特許第6907002号(P6907002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907002
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】立体面表示装置および車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20210708BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20210708BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20210708BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20210708BHJP
【FI】
   F21S43/241
   F21V8/00 241
   F21V8/00 281
   F21V8/00 250
   F21V8/00 270
   F21Y115:10
   F21Y115:20
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-75753(P2017-75753)
(22)【出願日】2017年4月6日
(65)【公開番号】特開2018-181479(P2018-181479A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】特許業務法人プロウィン特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆芳
(72)【発明者】
【氏名】松本 昭則
(72)【発明者】
【氏名】伊代田 治彦
(72)【発明者】
【氏名】小泉 浩哉
【審査官】 大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−229510(JP,A)
【文献】 特表2016−505198(JP,A)
【文献】 特開2016−085827(JP,A)
【文献】 特開2015−050148(JP,A)
【文献】 特開2010−217361(JP,A)
【文献】 米国特許第7497605(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/241
F21V 8/00
F21Y 115/10
F21Y 115/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載部材上に搭載された複数の発光素子と、
一端側に光入射面を備え、他端側に光取出面を備え、前記光入射面が一対一で前記発光素子に対向して配置された導光部を複数有し、
前記導光部は、可撓性を有する光ファイバと、前記光取出面を有し前記光ファイバの光出射面と光学的に結合された柱状部材とを備え、
前記複数の導光部は、少なくとも一つの長さが異なっており、前記光取出面は互いに隣接して三次元的に配置されることを特徴とする立体面表示装置。
【請求項2】
請求項に記載の立体面表示装置であって、
前記柱状部材は、前記光出射面から出射する光の径を前記光取出面の略全域まで拡大する光拡大部を備えることを特徴とする立体面表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の立体面表示装置であって、
前記柱状部材には、凹部であるファイバ挿入部が形成されており、
前記ファイバ挿入部に前記光ファイバの前記光出射面側が挿入されていることを特徴とする立体面表示装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の立体面表示装置であって、
前記柱状部材は、断面が正方形、三角形、六角形、円の何れかであることを特徴とする立体面表示装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一つに記載の立体面表示装置であって、
前記光取出面には、光を散乱して取り出す光散乱構造が形成されていることを特徴とする立体面表示装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一つに記載の立体面表示装置であって、
透光性材料で形成された三次元的な形状のアウターパネルをさらに備え、
前記光取出面は、前記アウターパネルの内面に沿って配置されることを特徴とする立体面表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の立体面表示装置を備え、
前記アウターパネルは車両の外装部に配置されることを特徴とする車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体面表示装置および車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転者が操作する通常の車両では、車両の走行状態を車両周囲の他車両や歩行者等に対して示すために、停止灯や尾灯・方向指示器等を手動で操作していた。近年になって、車両の自動運転技術が著しく発展してきており、車両に備えた情報処理手段によって車両の各種操作を代替する状況が発生しうる環境が整いつつある。自動運転技術では、各種センサの検出結果に基いて情報処理手段が車両を操作するため、複雑な情報を瞬時に処理することが可能であり、画像表示装置を用いて走行状態等を他車両や歩行者等に対して示すことも可能である。特許文献1には、車両に画像表示装置を備えて各種情報を車両外部に対して表示する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−043493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1の従来技術では、車両に画像表示装置を別途取り付ける必要があり、取付可能な位置や画像表示装置のサイズが車両の形状に制約を受けてしまう。また、既存の画像表示装置を取り付けるために平板状のものを車両外周に取り付けることとなり、車両の意匠性が著しく損なわれる。
【0005】
曲面形状の画像表示装置を用いる場合には、車両のデザインと取付位置に応じて形状を個別に設計する必要があるため、汎用性が乏しく製造工程も煩雑化してしまう。また、個別に画像表示装置の曲面形状を設計したとしても、車両外周に取り付けることで車両と画像表示装置の一体感は得られないため意匠性が損なわれる。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、簡便な構造で立体的な曲面形状に対応した画像を表示しつつ、車両との一体感を得ることが可能な立体面表示装置および車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の立体面表示装置は、搭載部材上に搭載された複数の発光素子と、一端側に光入射面を備え、他端側に光取出面を備え、前記光入射面が一対一で前記発光素子に対向して配置された導光部を複数有し、前記導光部は、可撓性を有する光ファイバと、前記光取出面を有し前記光ファイバの光出射面と光学的に結合された柱状部材とを備え、前記複数の導光部は、少なくとも一つの長さが異なっており、前記光取出面は互いに隣接して三次元的に配置されることを特徴とする。
【0008】
このような本発明の立体面表示装置では、発光素子に光入射面が対向した導光部を複数備え、導光部の長さが異なって光取出面が互いに隣接して三次元的に配置されているため、簡便な構造で立体的な曲面形状に対応した画像を表示しつつ、車両との一体感を得ることが可能となる。
【0009】
また本発明の一態様では、前記柱状部材は、前記光出射面から出射する光の径を前記光取出面の略全域まで拡大する光拡大部を備える
【0010】
また本発明の一態様では、前記柱状部材には、凹部であるファイバ挿入部が形成されており、前記ファイバ挿入部に前記光ファイバの前記光出射面側が挿入されている
【0011】
また本発明の一態様では、前記柱状部材は、断面が正方形、三角形、六角形、円の何れかである

【0012】
また本発明の一態様では、前記光取出面には、光を散乱して取り出す光散乱構造が形成されている。
【0013】
また本発明の一態様では、透光性材料で形成された三次元的な形状のアウターパネルをさらに備え、前記光取出面は、前記アウターパネルの内面に沿って配置される。
【0014】
また本発明の車両用表示装置は、上述した何れか1つに記載の立体面表示装置を備え、前記アウターパネルは車両の外装部に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、簡便な構造で立体的な曲面形状に対応した画像を表示しつつ、車両との一体感を得ることが可能な立体面表示装置および車両用表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態における立体面表示装置100を示す模式図であり、図1(a)は模式斜視図であり、図1(b)は分解斜視図である。
図2】本発明の第2実施形態における立体面表示装置110を示す模式図であり、図2(a)は模式斜視図であり、図2(b)は分解斜視図である。
図3】本発明の第3実施形態における立体面表示装置120を示す分解斜視図である。
図4】本発明の第4実施形態における導光部20を示す模式斜視図である。
図5図5(a)は光ファイバ23と光拡大部25およびファイバ挿入部26の形状を示す模式断面図であり、図5(b)は光の拡大についてシミュレーションした結果を示す模式図である。
図6】導光部20の光取出面における視認性についてシミュレーションした結果を示す模式図であり、図6(a)は視野角10度の位置から見た場合を示し、図6(b)は視野角20度の位置から見た場合を示している。
図7】本発明の第5実施形態における立体面表示装置130を示す模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。図1は、本実施形態における立体面表示装置100を示す模式図であり、図1(a)は模式斜視図であり、図1(b)は分解斜視図である。図1(a)(b)に示すように、立体面表示装置100は、搭載部材10と複数の導光部20とアウターパネル30を備えている。
【0018】
搭載部材10は、複数の発光素子11が搭載される部材であり、各発光素子11に対して電力を供給するための図示しない配線パターンが形成されている。搭載部材10としては、複数の発光素子11を保持するとともに電力を供給することができれば材料は限定されず、公知のプリント配線基板やセラミック基板、複合基板等を用いることができる。発光素子11の発光に伴う発熱を良好に放熱するためには、熱伝導性が良好な材質で搭載部材10を構成することが好ましい。図1(a)(b)では、略矩形状で平板形状の搭載部材10にマトリクス状に発光素子11を搭載した例を示しているが、その他の多角形状や円形状であってもよく、曲面形状や多面形状で構成してもよい。
【0019】
発光素子11は、搭載部材10上に搭載されて配線パターンに電気的に接続され、電力の供給により所定の色と強度の光を発光する部材である。発光素子11としては、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や有機EL(Electro Luminescence)等を用いることができる。発光素子11は単一色を発光するパッケージを用いることもできるが、RGB各色の発光が可能なパッケージを用いることで、立体面表示装置100でのカラー画像表示が可能になる。一例としては、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを単一パッケージ内に備え、各色に対応した電極を備えて各電極に供給される電力に応じてRGB各色の光強度が調整され、混色により所望の色を発光できるフルカラーのLEDパッケージが挙げられる。
【0020】
導光部20は、発光素子11からの光を透過する材料で構成された略柱状の部材であり、一方の端面が光入射面21であり他方の端面が光取出面22とされている。具体的な材料としては、ガラスやアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。それぞれの光入射面21は搭載部材10上に搭載された発光素子11に対向して配置されており、発光素子11からの光が光入射面21に入射する。発光素子11から光入射面21に良好に光を入射させるためには、各々の発光素子11と光入射面21の距離を短くして均一にすることが好ましい。また、発光素子11と導光部20との光結合効率を向上させるために、光入射面21には反射防止膜を形成することや、レンズ形状を形成することが好ましい。
【0021】
光取出面22は互いに隣接して三次元的に配置されており、導光部20の内部を伝搬した光が光取出面22から外部に取り出される。導光部20の側面部分では、内部を伝搬する光は屈折率差によって略全反射するため側面部分からの光の漏洩は無く、光入射面21から入射した光量のほぼ全てが光取出面22から取り出される。また、導光部20の内部を伝搬する光が側面部分から漏洩しないように、導光部20の側面には反射膜を形成するとしてもよい。光取出面22から外部に取り出された光の指向性を低減して、多方向からの視認性を向上させるために、微小な凹凸などの光を散乱して取り出す光散乱構造を光取出面22の表面に形成することが好ましい。
【0022】
隣接する複数の光取出面22は、アウターパネル30の内面形状に沿って三次元的に配置されており、発光素子11からの光は光取出面22およびアウターパネル30を介して立体面表示装置100の外部に取り出される。導光部20の光入射面21は発光素子11に対向しているため、光取出面22のそれぞれは発光素子11に対応した画素として機能する。各々の導光部20は、搭載部材10上の発光素子11に対向して配置された光入射面21から、アウターパネル30の内面形状に沿って配置された光取出面22まで設けられるため、アウターパネル30の内面形状に応じて長さが異なっている。
【0023】
アウターパネル30は、少なくとも光の一部を透過する材料で構成され、三次元的な曲面形状を成す板状部材である。また、アウターパネル30は車両の外装部に配置される部材であり、その外面が車両の外装面の一部として機能している。上述したように、アウターパネル30の内面に沿って複数の光取出面22が三次元的に配置されており、光取出面22から取り出された光はアウターパネル30を透過して車両外部から視認可能となっている。
【0024】
アウターパネル30を構成する具体的な材料としては、ガラスやアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。アウターパネル30は車両の外装面の一部であるため、軽量化や耐衝撃性、耐候性、透光性等の観点からポリカーボネートが最も好ましい。アウターパネル30を透光性の高い透明材料で構成し、光取出面22を外部から直接視認可能としてもよく、アウターパネル30の内面に光散乱構造を形成することや、光散乱部材を混入することで光を散乱透過する構造として、光取出面22を外部から直接視認できない構成としてもよい。
【0025】
さらに立体面表示装置100には、搭載部材10に対して電力を供給する図示しない制御部が接続されている。制御部は、各種演算装置や内部記憶装置、外部記憶装置、情報通信手段、各種センサを備えた情報処理手段である。制御部は、車両の自動運転技術の情報処理手段の一部としてもよく、自動運転技術とは別の情報処理手段で構成してもよい。制御部は、運転状況や走行状態等の車両外部に提示する情報を画像情報として生成し、当該画像情報の画素に対応させて各発光素子11の発光色と発光強度を決定し、各発光素子11に対して適切な電力を供給する。
【0026】
搭載部材10上にマトリクス状に配置された複数の発光素子11は、画像情報に応じて各画素の発光色および発光強度で発光し、対向する光入射面21に入射する。前述したように光入射面21に入射した光は導光部20の内部を伝搬し、光取出面22からアウターパネル30を介して立体面表示装置100の外部に取り出される。各光取出面22は、発光素子11に対応した画素を構成しているため、立体面表示装置100ではアウターパネル30の曲面形状に応じた立体的な面の画像表示をすることが可能である。
【0027】
本実施形態の立体面表示装置100では、アウターパネル30の形状に応じて導光部20の長さを調整するだけで、アウターパネル30の内面に沿って光取出面22を三次元的に互いに隣接して配置することができ、簡便な構造で立体的な画像表示をすることが可能となる。また、発光素子11での発光を光取出面22から取り出すため、アウターパネル30に発光素子11を近接配置して点状に発光させるよりも発光面積を確保することができ、絵や文字等を表示した場合にも輪郭の識別性を向上させて情報伝達の円滑化を図ることができる。さらに、アウターパネル30を車両の外装の一部とすることで、車両外部からの被視認性を向上させることや斬新な見栄えを実現し、車両との一体感と意匠性を高めることができる。
【0028】
図1(a)(b)では導光部20として断面が略正方形の四角柱のものを示したが、他の断面形状であってもよく例えば三角柱、六角柱、円柱であってもよい。断面が略正方形の四角柱を用いると、光取出面22をマトリクス状に配置できるため、画像表示の画素を構成しやすく好ましい。また、図1(a)(b)では複数の導光部20において断面形状や光取出面22を同一とした例を示したが、立体面表示装置100で表示する内容に応じて、光取出面22の形状を設定することができ、例えば特定の情報を表示するアイコン形状の光取出面22を備えるとしてもよい。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図2を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。図2は、本実施形態における立体面表示装置110を示す模式図であり、図2(a)は模式斜視図であり、図2(b)は分解斜視図である。本実施形態でも、立体面表示装置110は搭載部材10と導光部20とアウターパネル30を備えている。本実施形態では、導光部20が光ファイバ23と柱状部材24とで構成される点が第1実施形態と異なっている。図2(b)では、簡略化のために光ファイバ23と柱状部材24を一つずつ記載して説明するが、立体面表示装置110は図2(a)に示すように発光素子11と同数の光ファイバ23および柱状部材24を備えている。
【0030】
光ファイバ23は、透光性の材料で構成された略線状の可撓性を有する部材である。光ファイバ23は、一方の端面が光入射面21とされて発光素子11に対向して配置され、他方の端面が光出射面であり柱状部材24と光学的に結合されている。発光素子11と光ファイバ23との光結合効率を向上させるために、光入射面21には反射防止膜を形成することや、レンズ形状を形成することが好ましい。
【0031】
柱状部材24は、発光素子11からの光を透過する材料で構成された略柱状の部材であり、一方の端面が光ファイバ23と光学的に結合されており、他方の端面が光取出面22とされている。光取出面22は互いに隣接して三次元的に配置されており、導光部20の内部を伝搬した光が光取出面22から外部に取り出される。複数の柱状部材24は、それぞれの長さが異なっていてもよいが、図2(a)に示すように全ての柱状部材24の長さを均一にすると、部品を共通化して部品点数を低減することができる。
【0032】
光ファイバ23および柱状部材24の側面部分では、内部を伝搬する光は屈折率差によって略全反射するため側面部分からの光の漏洩は無く、光入射面21から入射した光量のほぼ全てが光取出面22から取り出される。光取出面22から外部に取り出された光の指向性を低減して、多方向からの視認性を向上させるために、微小な凹凸などの光を散乱して取り出す光散乱構造を光取出面22の表面に形成することが好ましい。複数の光ファイバ23は光入射面21から光出射面までの長さが異なっており、光ファイバ23の長さを調整することで、柱状部材24の光取出面22までの長さが調整される。
【0033】
隣接する複数の光取出面22は、アウターパネル30の内面形状に沿って三次元的に配置されており、発光素子11からの光は光取出面22およびアウターパネル30を介して立体面表示装置110の外部に取り出される。
【0034】
光入射面21に入射した光は光ファイバ23および柱状部材24の内部を伝搬し、光取出面22からアウターパネル30を介して立体面表示装置110の外部に取り出される。各光取出面22は、発光素子11に対応した画素を構成しているため、立体面表示装置110ではアウターパネル30の曲面形状に応じた立体的な面の画像表示をすることが可能である。
【0035】
本実施形態の立体面表示装置110では、導光部20を光ファイバ23と柱状部材24で構成しているため、光ファイバ23よりも断面積が大きな柱状部材24の長さを短縮化して、導光部20全体を軽量化することができる。また、光ファイバ23の長さを調整することで導光部20全体の長さを調整できるため、柱状部材24を全て同じ長さとして部品を共通化して部品点数の低減を図ることができる。さらに、光ファイバ23が可撓性を有する線状の部材であるため、搭載部材10とアウターパネル30との距離を離すことが可能となり、レイアウトの自由度を向上させることが可能となる。
【0036】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図3を用いて説明する。第2実施形態と重複する内容は説明を省略する。図3は、本実施形態における立体面表示装置120を示す分解斜視図である。本実施形態の立体面表示装置120は、搭載部材10と導光部20とアウターパネル30とファイバ保持部材40を備えている。本実施形態では、ファイバ保持部材40で複数の光ファイバ23を保持する点が第2実施形態と異なっている。
【0037】
ファイバ保持部材40は、複数の挿入孔41が形成された略平板状の部材であり、挿入孔41に光ファイバ23を挿入して保持するための部材である。ファイバ保持部材40は搭載部材10と略同一形状とされており、発光素子11に対応する位置に挿入孔41が形成されている。図3では、簡略化のために光ファイバ23と柱状部材24を一つずつ記載して説明するが、立体面表示装置120は発光素子11と同数の光ファイバ23および柱状部材24を備えている。
【0038】
挿入孔41は、ファイバ保持部材40の一面から裏面側に貫通して設けられた孔であり、その直径は光ファイバ23の外形と略同一とされている。また、挿入孔41の中心は搭載部材10上の発光素子11の発光中心に対応した位置とされている。ファイバ保持部材40は、各挿入孔41に光ファイバ23が挿入されて保持された状態で搭載部材10に対向して配置され、各光ファイバ23の光入射面21が各発光素子11に対向して保持される。
【0039】
本実施形態の立体面表示装置120では、ファイバ保持部材40を用いて複数の光ファイバ23を保持して発光素子11に対向させるため、光ファイバ23と発光素子11の光軸合わせが容易になる。また、複数の光ファイバ23をファイバ保持部材40で一括して保持することで、立体面表示装置120の組立作業時にも容易に可撓性を有する光ファイバ23を取り扱うことができる。
【0040】
図3では、ファイバ保持部材40を一つ備える例を示したが、複数のファイバ保持部材40を備えて光ファイバ23の中間位置を保持するとしてもよい。この場合、光入射面21近傍を保持するファイバ保持部材40では挿入孔41を発光素子11に対応した位置に形成するが、光ファイバ23の中間位置を保持するファイバ保持部材40の大きさは限定されず、挿入孔41同士の間隔を狭くして光ファイバ23を束ねる構成としてもよい。
【0041】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態における導光部20を示す模式斜視図である。本実施形態では導光部20の構成が第2実施形態と異なっており、他の構成は第2実施形態と異なっているため重複する説明は省略する。
【0042】
図4に示すように本実施形態では、導光部20は光ファイバ23と柱状部材24を備え、柱状部材24の光ファイバ23を接続する側には、光ファイバ23に向かって縮径する光拡大部25が設けられている。また、光拡大部25の先端には光ファイバ23の光出射側端面を挿入して固定するファイバ挿入部26が形成されている。
【0043】
光拡大部25は、一方側が光ファイバ23の外径と近似した断面円形であり、他方側が光取出面22と同じ断面形状とされており、光ファイバ23側から光取出面22方向に向かって径が拡大する形状となっている。換言すると、光拡大部25は、柱状部材24の一部を円錐側面で切り出した形状をなしている。
【0044】
ファイバ挿入部26は、光拡大部25の一端側に設けられた略円筒状の凹部であり、その内径は光ファイバ23の光出射端面の外径と略同一とされている。ファイバ挿入部26の凹部深さは、光ファイバ23の光出射端側を挿入して固定するために数mm程度の深さであることが好ましい。光ファイバ23の光出射端側をファイバ挿入部26に挿入した状態で、接続部分周囲に接着剤等を塗布することで光ファイバ23とファイバ挿入部26を固定する。
【0045】
また、ファイバ挿入部26の光取出面22側には、円錐形状等の凹部が形成されており、光拡大部25を構成する材料と光ファイバ23の光射出端面との間に空隙が形成されている。光拡大部25を構成する材料と当該凹部による空隙の屈折率差によって、光拡大部25は凹レンズと同様に光径を拡大する機能を備える。したがって、光ファイバ23の光出射端面から光拡大部25に入射した光は、光径が光取出面の略全域まで拡大されながら光拡大部25内部を伝搬し、柱状部材24の光取出面22から外部に取り出される。
【0046】
柱状部材24および光拡大部25の側面部分では、内部を伝搬する光は屈折率差によって略全反射するため側面部分からの光の漏洩は無い。また、柱状部材24および光拡大部25の内部を伝搬する光が側面部分から漏洩しないように、側面に反射膜を形成するとしてもよい。光取出面22から外部に取り出された光の指向性を低減して、多方向からの視認性を向上させるために、微小な凹凸などの光を散乱して取り出す光散乱構造を光取出面22の表面に形成することが好ましい。また、図4では光拡大部25を柱状部材24の一部として一体に構成した例を示したが、柱状部材24と光拡大部25を別体で構成するとしてもよい。
【0047】
図5(a)は光ファイバ23と光拡大部25およびファイバ挿入部26の形状を示す模式断面図であり、図5(b)は光の拡大についてシミュレーションした結果を示す模式図である。図5(a)(b)の(i)〜(iV)では、光ファイバ23と光拡大部25の形状を同一として、ファイバ挿入部26の先端に形成される空隙部分の円錐形状の高さを変化させている。図5(b)に示す光線軌跡シミュレーションの結果から、ファイバ挿入部26の先端に形成される空隙部分の円錐形状によって光径の拡大および配光性を制御できることがわかる。
【0048】
図6は、導光部20の光取出面における視認性についてシミュレーションした結果を示す模式図であり、図6(a)は視野角10度の位置から見た場合を示し、図6(b)は視野角20度の位置から見た場合を示している。図6(a)(b)では光取出面22の正面位置からの視認性と、正面位置から左方向に角度を10〜50度傾けた方向からの視認性を示している。図6(a)(b)から、視野角や視認方向に依らず良好に光取出面22の略全域からの発光を良好に視認可能なことがわかる。
【0049】
本実施形態では、光ファイバ23と柱状部材24との間に光拡大部25を備えることで、光ファイバ23から光取出面22の略全域まで光径を拡大し、光取出面22の視認性を向上させることができる。
【0050】
また、光ファイバ23の光出射端側をファイバ挿入部26に挿入して固定することで、光ファイバ23と光拡大部25を良好に固定し、両者間での光学的結合を維持することができる。また、ファイバ挿入部26先端に設けられる空隙の形状を適切に設計することで、光拡大部25および柱状部材24での光径拡大を設定することができる。
【0051】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図7を用いて説明する。第2実施形態と重複する内容は説明を省略する。図7は、本実施形態における立体面表示装置130を示す模式斜視図である。本実施形態でも、立体面表示装置130は搭載部材10と導光部20とアウターパネル30を備え、導光部20が光ファイバ23と柱状部材24とで構成されている。
【0052】
本実施形態では、図7に示すように搭載部材10のサイズは光取出面22の合計面積よりも小さく、光ファイバ23の光入射面21側が束ねられて搭載部材10の発光素子11に対向されている。
【0053】
光ファイバ23の径は数十μm〜数mm程度と小さいため、搭載部材10のサイズを小さくして発光素子11同士の間隔を狭くしても、光入射面21を発光素子11にそれぞれ対向させることが可能である。また、光ファイバ23は可撓性を有しているため、光出射端面側は互いの間隔を拡げて柱状部材24の中心位置に接続することができる。これにより、搭載部材10を小型化して省スペース化および軽量化を図りつつ、光取出面22の合計面積を大きくして大画面の立体面表示を実現することが可能となる。
【0054】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
10…搭載部材
20…導光部
30…アウターパネル
40…ファイバ保持部材
100,110,120,130…立体面表示装置
11…発光素子
21…光入射面
22…光取出面
23…光ファイバ
24…柱状部材
25…光拡大部
26…ファイバ挿入部
41…挿入孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7