(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、一実施形態に係る表示制御システム1の構成を例示した図である。
図2は、サーバ40のハードウェア構成を例示した図である。表示制御システム1は、マイクロプレート30などに収容されている複数の試料の観察又はモニタリングを支援するシステムである。対象とする試料は、例えば、培養細胞などの生体試料である。表示制御システム1の利用者は、ノート型コンピュータ50、タブレット型コンピュータ60、スマートフォンなどのクライアント端末を用いて、表示制御システム1に無線又は有線の少なくとも一方を通じてアクセスすることで、生体試料を観察又はモニタリングすることができる。なお、クライアント端末は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置を備えている。表示装置は、タッチパネルディスプレイであってもよい。
【0012】
表示制御システム1は、画像データを生成する画像データ生成装置20と、少なくとも画像データ生成装置20で生成された画像データに基づいて表示データを生成する表示データ生成装置であるサーバ40を備えている。画像データ生成装置20とサーバ40は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルなどの有線ケーブルで接続されている。画像データ生成装置20とサーバ40は、相互にデータをやり取りできるように構成されていればよく、有線に限らず無線により通信可能に接続されてもよい。
【0013】
画像データ生成装置20は、例えば、
図1に示すように、マイクロプレート30が配置されたインキュベータ10内に設置される。マイクロプレート30は、それぞれが収容部である複数のウェル31を有していて、各ウェル31には試料が収容されている。複数のウェル31に収容される複数の試料は、同種の試料であっても異種の試料であってもよい。インキュベータ10は、培養環境を維持又は制御する装置であり、ここでは、マイクロプレート30に収容された複数の試料を培養する培養器である。なお、
図1では、マイクロプレート30がインキュベータ10内の支持板上に載置されることで、画像データ生成装置20から離間して配置された例を示したが、マイクロプレート30は、支持板を介すことなく画像データ生成装置20の上面に直接載置してもよい。
【0014】
画像データ生成装置20は、イメージセンサ22と、イメージセンサ22の周囲に配置された複数の照明用LED光源23と、温度センサ24を備えている。イメージセンサ22は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサなどである。イメージセンサ22及び複数の照明用LED光源23は、撮影領域21下を移動自在に設けられている。温度センサ24は、インキュベータ10内の温度を測定するセンサである。なお、画像データ生成装置20は、インキュベータ10内の環境を測定する他のセンサを備えても良い。
【0015】
サーバ40は、例えば、標準的なコンピュータである。サーバ40は、
図2に示すように、プロセッサ41、メモリ42、ストレージ43、インタフェース装置44、及び、可搬記憶媒体46が挿入される可搬記憶媒体駆動装置45を備え、これらがバス47によって相互に接続されている。
【0016】
プロセッサ41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などであり、プログラムを実行してプログラムされた処理を行う。メモリ42は、例えば、RAM(Random Access Memory)であり、プログラムの実行の際に、ストレージ43または可搬記憶媒体46に記憶されているプログラムまたはデータを一時的に記憶する。
【0017】
ストレージ43は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリであり、主に各種データやプログラムの記憶に用いられる。インタフェース装置44は、サーバ40以外の装置(例えば、画像データ生成装置20、ノート型コンピュータ50、タブレット型コンピュータ60など)と信号をやり取りする回路である。可搬記憶媒体駆動装置45は、光ディスクやコンパクトフラッシュ(登録商標)等の可搬記憶媒体46を収容するものである。可搬記憶媒体46は、ストレージ43を補助する役割を有する。ストレージ43及び可搬記憶媒体46は、それぞれプログラムを記憶した非一過性のコンピュータ読取可能記憶媒体の一例である。
【0018】
なお、
図2に示す構成は、サーバ40のハードウェア構成の一例であり、サーバ40はこの構成に限定されるものではない。サーバ40は、汎用装置ではなく専用装置であってもよい。サーバ40は、プログラムを実行するプロセッサの代わりに又は加えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの電気回路を備えてもよく、それらの電気回路により、後述する処理が行われてもよい。
【0019】
以上のように構成された表示制御システム1は、主に以下の2つの処理を行う。一つ目が画像データ記憶処理であり、二つ目が表示データ出力処理である。本実施形態においては、画像データ記憶処理は、画像データ生成装置20とサーバ40により行われ、表示データ出力処理は、サーバ40により行われる。
【0020】
画像データ記憶処理では、まず、サーバ40が、画像データ生成装置20へ画像取得指示を出力する。ここでは、サーバ40は、例えば、撮像対象である複数の試料が収容されている複数のウェル31を特定する情報を含む指示を、画像データ生成装置20へ出力する。
【0021】
次に、画像データ生成装置20が、サーバ40からの指示に従って、複数のウェル31に収容されている複数の試料を撮像して、複数の画像データを生成し、サーバ40へ出力する。より詳細に説明すると、画像データ生成装置20は、複数のウェル31にそれぞれ収容されている複数の試料を撮像して、各々が複数の試料の各々の画像データである複数の画像データを生成し、サーバ40へ出力する。
【0022】
具体的には、画像データ生成装置20は、まず、マイクロプレート30に収容された複数の試料のうちの最初の撮像対象である試料の下に、イメージセンサ22及び複数の照明用LED光源23を移動させて、最初の撮像対象である試料を撮像する。その後、2番目の撮像対象である試料の下に、イメージセンサ22及び複数の照明用LED光源23を移動させて、2番目の撮像対象である試料を撮像する。この処理を全ての撮像対象の試料に対して繰り返すことで、複数の画像データを生成する。なお、画像データ生成装置20は、画像データに加えて、温度センサ24から出力される温度データなどインキュベータ10の環境についてのデータ(以降、環境データと記す。)を、サーバ40へ出力しても良い。
【0023】
最後に、サーバ40が、画像データと画像データに対応するウェル31の位置データとを関連付けて記録する。ここでは、サーバ40が有する記憶装置の一例であるストレージ43は、画像データ生成装置20が生成した複数の画像データの各々とその画像データに対応するウェル31の位置データとを関連付けて記憶する。なお、画像データに対応するウェル31とは、その画像データに基づいて表示する画像に示される試料を収容しているウェル31のことである。
【0024】
また、サーバ40が画像データ生成装置20からインキュベータ10の環境データを受信した場合には、ストレージ43は、画像データ及び位置データと関連付けて、環境データを記憶してもよい。
【0025】
表示データ出力処理では、サーバ40が、ストレージ43に記憶されている複数の画像データと複数の画像データに関連付けて記憶されている複数の位置データとに基づいて、表示データを生成する。ここでは、サーバ40は、例えば、クライアント端末からの要求(HTTPリクエスト)に応じて、表示データであるWebページを生成し、Webページを含む応答(即ち、ボディにWebページを埋め込んだHTTPレスポンス)をクライアント端末へ送信する。サーバ40で生成される表示データの詳細については、後述する。
【0026】
以下、
図3から
図8を参照しながら、表示制御システム1及び表示制御システム1のクライアント端末で行われる処理について具体的に説明する。ここでは、表示制御システム1がWebシステムであり、タイムラプス制御処理によりストレージ43に記憶された画像データに基づいて表示データを生成し出力する例を説明する。
【0027】
図3は、各装置での処理と装置間のデータのやり取りを例示したシーケンス図であり、表示制御システム1で行われる表示制御の一例を示している。
図3に示すように、まず、タイムラプス観察の実行開始を指示する画像取得指示がクライアント端末からサーバ40へ送信されることにより、サーバ40ではタイムラプス制御処理が開始される。そして、サーバ40がタイムラプス制御処理を行うことで(ステップS100)、タイムラプス制御処理の実行期間中に画像データ生成装置20が画像取得処理を繰り返し行う(ステップS200)。このとき、サーバ40から画像データ生成装置20へは画像取得指示が、画像データ生成装置20からサーバ40へは画像データが、送信される。その後、サーバ40がクライアント端末からの要求に応じて表示データ出力処理を行い(ステップS300)、表示データを受信したクライアント端末が表示処理を行う(ステップS400)。このとき、クライアント端末からサーバ40へは要求が、サーバ40からクライアント端末へは表示データを含む応答が、送信される。
【0028】
図4は、タイムラプス制御処理を例示したフローチャートである。
図4に示すように、タイムラプス制御処理が開始されると、サーバ40は、まず処理条件を取得する(ステップS101)。ここでは、サーバ40は、図示しない入力装置を用いて入力された処理条件を取得し、ストレージ43に記憶させる。処理条件は、例えば、マイクロプレート30が有する複数のウェル31の位置、撮像対象である試料が収容されているウェル31の位置、撮像時間間隔、撮像回数などを含む。
【0029】
サーバ40は、処理条件を取得すると、現在の時刻が撮像時刻に達しているか否かを判断する(ステップS102)。ここでは、サーバ40は、ステップS101で取得した撮像時間間隔に基づいて撮像時刻を算出する。そして、現在の時刻が撮像時刻に達していると判断すると、サーバ40は、画像取得指示を画像データ生成装置20へ出力する(ステップS103)。画像取得指示には、撮像対象である試料が収容されているウェル31の位置を特定する情報が含まれる。これにより、画像データ生成装置20で
図5に示す画像取得処理が行われる。
【0030】
その後、サーバ40は、画像データ生成装置20から画像データを受信し(ステップS104)、画像データとその画像データに対応するウェル31の位置を示す位置データを関連付けて記憶する(ステップS105)。ここでは、サーバ40は、画像データ生成装置20から受信した画像データを、画像取得指示で指定した位置のウェル31に収容された試料の画像データと判断することで、受信した画像データに対応する位置データを特定する。なお、撮像対象である試料を複数指定している場合には、サーバ40は、ステップS104では、複数の画像データを受信し、ステップS105では、複数の画像データをそれぞれ対応する位置データに関連付けて記憶する。
【0031】
最後に、サーバ40は、タイムラプス制御処理を終了するか否かを判断する(ステップS106)。ここでは、サーバ40は、ステップS102からステップS106までの処理の繰り返し回数がステップS101で取得した撮像回数に達していないときには、タイムラプス制御処理を終了しないと判断し、ステップS102からステップS106の処理を繰り返す。一方。サーバ40は、繰り返し回数が撮像回数に達しているときには、タイムラプス制御処理を終了する。
【0032】
図5は、画像取得処理を例示したフローチャートである。
図5に示すように、画像取得処理が開始されると、画像データ生成装置20は、まず撮像位置を設定する(ステップS201)。ここでは、画像データ生成装置20は、サーバ40から受信した画像取得指示に含まれるウェル31の位置を特定する情報に基づいて撮像位置を算出し、撮像位置に応じた位置にイメージセンサ22及び複数の照明用LED光源23を移動させる。
【0033】
次に、画像データ生成装置20は、試料を撮像し(ステップS202)、生成された試料の画像データをサーバ40へ出力する(ステップS203)。
【0034】
その後、画像データ生成装置20は、すべての撮像位置(つまり、画像取得指示に含まれる情報から特定されるすべてのウェル31の位置)で撮像済みか否かを判断する(ステップS204)。すべての撮像位置で撮像済みではないと判断すると、サーバ40は、次の撮像位置を設定し(ステップS205)、ステップS202からステップS204の処理を繰り返す。そして、すべての撮像位置で撮像済みと判断されると、サーバ40は、画像取得処理を終了する。
【0035】
表示制御システム1が
図4に示すタイムラプス制御処理と
図5に示す画像取得処理を行うことで、サーバ40のストレージ43に少なくとも画像データと位置データが関連付けて記憶される。なお、
図4に示すタイムラプス制御処理と
図5に示す画像取得処理は、上述した画像データ記憶処理に該当する。
【0036】
図6は、表示データ出力処理を例示したフローチャートである。サーバ40は、クライアント端末からの要求(HTTPリクエスト)を受信すると、
図6に示す表示データ出力処理を開始する。まず、サーバ40は、要求に応じた表示データを生成する(ステップS301)。
【0037】
例えば、異なるウェル31に収容された複数の試料を観察対象として指定した要求を受信した場合であれば、サーバ40は、指定された観察対象に対応する複数の画像データと複数の画像データに関連付けて記憶されている複数の位置データをストレージ43から読み出して、これらのデータに基づいて、表示データを生成する。
【0038】
表示データは、観察対象として指定された複数の試料について情報(以降、試料情報と記す。)を一定方向に整列して表示するためのデータである。ここでいう複数の試料情報には、観察対象として指定された複数の試料を示す複数の画像、又は、複数の画像解析結果の少なくとも一方が含まれる。より詳細には、複数の画像の各々は、観察対象として指定された複数の試料の各々を示す画像であり、複数の画像解析結果の各々は、画像解析により得られる、観察対象として指定された複数の試料の各々についての情報である。
【0039】
さらに、表示データには、試料情報(画像や解析結果)に加えて、注目するウェル31の位置を示す位置情報も含まれる。表示データは、表示装置が表示データに基づいて複数の試料情報のうちの第1の試料情報を表示しているときに複数のウェル31のうちの第1の試料情報に対応するウェル31(第1のウェル)の位置を示す第1の位置情報が表示装置に表示されるように、第1の試料情報と第1の位置情報をレイアウトしたデータでもある。
【0040】
第1の位置情報は、複数のウェル31に対する第1のウェルの相対位置を示す情報でもよい。その場合、第1の位置情報は、複数のウェル31の配列をグラフィカルに示す配列情報と、その配列内における第1のウェルの位置を示す識別情報を含むことが望ましく、さらに、配列情報は、複数のウェル31の各々の形状を模した複数の図形を含むことが望ましい。このような第1の位置情報は、注目するウェル31の位置を直感的に把握する可能とするという点で有効である。また、クライアント端末(表示装置)がスマートフォンである場合などクライアント端末が小さい場合であっても、注目ウェル31の位置を把握することができるという点でも有効である。または、第1の位置情報は、複数のウェル31の配列内における第1のウェルの位置を示す文字情報を含んでもよい。
【0041】
その後、サーバ40は、ステップS301で生成した表示データを出力し(ステップS302)、表示データ出力処理を終了する。ここでは、サーバ40は、HTTPレスポンスのボディに表示データを埋め込んでクライアント端末へ送信する。
【0042】
図7は、表示処理を例示したフローチャートである。クライアント端末は、まず、表示データをサーバ40へ要求する(ステップS401)。ここでは、クライアント端末は、観察対象とする複数の試料を指定する情報を含む要求をサーバ40へ送信する。この要求は、例えば、クライアント端末にインストールされているWebブラウザからサーバ40へ送信されるHTTPリクエストである。
【0043】
その後、クライアント端末は、サーバ40から受信した表示データに基づいて情報を表示する(ステップS402)。ここでは、クライアント端末は、指定した複数の試料についての複数の試料情報を含む表示データを受信し、表示データに基づいてクライアント端末の表示装置に情報を表示する。表示データは、例えば、HTTPレスポンスに含まれるWebページであり、HTTPレスポンスを受信したクライアント端末のWebブラウザが、表示データに基づいてWebページを表示する。
【0044】
図8及び
図9は、表示制御システム1からの応答に基づいてWebブラウザに表示されたWebページを例示した図である。
図8に示すWebページ70及び
図9に示すWebページ80には、複数の試料情報に対応する複数の位置情報が複数の試料情報と同方向に整列することで、試料毎に位置情報と試料情報(画像及び解析結果)がまとまって表示されている様子が示されている。
【0045】
ここで、複数の位置情報とは、位置情報71aから71c、及び、位置情報81aから81cである。複数の試料情報とは、画像72aと画像解析結果73a、画像72bと画像解析結果73b、画像72cと画像解析結果73cである。また、画像72aから画像72cは、例えば、それぞれ対応する試料の最新の画像である。画像解析結果73aから73cは、例えば、それぞれ画像解析により算出された、試料に含まれる接着細胞の密度及び細胞数の時間変化を示すグラフを含んでいる。
【0046】
図8に示すWebページ70に含まれる位置情報71aから位置情報71cは、マイクロプレート30内の複数のウェル31の配列をグラフィカルに示す配列情報(6つの四角)と、配列内における注目しているウェル31の位置を示す識別情報Cと、を含んでいる。配列情報は、マイクロプレート30には6つのウェル31が存在し、そのうち黒塗りの四角Fで示す4つのウェル31には試料が収容されていて、白塗りの四角Eで示す残りの2つのウェル31には試料が収容されていない、ことを示している。なお、配列情報に含まれる6つの四角の各々は、ウェル31の形状を模した図形である。
【0047】
位置情報71aに含まれる識別情報Cは、位置情報71aに近接して表示されている画像72a及び画像解析結果73aがマイクロプレート30の上段左に位置するウェル31に収容された試料についての試料情報であることを示している。位置情報71bに含まれる識別情報Cは、画像72bと画像解析結果73bがマイクロプレート30の上段右に位置するウェル31に収容された試料についての試料情報であることを示している。位置情報71cに含まれる識別情報Cは、画像72cと画像解析結果73cがマイクロプレート30の中断右に位置するウェル31に収容された試料についての試料情報であることを示している。
【0048】
図9に示すWebページ80に含まれる位置情報81aから位置情報81cは、複数のウェル31の配列内における注目するウェル31の位置を示す文字情報を含んでいる。
【0049】
位置情報81aは、注目するウェル31が配列の第1行第1列に位置すること、位置情報81aに近接して表示されている画像72a及び画像解析結果73aがマイクロプレート30の配列の第1行第1列に位置するウェル31に収容された試料についての試料情報であることを示している。位置情報81bは、注目するウェル31が配列の第1行第2列に位置すること、位置情報81bに近接して表示されている画像72b及び画像解析結果73bがマイクロプレート30の配列の第1行第2列に位置するウェル31に収容された試料についての試料情報であることを示している。位置情報81cは、注目するウェル31が配列の第2行第2列に位置すること、位置情報81cに近接して表示されている画像72c及び画像解析結果73cがマイクロプレート30の配列の第2行第2列に位置するウェル31に収容された試料についての試料情報であることを示している。
【0050】
以上のように、表示制御システム1で生成された表示データに基づいてクライアント端末が表示処理を行うことで、複数の試料情報が一定方向に整列して表示される。このため、利用者は、複数の試料情報が表示装置に収まりきらない場合であっても、スクロール操作により容易に任意の生体試料についての試料情報を確認することができる。
【0051】
さらに、表示制御システム1が生成する表示データでは、複数の位置情報を複数の試料情報と同方向に整列することで表示中の試料情報に対応する位置情報が表示装置に表示されるように、複数の試料情報と複数の位置情報がレイアウトされている。このため、スクロール操作により頻繁に試料情報を切り替えて表示した場合であっても、利用者は、表示中の試料情報がどのウェル31に収容されている生体試料の情報であるかを常に把握することができる。
【0052】
従って、表示制御システム1によれば、利用者は、複数の生体試料の効率的な観察又はモニタリングを行うことができる。特に、表示制御システム1がWebシステムの場合であれば、Webブラウザ上で、上下方向にスクロール操作を行うことで、任意の試料情報と試料情報に対応する位置情報を容易に確認することができる。
【0053】
図10は、表示制御システム1からの応答に基づいてWebブラウザに表示されたWebページの別の例を示した図である。
図8及び
図9では、表示データが複数の試料情報に対応する複数の位置情報を一定方向に整列して表示するためのデータであり、スクロール操作により位置情報と試料情報の両方が一緒に移動する例を示したが、スクロール操作により試料情報のみが移動し位置情報は移動しなくてもよい。表示制御システム1は、
図8及び
図9に示すWebページを生成する代わりに、
図10に示すWebページ90を生成してもよい。
【0054】
図10に示すWebページ90は、複数の試料情報(画像92aと画像解析結果93a、画像92bと画像解析結果93b)が一定方向に整列して表示されている点については、
図8及び
図9に示すWebページと同様である。このため、スクロール操作により任意の試料情報を容易に表示することができる。
【0055】
図10に示すWebページ90は、ブラウザ上の一定の位置に表示中の試料情報に応じた位置情報が表示される点、スクロール操作により表示中の試料情報を切り替えることで位置情報の表示が更新される点が、
図8及び
図9に示すWebページとは異なる。なお、
図10(a)はスクロール操作前の状態を示し、
図10(b)はスクロール操作後の状態を示している。
【0056】
Webページ90では、スクロール操作が行われて、上段左のウェル31に収容された試料の試料情報(画像92a、画像解析結果93a)が表示されている状態から上段右のウェル31に収容された試料の試料情報(画像92b、画像解析結果93b)が表示されている状態に、Webブラウザの状態が変化すると、位置情報が上段左のウェル31を示す位置情報91aから上段右のウェル31を示す位置情報91bに更新される。
【0057】
図10に示すWebページ90でも、表示中の試料情報に対応する位置情報が表示装置に表示される。特に、位置情報が表示される位置が固定されているため、スクロール操作により位置情報を見失うことがない。従って、スクロール操作により頻繁に試料情報を切り替えて表示した場合であっても、利用者は、表示中の試料情報がどのウェル31に収容されている生体試料の情報であるかを常に把握することが可能である。従って、複数の生体試料の効率的な観察又はモニタリングを行うことができる。
【0058】
上述した例では、生体試料を収容する収容部の一例としてマイクロプレート30に設けられたウェル31を例示したが、生体試料を収容する収容部はウェル31に限らない。例えば、生体試料は
図11に示すようなフラスコ(フラスコ101からフラスコ104)に収容された状態で培養されてもよい。また、収容部毎に1箇所で画像を取得する例について上述したが、1つの収容部内の複数個所で撮像し、複数枚の画像を取得してもよい。
図11には、フラスコ毎に4箇所で試料を撮像する例が示されている。
【0059】
フラスコ101内における撮像対象領域は、撮像対象領域101aから撮像対象領域101dの4箇所である。フラスコ102内における撮像対象領域は、撮像対象領域102aから撮像対象領域102dの4箇所である。フラスコ103内における撮像対象領域は、撮像対象領域103aから撮像対象領域103dの4箇所である。フラスコ104内における撮像対象領域は、撮像対象領域104aから撮像対象領域104dの4箇所である。
【0060】
表示制御システム1では、画像データ生成装置20が
図11に示すようにフラスコ毎に4箇所で試料を撮像して4枚の画像を取得し、サーバ40が
図12に示すWebページ110を生成しても良い。
図12には、複数の位置情報(位置情報111a、位置情報111b)が複数の試料情報(画像群112a、画像群112b)と同方向に整列することで、試料毎に位置情報と試料情報がまとまって表示されている様子が示されている。この場合も、利用者は、Webブラウザ上で上下方向にスクロール操作を行うことで、任意の試料情報と試料情報に対応する位置情報を容易に確認することができる。また、表示中の試料情報がどのフラスコに収容されている生体試料の情報であるかを常に把握することが可能である。
【0061】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするための具体例を示したものであり、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。表示制御システム、及び、表示制御方法は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0062】
例えば、画像データを解析するタイミングについては特に言及していないが、サーバ40は、タイムラプス制御処理中に画像データを解析してもよく、表示データを生成するタイミングで画像データを解析してもよい。また、画像データの解析は、表示データを生成するサーバ40で行われてもよく、サーバ40とは異なる装置(例えば、アプリケーションサーバ)で行われてもよい。また、画像データの解析結果の一例として、生体試料に含まれる細胞数及び細胞の密度の情報を例示したが、解析結果は特にこれらに限定されない。
【0063】
また、画像データがサーバ40のストレージ43に記憶される例を示したが、サーバ40は、画像データをメモリ42に一時的に記憶するだけであってもよい。画像データ生成装置20が生成した画像データは、サーバ40とは異なる装置(例えば、データベースサーバ)に不揮発的に記憶されてもよく、サーバ40はその装置から画像データを読み出して表示データを生成してもよい。
【0064】
また、表示データがサーバ40とは異なるクライアント端末からの要求に応じて生成される例を示したが、サーバ40がクライアント端末として動作してもよい。即ち、サーバ40にインストールされたWebブラウザからの要求に応じてサーバ40が表示データを生成し、サーバ40に接続された液晶ディスプレイ等の表示装置が表示データに基づいて情報を表示してもよい。
【0065】
また、複数の試料情報が縦方向に整列して表示される例を示したが、整列方向は縦方向に限らない。複数の試料情報は、一定の方向に整列していればよく、横方向に整列しても良い。その場合、横方向へのスクロール操作により、任意の試料情報を確認してもよい。
【0066】
また、表示制御システム1がWebシステムである例を示したが、表示制御システム1は、Webシステムに限らず、クライアントサーバシステムであってもよい。