(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態による振動診断装置について
図1〜
図3を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第一実施形態における振動診断処理の概略図である。
タービン1は、回転軸3を中心として回転する。軸受台2A、2Bは、回転軸3を支持している。軸受台2A、2Bには、それぞれ軸受(図示せず)が設けられている。軸受台2A、2Bは、この軸受を介して回転軸3を支持することで回転軸3が回転可能となっている。回転軸3の軸受台2Aと軸受台2Bの位置にはそれぞれ、回転軸3の振動を計測する振動センサ4Aと振動センサ4Bが設けられている。また、例えば、タービン1の低圧側には、温度センサ5、圧力センサ6が設けられている。振動センサ4A,4B、温度センサ5、圧力センサ6は、振動診断装置10と接続されている。振動センサ4A、4Bは、タービン1の回転に伴って生じる振動を計測し、その計測結果を、振動診断装置10へ出力する。温度センサ5、圧力センサ6は、それぞれ、タービン1の圧力、温度を計測し、その計測結果を、振動診断装置10へ出力する。なお、温度センサ5、圧力センサ6は、タービン1の内部へ設けられていてもよい。振動診断装置10は、振動センサ4A,4Bが計測した振動データ(振動波形の時刻歴領域データ)を取得し、システム同定によって、タービン1の振動の状態を推定する。振動診断装置10は、推定した振動の状態に基づいて、オンラインでリアルタイムにタービン1の振動の状態を診断する。
【0020】
次に振動診断装置10について説明する。
図2は、本発明に係る第一実施形態における振動診断装置の一例を示すブロック図である。
振動診断装置10は、データ取得部11と、データ分析部12と、振動状態診断部13と、記憶部14と、入出力部15と、制御部16とを備える。
データ取得部11は、タービン1の運転中に振動センサ4A,4B、温度センサ5、圧力センサ6が計測した計測データを取得する。
データ分析部12は、データ取得部11が取得した計測データを分析して、タービン1の振動状態を分析する。例えば、データ分析部12は、時刻歴領域データと、所定のシステム同定用のモデルとに基づいて、タービン1の振動モードなどを推定する。システム同定用のモデルとは、例えば、タービン1の振動の時刻歴領域データなどを入力すると、タービン1の固有振動数、減衰定数、振動モードなどを出力するよう予め調整されたARMA(Autoregressive moving average)モデルである。データ分析部12が用いるシステム同定用モデルは、これ以外にも、ARX(Auto-Regressive with eXogenous)、AR(Auto Regressive)、MA(Moving Average)など各種手法を用いて作成されたモデルであってもよい。また、例えば、データ分析部12は、振動センサ4A,4Bが計測した振動波形の時刻歴領域データから、FFT(Fast Fourier Transform)等を行って周波数領域データを算出し、周波数領域データをシステム同定用に入力し、タービン1の固有振動数等を推定してもよい。
【0021】
振動状態診断部13は、振動センサ4A,4Bなどが計測した振動データや、データ分析部12が推定した振動モードなどの情報に基づいて、タービン1の振動状態が正常かどうかを評価する。なお、診断に用いるデータは振動データのみでなく、圧力や温度など、タービン1を運転する環境の環境情報を組み合わせることができる。
記憶部14は、振動状態診断部13が振動状態の診断に用いるための過去の計測データや、タービン1の正常な振動状態を示す振動特性(振動モードなど)の情報、振動状態が異常ではないかどうか、または異常予兆を示す事象が生じていないかどうかなどを判定するための閾値など、タービン1の振動状態の診断に用いる参照用データを記憶する。本実施形態では、診断に用いる参照データに振動データだけでなく、振動特性(固有振動数、減衰、振動モード)が含まれる。参照データの種類が増えることで、対象機器の運転状態を推定した結果は、より信憑性が高くなる。また、記憶部14は、データ取得部11が取得した各センサが計測した計測値を記憶する。
入出力部15は、オペレータによる振動診断装置10への指示情報等の入力操作を受け付ける。また、入出力部15は、表示装置への振動状態の診断結果の出力などを行う。
制御部16は、振動診断装置10の起動、停止、処理実行などの各種制御を行う。
【0022】
次に
図3を用いて、第一実施形態の振動診断装置10による振動状態の診断処理の流れについて説明を行う。
前提として、タービン1は運転中であって、振動センサ4A,4Bは、タービン1の回転軸3の振動を計測し、その計測値を振動診断装置10へ出力する。なお、振動センサ4A,4Bによる計測値が、タービン1の振動の時刻歴領域データ(時系列の波形データ)である。同様に、温度センサ5は、計測した温度の計測値、圧力センサ6は、計測した圧力の計測値を振動診断装置10へ出力する。振動診断装置10では、データ取得部11が、これらの計測データを取得し(ステップS11)、記憶部14に記録する。
次にデータ分析部12は、記憶部14から振動の時刻歴領域データを読み出して、システム同定を行う(ステップS12)。より具体的には、データ分析部12は、タービン1の振動の時刻歴領域データもしくは、時刻歴領域データからフーリエ変換などを行って算出した周波数領域データを、システム同定用モデルに入力し、タービン1の固有振動数(卓越周波数)、減衰定数、振動モードなどを推定する。データ分析部12は、時刻歴領域データ、もしくは周波数領域データ、固有振動数、減衰定数、振動モードの各情報を、振動状態診断部13へ出力する。
【0023】
次に振動状態診断部13は、入力した各データを、参照用データと照合する(ステップS13)。例えば、振動状態診断部13は、データ分析部12から取得した時刻歴領域データと、過去の計測データ(過去に計測した時刻歴領域データ)とを照合する。また、データ分析部12は、時刻歴領域データもしくは周波数領域データが示す軸振動の振幅と、例えばISO(International Organization for Standardization)で定められる基準に基づいて定められた閾値とを照合する。また、データ分析部12は、データ分析部12から取得した固有振動数、減衰定数、振動モードなどの振動特性と、記憶部14に記録されたタービン1の正常な振動状態を示す固有振動数、減衰定数、振動モードとを照合する。
【0024】
次に振動状態診断部13は、照合結果に基づいて、タービン1の振動が異常かどうかを診断する(ステップS14)。例えば、振動状態診断部13は、時刻歴領域データと、過去の計測データとが乖離していれば、何らかの異常が発生している可能性があると診断する。また、例えば、振動状態診断部13は、時刻歴領域データが示す振動の振幅が、所定の閾値を上回っていれば、異常が発生している可能性があると診断する。また、例えば、振動状態診断部13は、周波数領域データが示す各周波数の振動の振幅が、所定の閾値を上回っていれば、異常が発生している可能性があると診断する。また、例えば、振動状態診断部13は、システム同定用モデルによって推定した振動モード等と記憶部14に記録された正常な振動状態を示す振動モード等とを比較して、それらが乖離していれば、何らかの異常が発生している可能性があると診断する。
【0025】
本実施形態では、リアルタイムのシステム同定技術により、振動特性を推定することができるので、振動センサ4A,4Bが計測していない部品、部分に関しても、振動特性に基づく分析や予め記録された種々の参照データとの比較を行うことによって振動状態の把握が可能となる。種々の参照データとは、例えば、正常と評価される範囲内であっても、様々な機器の状態(新品、経年変化、ある部品、部分が劣化しているなど)や運転条件の下で計測された振動データや算出された振動特性などの情報である。これにより、従来は、直接計測できない部分の振動状態については不確定な要素が多く、診断精度が十分ではなかったところ、直接計測できない部分を含めた多面的で高精度な振動診断をリアルタイムに行うことが可能となる。
【0026】
また、記憶部14に、過去の振動計測データが、その振動データが計測されたときの圧力や温度の計測値と共に記録されている場合、振動状態診断部13は、データ取得部11が取得した圧力や温度の計測値に近い環境下で計測された振動計測データや振動モードと、データ分析部12から取得した診断対象の時刻歴領域データや振動モードなどを照合して異常診断を行う。これにより、振動診断装置10は、より正確な診断を行うことができる。
【0027】
診断の結果が正常ではない場合(ステップS14;No)、振動状態診断部13は異常を検出した旨の情報を入出力部15に出力する(ステップS15)。入出力部15は、異常の発生を通知する情報を、例えばディスプレイに表示する。
診断の結果が正常の場合(ステップS14;Yes)、またはステップS15の処理を実行後、制御部16は、診断処理を継続するか否かを判定する(ステップS16)。例えば、ユーザが診断処理の停止命令を、入出力部15を介して振動診断装置10へ入力した場合、制御部16は、診断処理を終了すると判定する。診断処理を終了すると判定した場合(ステップS16;Yes)、制御部16は、データ分析部12や振動状態診断部13による診断処理を停止する。この場合、本フローチャートを終了する。診断処理を継続する場合(ステップS16;No)、ステップS11からの処理を繰り返す。
【0028】
従来より、振動センサ4A,4Bによる振動データに基づく異常判定は行われていたが、この方法では、どのような異常が生じているか、どの部分で異常が生じているかなどの詳細な状態は分からなかった。そのため、実際に計測データから異常を診断した場合であっても、データからは異常が発生した箇所を特性できていない場合も多く、運転停止後に異常発生箇所を探索しなければならない。これに対し、本実施形態によれば、振動データに加え、システム同定技術によって推定した固有振動数、減衰定数、振動モードを用いてタービン1の振動状態を診断することができるので、様々な側面から診断が可能となり、診断精度を高めることができる。また、周波数領域データや振動モード等の振動特性を用いて解析することにより、短時間に異常が発生した個所や異常内容を推定することができるので、異常発生箇所の探索などが容易となる。また、タービン1の温度や圧力を診断に用いることにより、診断精度をさらに高めることができる。また、本実施形態の振動診断装置10によれば、リアルタイムのシステム同定技術により振動モード等を推定し、リアルタイムに振動状態を把握することができる。また、本実施形態の振動診断装置10を診断対象機器(タービン1)の傍に設置し、振動データをオンラインで振動診断装置10に入力するように構成することで、運転中の機器の振動診断をリアルタイムに行うことができる。
【0029】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態による振動診断装置について
図4〜
図7を参照して説明する。
以下、第二実施形態に係る振動診断装置10Aについて説明を行う。第一実施形態で振動状態の推定に用いるシステム同定用モデルは、パラメータ設定が、その推定精度に大きく影響することが知られている。そのため、システム同定モデルを適用してリアルタイムに振動状態を推定する前に、設定するパラメータの妥当性について検討し、適切なパラメータを設定することが重要である。第二実施形態に係る振動診断装置10Aは、第一実施形態の振動診断装置10の機能に加え、システム同定用モデルのパラメータ設定を行う機能を備えている。
【0030】
図4は、本発明に係る第二実施形態における振動診断装置のブロック図である。
本発明の第二実施形態に係る構成のうち、第一実施形態に係る振動診断装置10を構成する機能部と同じものには同じ符号を付し、それぞれの説明を省略する。図示するように振動診断装置10Aは、データ取得部11と、データ分析部12と、振動状態診断部13と、記憶部14と、入出力部15と、制御部16と、第1システム同定用モデルパラメータ設定部17とを備える。
第1システム同定用モデルパラメータ設定部17は、タービン1の回転動作に応じた振動の挙動を模擬する解析モデルを有している。第1システム同定用モデルパラメータ設定部17は、この解析モデルを用いて、データ分析部12がシステム同定に用いるモデル(システム同定用モデル)を作成する。第1システム同定用モデルパラメータ設定部17は、解析モデル最適化部17A、実機模擬部17B、パラメータ設定部17Cを備えている。
解析モデル最適化部17Aは、タービン1の解析モデルに対して、タービン1の振動の計測データを適用して、解析モデルを最適化する。
実機模擬部17Bは、最適化された解析モデルによってタービン1の振動を模擬する。
パラメータ設定部17Cは、実機模擬部17Bによる模擬結果を用いて、システム同定用モデルのパラメータを調整し、適切なパラメータを設定する。
【0031】
次に
図5を用いてシステム同定用モデルのパラメータ設定処理について説明する。
図5は、本発明に係る第二実施形態におけるシステム同定用モデルのパラメータ設定方法を説明する図である。
まず、解析モデル最適化部17Aは、データ取得部11が取得したタービン1の振動データ(時刻歴領域データ)を用いて、解析モデルがタービン1の動作を精度良く模擬するよう解析モデルを最適化する。次に実機模擬部17Bは、最適化された解析モデルにタービン1の動作を模擬させる。最後にパラメータ設定部17Cは、その模擬結果(振動の時刻歴領域データ、周波数領域データ、固有振動数、減衰定数、振動モード)を用いて、システム同定用モデル(例えばARMAモデル)のパラメータ設定を行う。
【0032】
図5の破線100で囲んだ部分に解析モデル最適化部17Aによる処理の概要を示す。モデル100Aは、タービン1の図面データに基づくモデルである。モデル100Aに基づいて、タービン1の振動を模擬する力学的な物理モデルを作成することができる。この物理モデルは、例えば、M(質量)、K(剛性)、C(減衰)を用いた運動方程式を含む。この物理モデルは、タービン1の振動モード数に合わせて適切な自由度が設定されている。解析モデル最適化部17Aが最適化する解析モデルは、この物理モデルや、当該物理モデルに基づく様々な振動解析用の計算式(例えば固有振動数や振動モードを算出する式)によって構成される。
【0033】
解析モデルは、例えば、ある回転速度を入力した場合、その回転速度でモデル100Aを運転したときに計測点1、計測点2で計測される振動データ、固有振動数、減衰定数、振動モードなどを算出する。そのとき、解析モデル最適化部17Aは、モデル100Aにおける加振位置を様々な位置に変化させつつ、それぞれの加振位置に応じたランダム外力やアンバランス力を算出する。解析モデル最適化部17Aは、算出したランダム外力やアンバランス力を入力値として上記の解析モデルに与える。実機模擬部17Bは、ランダム外力等や所定の回転速度を入力値として、解析モデルを用いてタービン1を所定の回転速度で回転させたときの振動の状態を模擬する。解析モデル最適化部17Aは、加振位置に応じたランダム外力やアンバランス力を入力したときの解析モデルの出力値に対して、計測ノイズに相当するデータ(ランダム波)を加え、解析モデルが出力する値(グラフ100Cに示す振動の時刻歴領域データ)が、よりタービン1の振動データ(グラフ100Bに示す振動センサ4A,4Bが計測する振動データ)に近づくようにする。
【0034】
図示するように、解析モデル最適化部17Aは、解析モデルが模擬する振動データ(グラフ100C)とタービン1の実機で振動センサ4A,4Bにより計測された振動データ(グラフ100B)とを比較して、所定の方法により両者が類似しているかどうかを判定する。例えば、解析モデル最適化部17Aは、2つの波形データの相関係数を算出して類似しているかどうかを判定してもよい。また、例えば、解析モデル最適化部17Aは、対象周波数における振動モードの個数が等しく、振動数差異±10%以内、変位差異±30%以内程度を目安として解析と実測が類似していると判定してもよい。
類似していない場合、解析モデル最適化部17Aは、モデル100Aにおける加振位置を変化させて、ランダム外力やアンバランス力の入力設定、計測ノイズ設定を再度行い、実機模擬部17Bが解析モデルによる振動の模擬(時刻歴領域データなどの算出)を行い、上記の判定を繰り返す。解析モデル最適化部17Aは、このようにして、解析モデルが、タービン1の振動をより精緻に模擬するように解析モデルの最適化を行う。
【0035】
解析モデル最適化部17Aによる最適化が完了すると、第1システム同定用モデルパラメータ設定部17は、続いてシステム同定用モデルのパラメータ設定を行う。
図5の破線101で囲んだ部分にパラメータ設定部17Cによるパラメータ設定処理の概要を示す。
まず、実機模擬部17Bが所定の回転速度でモデル100Aを運転したときの振動の模擬を行い、最適化された解析モデルが、その場合の振動の時刻歴領域データ、固有振動数、減衰定数、振動モードを算出する。パラメータ設定部17Cは、これらのシミュレーション結果値を取得して、システム同定用モデルのパラメータ設定処理を行う。ここで、システム同定用モデルの一例を示す。
【0036】
図6は、本発明に係る第二実施形態におけるシステム同定用モデルの一例を示す図である。
図6にシステム同定用モデルの一例として、ARMAモデルの模式図を示す。入力e(n)は、タービン1に入力される外力を仮定したランダム波形である。一方、出力y(n)は、解析モデルによる時刻歴領域データである。e(n)とy(n)に対して決定されるα
i、β
iからARMAモデルが定まり、固有振動数、減衰定数、振動モードが算出される。また、ARMAモデルは、以下の式(1)で表すことができる。
【0038】
ARMAモデルを推定する際のパラメータとして、振動データy(n)のサンプリング周波数(Hz)、波形長さ(データ点数=n)、ARモデル次数(n
a)、MAモデル次数(n
c)の各パラメータを設定する必要がある。
【0039】
図5の説明に戻る。パラメータ設定部17Cは、ARMAモデルのパラメータとして、上記の各パラメータに任意の値を設定する。そして、実機模擬部17Bが解析モデルを用いて算出した振動の時刻歴領域データをARMAモデルの出力値(y(n))としたときに定まるα
i、β
iから算出される固有振動数、減衰定数、振動モードと、実機模擬部17Bが解析モデルを用いて算出した固有振動数、減衰定数、振動モードの各値とを比較する。パラメータ設定部17Cは、ARMAモデルの出力値と実機模擬部17Bによる振動モードなどの値の差が所定の範囲内であれば、ARMAモデルの精度は基準以上であると判定し、今回設定したパラメータの値を正式なパラメータとして採用する。例えば、パラメータ設定部17Cは、安定した解が得られ、差異が振動数±5%、減衰±30%以内を目安としてARMAモデルの精度は基準以上であると判定してもよい。
【0040】
また、パラメータ設定部17Cは、ARMAモデルの出力値と実機模擬部17Bによる振動モードなどの値の差が所定の範囲内に収まらない場合、サンプリング周波数、波形長さ、ARモデル次数、MAモデル次数の値を他の値に変更して、再度、上記の比較および判定を行う。パラメータ設定部17Cは、このようにして、システム同定用モデルが、タービン1の固有振動数、減衰定数、振動モードを精度良く推定できるようなシステム同定用モデルのパラメータを決定する。
以上で、第1システム同定用モデルパラメータ設定部17によるシステム同定用モデルのパラメータ設定処理が完了する。システム同定用モデルのパラメータ設定処理が完了すると、振動診断装置10Aは、設定したシステム同定用モデルパラメータを用いて、第一実施形態と同様にタービン1の振動の診断処理をリアルタイムに行う。
【0041】
次に第二実施形態のシステム同定用モデルのパラメータ設定処理の流れについて説明を行う。
図7に本発明に係る第二実施形態におけるシステム同定用モデルのパラメータ設定処理の一例を示すフローチャートである。
前提として、第1システム同定用モデルパラメータ設定部17は、予めタービン1に基づく物理モデルを含む解析モデル、パラメータが設定されていない状態のシステム同定用モデルを有しているとする。
まず、データ取得部11が、振動センサ4A,4Bが計測したタービン1の計測データを取得する(ステップS21)。データ取得部11は、計測データを記憶部14に記録する。
次に解析モデル最適化部17Aが、実際に計測された計測データを用いて、解析モデルが算出する振動に関して、タービン1と同様の挙動を示すように解析モデルを最適化する(ステップS22)。具体的な処理については
図5を用いて説明したとおりである。解析モデルが最適化されると、実機模擬部17Bが、解析モデルを用いて、タービン1の定格運転時(タービン1の診断対象となる運転状態。例えば部分負荷で運転する場合は、その負荷での運転時)の振動を模擬する。そして、実機模擬部17Bは、定格運転時のタービン1の振動の時刻歴領域データ、固有振動数、減衰定数、振動モードを算出する。また、実機模擬部17Bは、時刻歴領域データからフーリエ変換などを行って周波数領域データを算出してもよい。実機模擬部17Bは、算出したこれらの情報を記憶部14に記録する。
【0042】
次にパラメータ設定部17Cが、システム同定用モデルのパラメータを適切に設定する。より具体的には、まず、パラメータ設定部17Cは、システム同定用モデルにパラメータを仮設定する(ステップS23)。そして、パラメータ設定部17Cは、記憶部14に記録された時刻歴領域データもしくは周波数領域データ、固有振動数、減衰定数、振動モードを読み出して、その時刻歴領域データもしくは周波数領域データをシステム同定用モデルに入力する。システム同定用モデルは、固有振動数、減衰定数、振動モードを算出する(ステップS24)。次にパラメータ設定部17Cは、システム同定用モデルが算出した固有振動数等と、読み出した固有振動数等とを比較する(ステップS25)。
【0043】
それぞれの値の差が、所定の範囲内であれば、パラメータ設定部17Cは、システム同定用モデルの精度は基準以上であると判定する。精度が基準以上の場合(ステップS27;Yes)、パラメータ設定部17Cは、仮設定したパラメータを正式なパラメータの値として採用する(ステップS28)。精度が基準未満の場合(ステップS27;No)、ステップS23以下の処理を繰り返す。これにより、第1システム同定用モデルパラメータ設定部17は、適切なパラメータ設定を行って、システム同定用モデルを確定する。システム同定用モデルが確定すると、振動診断装置10Aは、
図3で説明したフローチャートと同様の処理を行って、タービン1の振動診断を行う。
【0044】
本実施形態によれば、第一実施形態の効果に加え、実機での計測データを再現することができる解析モデルを作成し、その解析モデルによって再現した実機の模擬結果を用いて、システム同定用モデルのパラメータを設定する。これにより、システム同定の精度を確保することができる。
なお、
図6にてARMAモデルを例示したが、システム同定用モデルは、これに限定されない、例えば、他のARモデル、ARXモデルなどであっても良く、確率的部分空間同定法などの他の手法でもよい。
また、上記例では、1台の振動診断装置10Aが、第1システム同定用モデルパラメータ設定部17を備える構成としたが、第1システム同定用モデルパラメータ設定部17は、別のコンピュータ装置(パラメータ設定用装置)に実装し、パラメータ設定用装置で、予めシステム同定用モデルのパラメータの設定を行い、データ分析部12にパラメータ設定済みのシステム同定用モデルを実装するようにしてもよい。
【0045】
<第三実施形態>
以下、本発明の第三実施形態による振動診断装置について
図8〜
図10を参照して説明する。
以下、第三実施形態に係る振動診断装置10Bについて説明を行う。第三実施形態に係る振動診断装置10Bは、第二実施形態の振動診断装置10Aと同様に、システム同定用モデルのパラメータ設定を行う機能を備えている。ただし、振動診断装置10Bは、振動診断装置10Aとは異なる方法でパラメータ設定を行う。
【0046】
図8は、本発明に係る第三実施形態における振動診断装置のブロック図である。
本発明の第三実施形態に係る構成のうち、第一実施形態に係る振動診断装置10を構成する機能部と同じものには同じ符号を付し、それぞれの説明を省略する。図示するように振動診断装置10Cは、データ取得部11と、データ分析部12と、振動状態診断部13と、記憶部14と、入出力部15と、制御部16と、第2システム同定用モデルパラメータ設定部18とを備える。
第2システム同定用モデルパラメータ設定部18は、タービン1の回転速度変化中に計測された振動データから算出された固有振動数、減衰定数、振動モードに基づいて、データ分析部12がシステム同定に用いるパラメータを設定する。第2システム同定用モデルパラメータ設定部18は、振動特性推定部18A、パラメータ設定部18Bを備えている。
振動特性推定部18Aは、タービン1の回転速度の変化中に計測した振動データに基づいて、前記機器の振動特性を推定する。
パラメータ設定部18Bは、タービン1が診断対象となる運転中(例えば、定格運転中)に計測された振動データに基づいて、システム同定用モデルが推定する振動特性と、振動特性推定部18Aが推定した振動特性とが等しくなるように、システム同定用モデルの各種パラメータを設定する。なお、等しくなるようにとは、完全に一致することに限定されず、2つの振動特性の差が、所定の所要範囲内に収まることを意味する。
【0047】
次に
図9を用いてシステム同定用モデルのパラメータ設定処理について説明する。
図9は、本発明に係る第三実施形態におけるシステム同定用モデルのパラメータ設定方法を説明する図である。
本実施形態では、まず、振動特性推定部18Aが、データ取得部11が取得した回転速度変化中のタービン1の振動データを用いて、タービン1の固有振動数と減衰定数と振動モードを推定する。これは、回転速度の変化中の計測データからは固有振動数などを精度よく推定しやすいことを利用している。なお、回転速度の変化中の計測データとは、例えば、タービン1の起動中(回転速度が上昇している間)に計測された振動データや、タービン1が停止する間(回転速度が下降している間)に計測された振動データのことである。次にパラメータ設定部18Bは、振動特性推定部18Aが推定したタービン1の固有振動数などを正しい値として、システム同定用モデル(例えばARMAモデル)のパラメータ設定を行う。
【0048】
図9の破線200で囲んだ部分に振動特性推定部18Aによる処理の概要を示す。上述のとおり、本実施形態では、タービン1の起動時や停止時など回転速度の変化中に振動センサ4A,4Bが計測した振動データに基づいて、固有振動数などを推定する。図中、3つのグラフは、例えば、タービン1の起動後、回転速度上昇中に計測した振動データに基づくグラフである。左上のグラフは、タービン1の回転速度上昇中に、ある回転速度Rで回転しているときの振動データから得られる周波数(横軸)と位相の関係を示すグラフである。左下のグラフは、ある回転速度Rで回転しているときの振動データから得られる周波数(横軸)とコンプライアンスの関係を示すグラフである。また、右図のグラフは、ある回転速度Rで回転しているときの振動データから得られる位相と振幅の関係を示すグラフである。
ところで、タービン1は、その固有振動数に対応する回転速度においては、大きな振幅で振動するはずである。この性質を利用し、振動特性推定部18Aは、回転速度上昇中の実機で計測した振動データを基に、固有振動数、減衰定数、振動モードを推定する。振動特性推定部18Aは、推定した振動特性(固有振動数、減衰定数、振動モード)を、記憶部14に記録する。
【0049】
一方、パラメータ設定部18Bは、振動特性推定部18Aが推定したタービン1の固有振動数などを取得して、これらの値を正しい値として、システム同定用モデル(例えばARMAモデル)のパラメータ設定を行う。
図6を用いて説明したとおり、システム同定用モデルがARMAモデルの場合、式(1)の各パラメータ(サンプリング周波数、波形長さ、ARモデル次数、MAモデル次数)を適切に設定する必要がある。
本実施形態では、タービン1の起動後、定格運転(あるいは、振動の診断対象とする運転状態が部分負荷での運転であれば、その運転状態)に至ったら、パラメータ設定部18Bは、その運転状態のときに振動センサ4A,4Bが計測した振動データ(時刻歴領域データ)と、振動特性推定部18Aが推定した固有振動数などを用いて各パラメータの値を調整する。
【0050】
破線201で囲んだ部分にパラメータ設定部18Bによる処理の概要を示す。例えば、
図6に例示したARMAモデルの場合、パラメータ設定部18Bは、ARMAモデルのパラメータとして、まず
図6で説明した各パラメータに任意の値を設定する。そして、データ取得部11が取得した振動の時刻歴領域データをARMAモデルの入力値(y(n))としたときの出力値(α
i、β
iから算出される固有振動数、減衰定数、振動モード)と、振動特性推定部18Aによる固有振動数、減衰定数、振動モードの各値を比較する。パラメータ設定部18Bは、ARMAモデルの出力値と振動特性推定部18Aによる固有振動数などの値の差が所定の範囲内であれば、ARMAモデルの精度は基準以上であると判定し、今回設定したパラメータの値を正式なパラメータとして採用する。例えば、パラメータ設定部18Bは、安定した解が得られ、差異が振動数±5%、減衰±30%以内を目安としてARMAモデルの精度は基準以上であると判定してもよい。
【0051】
また、パラメータ設定部18Bは、ARMAモデルの出力値と振動特性推定部18Aによる固有振動数などの値の差が所定の範囲内に収まらない場合、サンプリング周波数、波形長さ、ARモデル次数、MAモデル次数の値を他の値に変更して、再度、上記の比較および判定を行う。パラメータ設定部18Bは、このようにしてパラメータの値を調整し、システム同定用モデルが、タービン1の固有振動数、減衰定数、振動モードを精度良く推定できるようなパラメータを決定する。
以上で、第2システム同定用モデルパラメータ設定部18によるシステム同定用モデルのパラメータ設定処理が完了する。システム同定用モデルのパラメータ設定処理が完了すると、振動診断装置10Bは、作成したシステム同定用モデルを用いて、第一実施形態と同様にタービン1の振動の診断処理をリアルタイムに行う。
【0052】
次に第三実施形態のシステム同定用モデルのパラメータ設定処理の流れについて説明を行う。
図10は、本発明に係る第三実施形態におけるシステム同定用モデルのパラメータ設定処理の一例を示すフローチャートである。
前提として、第2システム同定用モデルパラメータ設定部18は、予めパラメータが設定されていない状態のシステム同定用モデルを有している。また、タービン1を起動して、システム同定用モデルのパラメータ設定を行い、続いて定格負荷運転時に振動診断処理を行う場合を例に説明を行う。
まず、データ取得部11が、振動センサ4A,4Bが計測したタービン1の起動時(回転速度上昇時)の計測データを取得する(ステップS31)。データ取得部11は、計測データを記憶部14に記録する。
次に振動特性推定部18Aが、回転速度の上昇時に実際に計測された計測データを用いて、タービン1の振動特性(固有振動数、減衰定数、振動モード)を推定する(ステップS32)。具体的な処理については
図9を用いて説明したとおりである。振動特性推定部18Aは、推定した振動特性のデータを記憶部14に記録する。
【0053】
次にデータ取得部11が、定格運転時の計測データを取得する(ステップS33)。次にパラメータ設定部18Bが、システム同定用モデルのパラメータを適切に設定する。まず、パラメータ設定部18Bは、システム同定用モデルにパラメータを仮設定する(ステップS34)。そして、パラメータ設定部18Bは、定格運転時の実測値に基づく時刻歴領域データ、もしくは時刻歴領域データからフーリエ変換などを行って算出した周波数領域データをシステム同定用モデルに入力する。システム同定用モデルは、固有振動数、減衰定数、振動モードを算出する(ステップS35)。次にパラメータ設定部18Bは、ステップS32で記憶部14に記録された固有振動数、減衰定数、振動モードを読み出して、システム同定用モデルが算出した固有振動数等と、読み出した固有振動数等とを比較する(ステップS36)。
【0054】
それぞれの差が、所定の範囲内であれば、パラメータ設定部18Bは、システム同定用モデルの精度は基準以上であると判定する。精度が基準以上の場合(ステップS37;Yes)、パラメータ設定部18Bは、仮設定したパラメータを正式なパラメータの値として採用する(ステップS38)。精度が基準未満の場合(ステップS37;No)、ステップS34以下の処理を繰り返す。これにより、第2システム同定用モデルパラメータ設定部18は、システム同定用モデルのパラメータを確定する。システム同定用モデルのパラメータが確定すると、振動診断装置10Bは、
図3で説明したフローチャートと同様の処理を行って、タービン1の振動診断を行う。
【0055】
本実施形態によれば、第一実施形態の効果に加え、タービン1の回転速度が変化しているときに計測した振動データから得た振動特性と、定格運転中に計測した振動データによってシステム同定用モデルのパラメータを設定することで、システム同定の精度を確保することができる。また、第二実施形態と比較して、解析モデル作成の手間を省力化することができる。例えば、
図10のフローチャートで例示したようにタービン1が起動し、定格で運転する場合、その起動中に計測した振動データや定格運転に至った直後に計測した振動データに基づいてシステム同定用パラメータ設定を行い、そのまま定格運転中のタービン1のリアルタイム振動診断を行うことも考えられる。
【0056】
<第四実施形態>
以下、本発明の第四実施形態による振動診断装置について
図11〜
図12を参照して説明する。
以下、第四実施形態に係る振動診断装置10Cについて説明を行う。第四実施形態に係る振動診断装置10Cは、参照データとして、過去の計測データや正常時の振動モードだけでなく、損傷発生時の各種データを保持する。本実施形態では、損傷発生時のデータ(損傷モード)で正常時のデータを補完することで、想定される多種多様な異常兆候の診断や、損傷位置の推定を可能とする。
【0057】
図11は、本発明に係る第四実施形態における振動診断装置のブロック図である。
本発明の第四実施形態に係る構成のうち、第一実施形態に係る振動診断装置10を構成する機能部と同じものには同じ符号を付し、それぞれの説明を省略する。図示するように振動診断装置10Cは、データ取得部11と、データ分析部12と、振動状態診断部13と、記憶部14と、入出力部15と、制御部16と、損傷状態推定部19とを備える。
損傷状態推定部19は、振動データまたは振動特性(固有振動数など)に対応付けて記憶部14に予め記録された損傷情報に基づいて、機器の振動が示す損傷状態を推定する。損傷情報とは、タービン1と同種のタービンで過去に実際に生じた損傷や、タービン1の振動データなどを解析して得られる発生の可能性がある損傷から得られる損傷の内容や損傷の発生箇所などのことである。記憶部14には、実際に生じた損傷の損傷情報(損傷の種類、内容、程度、発生箇所など)と、そのときに計測された振動データやその振動データを解析することによって得られた振動モード、固有振動数、減衰定数が対応付けて記録されている。さらに、損傷情報と対応付けて損傷発生時のタービン1の温度や圧力などの環境情報が記録されていてもよい。また、記憶部14には、例えば、解析上で再現した損傷の損傷情報と、そのときの振動データ、振動モード、圧力、温度などの損傷を再現する条件が対応付けて記録されている。損傷状態推定部19は、記憶部14に記録されたこれらの損傷情報に基づいて、どのような振動モードが生じた場合にどのような損傷が生じるか、あるいはどのような振動データが計測されたときにどのような損傷が生じ得るかなどを推定する。
【0058】
次に
図12を用いて、第四実施形態の振動診断装置10Cによる振動状態の診断処理について説明を行う。
図12は、本発明に係る第四実施形態における振動診断処理の一例を示すフローチャートである。
図3と重複する処理については簡単に説明を行う。
まず、データ取得部11が、振動センサ4A,4B、温度センサ5、圧力センサ6が計測した計測値を取得し(ステップS11)、記憶部14に記録する。次にデータ分析部12は、記憶部14から振動データを読み出して、システム同定を行う(ステップS12)。データ分析部12は、システム同定によって得られた振動特性、時刻歴領域データ、周波数領域データの各情報を振動状態診断部13へ出力する。
【0059】
次に振動状態診断部13は、入力した各データを、参照用データおよび損傷情報と照合する(ステップS13´)。このとき、振動状態診断部13は、
図3の各処理に加え、記憶部14に記録された損傷情報との照合も行う。次に振動状態診断部13は、照合結果に基づいて、タービン1の振動が異常かどうかを診断する(ステップS14)。
【0060】
診断の結果が正常ではない場合(ステップS14;No)、振動状態診断部13は異常検出情報とともに損傷情報を入出力部15に出力する(ステップS15´)。入出力部15は、異常の発生を通知する情報や、その異常に対応する現在生じている可能性がある損傷情報を例えばディスプレイに表示する。
診断の結果が正常の場合(ステップS14;Yes)、またはステップS15´の処理を実行後、制御部16は、診断処理を継続するか否かを判定する(ステップS16)。診断処理を終了すると判定した場合(ステップS16;No)、制御部16は、診断処理を停止する。この場合、本フローチャートを終了する。診断処理を継続する場合(ステップS16;Yes)、ステップS11からの処理を繰り返す。
【0061】
本実施形態によれば、第一実施形態の効果に加え、過去に生じた損傷や解析上で再現した損傷時の挙動を用いて、参照用データを補完することで、想定される多種多様な異常兆候の診断や、損傷位置、損傷程度の推定が可能となる。
【0062】
なお、上述した振動診断装置10,10A,10B,10Cにおける各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムを振動診断装置10等のコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0063】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
また、振動診断装置10,10A,10B,10Cは、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0064】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、振動診断対象は、タービン1に限定されず、他の回転機械の軸や車室の振動、あるいは、柱、梁などの振動を診断対象とすることもできる。なお、振動診断装置10,10A,10B,10Cは、振動診断システムの一例である。また、回転速度は動作速度の一例である。また、タービン1は機器の一例である。