(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の外部電極は、前記長辺に平行な方向における前記第1のフランジの一方の端部に設けられ、前記第2の外部電極は、前記長辺に平行な方向における前記第1のフランジの他方の端部に設けられる、請求項2に記載のコイル部品。
前記第1の外部電極は、前記第1のフランジの一方の端部から前記第2のフランジの一方の端部まで延伸しており、前記第2の外部電極は、前記第1のフランジの他方の端部から前記第2のフランジの他方の端部まで延伸している、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコイル部品。
前記巻芯は、その外周と前記第1のフランジとの間隔が、前記コイル部品の高さ方向と幅方向とで等しくなるように形成されている、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のコイル部品。
前記第1のフランジ及び前記第2のフランジは、前記主面に垂直な方向における厚さが前記巻芯の軸芯に平行な方向における厚さよりも厚くなるように構成された、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のコイル部品。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態によるコイル部品を示す斜視図、
図2はその正面図、
図3はその右側面図、
図4はその底面図、
図5は
図2のコイル部品をI-I線を通る面で切断した断面図である。
【0024】
図示した実施形態のコイル部品1は、第1のランド部3a及び第2のランド部3bを介して回路基板2に実装されている。このコイル部品1は、例えば、電子回路においてノイズを除去するために用いられるインダクタである。コイル部品1は、電源ラインに組み込まれるパワーインダクタであってもよいし、信号ラインにおいて用いられるインダクタであってもよい。
【0025】
図1には、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向が示されている。本明細書においては、
図1に示されているX方向、Y方向、及びZ方向を基準としてコイル部品1の構成部材の向きや配置を説明することがある。具体的には、巻芯11の軸芯Aが延びる方向をY方向とし、巻芯11の軸芯Aに垂直で且つ回路基板2の実装面に平行な方向をX方向とする。また、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。本明細書においては、X方向をコイル部品1の長さ方向、Y方向をコイル部品1の幅方向、Z方向をコイル部品1の高さ方向ということがある。
【0026】
本発明の一実施形態によるコイル部品1は、直方体形状に形成される。コイル部品1は、第1の端面1a、第2の端面1b、第1の主面1c(上面1c)、第2の主面1d(底面1d)、第1の側面1e、及び第2の側面1fを有する。より具体的には、第1の端面1aは、コイル部品1のX軸マイナス方向の端面であり、第2の端面1bは、コイル部品1のX軸プラス方向の端面であり、第1の主面1cは、コイル部品1のZ軸プラス方向の端面であり、第2の主面1dは、コイル部品1のZ軸マイナス方向の端面であり、第1の側面1eは、コイル部品1のY軸プラス方向の端面であり、第2の側面1fは、コイル部品1のY軸マイナス方向の端面である。
【0027】
コイル部品1の第1の端面1a、第2の端面1b、第1の主面1c、第2の主面1d、第1の側面1e、及び第2の側面1fはいずれも、平坦な平面であってもよいし湾曲した湾曲面であってもよい。また、コイル部品1の8つの角部は、丸みを有していてもよい。このように、本明細書においては、コイル部品1の第1の端面1a、第2の端面1b、第1の主面1c、第2の主面1d、第1の側面1e、及び第2の側面1fの一部が湾曲している場合や、コイル部品1の角部が丸みを有している場合にも、かかる形状を「直方体形状」と称することがある。つまり、本明細書において「直方体」又は「直方体形状」というときには、数学的に厳密な意味での「直方体」を意味するものではない。
【0028】
図示のように、コイル部品1は、ドラムコア10と、巻線20と、第1の外部電極30aと、第2の外部電極30bと、樹脂部40とを備えている。
【0029】
ドラムコア10は、回路基板2の実装面と平行な方向に延びる巻芯11と、当該巻芯11の一方の端部に設けられた直方体形状のフランジ12aと、当該巻芯11の他方の端部に設けられた直方体形状のフランジ12bとを有する。よって、巻芯11は、フランジ12aとフランジ12bとを連結している。フランジ12aとフランジ12bとは、その内面同士が互いと対向するように配置される。フランジ12a及びフランジ12bの内面及び外面並びに当該内面と外面とを接続する4つの面はいずれも、平坦な平面であってもよいし湾曲した湾曲面であってもよい。また、8つの角部は、丸みを有していてもよい。このように、本明細書においては、フランジ12a及びフランジ12bが湾曲した面を有する場合や、その角部が丸みを有している場合にも、かかる形状を「直方体形状」と称することがある。つまり、本明細書において「直方体」又は「直方体形状」というときには、数学的に厳密な意味での「直方体」を意味するものではない。
【0030】
フランジ12aの内面と対向するように配置された外面、及び、フランジ12bの内面と対向するように配置された外面はいずれも、コイル部品1の外表面の一部を構成する。フランジ12a及びフランジ12bは、樹脂部40でその一部又は全部が覆われていてもよい。この場合には、樹脂部40の外表面がコイル部品の外表面の一部を構成することになる。
【0031】
フランジ12a及びフランジ12bは、その内面及び外面が巻芯11の軸芯Aに対して垂直な方向に延伸するように構成される。本明細書において、「垂直」、「直交」、及び「平行」という用語を使用するときには、数学的に厳密な意味で使用するものではない。例えば、フランジ12aの内面が巻芯11の軸芯Aと垂直な方向に延伸するという場合、フランジ12aの外面と巻芯11の軸芯Aとが為す角度は、90°であってもよいが概ね90°であればよい。概ね90°の角度の範囲には、70°〜110°、75°〜105°、80°〜100°、又は85°〜95°の範囲内の任意の角度が含まれうる。「平行」、「直交」及びこれら以外の本明細書に含まれる数学的に厳密に解釈し得る用語についても、同様に、本発明の趣旨、文脈、及び技術常識を考慮して、厳密な数学の意味よりも幅を持った解釈を取り得る。
【0032】
本発明に適用可能なフランジ12a及びフランジ12bの形状は直方体形状に限られず、フランジ12a及びフランジ12bは様々な形状に形成され得る。一実施形態においては、フランジ12a及びフランジ12bの一方又は両方の角に切り欠きを形成してもよい。この切り欠きには、後述する巻線20の端部20a,20bを熱圧着することができる。
【0033】
ドラムコア10は、第1の端面10a、第2の端面10b、第1の主面10c(上面10c)、第2の主面10d(底面10d)、第1の側面10e、及び第2の側面10fを有する。より具体的には、第1の端面10aは、ドラムコア10のX軸マイナス方向の端面であり、第2の端面10bは、ドラムコア10のX軸プラス方向の端面であり、第1の主面10cは、ドラムコア10のZ軸プラス方向の端面であり、第2の主面10dは、ドラムコア10のZ軸マイナス方向の端面であり、第1の側面10eは、ドラムコア10のY軸プラス方向の端面であり、第2の側面10fは、ドラムコア10のY軸マイナス方向の端面である。第1の端面10a、第2の端面10b、第1の主面10c、第2の主面10d、第1の側面10e、及び第2の側面10fはそれぞれ、コイル部品1の第1の端面1a、第2の端面1b、第1の主面1c、第2の主面1d、第1の側面1e、及び第2の側面1fの一部をなす。
【0034】
図7は、フランジ12bの変形例を示す模式図である。
図7(a)〜
図7(i)に示されているように、フランジ12bには様々な切り欠きを形成することができる。フランジ12bは、例えば、
図7(a)〜
図7(d)に示されているように、幅方向(X方向)において対称に現れる一組の切り欠き13を有する。他の実施形態において、フランジ12bは、
図7(e)〜
図7(h)に示されているように、一組の切り欠き13に加えて、幅方向(X方向)において対称に現れる他の一組の切り欠き14を有していてもよい。
図7(e)〜
図7(h)に示されている切り欠きが4つ形成されたフランジ12bは、例えば、後述する2本の巻線を有する4端子のコイル部品において用いられる。
【0035】
フランジ12bに形成される切り欠きは、様々な形状を有することができ、また、様々な位置に配され得る。例えば、
図7(a)に示されているように、切り欠き13は、フランジ12bの下方の角部に、湾曲した形状に形成される。他の実施形態において、切り欠き13は、
図7(b)に示されているように、フランジ12bの下方の角部に、平坦面を有するように形成されてもよい。さらに他の変形形態において、切り欠き13は、
図7(c)に示されているように、ドラムコア10の下面10cの一部を為すフランジ12bの下面に、V字形状に形成されてもよい。さらに他の変形形態において、切り欠き13は、
図7(d)に示されているように、ドラムコア10の側面10aの一部及び側面10bの一部を為すフランジ12bの両側面に、V字形状に形成されてもよい。
【0036】
図7(e)に示されているように、切り欠き14は、例えば、切り欠き13に加えて、フランジ12bの上方の角部に、湾曲した形状に形成される。の実施形態において、切り欠き14は、
図7(f)に示されているように、切り欠き13に加えて、フランジ12bの上方の角部に、平坦面を有するように形成されてもよい。さらに他の変形形態において、切り欠き14は、
図7(g)に示されているように、切り欠き13に加えて、ドラムコア10の上面10cの一部を為すフランジ12bの上面に、V字形状に形成されてもよい。さらに他の変形形態において、切り欠き13は、
図7(h)に示されているように、切り欠き13に加えて、ドラムコア10の側面10aの一部及び側面10bの一部を為すフランジ12bの両側面に、V字形状に形成されてもよい。
【0037】
さらに他の実施形態において、フランジ12bは、
図7(i)に示されているように、巻芯11を中心として点対称に配置された一組の切り欠き15を有していてもよい。
【0038】
フランジ12aは、上述したフランジ12bと同一形状に形成され得る。
【0039】
上述した切り欠きの形状及び配置は例示に過ぎない。本発明に適用可能なフランジ12bは、図示した以外にも様々な形状及び配置の切り欠きを有することができる。
【0040】
図示の実施形態において、巻芯11は、略四角柱形状をなしている。巻芯11は、巻線20を巻回するために適した任意の形状をとることができる。例えば、巻芯11は、三角柱形状、五角柱形状、もしくは六角柱形状等の多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、又は截頭円錐形状をとることができる。
【0041】
ドラムコア10は、磁性材料又は非磁性材料から成る。ドラムコア10用の磁性材料としては、例えば、フェライト及び軟磁性合金材を用いることができる。ドラムコア10用の非磁性材料としては、アルミナやガラスを用いることができる。ドラムコア10用の磁性材料は、各種の結晶質もしくは非晶質の合金磁性材料、または結晶質の材料と非晶質の材料とを組合せた材料であってもよい。ドラムコア10用の磁性材料として用いられ得る結晶質の合金磁性材料は、例えば、Feを主成分とし、Si、Al、Cr、Ni、Ti、及びZrから成る群より選択される1以上の元素を含む結晶質の合金材料である。ドラムコア10用の磁性材料として用いられ得る非晶質の合金磁性材料は、例えば、Si、Al、Cr、Ni、Ti、Zrのいずれかに加えてB又はCのいずれか一方を含む非晶質の合金材料である。ドラムコア10用の磁性材料としては、ドラムコア10用の磁性材料として、Fe及び不可避不純物から成る純鉄を用いることができる。ドラムコア10用の磁性材料としては、Fe及び不可避不純物から成る純鉄と各種の結晶質もしくは非晶質の合金磁性材料とを組み合わせた材料を用いることもできる。ドラムコア10の材料は、本明細書で明示されるものに限られず、ドラムコアの材料として公知の任意の材料を用いることができる。
【0042】
ドラムコア10は、例えば、上述した磁性材料又は非磁性材料の粉末を潤滑剤と混合し、この混合材料を成形金型のキャビティに充填してプレス成形することにより圧粉体を作製し、この圧粉体を燒結することにより作製される。また、ドラムコア10は、上述した磁性材料又は非磁性材料の粉末を樹脂、ガラス、又は絶縁性酸化物(例えば、Ni−Znフェライトやシリカ)と混合し、この混合材料を成形して硬化又は焼結することによっても作製できる。
【0043】
巻芯11には、巻線20が巻回されている。巻線20は、導電性に優れた金属材料から成る導線の周囲を絶縁被膜で被覆することにより構成される。巻線20用の金属材料としては、例えば、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、もしくはAg(銀)のうちの1以上の金属、又はこれらの金属のいずれかを含む合金が用いられ得る。
【0044】
フランジ12a及びフランジ12bの少なくとも一方において、そのX軸方向の両端部には外部電極が設けられる。外部電極は、フランジ12a及びフランジ12bの両方に設けられてもよいし、片方だけ(フランジ12aだけ、又は、フランジ12bだけ)に設けられてもよい。
図1には、フランジ12a及びフランジ12bの両方に外部電極が設けられた例が示されている。
【0045】
本発明の一実施形態において、フランジ12a及びフランジ12bは、そのX軸方向の長さL2(つまり、主面1c及び主面1dの長辺の長さ)がランド部3aとランド部3bとの間の距離L3よりも長くなるように構成される。これにより、フランジ12a及びフランジ12bのX軸方向の端部に設けられた外部電極をランド部3a又はランド部3bと上面視において対応する位置に配置することができる。
図1の例においては、フランジ12a及びフランジ12bのX軸マイナス方向端部に設けられた外部電極30aが上面視においてランド部3aと対応する位置に配置され、フランジ12a及びフランジ12bのX軸プラス方向端部に設けられた外部電極30bが上面視においてランド部3bと対応する位置に配置されている。
【0046】
より具体的には、
図1に示されている実施形態において、フランジ12aのX軸マイナス方向の端部には外部電極30aが設けられており、この外部電極30aはフランジ12bのX軸マイナス方向端部まで延伸している。つまり、外部電極30aは、フランジ12bのX軸マイナス方向端部にも設けられている。一方、フランジ12aのX軸プラス方向の端部には外部電極30bが設けられており、この外部電極30bはフランジ12bのX軸プラス方向端部まで延伸している。つまり、外部電極30bは、フランジ12bのX軸プラス方向端部にも設けられている。
【0047】
本発明の一実施形態において、コイル部品1は、この外部電極30aをランド部3aに接合し、外部電極30bをランド部3bに接合することにより、回路基板2に実装される。外部電極30a及び外部電極30bは、はんだを介してランド部3a及びランド部3bにそれぞれ接合される。これにより、外部電極30aは、ランド部3aと電気的に導通し、外部電極30bは、ランド部3bと電気的に導通する。
【0048】
本発明の一実施形態において、外部電極30aは、ドラムコア10の底面10dのX軸マイナス方向端部、端面10aの所定の高さまでの領域、側面10e及び側面10fのX軸マイナス方向端部の所定の高さまでの領域を被覆するように構成される。同様に、外部電極30bは、ドラムコア10の底面10dのX軸プラス方向端部、端面10bの所定の高さまでの領域、側面10e及び側面10fのX軸プラス方向端部の所定の高さまでの領域を被覆するように構成される。
【0049】
図示した外部電極30a及び外部電極30bの形状及び配置はあくまでも例示であり、外部電極30a及び外部電極30bは様々な形状及び配置をとることができる。
図8〜
図10を参照して、本発明に適用可能な外部電極の変形例について説明する。
図8は、本発明の別の実施形態によるコイル部品を示す正面図であり、
図9は、
図8に示すコイル部品の右側面図である。また、
図10は、本発明のさらに別の実施形態によるコイル部品を示す右側面図である。
【0050】
図8及び
図9に示すように、本発明の別の実施形態に係るコイル部品51は、コイル部品1の外部電極30aに代えて外部電極35aを備え、外部電極30bに代えて外部電極35bを備えている。外部電極35aは、底部35aaと、上部35acと、この底部35aaと上部35acとを接続する接続部35abと、を有する。底部35aaは、
図2の外部電極30aと同様に形成される。すなわち、底部35aaは、ドラムコア10の底面10dのX軸マイナス方向端部、端面10aの下部、側面10eの下部及び側面10fの下部のX軸マイナス方向端部を被覆するように構成される。
【0051】
上部35acは、ドラムコア10の上面10cのX軸マイナス方向端部、端面10aの上部、側面10eの上部及び側面10fの上部のX軸マイナス方向端部を被覆するように構成される。
【0052】
接続部35abは、側面10eのX軸マイナス方向端部及び側面10fのX軸マイナス方向端部において、底部35aaの上端から上部35acの下端まで延伸するように形成される。
図10に示すように、底部35aaと上部35acとは、端面10aのY軸方向の両端において底部35aaの上端から上部35acの下端まで延伸する接続部35ab’によって接続されてもよい。
【0053】
外部電極35bは、X軸方向において外部電極35aと対称に形成されるので、詳細な説明を省略する。
【0054】
このように、コイル部品51は、その上面1cと下面1dの両方に外部電極が設けられているので、上面1c及び下面1dのいずれをも実装面とすることができる。つまり、コイル部品51を回路基板2に実装する際には、底部35aaをランド3aと接合してもよいし、上部35cをランド3aと接合してもよい。
【0055】
本発明の一実施形態において、外部電極30a及び外部電極30bはそれぞれ、下地電極と、この下地電極を覆うめっき層と、を有する。この下地電極は、例えば、ディップ(浸漬)によりペースト状の導電材料(例えば、銀)をドラムコア10の表面に塗布し、この塗布された導電材料を乾燥させることによって形成される。下地電極の上に形成されるめっき層は、例えば、ニッケルめっき層及び当該ニッケルめっき層の上に形成されるスズめっき層の2層から成る。外部電極30a及び外部電極30bは、スパッタリング法または蒸着法により形成してもよい。
【0056】
巻線20の一方の端部は、外部電極30aと電気的に接続され、巻線20の他方の端部は、外部電極30bと電気的に接続される。
【0057】
上述したように、フランジ12bのX軸マイナス方向の端部からフランジ12aのX軸マイナス方向端部まで延伸するように外部電極30aを設け、また、フランジ12bのX軸プラス方向の端部からフランジ12aのX軸プラス方向端部まで延伸するように外部電極30bを設けることにより、巻線20の両端部は、フランジ12a及びフランジ12bのいずれにも固定できる。例えば、巻線20の巻き始めの端部をフランジ12bのX軸方向マイナス側の端部に固定し、その巻き終わりの端部をフランジ12aのX軸方向プラス側の端部に固定することにより、巻き線20を奇数段だけ巻回することができる。他方、巻線20の巻き始めの端部をフランジ12bのX軸方向マイナス側の端部に固定し、その巻き終わりの端部をフランジ12bのX軸方向プラス側の端部に固定することにより、巻き線20を偶数段だけ巻回することができる。これにより、コイル部品1においては、巻線が奇数段(1段、3段、5段、・・・)に巻回される従来のコイル部品と比べて、巻線20の長さの設定が容易であり、また、無駄な巻線の引き回しを行う必要がない。したがって、コイル部品1においては、インダクタンス値の調整が容易となる。
【0058】
樹脂部40は、フランジ12aとフランジ12bとの間に樹脂を充填することにより形成される。樹脂部40は、巻線20の少なくとも一部を覆うように形成される。例えば、樹脂部40は、巻線20のうち上面のみを覆うことができ、これにより実装時の吸着性を確保もしくは向上させることができる。また、樹脂部40は、巻線20のうち下面部(つまり、巻線20のうち実装時に回路基板2と対向する部分)のみを覆うことができ、これにより、この樹脂部40に外部電極30a及び外部電極30bを延在させることができる。樹脂部40は、樹脂又はフィラーを含有する樹脂から構成される。樹脂部40の材料としては、巻線型のコイル部品において巻線を被覆するために用いられる任意の樹脂材料が用いられ得る。フィラーとしては、磁性材料又は非磁性材料を用いることができる。フィラーとして、フェライト粉、金属磁性粒子、アルミナ粒子、又はシリカ粒子を用いることにより、樹脂部40の線膨張係数を低くし、機械的強度を高くすることができる。
【0059】
樹脂部40は、例えば、ローラ転写により上述した樹脂材料をフランジ12aとフランジ12bとの間に塗布し、この塗布された樹脂を予備硬化させた後に整形することで形成される。また、樹脂部30は、金型モールド成型により、上述した樹脂材料をフランジ12aとフランジ12bとの間に充填し、この充填された樹脂材料を予備硬化させた後に整形することで形成される。樹脂部40は、公知の様々な手法により形成され得る。樹脂部40は、フランジ12aとフランジ12bとの間だけでなく、フランジ12a及びフランジ12bの外面や側面を被覆するように形成されてもよい。
【0060】
本発明の一実施形態においては、樹脂部40に代えて、樹脂以外の材料から形成される被覆部が設けられる。被覆部の形状及び配置は、樹脂部40と同様とすることができる。当該被覆部の素材は、金属、セラミックス又はそれ以外の素材である。被覆部は、例えば、金属、セラミックス又はそれ以外の素材から成る箔、板、又はこれらの複合部材をフランジ12aとフランジ12bとの間に設けることで形成される。
【0061】
本発明の一実施形態において、コイル部品1は、X方向の寸法がY方向の寸法よりも大きくなるように構成される。より具体的には、コイル部品1は、長さ寸法(X方向の寸法)L1が1.0〜6.0mm、幅寸法(Y方向の寸法)W1が0.5〜4.5mm、高さ寸法(Z方向の寸法)H1が0.45〜4.0mmとなるように形成される。コイル部品1は、より小型の場合には、(X方向の寸法)L1が1.0〜2.0mm、幅寸法(Y方向の寸法)W1が0.5〜1.6mm、高さ寸法(Z方向の寸法)H1が0.45〜0.85mmとなるように形成される。コイル部品1は、いわゆるチップ状部品であってもよい。コイル部品1がチップ状部品である場合、当該コイル部品1は、例えばL1/W1≧2を満たす寸法を有するように構成される。他の実施形態において、コイル部品1は、W1/H1>1を満たす寸法を有するように構成される。このような関係を満たすようにコイル部品1を構成することにより、H1≦0.6mmを満たす極低背のコイル部品1を得ることができる。これらの寸法はあくまで例示であり、本発明を適用可能なコイル部品は、本発明の趣旨に反しない限り、任意の寸法を取ることができる。
【0062】
本発明の一実施形態においては、上述のとおり、巻芯11の軸芯AがY方向と平行となる。よって、本発明の一実施形態において、巻芯11は、コイル部品1の主面1c(主面1d)の短辺に沿って延伸するように設けられる。
【0063】
本発明の一実施形態において、ドラムコア10は、長さ寸法(X方向の寸法)L2が0.9〜5.9mm、幅寸法(Y方向の寸法)W2が0.45〜4.55mm、高さ寸法(Z方向の寸法)H2が0.4〜3.95mmとなるように形成される。
【0064】
本発明の一実施形態において、ドラムコア10の巻芯11の長さW3は、0.15mm〜4.25mmとされる。巻芯11の長さW3は、フランジ12aの内面からフランジ12bの内面までの2つのフランジ間の距離に等しい。
【0065】
本発明の一実施形態において、ドラムコア10のフランジ12a及びフランジ12bの巻芯11の軸芯Aに平行な方向の寸法(Y方向の寸法)W4は、0.15mm〜1.00mmとされる。本発明の一実施形態において、フランジ12a及びフランジ12bの高さ寸法(回路基板2の実装面と垂直な方向の寸法)は、ドラムコア10の高さ寸法と同じであり、0.4〜3.95mmとされる。より小型の部品の場合は、ドラムコア10のフランジ12a及びフランジ12bの巻芯11の軸芯Aに平行な方向の寸法(Y方向の寸法)W4は、0.15mm〜0.25mmとされる。本発明の一実施形態において、フランジ12a及びフランジ12bの高さ寸法(回路基板2の実装面と垂直な方向の寸法)は、ドラムコア10の高さ寸法と同じであり、0.4〜0.8mmとされる。
【0066】
本発明の一実施形態において、フランジ12a及びフランジ12bは、Z軸方向における厚さ(高さ)H2が巻芯11の軸芯Aに平行な方向における厚さW4よりも厚くなるように構成される。
【0067】
本発明の一実施形態におけるコイル部品1は、巻芯11の軸芯方向の長さW3がランド部3aとランド部3bとの間の間隔L3よりも短くなるよう構成される。
【0068】
上述したドラムコア各部の寸法はあくまで例示であり、本発明を適用可能なコイル部品に用いられるドラムコアは、本発明の趣旨に反しない限り、任意の寸法を取ることができる。
【0069】
本発明の一実施形態において、軸芯11は、その軸芯Aがフランジ12a及びフランジ12bのX方向及びY方向の中心を通り、また、この軸芯Aに関して対称な形状を有するように形成される。本発明の一実施形態において、軸芯11及びフランジ12bは、巻芯11の外周の上面11aとドラムコア10の上面10c(すなわち、フランジ12bの上面)との間隔H3が、巻芯11の外周の下面11bとドラムコア10の下面10d(すなわち、フランジ12bの下面)との間隔H4に等しいか、または大きくなり、巻芯11の外周の側面11cとドラムコア10の端面10a(すなわち、フランジ12bの一方の端面)との間隔L4が、巻芯11の外周の側面11dとドラムコア10の端面10b(すなわち、フランジ12bの他方の端面)との間隔L5に等しくなるように構成される。フランジ12aもフランジ12bと同様に構成され得る。巻芯11の外径が軸芯Aの方向において一定でない場合には、巻芯11の外周の上面11aとドラムコア10の上面10c(すなわち、フランジ12bの上面)との間隔H3は、巻芯11の軸芯A方向中央における外周からドラムコア10の上面10c(すなわち、フランジ12bの上面)までの高さを意味する。これと同様に、間隔H4、L4、及びL5についても、巻芯11の軸芯A方向中央における外周を基準として定められる。
【0070】
本発明の一実施形態においては、巻芯11は、その外周の上面11aとドラムコア10の上面10cとの間隔H3が、当該外周の側面11cとドラムコア10の端面10aとの間隔L4と等しくなるように形成される。
【0071】
続いて、
図11を参照して、本発明の一実施形態に従ったコイル部品1の製造方法について説明する。
図11は、コイル部品1の製造方法を説明する模式図である。このうち、図(a)、
図11(b1)、及び
図11(c)〜
図11(e)は、コイル部品1を右側面から見た図を模式的に示しており、
図11(b2)は、コイル部品1を左側面から見た図を模式的に示している。
【0072】
まず、
図11(a)に示すように、ドラムコア10を準備する。ドラムコア10は、任意の公知の手法によって作製され得る。例えば、特開平05−226156号公報に開示されているように、プレス成形で、フランジ12a,12bと巻芯11とを有するドラムコア10を形成することができる。また、プレス成形と回転基準面を有する成形体に研削加工を組み合わせて行うことにより、フランジ12a,12bと巻芯11とを有するドラムコア10を形成することもできる。
【0073】
次に、ディップ(浸漬)により、フランジ12a及びフランジ12bの下部に銀ペーストを付着させ、この銀ペーストを乾燥させて、
図11(b1)に示すように、フランジ12aのうちドラムコア10の側面10a側の端部に下地電極31aを形成し、フランジ12bのうちドラムコア10の側面10a側の端部に下地電極32aを形成する。同様に、フランジ12aのうちドラムコア10の側面10b側の端部に下地電極31bを形成し、フランジ12bのうちドラムコア10の側面10b側の端部に下地電極32bを形成する。図示の例では、下地電極31a及び下地電極31bは、フランジ12aの下部に形成され、下地電極32a及び下地電極32bは、フランジ12bの下部に形成される。下地電極31aは、フランジ12aに、コイル部品1のX方向において下地電極31bから所定間隔離間させて形成される。同様に、下地電極32aは、フランジ12bに、コイル部品1のX方向において下地電極32bから所定間隔離間させて形成される。各下地電極は、ディップ以外に、筆塗り、転写、印刷、薄膜プロセス、金属板の貼り付け、金属テープの貼り付け等の公知の様々な手法により形成され得る。
【0074】
次に、
図11(c)に示すように、巻芯11に巻線20を所定の巻数だけ巻回する。巻線20の一方の端部20aは、下地電極31a、下地電極32a、下地電極31b、又は下地電極32bに熱圧着され、巻線20の他方の端部20bは、下地電極31a、下地電極32a、下地電極31b又は下地電極32bに熱圧着される。巻線20は、熱圧着以外にも公知の様々な手法で下地電極に固定され得る。例えば、巻線20は、金属によるロウ付け、耐熱性接着剤による接着、もしくは金属板による挟み込み、またはこれらの組み合わせにより、対応する下地電極に固定され得る。
【0075】
次に、
図11(d)に示すように、フランジ12aとフランジ12bとの間に、巻線20を覆うように樹脂部40を形成する。樹脂部40は、例えば、樹脂材料をローラ転写によりフランジ12aとフランジ12bとの間に塗布し、この塗布された樹脂を予備硬化させた後に整形することで形成される。樹脂部40は、フランジ12aとフランジ12bとの間の空間の一部のみに形成されてもよい。例えば、樹脂部40は、巻線20のうち上面部(すなわち、フランジ12aとフランジ12bとの間の空間のうちZ軸方向において巻芯Aよりも正側にある部分)のみに充填されてもよい。上述したように、樹脂部40はモールド成型及びそれ以外の公知の手法により形成されてもよい。外部電極と樹脂部は、同一面となるか、樹脂部がやや引っ込んだ凹面となる。
【0076】
巻線20の端部20a,20bはそれぞれ、下地電極31a又は下地電極32a及び下地電極31b又は下地電極32bの下面(Z軸マイナス方向の端面)に熱圧着されてもよい。
【0077】
樹脂部40は、フランジ12a及びフランジ12bの外面及び側面も被覆するように設けられてもよい。この場合、ドラムコア10の下面側から巻線20の端部20a,20bが露出するように当該樹脂部40に研磨加工が施される。そして、このようにして露出した巻線20の端部20a,20bを下地電極31及び下地電極32の下面に熱圧着する。
【0078】
次に、
図11(e)に示すように、幅方向(X方向)における端面10a側の端部において、ドラムコア10の底面10d及び端面10aの所定の高さまでの領域に銀ペーストを塗布することにより外部電極30aが形成される。幅方向(X方向)における端面10b側の端部においても同様に、ドラムコア10の底面10d及び端面10bの所定の高さまでの領域に銀ペーストを塗布することにより外部電極30bが形成される。この外部電極30a及び外部電極30bは、下地電極31及び下地電極32と電気的に接続されるように形成される。
【0079】
必要に応じ、フランジ12a及びフランジ12b又は樹脂部40の一部に研磨加工が施される。このようにして、表面が平滑化され薄型化されたコイル部品1が作製される。
【0080】
上述したコイル部品1における図示した外部電極30a及び外部電極30bのフランジ12a及びフランジ12bに対する配置はあくまでも例示であり、外部電極30a及び外部電極30bはフランジ12a及びフランジ12bに対して様々な配置をとることができる。外部電極30a及び外部電極30bの変形例について、
図12から
図19を参照して説明する。
【0081】
巻線20の端部20aが下地電極31aに接続され、巻線20の端部20b下地電極32bに接続される場合には、
図12に示すように、コイル部品1は、外部電極30aに代えて外部電極30a1を備え、外部電極30bに代えて外部電極30b1を備えることができる。外部電極30a1は、下地電極31aを覆うように構成される。外部電極30a1は、フランジ12bまで延伸していない点で外部電極30aと異なっている。外部電極30b1は、下地電極32bを覆うように、フランジ12bのうちドラムコア10の側面10b側の端部に設けられる。外部電極30b1は、フランジ12aまで延伸していない点で外部電極30bと異なっている。
【0082】
図13に示すように、コイル部品1は、
図12に示されている構成要素に加えて、ダミー電極33a及びダミー電極33bを備えてもよい。ダミー電極33a及びダミー電極33bは、外部電極30a1及び外部電極30b1と同じ素材から同じ形状に形成され得る。ダミー電極33aは、フランジ12bのうちドラムコア10の側面10a側の端部に設けられる。ダミー電極33bは、フランジ12aのうちドラムコア10の側面10b側の端部に設けられる。ダミー電極33a及びダミー電極33bには、巻線20が電気的に接続されない。このようにダミー電極33a及びダミー電極33bを設けることにより、コイル部品1は、ランド部3a及びランド部3bに四隅で支持されるため、コイル部品1をより安定して回路基板2上に戴置することができる。
【0083】
巻線20の端部20aが下地電極32aに接続され、巻線20の端部20b下地電極32bに接続される場合には、
図14に示すように、コイル部品1は、外部電極30a1に代えて外部電極30a2を備えることができる。外部電極30a2は、下地電極32aを覆うように、フランジ12bのうちドラムコア10の側面10a側の端部に設けられる。構成される。外部電極30a2は、フランジ12bまで延伸していない点で外部電極30aと異なっている。
【0084】
図15に示すように、コイル部品1は、
図14に示されている構成要素に加えて、ダミー電極34a及びダミー電極33bを備えてもよい。ダミー電極34aは、外部電極30a1及び外部電極30b1と同じ素材から同じ形状に形成され得る。ダミー電極34aは、フランジ12aのうちドラムコア10の側面10a側の端部に設けられる。ダミー電極34a及びダミー電極33bには、巻線20が電気的に接続されない。このようにダミー電極34a及びダミー電極33bを設けることにより、コイル部品1は、ランド部3a及びランド部3bに四隅で支持されるため、コイル部品1をより安定して回路基板2上に戴置することができる。
【0085】
巻線20の端部20aが下地電極31aに接続され、巻線20の端部20b下地電極32aに接続される場合には、
図16に示すように、コイル部品1は、
図12に示されている外部電極30b1に代えて外部電極30a2を備えることができる。
図16の実施形態においては、回路基板2は、ランド部3aに代えてランド部3a1を備え、ランド部3bに代えてランド部3a2備える。ランド部3a1とランド部3a2とは、Y軸方向において互いから離間するように設けられる。
【0086】
図17に示すように、コイル部品1は、
図16に示されている構成要素に加えて、ダミー電極33b及びダミー電極34bを備えてもよい。ダミー電極34bは、外部電極30a1及び外部電極30b1と同じ素材から同じ形状に形成され得る。ダミー電極34bは、フランジ12bのうちドラムコア10の側面10b側の端部に設けられる。ダミー電極33b及びダミー電極34bには、巻線20が電気的に接続されない。このようにダミー電極33b及びダミー電極34bを設けることにより、コイル部品1をより安定して回路基板2上に戴置することができる。また、回路基板2は、ダミーランド部3b1及びダミーランド部3b2を備えてもよい。ダミーランド部3b1及びダミーランド部3b2により、コイル部品1をより安定して回路基板2上に戴置することができる。
【0087】
図17に示したランド部の形状及び配置は適宜変更可能である。例えば、
図18に示すように、回路基板2は、コイル部品1の長辺に沿って延伸するランド部3c及びランド部3dを備えることができる。ランド部3cは、底面視において、フランジ12aの全体を覆うように構成及び配置され、ランド部3dは、底面視において、フランジ12bの全体を覆うように構成及び配置される。
【0088】
巻線20の端部20aが下地電極31aに接続され、巻線20の端部20b下地電極32aに接続される場合には、
図19に示すように、コイル部品1は、
図16に示されている外部電極30a1に代えて外部電極30cを備え、外部電極30a2に代えて外部電極30dを備えることができる。
図19の実施形態においては、外部電極30cは、フランジ12aの底面の全長にわたって設けられ、外部電極30dは、フランジ12aの底面の全長にわたって設けられる。
【0089】
図12、
図13、及び
図16〜
図19に示したコイル部品1においては、巻線20の一方の端部20aがフランジ12aに設けられた外部電極に接続され、他方の端部20bがフランジ12bに設けられた外部電極に接続される。よって、これらの図に示されているコイル部品1においては、巻芯11の周りに巻線20が奇数段(1段、3段、5段、・・・)だけ重ねて巻回される。他方、
図14及び
図15に示したコイル部品1においては、巻線20の端部20a及び端部20bがいずれもフランジ12bに設けられた外部電極に接続される。よって、これらの図に示されているコイル部品1においては、巻芯11の周りに巻線20が偶数段(2段、4段、6段、・・・)だけ重ねて巻回される。
【0090】
上述した本発明の一実施形態によるコイル部品1によれば、上述のとおり、巻芯11の軸芯Aがコイル部品1の短辺(Y方向の辺)に沿って延伸するように設けられているので、巻芯の軸芯がコイル部品の長辺方向に延伸するように構成されたコイル部品と比べて巻芯が破壊されにくい。
【0091】
本発明の一実施形態におけるコイル部品1によれば、巻芯11の軸芯方向の長さW3がランド部3aとランド部3bとの間の間隔L3よりも短くなるよう構成される。従来のコイル部品は、一対のフランジが対応する一対のランド部と対応する位置に配置するために、この一対のフランジを接続する巻芯は一対のランド部の間隔と同じかそれ以上の長さを有している。当該実施形態によれば、巻芯11の軸芯方向の長さW3がランド部同士の間隔L3よりも小さいので、巻芯11を従来のコイル部品の巻芯よりも短くすることができる。よって、当該実施形態によるコイル部品1の巻芯11は、従来のコイル部品と比べて応力により破壊されにくい。
【0092】
上述した本発明の一実施形態によるコイル部品1において、フランジ12a及びフランジ12bは、Z軸方向における厚さ(高さ)H2が軸芯Aに平行な方向における厚さW4よりも厚くなるように構成されるので、Z軸方向の応力に対して高い抗折力を有する。よって、回路基板2へのマウント時などにコイル部品1に対してZ軸方向(回路基板2と垂直な方向)への強い応力が作用しても、フランジ12a及びフランジ12bが破壊されにくくなっている。
【0093】
上述した本発明の一実施形態によるコイル部品1においては、フランジ12a及びフランジ12bが第1のランド部3aと第2のランド部3bとの間に渡されている。これにより、回路基板2へのマウント時などにコイル部品1に対してZ軸方向(回路基板2と垂直な方向)への強い応力が作用しても、フランジ12a及びフランジ12bで当該応力を受け止めることができる。これにより、コイル部品1は、Z軸方向の応力に対して高い抗折力を有する。
【0094】
また、上述した本発明の一実施形態によるコイル部品1によれば、巻芯11の強度が向上しているため、コイル部品1をさらに薄型化することができる。また、巻芯11の外周の上面11aとドラムコア10の上面10cとの間隔H3は、巻芯11の外周の下面11bとドラムコア10の下面10dとの間隔H4に等しいかまたはそれよりも大きくすることで、巻線20と外部電極30との接続時または回路基板2への実装時における熱の影響、または回路基板2への実装後における当該回路基板2からの電気的な影響を受けにくくできる。
【0095】
また、巻芯11の外周の側面11cとドラムコア10の端面10aとの間隔L4と、巻芯11の外周の側面11dとドラムコア10の端面10bとの間隔L5とが、等しくなるようにすることで、ドラムコア10のX方向の向きを揃える必要がなくなる。
【0096】
また、上述した本発明の一実施形態によるコイル部品1によれば、巻芯11の強度が向上しているため、巻芯11の軸芯Aに垂直な断面の設計の自由度が向上する。これにより、例えば、巻芯11を細径化して、巻線20の収容能力を向上させることができる。これにより、より線径の太い巻線20を使用することもできる。線径が太い巻線20を使用することにより、巻線20の抵抗値を小さくすることができる。このような抵抗値の小さいコイル部品は、パワーインダクタに適している。
【0097】
また、巻芯11の軸芯Aに垂直な断面の設計の自由度が向上することにより、巻芯11、フランジ12a、及びフランジ12bを通過する磁路において、当該磁路に垂直な方向の巻芯11、フランジ12a、及びフランジ12bの断面積を一定にしやすくなる。
【0098】
続いて、
図20から
図23を参照して本発明の他の実施形態に係るコイル部品101について説明する。コイル部品101は、4端子型のコイル部品である。コイル部品101は、互いから絶縁された2本の巻線がドラムコア10に巻回される点で、1本の巻線20が巻回されるコイル部品1と異なる。
【0099】
図20は、本発明の他の実施形態によるコイル部品101を示す斜視図であり、
図21は、その右側面図であり、
図22は、その左側面図であり、
図23は、その底面図である。
【0100】
図示のように、コイル部品101は、4端子型のコイル部品であり、具体的には、フランジ12bのX軸マイナス方向端部に設けられた外部電極130aと、フランジ12bのX軸プラス方向端部に設けられた外部電極130bと、フランジ12aのX軸マイナス方向端部に設けられた外部電極130cと、フランジ12aのX軸プラス方向端部に設けられた外部電極130dと、を有する。
【0101】
図示した外部電極130a、外部電極130b、外部電極130c、及び外部電極130dの形状及び配置はあくまでも例示であり、これらの外部電極は様々な形状及び配置をとることができる。
図24〜
図27を参照して、本発明に適用可能な外部電極の変形例について説明する。
図24は、本発明の別の実施形態によるコイル部品を示す右側面図であり、
図25は、
図24のコイル部品の左側面図である。また、
図26は、本発明のさらに別の実施形態によるコイル部品を示す右側面図であり、
図27は、
図26のコイル部品の左側面図である。
【0102】
図24及び
図25に示すように、本発明の別の実施形態に係るコイル部品151は、コイル部品1の外部電極130aに代えて外部電極131aを備え、外部電極130bに代えて外部電極131bを備え、外部電極130cに代えて外部電極131cを備え、外部電極130dに代えて外部電極131dを備えている。
【0103】
外部電極131aは、底部131aaと、上部131acと、この底部131aaと上部131acとを接続する接続部131abと、を有する。底部131aaは、フランジ12bの下部のX軸マイナス方向端部に設けられる。上部131acは、フランジ12bの上部のX軸マイナス方向端部に設けられる。接続部131abは、側面10fのX軸マイナス方向端部において、底部131aaの上端から上部131acの下端まで延伸するように形成される。
【0104】
外部電極131bは、底部131baと、上部131bcと、この底部131baと上部131bcとを接続する接続部131bbと、を有する。底部131baは、フランジ12bの下部のX軸プラス方向端部に設けられる。上部131bcは、フランジ12bの上部のX軸プラス方向端部に設けられる。接続部131bbは、側面10fのX軸プラス方向端部において、底部131baの上端から上部131bcの下端まで延伸するように形成される。
【0105】
外部電極131cは、底部131caと、上部131ccと、この底部131caと上部131ccとを接続する接続部131cbと、を有する。底部131caは、フランジ12ba下部のX軸マイナス方向端部に設けられる。上部131ccは、フランジ12aの上部のX軸マイナス方向端部に設けられる。接続部131cbは、側面10eのX軸マイナス方向端部において、底部131caの上端から上部131ccの下端まで延伸するように形成される。
【0106】
外部電極131dは、底部131daと、上部131dcと、この底部131daと上部131dcとを接続する接続部131dbと、を有する。底部131daは、フランジ12aの下部のX軸プラス方向端部に設けられる。上部131dcは、フランジ12aの上部のX軸プラス方向端部に設けられる。接続部131dbは、側面10eのX軸プラス方向端部において、底部131daの上端から上部131dcの下端まで延伸するように形成される。
【0107】
このように、コイル部品151は、その上面1cと下面1dの両方に外部電極が設けられているので、上面1c及び下面1dのいずれをも実装面とすることができる。
【0108】
コイル部品101が実装される回路基板102には、コイル部品101の4つの外部電極と接合される4つのランド部が設けられている。具体的には、コイル部品101は、外部電極130a,130b,130c,130dをそれぞれランド部103a,103b,103c,103dに接合することで回路基板102に実装される。
【0109】
外部電極130a、外部電極130b、外部電極130c、及び外部電極130dの配置はあくまでも一例であり、各外部電極は、回路基板におけるランドの配置に応じて、フランジ12a又はフランジ12bの様々な箇所に配され得る。外部電極130a、外部電極130b、外部電極130c、及び外部電極130dは、フランジ12a又はフランジ12bの一方に設けられてもよいし、各外部電極の一部をフランジ12aに設け、残りをフランジ12bに設けてもよい。これらの外部電極に加えて、巻線20と電気的に接続されないダミー電極が設けられてもよい。このダミー電極は、コイル部品101の回路基板2への安定した実装に寄与する。
【0110】
コイル部品101は、互いから電気的に絶縁されている2本の巻線を有する4端子のコイル部品であるため、コイル部品101は、コモンモードチョークコイル、トランス、又はそれ以外の高い結合係数が要求されるコイル部品として用いられる。
【0111】
コイル部品101をトランス又はコモンモードチョークコイルとして用いる場合には、一次側の巻線の一方の端部がフランジ12bの一端に設けられている外部導体130aと電気的に接続され、当該一次側の巻線の他方の端部が当該フランジ12bの他端に設けられている外部導体130bと電気的に接続される。また、二次側の巻線の一方の端部がフランジ12ba一端に設けられている外部導体130cと電気的に接続され、当該二時側の巻線の他方の端部が当該フランジ12aの他端に設けられている外部導体130dと電気的に接続される。一次側の巻線をフランジ12a側の外部電極に接続し、二次側の巻線をフランジ12b側の外部電極に接続してもよい。
【0112】
コイル部品101が中間端子を有するトランスとして用いられる場合には、フランジ12aとフランジ12bとの間に中間フランジを設け、この中間フランジに中間端子となる外部電極を設けてもよい。
【0113】
コイル部品101が3系統の巻線を有するコモンモードチョークコイルとして用いられる場合には、フランジ12aとフランジ12bとの間に中間フランジを設け、この中間フランジに3番目の系統の巻線のための外部電極を設けることができる。例えば、MIPIアライアンスによって策定されたC−PHYでは、1レーンあたり3本の信号線を用いて信号を差動伝送することが規定されている。コイル部品101は、このC−PHYに準拠したコモンモードチョークコイルとして用いられ得る。
【0114】
コイル部品101も、コイル部品1と同様に、薄型化しても破壊されにくい。
【0115】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。