特許第6907038号(P6907038)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907038
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/443 20060101AFI20210708BHJP
   H01R 13/648 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   H01R13/443
   H01R13/648
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-116940(P2017-116940)
(22)【出願日】2017年6月14日
(65)【公開番号】特開2019-3807(P2019-3807A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 有輝
(72)【発明者】
【氏名】森 祐樹
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−005018(JP,A)
【文献】 特開2015−095403(JP,A)
【文献】 特開2001−196129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/648
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに接合されるハウジングと、
複数の電線の端部にそれぞれ接続されて前記ハウジング内に収容される複数の端子と、
前記ハウジングから引き出される前記電線がそれぞれ挿通される複数のシール孔を有し、前記ハウジングに嵌め込まれて前記電線の外周面と前記ハウジングの内周面との間をシールするシール部材と、
前記ハウジングから引き出される前記電線が挿通される複数の挿通孔を有し、前記ハウジングに装着されて前記シール部材を保持するホルダと、
を備え、
前記複数の端子には、前記ハウジングが前記相手側コネクタに接合されて前記相手側コネクタに設けられた導通ピンによって短絡される一対のインターロック用の端子が含まれ、
前記一対のインターロック用の端子が外された前記ハウジングに対して、
前記ホルダに代えて、外された前記一対のインターロック用の端子から延びる一対の前記電線が通されていた一対の前記シール孔に挿し込まれる一対の閉塞ピンを備えたピン付きのホルダが装着される
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記複数の端子は、前記一対のインターロック用の端子と、前記一対のインターロック用の端子の短絡によって通電が許可される一対の前記電線に接続された一対の第1端子と、で構成され、
前記一対の第1端子は、前記ハウジング内にて幅方向に間隔を空けて並ぶように収容され、前記一対のインターロック用の端子は、前記ハウジング内にて前記一対の第1端子の間において上下方向に並ぶように収容される
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1端子は、導体の周囲に内部被覆、シールド層及び外部被覆が順に設けられたシールド電線が接続されたシールド端子であり
前記ハウジング内には、少なくとも前記シールド端子を覆うシールドシェルが設けられ、前記シールドシェルに、前記シールド電線の前記シールド層が導通されている
ことを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、モータ、バッテリあるいはインバータ等の機器に接続される防水型のコネクタは、各電線に装着したゴム栓によって、電線の外周面とハウジングの内周面との間をシールしている(例えば、特許文献1参照)。また、このコネクタは、ハウジング内にインターロック用の一対の端子を有し、機器との接合によって端子が短絡することで、電線から機器への通電を許可するインターロック機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−96310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターロック機能を有する防水型のコネクタでは、インターロック用の端子に接続された電線とハウジングとの間もゴム栓を用いてシールする必要がある。また、このコネクタを、インターロック用の端子を外してインターロック機能を使用せずに用いる場合、インターロック用の電線の引き出し箇所を、専用のシール部材によって塞いでシールする必要が生じる。このため、シール構造の複雑化及び部品点数の増大によりコストアップを招いてしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストアップを招くことなく、使用状態に応じて良好なシール性を得ることができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 相手側コネクタに接合されるハウジングと、
複数の電線の端部にそれぞれ接続されて前記ハウジング内に収容される複数の端子と、
前記ハウジングから引き出される前記電線がそれぞれ挿通される複数のシール孔を有し、前記ハウジングに嵌め込まれて前記電線の外周面と前記ハウジングの内周面との間をシールするシール部材と、
前記ハウジングから引き出される前記電線が挿通される複数の挿通孔を有し、前記ハウジングに装着されて前記シール部材を保持するホルダと、
を備え、
前記複数の端子には、前記ハウジングが前記相手側コネクタに接合されて前記相手側コネクタに設けられた導通ピンによって短絡される一対のインターロック用の端子が含まれ、
前記一対のインターロック用の端子が外された前記ハウジングに対して、
前記ホルダに代えて、外された前記一対のインターロック用の端子から延びる一対の前記電線が通されていた一対の前記シール孔に挿し込まれる一対の閉塞ピンを備えたピン付きのホルダが装着される
ことを特徴とするコネクタ。
(2) 前記複数の端子は、前記一対のインターロック用の端子と、前記一対のインターロック用の端子の短絡によって通電が許可される一対の前記電線に接続された一対の第1端子と、で構成され、
前記一対の第1端子は、前記ハウジング内にて幅方向に間隔を空けて並ぶように収容され、前記一対のインターロック用の端子は、前記ハウジング内にて前記一対の第1端子の間において上下方向に並ぶように収容される
ことを特徴とする(1)に記載のコネクタ。
(3) 前記第1端子は、導体の周囲に内部被覆、シールド層及び外部被覆が順に設けられたシールド電線が接続されたシールド端子であり
前記ハウジング内には、少なくとも前記シールド端子を覆うシールドシェルが設けられ、前記シールドシェルに、前記シールド電線の前記シールド層が導通されている
ことを特徴とする(2)に記載のコネクタ。
【0007】
上記(1)及び(2)の構成のコネクタによれば、一つのシール部材によって複数の電線の引き出し箇所をシールすることができる。これにより、電線ごとにシール用のゴム栓を装着する構造と比較し、部品点数の削減によって低コスト化できる。
また、複数の端子のうちの特定の端子を使用しない場合には、ピン付きのホルダをハウジングへ装着することで、外された端子から延びる電線が通されていたシール孔が、閉塞ピンが挿し込まれることでシールされる。
このように、本構成のコネクタによれば、コストアップを招くことなく、使用状態に応じて良好なシール性を得ることができ、汎用性を高めることができる。
更に、上記(1)及び(2)の構成のコネクタによれば、インターロック機能を用いないためにインターロック用の端子を外した際に、ピン付きのホルダをハウジングへ装着してインターロック用の端子から延びる電線が挿通されていたシール孔をシールすることができる。つまり、インターロック機能の有無に関わらず、良好なシール状態を維持させることができ、汎用性を高めることができる。
上記(3)の構成のコネクタによれば、使用状態に応じて良好なシール性を得ることができるので、ハウジング内のシールドシェル等の腐食を抑制することができ、シールド電線のシールド層による良好なシールド効果を維持させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コストアップを招くことなく、使用状態に応じて良好なシール性を得ることができるコネクタを提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
図3図3は、図1におけるA−A断面図である。
図4図4は、図1におけるB−B断面図である。
図5図5は、シール部材の斜視図である。
図6図6は、シール部材を装着したハウジングにおけるホルダの装着前の後端から視た正面図である。
図7図7は、ホルダの斜視図である。
図8図8は、本実施形態に係るコネクタのインターロック機能を外した状態の斜視図である。
図9図9は、本実施形態に係るコネクタのインターロック機能を外した状態の分解斜視図である。
図10図10は、図8におけるC−C断面図である。
図11図11は、インターロック機能を外した際に装着されるホルダの斜視図である。
図12図12は、参考例に係るコネクタの斜視図である。
図13図13は、参考例に係るコネクタの分解斜視図である。
図14図14は、図12におけるD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るコネクタの斜視図である。図2は、本実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。図3は、図1におけるA−A断面図である。図4は、図1におけるB−B断面図である。
【0013】
図1から図4に示すように、本実施形態に係るコネクタ10は、複数本のシールド電線1の端部に接続される。コネクタ10は、例えば、ハイブリッドカーや電気自動車の配線に用いられる。コネクタ10は、例えば、モータとインバータとの間やインバータとバッテリとの間等をシールド電線1で繋ぐためのシールドコネクタである。コネクタ10は、例えば、インバータ、モータあるいはバッテリなどの機器のケースに設けられた相手側コネクタ(図示略)に接合される。
【0014】
コネクタ10は、ハウジング20と、シールドシェル30と、端子40と、シール部材50と、ホルダ60と、インターロック用の端子70とを備えている。
【0015】
ハウジング20は、樹脂から形成されている。ハウジング20は、角筒状に形成されており、その先端側が、相手側コネクタに接合される接合部21とされている。ハウジング20は、後端側が、端子40が挿し込まれる挿入部22とされている。ハウジング20の挿入部22には、その両側部に、係止突起23が形成されている。
【0016】
シールドシェル30は、導電性金属材料から形成されたもので、角筒状に形成されている。このシールドシェル30は、ハウジング20の内部に嵌合される。このシールドシェル30には、その内部に、樹脂製の端子保持部材31が収容されている。端子保持部材31には、端子40,70が後端側から挿し込まれるキャビティ32,33が形成されている。キャビティ32は、端子保持部材31における幅方向に間隔をあけて形成されている。キャビティ33は、端子保持部材31における幅方向の中央に形成されており、端子保持部材31の厚さ方向に間隔をあけて形成されている。端子40,70は、キャビティ32,33に挿し込まれることで、端子保持部材31に保持される。
【0017】
端子40は、導電性金属材料から形成されており、シールド電線1の端部が接続されたシールド端子である。シールド電線1は、複数の素線を撚った撚線等からなる導体2と、導体2の周囲を覆う絶縁性の合成樹脂等からなる内部被覆3と、内部被覆3の周囲に設けられる編組等の導体からなるシールド層4と、シールド層4の周囲を覆う絶縁性の合成樹脂等からなる外部被覆5と、を有した同軸ケーブルである。端子40は、シールド電線1の端部で露出された導体2に圧着固定されている。
【0018】
シールド電線1は、端部において導体2及びシールド層4が露出されている。外部被覆5の端部には、導電性金属材料からなる筒状のシールドターミナル6が装着されている。このシールドターミナル6が装着された部分には、外部被覆5から露出されたシールド層4が折り返されて被せられている。そして、このシールド層4が折り返された部分には、導電性金属材料からなるシールドスリーブ7が先端側から装着されている。
【0019】
シールド電線1が接続された端子40は、シールドシェル30の後端側から挿し込まれ、端子保持部材31のキャビティ32に収容される。そして、端子40は、その先端部が、ハウジング20の接合部21側へ突出された状態に保持される。端子40をキャビティ32に挿し込んで保持させることで、シールド電線1に装着されたシールドターミナル6は、シールドシェル30に嵌合されて導通される。これにより、シールド電線1のシールド層4は、シールドターミナル6を介してシールドシェル30に導通される。
【0020】
インターロック用の端子70は、導電性金属材料から形成されている。この端子70には、導体の外周を外被で被覆した絶縁電線からなる電線8の端部が接続されている。電線8は、インターロック回路に接続されている。インターロック回路は、端子70同士が導通されて短絡することで閉じられ、シールド電線1による通電を許可する。電線8が接続された端子70は、シールドシェル30の後端側から挿し込まれ、端子保持部材31のキャビティ33に収容されて保持される。
【0021】
図5は、シール部材の斜視図である。図6は、シール部材を装着したハウジングにおけるホルダの装着前の後端から視た正面図である。
【0022】
図5に示すように、シール部材50は、板状に形成されている。シール部材50は、ゴム等の弾性材料から形成されている。シール部材50は、シールド電線1が通される一対のシール孔51と、電線8が通される一対のシール孔52とを有している。また、シール部材50には、その外周に、周方向へわたって突出するリップ部53が形成されている。
【0023】
図6に示すように、シール部材50には、シール孔51にシールド電線1が通され、シール孔52に電線8が通される。これにより、シールド電線1の外周面には、シール孔51の内周面が密着し、電線8の外周面には、シール孔52の内周面が密着する。シール部材50は、ハウジング20に対して、その後端側から嵌め込まれる。これにより、シール部材50の外周に形成されたリップ部53がハウジング20の内周面に密着する。そして、シール孔51,52にシールド電線1及び電線8が通されたシール部材50をハウジング20に嵌め込むことで、シールド電線1及び電線8の外周面とハウジング20の内周面との間がシールされる。
【0024】
図7は、ホルダの斜視図である。
図7に示すように、ホルダ60は、端面板部61と、この端面板部61の周縁に形成された周壁部62とを有している。ホルダ60は、樹脂から形成されたもので、端面板部61に周壁部62が一体に形成されている。ホルダ60は、端面板部61に、シールド電線1が通される一対の挿通孔63と、電線8が通される一対の挿通孔64とを有している。ホルダ60には、その両側部における周壁部62に、係止窓65が形成されている。ホルダ60には、挿通孔63にシールド電線1が通され、挿通孔64に電線8が通される。ホルダ60は、ハウジング20に対して、その後端側から装着される。これにより、ホルダ60は、その係止窓65にハウジング20の係止突起23が入り込んで係止され、ハウジング20に装着された状態に維持される。そして、このホルダ60をハウジング20に装着することで、シール部材50がハウジング20に嵌め込まれた状態に保持される。
【0025】
上記構造のコネクタ10は、相手側コネクタにハウジング20の接合部21を接合させることで、相手側コネクタに接続される。これにより、ハウジング20内の端子保持部材31のキャビティ32に収容された端子40が相手側コネクタの端子に接続される。また、コネクタ10を相手側コネクタに接続すると、ハウジング20内の端子保持部材31のキャビティ33に収容された端子70が相手側コネクタの短絡用の導通ピンに接続されて短絡する。これにより、インターロック回路が閉じられ、相手側コネクタとの接続が完了したことが検知され、シールド電線1における通電が可能となる。
【0026】
次に、インターロック機構を使用せずにコネクタ10を用いる場合について説明する。
【0027】
図8は、本実施形態に係るコネクタのインターロック機能を外した状態の斜視図である。図9は、本実施形態に係るコネクタのインターロック機能を外した状態の分解斜視図である。図10は、図8におけるC−C断面図である。図11は、インターロック機能を外した際に装着されるホルダの斜視図である。
【0028】
図8から図10に示すように、インターロック機能の不使用時には、コネクタ10は、電線8に接続されたインターロック用の端子70が外される。また、コネクタ10には、ピン付きのホルダ60Aをハウジング20に装着する。
【0029】
図11に示すように、ホルダ60Aでは、端面板部61に電線8を通す挿通孔64が塞がれ、この挿通孔64が塞がれた部分に、閉塞ピン66が一体に形成されている。これらの閉塞ピン66は、ハウジング20への装着方向へ突出されている。
【0030】
ホルダ60Aは、挿通孔63にシールド電線1を通した状態で、ハウジング20の後端に装着される。これにより、ホルダ60Aは、その係止窓65がハウジング20の係止突起23に係止され、ハウジング20に装着された状態に維持される。そして、このホルダ60Aをハウジング20に装着することで、シール部材50がハウジング20に嵌め込まれた状態に保持される。また、ホルダ60Aをハウジング20へ装着すると、ホルダ60Aの閉塞ピン66がシール部材50のシール孔52に挿し込まれる。これにより、シール部材50は、そのシール孔52が塞がれてシールされる。
【0031】
ここで、参考例に係るコネクタについて説明する。
図12は、参考例に係るコネクタの斜視図である。図13は、参考例に係るコネクタの分解斜視図である。図14は、図12におけるD−D断面図である。
【0032】
図12から図14に示すように、このコネクタ100では、各シールド電線1に接続された端子40が嵌入される筒状のシールドシェル130を有している。これらのシールドシェル130には、端子40を保持する端子保持部材131が設けられている。シールドシェル130は、ハウジング120に形成された収容部120aにそれぞれ嵌入されて収容されている。それぞれのシールド電線1には、環状のゴム栓150が装着されており、これらのゴム栓150は、ハウジング120の収容部120aに嵌め込まれており、シールド電線1の外周面とハウジング120の収容部120aの内周面とをシールする。各ゴム栓150は、ハウジング120の後端側に装着されたホルダ160によってハウジング120の収容部120aに嵌め込まれた状態に保持される。
【0033】
この参考例に係るコネクタ100では、それぞれのシールド電線1の外周面とハウジング120の収容部120aの内周面との間をシールする複数のゴム栓150を要するため、部品点数の増大によるコストアップを招いてしまう。
【0034】
これに対して、本実施形態に係るコネクタ10によれば、一つのシール部材50によって複数のシールド電線1の引き出し箇所をシールすることができる。さらに、インターロック機能を備える場合においても、シールド電線1の引き出し箇所をシールするシール部材50によってインターロック用の電線8の引き出し箇所をシールすることができる。これにより、電線ごとにシール用のゴム栓を装着する構造と比較し、部品点数の削減によって低コスト化できる。
【0035】
また、複数の端子40,70のうちのインターロック用の端子70を使用しない場合には、ピン付きのホルダ60Aをハウジング20へ装着することで、外された端子70から延びる電線8が通されていたシール孔52が、閉塞ピン66が挿し込まれることでシールされる。
【0036】
したがって、本実施形態に係るコネクタ10によれば、コストアップを招くことなく、インターロック機能の有無等の使用状態に応じて良好なシール性を得ることができ、汎用性を高めることができる。
【0037】
このように、使用状態に応じて良好なシール性を得ることができるので、ハウジング20内のシールドシェル30等の腐食を抑制することができ、シールド電線1のシールド層4による良好なシールド効果を維持させることができる。
【0038】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0039】
ここで、上述した本発明に係るコネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 相手側コネクタに接合されるハウジング(20)と、
複数の電線(シールド電線1,電線8)の端部にそれぞれ接続されて前記ハウジング(20)内に収容される複数の端子(40,70)と、
前記ハウジング(20)から引き出される前記電線(シールド電線1,電線8)がそれぞれ挿通される複数のシール孔(51,52)を有し、前記ハウジング(20)に嵌め込まれて前記電線(シールド電線1,電線8)の外周面と前記ハウジング(20)の内周面との間をシールするシール部材(50)と、
前記ハウジング(20)から引き出される前記電線(シールド電線1,電線8)が挿通される複数の挿通孔(63,64)を有し、前記ハウジング(20)に装着されて前記シール部材(50)を保持するホルダ(60)と、
を備え、
前記端子(40,70)の少なくとも一つが外された前記ハウジング(20)に対して、
前記ホルダ(60)に代えて、外された端子(70)から延びる電線(8)が通されていたシール孔(52)に挿し込まれる閉塞ピン(66)を備えたピン付きのホルダ(60A)が装着される
ことを特徴とするコネクタ。
[2] 前記端子(40,70)には、前記ハウジング(20)が前記相手側コネクタに接合されて前記相手側コネクタに設けられた導通ピンによって短絡されるインターロック用の端子(70)が含まれる
ことを特徴とする[1]に記載のコネクタ。
[3] 前記端子(40,70)には、導体(2)の周囲に内部被覆(3)、シールド層(4)及び外部被覆(5)が順に設けられたシールド電線(1)が接続されたシールド端子(40)が含まれ、
前記ハウジング(20)内には、少なくとも前記シールド端子(40)を覆うシールドシェル(30)が設けられ、前記シールドシェル(30)に、前記シールド電線(1)の前記シールド層(4)が導通されている
ことを特徴とする[1]または[2]に記載のコネクタ。
【符号の説明】
【0040】
1:シールド電線(電線)
2:導体
3:内部被覆
4:シールド層
5:外部被覆
8:電線
10:コネクタ
20:ハウジング
30:シールドシェル
40,70:端子
50:シール部材
51,52:シール孔
60,60A:ホルダ
63,64:挿通孔
66:閉塞ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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