が拡張される場合であっても、メジャメントに伴うUEの負担や電力消費の増大を抑制することができる。
【0057】
ところで、一般に、無線基地局との間でCAが適用される場合、UEは、RRCアイドル状態からRRCコネクテッド状態に移行した後にセカンダリセル(SCell)を追加していく。このため、拡張CAにてSCellの追加に時間を要すると、UEにおいてCAによるスループット向上の効果を得る前に通信が終了することが想定される。このため、RRCコネクテッド状態に移行する前、言い換えると、RRCアイドル状態において、UEでSCell候補となり得る特定の周波数(以下、「SCell候補周波数」という)に基づいてセル選択又はセル再選択のためのメジャメントを行うことは実施の形態として好ましい。
【0058】
このようなRRCアイドル状態におけるUEによるSCellの選択(再選択)のためのメジャメントを実現するため、第1の態様に係る無線通信システムでは、無線基地局から報知情報によりSCell候補周波数に関する情報を報知する。一方、この報知情報を受信したUEは、RRCアイドル状態において、このSCell候補周波数に対してセル選択又はセル再選択のためのメジャメントを行う。これにより、RRCコネクテッド状態に移行してからCA(拡張CA)を開始するまでの遅延を短縮でき、UEにおいてCAによるスループット向上の効果を得ることができる。
【0059】
UEでは、RRCアイドル状態において、報知情報にて通知される異周波キャリア(inter-frequency carrier)に基づいてプライマリセル(PCell)の選択(再選択)のためのメジャメント(異周波メジャメント)を行っている。例えば、上述したSCell候補周波数に関する情報は、この異周波キャリアに追加して通知することができる。このように既存の異周波キャリアにSCell候補周波数に関する情報を追加することにより、UEにおける既存のメジャメント処理を大幅に変更することなく、SCellの選択(再選択)のためのメジャメントを実現することができる。なお、SCell候補周波数に関する情報の通知は、報知情報に限定されるものではなく適宜変更が可能である。また、SCell候補周波数に関する情報としては、SCell候補周波数を直接的に特定する情報に限らず、SCell候補周波数を間接的に特定するインデックス等の情報であってもよい。
【0060】
このSCell候補周波数に対するメジャメントは、既存のRRCアイドル状態におけるメジャメント(PCellの選択(再選択)のためのメジャメント)で設定される要求(requirement)よりも緩和した要求を設定することができる。例えば、メジャメントを行うセル数や時間等の要求を緩和することができる。このようにSCellの選択(再選択)のためのメジャメントで設定される要求を緩和することにより、UEにおける動作負担の増加を抑制することができる。なお、このSCell候補周波数に対するメジャメントに関する要求は、予め規格で定めてもよいし、報知情報で通知するようにしてもよい。
【0061】
また、SCellの再選択動作(例えば、再選択のためのメジャメント)で使用される閾値には、PCellの再選択動作(例えば、再選択のためのメジャメント)で使用される閾値と異なる値を設定することができる。例えば、SCellの再選択のためのメジャメントの実行要否を特定するための閾値を、PCellの再選択のためのメジャメントで使用される閾値よりも高い値に設定することができる。この場合には、PCellの再選択のためのメジャメントと比較してSCellの再選択のためのメジャメントの実行頻度を低減でき、UEにおける動作負担の増加を抑制することができる。
【0062】
さらに、SCell候補周波数に対するメジャメントにおいては、在圏セル(PCell)の品質に関係なく、SCell候補周波数に基づくメジャメントによって現在保持しているセル(SCell候補セル)の品質に基づいて周辺セルのサーチを行うか否かを判定するようにしてもよい。この場合には、PCellの品質と独立して周辺セルのサーチの要否を判定できるので、PCellの品質がよい場合でも正しくSCell再選択動作を実施できる。
【0063】
さらに、SCellの再選択動作(例えば、再選択のためのメジャメント)においては、PCellの品質に関係なく、現在保持しているSCell候補セルの品質と周辺セルの品質とを比較するようにしてもよい。この場合には、PCellの品質と独立して周辺セルのサーチを行うことができるので、PCellの品質がよい場合でも正しくSCell再選択動作を実施できる。
【0064】
なお、ここでは、報知情報によりSCell候補周波数に関する情報を報知する場合について説明している。しかしながら、UEに対するSCell候補周波数に関する情報の通知方法については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、RRCコネクテッド状態に移行した際に、RRCアイドル状態でもSCell候補としてセル再選択対象とするCCを上位レイヤシグナリングで通知するようにしてもよい。
【0065】
(第2の態様)
メジャメントには、異周波メジャメント(Inter-frequency measurement)と、同周波メジャメント(Intra-frequency measurement)とが含まれる。異周波メジャメントは、接続中のセルと異なる周波数で送信される検出/測定用信号を受信して、当該検出/測定用信号の受信品質を測定することである。一方、同周波メジャメントは、接続中のセルと同一の周波数で送信される検出/測定用信号を受信して、当該検出/測定用信号の受信品質を測定することである。
【0066】
図3に示す無線通信システムにおいて、例えば、無線基地局eNB1(マクロ基地局)と接続するUE(すなわち、RRCコネクテッド状態であるUE)は、メジャメントギャップ(Measurement Gap)において、受信周波数を切り替える。これにより、無線基地局eNB2(スモール基地局)が使用する周波数で送信される検出/測定用信号(例えば、SSSなど)の受信品質を測定して、スモールセルSC1を検出し接続処理を開始することができる。
【0067】
ここで、メジャメントギャップ(Measurement Gap)とは、接続中のセルで使用される周波数(周波数F1)と異なる周波数(周波数F2)を用いて送信される検出/測定用信号を測定(検出)するための期間である。このメジャメントギャップにおいて、UEは、接続中の周波数F1での受信を停止して別の周波数F2を受信する。メジャメントギャップは、所定の時間長(以下、「MGL(Measurement Gap Length)」という)を、所定の繰り返し期間(以下、「MGRP(Measurement Gap Repetition Period)」という)で繰り返す。
【0068】
異周波メジャメントにおいては、上記MGL及びMGRPの組み合わせである2つのメジャメントギャップパターンが規定されている。より具体的には、MGLが6msでありMGRPが40msである第1メジャメントギャップパターンと、MGLが6msでありMGRPが80msである第2メジャメントギャップパターンとが規定されている。
【0069】
また、異周波メジャメントにおいては、ギャップオフセット(以下、「GO(Gap Offset)」という)が、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング)によってUEに通知される。ここで、GOとは、無線フレームの先頭からメジャメントギャップが開始されるまでの開始オフセット(starting offset)であり、メジャメントギャップの開始タイミングを示す。
【0070】
UEにおいては、例えば、上位レイヤシグナリングにて、これらのメジャメントギャップパターン及びGOを含むメジャメントギャップ構成(measurement gap configuration)の通知を受ける。そして、メジャメントギャップ構成に含まれるメジャメントギャップパターン及びGOに従って異周波メジャメントを行う。UEは、メジャメントギャップパターンで指定されるMGL内において、接続中の周波数(周波数F1)と異なる周波数(周波数F2)を用いて送信される検出/測定用信号を検出することにより、スモールセルを検出することができる。
【0071】
このような異周波メジャメントはCC毎に行う必要がある。拡張CAにおいては、異周波メジャメントの対象となるキャリア数も増加するため、全ての周波数の測定を完了するまでに長時間を要することが想定される。このようなCC数の増大に伴って必要となる異周波メジャメントの時間を短縮するため、第2の態様に係る無線通信システムでは、無線基地局(例えば、無線基地局eNB1)から各TAGに含まれるCC情報と、TAG毎の異なるメジャメントギャップ構成とをUEに送信する一方、UEにてこのCC情報及びメジャメントギャップ構成に基づいてメジャメントを行う。以下、第2の態様に係る無線基地局及びUEの制御について説明する。
【0072】
拡張CAによる通信に先立ち、無線基地局eNB1は、各TAGに含まれるCCに関する情報と、TAG毎に異なるメジャメントギャップ構成とをUEに送信する。例えば、無線基地局eNB1は、TAG毎に異なるメジャメントギャップ構成を上位レイヤシグナリングで通知することができる。しかしながら、UEに対してメジャメントギャップ構成を通知するための信号については、これに限定されない。なお、各TAGに含まれるCC情報については、第1の態様と同様である。ここでは、無線基地局eNB1は、TAG内CCリストをUEに送信するものとする。
【0073】
例えば、無線基地局eNB1は、メジャメントギャップ構成として、異なるMGL、MGRP及びGOを有する複数のメジャメントギャップパターンをそれぞれ異なるTAGに関連付けて設定することができる。なお、メジャメントギャップパターンに含まれるMGL、MGRP及びGOの値は、任意に設定することができる。メジャメントギャップパターンに含まれるMGLについては、各TAGに含まれるCC数に比例する長さとして設定してもよい。この場合には、各TAGに含まれるCC数に応じて黙示的(implicitly)にMGLをUEに通知することができる。
【0074】
また、無線基地局eNB1は、TAGに含まれる各CCのメジャメントを行うために必要なサブフレーム数を、上位レイヤシグナリングによってUEに通知するようにしてもよい。例えば、各CCのメジャメントを行うために必要なサブフレーム数には、DRS(Discovery Reference Signal) occasion長が含まれる。このように必要なサブフレーム数を通知することにより、UEにてメジャメントを行うべき時間を正確に把握することができる。これにより、不要なメジャメント制御に起因する処理時間を排除することができる。
【0075】
このようなTAG内CCリスト及びメジャメントギャップ構成を受信すると、UEは、メジャメントギャップ構成で設定されるMGL、MGRP及びGOに応じて各TAGに含まれるCC毎にメジャメントを行う。そして、UEは、各CCのメジャメント結果を無線基地局eNB1に報告する。なお、各CCのメジャメント結果の報告は、CC毎に行ってもよいし、TAG毎に行ってもよい。
【0076】
図7は、図4に示すTAGに含まれるCC毎のメジャメントを行う際のメジャメントギャップの一例の説明図である。図7においては、横軸に時間を示し、縦軸に周波数を示している。また、図7においては、TAG#1〜#3に設定されるメジャメントギャップをそれぞれMG#1〜#3と示している。さらに、図7においては、MG#1について、メジャメントギャップ構成で設定されるMGL、MGRP及びGOを示している。
【0077】
例えば、UEは、無線フレームの先頭からGOを挟んでMG#1の開始タイミングになると、MGLの間にTAG#1に含まれるCC#1、#2のメジャメントを行う。そして、1回目のMG#1の開始タイミングからMGRPを挟んで2回目のMG#1の開始タイミングになると、再びMGLの間にTAG#1に含まれるCC#1、#2のメジャメントを行う。同様に、UEは、MG#2のMGLの間にTAG#2に含まれるCC#3、#4及びMG#3のMGLの間にTAG#3に含まれるCC#5〜#10のメジャメントを行う。
【0078】
このように第2の態様に係る無線通信システムでは、UEにおいて、無線基地局eNB1からTAGに含まれるCC情報と、TAG毎に異なるメジャメントギャップ構成とを受信し、これらのCC情報及びTAG毎に異なるメジャメントギャップ構成に基づいて各TAGに含まれるCC毎にメジャメントを行う。これにより、UEに特定のメジャメントギャップ構成を設定してCC毎にメジャメントを行う場合と比べてメジャメント(異周波メジャメント)に要する時間を短縮することができる。特に、異周波メジャメントを最小限のギャップ時間で効率的に行うことができる。この結果、CAにてUE当たりに設定可能なCC数が拡張される場合であっても、メジャメントに伴うUEの負担や電力消費の増大を抑制することができる。
【0079】
(無線通信システムの構成)
以下、本発明の一実施の形態に係る無線通信システムの構成について説明する。この無線通信システムでは、上記第1の態様及び第2の態様のいずれか又はこれらの組み合わせが適用される。
【0080】
図8は、本発明の一実施の形態に係る無線通信システムの一例を示す概略構成図である。図8に示すように、無線通信システム1は、複数の無線基地局10(11及び12)と、各無線基地局10によって形成されるセル内にあり、各無線基地局10と通信可能に構成された複数のユーザ端末20と、を備えている。無線基地局10は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。
【0081】
図8において、無線基地局11は、例えば相対的に広いカバレッジを有するマクロ基地局で構成され、マクロセルC1を形成する。無線基地局12(12a〜12c)は、局所的なカバレッジを有するスモール基地局で構成され、スモールセルC2を形成する。なお、無線基地局11及び12の数は、図8に示す数に限られない。
【0082】
マクロセルC1及びスモールセルC2では、同一の周波数帯が用いられてもよいし、異なる周波数帯が用いられてもよい。また、無線基地局11及び12は、基地局間インターフェース(例えば、光ファイバ、X2インターフェース)を介して互いに接続される。
【0083】
なお、マクロ基地局11は、無線基地局、eNodeB(eNB)、送信ポイント(transmission point)などと呼ばれてもよい。スモール基地局12は、ピコ基地局、フェムト基地局、Home eNodeB(HeNB)、送信ポイント、RRH(Remote Radio Head)などと呼ばれてもよい。
【0084】
ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでいてもよい。ユーザ端末20は、無線基地局10を経由して他のユーザ端末20と通信を実行できる。
【0085】
上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)などが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0086】
無線通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域幅を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。なお、上り及び下りの無線アクセス方式は、これらの組み合わせに限られない。
【0087】
無線通信システム1では、下りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)、報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)、下りL1/L2制御チャネルなどが用いられる。PDSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報、所定のSIB(System Information Block)が伝送される。また、PBCHにより、同期信号や、MIB(Master Information Block)などが伝送される。
【0088】
下りL1/L2制御チャネルは、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)、EPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)などを含む。PDCCHにより、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報を含む下り制御情報(DCI:Downlink Control Information)などが伝送される。PCFICHにより、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICHにより、PUSCHに対するHARQの送達確認信号(ACK/NACK)が伝送される。EPDCCHは、PDSCH(下り共有データチャネル)と周波数分割多重され、PDCCHと同様にDCIなどを伝送するために用いられてもよい。
【0089】
無線通信システム1では、上りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)、ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)などが用いられる。PUSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、送達確認信号などが伝送される。PRACHにより、セルとの接続確立のためのランダムアクセスプリアンブル(RAプリアンブル)が伝送される。また、上りリンクの参照信号として、チャネル品質測定用の参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)、PUCCHやPUSCHを復調するための復調用参照信号(DM−RS:Demodulation Reference Signal)が送信される。
【0090】
図9は、本実施の形態に係る無線基地局10の全体構成の一例を示す図である。無線基地局10(無線基地局11及び12を含む)は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106とを備えている。なお、送受信部103は、送信部及び受信部から構成される。
【0091】
下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
【0092】
ベースバンド信号処理部104では、ユーザデータに関して、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御(例えば、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)の送信処理)、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理などの送信処理が行われて各送受信部103に転送される。また、下り制御信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換などの送信処理が行われて、各送受信部103に転送される。
【0093】
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力された下り信号を無線周波数帯に変換して送信する。送受信部103で周波数変換された無線周波数信号は、アンプ部102により増幅され、送受信アンテナ101から送信される。送受信部103は、本発明に係る技術分野で利用されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置を適用することができる。
【0094】
一方、上り信号については、各送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部102で増幅される。各送受信部103はアンプ部102で増幅された上り信号を受信する。送受信部103は、受信信号をベースバンド信号に周波数変換して、ベースバンド信号処理部104に出力する。
【0095】
ベースバンド信号処理部104では、入力された上り信号に含まれるユーザデータに対して、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理、逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse Discrete Fourier Transform)処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、伝送路インターフェース106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放などの呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
【0096】
伝送路インターフェース106は、所定のインターフェースを介して、上位局装置30と信号を送受信する。また、伝送路インターフェース106は、基地局間インターフェース(例えば、光ファイバ、X2インターフェース)を介して隣接無線基地局と信号を送受信(バックホールシグナリング)してもよい。
【0097】
図10は、本実施の形態に係る無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104の主な機能構成図である。なお、図10では、本実施の形態における特徴部分の機能ブロックを主に示しており、無線基地局10は、無線通信に必要な他の機能ブロックも有しているものとする。
【0098】
図10に示すように、無線基地局10は、制御部(スケジューラ)301と、送信信号生成部302と、受信処理部303と、を少なくとも含んで構成されている。
【0099】
制御部(スケジューラ)301は、PDSCHで送信される下りデータ信号、PDCCH及び/又は拡張PDCCH(EPDCCH)で伝送される下り制御信号のスケジューリングを制御する。また、システム情報、同期信号、CRS、CSI−RSなどの下り参照信号などのスケジューリングの制御も行う。また、上り参照信号、PUSCHで送信される上りデータ信号、PUCCH及び/又はPUSCHで送信される上り制御信号等のスケジューリングを制御する。なお、制御部301は、本発明に係る技術分野で用いられるコントローラ、制御回路又は制御装置で構成することができる。
【0100】
また、制御部301は、無線基地局10に接続するユーザ端末20におけるメジャメントの対象となるCCを制御するために、送信信号生成部302を制御することができる。具体的には、制御部301は、TAGに含まれるCC情報を送信信号生成部302に通知し、このCC情報を含む信号(例えば、上位レイヤシグナリング)を生成するように制御する(第1の態様)。また、制御部301は、TAG毎に設定されるメジャメントギャップ構成を送信信号生成部302に通知し、メジャメントギャップ構成を含む信号(例えば、上位レイヤシグナリング)を生成するように制御する(第2の態様)。
【0101】
送信信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて、DL信号(下り制御信号、下りデータ信号、下り参照信号など)を生成する。例えば、送信信号生成部302は、制御部301から通知されるタイミングアドバンスグループ(TAG)に含まれるCC情報に基づいて、このCC情報を含む信号を生成する(第1、第2の態様)。この場合、送信信号生成部302は、TAG内CCリストを含む信号を生成することができる(第1、第2の態様)。また、送信信号生成部302は、制御部301から通知されるTAG毎に設定されるメジャメントギャップ構成に基づいて、このメジャメントギャップ構成を含む信号を生成する(第2の態様)。これらの情報は、送受信部103を介して上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、報知信号等)や下り制御信号によりユーザ端末20へ通知される。なお、送信信号生成部302は、本発明に係る技術分野で利用される信号生成器又は信号生成回路で構成することができる。
【0102】
受信処理部303は、ユーザ端末20から送信されるUL信号(上り制御信号、上りデータ信号、上り参照信号など)に対して受信処理(例えば、デマッピング、復調、復号など)を行う。例えば、受信処理部303は、ユーザ端末20から送信されるメジャメント結果に対して受信処理(受信電力(RSRP)やチャネル状態についての測定など)を行う。より具体的には、受信処理部303は、ユーザ端末20から送信されるTAG毎のメジャメント結果に対して受信処理を行う(第1の態様)。また、受信処理部303は、ユーザ端末20から送信されるCC毎のメジャメント結果に対して受信処理を行う(第2の態様)。そして、受信処理部303は、受信処理後のメジャメント結果を制御部301に出力する。なお、受信処理部304は、本発明に係る技術分野で利用される信号処理器又は信号処理回路で構成することができる。
【0103】
図11は、本実施の形態に係るユーザ端末20の全体構成の一例を示す図である。図11に示すように、ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205と、を備えている。なお、送受信部203は、送信部及び受信部から構成されてもよい。
【0104】
複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号は、それぞれアンプ部202で増幅される。各送受信部203はアンプ部202で増幅された下り信号を受信する。送受信部203は、受信信号をベースバンド信号に周波数変換して、ベースバンド信号処理部204に出力する。送受信部203は、本発明に係る技術分野で利用されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置で構成することができる。
【0105】
ベースバンド信号処理部204は、入力されたベースバンド信号に対して、FFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などを行う。下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。また、下りリンクのデータのうち、報知情報もアプリケーション部205に転送される。
【0106】
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御の送信処理(例えば、HARQの送信処理)や、チャネル符号化、プリコーディング、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)処理、IFFT処理などが行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換して送信する。送受信部203で周波数変換された無線周波数信号は、アンプ部202により増幅され、送受信アンテナ201から送信される。
【0107】
送受信部203は、1つ以上のセルから構成されるTAGを設定する無線基地局との間で信号を送受信することができる。また、送受信部203は、1つ以上のセルから構成されるセルグループ(CG)をそれぞれ設定する複数の無線基地局との間で信号を送受信することができる。
【0108】
図12は、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204の主な機能構成図である。なお、図12においては、本実施の形態における特徴部分の機能ブロックを主に示しており、ユーザ端末20は、無線通信に必要な他の機能ブロックも有しているものとする。
【0109】
図12に示すように、ユーザ端末20は、受信処理部401と、測定部402と、送信信号生成部403と、を少なくとも含んで構成されている。
【0110】
受信処理部401は、無線基地局10から送信されるDL信号に対して、受信処理(例えば、デマッピング、復調、復号など)を行う。受信処理部401は、無線基地局10から送信されるTAGに含まれるCC情報を含む信号に対して受信処理を行う(第1、第2の態様)。例えば、受信処理部401は、無線基地局10から送信されるTAG内CCリスト(図5A図5B参照)を含む信号に対して受信処理を行う。また、受信処理部401は、TAG毎に異なるメジャメントギャップ構成を含む信号に対して受信処理を行う(第2の態様)。そして、受信処理部401は、受信処理後のCC情報(TAG内CCリスト)やTAG毎に異なるメジャメントギャップ構成を測定部402に出力する。なお、受信処理部401は、本発明に係る技術分野で利用される信号処理器又は信号処理回路で構成することができる。
【0111】
測定部402は、受信処理部401からCC情報(TAG内CCリスト)やTAG毎に異なるメジャメントギャップ構成を取得する。測定部402は、CC情報(TAG内CCリスト)に基づいてTAG毎にメジャメントを行う(第1の態様)。例えば、測定部402は、各TAGに含まれる特定のCCのメジャメントを行う。また、測定部402は、メジャメントギャップ構成で設定されるMGL、MGRP及びGOに応じて各TAGに含まれるCC毎にメジャメントを行う(第2の態様)。そして、測定部402は、TAG毎又は各TAGに含まれるCC毎のメジャメント結果を送信信号生成部403に出力する。なお、測定部402は、本発明に係る技術分野で利用される測定器又は測定回路で構成することができる。
【0112】
送信信号生成部403は、無線基地局10にメジャメントに関する情報を含む信号を生成する。例えば、測定部402から出力されたメジャメント結果を含む信号を生成する。送信信号生成部403は、TAG毎のメジャメント結果を含む信号を生成する(第1の態様)。この場合、送信信号生成部403は、各TAGに含まれる特定のCCの全てのメジャメント結果や最も特性の悪いメジャメント結果を含む信号を生成することができる。また、送信信号生成部403は、各TAGに含まれるCC毎のメジャメント結果を含む信号を生成する(第2の態様)。これらのメジャメント結果を含む信号は、送受信部203を介して無線基地局10に送信される。
【0113】
また、測定部402にて1回のメジャメント処理で複数のCCのメジャメントを一括的に行うことができる場合、送信信号生成部403は、一括的にメジャメント可能なCC数を含む信号を生成する(第1の態様)。このCC数を含む信号は、送受信部203を介して無線基地局10に送信される。なお、送信信号生成部403は、本発明に係る技術分野で利用される信号生成器又は信号生成回路で構成することができる。
【0114】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した2つ以上の装置を有線又は無線で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0115】
例えば、無線基地局10やユーザ端末20の各機能の一部又は全ては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを用いて実現されても良い。また、無線基地局10やユーザ端末20は、プロセッサ(CPU)と、ネットワーク接続用の通信インターフェースと、メモリと、プログラムを保持したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体と、を含むコンピュータ装置によって実現されてもよい。
【0116】
ここで、プロセッサやメモリなどは情報を通信するためのバスで接続される。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、CD−ROM、RAM、ハードディスクなどの記憶媒体である。また、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。また、無線基地局10やユーザ端末20は、入力キーなどの入力装置や、ディスプレイなどの出力装置を含んでいてもよい。
【0117】
無線基地局10及びユーザ端末20の機能構成は、上述のハードウェアによって実現されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実現されてもよいし、両者の組み合わせによって実現されてもよい。プロセッサは、オペレーティングシステムを動作させてユーザ端末の全体を制御する。また、プロセッサは、記憶媒体からプログラム、ソフトウェアモジュールやデータをメモリに読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。ここで、当該プログラムは、上記の各実施形態で説明した各動作を、コンピュータに実行させるプログラムであれば良い。例えば、無線基地局10の制御部301は、メモリに格納され、プロセッサで動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。
【0118】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。例えば、上述の各実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0119】
本出願は、2014年11月6日出願の特願2014−226467に基づく。この内容は、全てここに含めておく。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12