(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端子は、前記レバーが前記本係止位置へ回動されて前記相手側ハウジングが引き寄せられることで、前記相手側ハウジングに設けられた回路基板の電極に当接して電気的に接続される接点部を有し、
前記接点部の前記電極との接触箇所の周囲が、前記回路基板に当接された前記可動ガイド部材によって覆われる
ことを特徴とする請求項1に記載のレバー式コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コネクタ同士の接合前にムービングプレートが不用意にスライドすると、端子が露出して保護されなくなることがある。このため、上記コネクタでは、コネクタ同士の接合前におけるムービングプレートのスライドを規制するための仮係止用弾性アームを設けると共に、接合時に仮係止用弾性アームによるムービングプレートのスライドの規制を解除させる仮係止解除突起を設けている。このため、構造の複雑化によるコストアップ及びコネクタの大型化を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動ガイド部材を備えつつ、コストダウン及び小型化が可能なレバー式コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るレバー式コネクタは、下記(1)〜(
4)を特徴としている。
(1) 相手側コネクタの凹状に形成された相手側ハウジングに対してレバーの操作で挿抜されるレバー式コネクタであって、複数の端子収容室を有するハウジングと、前記ハウジングの前記端子収容室に収容される複数の端子と、前記ハウジングの前部に設けられ、前記端子収容室に収容された前記端子の先端部を覆って保護する可動ガイド部材と、前記ハウジングに対して回動されることで前記相手側ハウジングに設けられたカムピンを引き込んで前記ハウジングに前記相手側ハウジングを引き寄せるカム溝を有し、前記カム溝に前記カムピンを受け入れ可能な仮係止位置と前記カム溝に前記カムピンを引き込む本係止位置との間で回動可能とされたレバーと、を備え、前記可動ガイド部材は、前記端子が前記相手側コネクタの電極に対して電気的に接続可能となる後方へ変位可能に保持され、前記レバーには、前記仮係止位置に配置された状態で、前記可動ガイド部材の後方への変位を規制するとともに、前記本係止位置へ向かって回動されることで前記可動ガイド部材の前記後方への変位の規制を解除する変位規制部が設けら
れ、前記可動ガイド部材は、前記仮係止位置へ向かって回動される前記レバーの前記変位規制部によって前方へ変位されることを特徴とするレバー式コネクタ。
(
2) 前記端子は、前記レバーが前記本係止位置へ回動されて前記相手側ハウジングが引き寄せられることで、前記相手側ハウジングに設けられた回路基板の電極に当接して電気的に接続される接点部を有し、前記接点部の前記電極との接触箇所の周囲が、前記回路基板に当接された前記可動ガイド部材によって覆われることを特徴とする上記(1
)に記載のレバー式コネクタ。
(
3) 前記可動ガイド部材の先端には、前記回路基板に形成された位置決め孔に嵌合する位置決め突起が形成されていることを特徴とする上記(
2)に記載のレバー式コネクタ。
(
4) 前記ハウジングには、前記仮係止位置及び前記本係止位置に配置された前記レバーを係止するレバー回動規制部を備えることを特徴とする上記(1)〜(
3)のいずれかに記載のレバー式コネクタ。
【0007】
上記(1)の構成のレバー式コネクタによれば、レバーを仮係止位置に配置させることで、可動ガイド部材の後方への変位がレバーの変位規制部によって規制され、レバーを本係止位置へ向かって回動させることで、変位規制部による可動ガイド部材の後方への変位の規制が解除される。このように、レバーに連動して可動ガイド部材の変位の規制及びその解除を行う構造であるので、レバーとは別に、可動ガイド部材の変位の規制及びその解
除を行う別構造を設けた従来のものと比較して構造の簡略化によるコネクタのコストダウン及び小型化を図ることができる。
更に、レバーを仮係止位置へ向かって回動させることで、変位規制部によって可動ガイド部材を前方へ変位させることができる。これにより、相手側コネクタから取り外した際にも、可動ガイド部材によって端子の先端部を確実に保護させることができる。
上記(
2)の構成のレバー式コネクタによれば、レバーを本係止位置へ回動させて相手側ハウジングを引き寄せることで、相手側ハウジングに設けられた回路基板の電極に、端子の接点部を容易に当接させて電気的に接続させることができる。また、接点部の電極との接触箇所の周囲が、回路基板に当接された可動ガイド部材によって覆われるので、接点部が接触された電極で針状に延びる金属結晶であるウィスカが生じても、隣接する電極へウィスカが延びて短絡を生じさせるのを可動ガイド部材によって防止できる。
上記(
3)の構成のレバー式コネクタによれば、可動ガイド部材の先端に形成された位置決め突起が、回路基板に形成された位置決め孔に嵌合し、回路基板に対して可動ガイド部材が位置決めされる。そこで、可動ガイド部材の当接部は、回路基板の電極の周囲に正確に当接することができる。
上記(
4)の構成のレバー式コネクタによれば、レバー回動規制部が仮係止位置及び本係止位置に配置されたレバーを係止するので、レバーが不用意に回動するのを抑制できる。これにより、相手側コネクタに対する非接合時では、可動ガイド部材によって端子を確実に保護することができ、また、相手側コネクタとの接合時では、不用意に接合が解除されるのを抑制できる。しかも、レバー回動規制部が仮係止位置及び本係止位置の両方の位置でレバーを係止するので、それぞれの位置でレバーをそれぞれ係止する構造と比べて簡略化できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可動ガイド部材を備えつつ、コストダウン及び小型化が可能なレバー式コネクタを提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1〜
図3に示すように、本実施形態に係るレバー式コネクタ10(以下、単にコネクタ10とも称す)は、ハウジング20と、端子40と、スペーサ50と、レバー60と、可動ガイド部材としてのフロントホルダ70とを備えている。ハウジング20、スペーサ50、レバー60及びフロントホルダ70は、それぞれ電気絶縁性の樹脂から成形されている。
【0012】
図4に示すように、コネクタ10が接合される相手側コネクタ1の相手側ハウジング2は凹状に形成されており、この相手側ハウジング2にコネクタ10のハウジング20が嵌合されることで、コネクタ10が相手側コネクタ1に接合される。
【0013】
相手側コネクタ1には、その奥側に回路基板3が設けられており、コネクタ10は、相手側コネクタ1に接合されることで、端子40が回路基板3に形成された導体パターンからなる電極4に直接接触されて電気的に接続される(
図3参照)。
【0014】
また、コネクタ10は、ハウジング20に装着されたレバー60が仮係止位置(
図1の(a)に示す位置)から本係止位置(
図1の(b)に示す位置)へ回動されることで、ハウジング20に相手側コネクタ1の相手側ハウジング2に設けられたカムピン5がレバー60によって引き込まれ、相手側ハウジング2が引き寄せられる。これにより、コネクタ10に対して相手側コネクタ1が低挿入力で接合される。また、コネクタ10は、ハウジング20に装着されたレバー60が本係止位置(
図1の(b)に示す位置)から仮係止位置(
図1の(a)に示す位置)へ回動されることで、カムピン5がレバー60によって押し出され、相手側ハウジング2からハウジング20が抜き出される。これにより、コネクタ10は、レバー60の操作によって、接合された相手側コネクタ1から取り外す際の引き抜き力も小さくされる。
【0015】
このように、本実施形態に係るレバー式コネクタ10は、回路基板3の電極4に直接接触するダイレクトタイプの端子40を有するダイレクト接続型のコネクタであるとともに、レバー60の操作によって相手側コネクタ1に対して低挿入力(Low Insertion Force)で挿抜させるLIFコネクタである。
【0016】
ハウジング20は、前後方向に沿う複数の端子収容室21を有する箱型に形成されている。ハウジング20には、下面側で開口する収容部22を有している。収容部22は、端子収容室21に対して直交する面に沿って形成されている。ハウジング20の上面には、収容部22と連通する孔部23が形成されている。
【0017】
ハウジング20は、その上部がレバー装着部24とされている。レバー装着部24を構成するハウジング20の上部には、その一側にレバー回動規制部25が設けられている。レバー回動規制部25は、前端側が連結されて後端側が後方へ向かって延在する片持ち梁状の回動規制片26を有している。回動規制片26には、その上面に、係止凸部26aが形成されている。また、レバー装着部24を構成するハウジング20の上部には、他側における後端部分に、レバー係止部27が形成されている。レバー係止部27は、ハウジング20の幅方向中央側に切り欠き部28を有している。
さらに、ハウジング20は、その前部に保持凹部29を有しており、この保持凹部29には、フロントホルダ70が保持される。
【0018】
端子40は、その前部に、角筒状に形成された箱部42を有している。箱部42の内部には、弾性変形可能な帯状のバネ片43が設けられている。バネ片43は、後端側へ折り返されることで、U字状に湾曲した接点部44を有しており、この接点部44は、箱部42の先端から前方へ突出されている。
【0019】
端子40は、箱部42の後側に、電線加締部45を有している。端子40は、電線加締部45を端部で導体を露出させた電線41に加締めることにより、電線41の端末に接続されて電線41の導体と導通されている。
【0020】
端子40は、一枚の金属板をプレス成形することにより形成されており、一体構造のものとして製造されている。但し、バネ片43を、箱部42と別体に製造し、箱部42の内部に収容すると共に箱部42に溶接等により固定してもよい。
【0021】
端子40は、電線41の先端に取り付けられた状態でハウジング20の端子収容室21に、その後方側から挿入されて収容される。端子40は、回路基板3上の電極4に箱部42の先端から突出したバネ片43が直接接触して電気的に接続される。
【0022】
スペーサ50は、矩形の枠状に形成されている。このスペーサ50は、ハウジング20の端子収容室21と同数の係止孔52を有している。係止孔52は、端子40の箱部42が挿通可能な大きさに形成されている。スペーサ50には、その上部に、ボス51が突設されている。ボス51には、その先端に、側方へ向かって互いに反対方向へ突出する一対の係止片55が形成されている。
【0023】
図5に示すように、スペーサ50は、ハウジング20の下面で開口する収容部22に挿入されて収容され、これにより、ボス51がハウジング20の上面の孔部23から上方へ突出されてレバー装着部24に配置される。そして、このボス51にレバー60が回動可能に支持される。
【0024】
収容部22に収容されるスペーサ50は、端子収容室21に対して係止孔52が一致した仮保持位置と、端子収容室21に対して係止孔52が上方へずれた本保持位置に変位される。これにより、端子40は、スペーサ50が仮保持位置に配置された状態でハウジング20の端子収容室21に挿入可能とされる。また、端子収容室21に収容された端子40は、スペーサ50が本保持位置に配置されることで、箱部42の後端側がスペーサ50の係止孔52の縁部に係止され、端子収容室21から抜け止めされる。
【0025】
図6の(a)に示すように、レバー60は、板状に形成されており、ハウジング20の上部のレバー装着部24に配置されて回動可能に支持される。レバー60には、回動孔61が形成されており、この回動孔61には、ハウジング20の上面の孔部23から突出されたスペーサ50のボス51が挿通される。これにより、レバー60は、ボス51の軸線を中心として回動可能とされている。
【0026】
レバー60には、カム溝62が形成されている。カム溝62は、ハウジング20の上部のレバー装着部24に配置させたレバー60の上面側に形成されている。カム溝62は、レバー60の周囲の一部で開放されたピン導入部62aを有し、このピン導入部62aから次第に中心に近づくように回動孔61の周囲に沿って一方向に形成されている。そして、ピン導入部62aに相手側コネクタ1の相手側ハウジング2に設けられたカムピン5を挿し込んでレバー60を回動させることで、カムピン5がハウジング20の後方へ引き込まれ、ハウジング20に対して相手側コネクタ1の相手側ハウジング2が引き寄せられる。
【0027】
レバー60は、ピン導入部62aが前方へ配置されてカムピン5の受け入れが可能な仮係止位置と、カムピン5を引き込んでハウジング20に対して相手側ハウジング2を引き寄せる本係止位置との間で回動される。つまり、レバー60は、カムピン5を引き込む本係止位置への回動方向である係止方向Aへの回動(
図1の(a)参照)、及びカムピン5の受け入れが可能とされるとともに引き込んで係止したカムピン5の引き込みを解除する係止解除方向Bへの回動(
図1の(b)参照)が可能とされている。
【0028】
レバー60は、回動孔61を挟んでカム溝62のピン導入部62aと反対側が操作部63とされており、この操作部63を把持して操作される。また、レバー60は、下面側から側方へ張り出す係止板部64と、上面側から側方へ張り出す係止板部65とを有している。さらに、レバー60は、操作部63の下面側に、係止段部69を有している。また、レバー60は、仮係止位置に配置された状態で前方側に配置される変位規制部68を有している。
【0029】
レバー60は、回動孔61の縁部における対向位置に、挿通口71を有している。また、回動孔61の縁部における挿通口71の側部には、一方側に仮係止段部66が形成され、他方側に本係止段部67が形成されている。
図6の(b)に示すように、本係止段部67の上面は、仮係止段部66の上面よりも高くされている。さらに、スペーサ50が仮保持位置に配置された状態で、仮係止段部66の上面はボス51の係止片55の下面よりも低い位置となり、本係止段部67の上面はボス51の係止片55の下面よりも高い位置となる。また、スペーサ50が本保持位置に配置された状態で、仮係止段部66及び本係止段部67のそれぞれの上面はボス51の係止片55の下面よりも低い位置となる。
【0030】
また、本係止段部67には、挿通口71側の縁部に、挿通口71から離れるにしたがって次第に高くなるように傾斜したテーパ形状のガイド面67aが形成されている。ガイド面67aの挿通口71側における高さは、仮保持位置に配置されたスペーサ50のボス51の係止片55の下面よりも低くされている。
【0031】
図7に示すように、フロントホルダ70は、矩形の枠状に形成されており、ハウジング20の端子収容室21と同数の挿通孔72を有している。挿通孔72は、端子40の箱部42が挿通可能な大きさに形成されている。このフロントホルダ70は、ハウジング20の前部の保持凹部29に嵌め込まれ、ハウジング20の前後方向へ移動可能に保持される。このフロントホルダ70によって、ハウジング20の端子収容室21に収容された各端子40は、接点部44を有する箱部42の先端が覆われる。このフロントホルダ70の各挿通孔72の前端側の縁部は、前方へ向かって突出する断面角形状の当接部72aとされている。
【0032】
フロントホルダ70は、その両側部に保持片73を有しており、この保持片73は、フロントホルダ70をハウジング20の保持凹部29に保持させた状態で、フロントホルダ70をハウジング20に保持させる。なお、フロントホルダ70は、ハウジング20に対する保持片73の係止によって、保持凹部29からハウジング20の前方側に突出した前方位置と、保持凹部29内に入り込んだ後方位置とに配置される。
【0033】
また、フロントホルダ70には、その上端における一側部側に、上方へ突出する係止突起75が形成されている。さらに、フロントホルダ70には、その両側部に、前方へ突出する位置決め突起76が形成されている。
【0034】
次に、上記構成のレバー式コネクタ10におけるレバー60の組付け、端子40の収容、相手側コネクタ1との接合、相手側コネクタ1からの取り外しについて説明する。
図8は、レバー60の組付け時におけるレバー式コネクタ10の全体斜視図である。
図9は、レバー60及びスペーサ50の動きを説明する図であって、
図9の(a)〜
図9の(c)は、それぞれ鉛直方向の断面図である。
図10は、レバー60が仮係止位置に配置されたレバー式コネクタ10の全体斜視図である。
図11は、レバー60が係止方向へ向かって回動された状態のレバー式コネクタ10の全体斜視図である。
図12は、相手側コネクタ1に接合された状態のレバー式コネクタ10の水平方向に沿う断面図である。
図13は、
図12におけるD部拡大図である。
図14は、レバー60が本係止位置に配置されたレバー式コネクタ10の後方からの全体斜視図である。
【0035】
(レバー60の組付け)
レバー60をハウジング20のレバー装着部24に組付けるには、ハウジング20の下面側の開口から収容部22にスペーサ50を収容して仮保持位置に配置させ、孔部23からボス51を突き出させてボス51をレバー装着部24に配置させた状態とする(
図5参照)。
次に、
図8に示すように、挿通口71をボス51の係止片55の位置に合わせ、レバー60の回動孔61にスペーサ50のボス51を入り込ませる。
【0036】
その後、レバー60を係止解除方向Bへ回動させ、レバー装着部24に装着したレバー60を仮係止位置へ移動させる(
図1の(a)参照)。レバー60を仮係止位置へ配置させると、
図9の(a)に示すように、仮保持位置に配置されたスペーサ50のボス51の係止片55の下方側へレバー60の仮係止段部66が入り込む。さらに、レバー60の係止板部64がハウジング20のレバー係止部27に形成された切り欠き部28に入り込む(
図1の(a)参照)。これにより、レバー60がハウジング20のレバー装着部24に確実に保持された状態とされる。
【0037】
また、レバー60を仮係止位置に配置させると、
図10に示すように、レバー60の係止板部65の側方にハウジング20のレバー回動規制部25の回動規制片26が配置される。これにより、仮係止位置に配置されたレバー60の係止方向Aへの回動が規制された状態となる。また、レバー60が仮係止位置に配置されると、レバー60の変位規制部68がフロントホルダ70の係止突起75の後方に配置される。これにより、フロントホルダ70のハウジング20の後方側への移動が規制された状態となる。
【0038】
(端子40の収容)
端子40をハウジング20に収容させるには、スペーサ50を仮保持位置に配置させて係止孔52を端子収容室21と連通させた状態で、箱部42を前方に向けた端子40をハウジング20の後方側から端子収容室21内へ挿し込んで収容させる。このとき、端子40は、その先端が、前方位置に配置されたフロントホルダ70の挿通孔72内に配置さることで、このフロントホルダ70によって覆われて保護された状態となる。
【0039】
端子収容室21へ端子40を挿し込んで収容させたら、ハウジング20のレバー回動規制部25の回動規制片26を押し下げて回動規制片26によるレバー60の係止板部65の係止を解除させ、仮係止位置に配置されているレバー60を係止方向Aへ回動させて本係止位置へ移動させる。
【0040】
このようにすると、スペーサ50のボス51の係止片55に、係合方向Aへ回動されるレバー60の本係止段部67に形成されたガイド面67aが当接し、このガイド面67aに沿ってボス51が引き上げられ、その後、係止片55の下方にレバー60の本係止段部67が入り込む。これにより、仮保持位置に配置されていたスペーサ50がハウジング20の上方へ変位して本保持位置に配置される。したがって、各端子40の箱部42の後方側がスペーサ50の係止孔52の縁部によって係止される。これにより、端子収容室21に収容されている各端子40は、ハウジング20の後方側への移動が規制されて抜け止めされた状態とされる。
【0041】
スペーサ50を本保持位置に引き上げたら、レバー60を係止解除方向Bへ回動させて仮係止位置へ配置させる。このように、スペーサ50を本保持位置へ移動させた状態でレバー60を仮係止位置へ配置させると、
図9の(b)に示すように、上方へ配置されたボス51の係止片55の下方にレバー60の仮係止段部66が入り込むが、仮係止段部66とボス51の係止片55との間にクリアランスが生じ、係止片55によってレバー60が保持されなくなる。しかし、仮係止位置に配置されたレバー60は、係止板部64がハウジング20のレバー係止部27に形成された切り欠き部28に入り込んでいるので、レバー装着部24からのレバー60の浮き上りが防止される。また、このようにレバー60を仮係止位置に配置させると、レバー60の係止板部65がハウジング20のレバー回動規制部25の回動規制片26に係止され、レバー60の係止方向Aへの回動が規制される。さらに、レバー60の変位規制部68が、フロントホルダ70の係止突起75の後方に入り込む。これにより、フロントホルダ70がハウジング20の前方位置に配置された状態に維持され、フロントホルダ70による端子40の先端の保護が維持された状態となる。
【0042】
(相手側コネクタ1との接合)
本実施形態に係るレバー式コネクタ10を相手側コネクタ1に接合させるには、まず、ハウジング20の前部を相手側コネクタ1の相手側ハウジング2に挿し込む。すると、相手側ハウジング2のカムピン5が、レバー60のカム溝62のピン導入部62aに入り込む。また、相手側ハウジング2の係止解除突起6(
図4参照)が、ハウジング20のレバー回動規制部25における回動規制片26の係止凸部26aに当接する。これにより、回動規制片26が押し下げられ、この回動規制片26によるレバー60の係止板部65に対する係止が解除され、レバー60の係止方向Aへの回動が可能とされる。
【0043】
次に、レバー60の操作部63を把持し、レバー60を係止方向Aへ回動させる。すると、回動されるレバー60のカム溝62に入り込んだカムピン5が引き込まれる。また、レバー60が係止方向Aへ回動されることで、
図11に示すように、レバー60の変位規制部68がフロントホルダ70の係止突起75の後方位置から外れた位置に移動する。これにより、フロントホルダ70のハウジング20の後方位置への移動が可能とされる。
【0044】
このとき、本保持位置に配置されたスペーサ50の係止片55は上方へ変位されているので、係止片55が本係止段部67に当接することなく、本係止段部67が係止片55の下方側へ入り込む。
【0045】
さらに、レバー60を係止方向Aへ回動させると、フロントホルダ70の当接部72aが相手側コネクタ1の回路基板3に当接し、フロントホルダ70が保持凹部29内に押し込められた後方位置に配置される。すると、フロントホルダ70に対して端子40が前方へ相対的に移動する。また、
図12に示すように、フロントホルダ70に形成された位置決め突起76が、回路基板3に形成された位置決め孔3aに嵌合し、回路基板3に対してフロントホルダ70が位置決めされる。そこで、フロントホルダ70の当接部72aは、回路基板3の電極4の周囲に正確に当接することができる。
【0046】
レバー60が本係止位置まで回動されると、端子40の箱部42の接点部44が回路基板3の電極4に接触して電気的に接続される(
図3,
図12参照)。この状態で、
図13に示すように、回路基板3の電極4と端子40の接点部44との接続箇所は、当接部72aが回路基板3に当接されたフロントホルダ70の各挿通孔72を形成する壁部によって囲われ、それぞれ区画された状態となる。
【0047】
レバー60が本係止位置に配置された状態では、
図9の(c)に示すように、ボス51の係止片55の下方側に本係止段部67がほぼクリアランスなく入り込むため、レバー60は、ボス51の係止片55によってガタツキなく抜け止めされる。また、レバー60が本係止位置に配置されると、
図14に示すように、レバー60の操作部63の裏側の係止段部69が、レバー回動規制部25の回動規制片26に形成された係止凸部26aに係止され、これにより、レバー60の係止解除方向Bへの回動が規制される。
【0048】
(相手側コネクタ1からの取り外し)
相手側コネクタ1に接合されたレバー式コネクタ10を相手側コネクタ1から取り外すには、まず、ハウジング20のレバー回動規制部25の回動規制片26を押し下げ、係止凸部26aによるレバー60の係止段部69への係止を解除させる。このようにすると、レバー60の係止解除方向Bへの回動の規制が解除される。
【0049】
次に、本係止位置に配置されているレバー60を係止解除方向Bへ回動させる。このようにすると、レバー60のカム溝62に引き込まれていたカムピン5がハウジング20の前方側へ押し出され、ハウジング20が相手側コネクタ1の相手側ハウジング2から抜き出される。これにより、回路基板3の電極4に接触されていた端子40の接点部44が電極4から離間し、相手側コネクタ1の回路基板3の電極4とコネクタ10の端子40との電気的接続が解除される。
【0050】
レバー60をさらに回動させて仮係止位置に配置させると、レバー60のカム溝62と相手側ハウジング2のカムピン5との係合が解除され、この状態で、相手側コネクタ1の相手側ハウジング2に嵌合されていたコネクタ10のハウジング20を抜き取ることで、相手側コネクタ1とコネクタ10との接合が解除される。
【0051】
また、レバー60を仮係止位置に配置させると、レバー60の係止板部65がハウジング20のレバー回動規制部25の回動規制片26に係止され、レバー60の係止方向Aへの回動が規制される。また、レバー60の係止板部64がハウジング20のレバー係止部27に形成された切り欠き部28に入り込み、レバー60がハウジング20のレバー装着部24に確実に保持された状態とされる。さらに、レバー60の変位規制部68がフロントホルダ70の係止突起75の後方に入り込む。これにより、フロントホルダ70がハウジング20の前方側へ押し出されて前方位置に配置され、端子40の先端が覆われて保護された状態となる。
【0052】
以上、説明したように、本実施形態に係るレバー式コネクタ10によれば、レバー60を仮係止位置に配置させることで、フロントホルダ70の後方への変位がレバー60の変位規制部68によって規制され、レバー60を本係止位置へ向かって回動させることで、変位規制部68によるフロントホルダ70の後方への変位の規制が解除される。このように、レバー60に連動してフロントホルダ70の変位の規制及びその解除を行う構造であるので、レバーとは別にフロントホルダの変位の規制及びその解除を行う別構造を設けた従来のものと比較して、構造の簡略化によるコネクタ10のコストダウン及び小型化を図ることができる。
【0053】
また、本実施形態のレバー式コネクタ10では、レバー60を仮係止位置へ向かって回動させることで、変位規制部68によってフロントホルダ70を前方へ変位させることができる。これにより、相手側コネクタ1から取り外した際にも、フロントホルダ70によって端子40の先端部を確実に保護させることができる。
【0054】
しかも、本実施形態のレバー式コネクタ10では、レバー60を本係止位置へ回動させて相手側ハウジング2を引き寄せることで、相手側ハウジング2に設けられた回路基板3の電極4に、端子40の接点部44を容易に当接させて電気的に接続させることができる。また、接点部44の電極4との接触箇所の周囲が、回路基板3に当接されたフロントホルダ70によって覆われるので、接点部44が接触された電極4で針状に延びる金属結晶であるウィスカが生じても、隣接する電極4へウィスカが延びて短絡を生じさせるのをフロントホルダ70によって防止できる。
【0055】
また、本実施形態のレバー式コネクタ10では、レバー回動規制部25が仮係止位置及び本係止位置に配置されたレバー60を係止するので、レバー60が不用意に回動するのを抑制できる。これにより、相手側コネクタ1に対する非接合時では、フロントホルダ70によって端子40を確実に保護することができ、また、相手側コネクタ1との接合時では、不用意に接合が解除されるのを抑制できる。しかも、レバー回動規制部25が仮係止位置及び本係止位置の両方の位置でレバー60を係止するので、それぞれの位置でレバー60をそれぞれ係止する構造と比べて簡略化できる。
従って、本実施形態のレバー式コネクタ10によれば、フロントホルダ70を備えつつ、コストダウン及び小型化が可能なレバー式コネクタを提供できる。
【0056】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0057】
ここで、上述した本発明に係るレバー式コネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 相手側コネクタ(1)の凹状に形成された相手側ハウジング(2)に対してレバー(60)の操作で挿抜されるレバー式コネクタ(10)であって、
複数の端子収容室(21)を有するハウジング(20)と、
前記ハウジング(20)の前記端子収容室(21)に収容される複数の端子(40)と、
前記ハウジング(20)の前部に設けられ、前記端子収容室(21)に収容された前記端子(40)の先端部を覆って保護する可動ガイド部材(フロントホルダ70)と、
前記ハウジング(20)に対して回動されることで前記相手側ハウジング(2)に設けられたカムピン(5)を引き込んで前記ハウジング(20)に前記相手側ハウジング(2)を引き寄せるカム溝(62)を有し、前記カム溝(62)に前記カムピン(5)を受け入れ可能な仮係止位置と前記カム溝(62)に前記カムピン(5)を引き込む本係止位置との間で回動可能とされたレバー(60)と、
を備え、
前記可動ガイド部材(フロントホルダ70)は、前記端子(40)が前記相手側コネクタ(1)の電極(4)に対して電気的に接続可能となる後方へ変位可能に保持され、
前記レバー(60)には、前記仮係止位置に配置された状態で、前記可動ガイド部材(フロントホルダ70)の後方への変位を規制するとともに、前記本係止位置へ向かって回動されることで前記可動ガイド部材(フロントホルダ70)の前記後方への変位の規制を解除する変位規制部(68)が設けられている
ことを特徴とするレバー式コネクタ(10)。
[2] 前記可動ガイド部材(フロントホルダ70)は、前記仮係止位置へ向かって回動される前記レバー(60)の前記変位規制部(68)によって前方へ変位される
ことを特徴とする上記[1]に記載のレバー式コネクタ。
[3] 前記端子(40)は、前記レバー(60)が前記本係止位置へ回動されて前記相手側ハウジング(2)が引き寄せられることで、前記相手側ハウジング(2)に設けられた回路基板(3)の電極(4)に当接して電気的に接続される接点部(44)を有し、
前記接点部(44)の前記電極(4)との接触箇所の周囲が、前記回路基板(3)に当接された前記可動ガイド部材(フロントホルダ70)によって覆われる
ことを特徴とする上記[1]または[2]に記載のレバー式コネクタ(10)。
[4] 前記可動ガイド部材(フロントホルダ70)の先端には、前記回路基板(3)に形成された位置決め孔(3a)に嵌合する位置決め突起(76)が形成されていることを特徴とする上記(3)に記載のレバー式コネクタ(10)。
[5] 前記ハウジング(20)には、前記仮係止位置及び前記本係止位置に配置された前記レバー(60)を係止するレバー回動規制部(25)を備える
ことを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のレバー式コネクタ(10)。