(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る仮囲いの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態は、工事領域と非工事領域とを相互に区画する仮囲いに関する。ここで、「工事領域」とは、工事の対象である領域であり、例えば建築物が施工される予定の敷地や施工中の敷地を含む。なお、工事領域の形状は任意であるが、以下では説明の便宜上、工事領域が平面視において正方形であり、工事領域の周囲を囲うように地面の上に仮囲いが設けられている場合について説明し、工事領域の四隅周辺の仮囲いを「仮囲いの角部」、工事領域の四辺周辺の仮囲い(仮囲いの角部以外の部分)を「仮囲いの平坦部」と称する。
【0017】
また、「非工事領域」とは、工事の対象でない領域であり、例えば工事領域の周囲の歩道や車道などを含む。なお、本実施の形態の「工事」の規模や種類は任意で、例えば建設工事に限らず水道工事なども含む。また、本実施の形態では、これらの工事領域や非工事領域に加えてさらに展示領域を備える。
【0018】
「展示領域」とは、展示対象物を展示するための領域であって、非工事領域から視認可能な領域である。ここで、展示対象物とは、美観の向上や、付加価値の付与(例えば、情報の提供)などを目的とするものであり、例えば、季節を感じさせる装飾(例えばクリスマス用の装飾)、工事に関する情報(施工中の建築物の完成予想図や模型)、近隣とのコミュニケーションを取るための情報(作業予定、近隣住民に向けたメッセージ情報)などでもよい。
【0019】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0020】
(構成)
図1は、本実施の形態に係る仮囲い1の角部周辺を示す斜視図、
図2は、仮囲い1の角部周辺を示す平面図である。これらの
図1、
図2に示すように、本実施の形態に係る仮囲い1は、下地材2、仮囲いパネル3、クリアパネル4、屋根パネル5、天井パネル6、膳板パネル7、背面パネル8を備えて構成されている。ここで、以下では、必要に応じて、各図における+X−X方向を「幅方向」と称し、特に+X方向を「右方向」、−X方向を「左方向」と称する。また、+Y−Y方向を「奥行き方向」と称し、特に+Y方向を「前方向」、−Y方向を「後方向」と称する。また、+Z−Z方向を「高さ方向」と称し、特に+Z方向を「上方向」、−Z方向を「下方向」と称する。また、XY平面上にあり、幅方向(+X−X方向)及び奥行き方向(+Y−Y方向)に45度の角度で交わる方向をそれぞれ+U−U方向、+V−V方向と称する。また、工事領域E1に近付く方を「内側」、非工事領域E2に近付く方を「外側」と称して説明する。なお、
図1や
図2では、仮囲い1の四隅の角部のうち一つのみを図示しているが、他の角部についても同様に構成できる。
【0021】
ここで、本実施の形態において、「工事領域」E1とは、仮囲いパネル3及び背面パネル8よりも
図1や
図2における後方側(−Y方向側)の空間を示す。また、「非工事領域」E2とは、仮囲いパネル3及びクリアパネル4よりも
図1や
図2における前方側(+Y方向側)の空間を示す。また、「展示領域」E3とは、天井パネル6、膳板パネル7、背面パネル8、及びクリアパネル4で囲われた空間を示す。また、屋根パネル5と天井パネル6の間の空間を、以下では必要に応じて「展示領域の上方空間」E4と称し、膳板パネル7と設置面の間の空間を、以下では必要に応じて「展示領域の下方空間」E5と称する。
【0022】
(構成−下地材)
下地材2は、仮囲い1の骨組みをなす部材であり、パネルが固定される固定手段である。この下地材2は、例えば本実施の形態では公知の単管を複数組み合わせて構成されており、工事領域E1の敷地の設置面に公知の鋼管杭や鋼材等で固定されている。なお、単管の必要本数や径などは、単管に接続される各パネルの重さや面積等に応じて適宜決定してよい。
【0023】
ここで、
図2に示すように、本実施の形態に係る下地材2は、概略的に、外周部固定単管21、背面パネル固定単管22、上方支持単管23、下方支持単管24を備える。外周部固定単管21は、仮囲いパネル3及びクリアパネル4を固定するための単管であり、複数配置されている。なお、
図1では図示の便宜上、+U−U方向に沿う3つの単管と、+V−V方向に沿う3つの単管のみを図示しているが、これらに限らず、実際には上下(+Z−Z方向)に沿う単管を設けてもよい。これらの図示した外周部固定単管21は、仮囲いパネル3に沿って配置される主な部分と、クリアパネル4に沿って配置される突出部分(展示領域の上方空間E4に至るように突出している部分や、展示領域の下方空間E5に至るように突出している部分)を含む。そして、主な部分は仮囲いパネル3を支持しており、突出部分はそれぞれクリアパネル4を支持している。なお、本実施の形態では、主な部分と突出部分とを一つの単管として一体形成しているが、これらを相互に異なる部材で段違いに設置しても構わない。背面パネル固定単管22は、背面パネル8を固定するための単管であり、背面パネル8に沿って配置される。上方支持単管23は、天井パネル6を上方から支持する上方支持材であり、展示領域の上方空間E4に位置しており、その端部にて外周部固定単管21に接続されている。また、上方支持単管23は、天井パネル6だけでなく、屋根パネル5を支持してもよい。下方支持単管24は、床パネル7を下方から支持する下方支持材であり、展示領域の下方空間E5に位置しており、その端部にて外周部固定単管21に接続されている。なお、下地材2による各パネルの具体的な支持方法は任意で、例えば単管に取り付けた公知のJフック32に、パネルを引っ掛けてもよい。
【0024】
(構成−仮囲いパネル)
仮囲いパネル3は、工事領域E1と非工事領域E2とを区画する区画手段である。この仮囲いパネル3は、本実施の形態では、仮囲い1の平坦部に、工事領域E1の周縁に沿って複数枚並設されている。なお、仮囲いパネル3の素材は、例えば工事領域E1が視認できないような不透過性の素材が好ましいが、このような素材に限らない。この仮囲いパネル3の両端部には折曲部31が形成されている。そして、各仮囲いパネル3の折曲部31を、隣接する他の仮囲いパネル3の折曲部31に合わせた状態で、これらの折曲部31をジョイント金具(図示省略)等でつなぐことで、仮囲いパネル3同士を接続できる。また、下地材2である単管に取り付けられたJフック32を当該折曲部31に引っ掛けることで、下地材2に仮囲いパネル3を容易に取り付けることができる。なお、上述したような仮囲いパネル3同士の接続方法や、仮囲いパネル3を下地材2に取り付ける方法は一例に過ぎず、これに限定されない。
【0025】
(構成−クリアパネル)
クリアパネル4は、展示領域E3と非工事領域E2とを相互に区画する展示区画材である。このクリアパネル4は、仮囲い1の角部に設けられており、本実施の形態では
図2に示すように弧を描くように折り曲げられた形状をしている。ここで、
図3は、右クリアパネル41を示す図であって、
図3(a)は平面図、
図3(b)は側面図である。
図4は、左クリアパネル42を示す図であって、
図4(a)は平面図、
図4(b)は側面図である。これらの
図3、
図4に示すように、クリアパネル4は、概略的に、右クリアパネル41と左クリアパネル42を備えている。なお、これらはいずれも左右対称に形成できるので、以下では右クリアパネル41のみについて説明し、このクリアパネル4の構成の説明において、特記しない限り「クリアパネル」4とは「右クリアパネル」41を指す。
【0026】
ここで、クリアパネル4は、概略的に、上Lアングル43、下Lアングル44、Jフック留め用金具45、上方目隠しシート46、下方目隠しシート47、側方目隠しシート48、及び接合部49を備えている。
【0027】
上Lアングル43は、屋根パネル5を載置するための屋根パネル載置手段である。具体的には、この上Lアングル43は、クリアパネル4の上端にリベット等で取り付けられた公知のLアングルであり、一方の面が鉛直面に沿うように、かつ、他方の面が水平面に沿うように配置され、このうち水平面に沿う面の上に屋根パネル5が載置されて取り付けられる。下Lアングル44は、膳板パネル7を載置するための膳板パネル載置手段である。具体的には、この下Lアングル44は、クリアパネル4における下方目隠しシート47の上端付近にリベット等で取り付けられた公知のLアングルであり、一方の面が鉛直面に沿うように、かつ、他方の面が水平面に沿うように配置され、このうち水平面に沿う面の上に膳板パネル7が載置されて取り付けられる。
【0028】
Jフック留め用金具45は、クリアパネル4の上端付近及び下端付近に取り付けられた複数の鉛直部材であり、単管に取り付けられたJフック32を当該Jフック留め用金具45に引っ掛けることで、クリアパネル4を単管に固定できる。
【0029】
上方目隠しシート46は、展示領域の上方空間E4が非工事領域E2から視認できないように目隠しするための上方目隠し手段であって、クリアパネル4の上部(展示領域の上方空間E4に対応する位置)の外側あるいは内側(又はこれらの両方でもよい)に張り付けられている不透明のシートである。下方目隠しシート47は、展示領域の下方空間E5が非工事領域E2から視認できないように目隠しするための下方目隠し手段であって、クリアパネル4の下部(展示領域の下方空間E5に対応する位置)の外側あるいは内側(又はこれらの両方でもよい)に張り付けられている不透明のシートである。側方目隠しシート48は、背面パネル8と仮囲いパネル3との隙間を非工事領域E2から視認できないように目隠しするための目隠し手段であって、各クリアパネル4の水平方向端部(接合部49と反対側の端部)付近に、上下方向に沿って外側あるいは内側(又はこれらの両方でもよい)に張り付けられている不透明のシートである。このように、目隠しシートをクリアパネル4に張り付けることで、下地材2などが非工事領域E2から視認できてしまい美観を損なってしまうことを防止できる。なお、各目隠しシートは、例えば仮囲いパネル3と同一色とすることで仮囲いパネル3と一体感を持たせることができる。
【0030】
接合部49は、右クリアパネル41と左クリアパネル42とを相互に接合するための接合手段である。具体的には、クリアパネル4の側端部における展示領域E3側に向けて折り曲げられた部分であり、右クリアパネル41の接合部49と左クリアパネル42の接合部49とを合わせた状態で、これらをボルト等で相互に接合することにより、右クリアパネル41と左クリアパネル42とを相互に接合できる。なお、本実施の形態ではこのように右クリアパネル41と左クリアパネル42とを現場で接合するが、これらを予め一体の部材として形成しても構わない。
【0031】
(構成−屋根パネル)
屋根パネル5は、仮囲い1の角部における屋根部分に設けられる屋根部材である。
図5は、屋根パネル5を示す図であって、
図5(a)は平面図、
図5(b)は側面図である。この
図5に示すように、屋根パネル5は展示領域E3の形状に適合する略直角三角形状の平板であって、積雪等に耐えうる充分な強度を有し、雨天時等に展示領域E3に雨水が浸入してしまうことを防止する。この屋根パネル5には、図示のように外周部に沿って複数のボルト用孔51、52が設けられている。このボルト用孔51の位置は、クリアパネル4に取り付けられた上Lアングル43の位置と対応しており、また、ボルト用孔52の位置は、背面パネル8の上端に取り付けられたLアングル88(後述する)の位置と対応しており、屋根パネル5を上Lアングル43及びLアングル88に載せた状態で、ボルト用孔51及び上Lアングル43を介してボルトを挿通すると共に、ボルト用孔52及びLアングル88を介してボルトを挿通することで、屋根パネル5を取り付けることができる。
【0032】
(構成−天井パネル)
天井パネル6は、展示領域E3の上端に位置する上面材である。
図6は、天井パネル6を示す図であって、
図6(a)は平面図、
図6(b)は側面図である。この
図6に示すように、この天井パネル6は、屋根パネル5より下方に配置されており、展示領域E3の上端を塞いでいる、展示領域E3の形状に適合する略直角三角形状の平板である。この天井パネル6により、非工事領域E2から、展示領域の上方空間E4が見えなくなり、美観が向上する。なお、天井パネル6の取付方法は任意であるが、本実施の形態では展示領域の上方空間E4に位置する上方支持単管23が天井パネル6を上方から支持しており、具体的には、上方支持単管23に対して天井パネル6を吊り下げて取り付けている。ただし、このような取付方法に限らず、例えば、クリアパネル4に図示しないLアングルを取り付けて、このLアングルに天井パネル6を載置してもよい。なお、天井パネル6のコーナーの部分(仮囲い1の角部に対応する部分)には、クリアパネル4の接合部49が収まる切り欠き61が設けられている。
【0033】
ここで、天井パネル6には、展示対象物を吊るして展示できるような工夫を施してもよく、例えば天井パネル6に吊るす用のフックを取り付けてもよいし、
図6に示すように天井パネル6を細かいメッシュ状に形成し、このメッシュにフックを引っ掛けて吊るしてもよい。なお、天井パネル6をメッシュ状とする場合には、非工事領域E2から展示領域の上方空間E4が見えないように、メッシュ網目幅を調整することが好ましい。
【0034】
(構成−床パネル)
膳板パネル7は、展示領域E3の下端に位置する下面材である。
図7は、膳板パネル7を示す図であって、
図7(a)は平面図、
図7(b)は側面図である。この
図7に示すように、膳板パネル7は展示領域E3の形状に適合する略直角三角形状の平板であって、展示対象物を載置可能な程度の充分な強度を有する。ここで、この膳板パネル7は、展示領域E3の下端に配置されているため、展示領域の下方空間E5が非工事領域E2から視認不可能となり美観が向上する。なお、膳板パネル7のコーナーの部分(仮囲い1の角部に対応する部分)には、クリアパネル4の接合部49が収まる切り欠き71が設けられている。
【0035】
(構成−背面パネル)
背面パネル8は、工事領域E1と展示領域E3とを区画する背面材である。この背面パネル8は、展示領域E3、展示領域の上方空間E4、及び展示領域の下方空間E5(以下、展示領域E3等)を後方から覆うように上下方向に通しで配置されている。
図8は、背面パネル8を示す正面図であって、
図8(a)は左背面パネル81、
図8(b)は中央背面パネル82、
図8(c)は右背面パネル83を示している。この
図8に示すように、この背面パネル8は、左背面パネル81、中央背面パネル82、及び右背面パネル83を備えている。
【0036】
左背面パネル81は、展示領域E3等の後方における左方に配置されており、正面視において略長方形上の平板である。この左背面パネル81の上端には上切り欠き84が形成され、下端には下切り欠き85が形成されている。この上切り欠き84は、左背面パネル81が、天井パネル6を吊り下げるための下地材2(上方支持単管23)と干渉しないようにするための切り欠きであり、下切り欠き85は、左背面パネル81が、膳板パネル7を取り付けるための下地材2(下方支持単管24)と干渉しないようにするための切り欠きである。下地材2にクリアパネル4を固定した後、上切り欠き84及び下切り欠き85における下地材2との隙間を遮蔽板84a、85aで塞いで、雨天時等に展示領域E3に雨水が浸入してしまうことを防止する。この遮蔽板84a、85aは、それぞれ上切り欠き84及び下切り欠き85より一回り大きい長板であり、上切り欠き84、下切り欠き85の後方から覆うように当てられて、例えばマジックテープ(登録商標)等により取り付けられている。
【0037】
中央背面パネル82は、展示領域E3等の後方における中央に配置されており、正面視において略長方形上の平板である。この中央背面パネル82の上下方向略中央部には、開口部86が設けられている。この開口部86は、展示領域E3と工事領域E1を空間的に連通させるための開口であり、上下2か所に形成されており、いずれも長方形状である。ただし、開口部86の数や形状はこれに限らない。工事領域E1からこの開口部86を介して展示領域E3にアクセスでき、展示領域E3に容易に展示対象物を設置できる。
【0038】
ここで、開口部86の後方には遮蔽板87が設けられている。この遮蔽板87は、開口部86を開閉する開閉手段である。この遮蔽板87は、開口部86より一回り大きい長板であり、開口部86の後方から開口部86を覆うように当てられて、例えばマジックテープ(登録商標)等により取り付けられている。したがって、展示対象物を配置する際は遮蔽板87を外し、配置が終えたら遮蔽板87を取り付けることで、開口部86を塞ぐことができる。なお、遮蔽板87の取り付け方法はマジックテープ(登録商標)に限らず、例えばヒンジ等で中央背面パネル82に回動可能に取り付けてもよい。または、背面パネル8自体を着脱式または回動式の開閉手段としてもよい。また、開閉手段は中央背面パネル82だけでなく、左背面パネル81や右背面パネル83、又はこれらのいずれか2つ以上のパネルに設けても構わない。
【0039】
右背面パネル83は、展示領域E3等の後方における右方に配置されており、正面視において略長方形上の平板である。なお、右背面パネル83は、左背面パネル81と左右対称に形成できるので、詳細な説明を省略する。なお、本実施の形態ではこのように背面パネル8を左背面パネル81、中央背面パネル82、及び右背面パネル83に3分割して構成したが、これらを一体形成しても構わない。また、各背面パネル8の上端にはLアングル88が設けられており、これらのLアングル88の上面には屋根パネル5が載置されて取り付けられている。
【0040】
(作用)
続いて、本実施の形態に係る仮囲い1の作用について、
図2を適宜参照して説明する。まず、本実施の形態に係る仮囲い1は、上述した遮蔽板87を取り外して展示領域E3の内部にアクセスすることで展示領域E3に展示対象物を配置でき、仮囲い1の美観が向上する。なお、展示対象物として工事中の建築物の完成予想図や模型等を設置すれば、情報提供による近隣住民に対する工事への理解も促進する。なお、展示対象物の形状、大きさ、素材は、後述するような展示領域E3を介する視界の確保を考慮した上で決めることが好ましく、例えば展示対象物が展示領域E3の全領域を覆う程度に大きいと視界を確保できない可能性があり好ましくない。
【0041】
また、本実施の形態に係る仮囲い1は、展示領域E3を、仮囲い1の角部の位置に、仮囲い1に沿った非工事領域E2の見通しを確保可能となるように設けている。ここで、「仮囲い1に沿った非工事領域E2の見通し」とは、非工事領域E2における仮囲い1沿いにある一の地点から他の地点への見通しであり、例えば
図2に示すように、展示領域E3の左方の仮囲いパネル3付近の地点P1から、右方の仮囲いパネル3付近の地点P2への見通しである。本実施の形態では、展示領域E3と非工事領域E2とを区画しているものが透過性の高いクリアパネル4であるため、展示領域E3越しに地点P1と地点P2との相互間の視界を確保できている。したがって、地点P1に居る人は地点P2に居る人や車両を視認可能であり、同様に、地点P2に居る人は地点P1に居る人や車両を視認可能であり、交通災害を防止できる。また、展示領域E3に展示対象物が在る場合、地点P1に居る人の視点を展示領域E3の方(すなわち、地点P2がある方)に向けることができ、同様に、地点P2に居る人の視点を展示領域E3の方(すなわち、地点P1がある方)に向けることができ、展示領域E3を挟んで向こう側にいる人や車両の存在にも気付き易くなる。
【0042】
なお、視界確保の必要性が低い箇所(例えば、クリアパネル4の天井パネル6付近や膳板パネル7付近)には、見通しを低下させる構成を採用してもよい。例えば、クリアパネル4の天井パネル6付近に、美観を向上させる半透明のシールなどを貼り付けてもよい。
【0043】
(実施の形態の効果)
このように、本実施の形態の仮囲い1によれば、仮囲い1に沿った見通しを確保しつつ、展示領域E3を備えるので、歩行者や車両の見通し確保により交通災害を防止でき、かつ展示による美観の向上を図ることができると共に、展示領域E3に展示対象物を配置することで付加価値を得ることができる。
【0044】
また、クリアパネル4が透過性を有するので、クリアパネル4及び展示領域E3を介して、展示領域E3を挟む2地点間(地点P1及び地点P2間)の見通しを好適に確保できる。
【0045】
また、背面パネル8に開口部86を備えるので、工事領域E1から展示領域E3にアクセス可能となり、展示対象物の搬出や搬入を容易に行うことができる。
【0046】
また、膳板パネル7を下方から支持する下方支持単管24と、天井パネル6を上方から支持する上方支持単管23を備えるので、下方支持単管24及び上方支持単管23がそれぞれ膳板パネル7及び天井パネル6によって展示領域E3側に露出せず、全体的な美観が向上する。
【0047】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0048】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0049】
(寸法や材料について)
発明の詳細な説明や図面で説明した仮囲い1の各部の寸法、形状、材料、比率等は、あくまで例示であり、その他の任意の寸法、形状、材料、比率等とすることができる。
【0050】
(展示領域について)
本実施の形態では、展示領域E3を仮囲い1の直角の角部に配置したが、これに限らない。
図9は、第1の変形例に係る仮囲い100の角部周辺を示す平面図である。この
図9に示すように、展示領域E3を鈍角の角部に配置しても構わない。この場合でも、実施の形態と同様に、地点P1、P2間の見通しを確保できる。なお、図示は省略するが展示領域E3を鋭角の角部に配置しても当然構わない。また、
図10は、第2の変形例に係る仮囲い200の平坦部を示す平面図である。この
図10に示すように、展示領域E3を仮囲い200の平坦部に配置しても構わない。この場合には、地点P1、P2間に見通しを阻害する部材が存在しないので、地点P1、P2間の見通しを確保できる。
【0051】
(視界の確保について)
本実施の形態では、クリアパネル4を設けることにより、展示領域E3を、仮囲い1に沿った非工事領域E2の見通しを確保したが、これに限らない。
図11は、第3の変形例に係る仮囲い300の角部周辺を示す平面図である。この第3の変形例に係る仮囲い300は、右カメラ310、左カメラ320、右ディスプレイ330、左ディスプレイ340を備える。右カメラ310は、仮囲い300の角部の右方に配置されており、仮囲い300の角部の右方を撮影する右方撮影手段である。左カメラ320は、仮囲い300の角部の左方に配置されており、仮囲い300の角部の左方を撮影する左方撮影手段である。右ディスプレイ330は、展示領域E3(当該第3の変形例では、仮囲いパネル3の表面)に配置される展示対象物であって、左カメラ320にて撮影された映像を表示する左表示手段である。左ディスプレイ340は、展示領域E3に配置される展示対象物であって、右カメラ310にて撮影された映像を表示する右表示手段である。なお、右ディスプレイ330や左ディスプレイ340は、仮囲いパネル3に掛けられていてもよいし、仮囲いパネル3に設けられた開口に埋め込まれていてもよい。
【0052】
このように第3の変形例では、ディスプレイ及びカメラを使用することにより、仮囲い300に沿った非工事領域E2の見通しを確保する。すなわち、右ディスプレイ330には左カメラ320で撮影されている映像が表示されるので、地点P2に居る人は、この右ディスプレイ330を見ることで、地点P1に居る人や車両を視認可能であり、交通災害を防止できる。同様に、左ディスプレイ340には右カメラ310で撮影されている映像が表示されるので、地点P1に居る人は、この左ディスプレイ340を見ることで、地点P2に居る人や車両を視認可能であり、交通災害を防止できる。また、各ディスプレイは、展示対象物としても機能する。すなわち、ディスプレイの一部に撮影映像を表示すると共に、ディスプレイのその他の部分に撮影映像以外のもの(例えば、上述したような季節を感じさせるものや、工事に関する情報など)を表示することにより、ディスプレイが展示対象物としても機能する。
【0053】
(付記)
付記1の仮囲いは、工事の対象である工事領域と、前記工事の対象でない非工事領域とを相互に区画する仮囲いであり、前記非工事領域から視認可能な展示領域を備え、前記展示領域を、仮囲いの角部、又は仮囲いの平坦部の位置に、仮囲いに沿った前記非工事領域の見通しを確保可能となるように設けた。
【0054】
付記2の仮囲いは、付記1に記載の仮囲いにおいて、前記展示領域と前記非工事領域とを相互に区画する展示区画材を備え、前記展示区画材が透過性を有することにより、当該展示区画材及び展示領域を介して、仮囲いに沿った前記非工事領域の見通しを確保可能とした。
【0055】
付記3の仮囲いは、付記1又は2に記載の仮囲いにおいて、前記工事領域と前記展示領域とを区画する背面材であって、開閉手段を有する背面材を備える。
【0056】
付記4の仮囲いは、付記1から3のいずれか一項に記載の仮囲いにおいて、前記展示領域の下端に位置する下面材と、前記展示領域の上端に位置する上面材と、前記下面材を下方から支持する下方支持材と、前記上面材を上方から支持する上方支持材と、を備える。
【0057】
(付記の効果)
付記1に記載の仮囲いによれば、仮囲いに沿った見通しを確保しつつ、展示領域を備えるので、歩行者や車両の見通し確保により交通災害を防止でき、かつ展示による美観の向上を図ることができると共に、展示領域に展示対象物を配置することで付加価値を得ることができる。
【0058】
付記2に記載の仮囲いによれば、展示区画材が透過性を有するので、展示区画材及び展示領域を介して、展示領域を挟む2地点間の見通しを好適に確保できる。
【0059】
付記3に記載の仮囲いによれば、背面材に開閉手段を備えるので、工事領域から展示領域にアクセス可能となり、展示対象物の搬出や搬入を容易に行うことができる。
【0060】
付記4に記載の仮囲いによれば、下面材を下方から支持する下方支持材と、上面材を上方から支持する上方支持材を備えるので、下方支持材及び上方支持材がそれぞれ下面材及び上面材によって展示領域側に露出せず、全体的な美観が向上する。