【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、プランジャを開始位置から目標位置まで変位させるために必要となる駆動力が、特定の閾値を超えないかをチェックすることによって達成される。
【0011】
したがって、本発明は、シリンダと、シリンダ内で可動であるモータ駆動プランジャとを含み、このプランジャは、開始位置と目標位置との間で変位可能である、計量ポンプの機能性をチェックする方法に関する。この方法は:
a)プランジャを、予め設定された駆動力F0を用いて、開始位置から目標位置の方向に変位させる工程と;
b)プランジャが目標位置に到達したかを監視する工程と;
c)プランジャを、予め設定された駆動力F2を用いて、開始位置に戻す工程であって、駆動力F0は駆動力F2未満である、工程と;
を含み、ここで、
d)プランジャが目標位置に到達したと判定された場合、計量ポンプに割り当てられる信号が生成され、前記信号は、計量ポンプの機能性を示し;
e)プランジャが目標位置に到達していないと判定された場合、工程a)からc)が、値nだけ増大させた駆動力F0+nを用いて繰り返され、駆動力F0+nは駆動力F2未満である。
【0012】
「プランジャの開始位置」と、「プランジャの目標位置」とは、プランジャがシリンダ内を移動する最大直線行程に沿った2つの異なる位置を意味し、目標位置はシリンダの出口開口部付近に位置し、そこに対して、開始位置はシリンダの出口開口部から離れて位置していることを理解されたい。開始位置および目標位置はどちらも、例えば、シリンダの一端部または他方の端部にあるプランジャ止め具によって機械的に固定することができる。
【0013】
あるいは、開始位置および/または目標位置はまた、行程に沿って任意に設定してもよい。
【0014】
好ましくは、駆動力F0、駆動力F2、および駆動力F0を数回増大させることができる値nは、計量ポンプの起動前に設定される。
【0015】
便宜上、駆動力F2は、動作予定のポンプのプランジャが目標位置から開始位置に確実に戻るよう変位させるように選択される。
【0016】
この場合、駆動力F0は、駆動力F2よりも小さくなるように選択される。
【0017】
好ましくは、駆動力F0は、駆動力F2の約半分に相当する。
【0018】
駆動力F0を数回増大させることができる駆動力の値nは、駆動力F0の数分の一、例えば駆動力F0の10〜30%に相当する。
【0019】
例として、プランジャが目標位置に到達したかについての監視は、開始位置と目標位置との間で画成された行程が事実上克服されたか、規定数のステップをステッパモータなどによって実行することができたかなどについて、適切なセンサ、例えばステッパモータのエンコーダを用いて測定することによって実行することができる。
【0020】
本方法によって、プランジャが、駆動力F0を用いてすでに目標位置に到達したと判定された場合、計量ポンプに割り当てられる信号が生成され、前記信号は、計量ポンプの機能性を示す。その後、計量ポンプを、初めて起動させる、または動作させ続けることができ、機能性に制約が生じることが予想されることはない。
【0021】
しかし、プランジャが目標位置に到達していないと判定された場合、工程a)からc)が、値nだけ増大させた駆動力F0+nを用いて繰り返され、この駆動力F0+nは常に駆動力F2未満である。工程a)からc)は、プランジャが目標位置に到達し、かつこのために必要となる駆動力F0+xnが、駆動力F2未満の予め設定された最大駆動力F1を超えていないと判定されるまで、または予め設定された最大駆動力F1を用いても、プランジャが目標位置に到達しないと判定されるまで繰り返される。
【0022】
次いで、必要となる駆動力F0+xnが、予め設定された最大駆動力F1を超えていないと判定された場合、計量ポンプに割り当てられ計量ポンプの機能性を示す信号が生成される。その後、計量ポンプを、初めて起動させる、または動作させ続けることができ、機能性に制約が生じることが予想されることはない。
【0023】
一方、プランジャが、予め設定された最大駆動力F1を用いても目標位置に到達しないと判定された場合、計量ポンプに割り当てられる取換え信号が生成される。取換え信号はユーザに送られ、ユーザは、その後関連した計量ポンプの取換え、または保守を早めに行うことができる。
【0024】
本発明による、計量ポンプを動作させる方法の特に好ましい実施形態では、駆動力F2と、駆動力F0またはF0+xnとの比は、計量ポンプのパワーリザーブ(power reserve)の品質判定基準として決定される。プランジャが目標位置に到達するために必要となる駆動力F0またはF0+xnが駆動力F2の80%を超える場合、詰り(jamming)のリスクが高くなりすぎ、したがって計量ポンプを取り換えなければならないことが見出された。したがって、好ましくは、計量ポンプに割り当てられる取換え信号は、プランジャが目標位置に到達するために必要となる駆動力F0またはF0+xnが駆動力F2の80%を超える場合に生成される。言い換えれば、予め設定される最大駆動力F1は、好ましくは駆動力F2の80%である。
【0025】
あるいは、駆動力F2、およびプランジャが目標位置に到達するために必要となる駆動力F0またはF0+xnの商(Q1)を求めることも可能である。F2:F0またはF0+xnの商が1.25未満である場合、計量ポンプに割り当てられる取換え信号が生成される。
【0026】
さらなる実施形態では、プランジャが、予め設定された最大駆動力F1を用いても目標位置に到達しない場合、計量ポンプはさらに動作不能にされる。これによって、エラーを生じる可能性のある計量プロセス、または詰りの結果ポンプが制御不能になり停止し得るということが確実になくなる。
【0027】
本発明のさらなる主題は、計量ポンプを動作させる方法に関し、この方法では、計量ポンプの機能性が、上述の本発明の方法によって、計量ポンプの起動前に試験され、計量ポンプに割り当てられ計量ポンプの機能性を示す信号が生成された場合、計量ポンプの起動後、プランジャは、開始位置から目標位置の方向に動き、駆動力F2を用いて再び戻る。
【0028】
本発明のさらなる主題は、シリンダと、シリンダ内で可動であるプランジャと、モータとを含む計量ポンプに関し、この計量ポンプでは、駆動力をモータからプランジャに伝達可能であり、その結果、プランジャは開始位置と目標位置との間で変位可能になる。計量ポンプは、計量ポンプを動作させる方法を制御するように構成された制御デバイスをさらに有し、
前記方法は:
a)プランジャを、予め設定された駆動力F0を用いて、開始位置から目標位置の方向に変位させる工程と;
b)プランジャが目標位置に到達したかを監視する工程と;
c)プランジャを、予め設定された駆動力F2を用いて、開始位置に戻す工程であって、駆動力F0は駆動力F2未満である、工程と;
を含み、ここで、
d)プランジャが目標位置に到達したと判定された場合、計量ポンプに割り当てられる信号が生成され、前記信号は、計量ポンプの機能性を示し;
e)プランジャが目標位置に到達していないと判定された場合、工程a)からc)が、値nだけ増大させた駆動力F0+nを用いて繰り返され、駆動力F0+nは駆動力F2未満である。
【0029】
プランジャを駆動するためのモータは、電気モータでよい。好ましくは、このモータは、電気ステッパモータであり、特に好ましくは位置を報告するセンサ(エンコーダ)、および調節器を有する、ステッパモータである。ステッパモータは、駆動力F0、F0+n、およびF2を生成するように、異なる電流値で動作する。
【0030】
好ましい実施形態では、制御デバイスは、工程a)からc)が、工程e)において、値xnだけ順次増大させた駆動力F0+xnを用いて繰り返され、前記駆動力は、駆動力F2未満であり、工程a)からc)は、
i)プランジャが目標位置に到達し、かつこのために必要となる駆動力F0+xnが、駆動力F2未満の予め設定された最大駆動力F1を超えていないと判定されるまで繰り返され、その後、計量ポンプに割り当てられ計量ポンプの機能性を示す信号が生成され;または
ii)予め設定された最大駆動力F1を用いても、プランジャが目標位置に到達しないと判定されるまで繰り返され、その後、計量ポンプに割り当てられる取換え信号が生成される
ように、さらに制御するようにさらに構成される。
【0031】
さらに、制御デバイスは、予め設定された最大駆動力F1を用いても、プランジャが目標位置に到達しない場合、計量ポンプが動作不能にされるようにさらに制御するようにさらに構成することができる。
【0032】
好ましくは、本発明による計量ポンプの制御デバイスは、予め設定された駆動力F2、予め設定された駆動力F0、駆動力F0を増大させるための値n、および/または予め設定された最大駆動力F1が記憶される記憶ユニットを含む。「予め設定された」という文言は、計量ポンプの起動前に、適切な一連の試験によって特性が確認されたことを意味する。
【0033】
本発明のさらなる主題は、本発明による計量ポンプを含む少なくとも1つのピペット装置を含む自動分析機に関する。この分析機は、複数のかかるピペット装置を含むことができ、例えば血液、血漿、血清、尿、体液などのサンプル液を移送するための第1のピペット装置、および例えば緩衝液、抗体溶液、抗原溶液などの試薬液を移送するための第2のピペット装置を例えば含むことができる。
【0034】
ピペット装置は、水平方向に変位可能または旋回可能な、自動可動式の移送アームに固締することができる。ピペット装置は、中空ニードルを含み、それによって移送予定の液体体積を吸入し、異なる位置で再度放出することができる。この目的で、ピペットニードルは、管系を介して本発明による計量ポンプに連結されている。
【0035】
好ましくは、自動分析機は、計量ポンプの制御デバイスによって生成された、計量ポンプの機能性を示す信号、および/または取換え信号を視覚的かつ/または聴覚的に知覚可能な信号に変換し、その信号を示す出力媒体をさらに含む。例として、出力媒体は、計量ポンプの制御デバイスによって生成された取換え信号を視覚的かつ/または聴覚的に知覚可能な信号に変換し、その信号を示す画面、警告ランプ、またはスピーカでよい。例として、取換え信号は、自動分析機の画面上に、テキストメッセージの形で、または絵文字(pictogram)の形で示すことができ、または自動分析機のスピーカによって音響信号の形で出力してもよく、または自動分析機の警告ランプによる視覚信号の形で出力してもよい。
【0036】
以下、本発明について図面に基づいて説明する。