(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記継手本体(10)は、前記受口の口底部(11a,12a)を形成する壁部に独立発泡性樹脂からなる断熱板材(14)が接着され、この断熱板材(14)の表面が、接続されるべき断熱配管(P)における差口の当り面(11b,12b)を形成している
請求項4記載の管継手。
前記継手本体(10)と前記カバー部材(20)とは、前記密閉空気層(50)が、前記カバー部材(20)の内表面(21)と前記胴部(13)の外表面(13a)との間から、前記カバー部材(20)の内表面(21)と前記受口の外表面との間に延びるように構成されている
請求項1〜8の何れか1項に記載の管継手。
前記ドレン配管は、硬質性樹脂よりなるパイプ本体(P1)と、このパイプ本体(P1)の外表面を被覆する、独立気泡性の発泡樹脂材により形成された被覆層(P2)とを備えた断熱配管(P)であって、
前記被覆層(P2)は、外表面に形成される、非発泡の硬質の表層部(P2)と、前記表層部(P21)の内周側の、発泡された内層部(P22)とからなり、前記表層部(P21)と前記内層部(P22)とが一体に形成されたものである
請求項15記載の空調システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の管継手は、断熱部材の一方端部を縮径するなど変形させながら継手本体内に無理入れし、断熱部材の外表面の凹部を胴部の所定の内表面に対応させるように位置調整する必要があった。また、断熱部材の凹部両端部を継手本体の内表面に水密に取り付ける必要があった。このように、従来のものは、断熱部材を継手本体内に無理入れする作業や、断熱部材の凹部両端部を継手本体の内面に対し水密精度良く取り付ける作業が必要であり、これら作業が困難であった。このため、断熱配管を用いた配管の施工作業の容易化のために管継手自身の組み付けをより一層容易化することが求められていた。
【0006】
本発明は、かかる従来技術における問題点に鑑みなされたものであり、断熱機能を有する管継手自身の組み付け作業を容易化することにより、配管施工作業を全体として容易化した管継手を提供することを目的とする。また、本発明は、このような管継手を用いた空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕上記課題を解決する管継手は、硬質性樹脂よりなるパイプ本体の外周に発泡性樹脂よりなる被覆層が形成された断熱配管同志を接続するための管継手であって、接続すべき断熱配管の差口を挿入して接着する複数の受口、及び、複数の前記受口の間を接続する胴部を有する継手本体と、前記継手本体の外側から前記胴部の外表面を覆うように取り付けられたカバー部材とを有し、前記継手本体と前記カバー部材とは、前記カバー部材の内表面と前記胴部の外表面との間に密閉空気層を形成するように構成されている。
【0008】
このような構成の管継手によれば、断熱配管を接続する継手本体に対し、継手本体の外側からカバー部材を組み付けることにより、継手本体の胴部の外表面に密閉空気層からなる断熱層が形成されるので、管継手の組み付け作業を容易化し、断熱配管を用いた配管施工作業を全体として容易化することができる。
【0009】
〔2〕また、前記カバー部材は、前記密閉空気層の気密性を保持するように、前記受口の外表面に対し接着剤により接着されていることが好ましい。
このような構成によれば、継手本体の胴部の外表面に密閉空気層を形成しながら、カバー部材を容易に気密に取り付けることができ、密閉空気層を容易に形成することができる。
【0010】
〔3〕また、前記継手本体は、前記胴部の外表面が前記複数の受口間において凹陥状部となるように、前記受口の外径より小さい外径の管状に形成され、前記カバー部材は、前記凹陥状部を前記密閉空気層と成すように前記受口の外表面に接着されていることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、カバー部材の取り付けにより、胴部の外表面の凹陥状部を密閉空気層として容易に形成することができる。また、カバー部材も平面的な形状とすることができるので、カバー部材を簡素化することができる。
【0012】
〔4〕また、前記継手本体は、前記受口の口底部を形成する壁部に独立発泡性樹脂からなる断熱板材が接着され、この断熱板材の表面が、接続されるべき断熱配管における差口の当り面を形成していることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、受口の当り面に独立発泡性樹脂からなる断熱板材が取り付けられているので、接続される断熱配管による継手本体の冷却が緩和され、継手本体の外表面における結露が緩和される。また、断熱板材が独立発泡性樹脂で形成されているので、水等の搬送される液体の断熱板材への浸入が回避され、継手本体の冷却がより一層緩和される。また、断熱板材、継手本体、及び、断熱配管の被覆層が全てポリ塩化ビニル系樹脂材料で構成されている場合は、接着剤により相互に溶解・膨潤して融合されるので、水密性能がより向上する。
【0014】
〔5〕また、前記カバー部材は、複数の分割カバーが接着されて構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、カバー部材を適切に分割することにより、カバー部材の製作が容易になるとともに、カバー部材の取付を容易にすることができる。
【0015】
〔6〕また、前記カバー部材は、前記受口に接続される断熱配管の管軸を含む平面を分割面として分割された、第1分割カバーと第2分割カバーとの2個の分割カバーにより構成され、前記第1分割カバーと前記第2分割カバーとが前記分割面を成す双方の分割端面において接着されてなることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、第1分割カバーと第2分割カバーとは対象的な構造とすることができるとともに、前記受口に接続される断熱配管の管軸を含む平面を、分割カバーを成形する金型の分割面とすることができるため、分割カバーの製作が容易になる。
【0017】
〔7〕また、前記カバー部材は、前記分割された一方の第1分割カバーの分割端面に、当該分割端面の長手方向に延びる溝部が形成され、他方の第2分割カバーの分割端面に、前記溝部に嵌合する突条部が形成され、前記第1分割カバーと前記第2分割カバーとは前記突条部が前記溝部に嵌合するように組み合わされるとともに、組み合わされた前記突条部の先端面と前記溝部の底面との間に接着剤を流通可能とする接着剤流路が形成されているものとすることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、溝部内の接着剤流路に接着剤を行き渡らせることができ、これにより、接着されるべき2個の分割カバーを効率よく接着することができる。特に、接着する2個の分割カバーを同一材料で、例えばポリ塩化ビニルで形成した場合は、溶剤型接着剤(溶解性接着剤)を使用して接着することができる。また、これにより、溝部内で双方の分割カバーの接着面を溶解膨潤させることができ、分割カバー同志の接着保持性(がたつくことなく接着すること)を担保することができるので、密閉空気層の気密性を容易に確保することができる。
【0019】
〔8〕また、前記接着剤流路は、前記第1分割カバーと前記第2分割カバーとが組み合わされることにより形成される複数の分割端面同志の接着部において、前記接着部毎に独立するように形成され、前記独立するように形成された前記接着剤流路は、一端が、前記受口の外表面に接着される前記カバー部材の前記管軸方向の一方の端面から外部に開口され、他端が、前記カバー部材の前記管軸方向の他方の端部において、前記カバー部材の内表面と前記受口の外表面との接着部に連通されていることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、継手本体の胴部の外表面を覆うように2個の分割カバーを組み合わせ、この組み合わせた状態において、外部に開口する接着剤流路の開口部に接着剤注入器の針状の注入部を差し込んで接着剤を注入すると、接着剤が作業者の手に付着したり、接着剤が接着剤流路の外部に漏れたりすることを回避しながら、接着材を接着剤流路内へ行き渡らせることができる。これにより、接着剤の注入作業を容易化することができる。
【0021】
〔9〕また、前記継手本体は、前記受口の外表面に、前記カバー部材と前記受口の外表面との接着部を構成するための、深さに比し幅広の環状凹部が形成され、前記カバー部材は、管軸方向の端部が前記受口の外表面との接着部を構成し、前記カバー部材の前記管軸方向の端部は、端縁が前記環状凹部から前記受口の入口側の外表面に食み出さないように形成され、これにより、前記カバー部材の端縁と前記環状凹部の端縁との間に隙間が形成され、前記隙間は、表面張力により環状凹部内の接着剤の流出が回避される程度であり、かつ、接着剤注入器における針状の注入部を外部から前記環状凹部内へ挿入可能とする程度に形成されていることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、管継手を組み立てる作業者は、カバー部材の端縁と環状凹部の端縁との間に形成される隙間から、環状凹部へ接着剤を注入することができるので、環状凹部への接着剤の注入時間を短縮することができる。また、環状凹部内に注入された接着剤は、接着剤の表面張力により、カバー部材の端縁と環状凹部の端縁との間に形成される隙間から受口の入口側外表面へ漏洩することが抑制される。
【0023】
[10]また、前記継手本体と前記カバー部材とは、前記密閉空気層が、前記カバー部材の内表面と前記胴部の外表面との間から、前記カバー部材の内表面と前記受口の外表面との間に延びるように構成されていることが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、カバー部材と継手本体との接触部を胴部から離れた位置とすることができるので、カバー部材における接着部付近に対する胴部からの冷却作用を緩和することができる。これにより、カバー部材における接着部付近の結露をより一層緩和することができる。
【0025】
[11]また、前記継手本体は、前記受口の外表面に、径方向外方に突出する位置決め用の第1係合部を有し、前記カバー部材は、前記第1係合部と係合する、径方向内方に突出する位置決め用第2係合部を有し、前記カバー部材と前記受口の外表面との接着部は、前記カバー部材の内表面における管軸方向の端部と前記受口の外表面との間に形成されているとが設けられていることが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、継手本体に対するカバー部材の位置決め部及びカバー部材の接着部などの、継手本体とカバー部材との接触部を、密閉空気層に接する受口の壁体を介して胴部から離れた位置とすることができるので、カバー部材の冷却を緩和し、結露をより一層緩和することができる。
【0027】
[12]また、前記継手本体は、前記受口の外表面に、径方向外方に突出する位置決め用の第1係合部を有し、前記カバー部材は、前記第1係合部と係合する、径方向内方に突出する位置決め用第2係合部を有し、前記カバー部材と前記受口の外表面との接着部は、前記受口の口縁に形成された径方向外側に突出する鍔状突部と前記カバー部材の端面との間に形成され、前記鍔状突部には、前記接着剤流路の一端を外部へ開口させるための連結突部と連絡孔部とが設けられていることが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、継手本体に対するカバー部材の位置決め部及びカバー部材の接着部などの、継手本体とカバー部材との接触部を、受口の口縁付近端に集めることができる。したがって、継手本体とカバー部材との接触部を、密閉空気層に接する受口の壁体を介して胴部から離れた位置とすることができるので、カバー部材の冷却をより一層緩和し、結露をより一層緩和することができる。
【0029】
〔13〕また、前記凹陥状部は、前記受口の外表面との境界部に管軸に交差する方向の段差面を有し、前記カバー部材は、この段差面に対し径方向外側から前記凹陥状部内に向けて嵌合状態で差し込まれる径方向内向きの半割れ鍔状の位置決め突部を有することが好ましい。
【0030】
このような構成によれば、半割れ鍔状の位置決め突部が段差面において凹陥状部内に向けて嵌合されることにより、比較的簡単な構成でカバー部材の取付位置を所定位置に適正に規制することができ、密閉空気層の気密性を向上させることができる。
【0031】
〔14〕また、前記カバー部材は、前記位置決め突部の先端面と前記胴部の外表面との間に隙間を形成するように構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、位置決め突部の先端面と継手本体の胴部の外表面との直接接触を回避することができる。これにより、カバー部材と継手本体内を流通する低温流体との伝熱作用を軽減することができ、カバー部材の冷却を軽減し、カバー部材の外表面における結露を緩和することができる。
【0032】
〔15〕また、前記継手本体は、透明樹脂材料により形成され、前記カバー部材は、前記受口の外表面に固定されるカバー部材の管軸方向の端面の位置が、前記受口の当り面の位置と同等となるように形成されていることが好ましい。
【0033】
このような構成によれば、受口の内表面と断熱配管の外表面との接着部がカバー部材により覆われないし、継手本体が透明部材により形成されているので、受口の内表面と断熱配管の差口の外表面との接着状態の良否を容易に判別することができる。
【0034】
〔16〕また、前記課題を解決する空調システムは、断熱配管よりなるドレン配管と、前記ドレン配管同志を接続する前記管継手とを備えたものである。
このような構成の空調システムによれば、ドレン配管の管継手として前記管継手を用いているので、ドレン配管の施工作業が容易化され、空調システムの施工作業をより一層容易化することができる。
【0035】
〔17〕また、このような空調システムにおいて、前記ドレン配管は、硬質性樹脂よりなるパイプ本体と、このパイプ本体の外表面を被覆する、独立気泡性の発泡樹脂材により形成された被覆層とを備えた断熱配管であって、前記被覆層は、外表面に形成される、非発泡の硬質の表層部と、この表層部の内周側の、発泡された内層部とからなり、前記表層部と前記内層部とが一体に形成されたものであることが好ましい。
【0036】
このような構成によれば、被覆層は独立気泡性の発泡樹脂材により形成されているので、被覆層に水分が吸収されることがなく、断熱性能を高く維持することができる。また、被覆層の外表面は、非発泡の硬質の表層部に形成されているので、引っ掻き傷がつきにくく、体裁が良い。
【0037】
〔18〕また、このような空調システムにおいて、前記ドレン配管における差口の外径と前記管継手における前記受口の内径とは、前記差口が前記受口に圧入される相関関係に形成され、前記差口は、前記受口に圧入された状態で接着剤により前記受口に接着されていることが好ましい。
【0038】
このような構成によれば、ドレン配管の差口が受口に圧入された状態で接着剤により受口に接着されているので、水漏れを回避することが容易である。特に、ドレン配管の被覆層を構成する発泡樹脂材と受口を構成する継手本体を構成する合成樹脂材とがポリ塩化ビニルの場合は、受口内において被覆層を形成する合成樹脂と継手本体を構成する合成樹脂とが接着剤により溶解・膨潤して融合するので、水漏がより一層確実に回避される。
【発明の効果】
【0039】
本管継手によれば、管継手の組み付け作業が容易化され、配管施工作業が全体として容易化される。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態に係る管継手について説明する。なお、本発明は、以下に記載する例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0042】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る管継手は、
図1(a)〜
図1(d)及び
図3に示すように断熱性能を有する断熱配管P、例えば、空調システムのドレン配管、の管路の途中でドレン配管同志を接続する異径チーズ1である。なお、以下の説明において、単に「
図1」というときは、
図1(a)〜
図1(d)を意味するものとする。
【0043】
図1〜
図4に示すように、異径チーズ1は、継手本体10の外側にカバー部材20を取り付けたものである。なお、本明細書において、異径チーズ1は、分岐受口12の突出する方向を上方とした場合において、接続されるべき断熱配管Pの管軸と垂直な方向を正面とする。また、異径チーズ1の説明において上下及び左右の方向をいうときは、この正面を基準とした方向をいうものとする。
【0044】
図5に示すように、断熱配管Pは、パイプ本体P1と、このパイプ本体P1の外表面を被覆する被覆層P2とからなる。パイプ本体P1は、硬質のポリ塩化ビニル系樹脂材料が用いられ、被覆層P2は、独立気泡性の塩化ビニル系発泡樹脂材により形成されている。
【0045】
被覆層P2の形成にはいくつかの方法がある。例えば、セルカプロセスが挙げられる。このセルカプロセスを採用した被覆層P2は、外周に形成される実質的に非発泡の硬質の、滑らかな表面を成す表層部P21と、この表層部P21の内周側の発泡された内層部P22とで構成されるものであり、表層部P21と内層部P22とが一体的に形成されている。
【0046】
次に、
図3及び
図6に示すように、異径チーズ1の継手本体10は、左右に主受口11をそれぞれ備え、主受口11の中間位置から上方に向かう分岐受口12を備えたものであって、左右対称的に形成されている。主受口11に接続される断熱配管Pは例えば呼び径30であり、分岐受口12に接続される断熱配管Pは例えば呼び径25である。また、
図3に示すように、異径チーズ1は、二つの主受口11及び分岐受口12の相互間を接続する胴部13を備えている。主受口11及び分岐受口12は、断熱配管Pにおける差口を挿入する部分である。
【0047】
また、
図3及び
図6に示すように、主受口11及び分岐受口12の口底部11a、12aには、段差状の壁部が形成され、この壁部の中央には断熱配管Pの内径と同径の孔部が開口されている。この壁部に開口される孔部は、胴部13の内部に形成された孔部に通ずるものである。また、この段差状に形成された壁部には、断熱板材14が接着され、断熱板材14の表面が断熱配管Pにおける差口の端面の当り面11b,12bを形成している。
【0048】
胴部13は、主受口11及び分岐受口12の口底部11a、12aに開口する孔部を内部に有する管状の部材であって、胴部13内に形成される孔部は口底部11a、12a間を連通する連通路15を形成している。連通路15の内径は、断熱配管Pの内径と同等に形成され、それぞれの受口に接続される断熱配管Pの内径との間で段差が生じないように構成されている。連通路15を形成する孔部は、正面から見てT字型に連通されている。
【0049】
胴部13は、上記のように略一定の肉厚の管状の壁体により連通路15を有するように構成されている。従って、管状を成す胴部13の外径は、隣接する受口の外径より小さく形成される。このため、胴部13の外表面と各受口の外表面との境界部に、接続すべき断熱配管Pの管軸に交差する方向の段差面16、17が形成され、受口間に延在する胴部13の外表面が凹陥状部に形成されている。
【0050】
図3及び
図6に示すように、主受口11及び分岐受口12は、差し込まれる断熱配管Pにおける差口を絞り嵌めするように、口底部11a,12aに向かって僅かに縮径するテーパー形状の孔部を成し、テーパー中央部の孔径が断熱配管Pにおける差口の外径寸法と同等となるように形成されている。なお、主受口11及び分岐受口12は、その外形も孔部と同様に胴部に向かって縮径するテーパー状に形成されており、入口から口底部11a,12aに至る間の壁厚はほぼ一定に形成されている。このように形成されているため、外表面に接着剤を塗布した断熱配管Pにおける差口を主受口11又は分岐受口12に対し挿入するときは、差口の端面が当り面11b,12bに当接するまで圧入する必要がある。
【0051】
継手本体10と断熱配管Pは、共にポリ塩化ビニル系樹脂材料により形成されている。これにより、主受口11及び分岐受口12に圧入された断熱配管Pにおける差口は、溶剤型接着剤(溶解性接着剤)を使用することにより、主受口11及び分岐受口12の内面を接着面として、溶解・膨潤を利用した接着が行われる。また、このような接着が行われることにより、主受口11及び分岐受口12内面における断熱配管Pの差口との接着部の水密性、及び、差口の接着保持性(主受口11及び分岐受口12において断熱配管Pががたつくことなく接着されること)が担保される。
【0052】
図7に示すように、主受口11及び分岐受口12は、外表面における段差面16,17の近傍に、深さに比し幅広の環状凹部18が形成されている。環状凹部18は、カバー部材20における接続すべき断熱配管Pの管軸方向の端部を受口の外表面に接着する際に接着剤を注入する注入部であり、接着剤を受口全周に行き渡らせることができるように構成されている。環状凹部18は、カバー部材20を接着剤により受口の外表面に接着する接着部を成す。
【0053】
図1及び
図3に示すように、カバー部材20は、半割状の円筒部がT字型に接合された形状である。また、
図3及び
図4に示すように、カバー部材20は、T字型の管軸方向の各端部が主受口11及び分岐受口12の外表面の環状凹部18の部分において、接着剤により接着されて取り付けられる。これにより、カバー部材20は、カバー部材20の内表面21と胴部13の外表面13aとの間に密閉空気層50を形成し、胴部13の外側を覆っている。
【0054】
図1及び
図2に示すように、カバー部材20は、受口に接続されるべき断熱配管Pの管軸を含む平面において前後に二分割されている。すなわち、カバー部材20は、前後に二分割されたカバーであって、背面側に位置する第1分割カバー30と、正面側に位置する第2分割カバー40とから構成されている。
【0055】
図8(a)〜
図8(e)に示すように、第1分割カバー30は、第2分割カバー40との分割面であり、かつ、カバー部材20として組み付けるときに第2分割カバー40との接着面を成す分割端面31には、分割端面31の肉厚の約1/3に相当する厚みの溝部32が形成されている。
【0056】
図8(a)に示すように、分割端面31は、下方の直線状の第1端面31aと、左上方の逆L字状の第2端面31bと、右上方のL字状の第3端面31cとを有し、それぞれの端面に溝部32が形成されている。
図4における部分拡大図に示すように、この溝部32は、後述する第2分割カバー40の分割端面41に形成される突条部42を内部に嵌合するものである。そして、溝部32の底面と突条部42の先端面との間には、隙間が形成されている。この隙間は、第1分割カバー30と第2分割カバー40とを接着するときに接着剤を流通させる接着剤流路22を成す。
【0057】
図3及び
図8(a)から分かるように、直線状の第1端面31aに形成されている溝部32は、第1分割カバー30の右側端面に開口し、左側端面には開口せずに左側端面近傍にて主受口11の環状凹部18に開口する分岐路が形成されている。逆L字状の第2端面31bに形成されている溝部32は、第1分割カバー30の左側端面に開口し、上側端面には開口せずに上側端面近傍にて分岐受口12の環状凹部18に開口する分岐路が形成されている。L字状の第3端面31cに形成されている溝部32は、第1分割カバー30の上側端面に開口し、右側端面には開口せずに右側端面近傍にて分岐受口12の環状凹部18に開口する分岐路が形成されている。
【0058】
一方、第1分割カバー30に組み合わされる第2分割カバー40は、溝部32に対応して突条部42を形成する以外は、第1分割カバー30と前後対象的に形成されている。すなわち、
図9(a)〜
図9(e)に示すように、第1分割カバー30との分割面であり、かつ、カバー部材20として組み付けるときに第1分割カバー30との接着面を成す分割端面41には、分割端面41の肉厚の約1/3に相当する厚みの突条部42が形成されている。
【0059】
突条部42は、
図4に示すように溝部32内に嵌合される。また、分割端面41は、
図9(d)に示すように、第1分割カバー30の第1端面31a、第2端面31b及び第3端面31cに対応する端面として、第4端面41a、第5端面41b及び第6端面41cが形成されている。
【0060】
また、
図3及び
図8(a)に示すように、第1分割カバー30は、胴部13の外表面13aと各受口の外表面との境界部に形成された接続すべき断熱配管Pの管軸に交差する方向の段差面16、17に対し、凹陥状部内に向けて嵌合状態で差し込まれる位置決め突部33を有する。なお、
図3からよく分かるように、位置決め突部33の先端面と胴部13の外表面との間には、位置決め突部33の先端面が胴部13の外表面に直接触れることがないように隙間が形成されている。同様に、第2分割カバー40は、
図9(a)〜(e)から分かるように位置決め突部33に相当するものとして、段差面16、17に対し凹陥状部内に向けて嵌合状態で差し込まれる位置決め突部43を有する。この位置決め突部43も、位置決め突部33と同様、先端面が胴部13の外表面に直接触れることがないように位置決め突部43の先端面と胴部13の外表面との間には隙間が形成されている。
【0061】
上記のように構成された第1分割カバー30及び第2分割カバー40は、位置決め突部33及び位置決め突部43を段差面16、17の内側に対し凹陥状部内に向けて嵌合状態で差し込むことにより、継手本体10を前後方向から挟み込むように組み付けられる。このとき、第2分割カバー40の突条部42が第1分割カバー30の溝部32内に嵌合される。この結果、第1分割カバー30と第2分割カバー40との突き合わせ接着面が3カ所に分割されて形成され、各突き合わせ接着面毎に溝部32内に接着剤流路22が形成される。
【0062】
各突き合わせ接着面毎に形成される接着剤流路22は、一端がカバー部材20の端面で解放され、他端が環状凹部18に開口するように形成されている。
図3から分かるように、具体的には、正面から見て下方の突き合わせ接着面における接着剤流路22は、一端がカバー部材20の右側端面に開口し、他端が左側の主受口11の環状凹部18に開口する。また、正面から見て左上方部の突き合わせ接着面における接着剤流路22は、一端がカバー部材20の左側端面に開口し、他端が上方の分岐受口12の環状凹部18に開口する。また、正面から見て右上方部の突き合わせ接着面における接着剤流路22は、一端がカバー部材20の上側端面に開口し、他端が右側の主受口11の環状凹部18に開口する。
【0063】
図1におけるB部、C部、及びD部は、それぞれ拡大すると
図10(a)、(b)、(c)に示すようになっており、接着剤流路22がカバー部材20の端面において開口する開口部を示している。この接着剤流路22の開口部は、第1分割カバー30と第2分割カバー40とを組み合わせた後に、接着剤を注入する際の注入口となる。なお、接着剤注入器としては針状の注入部を備えたものが用いられ、注入部の先端が開口部から接着剤流路22内に差し込まれる。
【0064】
また、
図11に示すように、カバー部材20は、継手本体10に取り付けられた状態においては、カバー部材20における管軸方向の左右及び上方の端面の位置X(
図11の場合はカバー部材20の右側端面の位置X)が受口の当り面11b,12b(
図11の場合は当り面11b)と略一致するように構成されている。したがって、各受口が透明部材により構成されているので、内部の断熱配管Pの差口と各受口との接着状態が外部から十分に観察できるように構成されている。
【0065】
また、
図11に示すように、受口の外表面に固定されるカバー部材20の端縁は、環状凹部18から受口の入口側に位置する外表面に食み出さないように構成されている。そして、カバー部材20の端縁及び環状凹部18の端縁は、カバー部材20における管軸方向の端縁と環状凹部18の端縁との間に隙間Sを形成するように、角部がカットされている。この隙間Sは、表面張力により環状凹部18内に注入された接着剤の流出が回避できる程度に構成されている。環状凹部18は、カバー部材20における管軸方向の端部を受口の外表面に接着させるためのものであって、接着剤流路22の一端が環状凹部18に開口しているので、接着剤流路22に注入された余剰の接着剤が環状凹部18に流れ込むように構成されている。しかし、この方法の注入のみでは、環状凹部18への接着剤の注入が不十分となる。そのために隙間Sが設けられている。隙間Sは、針状の注入部を備えた接着剤注入器60により環状凹部18へ接着剤を直接的に注入できるようにするためのものである。
【0066】
カバー部材20は、継手本体10と同一のポリ塩化ビニル系樹脂材料により構成されている。したがって、分割端面31,41の溝部32と突条部42との接着、及び、環状凹部18におけるカバー部材20と継手本体10の受口外表面との接着は、それぞれ溶剤型接着剤(溶解性接着剤)により、接着面の溶解・膨潤を利用した接着が行われている。
【0067】
(作用)
次に、本管継手の作用説明として、異径チーズ1の組み付け作業、及び、異径チーズ1を用いた断熱配管Pの接続作業について説明する。
【0068】
異径チーズ1の組み付け作業は、予め準備された、継手本体10とカバー部材20とを用いて、次のように行われる。
先ず、第1分割カバー30及び第2分割カバー40の位置決め突部33及び位置決め突部43を継手本体10の段差面16、17の内側に対し凹陥状部内に向けて嵌合状態で差し込み、両分割カバーが継手本体10を前後方向から挟み込むように、両分割カバーを組み付ける。この組み付けにより、両分割カバーの3カ所の分割端面同志の接着部それぞれにおいて、第2分割カバー40の突条部42が第1分割カバー30の溝部32内に嵌合され、各接着部に接着剤流路22が形成される。各接着部の接着剤流路22は、一端がカバー部材20の端面に開口し、他端がカバー部材の端部と受口の外表面との接着部を形成する環状凹部18に開口するように、独立的に形成される。また、カバー部材における断熱配管Pの管軸方向の端部と受口の外表面との接着部においては、カバー部材20の端縁と環状凹部18の端縁との間に隙間Sが形成される。
【0069】
次に、各接着部の接着剤流路22において、針状の注入部を備えた接着剤注入器60を使用して、カバー部材20における断熱配管Pの管軸方向の端面に開口する開口部から溶解性接着剤を接着剤流路22内に注入する。この注入により接着剤流路22から溢れた接着剤は、環状凹部18内へ流出する。ただし、この流出作用により環状凹部18に対し所要の接着剤を注入するには時間がかかりすぎるので、各環状凹部18に対しては隙間Sから接着剤を注入する。この注入の場合にも、先ほどの接着剤注入器60が使用される。この注入を行うことにより、各接着剤流路22において両分割カバーの接着が行われ、各環状凹部18において接着されたカバー部材20と継手本体10との接着が行われる。それぞれの接着は、接着面の溶解・膨潤を利用した強固な接着となる。
【0070】
上記のように組み付けられた管継手に対し、断熱配管Pの接続作業は次のように行われる。
断熱配管Pとしては、前述のように、硬質のポリ塩化ビニル系樹脂材料からなるパイプ本体P1の外表面に独立気泡性の塩化ビニル系発泡樹脂材からなる被覆層P2を備えたものが使用される。そして、接続すべき断熱配管Pの差口に溶解性接着剤を塗布し、溶解性接着剤の塗布された断熱配管Pの差口を主受口11及び分岐受口12に順次挿入する。この挿入は、断熱配管Pにおける差口の先端が当り面11b,12bに当接するように絞り嵌め状態で圧入する。このように圧入すると、受口にはテーパが形成されているので、余剰の接着剤は、入口側に逃げる。また、断熱配管Pにおける差口は、絞り嵌め状態で押し込まれるので、接着までの間に動かないように設定される。これにより、断熱配管Pにおける差口は、所定の時間が経過した時点で所定の状態に接着される。なお、この接着も、接着面の溶解・膨潤を利用した強固な接着となる。また、この接着において、継手本体10の受口が透明であるとともに、カバー部材20の端部が当り面11b,12bに一致するように形成されているので、各受口内における断熱配管Pの差口の接着状態を容易に観察することができる。
【0071】
(実施の形態1の効果)
本実施の形態1に係る管継手は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
【0072】
(1)断熱配管Pを接続する継手本体10に対し、継手本体10の外側からカバー部材20を組み付けることにより密閉空気層50からなる断熱層を形成することができる。したがって、管継手(この場合は異径チーズ1)の組み付け作業を容易化し、断熱配管Pを用いた配管施工作業を全体として容易化することができる。
【0073】
(2)カバー部材20は、主受口11又は分岐受口12の外表面に対し接着剤により接着されるので、カバー部材20を容易に気密に取り付けることができ、密閉空気層50を容易に形成することができる。
【0074】
(3)カバー部材20の取り付けにより、胴部13の外表面の凹陥状部を密閉空気層50として容易に形成することができる。また、カバー部材20も平面的な形状とすることができるので、カバー部材20を簡素化することができる。
【0075】
(4)受口の当り面11b,12bに断熱板材14が取り付けられているので、断熱配管Pによる継手本体10の冷却が緩和され、継手本体10の外表面における結露が緩和される。また、断熱板材14が独立発泡性樹脂で形成されているので、断熱板材14への水等の流体の浸入が回避され、継手本体10の冷却がより一層緩和される。
【0076】
(5)カバー部材20は、第1分割カバー30ーと第2分割カバー40との2個の分割カバーにより構成されているので、対象的な構造とすることができ、分割カバーの製作が容易になる。
【0077】
(6)第1分割カバー30ーと第2分割カバー40との接着部は、接着剤流路22により接着剤を行き渡らせることができ、接着されるべき2個の分割カバーを効率よく接着することができる。
【0078】
(7)継手本体10、カバー部材20、及び、断熱配管Pは、何れもポリ塩化ビニル系樹脂材料で形成されているので、相互の接着部を溶剤型接着剤(溶解性接着剤)により接着することができる。これにより、各接着面を溶解膨潤させることができ、接着保持性(がたつくことなく接着すること)を担保することができるので、密閉空気層の気密性を容易に確保することができる。
【0079】
(8)継手本体10に対し外側から第1分割カバー30ーと第2分割カバー40とを組み合わせ状態に仮止めした後、接着剤流路22及び環状凹部18に対し針状の注入部を有する接着剤注入器60により接着剤を注入しているので、接着剤の漏れを少なくし、効率良く所定個所に接着剤を注入することができる。
【0080】
(9)また、カバー部材20の端縁と環状凹部18の端縁との間の隙間Sを、表面張力により環状凹部18内の接着剤の流出が回避される程度であり、かつ、接着剤注入器における針状の注入部を外部から前記環状凹部内へ挿入可能とする程度としている。したがって、環状凹部18内へ直接注入により、注入時間を短縮することができる。環状凹部18内へ注入された接着剤が、隙間Sから主受口11の入口側外表面へ漏洩することが抑制される。
【0081】
(10)胴部13と受口との境界部に位置する段差面16,17において、カバー部材20の位置決め突部33,43が胴部13の外表面の凹陥状部内に向けて外側から嵌合状態で差し込むことにより、カバー部材20を所定位置に適正に取り付けることができる。これにより、密閉空気層50の気密性を向上させることができる。
【0082】
(11)カバー部材20の位置決め突部33,43の先端面と胴部13の外表面との間に隙間が形成されるので、カバー部材20と継手本体10内を流通する低温流体との伝熱作用を軽減することができ、カバー部材20の冷却を軽減し、カバー部材20の外表面における結露を緩和することができる。
【0083】
(12)主受口11又は分岐受口12の内表面と断熱配管Pの外表面との接着部がカバー部材20により覆われないし、継手本体10が透明部材により形成されているので、受口の内表面と断熱配管Pの差口の外表面との接着状態の良否を容易に判別することができる。
【0084】
(実施の形態2〜実施の形態4に関する共通的事項)
以下に他の実施の形態について説明するが、実施の形態2〜実施の形態4は、管継手の形式の相違に関連する点でのみ実施の形態1と異なるが、他の点については実施の形態1に準じた構成である。そこで、これら実施の形態の説明を簡略化するために、各実施の形態に係る図面においては、実施の形態1に対応する部分に同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。なお、以下に説明する実施の形態2〜実施の形態4に係る管継手は、実施の形態1に係る管継手と同様の作用効果を奏するものである。
【0085】
(実施の形態2)
図12及び
図13に実施の形態2に係る管継手を示す。
図12に示すように、実施の形態2に係る管継手は、同径の断熱配管Pを直線状に繋ぐソケット101である。また、このソケット101の場合は、接続すべき断熱配管Pの管軸と垂直な方向を正面とする。
【0086】
ソケット101の継手本体10は、左右に同径の主受口11を備えたものであって、分岐受口12を備えていない点で実施の形態1の場合と異なる。したがって、胴部13は、直線状の肉厚一定の管状を成し、その外表面が凹陥状部に形成されている。
【0087】
カバー部材20は、
図13に示すように、胴部13の外表面の凹陥状部を密閉空気層50とするように、継手本体10の外側に取り付けられている。カバー部材20は、主受口11の外表面に形成されている環状凹部18において接着されている。
図13に示すように、カバー部材20は、前後に分割されたものであって、背面側に位置する第1分割カバー30と、正面側に位置する第2分割カバー40とが、分割面で接着されている。したがって、
図12及び
図13に示すように、この場合の接着面は、下方に形成される直線状の第1端面31a及び第4端面41aと、上方に形成される直線状の第2端面31b及び第5端面41bとなる。
【0088】
この実施の形態に係るソケット101は、継手本体10及びカバー部材20の材料、主受口11の形状、カバー部材20を継手本体10に対し接着する接着部の構造、第1分割カバー30における溝部32の構造、第2分割カバー40における突条部42の構造等は実施の形態1に準じたものである。したがって、分割カバー同志の接着構造及び接着方法や、主受口11内における断熱配管Pの差口の接着構造及び接着方法も実施の形態1に準じたものである。
【0089】
(実施の形態3)
図14及び
図15に実施の形態3に係る管継手を示す。
図14に示すように、実施の形態3に係る管継手は、実施の形態2の場合と同様のソケットであるが、左右に形成される主受口11の径が相違する異径ソケット102である。この実施の形態においては、左側の主受口11に接続される断熱配管Pの径が小さくなっている。
【0090】
従って、実施の形態2と比較すると、胴部13が右方から左方に向かって縮径し、これに整合するように、カバー部材20も右方から左方に向かって縮径するように構成されている。その他の点は、実施の形態2と同様である。
【0091】
(実施の形態4)
図16及び
図17に実施の形態4に係る管継手を示す。
図16に示すように、実施の形態4に係る管継手は、実施の形態2の場合と異なりエルボ103である。このエルボ103の場合は、一方の主受口11を右方に向かって開放するようにし、他方の主受口11を下方に向かって開放するようにした状態において、接続すべき断熱配管Pの管軸と垂直な方向を正面とする。
【0092】
継手本体10は、二つの主受口11と、この主受口11間を連結する、正面から見て略L字状の胴部13を有する。胴部13は、正面から見たL字状の曲り部の内径側が略直角状に曲げられ、外径側が円弧状となるように形成されている。また、胴部13は、このように曲げられた肉厚略一定のものであって、その外表面が凹陥状部に形成されている。
【0093】
カバー部材20は、
図16に示すように、略L字状に曲がる胴部13の外表面の凹陥状部を密閉空気層50とするように、継手本体10の外側に取り付けられている。
図17に示すように、カバー部材20は、前後に分割されたものであって、背面側に位置する第1分割カバー30と、正面側に位置する第2分割カバー40とが、分割面で接着されている。このカバー部材20は、正面から見てL字状の曲り部の内側は直角形状を成し、外側は円弧状を成している。したがって、
図16及び
図17に示すように、この場合の接着面は、曲り部内側に形成されるL字状の第1端面31a及び第4端面41aと、曲り部外側に形成される円弧状の第2端面31b及び第5端面41bとなる。
【0094】
この実施の形態に係るエルボ103の場合も、実施の形態2の場合と同様に、継手本体10及びカバー部材20の材料、主受口11の形状、カバー部材20を継手本体10に対し接着する接着部の構造、第1分割カバー30における溝部32の構造、第2分割カバー40における突条部42の構造等は実施の形態1に準じたものである。したがって、分割カバー同志の接着構造及び接着方法や、主受口11内における断熱配管Pの差口の接着構造及び接着方法も実施の形態1に準じたものである。
【0095】
なお、このように構成されているので、胴部13における曲り部の内側は、温度変化による熱歪の影響を受け易く、強度が問題となり易いが、カバー部材20がこの部分の強度を補強する機能も兼ね備えている。
【0096】
(実施の形態5〜実施の形態8に関する共通事項)
この実施の形態5〜実施の形態8に係る管継手は、実施の形態1〜実施の形態4に係る管継手の弱点を改善しようとしたものである。
【0097】
すなわち、実施の形態1〜実施の形態4に係る管継手の場合は、胴部13の外表面13aと各受口の外表面との境界部に形成された段差面16、17に対し、位置決め突部33が凹陥状部内に向けて嵌合されていた。このために、内部を流通する流体により冷却された段差面16、17を形成する壁体がカバー部材20に直接接触する構造を成すため、カバー部材20が冷却され易く、カバー部材20の外表面に結露が生じやすいという弱点があった。
【0098】
これに対し、実施の形態5〜実施の形態8に係る管継手は、カバー部材20の内表面21と胴部13の外表面13aとの間に形成される密閉空気層50を、胴部13の外周側からカバー部材20の内表面21と主受口11における円筒状部の外表面との間へ延びるように形成している。また、実施の形態5〜実施の形態8に係る管継手は、密閉空気層50をこのように構成するとともに、カバー部材20と継手本体10との接触が必要となる、カバー部材20の位置決め部の位置及びカバー部材20と主受口11の外表面との接着部の位置を、胴部13から離すようにしている。
【0099】
なお、これら実施の形態においては、密閉空気層50を、胴部13の外周側からカバー部材20の内表面21と主受口11における円筒状部の外表面との間へ延びるように形成することにより、カバー部材20が受口の外周側に被る。このため、受口内における接続すべき断熱配管Pの接着状況を確認できるようにするために、継手本体10のみならずカバー部材20も透明樹脂材としている。
【0100】
以下、実施の形態5〜実施の形態8に係る各管継手について、実施の形態1〜実施の形態4に係る管継手との相違点を中心に説明する。なお、以下に説明する各実施の形態に係る図面において、実施の形態1に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0101】
(実施の形態5)
図18及び
図19に実施の形態5に係る管継手を示す。
実施の形態5に係る管継手は、実施の形態4と同様のエルボである。実施の形態5に係るエルボ201は、実施の形態4のエルボ103において、カバー部材20の位置決め部の位置及び構造を変更するとともに、カバー部材20の端部と継手本体10との接着部の構造を変更したものである。
【0102】
図18及び
図19に示すように、本実施の形態において、カバー部材20の位置決め部の位置は、両主受口11の円筒状部における外表面の中間位置とされている。
このようにするために、継手本体10は、実施の形態1〜4における位置決め突部33に代わり、両主受口11の円筒状部における外表面の適宜の中間位置に、径方向外方に向け鍔状に突出する位置決め用の第1係合部211を有している。
【0103】
一方、カバー部材20は、背面側に位置する第1分割カバー30と、正面側に位置する第2分割カバー40とが分割面で接着されている基本的な構造は同一であるが、実施の形態1〜実施の形態4における位置決め突部33,43に代わり、径方向内方に突出する位置決め用第2係合部212を備えている。第2係合部212は、カバー部材20の管軸方向の端部に形成された一定の厚みを備えた厚肉部である。そして、継手本体10に対するカバー部材20の位置決めは、第2係合部212における管軸方向における胴部13側の側面を、第1係合部211における断熱配管Pを挿入する入口側の側面に当接係合させることにより行われている。このように、本実施の形態における継手本体10とカバー部材20とは、このような位置決め構造部を備えている。
【0104】
また、カバー部材20の端部を厚肉部とした第2係合部212は、半割り円筒形状を成し、主受口11の円筒状部の外表面と同等の半径を備えた内表面213を有する。そして、この内表面213に対向する主受口11の外表面の円筒状部には、内表面213を主受口11の外表面に接着するための環状凹部18が形成されている。さらに、第2係合部212を構成するカバー部材20の端部と環状凹部18とは、ここでは拡大図を図示しないが、実施の形態1に関して
図11で説明したのと同様の要領で、内表面213と環状凹部18との隙間に接着剤を注入できるように構成されている。このように、本実施の形態におけるカバー部材20と主受口11の外表面とは、内表面213が環状凹部18に対し接着される構造の接着部を備えている。
【0105】
実施の形態5に係る管継手は、以上のように構成されているので、カバー部材20の取付位置を設定する位置決め部及びカバー部材20と継手本体10との接着部などの、カバー部材20と継手本体10との接触位置と、胴部13とが、密閉空気層に触れる主受口11の円筒部を構成する壁を介して離されている。これにより、カバー部材20の外表面の冷却を抑制し、結露を緩和することができる。なお、この実施の形態においては、主受口11の円筒部を構成する壁体の長の範囲内で、カバー部材20と継手本体10との接触位置を適宜選定することができる。
【0106】
(実施の形態6)
図20及び
図21に実施の形態6に係る管継手を示す。
実施の形態6に係る管継手は、実施の形態5と同様のエルボである、本実施の形態に係るエルボ202は、実施の形態5のエルボ201において、樹脂成型加工上のヒケを回避するために、第2係合部212のコーナー部を肉抜き部214とし、これによりカバー部材20の端部の厚みの調整を行ったものである。この結果、カバー部材20の端部は、鍵型に屈曲したような形状となっており、この形状に合わせるように、第1分割カバー30の端部における溝部32、及び、第2分割カバー40の端部における突条部42の形状を鍵型に屈曲させている。なお、その他の構成は実施の形態5と同一である。
【0107】
(実施の形態7)
図22〜
図26に実施の形態7に係る管継手を示す。
図22〜
図24に示すように、実施の形態7に係る管継手は、実施の形態2と同様のソケットである。実施の形態7に係るソケット203は、実施の形態2のソケット101において、カバー部材20の位置決め部及びカバー部材20と継手本体10との接着部を、主受口11の外表面における入口側の口縁付近に集めたものである。すなわち、実施の形態7に係るソケット203は、カバー部材20と主受口11の外表面との間に延びる密閉空気層50を主受口11の外周側略全域にわたるようにするとともに、カバー部材20の位置決め部及び接着部の位置を胴部13からできるだけ離すように構成している。実施の形態7に係るソケット203は、このような構成とすることによりカバー部材20の外表面における結露をより緩和するようにしたものである。
【0108】
このようにするために、継手本体10は、両主受口11の口縁に径方向外側に突出する鍔状突部221が設けられている。また、鍔状突部221は、断熱配管Pの管軸方向側に位置する両側面が、管軸と略垂直を成す形状に形成されている。
【0109】
また、継手本体10は、左右の両鍔状突部221の管軸方向中央側に、主受口11の外表面から径方向外方に突出する位置決め用の第1係合部211がそれぞれ設けられている。この第1係合部211は、実施の形態1〜4における位置決め突部33に代わり設けられたものであって、鍔状突部221の側面に連結されている。
【0110】
一方、カバー部材20は、継手本体10に対し、両端の鍔状突部221間に収まる略半割り円筒形状に形成されたものであって、その内表面21には径方向内方に突出する位置決め用第2係合部212が設けられている。なお、この実施の形態における第1係合部及び第2係合部と、実施の形態5及び実施の形態6における第1係合部及び第2係合部とは、構造が少し異なるが、カバー部材20の位置決めをする点において共通の機能を有するので、同一の名称及び符号を付している。
【0111】
図22に示すように、カバー部材20は、第2係合部212の側面を、より具体的には第2係合部212における、主受口11の入口側の側面を、左右の第1係合部211間に嵌合させるように取り付けられる。ソケット203は、このような構成を位置決め部の構成としている。また、カバー部材20及び継手本体10は、カバー部材20がこのように取り付けられた状態において、カバー部材20の半割り円筒部の内表面21の端部が第1係合部211の外表面に外側から重なるように設定されている。また、カバー部材20の略半割り円筒部の外径寸法及び厚み、第1係合部211の径方向の高さ、並びに、鍔状突部221の外表面の外径寸法は、カバー部材20が取り付けられた状態において、カバー部材20の外表面と鍔状突部221の外表面とが略同一となるように構成されている。
【0112】
また、
図22における部分拡大図に示すように、カバー部材20及び継手本体10は、カバー部材20がこのように取り付けられた状態において、カバー部材20の端面と鍔状突部221の管軸方向胴部側の側面222とが、所定寸法Lの隙間を保持して対面するように設定されている。カバー部材20と主受口11の外表面との接着部は、このような構造を備えたものであって、
図22における部分拡大図に図示するように、カバー部材20の端面と側面222の隙間に接着剤注入器60を使って接着剤が注入され、これにより両社が接着されるように構成されている。
【0113】
図22における部分拡大図、
図25及び
図26に示すように、本実施の形態における接着剤流路22は、一端において、鍔状突部221の管軸方向胴部側の側面222に突設された直方体形状の連結突部223、及びその内部に形成された連結孔224を介して外部に開口するように構成されている。
【0114】
より詳しく述べると、
図25及び
図26から分かるように、第1分割カバー30の溝部32の連結突部223側の末端は、連結突部223を背面から収納可能とする大型溝部225とされている。そして、
図26から分かるように、連結突部223の先端面が大型溝部225と溝部32との段付き境界面に当接するように構成されている。また、
図25から分かるように、連結孔224の位置及び横断面の大きさは、接着剤流路22の横断面の大きさより大きく形成されるとともに、接着剤流路22の横断面全体と連結するように構成されている。
【0115】
一方、
図22に示すように、接着剤流路22は、他端において、カバー部材20の端面と鍔状突部221の管軸方向胴部側の側面222とを接着する接着部、すなわち、カバー部材20の端面と鍔状突部221の側面222との間へ連通するように構成されている。
【0116】
実施の形態7に係る管継手は、以上のように構成されているので、カバー部材20の取付位置を設定する位置決め部及びカバー部材20と継手本体10との接着部などの、カバー部材20と継手本体10との接触部の位置と胴部13とが、密閉空気層に触れる主受口11の円筒部を構成する壁を介してできるだけ離れるように構成されている。実施の形態7に係る管継手は、このようにしてカバー部材20の外表面の冷却を抑制し、結露を緩和している。
【0117】
(実施の形態8)
図27〜
図31に実施の形態8に係る管継手を示す。
図27〜
図29に示すように、実施の形態8に係る管継手は、実施の形態7と同様のソケットである。実施の形態8に係るソケット204は、実施の形態7に係るソケット203と同様にカバー部材20の結露を緩和する。このために、ソケット204は、継手本体10に対するカバー部材20の取付位置を設定するための位置決め部及びカバー部材20を主受口11の外表面に接着するための接着部を主受口11の入口側の口縁付近に集め、カバー部材20と継手本体10とのこれら接触部を胴部13からできるだけ離すようにしたものである。しかしながら、実施の形態8に係る管継手は、実施の形態7のものと比較して製作を容易にするために、カバー部材20と主受口11の外表面とを接着するための接着部の構造を変更している。なお、以下の説明において、実施の形態7と共通する部分には、同一の符号を付し、その説明を簡略化又は省略する。
【0118】
図27に示すように、実施の形態8に係るソケット204の継手本体10は、実施の形態7と同様に、左右の両主受口11の口縁に径方向外側に突出する鍔状突部221が設けられている。また、本実施の形態における鍔状突部221は、管軸方向における配管を挿入する入口側の側面231が管軸と略垂直を成す形状に形成される一方、管軸方向における胴部13側の側面232が、管軸に向かって傾斜する傾斜面に形成されている。
【0119】
また、継手本体10は、両鍔状突部221の管軸方向における胴部13側に、主受口11の外表面から径方向外方に突出する位置決め用の第1係合部211がそれぞれ設けられている。これら第1係合部211は、実施の形態1〜4における位置決め突部33に代わり設けられたものであって、傾斜を成す側面232の最下点より管軸に近い部分で鍔状突部221と結合し一体化されている。
【0120】
一方、カバー部材20は、継手本体10に対し、両端の鍔状突部221間に収まる略半割り円筒形状に形成されたものであって、その内表面21には径方向内方に突出する位置決め用第2係合部212が設けられている。なお、この実施の形態における第1係合部及び第2係合部と、実施の形態7における第1係合部及び第2係合部とは、寸法及び位置が少し異なるが、構造及び機能の点でほぼ同一である。
【0121】
このカバー部材20は、実施の形態7の場合と同様に、両第2係合部212における、主受口11の入口側の側面が、左右の第1係合部211間に嵌合させるように取り付けられる。ソケット204は、このような構成を位置決め部の構成としている。また、カバー部材20及び継手本体10は、カバー部材20がこのように取り付けられた状態において、カバー部材20の半割り円筒部の内表面21の端部が第1係合部211の外表面に外側から重なるように設定されている。また、カバー部材20の略半割り円筒部の外径寸法及び厚み、第1係合部211の径方向の高さ、並びに、鍔状突部221の外表面の外径寸法は、カバー部材20が取り付けられた状態において、カバー部材20の外表面と鍔状突部221の外表面とが略同一となるように構成されている。
【0122】
また、
図27における部分拡大図に示すように、カバー部材20の端面233は、カバー部材20がこのように取り付けられた状態において、鍔状突部221の胴部13側の傾斜を成す側面232と所定寸法Lの隙間を保持して対面するような傾斜面に設定されている。カバー部材20と主受口11の外表面とは、
図27における部分拡大図に図示するように、鍔状突部221の胴部13側の側面232とカバー部材20の端面233との隙間に対し、接着剤注入器60から接着剤が注入されることにより接着される。
【0123】
図27における部分拡大図、
図30及び
図31に示すように、本実施の形態における接着剤流路22は、一端において、鍔状突部221の管軸方向中央側の側面232に突設された連結突部223と、連結突部223の表面中央部から鍔状突部221の入口側の側面231に貫通する連結孔224とにより外部に開口するように構成されている。連結突部223は、高さが隙間の寸法Lと同等に形成されるとともに、平面形状が矩形状に形成されている。
【0124】
このように構成するために、
図27の拡大図に示すように、カバー部材20の端面233は、連結突部223の表面に当接するように構成されている。また、
図30及び
図31に示すように、連結孔224の位置及び横断面の大きさは、接着剤流路22の横断面の大きさより大きく形成されるとともに、接着剤流路22の横断面全体と連結するように構成されている。また、連結突部223の表面形状及び大きさは、カバー部材20の端面233と連結突部223の表面との当接により、接着剤流路22と連結孔224との連通を保持できる程度に形成されている。本実施の形態はこのように接着部が構成されているので、鍔状突部221の側面231から接着剤注入器60を使って接着剤を接着剤流路に注入する場合に、端面233と連結突部223の表お面との間から接着剤が漏れないように構成されている。
【0125】
一方、
図27に示すように、接着剤流路22は、他端において、カバー部材20の端面233と鍔状突部221の管軸方向胴部側の側面232とを接着する接着部、すなわち、カバー部材20の端面と鍔状突部221の管軸方向胴部側の側面222との間に接続されている。
【0126】
(実施の形態9…本管継手を適用したシステム例)
次に、
図32に基づき実施の形態9について説明する。実施の形態9は、本管継手を空調システムのドレン配管に適用した例を示す。
【0127】
図32に示す空調システムは、事務所ビル等の建物70に取り付けられるビル用マルチエアコンシステムである。建物屋上に室外ユニット71が設置され、室外ユニット71に対し、複数の室内ユニット72が冷媒配管73により接続されている。室内ユニット72は、天井74に埋め込まれる天井埋め込み型エアコンである。室内外を接続する冷媒配管73は、各室内ユニット72から天井裏を経て建物70のシャフト75内に集合され、建物70の屋上に設置されているハト小屋76から室外ユニット71へ導かれている。
【0128】
室内ユニット72で発生したドレンは、各室内ユニット72に設置されているドレンポンプにより排出される。各室内ユニット72からドレンを排出する排出管77は、実施の形態1に係る異径チーズ1により、天井内に配設されている横走り管78に接続され、異径チーズ1、エルボ103等によりシャフト75内に配設された縦走りの集合配管79に接続されている。各室内から排出されるドレンは、このような縦走りの集合配管79により屋外に排出される。この実施の形態に示されるように、一般のオフィスビルに設置されている空調システムにおけるドレン配管は、排出管77、横走り管78、縦走りの集合配管79等からなり、これらドレン配管同志が異径チーズ1、エルボ103等により接続されている。
【0129】
このような構成の空調システムによれば、ドレン配管の施工現場においては配管及び管継手を断熱処理する必要がなく作業工数を低減することができる。
また、断熱機能を持たせた管継手の組み付け作業は従来に比し容易化されるので、空調システムの作業工数が全体として軽減される。
【0130】
また、ドレン配管は、硬質性樹脂よりなるパイプ本体P1の外表面に、独立気泡性の発泡樹脂材により形成された被覆層P2を備えているので、被覆層P2に水分が吸収されることがなく、断熱性能を高く維持することができる。また、被覆層P2の外表面は、実質的に非発泡の硬質の表層部に形成されているので、引っ掻き傷がつきにくく、体裁が良い。
【0131】
また、ドレン配管の差口が受口に圧入された状態で接着剤により受口に対し接着されるので、水漏れを回避することが容易である。特に、ドレン配管の被覆層P2を構成する発泡樹脂材と受口を構成する継手本体10を構成する合成樹脂材とがポリ塩化ビニルの場合は、受口内において被覆層P2を形成する合成樹脂と継手本体10を構成する合成樹脂とが接着剤により溶解・膨潤して融合するので、水漏がより一層確実に回避される。
【0132】
(変形例)
上記の各実施の形態に関する説明は、本発明に従う管継手が取り得る形態の例示であり、その形態に制限されるものではない。なお、相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0133】
(1)また、実施の形態5及び6に示した、カバー部材20の位置決め部及びカバー部材20と主受口11の外表面との接着部の構造を、実施の形態1の異径チーズ1,実施の形態2のソケット101、実施の形態3の異径ソケット102に適用し、密閉空気層50をカバー部材20と主受口11の外表面との間へ延ばすようにしてもよい。同様に、実施の形態7及び8に示した、カバー部材20の位置決め部及びカバー部材20と主受口11の外表面との接着部の構造を、実施の形態1の異径チーズ1,実施の形態3の異径ソケット102、実施の形態4のエルボ103に適用し、密閉空気層50をカバー部材20と主受口11の外表面との間へ延ばすようにしてもよい。
【0134】
(2)本管継手の技術的思想は、上記実施の形態に示した一部の継手にのみ適用されるものではなく、他の型式の管継手、例えば、主受口11と分岐受口12の径が同一なチーズ、45°エルボ、Y字型管継手、異径エルボなどにも適用できることは勿論である。
【0135】
(3)各実施の形態において、カバー部材20は接続すべき断熱配管Pの管軸を含む平面において、前後に2分割されていたが、カバー部材20の製作組立に支障をきたさない範囲において、分割部を変更してもよく、また、分割個数を3分割以上としてもよい。例えば、第1実施の形態において、分岐受口12周囲の部分、すなわち、上下方向に管状を成す部分と、主受口11間を繋ぐ水平方向の管状を成す部分とを別部材とするように2分割してもよい。また、さらにはこの方向毎の分割部分をさらに前後に2分割し、径4分割としてもよい。
【0136】
(4)各実施の形態においては、継手本体10、カバー部材20、断熱配管Pの各材料をポリ塩化ビニル系樹脂材料に統一し、溶剤型接着剤(溶解性接着剤)による接着を可能にしているが、コスト軽減などの観点から他の樹脂材料を用いるようにしてもよい。
【0137】
(5)前記断熱配管P及び前記管継手は、実施の形態9に係る空調システムのようにドレン配管に使用される場合ばかりでなく、他の低温流体、例えば、冷却源としての冷水を搬送する配管システムや、その他の冷たい流体物搬送用の配管システムにも適用することができる。また、管継手もこの実施の形態9に例示されたもののみではなく他の形式のものを適宜使用してもよい。