特許第6907028号(P6907028)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907028
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】遮蔽装置及び遮蔽材用の生地形成方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/386 20060101AFI20210708BHJP
   E06B 9/262 20060101ALI20210708BHJP
   A47H 23/04 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   E06B9/386
   E06B9/262
   A47H23/04
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-107242(P2017-107242)
(22)【出願日】2017年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-204188(P2018-204188A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】山岸 万人
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05273097(US,A)
【文献】 特開2013−096069(JP,A)
【文献】 特開2016−023422(JP,A)
【文献】 特開2000−034872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24− 9/388
A47H 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材を移動又は安定させるためのコードを用いる遮蔽装置あって、
複数の溶着部によって形成される接合片の領域内に、複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方が形成されている生地を遮蔽材とし、前記複数の孔部或いは複数の薄皮部のうちいずれかに対し前記遮蔽材を移動又は安定させるためのコードを挿通又は係合させており、前記複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方を前記コードの係合手段として構成し、
前記複数の薄皮部は孔開け用部位として形成され、
前記生地は、前記接合片に形成された複数の孔部又は薄皮部のいずれかを前記コードを挿通する挿通孔として利用し、その他の孔部又は薄皮部には、前記コードを挿通しないものとするよう構成されていることを特徴とする遮蔽装置
【請求項2】
前記複数の溶着部が線状に並び、前記複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方が並行して線状に形成されていることを特徴とする、請求項に記載の遮蔽装置
【請求項3】
線状に並ぶ当該複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方に対し、それぞれの周囲の全部又は一部に、或いは連結して、前記複数の溶着部が形成されていることを特徴とする、請求項に記載の遮蔽装置
【請求項4】
前記複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方は、所定のコード又は係止部材を挿通可能に構成されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の遮蔽装置
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の遮蔽装置における前記遮蔽材用の生地を形成する方法であって、前記複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方、前記複数の溶着部の各々の溶着工程と同時又は並行して行う加工によって形成ることを特徴とする、遮蔽材用の生地形成方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置用の生地、及びプリーツスクリーン、ローマンシェード、縦型ブラインド、横型ブラインド、カーテンレール、或いはアコーデオンカーテン等の生地を遮蔽材として利用する遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生地を遮蔽材として利用する遮蔽装置の一種として、例えばプリーツスクリーンがある。プリーツスクリーンは、上下方向にジクザグ状に折り曲げ可能としたスクリーン(遮蔽材として利用する生地)をヘッドボックスから吊下支持し、そのスクリーンを昇降して採光量を適宜に調節するものである。
【0003】
プリーツスクリーンでは、スクリーンをジクザグ状に折り曲げ可能とするため、ジクザグ状に折り目が設けられた生地の一方側の折り目に、溶着等の手段により接合片がそれぞれ設けられる。この接合片を利用して、溶着等の手段により他の生地の接合片と接合可能である。また、当該接合片には、ヘッドボックスから垂下される昇降コードを挿通可能とする挿通孔が設けられ、例えば昇降コードの下端はボトムレールに取着される。したがって、プリーツスクリーンは、昇降コードを介してボトムレールを昇降することによりスクリーンを下方へ引き延ばし、或いはスクリーンを上方へ畳み込み可能となっている。
【0004】
このような接合片は、1枚の生地を折り曲げ、その折り曲げ線に並行して破線状に溶着することで形成することが一般的であるが、これ以外にも、複数の生地を重ね合わせ、各生地の縁部に並行して破線状に溶着することで形成することができる。
【0005】
一方、折り曲げた生地、又は重ね合わせた生地を破線状に溶着して接合片を形成する代わりに、当該スクリーンの左右方向に向かって、その当該スクリーンの左右方向に対し垂直な線形状とするなどの所定の単位溶着パターンで生地を一方向に連続して溶着する技法も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
そして、このような接合片を有する生地は、プリーツスクリーン以外にも、ローマンシェード、縦型ブラインド、横型ブラインド、カーテンレール、或いはアコーデオンカーテン等の遮蔽装置に利用することができる。
【0007】
ところで、接合片を有する生地を遮蔽材として遮蔽装置に利用するには、その遮蔽装置の仕様に合致するように、上述したような例えば昇降コードを挿通可能とする挿通孔をその接合片に設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016−23422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、当該スクリーンの左右方向に向かって、その当該スクリーンの左右方向に対し垂直な線形状とするなどの所定の単位溶着パターンで生地を一方向に連続して溶着するなど、折り曲げた生地、又は重ね合わせた生地を溶着して接合片を形成し、その接合片を有する生地を種々の遮蔽装置に利用することができる。
【0010】
ただし、接合片を有する生地を遮蔽材として遮蔽装置に利用するには、その遮蔽装置の仕様に合致するように、上述したような例えば昇降コードを挿通可能とする挿通孔をその接合片に設ける必要がある。
【0011】
しかしながら、遮蔽装置の仕様によって様々な孔位置が要求されるため、従来技法では、その遮蔽装置の仕様毎の挿通孔の孔位置を設定し、接合片を有する生地に対し後追いで孔開け加工を行っている。
【0012】
このため、遮蔽装置の仕様に応じて後追いで孔開け加工を行うことや、遮蔽装置の仕様に応じた孔位置を持つ生地を予め保管することは、結果的に製造コストが増大するという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、製造コストを低減可能な、溶着による接合片を有する生地、及びその生地を遮蔽材として利用する遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の遮蔽装置は、遮蔽材を移動又は安定させるためのコードを用いる遮蔽装置あって、複数の溶着部によって形成される接合片の領域内に、複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方が形成されている生地を遮蔽材とし、前記複数の孔部或いは複数の薄皮部のうちいずれかに対し前記遮蔽材を移動又は安定させるためのコードを挿通又は係合させており、前記複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方を前記コードの係合手段として構成し、前記複数の薄皮部は孔開け用部位として形成され、前記生地は、前記接合片に形成された複数の孔部又は薄皮部のいずれかを前記コードを挿通する挿通孔として利用し、その他の孔部又は薄皮部には、前記コードを挿通しないものとするよう構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の遮蔽装置において、前記複数の溶着部が線状に並び、前記複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方が並行して線状に形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の遮蔽装置において、線状に並ぶ当該複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方に対し、それぞれの周囲の全部又は一部に、或いは連結して、前記複数の溶着部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の遮蔽装置において、前記複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方は、所定のコード又は係止部材を挿通可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の遮蔽材用の生地形成方法は本発明の遮蔽装置における前記遮蔽材用の生地を形成する方法であって、前記複数の孔部と複数の薄皮部のいずれか一方又は双方、前記複数の溶着部の各々の溶着工程と同時又は並行して行う加工によって形成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、溶着による接合片を有する生地、及びその生地を遮蔽材として利用する遮蔽装置の製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成されるプリーツスクリーンにおける概略構成を示す側面図である。
図2】(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例1,2の接合片を有する生地の概略構成を示す部分的な斜視図である。
図3】(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例1,2の接合片を有する生地に対し昇降コードを挿通した状態を示す部分的な斜視図である。
図4】(a),(b),(c)は、それぞれ本発明による実施例1,2の接合片を有する生地における当該接合片の形成例を示す部分的な平面図である。
図5】(a)は本発明による実施例1,2の接合片を有する生地における当該接合片の形成に係る加工例を示す図であり、(b)はその比較例として従来技法における加工例を示す図である。
図6】(a)乃至(f)は、それぞれ本発明による実施例1,2の接合片を有する生地の当該接合片における多数の溶着部と孔部又は薄皮部の形状例を示す部分的な平面図である。
図7】(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例1,2の接合片を有する生地の当該接合片における多数の溶着部と薄皮部を同時形成する例を示す部分的な平面図である。
図8】本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成されるローマンシェードにおける概略構成を示す斜視図である。
図9】本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される別の実施形態のローマンシェードにおける概略構成を示す斜視図である。
図10】本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される縦型ブラインドにおける概略構成を示す斜視図である。
図11】(a),(b),(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される縦型ブラインドにおけるボトムコードの係合又は係止例を示す図である。
図12】本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドにおける概略構成を示す斜視図である。
図13】本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドにおける別形態のスラットの概略構成を示す部分的な斜視図である。
図14】本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成されるカーテンレールにおける概略構成を示す斜視図である。
図15】本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される、たくし上げカーテンにおける概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成されるプリーツスクリーンを主として説明する。尚、本願明細書中、図1に示すプリーツスクリーンの側面図に対して、図示上方及び図示下方をスクリーンの吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向をプリーツスクリーンの前側(室内側)、及び、図示右方向をプリーツスクリーンの後ろ側(室外側)と定義して説明する。図1の側面図を視認する側を右側とし、例えばプリーツスクリーンの左右方向と称するときは、図1の側面図における図示面に対して垂直な方向をいう。
【0024】
(プリーツスクリーン)
図1は、本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成されるプリーツスクリーンにおける概略構成を示す側面図である。図1に示すプリーツスクリーンは、上下方向にジクザグ状に折り曲げ可能とした遮蔽材(本例ではスクリーン7)をヘッドボックス1から吊下支持し、そのスクリーン7をヘッドボックス1に設けられる操作装置(図示せず)を介して操作コード9(例えば、ボールチェーン)により昇降して採光量を適宜に調節するものである。
【0025】
スクリーン7は、ジクザグ状に折り目7aが設けられた生地の一方側の折り目に、本発明に係る溶着パターンに基づいた溶着により形成された接合片7bがそれぞれ設けられる。接合片7bは、スクリーン7を構成する1枚の生地を折り曲げ、その折り曲げ線に並行して溶着することで形成することができる。尚、複数の生地を重ね合わせ、各生地の縁部に並行して溶着することで接合片7bを形成することも可能である。
【0026】
また、当該接合片7bには、詳細は後述するが、ヘッドボックス1から垂下される昇降コード3を挿通可能とする挿通孔として利用可能な孔部11(或いは薄皮部12)が設けられ、この孔部11(或いは薄皮部12)を介して挿通された昇降コード3の下端は錘部材(本例ではボトムレール)5に取着される。
【0027】
そして、操作コード9は、例えば無端状のボールチェーンで構成され、図示しない操作装置内にて回転可能に収容されるプーリーに掛装される。このプーリーの外周面には、操作コード9のボールチェーンのボール部が嵌まり込む複数の凹部が形成されている。
【0028】
このプーリーには、複数のギヤからなる伝達ギヤがヘッドボックス1内で連結され、この伝達ギヤが各伝達クラッチに連結されている(図示せず)。したがって、この伝達ギヤによってプーリーの回転が各伝達クラッチを介して駆動軸(図示せず)に伝達されるようになっている。
【0029】
また、ヘッドボックス1内で、巻取軸(図示せず)がスクリーン7に対して複数設けられ、並列に配置されている。そして、当該駆動軸の回転によって、ヘッドボックス1内で回転可能に支持された当該巻取軸が回転し、昇降コード3の巻取り及び巻戻しによってスクリーン7が昇降される。
【0030】
尚、ヘッドボックス1内には、当該駆動軸の回転をロック可能とするストッパー装置(図示せず)が配置され、錘部材(本例ではボトムレール)5の引き上げ操作の後に操作コード9を手放したとき、錘部材5の自重降下が防止されるようになっている。一方、操作コード9の僅かな引き操作で当該ストッパー装置(図示せず)のロックを解除ずれば、錘部材5が自重降下する。
【0031】
また、昇降コード3の後方、即ち室外側において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4が垂下され、錘部材5に取着されている。このピッチ保持コード4に等間隔に多数設けられた環状の支持コード6には、昇降コード3が挿通されている。そして、錘部材5を下降させてスクリーン7を引き伸ばすとき、スクリーン7の接合片7bが支持コード6に支持されて、スクリーン7の折り目7aがほぼ等間隔に保持されるようになっている。
【0032】
このように構成されたプリーツスクリーンは錘部材5を昇降することによりスクリーン7を下方へ引き延ばし、或いはスクリーン7を上方へ畳み込み可能となっている。
【0033】
(接合片を有する生地)
図2(a)には、スクリーン7を構成する本発明による実施例1の接合片7bを有する生地の概略構成を示している。図2(a)に示す例では、スクリーン7の左右方向に対して略垂直な線形状の溶着部10を単位溶着パターンとして、スクリーン7の左右方向に連続して生地が溶着されることにより、実施例1の接合片7bが形成される。また、図2(a)に示す実施例1の接合片7bを有する生地では、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して、丸状の複数の孔部11が形成されている。
【0034】
そして、図2(a)に示す実施例1の接合片7bを有する生地をスクリーン7として利用する際には、図3(a)に示すように、その接合片7bに形成された複数の孔部11のいずれかを、昇降コード3を挿通可能とする挿通孔として利用することができる。尚、図3(a)にて、当該接合片7bの断面図としてその一例を概略図示するように、溶着部10の厚さtbは、接合片7bの厚さtaに対し30%以上90%以下で形成される。尚、接合片7bに十分な溶着強度(即ち、接合片7bにおける上下生地が分離しない強度)が得られれば30%以下でも良い。
【0035】
一方、図2(b)には、スクリーン7を構成する本発明による実施例2の接合片7bを有する生地の概略構成を示している。図2(b)に示す例では、スクリーン7の左右方向に対して略垂直な線形状の溶着部10を単位溶着パターンとして、スクリーン7の左右方向に連続して生地が溶着されることにより、実施例1と同様、実施例2の接合片7bが形成される。ただし、図2(b)に示す実施例2の接合片7bを有する生地では、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して、複数の薄皮部12が形成されている。尚、図3(b)にて、当該接合片7bの断面図としてその一例を概略図示するように、溶着部10の厚さtbは接合片7bの厚さtaに対し30%以上90%以下で形成され、薄皮部12の厚さtcは接合片7bの厚さtaに対し1%以上20%以下で形成される。
【0036】
そして、図2(b)に示す実施例2の接合片7bを有する生地をスクリーン7として利用する際には、図3(b)に示すように、その接合片7bに形成された複数の薄皮部12のいずれかを、昇降コード3を挿通するべく貫通させて挿通孔として利用することができる。即ち、薄皮部12は、昇降コード3又は専用の針状部材を押圧することで簡単に孔を開けることができるようになっている。
【0037】
尚、実施例1,2の接合片7bのいずれにおいても、複数の溶着部10を連続形成するピッチや、複数の孔部11又は薄皮部12を連続形成するピッチは予め定めた任意のものとすることができる。
【0038】
例えば、図4(a)に示すように、実施例1,2の接合片7bにおいて、複数の溶着部10をピッチaで形成しているとき、複数の薄皮部12(又は孔部11)を異なるピッチb(≠a)とすることができる。また、図4(b)に示すように、実施例1,2の接合片7bにおいて、複数の溶着部10のピッチaに対し、複数の薄皮部12(又は孔部11)を同一の位相で同一のピッチb(=a)とすることもできる。また、図4(c)に示すように、実施例1,2の接合片7bにおいて、複数の溶着部10のピッチaに対し、複数の薄皮部12(又は孔部11)を異なる位相であるが、同一のピッチb(=a)とすることもできる。
【0039】
このような実施例1,2の接合片7bの形成のために、複数の薄皮部12(又は孔部11)の各々の加工は、複数の溶着部10の各々の溶着工程と同時又は並行して行うことができる。
【0040】
例えば、図5(a)に示すように、コード挿通領域となる接合片7bの形成のために、溶着部10の溶着工程の加工(図示A1)と同時又は並行して、複数の薄皮部12(又は孔部11)の加工(図示A2)を行うことができる。実施例1の接合片7bのように孔部11を形成する場合、その孔開け工程は、専用の孔開け器を用いた工程とする場合の他、溶着工程の延長上で生地表面を溶かして貫通させる溶化工程とすることができる。また、実施例2の接合片7bのように薄皮部12を形成する場合、その薄皮形成工程は、専用の薄皮形成器を用いた工程とする場合の他、溶着工程の延長上で生地表面を溶かし薄皮を残す溶化工程とすることができる。
【0041】
そして、コード挿通領域となる接合片7bの形成にあたって、図5(a)に示すように、溶着部10の溶着工程の加工(図示A1)を先行させ複数の薄皮部12(又は孔部11)の加工(図示A2)を後行させることや、逆に複数の薄皮部12(又は孔部11)の加工(図示A1)を先行させ溶着部10の溶着工程の加工(図示A2)を後行させることができ、効率的な加工が可能である。また、実施例2の接合片7bのように複数の薄皮部12を形成する場合では、その溶化工程を溶着部10の溶着工程の一部として兼ねることができ、溶着部10と薄皮部12の形成を同時に行うことが容易に実現できる。
【0042】
従って、図5(b)に示す従来技法に従う比較例のように、溶着部10の溶着工程の加工(図示A1)を経て接合片7bを形成した後、遮蔽装置(本例ではプリーツスクリーン)の仕様毎の挿通孔11の孔位置を設定し、生地に対し後追いで孔開け加工を行う必要が無くなり、結果として製造コストの削減に寄与するものとなる。
【0043】
上述した図2乃至図5では、スクリーン7の左右方向に対して略垂直な線形状の溶着部10で接合片7bを形成し、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して丸状の薄皮部12(又は孔部11)を形成する例を示したが(図6(a)参照)、溶着部10及び孔部11(又は薄皮部12)の形状や大きさについても図示する例に限定する必要はない。特に、本発明に係る生地の接合片7bは、線状に並ぶ任意形状(円、長孔、角孔等)の薄皮部12(又は孔部11)のそれぞれの周囲の全部又は一部に、或いは連結して、任意形状(円、長孔、角孔等)の溶着部10が形成されたものとすることができる。
【0044】
例えば図6(b)に示すように、スクリーン7の左右方向に対して略平行な線形状の溶着部10を線状に並べ、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して丸状の薄皮部12(又は孔部11)を配設して、接合片7bを形成してもよい。
【0045】
或いは図6(c)に示すように、スクリーン7の左右方向に対して略垂直な四角環状の溶着部10を線状に並べ、その四角環状の溶着部10の内側に薄皮部12(又は孔部11)を配設して、接合片7bを形成してもよい。
【0046】
或いは図6(d)に示すように、スクリーン7の左右方向に対して略平行な線形状の溶着部10とスクリーン7の左右方向に対して略垂直な四角環状の溶着部10とを線状に並べ、その四角環状の溶着部10の内側に薄皮部12(又は孔部11)を配設して、接合片7bを形成してもよい。
【0047】
或いは図6(e)に示すように、スクリーン7の左右方向に対して略平行な線形状の溶着部10とスクリーン7の左右方向に対して略垂直な線形状の溶着部10とを線状に並べ、隣接するその略垂直な線形状の溶着部10の間に薄皮部12(又は孔部11)を配設して、接合片7bを形成してもよい。
【0048】
或いは図6(f)に示すように、スクリーン7の左右方向に対して線状に並ぶ長丸形状の薄皮部12(又は孔部11)に連結して、スクリーン7の左右方向に対して略垂直な線形状の溶着部10を複数(1つでもよい)配設して、接合片7bを形成してもよい。
【0049】
特に、複数の薄皮部12を形成する場合では、例えば図6(c)や図6(f)に示す接合片7bの形成において、それぞれ図7(a)及び図7(b)に示すように、薄皮部12の形成のための溶化工程を溶着部10の溶着工程の一部として兼ねて、溶着部10と薄皮部12の形成を同時に行うことが容易に実現できる(図示A1)。このため、製造コストの削減効果がより一層向上する。
【0050】
尚、上述した例では一実施形態のプリーツスクリーンに本発明に係る生地を適用する例を説明したが、本発明に係る各実施例の接合片7bを有する生地は、これを遮蔽材として種々の遮蔽装置に利用することができる。以下、種々の遮蔽装置に対する適用例を説明する。
【0051】
(ローマンシェード)
図8は、本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成されるローマンシェードにおける概略構成を示す斜視図である。ローマンシェードは、たくし上げカーテンとも称され、フレーム1Aから遮蔽材(本例では前後2枚のカーテン生地7F,7R)が吊下支持され、そのカーテン生地7F,7Rの下端部をそれぞれの昇降コード3で引き上げることにより個別にカーテン生地7F,7Rをたくし上げ、或いは下降させて採光量を調節可能としたものである。
【0052】
より具体的に、図8に示すローマンシェードは、フレーム1Aからカーテン生地7F,7Rが吊下支持され、各カーテン生地7F,7Rの下端にはそれぞれ錘部材5F,5Rが包設されている。また、各カーテン生地7F,7Rの背面側にてフレーム1Aから垂下される複数本の昇降コード3がカーテン生地7F,7Rの下端部近傍に取着されているフック25に係止されている。
【0053】
そして、操作コード9(例えば、ボールチェーン)の操作によりフレーム1A内の駆動軸(図示せず)を回転させ、その駆動軸の回転に基づいて、昇降コード3の巻き取り、或いは巻き戻しを行って、各カーテン生地7F,7Rを独立して昇降可能となっている。
【0054】
ここで、カーテン生地7F,7Rの各々は、いずれも1枚の生地を折り込んで溶着するか、又は複数の生地を連結するよう溶着して、それぞれ本発明に係る接合片7bを有する生地により構成され、例えば破線円で拡大・背面視し断面図示するカーテン生地7Fでは、カーテン生地7Fの上下方向に延びる実施例1の接合片7b(図2(a)参照)が形成されている。そして、その実施例1の接合片7bには、上下方向に線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して、丸状の複数の孔部11が形成されている。また、昇降コード3の垂下位置は接合片7bの位置と重なる位置にある。この複数の孔部11のいずれかに、外部から着脱可能な案内リング20(係止部材)が装着されており、昇降コード3を挿通係合可能となっている。このような案内リング20は、当該接合片7b上で上下方向に所定ピッチで配設され、フレーム1Aから垂下される昇降コード3が各案内リング20に挿通されて後、フック25に係止される。
【0055】
これにより、カーテン生地7Fの昇降用の昇降コード3の巻き取りを行うと、案内リング20の配設位置を基にカーテン生地7Fをたくし上げることができる。
【0056】
図8に示す例では、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の孔部11が形成されている実施例1の接合片7b(図2(a)参照)を例に説明しているが、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の薄皮部12が形成されている実施例2の接合片7b(図2(b)参照)としてもよい。
【0057】
また、溶着部10及び孔部11(又は薄皮部12)の形状や大きさについても図示する例に限定する必要はない。特に、本発明に係る接合片7bは、前述と同様に、線状に並ぶ任意形状(円、長孔、角孔等)の薄皮部12(又は孔部11)のそれぞれの周囲の全部又は一部に、或いは連結して、任意形状(円、長孔、角孔等)の溶着部10が形成されたものとすることができる。
【0058】
また、図8に示す例では、案内リング20を用いる例を説明したが、案内リング20を用いずに、昇降コード3を複数の孔部11のいずれかを利用して直接的に挿通係合させる形状や大きさとすることができる。
【0059】
このように、本発明に係る接合片7bを有する生地を遮蔽材(本例ではカーテン生地)として用いることができる。従って、前述した図5(b)に示す従来技法に従う比較例のように生地に対し後追いで孔開け加工を行う必要が無くなり、結果として製造コストの削減に寄与するものとなる。
【0060】
また、本発明に係る接合片7bでは予め多数の薄皮部12(又は孔部11)が設けられているため、例えば着脱可能な案内リング20を用いることで、製造者や利用者が随意、カーテン生地のたくし上げを行う位置を調整することもできるようになる。
【0061】
図9は、本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される別の実施形態のローマンシェードにおける概略構成を示す斜視図である。本実施形態のローマンシェードでは、フレーム1Aから遮蔽材(本例では1枚のカーテン生地7)が吊下支持され、そのカーテン生地7の下端部をそれぞれの昇降コード3で引き上げることにより個別にカーテン生地7をたくし上げ、或いは下降させて採光量を調節可能としたものである。
【0062】
より具体的に、図9に示すローマンシェードは、フレーム1Aからカーテン生地7が吊下支持され、カーテン生地7の下端にはそれぞれ錘部材5が包設されている。また、カーテン生地7には、シェイバーと称され左右方向に延在する棒状体26を包設する接合片7bが本例では3段設けられている。フレーム1Aから垂下される複数本の昇降コード3は、カーテン生地7の背面側にて、それぞれの接合片7bを経てカーテン生地7の下端部近傍に取着されているフック25に係止されている。
【0063】
そして、操作コード9(例えば、ボールチェーン)の操作によりフレーム1A内の駆動軸(図示せず)を回転させ、その駆動軸の回転に基づいて、昇降コード3の巻き取り、或いは巻き戻しを行って、カーテン生地7を昇降可能となっている。
【0064】
ここで、カーテン生地7にて棒状体26を包設する接合片7bは、いずれも1枚の生地を折り込んで溶着するか、又は複数の生地を連結するよう溶着して構成され、例えば破線円で拡大・背面視し断面図示するカーテン生地7では、カーテン生地7の左右方向に延びる実施例1の接合片7b(図2(a)参照)が形成されている。そして、その実施例1の接合片7bには、左右方向に線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して、丸状の複数の孔部11が形成されている。また、昇降コード3の垂下位置は接合片7bの位置と重なる位置にある。この複数の孔部11のいずれかに、昇降コード3を挿通係合可能となっている。フレーム1Aから垂下される昇降コード3が各接合片7bの孔部11に挿通されて後、フック25に係止される。
【0065】
これにより、カーテン生地7の昇降用の昇降コード3の巻き取りを行うと、棒状体26を包設する接合片7bを基にカーテン生地7をたくし上げることができる。
【0066】
図9に示す例では、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の孔部11が形成されている実施例1の接合片7b(図2(a)参照)を例に説明しているが、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の薄皮部12が形成されている実施例2の接合片7b(図2(b)参照)としてもよい。
【0067】
また、溶着部10及び孔部11(又は薄皮部12)の形状や大きさについても図示する例に限定する必要はない。特に、本発明に係る接合片7bは、前述と同様に、線状に並ぶ任意形状(円、長孔、角孔等)の薄皮部12(又は孔部11)のそれぞれの周囲の全部又は一部に、或いは連結して、任意形状(円、長孔、角孔等)の溶着部10が形成されたものとすることができる。
【0068】
また、図9に示す例では、昇降コード3を孔部11(又は薄皮部12)に直接的に挿通係合させる例を説明したが、図8に示す例と同様に、案内リング20を複数の孔部11のいずれかに設置して昇降コード3を係合させてもよい。
【0069】
このように、本発明に係る接合片7bを有する生地を遮蔽材(本例ではカーテン生地)として用いることができる。従って、前述した図5(b)に示す従来技法に従う比較例のように生地に対し後追いで孔開け加工を行う必要が無くなり、結果として製造コストの削減に寄与するものとなる。
【0070】
(縦型ブラインド)
図10は、本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される縦型ブラインドにおける概略構成を示す斜視図である。縦型ブラインドは、レール1B内に多数のランナー(図示せず)が移動可能に支持され、各ランナーには吊下軸70を介してそれぞれスラット7Bが吊下支持される。そして、操作コード9の操作により、各スラット7Bをレール1Bに沿って移送し、あるいは各スラット7Bを同位相で回動して、室内への採光量を調節可能となっている。
【0071】
ここで、各スラット7Bは、1枚の生地の下端部を折り曲げて、錘部材5を包設するよう溶着することにより形成され、特に、各スラット7Bにおける錘部材5を包設する部位の縁部には、それぞれ本発明に係る接合片7bが形成されている。
【0072】
即ち、図10に示す破線円で拡大視するように、スラット7Bの下端近傍の前側の縁部では、スラット7Bの上下方向に延びる実施例1の接合片7b(図2(a)参照)が形成されている。そして、その実施例1の接合片7bには、上下方向に線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して、丸状の複数の孔部11が形成されている。この複数の孔部11のいずれかに、外部から着脱可能な案内リング20が装着されている。
【0073】
各スラット7Bの案内リング20に、ボトムコード5aが挿通係止されている。これにより、各スラット7Bのバタツキが抑制されるようになっている。
【0074】
図10に示す例では、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の孔部11が形成されている実施例1の接合片7b(図2(a)参照)を例に説明しているが、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の薄皮部12が形成されている実施例2の接合片7b(図2(b)参照)としてもよい。
【0075】
また、溶着部10及び孔部11(又は薄皮部12)の形状や大きさについても図示する例に限定する必要はない。特に、本発明に係る接合片7bは、前述と同様に、線状に並ぶ任意形状(円、長孔、角孔等)の薄皮部12(又は孔部11)のそれぞれの周囲の全部又は一部に、或いは連結して、任意形状(円、長孔、角孔等)の溶着部10が形成されたものとすることができる。
【0076】
また、図10に示す例では、案内リング20を用いる例を説明したが、案内リング20を用いずに、ボトムコード5aを複数の孔部11のいずれかを利用して直接的に挿通係止させる形状や大きさとすることができる。
【0077】
このように、本発明に係る接合片7bを有する生地を遮蔽材(本例ではスラット)として用いることができる。従って、前述した図5(b)に示す従来技法に従う比較例のように生地に対し後追いで孔開け加工を行う必要が無くなり、結果として製造コストの削減に寄与するものとなる。
【0078】
また、本発明に係る接合片7bでは予め多数の薄皮部12(又は孔部11)が設けられているため、例えば着脱可能な案内リング20を用いることで、製造者や利用者が随意、各スラット7Bのバタツキを抑制させる位置を調整することもできるようになる。
【0079】
尚、図10に示す例では着脱可能な環状の案内リング20を例示したが、例えば、図11(a)に示すような専用の取付部材50を構成してもよい。図11(a)に示す取付部材50は、接合片7bに対し両側から挟み込む一対の係止片50a,50bを有し、その一対の係止片50a,50bのそれぞれの対向面上には、当該接合片7bの薄皮部12(又は孔部11)に対し挿通係止させる係止ピン50c,50dが形成されている。そして、一対の係止片50a,50bの基部面にはボトムコード5aを挿通して係合させるU字環状のコード支持部50eが形成されている。従って、取付部材50は、当該接合片7bの薄皮部12(又は孔部11)に対し係止ピン50c,50dを挿通係止させるよう、一対の係止片50a,50bの弾性変形を利用して接合片7bに対し外部から着脱可能としている。このような取付部材50は、上述した図8に示す昇降コード3に対しても同様に利用できる。
【0080】
また、図11(a)に示す取付部材50におけるコード支持部50eについて、ボトムコード5aを挿通して係合させるU字環状とする代わりに、ボトムコード5aを挿通して係止させるワニ口状とするなど、随意、ボトムコード5aの係合又は係止を可能とする形状とすることができる。
【0081】
また、当該接合片7bの薄皮部12(又は孔部11)に対しボトムコード5aを係止する形態では、図11(b),(c)にそれぞれ示すように、ボトムコード5aに対し専用の取付部51,52を予め設けてもよい。例えば、図11(b)に示す取付部51の例では、一対の弾性変形可能な輪形ピン51b,51dで構成され、輪形ピン51b,51dの各基端部51a,51cがボトムコード5aに固着されており、輪形ピン51b,51dの先端部を当該接合片7bの薄皮部12(又は孔部11)に対し挿通係止できるようになっている。また、例えば、図11(c)に示す取付部52の例では、弾性変形可能な1つの輪形ピン52bで構成され、輪形ピン52bの基端部52aがボトムコード5aに固着されており、輪形ピン52bの先端部を当該接合片7bの薄皮部12(又は孔部11)に対し挿通係止できるようになっている。
【0082】
そして、破線円で拡大視するスラット7Bの下端近傍の前側の縁部では、スラット7Bの上下方向に延びる実施例1の接合片7b(図2(a)参照)が形成されている。そして、その実施例1の接合片7bには、上下方向に線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して、丸状の複数の孔部11が形成されている。この複数の孔部11のいずれかに、外部から着脱可能な案内リング20が装着されている。
【0083】
各スラット7Bの案内リング20に、ボトムコード5aが挿通係止されている。これにより、各スラット7Bのバタツキが抑制されるようになっている。
【0084】
図10に示す例では、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の孔部11が形成されている実施例1の接合片7b(図2(a)参照)を例に説明しているが、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の薄皮部12が形成されている実施例2の接合片7b(図2(b)参照)としてもよい。
【0085】
また、溶着部10及び孔部11(又は薄皮部12)の形状や大きさについても図示する例に限定する必要はない。特に、本発明に係る接合片7bは、前述と同様に、線状に並ぶ任意形状(円、長孔、角孔等)の薄皮部12(又は孔部11)のそれぞれの周囲の全部又は一部に、或いは連結して、任意形状(円、長孔、角孔等)の溶着部10が形成されたものとすることができる。
【0086】
また、図10に示す例では、案内リング20を用いる例を説明したが、案内リング20を用いずに、ボトムコード5aを複数の孔部11のいずれかを利用して直接的に挿通係止させる形状や大きさとすることができる。
【0087】
このように、本発明に係る接合片7bを有する生地を遮蔽材(本例ではスラット)として用いることができる。従って、前述した図5(b)に示す従来技法に従う比較例のように生地に対し後追いで孔開け加工を行う必要が無くなり、結果として製造コストの削減に寄与するものとなる。
【0088】
また、本発明に係る接合片7bでは予め多数の薄皮部12(又は孔部11)が設けられているため、例えば着脱可能な案内リング20を用いることで、製造者や利用者が随意、各スラット7Bのバタツキを抑制させる位置を調整することもできるようになる。
【0089】
(横型ブラインド)
図12は、本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドにおける概略構成を示す斜視図である。ヘッドボックス1Cから吊下支持される複数本のラダーコード8に多数段のスラット7Cが支持され、ヘッドボックス1C内に配設されるラダーコード吊下げ装置(図示せず)を操作装置で操作することにより、ラダーコード8を介して各スラット7Cを同位相で回動操作可能である。ラダーコード8の下端は、錘部材(本例では、ボトムレール)5に取着されている。
【0090】
各スラット7Cの背面側のラダーコード8の吊下げ位置近傍において、ヘッドボックス1Cから複数の昇降コード3が垂下され、各昇降コード3の下端は錘部材5に取着されている。各昇降コード3の上端はヘッドボックス1C内を案内されて外部に導出され、コードイコライザー9aに取着されている。また、図12に示す例では、錘部材5に一端を取着する操作コード9の他端がコードイコライザー9aに取着されている。
【0091】
このため、操作コード9及びコードイコライザー9aの引き操作で昇降コード3を引き出すと、錘部材5が引き上げられてスラット7Cが引き上げられる。
【0092】
ヘッドボックス1C内には、図示しないストッパー装置が設けられ、昇降コード3の引き出し操作の後に錘部材5及びスラット7Cの重量による昇降コード3の移動を阻止して、錘部材5及びスラット7Cの自重降下を阻止するロック機能を備えている。従って、錘部材5及びスラット7Cが所望高さまで引き上げられた状態で保持される。
【0093】
また、錘部材5及びスラット7Cの自重降下が阻止されている状態から、昇降コード3を引き出すと、当該ストッパー装置のロック機能が解除されて、錘部材5及びスラット7Cの自重降下を許容するようになっている。従って、錘部材5及びスラット7Cを下限位置まで下降操作可能となっている。
【0094】
ここで、破線円で拡大視するように、各スラット7Cは、湾曲した薄い型材71を包設するよう上下(或いは更に左右)から複数枚の生地で挟み込み、その複数枚の生地の前後左右の縁部を溶着することにより形成されている。このように所定の型材71を複数枚の生地で包設して形成するスラットは、ファブリックスラットとも称される。本例では特に、各スラット7Cの前後両側の縁部には、それぞれ本発明に係る実施例1の接合片7bが形成されている。
【0095】
そして、その実施例1の接合片7bには、左右方向に線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して、丸状の複数の孔部11が形成されている。この複数の孔部11のいずれかに、昇降コード3が挿通されている。尚、各スラット7Cの背面側のラダーコード8に対し、昇降コード3を編み込むように垂下させることで、各スラット7Cの横ずれ防止や意匠性の観点で好適である。
【0096】
これにより、昇降コード3を各スラット7Cに安定して係合させることができる。
【0097】
図12に示す例では、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の孔部11が形成されている実施例1の接合片7b(図2(a)参照)を例に説明しているが、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の薄皮部12が形成されている実施例2の接合片7b(図2(b)参照)としてもよい。
【0098】
また、溶着部10及び孔部11(又は薄皮部12)の形状や大きさについても図示する例に限定する必要はない。特に、本発明に係る接合片7bは、前述と同様に、線状に並ぶ任意形状(円、長孔、角孔等)の薄皮部12(又は孔部11)のそれぞれの周囲の全部又は一部に、或いは連結して、任意形状(円、長孔、角孔等)の溶着部10が形成されたものとすることができる。
【0099】
尚、本実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドにおいて、スラット7Cについて図12に示すように構成する代わりに、図13に示す形態とすることができる。図13は、本実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドにおける別形態のスラット7Cの概略構成を示す部分的な斜視図である。図13にて断面図示するスラット7Cは、スラット7Cの左右方向の全長に亘って1枚の生地の前後縁部をそれぞれ折り曲げて接合片7bを構成し、それぞれの接合片7bにて樹脂棒72を包設して構成される。樹脂棒72はスラット7Cに対し弾性を有するが羽折れを防止する作用をもたらすものとなっている。
【0100】
そして、図13に示すスラット7Cにおける実施例1の接合片7bには、左右方向に線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して、丸状の複数の孔部11が形成されている。この複数の孔部11のいずれかに、昇降コード3が挿通されている。
【0101】
図12及び図13に示す例では、昇降コード3を複数の孔部11のいずれかを利用して直接的に挿通係止させる形状や大きさとする例を説明したが、図8及び図10に示す例と同様に、案内リング20を複数の孔部11(又は薄皮部12)のいずれかに設置して昇降コード3を係合させるか、又は図11(a)に例示するような専用の取付部材50を用いて昇降コード3を係合又は係止させることができる。
【0102】
このように、本発明に係る接合片7bを有する生地を遮蔽材(本例ではスラット)として用いることができる。従って、前述した図5(b)に示す従来技法に従う比較例のように生地に対し後追いで孔開け加工を行う必要が無くなり、結果として製造コストの削減に寄与するものとなる。
【0103】
また、本発明に係る接合片7bでは予め多数の薄皮部12(又は孔部11)が設けられているため、例えば着脱可能な案内リング20を用いることで、製造者や利用者が随意、各スラット7Cに対する係合位置を調整することもできるようになる。
【0104】
(カーテンレール)
図14は、本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成されるカーテンレールにおける概略構成を示す斜視図である。図14に示すカーテンレールは、レール1Dに対して遮蔽材(本例ではカーテン生地7D)を移動自在に支持する円環状の複数のランナー73を備え、複数のランナー73でカーテン生地7Dを吊下支持するようになっている。
【0105】
ここで、カーテン生地7Dは、1枚の生地を折り込んで溶着するか、又は複数の生地を連結するよう溶着して、破線円で拡大視する各位置で、それぞれ本発明に係る実施例1の接合片7b(図2(a)参照)が形成されている。
【0106】
このような本発明に係る接合片7bを有するカーテン生地7Dを構成することで、例えば図14に示すように、レール1Dの一端部から操作コード9の一端を垂下させ、操作コード9の他端を、破線円で拡大視する各位置における接合片7bのいずれかの孔部11に挿通することで左右方向に案内し、カーテン生地7Dの先頭位置にて結び玉9b等により係止することができる。
【0107】
すると、図14に示す例では、カーテン生地7Dを閉めるときは手引き操作となるが、カーテン生地7Dを開けるときは操作コード9の引き操作で行うことができるようになる。
【0108】
図14に示す例では、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の孔部11が形成されている実施例1の接合片7b(図2(a)参照)を例に説明しているが、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の薄皮部12が形成されている実施例2の接合片7b(図2(b)参照)としてもよい。
【0109】
また、溶着部10及び孔部11(又は薄皮部12)の形状や大きさについても図示する例に限定する必要はない。特に、本発明に係る接合片7bは、前述と同様に、線状に並ぶ任意形状(円、長孔、角孔等)の薄皮部12(又は孔部11)のそれぞれの周囲の全部又は一部に、或いは連結して、任意形状(円、長孔、角孔等)の溶着部10が形成されたものとすることができる。
【0110】
また、図14に示す例では、操作コード9を複数の孔部11のいずれかを利用して直接的に挿通係止させる形状や大きさとする例を説明したが、図8及び図10に示す例と同様に、案内リング20を複数の孔部11(又は薄皮部12)のいずれかに設置して操作コード9を係合させるか、又は図11(a)に例示するような専用の取付部材50を用いて昇降コード3を係合又は係止させることができる。
【0111】
このように、本発明に係る接合片7bを有する生地を遮蔽材(本例ではカーテン生地)として用いることができる。従って、前述した図5(b)に示す従来技法に従う比較例のように生地に対し後追いで孔開け加工を行う必要が無くなり、結果として製造コストの削減に寄与するものとなる。
【0112】
図14に示す原理と同様にして、一実施形態の遮蔽装置として構成されるアコーデオンカーテンにも本発明に係る接合片7bを有する生地を適用できる。
【0113】
(たくし上げカーテン)
更に、図15に示す、たくし上げカーテンに対し、本発明に係る接合片7bを有する生地を適用できる。図15は、本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される、たくし上げカーテンにおける概略構成を示す斜視図である。尚、図15において、図14と同様の構成要素には同一の参照番号を付している。
【0114】
図15に示す、たくし上げカーテンは、取付部1Eに対して遮蔽材(本例ではカーテン生地7E)を各所で固定支持するカーテン支持部74を備え、カーテン支持部74でカーテン生地7Eを吊下支持するようになっている。
【0115】
ここで、カーテン生地7Eは、1枚の生地を折り込んで溶着するか、又は複数の生地を連結するよう溶着して、破線円で拡大視する各位置で、それぞれ本発明に係る実施例1の接合片7b(図2(a)参照)が形成されている。
【0116】
このような本発明に係る接合片7bを有するカーテン生地7Eを構成することで、例えば図15に示すように、取付部1Eの一端部に設けられる操作部91から操作コード9の一端を垂下させ、操作コード9の他端を、破線円で拡大視する各位置における接合片7bのいずれかの孔部11に挿通することで左右方向に案内し、カーテン生地7Eの先頭位置にて結び玉9b等により係止することができる。尚、操作部91内には、操作コード9の移動をロック可能とするストッパー装置が設けられている(図示せず)。
【0117】
すると、操作コード9の引き操作で、図15に示すようにカーテン生地7Eを開けることができ、当該ストッパー装置のロック作動で、その開状態を維持することができる。また、操作コード9の僅かな引き操作で当該ストッパー装置のロックを解除すれば操作コード9の移動が許容され、操作コード9を手放すことで、カーテン生地7Eの自重によりカーテン生地7Eを閉めることができる。
【0118】
図15に示す例では、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の孔部11が形成されている実施例1の接合片7b(図2(a)参照)を例に説明しているが、線状に並ぶ複数の溶着部10に並行して複数の薄皮部12が形成されている実施例2の接合片7b(図2(b)参照)としてもよい。
【0119】
また、溶着部10及び孔部11(又は薄皮部12)の形状や大きさについても図示する例に限定する必要はない。特に、本発明に係る接合片7bは、前述と同様に、線状に並ぶ任意形状(円、長孔、角孔等)の薄皮部12(又は孔部11)のそれぞれの周囲の全部又は一部に、或いは連結して、任意形状(円、長孔、角孔等)の溶着部10が形成されたものとすることができる。
【0120】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した例では、後追いで孔開け加工を行う必要が無くなる作用・効果の観点を説明するために、実施例1,2の接合片7bを形成する上で、複数の薄皮部12(又は孔部11)の加工を溶着部10の溶着工程と同時又は並行して行うことを主として説明したが、必ずしも複数の薄皮部12(又は孔部11)の加工を溶着部10の溶着工程と同時又は並行して行ったものでなくともよい。
【0121】
即ち、例えば既に溶着部10を形成済みの生地であって、複数の薄皮部12(又は孔部11)の加工を施していない場合でも、当該既に溶着部10を形成済みの生地に対し後工程で複数の薄皮部12(又は孔部11)の加工を施して、実施例1,2の接合片7bを形成してもよい。この場合でも、図5(b)に示すように遮蔽装置の仕様毎の挿通孔11の孔位置を設定して孔開け加工を行う必要が無くなることからコストの削減効果があり、尚且つ上述したように製造者や利用者が随意、複数の薄皮部12(又は孔部11)の位置を選択でき、適宜利用するコード位置を調整することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明によれば、製造コストを低減可能となるので、溶着による接合片を有する生地、及びその生地を遮蔽材として利用する遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0123】
3 昇降コード
5 錘部材
5a ボトムコード
6 支持コード
7 遮蔽材(スクリーン)
7F,7R カーテン生地
7B,7C スラット
7D カーテン生地
7a 折り目
7b 接合片
9 操作コード
10 溶着部
11 孔部
12 薄皮部
20 案内リング(係止部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15