(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の走行制御装置では、発進規制モードが設定されている状態で電源を投入すると、クラッチ接続が規制されるので、作業車両を発進させることができない状態となり、車両の盗難を防止することができる。しかし、携帯端末から出力された発信規制モード認証信号を受信し、携帯端末内の第2制御情報(第2認証情報)と、制御部内の解除コードとの認証処理を行う。このため、電源投入後からクラッチ接続の規制が解除されるまでの処理に時間がかかり、作業機の発進規制が解除されるまで遅延が生じる。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、作業機の盗難防止を簡易に行うことができ、作業機の駆動の許可認証を遅延なく処理する作業機の制御装置及び作業機の制御システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作業機の制御装置は、第1制御情報を記憶する記憶部と、
駆動部の駆動開始前に、外部機器に通信可能に接続して第2制御情報を前記外部機器から取得可能な取得部と、
前記駆動部の駆動開始時には、前記取得部が取得した前記第2制御情報よりも、前記取得部が前記第2制御情報を取得する前に前記記憶部に記憶している前記第1制御情報を優先して前記第1制御情報に基づいて前記駆動部の制御を行う処理部と、
前記駆動部の駆動開始前に、前記取得部が前記外部機器から前記第2制御情報を取得した場合、前記駆動部の駆動開始後に、前記記憶部に記憶されている前記第1制御情報を、前記取得部が取得した前記第2制御情報に書き換える書換え部と、を備えている。
【0007】
また、書換え部は、
処理部が第1制御情報に基づいて駆動部の制御を行った結果、駆動部が駆動している間に、記憶部に記憶されている第1制御情報を取得部が取得した第2制御情報に書き換える。
また、
書換え部が第1制御情報を第2制御情報に書換えた後、駆動部が停止され、当該停止後の駆動部の再度の駆動開始時には、処理部は、書き換えた後の第1制御情報に基づいて駆動部の制御を行う。
【0008】
また、駆動部は原動機であり、第1制御情報及び第2制御情報は原動機の駆動時に認証として用いられる認証情報であり、処理部は、当該処理部が取得した取得情報と認証情報との認証が成立した場合に原動機の駆動を許可し且つ認証が成立しなかった場合に原動機の駆動を許可しない制御を行う。
また、外部機器は、作業機毎に認証情報を管理するサーバである。
【0009】
作業機の制御システムは、第1制御情報及び第2制御情報を作業機毎に管理する外部機器と、作業機に設けられ且つ前記外部機器と通信可能な制御装置と、を備え、前記制御装置は、第1制御情報を記憶する記憶部と、
駆動部の駆動開始前に、外部機器に通信可能に接続して第2制御情報を前記外部機器から取得可能な取得部と、
前記駆動部の駆動開始時には、前記取得部が取得した前記第2制御情報よりも、前記取得部が前記第2制御情報を取得する前に前記記憶部に記憶している前記第1制御情報を優先して前記第1制御情報に基づいて前記駆動部の制御を行う処理部と、
前記駆動部の駆動開始前に、前記取得部が前記外部機器から前記第2制御情報を取得した場合、前記駆動部の駆動開始後に、前記記憶部に記憶されている前記第1制御情報を、前記取得部が取得した前記第2制御情報に書き換える書換え部と、を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業機の盗難防止を簡易に行うことができ、作業機の駆動の許可認証を遅延なく処理する作業機の制御装置及び作業機の制御システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における作業機の制御システムを示している。
作業機の制御システムは、作業機1を制御することが可能なシステムである。作業機1は、農業機械、建設機械等である。農業機械は、トラクタ、コンバイン、田植機等である。
【0013】
まず、トラクタ1を例にとり作業機について説明する。
図8に示すように、トラクタ1は、走行車両(走行車体)3と、原動機4と、変速装置5と、走行装置7とを備えている。原動機4は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関、電動モータ等である。この実施形態では、原動機4は、ディーゼルエンジン(エンジンという)である。なお、原動機4は、内燃機関と電動モータとを有するハイブリッド型であってもよい。変速装置5は、走行装置7の推進力等を変更する装置、即ち、変速段を変更する装置である。走行装置7は、前輪及び後輪を有する装置である。前輪、後輪は、タイヤ型であっても、クローラ型であってもよい。
【0014】
また、走行車体3には運転席10と、運転席10を囲むキャビン9とが設けられている。また、走行車体3の後部には、3点リンク機構等で構成された連結部8が設けられている。連結部8には、作業装置2が着脱可能である。作業装置2を連結部8に連結することによって、走行車体3によって作業装置2を牽引することができる。
図1に示すように、作業機1は、制御装置11を備えている。制御装置11は、制御情報に基づいて作業機1に関する様々な制御を行う。制御情報とは、作業機1を制御するために必要な情報であって、例えば、トラクタ1等を制御するための制御パラメータ、認証情報等である。この実施形態では、制御情報は、駆動部の駆動を判断するための認証情報である。即ち、制御装置11は、認証情報に基づいて駆動部の駆動に関する制御を行う。つまり、制御装置11は、認証情報によって駆動部の駆動の許可/不許可を行うことによって、作業機1の盗難防止を図っている。
【0015】
具体的には、制御装置11は、運転席10の近傍に配置された入力装置20に入力された認証情報(取得認証情報)と、制御装置11に記憶された認証情報(記憶認証情報)との認証が成立すると、駆動部の駆動を許可し、認証が成立しない場合、駆動部の駆動を許可しない。駆動部とは、原動機4、変速装置5、走行装置7等である。この実施形態では、駆動部は原動機である。
【0016】
制御装置11には、入力装置20、イグニッションスイッチ21及びスタータリレー22が接続されている。入力装置20は、運転席10の近傍に設けられ、作業者等によって様々な情報が入力可能な装置である。入力装置20は、数字を入力する複数のキーを備えた装置であって、例えば、複数の数字から構成される認証情報を入力することができる。
イグニッションスイッチ21は、ON/OFFに切り替え可能なスイッチであって、運転席10の近傍に設けられ、作業者が操作可能である。スタータリレー22は、ON/OFFに切り替え可能なスイッチであって、制御装置11からの制御信号に基づいて、ON/OFFが切り替えられる。制御装置11は、認証情報の認証が成立すると、スタータリレー22をOFFからONに切り換え、原動機4を駆動し、認証情報の認証が不成立の場合、スタータリレー22がOFFに保持し、原動機4は駆動しない。
【0017】
さらに、制御装置11の制御について詳しく説明する。
図1に示すように、制御装置11は、記憶部12と、処理部15を有している。記憶部12は、不揮発性のメモリ等であって、様々な情報を記憶する。記憶部12は、例えば、制御情報である認証情報と、アプリケーションソフト(Application software)とを記憶している。
【0018】
処理部15は、制御装置11に設けられた電気・電子部品、当該制御装置11に格納されたプログラム等から構成されている。処理部15は、例えば、作業機1の原動機4を始動させるときに、エンジンキーをキーシリンダに挿入して当該エンジンキーの回転操作によりイグニッションスイッチ21をOFFからONにすると、記憶部12に記憶された認証情報(記憶認証情報)と、入力装置20に入力された認証情報(取得認証情報)との認証(照合)を行う。処理部15は、記憶認証情報との照合によって取得認証情報が正当な認証情報であると確認した場合に、スタータリレー22に始動信号を出力して、原動機4の始動を行う、即ち、原動機4の駆動を許可する。一方、処理部15は、取得認証情報が正当な認証情報でない場合に、スタータリレー22に始動信号を出力せず、原動機4の始動を行わない、即ち、原動機4の駆動を許可しない。
【0019】
なお、原動機駆動の1つである原動機始動は、エンジンキーをキーシリンダに挿入してスタータリレー22をオンするような機械式(キーシリンダ式)に限定されず、無線通信によって原動機始動を許可又は禁止にするスマートエントリー式であってもよい。
さて、記憶部12に記憶された記憶認証情報は、外部機器30から送信された別の認証情報に変更可能である。記憶部12において、書換え前に既に記憶部12に記憶されている記憶認証情報のことを第1認証情報、書換え用の認証情報(別の認証情報)のことを、第2認証情報という。即ち、書換え前の認証情報が第1認証情報であり、書換え後の認証情報が第2認証情報である。処理部15は、少なくとも原動機4の駆動開始時(認証処理時)には、第2認証情報よりも第1認証情報を優先して第1認証情報に基づいて原動機4の制御、即ち、駆動するための認証処理を行う。
【0020】
外部機器30は、制御装置11と通信可能なサーバ等であって、当該外部機器30は、第2認証情報を制御装置11に送信する。
サーバ30は、記憶部31と、第2通信部32とを有している。記憶部31は、不揮発性のメモリ等から構成され、少なくとも第2認証情報を記憶する。第2通信部32は、制御装置11(第1通信部13)及び管理者端末40と無線通信を行う装置である。第2通信部32は、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi、携帯電話通信網、データ通信網や携帯電話通信網などにより、制御装置11(第1通信部13)及び管理者端末40と通信を行う。
【0021】
管理者端末40は、例えば、PCや比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)等で構成されている。管理者端末40は、第3通信部41と、端末表示部(第1端末表示部)42とを備えている。第3通信部41は、作業機1内の車両ネットワークやサーバ30と無線通信を行うものである。第3通信部41は、例えば、データ通信網や携帯電話通信網などによりサーバ30との無線通信を行う装置である。第1端末表示部42は、様々な情報を表示することができる装置であり、例えば、
図6Aに示すような画面を表示可能である。変更画面M1等を表示することができる。
【0022】
第1認証情報の変更を行う場合、まず、管理者端末40からサーバ30にログインする。管理者端末40がサーバ30にログインし、当該管理者端末40から第2認証情報の設定の要求があると、この要求に応じてサーバ30は、
図6Aに示すような変更画面M1を管理者端末40に表示する処理を行う。変更画面M1には、作業機リスト101、作業機1の名称欄103、番号変更ボタン105、番号入力部106が表示される。
【0023】
作業機リスト101は、管理者が所有する作業機1の一覧である。例えば、作業機リスト101に表示される作業機1は、作業機1の種類や機種によって分類して表示される。管理者は、各作業機1に割り当てられた機種名を選択することで、第2認証情報の変更対象の作業機1を選択する。変更画面M1の右上部に表示された作業機1の名称欄103には、管理者が選択した作業機1の名称が表示される。
【0024】
番号変更ボタン105を選択すると、番号入力部106が表示される。番号入力部106は、現在の第1認証情報を入力する第1入力部106aと、新規の第2認証情報を入力する第2入力部106bを含む。例えば、第2入力部106bは、新規の第2認証情報が正確に入力されているかの確認のため、同一の第2認証情報を2回入力するようなものであってもよい。
【0025】
管理者は、現在の第1認証情報を第1入力部106aに入力する。管理者は、新規の第2認証情報を第2入力部106bに入力する。管理者は、第2認証情報入力が完了すれば、決定ボタン107を選択して、第2認証情報の変更を確定する。
サーバ30は、管理者が入力した現在の第2認証情報が正規のものであるか確認する。具体的には、サーバ30は、記憶部31に記憶されている作業機1と関連付けられた現在の第2認証情報と、管理者が入力した現在の第2認証情報が合致するか確認する。また、サーバ30は、管理者が入力した2つの新規の第2認証情報が同一のものであるか確認する。管理者が入力した現在の第2認証情報が正規のものであって、2つの新規の第2認証情報が合致した場合、サーバ30は、作業機1と新規の第2認証情報と関連付け、記憶部31に記憶する。
【0026】
制御装置11は、第1通信部(取得部)13と、書換え部14とを有している。第1通信部13は、サーバ30と通信が可能な装置であって、少なくともサーバ30に接続して第2制御情報をサーバ30から取得可能な装置である。第1通信部13は、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)等により、サーバ30等と無線通信を行うものである。第1通信部13は、例えば、携帯電話通信網やデータ通信網や携帯電話通信網などにより、サーバ30等と無線通信を行うものであってもよい。第1通信部(取得部)13は、サーバ30に接続して第2認証情報をサーバ30から取得可能する。処理部15は、少なくとも原動機4の駆動開始時(認証処理時)には、第2認証情報よりも第1認証情報を優先して第1認証情報に基づいて原動機4の制御、即ち、駆動するための認証処理を行う。
【0027】
また、書換え部14は、制御装置11に設けられた電気・電子部品、当該制御装置11に格納されたプログラム等から構成されている。書換え部14は、記憶部12に記憶されている第1認証情報を、第1通信部(取得部)13が取得した第2認証情報に書き換える。詳しくは、書換え部14は、処理部15が第1認証情報における認証成立後、原動機4の制御を行っている場合に、記憶部12に記憶されている第1認証情報を第1通信部13が取得した第2制御情報に書き換える。
【0028】
図2を用いて、認証情報の認証と、第1認証情報を第2認証情報の書き換える手順(書換え手順)との関係について説明する。
図2に示すように、作業者がイグニッションスイッチ(IG-SW)21をOFFからONにすると、即ち、制御装置11がIG-SW21のONを取得すると(S1)、制御装置11は第1通信部13を介してサーバ30に第1認証情報を第2認証情報に書き換える状態(書換え必要状態)であるか問い合わせを行う(S2)。サーバ30は、所定の作業機1において、第1認証情報の更新、第2認証情報に書き換える必要がある場合、所定の作業機1の第2認証情報を制御装置11(第1通信部13)に送信する(S3)。制御装置11(第1通信部13)は、サーバ30から送信された第2認証情報を取得する(S4)。一方で、IG-SW21をOFFからONすると(S1)、入力装置20は取得認証情報を入力可能となり(S5)、取得認証情報の入力が完了すると、取得認証情報を制御装置11に出力する(S6)。制御装置11は、サーバ30に対して書換え必要状態であるかを問い合わせるのと略同時に、入力装置20に入力された情報(数値)を、取得認証情報をとして取得する(S7)。ここで、制御装置11(処理部15)は、第1認証情報の書き換え先の情報である第2認証情報をサーバ30から取得した場合であっても、記憶部12に記憶されている第1認証情報の書き換えを、盗難防止のための認証情報の認証後に行うことで、サーバ30から取得した第2認証情報よりも第1認証情報を優先して、当該第1認証情報に基づいて原動機4における盗難防止の解除を行う。
【0029】
即ち、入力装置20に入力された取得認証情報と、記憶部12に記憶されている第1認証情報との認証(認証処理)を実行する(S8)。取得認証情報と第1認証情報との認証が成立すると(S9、Yes)、処理部15は、スタータリレー22に始動信号を出力して、原動機4の始動を行う(S10)。一方、取得認証情報と、第1認証情報との認証が成立しない場合(S9、No)、処理部15は、スタータリレー22に始動信号を出力しない
原動機4の始動後(取得認証情報)、即ち、認証情報の成立後(S7、Yes)、書換え部14は、記憶部12に記憶されている第1認証情報(S6で認証を実行するのに用いた認証情報)を、第1通信部13が取得した第2認証情報に書き換える(S11)。IG-SW21をONからOFFにすると(S12)、処理部15は、スタータリレー22に原動機停止の信号を出力して、原動機4の停止を行う(S13)。
【0030】
以上によれば、処理部15は、少なくとも原動機4の駆動開始時には、第2認証情報よりも第1制御情報を優先して第1制御情報に基づいて原動機4の制御を行う。これによって、第1通信部(取得部)13が、認証処理を実行する前に先に、第1認証情報を書き換えるための第2認証情報を取得していたとしても、書換え部14が第1認証情報を第2認証情報に書き換える前に、処理部15は第1認証情報に基づいて、認証処理を行っている。このため、原動機4の駆動開始時には、第1認証情報の書き換え処理を行わないため、原動機4は、第1認証情報に基づいて早く駆動させることができる。
【0031】
書換え部14は、処理部15が第1認証情報に基づいて原動機4の制御を行っている場合に、記憶部12に記憶されている第1認証情報を、第1通信部(取得部)13が取得した第2認証情報に書き換える。即ち、処理部15によって原動機4を駆動させている間に、書換え部14によって、第1認証情報を第2認証情報を書き換えることができるため、処理部15による認証情報の認証と、書換え部14による認証情報の書き換えとのタイミングが一致することを確実に回避することができ、スムーズに認証情報の認証及び認証情報の書き換えを行うことができる。
【0032】
また、処理部15は、第2認証情報の書き換え後で且つ原動機4の駆動を行った場合には、書き換え後の第2認証情報に基づいて原動機4の制御を行う。即ち、書換え部14が第1認証情報を第2認証情報に書き換えた後に、処理部15が第2認証情報に基づいて認証処理を行っている。このため、書換え後の新しい認証情報(第2認証情)を用いて、原動機4の始動に関するセキュリティを向上させることができる。
【0033】
また、外部機器30は、作業機1毎に認証情報を管理するサーバである。これによって、管理者等は、作業機1の認証情報を外部からの操作によって簡単に、任意の作業機1の認証情報の変更を行うことができ、セキュリティを向上することができる。
図3は、認証情報の認証及び書換え手順の第1変形例を示している。
図3において、S1、S4〜S10、S12、S13は、
図2と同様である。
【0034】
図3に示すように、IG-SW21がOFFである場合(S21)、即ち、原動機4が駆動していない場合、第1通信部13は、サーバ30と通信可能であって、所定の時間間隔ごとにサーバ30に対して、第2認証情報を要求する(S22)。サーバ30は、第1通信部13の要求に応じて、第2認証情報を制御装置11に送信する(S23)。
第1変形例では、原動機4(作業機1)が駆動していない状況であっても、第1通信部13によって第1認証情報を書き換えるための第2認証情報を取得することができ、IG-SW21をOFFからONにした場合に、第2認証情報における取得の処理を省略でき、認証処理を実行することができるため、原動機4を早く起動することができる。
【0035】
図4は、認証情報の認証及び書換え手順の第
2変形例を示している。
図4において、S1、S4〜S10、S12、S13は、
図2と同様である。
図4に示すように、原動機4の始動後(S10後)、制御装置11は第1通信部13を介してサーバ30に第1認証情報を第2認証情報に書き換える状態(書換え必要状態)であるか問い合わせを行う(S30)。サーバ30は、所定の作業機1において、第1認証情報の更新、第2認証情報に書き換える必要がある場合、所定の作業機1の第2認証情報を制御装置11(第1通信部13)に送信する(S31)。制御装置11(第1通信部13)は、サーバ30から送信された第2認証情報を取得する。書換え部14は、記憶部12に記憶されている第1認証情報を、第1通信部13が取得した第2認証情報に書き換える(S32)。第2変形例では、原動機4の駆動後に、余裕を持って第2認証情報の取得と書換えとの両方を行うことができ、第2認証情報の取得及び書換えのタイミングが、認証処理のタイミングに重なってしまうことを防止することができる。
【0036】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態における作業機1の制御システムを示している。作業機1の制御システムは、入力装置20の代わりに、制御装置11と通信可能な携帯端末50を設けたシステムである。なお、入力装置20と携帯端末50との両方を設けてもよい。
制御装置11の第1通信部13は、第1認証情報を要求するビーコンを外部に出力可能である。携帯端末50は、作業機1を利用する作業者が携帯する端末であって、例えば、比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)等で構成されている。
携帯端末50は、第4通信部51と、端末表示部(第2端末表示部)52と、記憶部53とを有している。第4通信部51は、近距離無線通信、データ通信網や携帯電話通信網などにより、制御装置11(第1通信部13)、サーバ30と無線通信を行う装置である。第2端末表示部52は、様々な情報を表示可能であって、例えば、
図6Bに示すような画面を表示する。
【0037】
記憶部53は、認証情報(携帯認証情報)及び盗難防止の機能を実現するための盗難防止プログラムが格納されている。盗難防止プログラムは、携帯端末50に格納されたアプリ(Application software)等で構成されたもので、携帯端末50を所有する作業者が盗難防止プログラムを含むアプリを、管理するサーバ30等からダウンロードすることによって取得することができる。
【0038】
携帯端末50を操作して、盗難防止プログラムを含むアプリを起動すると、第2端末表示部52にホーム画面M2が表示される。ホーム画面M2には、設定ボタン201、作業機リスト202、ロック解除ボタン203、ロックボタン204が表示される。ホーム画面M2に表示された設定ボタン201を選択すると、第2端末表示部52は、
図6Bに示すような設定画面M3に遷移する。
【0039】
設定画面M3では、携帯端末50から制御装置11に携帯認証情報を出力することが可能な作業機1を選択することができる。設定画面M3には、作業機リスト302、決定ボタン205が表示される。作業機リスト302には、管理者が所有する作業機1が表示される。作業機リスト302には、作業機1の種類と機種に分類されて表示される。作業機リスト302内の作業機1の名称の左側にはチェックボックス303が表示される。作業機リスト302内の作業機1の名称の右側には、携帯端末50から作業機1へ携帯認証情報の出力が有効であるか、又は無効であるかが表示される。
【0040】
作業者は、携帯端末50からの携帯認証情報の出力を有効にしたい作業機1の名称を選択する。作業機1の名称が選択されると、選択された作業機1のチェックボックス303にマーク304が表示される。作業者は、作業機1の選択が完了すると決定ボタン205を選択する。決定ボタン205が選択されると、第2端末表示部52は、ホーム画面M2に遷移する。ホーム画面M2の作業機リストには、設定画面M3で作業者が選択した作業機1が表示される。作業機リストには、作業機1が、作業機1の種類と機種に分類されて表示される。作業機リスト内の各作業機1の名称の右側には、携帯端末50から制御装置11に携帯認証情報が出力済であるか否か等が表示される。具体的には、携帯端末50が制御装置11に携帯認証情報を出力した作業機1は「解除済」と表示される。携帯認証情報を出力し、処理部15が携帯認証情報の認証をしている間、作業機1は「解除中」と表示される。携帯端末50から制御装置11に携帯認証情報を出力していない作業機1は、「未解除」と表示される。
【0041】
作業者は、ホーム画面M2のロック解除ボタン203又はロックボタン204のいずれか一方を選択する。ロック解除ボタン203を選択していると、携帯端末50は、携帯認証情報を出力する。作業者がロックボタン204を選択していると、携帯端末50は、携帯認証情報を出力しない。
図7は、認証情報の認証及び書換え手順を示している。なお、第1通信部13は、IG-SW21がOFFでも通信が可能であるとして説明を進める。
【0042】
作業者が所持する携帯端末50が、第1通信部13が出力したビーコン(携帯認証情報を要求するビーコン)を受信すると(S40)、携帯端末50は、記憶部53に記憶されている携帯認証情報を第1通信部13に送信する(S41)。第1通信部13が携帯認証情報の受信後、IG-SW21をOFFからONすると(S42)、制御装置11は、第1通信部13を介してサーバ30に第1認証情報を第2認証情報に書き換える状態(書換え必要状態)であるか問い合わせを行う(S43)。サーバ30は、所定の作業機1において、第1認証情報の更新、第2認証情報に書き換える必要がある場合、所定の作業機1の第2認証情報を第1通信部13に送信する(S44)。第1通信部13は、サーバ30から送信された第2認証情報を取得する(S45)。
【0043】
一方、第1通信部13が携帯認証情報の受信後(S41後)、IG-SW21をOFFからONすると(S42)、処理部15は、携帯端末50から送信された携帯認証情報と、記憶部12に記憶されている第1認証情報(記憶認証情報)との認証を実行する(S46)。携帯認証情報と記憶認証情報との認証が成立すると(S47、Yes)、処理部15は、スタータリレー22に始動信号を出力して、原動機4の始動を行う(S48)。一方、携帯認証情報と記憶認証情報との認証が成立しない場合(S47、No)、処理部15は、スタータリレー22に始動信号を出力しない。
【0044】
原動機4の始動後、即ち、認証情報の成立後(S47、Yes)、書換え部14は、記憶部12に記憶されている第1認証情報(記憶認証情報)を、第1通信部13が取得した第2認証情報に書き換える(S49)。第1認証情報を第2認証情報に書換え後(S49後)、IG-SW21をONからOFFにすると(S50)、処理部15は、スタータリレー22に原動機停止の信号を出力して、原動機4の停止を行う(S51)。
【0045】
以上によれば、携帯端末50が制御装置11(第1通信部13)の通信エリア(ビーコンを受信可能なエリア)に入るだけで、携帯端末50に記憶された携帯認証情報を第1通信部13に送信することができ、簡単に認証処理を行うことができる。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。