特許第6907031号(P6907031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907031
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0252 20160101AFI20210708BHJP
   H01M 8/243 20160101ALI20210708BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20210708BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20210708BHJP
【FI】
   H01M8/0252
   H01M8/243
   H01M8/2484
   !H01M8/12 101
   !H01M8/12 102B
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-109716(P2017-109716)
(22)【出願日】2017年6月2日
(65)【公開番号】特開2018-206568(P2018-206568A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】519322392
【氏名又は名称】森村SOFCテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】特許業務法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 猛
【審査官】 高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−062979(JP,A)
【文献】 特開2007−095583(JP,A)
【文献】 特開2013−161574(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第2008−0029289(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/24
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に貫通する個別ガス流路が形成されるとともに燃料極および空気極の一方の電極を含む多孔質の支持体と、前記支持体の外表面側に配置された電解質層と、前記電解質層を挟んで前記一方の電極と対向する他方の電極と、をそれぞれ含み、前記第1の方向に直交する第2の方向に並べて配置された複数の燃料電池セルと、
前記複数の燃料電池セルに対して前記第1の方向の一方側に配置され、前記複数の燃料電池セルの前記個別ガス流路における前記第1の方向の前記一方側の第1の開口端に連通する共有ガス流路が内部に形成されたガス供給体と、を備える燃料電池スタックにおいて、
少なくとも1つの前記支持体の前記第2の方向と前記第1の方向との両方に平行な特定断面において、
前記共有ガス流路に流れるガスの流れ方向は、前記第2の方向の一方側から他方側であり、
前記少なくとも1つの前記支持体は、
前記個別ガス流路を構成し、前記第1の開口端から前記個別ガス流路の下流側に向かって前記第2の方向の前記他方側に傾斜する第1の傾斜部と、
前記個別ガス流路を構成するとともに前記第1の傾斜部より前記第2の方向の前記一方側に位置し、前記第1の開口端から前記個別ガス流路の下流側に向かって前記第2の方向の前記他方側に傾斜する第2の傾斜部と、を含むことを特徴とする、燃料電池スタック。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池スタックにおいて、さらに、
前記第1の方向と前記第2の方向との両方に直交する第3の方向において、前記個別ガス流路の前記第1の開口端の位置における幅の最大値は、前記個別ガス流路の中央部における幅の最大値より大きいことを特徴とする、燃料電池スタック。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の燃料電池スタックにおいて、さらに、
前記第2の方向において、前記個別ガス流路の前記第1の開口端とは反対側の第2の開口端の位置における幅の最大値は、前記個別ガス流路の中央部における幅の最大値より小さいことを特徴とする、燃料電池スタック。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の燃料電池スタックにおいて、さらに、
前記特定断面において、
前記少なくとも1つの前記支持体は、
前記個別ガス流路を構成し、前記個別ガス流路の前記第1の開口端とは反対側の第2の開口端から前記個別ガス流路の上流側に向かって前記第2の方向の前記他方側に傾斜する第3の傾斜部と、
前記個別ガス流路を構成するとともに前記第3の傾斜部より前記第2の方向の前記他方側に位置し、前記第2の開口端から前記個別ガス流路の上流側に向かって前記第2の方向の前記他方側に傾斜する第4の傾斜部と、を含むことを特徴とする、燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFCは、一般に、所定の方向(以下、「配列方向」という)に並べて配置された複数の燃料電池セルと、ガス供給体とを備える燃料電池スタックの形態で利用される。各燃料電池セルは、上記配列方向に直交する所定の方向(以下、「セル軸方向」という)に貫通する個別ガス流路が形成されるとともに燃料極を含む多孔質の支持体と、該支持体の外表面側に配置された電解質層と、該電解質層を挟んで燃料極と対向する空気極と、を含む。ガス供給体は、複数の燃料電池セルに対して個別ガス流路方向の一方側に配置され、複数の燃料電池セルの個別ガス流路におけるセル軸方向の上記一方側の第1の開口端に連通する共有ガス流路が内部に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−156007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した支持体およびガス供給体を備える燃料電池スタックでは、支持体に形成された個別ガス流路とガス供給体に形成された共有ガス流路とは互いに略直交している。このため、共有ガス流路から個別ガス流路にガスが流れ込み難く、共有ガス流路から個別ガス流路へのガスの導入効率が低く、その結果、燃料電池スタックにおけるガスの利用効率が低くなるおそれがある。
【0005】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本明細書に開示される燃料電池スタックは、第1の方向に貫通する個別ガス流路が形成されるとともに燃料極および空気極の一方の電極を含む多孔質の支持体と、前記支持体の外表面側に配置された電解質層と、前記電解質層を挟んで前記一方の電極と対向する他方の電極と、をそれぞれ含み、前記第1の方向に直交する第2の方向に並べて配置された複数の燃料電池セルと、前記複数の燃料電池セルに対して前記第1の方向の一方側に配置され、前記複数の燃料電池セルの前記個別ガス流路における前記第1の方向の前記一方側の第1の開口端に連通する共有ガス流路が内部に形成されたガス供給体と、を備える燃料電池スタックにおいて、少なくとも1つの前記支持体の前記第2の方向と前記第1の方向との両方に平行な特定断面において、前記共有ガス流路に流れるガスの流れ方向は、前記第2の方向の一方側から他方側であり、前記少なくとも1つの前記支持体は、前記個別ガス流路を構成し、前記第1の開口端から前記個別ガス流路の下流側に向かって前記第2の方向の前記他方側に傾斜する第1の傾斜部と、前記個別ガス流路を構成するとともに前記第1の傾斜部より前記第2の方向の前記一方側に位置し、前記第1の開口端から前記個別ガス流路の下流側に向かって前記第2の方向の前記他方側に傾斜する第2の傾斜部と、を含む。本燃料電池スタックによれば、少なくとも1つの支持体の特定断面において、該支持体は、第1の傾斜部と第2の傾斜部とを含む。第1の傾斜部は、個別ガス流路を構成し、第1の開口端から個別ガス流路の下流側に向かって第2の方向の他方側に傾斜している。第2の傾斜部は、個別ガス流路を構成するとともに第1の傾斜部より第2の方向の一方側に位置し、第1の開口端から個別ガス流路の下流側に向かって第2の方向の他方側に傾斜している。これにより、共有ガス流路から個別ガス流路にガスが流れ込みやすくなり、共有ガス流路から個別ガス流路へのガスの導入効率が高くなり、燃料電池スタックにおけるガスの利用効率を向上させることができる。
【0008】
(2)上記燃料電池スタックにおいて、さらに、前記第1の方向と前記第2の方向との両方に直交する第3の方向において、前記個別ガス流路の前記第1の開口端の位置における幅の最大値は、前記個別ガス流路の中央部における幅の最大値より大きい構成としてもよい。本燃料電池スタックによれば、第1の方向と第2の方向との両方に直交する第3の方向において個別ガス流路の第1の開口端の位置における幅の最大値が個別ガス流路の中央部における幅の最大値と同じである構成に比べて、共有ガス流路から個別ガス流路へのガスの導入効率がより高くなり、燃料電池スタックにおけるガスの利用効率をさらに向上させることができる。
【0009】
(3)上記燃料電池スタックにおいて、さらに、前記第2の方向において、前記個別ガス流路の前記第1の開口端とは反対側の第2の開口端の位置における幅の最大値は、前記個別ガス流路の中央部における幅の最大値より小さい構成としてもよい。本燃料電池スタックによれば、第2の方向において個別ガス流路の第2の開口端の位置における幅の最大値が個別ガス流路の中央部における幅の最大値より大きい構成に比べて、個別ガス流路内から外部にガスが排出されにくくなるため、燃料電池スタックにおけるガスの利用効率をさらに向上させることができる。
【0010】
(4)上記燃料電池スタックにおいて、さらに、前記特定断面において、前記少なくとも1つの前記支持体は、前記個別ガス流路を構成し、前記個別ガス流路の前記第1の開口端とは反対側の第2の開口端から前記個別ガス流路の上流側に向かって前記第2の方向の前記他方側に傾斜する第3の傾斜部と、前記個別ガス流路を構成するとともに前記第3の傾斜部より前記第2の方向の前記他方側に位置し、前記第2の開口端から前記個別ガス流路の上流側に向かって前記第2の方向の前記他方側に傾斜する第4の傾斜部と、を含むことを特徴とする構成としてもよい。本燃料電池スタックによれば、少なくとも1つの支持体の特定断面において、該支持体の個別ガス流路は、さらに、第3の傾斜部と第4の傾斜部とを含む。第3の傾斜部は、個別ガス流路の第1の開口端とは反対側の第2の開口端から個別ガス流路の上流側に向かって第2の方向の他方側に傾斜している。第4の傾斜部は、第3の傾斜部より第2の方向の他方側に位置し、第2の開口端から個別ガス流路の上流側に向かって第2の方向の他方側に傾斜している。特定断面において、個別ガス経路を構成し、互いに対向する一対の内壁面のうち、第2の方向の他方側の内壁面付近では、第2の方向の一方側の内壁面付近に比べて、ガスの流束が大きい(ガス密度が高い)。第4の傾斜部は、このガスの流束が大きい側に位置する上記他方側の内壁面において、該ガスの流れを変更するように傾斜している。これにより、個別ガス流路から支持体外部にガスが排出されにくくなり、個別ガス流路内において発電反応への利用率が高くなり、燃料電池スタックにおけるガスの利用効率を向上させることができる。
【0011】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池スタック、燃料電池スタックを備える発電モジュール、発電モジュールを備える燃料電池システム、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。
図2図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。
図3図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のXY断面構成を示す説明図である。
図4】本実施形態におけるセル110の燃料極116の詳細構成を示す説明図である。
図5図4のV−Vの位置における燃料極116のXZ断面構成を示す説明図である。
図6】本実施形態におけるセル110の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.本実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成(一部省略)を示す説明図であり、図3は、図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のXY断面構成(一部省略)を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向といい、Z軸に直交する方向を水平方向というが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
【0014】
図1から図3に示すように、燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では24個の)セル110と、複数の(本実施形態では8個の)集電部材104と、絶縁多孔体106と、一対のガスシール部材108と、マニホールド300とを備える。セル110は、特許請求の範囲における燃料電池セルに相当し、マニホールド300は、特許請求の範囲におけるガス供給体に相当する。
【0015】
(セル110の構成)
各セル110は、筒状(チューブ状)の部材である。燃料電池スタック100に含まれる24個のセル110は、各セル110の軸方向が略平行になるように、互いに間隔を空けて配置されている。具体的には、24個のセル110は、第1の水平方向(X軸方向)に3個ずつ並べて配置され、該第1の水平方向に直交する第2の水平方向(Y軸方向)に8個ずつ並べて配置されている。第2の水平方向は、特許請求の範囲における第2の方向に相当する。
【0016】
各セル110は、電解質層112と、電解質層112の一方側に配置された空気極(カソード)114と、電解質層112の一方側に配置された燃料極(アノード)116とを備える。本実施形態のセル110は、燃料極116によってセル110を構成する他の層(電解質層112および空気極114等)を支持する燃料極支持形のセルである。
【0017】
燃料極116は、略円筒状の多孔質部材であり、例えば、Ni(ニッケル)とセラミックス粒子(例えば、YSZの粒子)とのサーメットにより構成されている。Niは、触媒として機能するとともに、燃料極116における電子伝導性を向上させる機能を有する。燃料極116には、セル110の軸方向(Z軸方向)に延びる貫通孔である個別ガス流路117が形成されている。後述するように、個別ガス流路117には、燃料電池スタック100の外部からマニホールド300を介して燃料ガスFGが導入される。燃料極116の詳細構成については後述する。燃料極116は、特許請求の範囲における支持体および一方の電極に相当し、セル110の軸方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
【0018】
電解質層112は、燃料極116の外周面側に配置された略円筒状の緻密質部材であり、固体酸化物を含むように構成されている。すなわち、本実施形態のセル110は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。電解質層112に含まれる固体酸化物は、例えば、ランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物(例えば、一般式La1−xSrGa1−yMg3−δ(ただし、0.05≦x≦0.3、0≦y≦0.3)で表される酸化物(以下、「LSGM」という))である。
【0019】
空気極114は、電解質層112の外周面側に配置された略円筒状の多孔質部材であり、空気極材料を含むように構成されている。空気極114に含まれる空気極材料は、例えば、一般式Ba1−xLaCo1−yFe3−δ(ただし、0.3≦x≦0.7、0≦y≦1)で表される酸化物(以下、「BLCF」(ただしy=0のときは「BLC」)という)や、一般式La1−xSrCo1−yFe3−δ(ただし、0.3≦x≦0.7、0≦y≦1)で表される酸化物(以下、「LSCF」(ただしy=0のときは「LSC」)という)である。なお、図2に示すように、空気極114は、セル110の軸方向における両端部には設けられておらず、両端部を除く部分にのみ設けられている。すなわち、セル110の両端部では、電解質層112が、空気極114に覆われずに露出している。空気極114は、特許請求の範囲における他方の電極に相当する。
【0020】
図2に示すように、各セル110の一方の端部(電解質層112が空気極114に覆われずに露出している部分)には、燃料極116が電解質層112に覆われず、代わりに金属シール部材109により覆われている部分が存在する。金属シール部材109は、緻密な金属層であり、ガスシールとして機能すると共に、燃料極116の集電端子として機能する。なお、第2の水平方向(Y軸方向)に隣り合う2つのセル110の内、一方のセル110において金属シール部材109が設置される端部は、他方のセル110において金属シール部材109が設置される端部とは反対側の端部となっている。
【0021】
(他の部材の構成)
各集電部材104は、ガス透過性を有する導電性材料により形成されている。図2および図3に示すように、各集電部材104は、各セル110を囲むように形成された3つの円筒部分142と、円筒部分142同士を連結する連結部分144とを含む。第1の水平方向(X軸方向)に並ぶ3つのセル110が各集電部材104の3つの円筒部分142内に配置されることにより、それらのセル110が互いに電気的に接続される。また、8つの集電部材104は、絶縁多孔体106を間に挟みつつ、第2の水平方向(Y軸方向)に並べて配置されている。
【0022】
図2に示すように、各集電部材104は、上下方向(Z軸方向)に沿って、第1の集電部材104Aと第2の集電部材104Bとに分割されている。第1の集電部材104Aと第2の集電部材104Bとは、両者の間に配置された絶縁部材105によって互いに電気的に絶縁されている。第1の集電部材104Aは、セル110における金属シール部材109が配置された部分の外周面側に配置されており、第2の集電部材104Bは、セル110における空気極114が配置された部分の外周面側に配置されている。
【0023】
絶縁多孔体106は、多孔質の絶縁性材料(例えば、多孔質の絶縁性セラミックス)により形成されている。図2に示すように、絶縁多孔体106における所定の位置には、第2の水平方向(Y軸方向)に延びる貫通孔が形成されており、該貫通孔に導電性部材が充填されて導電接続部107が構成されている。この導電接続部107により、第2の水平方向に隣り合う2つのセル110の内、一方のセル110の周囲に配置された第2の集電部材104Bと、他方のセル110の周囲に配置された第1の集電部材104Aとが、電気的に接続されている。そのため、図2において破線の矢印で示すように、あるセル110の燃料極116から空気極114を経て、該セル110の周囲に配置された第2の集電部材104Bと導電接続部107とを通り、該セル110の1つ上側または1つ下側に位置するセル110の周囲に配置された第1の集電部材104Aおよび金属シール部材109を通って燃料極116に至る導電パスEPが形成される。
【0024】
一対のガスシール部材108は、絶縁性の板状部材であり、例えばガラスにより形成されている。ガスシール部材108には、複数の貫通孔108Aが形成されている。一方のガスシール部材108は、各セル110の軸方向(Z軸方向)の一端付近に配置されており、該ガスシール部材108の各貫通孔108Aに各セル110の一方の端部が挿入されている。また、他方のガスシール部材108は、各セル110の軸方向の他端付近に配置されており、該ガスシール部材108の各貫通孔108Aに各セル110の他方の端部が挿入されている。一対のガスシール部材108によって、燃料電池スタック100内を流通するガスの漏洩が防止される。
【0025】
マニホールド300は、第2の水平方向(Y軸方向)に延びる共有ガス流路302が内部に形成された箱状体であり、マニホールド300における第2の水平方向の一方側(Y軸負方向側)に、共有ガス流路302に連通する共通ガス導入孔304が形成されている。また、マニホールド300の天板300Aには、複数の挿入孔306が該天板300Aを上下方向に貫くように形成されており、複数の挿入孔306のそれぞれに各セル110における電解質層112の露出部分(各セル110の下端部分)が挿入されている。これにより、共有ガス流路302は、各セル110の個別ガス流路117に連通している。なお、各セル110における電解質層112の露出部分と、マニホールド300の各挿入孔306との間は、ガラスシール材(図示せず)によってシールされている。以下、セル110におけるマニホールド300側の端部(下面)に形成された個別ガス流路117の開口端を、上流側開口端117Uといい、セル110におけるマニホールド300とは反対側の端部(上面)に形成された個別ガス流路117の開口端を、下流側開口端117Dという。上流側開口端117Uは、特許請求の範囲における第1の開口端に相当し、下流側開口端117Dは、特許請求の範囲における第2の開口端に相当する。
【0026】
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図1および図2に示すように、マニホールド300の共通ガス導入孔304に水素を含む燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、共有ガス流路302内において、概ね、第2の水平方向(Y軸方向)の共通ガス導入孔304側(Y軸負方向側)から、共通ガス導入孔304とは反対側(Y軸正方向側)に向かって流れる。共有ガス流路302内を流れる燃料ガスFGの一部が、各セル110の燃料極116に形成された個別ガス流路117内に進入する。また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100に酸素を含む酸化剤ガスOG(例えば空気)が供給されると、酸化剤ガスOGは、絶縁多孔体106および集電部材104を透過して、各セル110の空気極114に至る。各セル110の燃料極116に燃料ガスFGが供給され、空気極114に酸化剤ガスOGが供給されると、各セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。各セル110は、集電部材104および上述した導電パスEPにより互いに電気的に接続されており、また、燃料電池スタック100の第2の水平方向(Y軸方向)の両端には、図示しない端子部材が設けられている。各セル110における発電により生じた電力は、負極側および正極側の端子部材に接続された導線等を通して外部に取り出される。なお、複数の燃料電池スタック100を所定方向に配列して燃料電池モジュールを構成してもよい。
【0027】
A−3.燃料極116の詳細構成:
図4は、本実施形態におけるセル110の燃料極116の詳細構成を示す説明図である。図4には、図2のX1部における燃料極116のYZ断面構成が拡大して示されている。図5は、図4のV−Vの位置における燃料極116のXZ断面構成を示す説明図である。燃料極116のYZ断面は、特許請求の範囲における特定断面に相当する。
【0028】
(個別ガス流路117の上流側の構成)
図2および図4に示すように、セル110(燃料極116)のYZ断面において、共有ガス流路302に流れる燃料ガスFGの主たるガスの流れ方向F1は、共有ガス流路302の延長方向に沿った上記第2の水平方向(Y軸方向)の共通ガス導入孔304側(Y軸負方向側 以下、「ガスの流れ方向F1の上流側」という)から、共通ガス導入孔304とは反対側(Y軸正方向側 以下、「ガスの流れ方向F1の下流側」という)である。各燃料極116の個別ガス流路117は、第1の傾斜部201Uと第2の傾斜部202Uとを含む。第1の傾斜部201Uは、個別ガス流路117を構成し、上流側開口端117Uから個別ガス流路117の下流側(Z軸正方向側)に向かってガスの流れ方向F1の下流側に傾斜している。第2の傾斜部202Uは、個別ガス流路117を構成するとともに第1の傾斜部201Uよりガスの流れ方向F1の上流側に位置し、上流側開口端117Uから個別ガス流路117の下流側に向かってガスの流れ方向F1の下流側に傾斜している。
【0029】
具体的には、個別ガス流路117は、該個別ガス流路117のセル110の軸方向(Z軸方向)の中央に位置する中央部117Mと、中央部117Mの上流側開口端117U側に位置する上流側部117EUとを含む。中央部117Mは、該個別ガス流路117のセル110の軸方向に略平行な方向に直線状に延びている。なお、図3に示すように、中央部117Mの軸方向に直交する断面(XY断面)における開口形は、略円形である。上流側部117EUは、上流側開口端117Uから中央部117Mに近づくに連れて、ガスの流れ方向F1の上流側(Y軸負方向側)から下流側(Y軸正方向側)に位置するように傾斜している。セル110のYZ断面において、個別ガス流路117の上流側部117EUを構成し、互いに対向する一対の対向線(個別ガス流路117と燃料極116との境界線)のうち、ガスの流れ方向F1の下流側に位置する一方の対向線が第1の傾斜部201Uであり、ガスの流れ方向F1の上流側に位置する他方の対向線が第2の傾斜部202Uである。
【0030】
また、図4に示すように、第2の水平方向(Y軸方向)において、個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値YMは、個別ガス流路117の上流側開口端117Uの位置における幅の最大値YUより大きい。また、図5に示すように、第1の水平方向(X軸方向)において、個別ガス流路117の上流側開口端117Uの位置における幅の最大値XUは、個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値XMより大きい。なお、本実施形態では、上述したように、中央部117Mの開口形は略円形であるため、中央部117Mの第2の水平方向の幅の最大値YMと第1の水平方向の幅の最大値XMとは略同一であるが、互いに異なるとしてもよい。第1の水平方向は、特許請求の範囲における第3の方向に相当する。
【0031】
(個別ガス流路117の下流側の構成)
図4に示すように、各燃料極116の個別ガス流路117は、さらに、第3の傾斜部201Dと第4の傾斜部202Dとを含む。第3の傾斜部201Dは、個別ガス流路117を構成し、下流側開口端117Dから個別ガス流路117の上流側(Z軸負方向側)に向かってガスの流れ方向F1の下流側に傾斜している。第4の傾斜部202Dは、個別ガス流路117を構成するとともに第3の傾斜部201Dよりガスの流れ方向F1の下流側に位置し、下流側開口端117Dから個別ガス流路117の上流側に向かってガスの流れ方向F1の下流側に傾斜している。
【0032】
具体的には、個別ガス流路117は、さらに、中央部117Mの下流側開口端117D側に位置する下流側部117EDを含む。下流側部117EDは、下流側開口端117Dから中央部117Mに近づくに連れて、ガスの流れ方向F1の上流側(Y軸負方向側)から下流側(Y軸正方向側)に位置するように傾斜している。セル110のYZ断面において、個別ガス流路117の下流側部117EDを構成し、互いに対向する一対の対向線(個別ガス流路117と燃料極116との境界線)のうち、ガスの流れ方向F1の上流側に位置する一方の対向線が第3の傾斜部201Dであり、ガスの流れ方向F1の下流側に位置する他方の対向線が第4の傾斜部202Dである。
【0033】
また、図4に示すように、第2の水平方向(Y軸方向)において、個別ガス流路117の下流側開口端117Dの位置における幅の最大値YDは、個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値YMより小さい。また、図5に示すように、第1の水平方向(X軸方向)において、個別ガス流路117の下流側開口端117Dの位置における幅の最大値XDは、個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値XMより大きい。
【0034】
A−4.セル110の製造方法:
次に、上述した構成のセル110の製造方法について説明する。図6は、本実施形態におけるセル110の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0035】
はじめに、燃料極成形体を作製する(S110)。具体的には、NiO(酸化ニッケル)とセラミックス(例えばYSZ)との混合粉末に、バインダーおよび造孔材を加えて十分に混合し、水を添加することにより、粘土状の混合物を得る。この粘土状の混合物を押出成形機に投入して略円筒状に形成することにより、燃料極成形体を得る。得られた燃料極成形体の軸方向の両端部を切断機によって切断して所定の寸法の燃料極成形体を得る(S120)。このとき、燃料極成形体の両端部のそれぞれを、軸方向に略直交する同一方向から切断刃によって切断する。この切断により、燃料極成形体の両端部に、切断方向に突出するバリが形成される。このバリの形成により、燃料極成形体の一方の端部に第1の傾斜部201Uと第2の傾斜部202Uとが形成されるとともに、燃料極成形体の他方の端部に第3の傾斜部201Dと第4の傾斜部202Dとが形成される。なお、バリの高さ(各傾斜部の傾斜角度)は、例えば、切断刃の厚さ、逃げ角、切断速度等を変更することにより調整することができる。
【0036】
次に、燃料極成形体の外周側の表面に、電解質層用スラリーをディップコートによって成膜する(S130)。具体的には、例えば、LSGM等のランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物の粉末に、ポリビニルブチラール等に代表されるバインダー、分散剤、可塑剤および溶媒を混合し、電解質層用スラリーを得る。そして、燃料極成形体の表面を必要に応じてマスキングした後、燃料極成形体を電解質層用スラリーに浸漬させ、ゆっくりと取り出すことにより、燃料極成形体の外周側の表面に電解質層用スラリーを成膜する。
【0037】
次に、電解質層用スラリーが成膜された燃料極成形体の焼成を行う(S140)。具体的には、該燃料極成形体を、例えば1300℃〜1400℃で焼成する。この焼成工程により、燃料極成形体が燃料極116となり、電解質層用スラリーが電解質層112となり、その結果、燃料極116と電解質層112とを備える積層体が得られる。
【0038】
次に、積層体の電解質層112側の表面に、空気極用スラリーをディップコートによって成膜する(S150)。具体的には、空気極材料(例えば、BLCF、BLC、LSCF、LSC)に必要に応じてAg等の他の粉末を混合し、さらにバインダー、分散剤、可塑剤および溶媒を混合して、空気極用スラリーを得る。そして、積層体の表面を必要に応じてマスキングした後、積層体を空気極用スラリーに浸漬させ、ゆっくりと取り出すことにより、積層体の電解質層112側の表面に空気極用スラリーを成膜する。
【0039】
次に、空気極用スラリーが成膜された積層体の焼成を行う(S160)。具体的には、該積層体を、例えば1000℃〜1150℃で焼成する。この焼成工程により、空気極用スラリーが空気極114となり、その結果、燃料極116と電解質層112と空気極114とを備える積層体、すなわち、セル110が得られる。
【0040】
A−5.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態のセル110では、各燃料極116の個別ガス流路117は、第1の傾斜部201Uと第2の傾斜部202Uとを含む(図4参照)。第1の傾斜部201Uは、個別ガス流路117を構成し、上流側開口端117Uから個別ガス流路117の下流側(Z軸正方向側)に向かってガスの流れ方向F1の下流側に傾斜している。第2の傾斜部202Uは、個別ガス流路117を構成するとともに第1の傾斜部201Uよりガスの流れ方向F1の上流側に位置し、上流側開口端117Uから個別ガス流路117の下流側に向かってガスの流れ方向F1の下流側に傾斜している。このため、個別ガス流路117が全長にわたって流れ方向F1に略直交する方向に延びている構成に比べて、マニホールド300の共有ガス流路302から各セル110の個別ガス流路117に燃料ガスFGが流れ込みやすくなる。その結果、共有ガス流路302から個別ガス流路117への燃料ガスFGの導入効率が高くなり、燃料電池スタックにおける燃料ガスFGの利用効率(共有ガス流路302に供給される燃料ガスFGの量に対する、セル110にて発電に利用される燃料ガスFGの量の割合)を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、第1の水平方向(X軸方向)において、個別ガス流路117の上流側開口端117Uの位置における幅の最大値XUは、個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値XMより大きい(図5参照)。このため、第1の水平方向において、個別ガス流路117の上流側開口端117Uの位置における幅の最大値XUが個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値XM以下である構成に比べて、共有ガス流路302から個別ガス流路117への燃料ガスFGの導入効率がより高くなり、燃料電池スタックにおける燃料ガスFGの利用効率をさらに向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態では、各燃料極116の個別ガス流路117は、さらに、第3の傾斜部201Dと第4の傾斜部202Dとを含む(図4参照)。第3の傾斜部201Dは、個別ガス流路117を構成し、下流側開口端117Dから個別ガス流路117の上流側(Z軸負方向側)に向かってガスの流れ方向F1の下流側に傾斜している。第4の傾斜部202Dは、個別ガス流路117を構成するとともに第3の傾斜部201Dよりガスの流れ方向F1の下流側に位置し、下流側開口端117Dから個別ガス流路117の上流側に向かってガスの流れ方向F1の下流側に傾斜している。このため、例えば、個別ガス流路117が全長にわたって流れ方向F1に略直交する方向に延びている構成に比べて、各セル110の個別ガス流路117から燃料極116の外部に燃料ガスFGが排出されにくくなる。ここで、YZ断面(特定断面)において、個別ガス経路117を構成し、互いに対向する一対の内壁面117A,117Bのうち、ガスの流れ方向F1の下流側の内壁面117B付近では、ガスの流れ方向F1の上流側の内壁面117A付近に比べて、燃料ガスFGの流束が大きい(ガス密度が高い)。第4の傾斜部202Dは、燃料ガスFGの流束が大きい側に位置する下流側の内壁面117Bにおいて、燃料ガスFGの流れを変更するように傾斜している。このため、特に、多くの燃料ガスFGが個別ガス流路117内に滞留し、燃料極116内に吸収されるため、各セル110における燃料ガスFGの利用効率が高くなり、燃料電池スタック全体における燃料ガスFGの利用効率を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、第2の水平方向(Y軸方向)において、個別ガス流路117の下流側開口端117Dの位置における幅の最大値YDは、個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値YMより小さい(図4参照)。このため、第2の水平方向(Y軸方向)において、個別ガス流路117の下流側開口端117Dの位置における幅の最大値YDが個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値YMより大きい構成に比べて、各セル110の個別ガス流路117から燃料極116の外部に燃料ガスFGが排出されにくくなるため、各セル110における燃料ガスFGの利用効率が高くなり、燃料電池スタック全体における燃料ガスFGの利用効率を向上させることができる。
【0044】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0045】
上記実施形態における燃料電池スタック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、支持体として、略円筒状の多孔質部材で形成された燃料極116を例示したが、これに限らず、例えば、燃料極とは別の材料で形成された略円筒状の多孔質体(電極支持体)と、該多孔質体の外表面側に配置された燃料極とを備える構成であるとしてもよい。また、上記実施形態では、燃料電池セルとして、燃料極支持形のセルを例示したが、これに限らず、例えば、空気極を含む支持体によって燃料電池セルを構成する他の層(電解質層および燃料極等)を支持する空気極支持形のセルであるとしてもよい。この場合、空気極は、特許請求の範囲における一方の電極に相当し、燃料極は、特許請求の範囲における他方の電極に相当する。
【0046】
また、上記実施形態では、ガス供給体として、セル110の並び方向(第2の水平方向)の一方側に共通ガス導入孔304が形成されたマニホールド300を例示したが、これに限らず、例えば、マニホールド300のガス供給体におけるセル110の並び方向の中央部に共通ガス導入孔が形成されており、共通ガス導入孔から供給された燃料ガスFGが、共有ガス流路302の第2の水平方向の両側のそれぞれに流れる構成であるとしてもよい。この場合、共通ガス導入孔から共有ガス流路302の第2の水平方向の両側のそれぞれに向かう方向が、特許請求の範囲における共有ガス流路に流れるガスの流れ方向に相当する。
【0047】
また、上記実施形態において、第2の水平方向において、個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値YMは、個別ガス流路117の上流側開口端117Uの位置における幅の最大値YU以下であるとしてもよい。また、第1の水平方向において、個別ガス流路117の上流側開口端117Uの位置における幅の最大値XUが個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値XM以下であるとしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態において、各燃料極116の個別ガス流路117は、第3の傾斜部201Dと第4の傾斜部202Dとの少なくとも1つを含まないとしてもよい。例えば、個別ガス流路117の下流側部117EDは、中央部117Mと同様、セル110の軸方向に沿って直線状に延びているとしてもよい。また、個別ガス流路117は、第3の傾斜部201Dの代わりに、下流側開口端117Dから個別ガス流路117の上流側(Z軸負方向側)に向かってガスの流れ方向F1の上流側に傾斜している傾斜部を含むとしてもよい。また、個別ガス流路117は、第4の傾斜部202Dの代わりに、下流側開口端117Dから個別ガス流路117の上流側に向かってガスの流れ方向F1の上流側に傾斜している傾斜部を含むとしてもよい。また、第2の水平方向(Y軸方向)において、個別ガス流路117の下流側開口端117Dの位置における幅の最大値YDは、個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値YM以上であるとしてもよい。また、第1の水平方向(X軸方向)において、個別ガス流路117の下流側開口端117Dの位置における幅の最大値XDは、個別ガス流路117の中央部117Mの幅の最大値XM以下であるとしてもよい。
【0049】
例えば、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれるセル110の個数は、あくまで一例であり、セル110の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、燃料電池スタック100を構成する複数のセル110のすべてにおいて、上記実施形態において説明したセル110の構成が採用されている必要はなく、燃料電池スタック100を構成する複数のセル110の少なくとも1つにおいて、上記実施形態において説明したセル110の構成が採用されていれば、該セル110に関して上述した効果を得ることができる。また、上記実施形態では、燃料電池スタック100は複数の円筒型のセル110が並べて配置された構成であるが、本発明は、平板型のセルや、複数の平板型のセルが並べて配置された燃料電池スタックにも同様に適用可能である。
【0050】
また、上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。例えば、上記実施例において、固体電解質材料として、LSGMCが用いられてもよいし、空気極材料として、BSCFが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0051】
100:燃料電池スタック 104:集電部材 104A:第1の集電部材 104B:第2の集電部材 105:絶縁部材 106:絶縁多孔体 107:導電接続部 108:ガスシール部材 108A:貫通孔 109:金属シール部材 110:セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 117:個別ガス流路 117D:下流側開口端 117ED:下流側部 117EU:上流側部 117M:中央部 117U:上流側開口端 142:円筒部分 144:連結部分 201D:第3の傾斜部 201U:第1の傾斜部 202D:第4の傾斜部 202U:第2の傾斜部 300:マニホールド 300A:天板 302:共有ガス流路 304:共通ガス導入孔 306:挿入孔 EP:導電パス F1:流れ方向 FG:燃料ガス OG:酸化剤ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6