(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の画素を含み、前記複数の画素のそれぞれが、原色Rを表示するR副画素と、原色Gを表示するG副画素と、原色Bを表示するB副画素と、原色R、原色G、原色B以外の色である追加色を表示するF副画素とを備える表示パネルを駆動する表示ドライバであって、
前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、前記F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに前記表示パネルに表示される表示色の、所定の色空間における色座標を示す色座標データから得られるF副画素データを記憶する記憶回路と、
前記記憶回路に記憶された前記F副画素データに応じて、第1画素に対応する第1入力RGBデータに基づいて、前記F副画素の階調を指定するF階調値と前記R副画素の階調を指定するR階調値と前記G副画素の階調を指定するG階調値と前記B副画素の階調を指定するB階調値とを含む出力FRGBデータを生成するように構成された色追加処理回路と、
前記出力FRGBデータに応じて前記表示パネルを駆動する駆動回路部
とを具備し、
前記F副画素データは、前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、前記F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに前記表示パネルに表示される前記表示色のXYZ表色系における色座標に、前記F副画素を用いずに前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を用いて画像を表示した場合の前記表示パネルの表示特性を示すXYZ−RGB変換マトリクスを作用することで得られる、前記追加色の原色Rの成分を表す値FR、前記追加色の原色Gの成分を表す値FG及び前記追加色の原色Bの成分を表す値FBに基づいて算出される、前記値FR、前記値FG及び前記値FBのうちの最大値FMAXと、前記値FR、前記値FG及び前記値FBを前記最大値FMAXで正規化することによって得られる値FR’、値FG’及び値FB’を示すデータを含む
表示ドライバ。
複数の画素を含み、前記複数の画素のそれぞれが、原色Rを表示するR副画素と、原色Gを表示するG副画素と、原色Bを表示するB副画素と、原色R、原色G、原色B以外の色である追加色を表示するF副画素とを備える表示パネルを駆動する表示ドライバであって、
前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、前記F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに前記表示パネルに表示される表示色の、所定の色空間における色座標を示す色座標データから得られるF副画素データを記憶する記憶回路と、
前記記憶回路に記憶された前記F副画素データに応じて、第1画素に対応する第1入力RGBデータに基づいて、前記F副画素の階調を指定するF階調値と前記R副画素の階調を指定するR階調値と前記G副画素の階調を指定するG階調値と前記B副画素の階調を指定するB階調値とを含む出力FRGBデータを生成するように構成された色追加処理回路と、
前記出力FRGBデータに応じて前記表示パネルを駆動する駆動回路部
とを具備し、
前記色追加処理回路は、前記第1入力RGBデータと、前記第1画素に隣接する第2画素に対応する第2入力RGBデータと、前記記憶回路に記憶されている前記F副画素データとに基づいて、前記出力FRGBデータを生成するように構成され、
前記F副画素データは、前記表示パネルの前記複数の画素のそれぞれにおける前記R副画素、前記G副画素、前記B副画素及び前記F副画素の配置を示す副画素配置データを含み、
前記色追加処理回路は、
前記第1入力RGBデータと前記第2入力RGBデータに対してガンマ変換を行い、ガンマ変換が行われた前記第1入力RGBデータと前記第2入力RGBデータとを平均化することによってガンマ変換後RGBデータを生成し、
前記ガンマ変換後RGBデータから、前記追加色の輝度値Fo、原色Rの輝度値Ro、原色Gの輝度値Go及び原色Bの輝度値Boを含む出力FRGB輝度データを生成し、
前記出力FRGB輝度データを前記F副画素データに基づいて補正することでレンダリング補正後FRGB輝度データを生成し、
前記レンダリング補正後FRGB輝度データに対して逆ガンマ変換を行って前記出力FRGBデータを生成するように構成された
表示ドライバ。
複数の画素を含み、前記複数の画素のそれぞれが、原色Rを表示するR副画素と、原色Gを表示するG副画素と、原色Bを表示するB副画素と、原色R、原色G、原色B以外の色である追加色を表示するF副画素とを備える表示パネルと、
前記表示パネルを駆動する表示ドライバ
とを具備し、
前記表示ドライバは、
前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、前記F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに前記表示パネルに表示される表示色の、所定の色空間における色座標を示す色座標データから得られるF副画素データを記憶する記憶回路と、
前記記憶回路に記憶された前記F副画素データに応じて、入力RGBデータから前記F副画素の階調を指定するF階調値と前記R副画素の階調を指定するR階調値と前記G副画素の階調を指定するG階調値と前記B副画素の階調を指定するB階調値とを含む出力FRGBデータを生成するように構成された色追加処理回路と、
前記出力FRGBデータに応じて前記表示パネルを駆動する駆動回路部
とを具備し、
前記F副画素データは、前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、前記F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに前記表示パネルに表示される前記表示色のXYZ表色系における色座標に、前記F副画素を用いずに前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を用いて画像を表示した場合の前記表示パネルの表示特性を示すXYZ−RGB変換マトリクスを作用することで得られる、前記追加色の原色Rの成分を表す値FR、前記追加色の原色Gの成分を表す値FG及び前記追加色の原色Bの成分を表す値FBに基づいて算出される、前記値FR、前記値FG及び前記値FBのうちの最大値FMAXと、前記値FR、前記値FG及び前記値FBを前記最大値FMAXで正規化することによって得られる値FR’、値FG’及び値FB’を示すデータを含む
表示装置。
複数の画素を含み、前記複数の画素のそれぞれが、原色Rを表示するR副画素と、原色Gを表示するG副画素と、原色Bを表示するB副画素と、原色R、原色G、原色B以外の色である追加色を表示するF副画素とを備える表示パネルを駆動するために用いられ、前記F副画素の階調を指定するF階調値と前記R副画素の階調を指定するR階調値と前記G副画素の階調を指定するG階調値と前記B副画素の階調を指定するB階調値とを含む出力FRGBデータを生成する画像処理回路であって、
前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、前記F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに前記表示パネルに表示される表示色の、所定の色空間における色座標を示す色座標データから得られるF副画素データを記憶する記憶回路と、
前記記憶回路に記憶された前記F副画素データに応じて、入力RGBデータから前記出力FRGBデータを生成する色追加処理回路
とを具備し、
前記F副画素データは、前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、前記F副画素を最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに前記表示パネルに表示される前記表示色のXYZ表色系における色座標に、前記F副画素を用いずに前記R副画素、前記G副画素及び前記B副画素を用いて画像を表示した場合の前記表示パネルの表示特性を示すXYZ−RGB変換マトリクスを作用することで得られる、前記追加色の原色Rの成分を表す値FR、前記追加色の原色Gの成分を表す値FG及び前記追加色の原色Bの成分を表す値FBに基づいて算出される、前記値FR、前記値FG及び前記値FBのうちの最大値FMAXと、前記値FR、前記値FG及び前記値FBを前記最大値FMAXで正規化することによって得られる値FR’、値FG’及び値FB’を示すデータを含む
画像処理回路。
【背景技術】
【0002】
最も典型的な画像データの形式の一つが、RGBデータである。RGBデータは、画像の各画素について原色R、原色G及び原色Bの階調を指定する階調値を記述する形式を有している。最も典型的には、原色R、原色G及び原色Bの階調値が、それぞれ、8ビットで記述される。以下では、RGB形式の画像データを、単に、RGBデータということがある。
【0003】
一方で、近年の表示パネル(例えば、液晶表示パネルやOLED(organic light emitting diode)表示パネル)は、画質を向上するために、各画素が、原色Rを表示するR副画素、原色Gを表示するG副画素、原色Bを表示するB副画素に加え、原色R、G、B以外の追加の色を表示する追加の副画素を含んでいることがある。当該追加の色としては、例えば、黄色Y、水色C、白色Wが用いられ得る。以下では、当該追加の色を記号“F”によって表すこととし、色Fを表示する副画素をF副画素と記載することがある。
【0004】
RGBデータに応じて、各画素がR副画素、G副画素、B副画素に加えてF副画素を備える表示パネルに画像を表示する場合、当該RGBデータに対して色追加処理が行われることがある。RGBデータにはF副画素の階調値は記述されていないから、RGBデータに応じてF副画素を備える表示パネルに画像を表示する場合、RGBデータから、R副画素、G副画素、B副画素、F副画素の階調値を記述する画像データを生成するデジタル画像処理を行う必要がある。このようなデジタル画像処理が、本明細書でいう色追加処理である。色追加処理を適正に設計することは、表示パネルの画質を向上するために有用である。なお、以下において、各画素のR副画素、G副画素、B副画素、F副画素の階調値を記述する形式の画像データを、FRGBデータということがある。本明細書においては、色追加処理とは、RGBデータからFRGBデータを生成する画像処理を指すことになる。
【0005】
表示パネルの画質の向上に寄与する他の技術として、色補正処理が挙げられる。色補正処理は、表示パネルの色調整(表示パネルに表示される色の調整)のために画像データに対して行われるデジタル画像処理である。色補正処理は、例えば、画像データの生成において用いられる色域と、表示パネルに表示される画像の色域とを一致させる色域調整(color space management)のために行われる。画像データの生成において用いられる色域(例えば、sRGB規格やAdobeRGB規格に規定された色域)と、表示パネルに表示される画像の色域とが相違していると、画像データの生成において意図されていた色と異なる色が表示パネルに表示されることになる。これは、画質の向上の観点で好ましくない。色域調整は、画像データの生成において意図された色で表示パネルに画像を表示するために行われる。
【0006】
発明者が見出した問題の一つは、色追加処理と色補正処理(例えば、色域調整)とを個別に行うことは、画質や回路特性を劣化させ得るということである。
【0007】
図1は、RGBデータに応じて各画素がR副画素、G副画素、B副画素及びF副画素を備えている表示パネルに画像を表示する場合に行われる画像処理の一例を示している。
図1に図示されている画像処理では、RGBデータに対して色追加処理を行うことでFRGBデータを生成し、そのFRGBデータに対して色域調整を行うことで色調整後FRGBデータを生成し、その色調整後FRGBデータに対してガンマ補正を行うことでガンマ補正後FRGBデータを生成する。表示パネルは、ガンマ補正後FRGBデータに応じて駆動される。
【0008】
図1の画像処理では、FRGBデータに対応した色域調整の技術が必要になるが、FRGBデータに対応した色域調整の技術は知られていない。また、
図1の画像処理を行う場合、色域調整において4色の階調値を記述した画像データを取り扱うことになるので、RGBデータに対して色域調整を行う場合に比べて回路規模や消費電力が単純計算で33%増大する。
【0009】
図2は、RGBデータに応じて各画素がR副画素、G副画素、B副画素及びF副画素を備えている表示パネルに画像を表示する場合に行われる画像処理の他の例を示している。
図2に図示されている画像処理では、RGBデータに対して色域調整を行うことで色調整後RGBデータを生成し、その色調整後RGBデータに対して色追加処理を行うことでFRGBデータを生成し、そのFRGBデータに対してガンマ補正を行うことでガンマ補正後FRGBデータを生成する。表示パネルは、ガンマ補正後FRGBデータに応じて駆動される。
図2の画像処理では、従来知られている色域調整の技術が適用可能であり、また、回路規模や消費電力の増大も抑制できる。
【0010】
ただし、
図2の画像処理を行う場合には、色追加処理において色を変化させないことが望まれる。色追加処理において色が変化すると、色域調整によって得られた色域が維持されず、画質の劣化が生じ得る。したがって、色の変化を抑制できる色追加処理を提供することには、技術的なニーズが存在する。
【0011】
なお、色域調整及び色追加処理に関連して、下記の技術が公知である。
【0012】
特開2008−40305号公報は、RGB−XYZ変換、XYZ−LMS変換、色補正、LMS−XYZ変換、XYZ−RGB変換を順次に行って色合いを加工する技術を開示している。
【0013】
特開2008−141723号公報は、YCbCrデータに対して、YCbCr−RGB変換、RGB−RGB変換を行うことで、AdobeRGB規格に規定された色域を実現する技術を開示している。
【0014】
特開2002−116750号公報は、マトリックス変換によって色域を調整する技術を開示している。
【0015】
国際公開第2012/137819号は、色追加処理に関して、画素毎にRGBデータをRGBXデータに変換する際に、白(W)の輝度を、当該画素を含む所定領域に含まれる画素の白(W)の輝度と略同一となるように決定する技術を開示している。
【0016】
特開2006−133711号公報は、RGB入力信号からRGBW信号を算出する色追加処理を開示している。この公報に開示されている色追加処理は、RGB入力信号の最小値を決定するステップ、RGB入力信号から該最小値を減算するステップ、RGB入力信号が該最小値である場合に対応するRGBW信号を算出するステップ、算出されたRGBW信号に対して、RGB入力信号から該最小値を減算するステップで得られたRGB信号の対応する信号を加算することにより、最終的に出力すべきRGBW信号を求めるステップを備えている。
【0017】
特開2008−131349号公報は、デバイスデータに基づく最外殻面の計算、RGBの減色ベクトルを彩度方向に拡大する原色拡大処理、RGBW−XYZ−RGB変換処理、RGBW分離処理及びW値調整処理を順次に行う色追加処理を開示している。
【0018】
特開2010−249859号公報は、第1の色種類と色配置を有する信号から第2の色種類と色配置を有する信号への変換を行う表示信号変換装置を開示している。当該表示信号変換装置は、第1の色種類から第2の色種類への色変換手段と、第1の信号の信号パタンを判定するパタン判定手段と、第1の信号の画素位置に対応する第2の信号の画素位置の色配置を判定する手段と、当該信号パタン判定結果とサブピクセル配置に基づいて、第2の色種類と色配置を有するサブピクセル信号を生成するサブピクセル信号生成手段とを備えている。
【0019】
特開2013−122588号公報は、RGBデータにレンダリングフィルター値を適用することでRGBWデータを算出する技術を開示している。
【0020】
特開2007−532999号公報は、様々な画素構造に適用されるサブピクセルレンダリングフィルタを開示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら実施形態を説明する。以下の説明において、同一又は対応する構成要素を同一又は対応する参照符号によって参照することがあることに留意されたい。
【0029】
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態における表示装置100の構成を示すブロック図である。本実施形態では、表示装置100が、表示パネル1と表示ドライバ2とを備えている。表示装置100は、アプリケーションプロセッサ3から画像データを受け取り、受け取った画像データに対応する画像を表示パネル1に表示するように構成されている。本実施形態では、アプリケーションプロセッサ3から表示ドライバ2に供給される画像データは、RGB形式を有しており、各画素について原色R、原色G及び原色Bの階調を指定する階調値を記述している。一実施形態では、原色R、原色G及び原色Bの階調は、8ビットの階調値で指定されてもよい。
【0030】
表示パネル1は、アクティブ領域4とゲートドライバ回路5とを備えている。アクティブ領域4には、複数のゲート線6と複数のソース線7と複数の画素回路8とが配置される。画素回路8は、行列に配置されており、各画素回路8は、対応するゲート線6とソース線7とが交差する位置に設けられている。なお、以下においては、ゲート線6が延伸する方向を「水平方向」と呼び、ソース線7が延伸する方向を「垂直方向」と呼ぶことがある。また、本明細書において、「右」とは、水平方向に平行である特定方向を意味しており、「左」とは水平方向に平行であり、且つ、該特定方向と反対の方向を意味している。
【0031】
表示パネル1が液晶表示パネルとして構成されている場合、一実施形態では、各画素回路8は、選択トランジスタと、画素電極と、保持容量とを含んでいてもよい(いずれも図示されない)。この場合、各画素回路8の画素電極と表示パネル1の共通電極(図示されない)の間に駆動電圧が印加され、画素電極と共通電極の間に存在する液晶の配向が、画素電極と共通電極の間に発生する電界によって制御される。
【0032】
また、表示パネル1がOLED(organic light emitting diode)表示パネルとして構成されている場合、画素回路8は、OLED素子と、該OLED素子を駆動する駆動回路と、駆動電極を記憶する保持容量とを含んでいてもよい(いずれも図示されない)。この場合、保持容量に保持されている電圧に対応する電流がOLED素子に供給されてOLED素子が駆動される。
【0033】
図4Aは、表示パネル1の各画素10の構成の例を示す図である。本実施形態では、各画素10は、原色R(赤色)、原色G(緑色)、原色B(青色)をそれぞれ表示する画素回路8に加え、追加の色Fを表示する画素回路8を含んでいる。追加の色Fとしては、例えば、黄色Y、水色C、白色Wが用いられ得る。原色Rを表示する画素回路8は、R副画素として用いられ、原色Gを表示する画素回路8は、G副画素として用いられる。また、原色Bを表示する画素回路8は、B副画素として用いられ、色Fを表示する画素回路8は、F副画素として用いられる。以下では、原色R、原色G、原色B、色Fを表示する画素回路8を、それぞれ、R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B、F副画素8Fと記載することがある。本実施形態では、各画素10に含まれるR副画素8R、G副画素8G、B副画素8B及びF副画素8Fは、水平方向に並んで配置されており、同一のゲート線6に接続される。
【0034】
図4Aには、各画素10においてF副画素8F、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bがこの順に並んでいる、即ち、F副画素8Fが各画素10の左端に位置している配置が図示されているが、F副画素8F、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bの配置は、
図4Aに図示されている配置に限られない。
図4Bは、各画素10におけるF副画素8F、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bの配置の他の例を示している。
図4Bの配置では、各画素10においてR副画素8R、G副画素8G、B副画素8B及びF副画素8Fがこの順に並んでいる、即ち、F副画素8Fが各画素10の右端に位置している配置が図示されている。
【0035】
図3に戻り、ゲートドライバ回路5は、表示ドライバ2から受け取った制御信号に応じてゲート線6を駆動する。本実施形態では、アクティブ領域4の左右に一対のゲートドライバ回路5が設けられている。ゲートドライバ回路5は、SoG(System on Glass)技術によって表示パネル1に集積化されている。
【0036】
表示ドライバ2は、下記のように動作する半導体装置である。第1に、表示ドライバ2は、表示パネル1のソース線7に接続されたソース出力を有しており、アプリケーションプロセッサ3から受け取った画像データに応じて表示パネル1の各画素回路8を駆動する。第2に、表示ドライバ2は、アプリケーションプロセッサ3から受け取った制御データに応じてゲート制御信号をゲートドライバ回路5に供給し、これにより、ゲートドライバ回路5を制御する。
【0037】
図5は、本実施形態における表示ドライバ2の構成を概略的に示すブロック図である。表示ドライバ2は、インターフェース回路21と、画像処理IPコア22と、ソースドライバ回路23と、パネルインターフェース回路24と、レジスタ回路25と、不揮発性メモリ26と、タイミングコントローラ27とを備えている。
【0038】
インターフェース回路21は、アプリケーションプロセッサ3から画像データを受け取り、受け取った画像データを画像処理IPコア22に転送する。インターフェース回路21は、更に、アプリケーションプロセッサ3から制御データを受け取り、制御データに含まれるコマンドや制御パラメータをレジスタ回路25に格納する。
【0039】
画像処理IPコア22は、インターフェース回路21から受け取った画像データに対して所望の画像処理を行い、処理後画像データを生成する画像処理回路として動作する。画像処理IPコア22において行われる画像処理は色追加処理を含んでおり、処理後画像データは、R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B及びF副画素8Fの階調を指定する階調値を記述する形式を有している。画像処理IPコア22において行われる色追加処理及びその色追加処理を実行する画像処理回路の回路構成については、後に詳細に説明する。画像処理IPコア22において行われる画像処理は、色追加処理以外の画像処理を含んでいてもよい。
【0040】
ソースドライバ回路23は、画像処理IPコア22から受け取った処理後画像データに応答して表示パネル1のソース線7を駆動する駆動回路部として動作する。
【0041】
パネルインターフェース回路24は、アプリケーションプロセッサ3から受け取った制御データに応じてゲート制御信号を生成し、生成したゲート制御信号をゲートドライバ回路5に供給する。
【0042】
レジスタ回路25は、表示ドライバ2の制御に用いられるコマンドや制御パラメータを保持する。アプリケーションプロセッサ3から受け取った制御データに含まれるコマンドや制御パラメータは、レジスタ回路25に格納される。
【0043】
不揮発性メモリ26は、表示ドライバ2の制御に用いられる制御パラメータを不揮発的に保持する。表示ドライバ2の起動時に、不揮発性メモリ26に格納された制御パラメータが読み出されてレジスタ回路25に格納され、レジスタ回路25に格納された制御パラメータが表示ドライバ2の制御に用いられる。
【0044】
タイミングコントローラ27は、レジスタ回路25に格納されているコマンドや制御パラメータに応じて、表示ドライバ2に含まれる回路群(例えば、画像処理IPコア22、ソースドライバ回路23及びパネルインターフェース回路24)のタイミング制御を行う。
【0045】
続いて、本実施形態において、画像処理IPコア22において行われる色追加処理について説明する。
【0046】
本実施形態では、表示パネル1に画像を表示したときの表示パネル1の特性に関する情報を含むF副画素データが画像処理IPコア22において行われる色追加処理において使用される。詳細には、本実施形態では、色Fの所定の色空間における色座標を示す色座標データが取得され、取得された色座標データから色追加処理において用いられるF副画素データが生成される。色Fの色座標データとは、より厳密には、表示パネル1のR副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bを最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、F副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに表示パネル1に表示される表示色の、所定の色空間における色座標を示すデータである。本実施形態では、このようにして生成されたF副画素データに基づいて色追加処理を行うことで、色の変化を抑制した色追加処理が実現されている。
【0047】
取得された色Fの色座標データそのものがF副画素データとして格納されてもよい。ただし、後述されるように、画像処理IPコア22におけるデータ処理量を低減するために、色追加処理に適した形式を有しているF副画素データが表示ドライバ2に設けられた記憶回路(例えば、レジスタ回路25、不揮発性メモリ26)に格納されることが好ましい。
【0048】
一実施形態では、表示パネル1に対して実際に測定を行うことによって色Fの色座標データを含む測定データが取得され、この測定データからF副画素データが生成されてもよい。この場合、色Fの色座標データとして、表示パネル1の全ての画素10について、F副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、所定の色空間における色座標を示す色座標データが測定装置(例えば、輝度計)によって測定される。色空間としては、例えば、xyY表色系が使用され得る。この場合、色Fの色座標データは、xyY表色系における刺激値(輝度)Y及び色度座標(x,y)を示す輝度座標データとして取得されてもよい。
【0049】
なお、F副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動する動作は、表示パネル1の全体についてF副画素8Fの階調値が最大階調値であり、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bの階調値が最小階調値であるような画像データをソースドライバ回路23に供給し、ソースドライバ回路23が該画像データに応じて表示パネル1を駆動することによって実現可能である。ソースドライバ回路23に供給される画像データが、F副画素8F、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bの階調値を8ビットで記述するデータである場合、最大階調値は“255”であり、最小階調値は“0”である。
【0050】
他の実施形態では、表示パネル1の設計データ、例えば、表示パネル1に設けられたフィルタの特性を示すデータから、色Fの色座標データ、即ち、表示パネル1のR副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bを最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、F副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに表示パネル1に表示される表示色の色座標データ(輝度座標データ)が算出されてもよい。この場合、算出された色Fの色座標データ(輝度座標データ)からF副画素データが生成されてもよい。
【0051】
一実施形態では、F副画素データが不揮発性メモリ26に格納され、不揮発性メモリ26に格納されたF副画素データが、表示ドライバ2の起動時にレジスタ回路25に読み出され、レジスタ回路25に読み出されたF副画素データが、画像処理IPコア22において行われる色追加処理において用いられてもよい。
【0052】
なお、表示パネル1の各画素10が、互いに異なる複数の色Fをそれぞれに表示する複数のF副画素8Fを備えていてもよい。この場合、F副画素データは、複数の色Fのそれぞれについて生成されて色追加処理において用いられる。色追加処理においては、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bの階調値に加え、当該複数のF副画素8Fのそれぞれの階調値を記述する画像データが生成される。例えば、各画素10が、追加の色F
1を表示するF副画素8Fと、追加の色F
2を表示するF副画素8Fとを備えている場合、追加の色F
1について算出されたF副画素データと追加の色F
2について算出されたF副画素データとが生成され、色追加処理において用いられる。色追加処理においては、これらのF副画素データに基づいて、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bの階調値に加え、追加の色F
1を表示するF副画素8Fの階調値と追加の色F
2を表示するF副画素8Fを記述する画像データが生成される。
【0053】
以下、本実施形態における色追加処理について詳細に説明する。
【0054】
事前準備として、F副画素データが生成され、生成されたF副画素データが、表示ドライバ2に設けられた記憶回路、本実施形態では不揮発性メモリ26に格納される。F副画素データの記憶回路(不揮発性メモリ26)への格納は、例えば、表示装置100の出荷前の調整の工程において行ってもよい。表示ドライバ2が不揮発性メモリ26に記憶されている制御パラメータを外部装置から書き換え可能に構成されている場合、F副画素データは、外部装置(例えば、アプリケーションプロセッサ3や表示ドライバ2を検査する検査装置)から不揮発性メモリ26に書き込まれてもよい。F副画素データは、アプリケーションプロセッサ3から不揮発性メモリ26にアクセスすることによって書き換えられてもよい。
【0055】
図6は、F副画素データの生成の手順の一例を示すフローチャートである。
【0056】
F副画素データの生成においては、色Fの輝度座標データが取得される(ステップS01)。本実施形態では、色Fの輝度座標データは、表示パネル1のF副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(R副画素8R、G副画素8G、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される表示色の、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を記述した輝度座標データとして取得される。以下では、色Fの輝度座標データを、(FY,Fx,Fy)と記載することがある。ここで、FYは、色Fの刺激値Yであり、Fx、Fyは、それぞれ、色Fの色度座標x,yである。
図7の色度図には、xyY表色系における色Fの輝度座標データ(FY,Fx,Fy)が図示されている。
【0057】
図6に戻り、更に、表示パネル1について、(F副画素8Fを用いずに)R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bのみを用いて画像を表示した場合の表示パネル1の表示特性を表すXYZ−RGB変換マトリクスが算出される(ステップS02〜S04)。一実施形態では、XYZ−RGB変換マトリクスの算出は、下記の手順で行われる。
【0058】
まず、原色R、G、B及びホワイトポイント(WP)の輝度座標データが取得される(ステップS02)。一実施形態では、原色R、G、B及びホワイトポイント(WP)の輝度座標データは、表示パネル1について実際に測定を行うことによって取得される。他の実施形態では、原色R、G、B及びホワイトポイント(WP)の輝度座標データは、表示パネル1の設計データ、例えば、表示パネル1に設けられたフィルタの特性を示すデータから算出されてもよい。
【0059】
より具体的には、原色Rの輝度座標データは、表示パネル1のR副画素8Rを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(F副画素8F、G副画素8G、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される色の、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を含むデータとして測定される。以下では、原色Rの輝度座標データを、(RY,Rx,Ry)と記載することがある。ここで、RYは、原色Rの刺激値Yであり、Rx、Ryは、それぞれ、原色Rの色度座標x,yである。
【0060】
同様に、原色Gの輝度座標データは、表示パネル1のG副画素8Gを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(F副画素8F、R副画素8R、B副画素8B)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される色の、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を含むデータとして測定される。以下では、原色Gの輝度座標データを、(GY,Gx,Gy)と記載することがある。ここで、GYは、原色Gの刺激値Yであり、Gx、Gyは、それぞれ、原色Gの色度座標x,yである。
【0061】
更に、原色Bの輝度座標データは、表示パネル1のB副画素8Bを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、他の副画素(F副画素8F、R副画素8R、G副画素8G)を最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される色の、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を含むデータとして測定される。以下では、原色Bの輝度座標データを、(BY,Bx,By)と記載することがある。ここで、BYは、原色Bの刺激値Yであり、Bx、Byは、それぞれ、原色Bの色度座標x,yである。
【0062】
一方、ホワイトポイント(WP)の輝度座標データは、表示パネル1のR副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bを最大階調値に対応する駆動信号で駆動し、F副画素8Fを最小階調値に対応する駆動信号で駆動した状態で表示パネル1に表示される色の、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を含むデータとして測定されてもよい。以下では、ホワイトポイントの輝度座標データを、(WY,Wx,Wy)と記載することがある。ここで、WYは、ホワイトポイントの刺激値Yであり、Wx、Wyは、それぞれ、ホワイトポイントの色度座標x,yである。
【0063】
図7の色度図には、xyY表色系における原色Rの輝度座標データ(RY,Rx,Ry)、原色Gの輝度座標データ(GY,Gx,Gy)、原色Bの輝度座標データ(BY,Bx,By)及び色Fの輝度座標データ(FY,Fx,Fy)が図示されている。
【0064】
図6を再度に参照して、ステップS02において取得された原色R、G、B及びホワイトポイント(WP)の輝度座標データに基づいて、表示パネル1の表示特性を表すRGB−XYZ変換マトリクスが算出される(ステップS03)。RGB−XYZ変換マトリクスは、下記式(1a)の変換行列Mとして算出される:
【数1】
ここで、r、g、bは、それぞれ、ホワイトポイントの輝度を1としたときの原色R、G、Bの輝度を表しており、下記の連立方程式(1b)を解くことによって得られる:
【数2】
【0065】
XYZ−RGB変換マトリクスは、RGB−XYZ変換マトリクスMの逆行列M
−1として得られる(ステップS04)。即ち、XYZ−RGB変換マトリクスM
−1は、下記式(2)によって表される:
【数3】
【0066】
更に、色Fの輝度座標データ(FY,Fx,Fy)とXYZ−RGB変換マトリクスM
−1とに基づいてF副画素データが算出される(ステップS05)。
【0067】
詳細には、まず、色Fの輝度座標データ(FY,Fx,Fy)が、下記(3a)、(3b)に従ってXYZ表色系の色座標データ(FX,FY,FZ)に変換される。
FX=FY×Fx/Fy ・・・(3a)
FZ=FY×(1−Fx−Fy)/Fy ・・・(3b)
XYZ表色系の色座標データのFYとしては、輝度座標データの刺激値FYが、そのまま用いられる。
【0068】
更に、色Fの色座標データ(FX,FY,FZ)にXYZ−RGB変換マトリクスを適用してXYZ−RGB変換を行うことにより、色FのRGBデータ(FR、FG、FB)が算出される。色FのRGBデータ(FR、FG、FB)は、下記式(4)のように表される:
【数4】
【0069】
本実施形態では、F副画素データは、下記式(5a)〜(5d)に従って算出されるパラメータFMAX、FR’、FG’、FB’を含んでいる。
FMAX=Max(FR,FG,FB) ・・・(5a)
FR’=RGB
MAX×FR/FMAX ・・・(5b)
FG’=RGB
MAX×FG/FMAX ・・・(5c)
FB’=RGB
MAX×FB/FMAX ・・・(5d)
ここで、式(5a)の関数Maxは、引数のうちの最大値を与える関数であり、よって、式(5a)は、FMAXが、FR、FG、FBのうちの最大のものであることを意味している。また、FR’、FG’、FB’は、それぞれ、FR、FG、FBを、FMAXを用いて正規化することで得られる値である。ここで、RGB
MAXは、色追加処理の入力として与えられるRGBデータに記述された原色R、原色G、原色Bの階調値に許容される最大階調値であり、原色R、原色G、原色Bの階調値が8ビットで表される場合、RGB
MAXは“255”である。この場合、式(5b)〜(5d)は、下記式(5b’)〜(5d’)に書き直すことができる。
FR’=255×FR/FMAX ・・・(5b’)
FG’=255×FG/FMAX ・・・(5c’)
FB’=255×FB/FMAX ・・・(5d’)
【0070】
このようにして算出されたF副画素データ(即ち、FMAX、FR’、FG’、FB’)は、表示ドライバ2に設けられた記憶回路、より具体的には、不揮発性メモリ26に格納される。画像処理IPコア22において色追加処理が行われる場合、不揮発性メモリ26から読み出されてレジスタ回路25に格納されたF副画素データが画像処理IPコア22に供給され、画像処理IPコア22は、供給されたF副画素データを用いて色追加処理を行う。
【0071】
図8は、画像処理IPコア22において行われる色追加処理を示すフローチャートである。以下において、色追加処理の入力として与えられるRGB形式の画像データを入力RGBデータといい、入力RGBデータに記述されている原色R、G、Bの階調値を、それぞれ、Ri、Gi、Biと記載する。
【0072】
入力RGBデータ(Ri,Gi,Bi)は、アプリケーションプロセッサ3から表示ドライバ2に供給される画像データに、色域調整のための画像処理を行って得られるRGBデータであってもよい。本実施形態の色追加処理は、色の変化を抑制するように構成されているので、本実施形態の色追加処理を色域調整のための画像処理を行って得られる入力RGBデータに適用することは、色域調整によって得られた色域を維持するために有効である。
【0073】
まず、入力RGBデータ(Ri,Gi,Bi)に対してガンマ変換が行われてガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)が算出される(ステップS11)。ここで、Rg、Gg、Bgは、それぞれ、ガンマ変換後RGBデータに記述されている原色R、原色G、原色Bの輝度値である。ガンマ変換後RGBデータ(Rg、Gg、Bg)は、表示装置100に設定されているガンマ値γを用いて、下記式(6a)〜(6c)に従って算出される。
Rg=Ri^γ ・・・(6a)
Gg=Gi^γ ・・・(6b)
Bg=Bi^γ ・・・(6c)
ここで、“^”は、冪演算を表す記号である。即ち、ガンマ変換後RGBデータのRg、Gg、Bgは、それぞれ、階調値Ri、Gi、Biのγ乗冪として算出される。
【0074】
更に、輝度値Rg、Gg、Bgのうちの最小値及び最大値が判別される(ステップS12)。輝度値Rg、Gg、Bgのうちの最小のものが、色追加処理において追加される色Fの輝度値Fgとして決定され、輝度値Rg、Gg、Bgのうちの最大のものが、輝度値MAXgとして決定される。即ち、Fg、MAXgは、下記式(7a)、(7b)に従って決定される。
Fg=Min(Rg,Gg,Bg) ・・・(7a)
FMAXg=Max(Rg,Gg,Bg) ・・・(7b)
ここで、式(7a)の関数Minは、引数のうちの最小値を与える関数である。
【0075】
続いて、色Fの輝度値Fgから、色Fの原色Rの成分の輝度値FRg、原色Gの成分の輝度値FGg、原色Bの成分の輝度値FBgが、下記式(8a)〜(8c)に従って算出される(ステップS13)。
FRg=Fg×FR’/RGB
MAX ・・・(8a)
FGg=Fg×FG’/RGB
MAX ・・・(8b)
FBg=Fg×FB’/RGB
MAX ・・・(8c)
【0076】
入力RGBデータにおいて原色R、原色G、原色Bの階調値が8ビットで表される場合、RGB
MAXは“255”である。この場合、式(8a)〜(8c)は、式(8a’)〜(8c’)に書き直すことができる:
FRg=Fg×FR’/255 ・・・(8a’)
FGg=Fg×FG’/255 ・・・(8b’)
FBg=Fg×FB’/255 ・・・(8c’)
【0077】
式(8a)〜(8c)において、最大階調値RGB
MAXの代わりに適宜の値F
CTRLを用いることで、色Fの追加量を調整してもよい。即ち、FRg、FGg、FBgは、値F
CTRLを用いて下記式(9a)〜(9c)に従って算出してもよい。
FRg=Fg×FR’/F
CTRL ・・・(9a)
FGg=Fg×FG’/F
CTRL ・・・(9b)
FBg=Fg×FB’/F
CTRL ・・・(9c)
式(8a)〜(8c)は、値F
CTRLを最大階調値RGB
MAXに設定した特別の場合であると考えてもよい。
【0078】
更に、パラメータFMAXgが、下記式(10a)〜(10c)に従って算出される(ステップS14):
FMAXg=MAXg+FRg if MAXg=Rg (10a)
FMAXg=MAXg+FGg if MAXg=Gg (10b)
FMAXg=MAXg+FBg if MAXg=Bg (10c)
【0079】
言い換えれば、パラメータFMAXgは、下記のようにして算出される。
(a)MAXgとして輝度値Rgが選択されている場合、FMAXgは、MAXgと輝度値FRgの和として算出される。
(b)MAXgとして輝度値Ggが選択されている場合、FMAXgは、MAXgと輝度値FGgの和として算出される。
(c)MAXgとして輝度値Bgが選択されている場合、FMAXgは、MAXgと輝度値FBgの和として算出される。
【0080】
続いて、ガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)に比FMAXg/MAXgを乗じることにより、目標RGB輝度データ(Rc,Gc,Bc)を算出する(ステップS15)。目標RGB輝度データ(Rc,Gc,Bc)に記述されている輝度値Rc、Gc、Bcは、それぞれ、色追加処理で得られる出力FRGBデータにおいて実現すべき原色R、原色G、原色Bの成分の輝度値を表している。目標RGB輝度データ(Rc,Gc,Bc)は、下記式(11a)〜(11c)に従って算出される:
Rc=Rg×FMAXg/MAXg ・・・(11a)
Gc=Gg×FMAXg/MAXg ・・・(11b)
Bc=Bg×FMAXg/MAXg ・・・(11c)
【0081】
更に、出力FRGB輝度データ(Fo,Ro,Go,Bo)が、下記式(12a)〜(12d)に従って算出される(ステップS16):
Fo=Fg×RGB
MAX/FMAX ・・・(12a)
Ro=Rc−FRg ・・・(12b)
Go=Gc−FGg ・・・(12c)
Bo=Bc−FBg ・・・(12d)
【0082】
即ち、輝度値Foは、Fgと比RGB
MAX/FMAXとの積として算出される。輝度値Ro、Go、Boは、それぞれ、輝度値Rc、Gc、Bcから輝度値FRg、FGg、FBgを減じて得られる差として算出される。なお、入力RGBデータにおいて原色R、原色G、原色Bの階調値が8ビットで表される場合、RGB
MAXは“255”であり、この場合、式(12a)は、下記式(12a’)に書き直すことができる:
Fo=Fg×255/FMAX ・・・(12a’)
【0083】
出力FRGB輝度データ(Fo,Ro,Go,Bo)に対して逆ガンマ変換を行うことにより、色追加処理において最終的に出力すべき出力FRGBデータ(F
OUT,R
OUT,G
OUT,B
OUT)が生成される(ステップS17)。ここで、F
OUT,R
OUT,G
OUT,B
OUTは、それぞれ、色F、原色R、原色G、原色Bの階調値である。より具体的には、出力FRGBデータ(F
OUT,R
OUT,G
OUT,B
OUT)は、表示装置100に設定されているガンマ値γを用いて、下記式(13a)〜(13d)に従って算出される。
Fout=Fo^(1/γ) ・・・(13a)
Rout=Ro^(1/γ) ・・・(13b)
Gout=Go^(1/γ) ・・・(13c)
Bout=Bo^(1/γ) ・・・(13d)
【0084】
このようにして得られた出力FRGBデータ(F
OUT,R
OUT,G
OUT,B
OUT)が、画像処理IPコア22から出力される処理後画像データとしてソースドライバ回路23に供給されてもよい。また、出力FRGBデータ(F
OUT,R
OUT,G
OUT,B
OUT)に対して所望の画像処理を行って得られる画像データが処理後画像データとして、ソースドライバ回路23に供給されてもよい。
【0085】
図9は、本実施形態の色追加処理の一例を示す図である。F副画素データの生成において、色FのRGBデータ(FR,FG,FB)が、(300,320,390)として得られたものとする。この場合、FMAXは、FR、FG、FBの最大値390と算出され、正規化によって得られるFR’、FG’、FB’は、それぞれ、196、209、255と算出される。なお、FR’、FG’、FB’の算出に当たり、小数点以下の値について丸め処理、具体的には、四捨五入がなされている。丸め処理は、切り捨てであってもよい。
【0086】
以下では、
図9の左図に示されているように、入力RGBデータに対してガンマ変換を行って得られるガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)の値が、(200,100,50)である場合について議論する。Rg、Gg、Bgは、それぞれ、原色R、G、Bの輝度値を表している。
【0087】
この場合、色Fの輝度値Fgは、Rg、Gg及びBgのうち最小のものであるBg、即ち、50と決定され、MAXgは、Rg、Gg及びBgのうち最大のものであるRg、即ち、200と決定される。輝度値Fgから、式(8a’)〜(8c’)に従ってFRg、FGg、FBgが算出される。即ち、FRg、FGg、FBgが下記のように算出される:
FRg=50×196/255=38
FGg=50×209/255=41
FBg=50×255/255=50
FRg、FGg、FBgの算出に当たり、小数点以下の値について丸め処理、具体的には、四捨五入がなされている。丸め処理は、切り捨てであってもよい。
【0088】
最大値MAXgとしてRgが選択されているので、FMAXgは、MAXg(=200)とFRg(=38)との和238として算出される。
【0089】
更に、式(11a)〜(11c)に従ってRGBデータ(Rc,Gc,Bc)が算出される。即ち、Rc、Gc、Bcが下記のように算出される:
Rc=200×238/200=238
Gc=100×238/200=119
Bc=50×238/200=60
Rc、Gc、Bcの算出に当たり、小数点以下の値について丸め処理、具体的には、四捨五入がなされている。丸め処理は、切り捨てであってもよい。
【0090】
Rc、Gc、Bcから、それぞれ、FRg、FGg、FBgを減じることにより、出力FRGB輝度データのRo、Go、Boが算出される。即ち、Ro、Go、Boが下記のように算出される:
Ro=238−38=200
Go=119−41=78
Bo=60−50=10
【0091】
また、出力FRGB輝度データのFoは、式(12a’)に従って下記のように算出される:
Fo=50×255/390=33
【0092】
本実施形態の色追加処理の有用性は、色追加処理による色の変化を抑制できることにある。色の変化の抑制は、出力FRGB輝度データ(Fo、Ro、Go、Bo)におけるR成分、G成分、B成分の輝度の比の、ガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)の比Rg:Gg:Bgからの変化によって評価できる。出力FRGB輝度データ(Fo,Ro,Go,Bo)に含まれるR成分、G成分、B成分の輝度の比が、ガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)の比Rg:Gg:Bgと一致していれば、これは、表示パネル1に表示される色の色度座標(x,y)が色追加処理によって変化していことを意味している。ここで、出力FRGB輝度データ(Fo、Ro、Go、Bo)のR成分の輝度は、FRgとRoの和であり、G成分の輝度は、FGgとGoの和であり、B成分の輝度は、FBgとBoの和である。よって、比FRg+Ro:FGg+Go:FBg+Boが、比Rg:Gg:Bgに近ければ、色追加処理の色の変化が小さいと考えてよい。
【0093】
図9の右図は、追加された色FのR、G、B成分の輝度であるFRg、FGg、FBgと、出力FRGB輝度データのRo、Go、Boを図示している。
図9の例では、比FRg+Ro:FGg+Go:FBg+Boは、238:119:60であり、ガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)の比Rg:Gg:Bg=4:2:1に近い。これは、本実施形態の色追加処理では、色の変化が抑制されていることを示唆している。
【0094】
図10は、第1の実施形態の色追加処理を実施する色追加処理回路30の構成の一例を示すブロック図である。色追加処理回路30は、例えば、画像処理IPコア22に組み込まれて使用される。本実施形態では、色追加処理回路30は、レジスタ回路25に格納されているF副画素データに基づいて色追加処理を行うように構成されている。レジスタ回路25に格納されているF副画素データは、上記の式(5a)〜(5d)に従って算出されるパラメータFMAX、FR’、FG’、FB’を含んでいる。一実施形態では、不揮発性メモリ26にF副画素データが不揮発的に格納され、表示ドライバ2の起動時に、F副画素データが不揮発性メモリ26から読み出されてレジスタ回路25に格納され、レジスタ回路25に格納されたF副画素データが色追加処理回路30における色追加処理に用いられてもよい。
【0095】
より具体的には、色追加処理回路30は、ガンマ変換回路31と、最大値最小値判別回路32と、分離計算回路33と、RGB補正項演算回路34と、RGB補正回路35と、F補正回路36と、減算回路37と、逆ガンマ変換回路38とを備えている。
【0096】
ガンマ変換回路31は、入力RGBデータ(Ri,Gi,Bi)に対してガンマ変換を行ってガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)を算出する。より具体的には、ガンマ変換回路31は、それぞれ、Rg、Gg、Bgを、Ri、Gi、Biのγ乗冪として算出する(式(6a)〜(6c)参照)。
【0097】
最大値最小値判別回路32は、Rg、Gg、Bgのうちの最小のものを、色追加処理において追加される色Fの輝度値Fgとして選択し、Rg、Gg、Bgの最大のものをMAXgとして選択する。
【0098】
分離計算回路33は、レジスタ回路25からF副画素データに含まれているFR’、FG’、FB’を受け取り、最大値最小値判別回路32からFgを受け取る。受け取ったFR’、FG’、FB’、Fgから、上記の式(8a)〜(8c)(又は、式(8a’)〜(8c’)又は(9a)〜(9c))に従って、色Fの原色Rの成分の輝度値FRg、原色Gの成分の輝度値FGg、原色Bの成分の輝度値FBgを算出する。
【0099】
RGB補正項演算回路34は、上記の式(10a)〜(10c)に従ってFMAXgを算出する。
【0100】
RGB補正回路35は、ガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)に比FMAXg/MAXgを乗じることにより、目標RGB輝度データ(Rc,Gc,Bc)を算出する(式(11a)〜(11c)参照)。
【0101】
F補正回路36は、Fgと比RGB
MAX/FMAXとの積として、出力FRGB輝度データのうちのFoを算出する。
【0102】
減算回路37は、出力FRGB輝度データのうちのRo、Go、Boを、それぞれ、Rc、Gc、BcからFRg、FGg、FBgを減じて得られる差として算出する。
【0103】
逆ガンマ変換回路38は、出力FRGB輝度データ(Fo,Ro,Go,Bo)に対して逆ガンマ変換を行うことにより、色追加処理において最終的に出力すべき出力FRGBデータ(F
OUT、R
OUT、G
OUT、B
OUT)を算出する。より具体的には、逆ガンマ変換回路38は、それぞれ、F
OUT、R
OUT、G
OUT、B
OUTを、Fo、Ro、Go、Boの(1/γ)乗冪として算出する(式(13a)〜(13d)参照)。
【0104】
このような構成の色追加処理回路30が、上述の色追加処理を実行可能であることは、容易に理解されよう。
【0105】
上記では、不揮発性メモリ26に格納されるF副画素データが、上記式(5a)〜(5d)に従って算出されるパラメータFMAX、FR’、FG’、FB’を含んでいる実施形態が記述されているが、その代わりに、不揮発性メモリ26に格納されるF副画素データが、パラメータFMAX、FR’、FG’、FB’の算出が可能な一群のデータを含んでいてもよい。例えば、F副画素データが、色Fの輝度座標データ(FY,Fx,Fy)と、表示パネル1の特性を表すXYZ−RGB変換マトリクスを記述するデータを含んでいてもよい。この場合、画像処理IPコア22において、式(3a)、(3b)、(4)、(5a)〜(5d)に従ってパラメータFMAX、FR’、FG’、FB’が算出され、算出されたパラメータFMAX、FR’、FG’、FB’が、色追加処理において用いられる。ただし、画像処理IPコア22における演算量を低減するためには、パラメータFMAX、FR’、FG’、FB’が不揮発性メモリ26に格納されることが好ましい。
【0106】
(第2の実施形態)
第2の実施形態においても、色の変化を抑制した色追加処理が行われる。ただし、第2の実施形態では、色追加処理において、サブピクセルレンダリングが同時に行われる。以下では、まず、本実施形態の色追加処理の基本的な概念を説明する。
【0107】
各画素10がR副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bに加えてF副画素8Fを含む表示パネル1では、1画素が4つの副画素で構成されるので、各画素がR副画素、G副画素及びB副画素のみを含む表示パネルと比べると、同一の解像度を実現しようとすると、副画素の数が25%増加することになる。これは、表示パネルを駆動する表示ドライバのソース出力の数を増加させ、回路規模、消費電力、表示パネルの基板上の配線の容易性に望ましくない影響を及ぼす。
【0108】
色追加処理において、2画素の入力RGBデータから1画素の出力FRGBデータを生成すれば、表示パネルの副画素の数の増加の問題を解消できる。しかしながら、出力FRGBデータを不適切に生成すると、表示パネルに表示される画像の解像度が、元の入力RGBデータの本来の解像度よりも顕著に低下してしまう。
【0109】
図11は、2画素の入力RGBデータから1画素の出力FRGBデータを生成する色追加処理の不適切な例を概念的に示している。簡単のために、2画素のうちの左の画素の入力RGBデータに記述された原色R、G、Bの階調値がいずれも255であり、右の画素の入力RGBデータに記述された原色R、G、Bの階調値がいずれも0である場合を考える。最も単純には、2画素の入力RGBデータを平均して得られる画素データに、色追加処理を行うことが考えられる。色Fが白色である場合における最も単純な色追加処理は、原色R、G、Bの階調値のうちの最小のものを色Fの階調値として決定するものであり、
図11は、このような色追加処理を行った場合を図示している。
【0110】
しかしながら、
図11に図示されている色追加処理では、左の画素の入力RGBデータと右の画素の入力RGBデータとが異なるという情報が失われる。これは、画像全体として考えると、解像度が劣化することを意味している。
【0111】
第2の実施形態の色追加処理では、2画素の入力RGBデータから1画素の出力FRGBデータを生成する際にサブピクセルレンダリングが行われ、これにより、解像度の劣化が抑制される。詳細には、第2の実施形態の色追加処理では、2画素の入力RGBデータを平均化することにより、平均化RGBデータが生成され、その平均化RGBデータに対して第1の実施形態と同様の色追加処理が行われて出力FRGB輝度データが生成される。当該出力FRGB輝度データに対して、2画素の入力RGBデータの差分と、表示パネル1の各画素10におけるF副画素8F、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bの配置の情報に基づいてサブピクセルレンダリングのための補正が行われる。この補正で得られた出力FRGB輝度データに対して逆ガンマ変換を行うことにより、最終的に出力すべき出力FRGBデータが生成される。このような処理により、色追加処理における解像度の劣化が抑制される。
【0112】
以下、第2の実施形態における色追加処理について詳細に説明する。なお、第2の実施形態における表示装置100の構成(即ち、表示パネル1及び表示ドライバ2の構成)は、第1の実施形態と同様である。色追加処理は、表示ドライバ2の画像処理IPコア22において行われる。
【0113】
本実施形態においても、事前準備として、F副画素データが、表示ドライバ2の記憶装置に格納される。一実施形態では、不揮発性メモリ26にF副画素データが不揮発的に格納され、表示ドライバ2の起動時に、F副画素データが不揮発性メモリ26から読み出されてレジスタ回路25に格納され、レジスタ回路25に格納されたF副画素データが画像処理IPコア22における色追加処理に用いられてもよい。第1の実施形態と同様に、本実施形態においても、F副画素データが、パラメータFMAX、FR’、FG’、FB’、又は、これらのパラメータを算出可能な一群のデータを含んでいる。
【0114】
加えて、第2の実施形態では、F副画素データが、表示パネル1の各画素10におけるF副画素8F、R副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bの配置を示す副画素配置データを含んでいる。一実施形態では、副画素配置データは、各画素10のF副画素8Fが、該画素10の左側の2つの副画素と右側の2つの副画素のいずれに属するかを示すデータを含んでいてもよい。この場合、副画素配置データは、1ビットデータである。一実施形態では、
図4Aに図示されているように、F副画素8Fが各画素10の左端に位置している場合、副画素配置データは、各画素10のF副画素8Fが、該画素10の左側の2つの副画素に属していることを示すデータ(例えば、データ“1”)を含んでいる。また、
図4Bに図示されているように、F副画素8Fが各画素10の右端に位置している場合、副画素配置データは、各画素10のF副画素8Fが、該画素10の右側の2つの副画素に属していることを示すデータ(例えば、データ“0”)を含んでいる。後述されるように、副画素配置データは、サブピクセルレンダリングのための補正において用いられる。
【0115】
図12は、第2の実施形態において画像処理IPコア22において行われる色追加処理を示すフローチャートである。本実施形態では、水平方向に隣接する2画素のRGB形式の画像データ(入力RGBデータ)が色追加処理の入力として与えられる。当該2画素の入力RGBデータのうち、左側の画素(第1画素)の入力RGBデータに記述されている原色R、G、Bの階調値を、それぞれ、R1i、G1i、B1iと記載し、右側の画素(第2画素)の入力RGBデータに記述されている原色R、G、Bの階調値を、それぞれ、R2i、G2i、B2iと記載する。入力RGBデータ(R1i,G1i,B1i)及び(R2i,G2i,B2i)は、アプリケーションプロセッサ3から表示ドライバ2に供給される画像データに、色域調整のための画像処理を行って得られるRGBデータであってもよい。
【0116】
まず、対象の2画素の入力RGBデータ(R1i,G1i,B1i)及び(R2i,G2i,B2i)に対してガンマ変換が行われ(ステップS21)、更に、ガンマ変換によって得られた当該2画素のRGBデータを平均化することによりガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)が算出される(ステップS22)。詳細には、ガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)は、表示装置100に設定されているガンマ値γを用いて、下記式(14a)〜(14c)に従って算出される。
Rg=(R1i^γ+R2i^γ)/2 ・・・(14a)
Gg=(G1i^γ+G2i^γ)/2 ・・・(14b)
Bg=(B1i^γ+B2i^γ)/2 ・・・(14c)
ここで、“^”は、冪演算を表す記号である。即ち、Rgは、階調値R1iのγ乗冪と階調値R2iのγ乗冪の平均として算出される。同様に、Ggは、階調値G1iのγ乗冪と階調値G2iのγ乗冪の平均として算出され、Bgは、階調値B1iのγ乗冪と階調値B2iのγ乗冪の平均として算出される。
【0117】
更に、左側の画素の入力RGBデータに記述された階調値R1i、G1i、B1iのうちの最も小さいもののγ乗冪がパラメータMIN1gとして算出され、右側の画素の入力RGBデータに記述された階調値R2i、G2i、B2iのうちの最も小さいもののγ乗冪がパラメータMIN2gとして算出される(ステップS23)。即ち、MIN1g、MIN2gは、下記式(15a)、(15b)に従って算出される。
MIN1g={Min(R1i,G1i,B1i)}^γ ・・・(15a)
MIN2g={Min(R2i,G2i,B2i)}^γ ・・・(15b)
後述されるように、パラメータMIN1g、MIN2gは、サブピクセルレンダリングのための補正において用いられる。
【0118】
ステップS22で得られたガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)に対して、第1の実施形態の色追加処理と同様の処理を行うことにより、出力FRGB輝度データ(Fo,Ro,Go,Bo)が算出される(ステップS24〜S27)。
【0119】
詳細には、Rg、Gg、Bgのうちの最小値及び最大値が判別される(ステップS24)。上記の式(7a)に記述されているように、Rg、Gg、Bgの最小値は、色追加処理において追加される色Fの輝度値Fgとして決定され、式(7b)に記述されているように、Rg、Gg、Bgの最大値は、MAXgとして決定される。
【0120】
更に、色Fの輝度値Fgから、色Fの原色Rの成分の輝度値FRg、原色Gの成分の輝度値FGg、原色Bの成分の輝度値FBgが、上記の式(8a)〜(8c)に従って算出される(ステップS25)。なお、式(8a)〜(8c)において、最大階調値RGB
MAXの代わりに適宜の値F
CTRLを用いることで、色Fの追加量を調整してもよい。
【0121】
更に、FMAXgが、上記の式(10a)〜(10c)に従って算出される(ステップS26)。言い換えれば、FMAXgは、下記のようにして算出される。
(a)MAXgとしてRgが選択されている場合、FMAXgは、MAXgとFRgの和として算出される。
(b)MAXgとしてGgが選択されている場合、FMAXgは、MAXgとFGgの和として算出される。
(c)MAXgとしてBgが選択されている場合、FMAXgは、MAXgとFBgの和として算出される。
【0122】
続いて、ガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)に比FMAXg/MAXgを乗じることにより、目標RGB輝度データ(Rc,Gc,Bc)が算出される(ステップS27)。即ち、目標RGB輝度データ(Rc,Gc,Bc)は、上記の式(11a)〜(11c)に従って算出される。
【0123】
更に、出力FRGB輝度データ(Fo,Ro,Go,Bo)が、上記の式(12a)〜(12d)に従って算出される(ステップS28)。即ち、Foは、Fgと比RGB
MAX/FMAXとの積として算出される。Ro、Go、Boは、それぞれ、Rc、Gc、BcからFRg、FGg、FBgを減じて得られる差として算出される。
【0124】
算出された出力FRGB輝度データ(Fo,Ro,Go,Bo)に対して、サブピクセルレンダリングのための補正が行われ、レンダリング補正後FRGB輝度データ(Fr,Rr,Gr,Br)が算出される(ステップS29)。サブピクセルレンダリングのための補正では、まず、補正項Cgが、ステップS23において算出されたパラメータMIN1g、MIN2g及び副画素配置データに基づいて算出される。詳細には、副画素配置データが、各画素10のF副画素8Fが該画素10の右側の2つの副画素に属していることを示している場合、補正項Cgは、MIN2gからMIN1gを減じて得られる差として算出され、そうでない場合、MIN1gからMIN2gを減じて得られる差として算出される。
【0125】
即ち、副画素配置データが、各画素10のF副画素8Fが該画素10の右側の2つの副画素に属していることを示している場合、補正項Cgは、下記式(16a)に従って算出される:
Cg=MIN2g−MIN1g ・・・(16a)
【0126】
また、副画素配置データが、各画素10のF副画素8Fが該画素10の左側の2つの副画素に属していることを示している場合、補正項Cgは、下記式(16b)に従って算出される:
Cg=MIN1g−MIN2g ・・・(16b)
【0127】
更に、原色R、G、Bにそれぞれに対応する補正項CRg、CGg、CBgが、それぞれ、F副画素データに含まれているパラメータFR’、FG’、FB’と、上記の補正項Cgとに基づいて算出される。本実施形態では、補正項CRg、CGg、CBgは、下記式(17a)〜(17c)に従って算出される:
CRg=Cg×FR’/RGB
MAX ・・・(17a)
CGg=Cg×FG’/RGB
MAX ・・・(17b)
CBg=Cg×FB’/RGB
MAX ・・・(17c)
上述されているように、RGB
MAXは、色追加処理の入力として与えられる入力RGBデータに記述された原色R、原色G、原色Bの階調値に許容される最大値であり、原色R、原色G、原色Bの階調値が8ビットで表される場合、RGB
MAXは“255”である。この場合、式(17a)〜(17c)は、下記式(17a’)〜式(17c’)に書き直すことができる。
CRg=Cg×FR’/255 ・・・(17a’)
CGg=Cg×FG’/255 ・・・(17b’)
CBg=Cg×FB’/255 ・・・(17c’)
【0128】
レンダリング補正後FRGB輝度データ(Fr,Rr,Gr,Br)は、出力FRGB輝度データ(Fo,Ro,Go,Bo)を補正項Cg、CRg、CGg、CBgに基づいて補正することによって算出される。本実施形態では、レンダリング補正後FRGB輝度データ(Fr,Rr,Gr,Br)は、下記式(18a)〜(18d)に従って算出される:
Fr=Fo+Cg ・・・(18a)
Rr=Ro−CRg ・・・(18b)
Gr=Go−CGg ・・・(18c)
Br=Bo−CBg ・・・(18d)
【0129】
即ち、輝度値Frは、Foと補正項Cgの和として算出され、輝度値Rr、Gr、Brは、それぞれ、輝度値Ro、Go、Boから補正項CRg、CGg、CBgを減じて得られる差として算出される。
【0130】
補正項CRg、CGg、CBgの算出において、F副画素データに記述されているパラメータFR’、FG’、FB’が用いられることに留意されたい。これにより、サブピクセルレンダリングのための補正による色の変化が抑制される。
【0131】
このようにして得られたレンダリング補正後FRGB輝度データ(Fr,Rr,Gr,Br)に対して逆ガンマ変換を行うことにより、色追加処理において最終的に出力すべき出力FRGBデータ(F
OUT,R
OUT,G
OUT,B
OUT)が生成される(ステップS30)。即ち、出力FRGBデータ(F
OUT,R
OUT,G
OUT,B
OUT)は、表示装置100に設定されているガンマ値γを用いて、下記式(19a)〜(19d)に従って算出される。
Fout=Fr^(1/γ) ・・・(19a)
Rout=Rr^(1/γ) ・・・(19b)
Gout=Gr^(1/γ) ・・・(19c)
Bout=Br^(1/γ) ・・・(19d)
【0132】
このようにして得られた出力FRGBデータ(F
OUT、R
OUT、G
OUT、B
OUT)が、画像処理IPコア22から出力される処理後画像データとしてソースドライバ回路23に供給されてもよい。また、出力FRGBデータ(F
OUT、R
OUT、G
OUT、B
OUT)に対して所望の画像処理を行って得られる画像データが処理後画像データとして、ソースドライバ回路23に供給されてもよい。
【0133】
第2の実施形態の色追加処理においても、表示パネル1のR副画素8R、G副画素8G及びB副画素8Bを最小階調値に対応する駆動信号で駆動し、F副画素8Fを最大階調値に対応する駆動信号で駆動したときに表示パネル1に表示される色の、所定の色空間における色座標を示す色座標データ(より具体的には、xyY表色系における刺激値Y及び色度座標(x,y)を示す輝度座標データ)から生成されるF副画素データに基づいて色追加処理が行われる。これにより、色追加処理による色の変化が抑制される。また、第2の実施形態では、F副画素データに基づいて、より具体的には、パラメータFR’、FG’、FB’及び副画素配置データに基づいてサブピクセルレンダリングのための補正が行われ、これにより、色の変化を抑制しながら、解像度の低下が防止される。
【0134】
図13は、第2の実施形態の色追加処理を実施する色追加処理回路40の構成の一例を示すブロック図である。色追加処理回路40は、例えば、画像処理IPコア22に組み込まれて使用される。本実施形態においても、色追加処理回路40は、レジスタ回路25に格納されているF副画素データに基づいて色追加処理を行うように構成されている。ただし、レジスタ回路25に格納されているF副画素データは、上記の式(5a)〜(5d)に従って算出されるパラメータFMAX、FR’、FG’、FB’に加え、副画素配置データを含んでいる。一実施形態では、不揮発性メモリ26にF副画素データが不揮発的に格納され、表示ドライバ2の起動時に、F副画素データが不揮発性メモリ26から読み出されてレジスタ回路25に格納され、レジスタ回路25に格納されたF副画素データが色追加処理回路40における色追加処理に用いられてもよい。
【0135】
第2の実施形態の色追加処理回路40は、概略的には、第1の実施形態の色追加処理回路30と類似した構成を有している(
図10参照)。即ち、第2の実施形態の色追加処理回路40は、第1の実施形態の色追加処理回路30と同様に、最大値最小値判別回路32と、分離計算回路33と、RGB補正項演算回路34と、RGB補正回路35と、F補正回路36と、減算回路37と、逆ガンマ変換回路38とを備えている。
【0136】
ただし、第2の実施形態の色追加処理回路40は、ガンマ変換回路31の代わりにガンマ変換/平均化回路41を備えている。また、色追加処理回路40は、レンダリング補正項演算回路42とレンダリング補正回路43を追加して備えている。
【0137】
ガンマ変換/平均化回路41は、次の動作を行う。ガンマ変換/平均化回路41は、対象の2画素の入力RGBデータ(R1i,G1i,B1i)及び(R2i,G2i,B2i)に対してガンマ変換を行い、ガンマ変換によって得られた当該2画素のRGBデータを平均化することによりガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)を算出する。ガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)は、上記の式(14a)〜(14c)に従って算出される。最大値最小値判別回路32には、このようにして算出されたガンマ変換後RGBデータ(Rg,Gg,Bg)が供給される。
【0138】
また、ガンマ変換/平均化回路41は、左側の画素の入力RGBデータに記述された階調値R1i、G1i、B1iのうちの最も小さいもののγ乗冪をパラメータMIN1gとして算出し、右側の画素の入力RGBデータに記述された階調値R2i、G2i、B2iのうちの最も小さいもののγ乗冪をパラメータMIN2gとして算出する。算出されたパラメータMIN1g、MIN2gは、レンダリング補正項演算回路42に供給される。
【0139】
最大値最小値判別回路32、分離計算回路33、RGB補正項演算回路34、RGB補正回路35、F補正回路36及び減算回路37の動作は、第1の実施形態で説明した通りである。出力FRGB輝度データ(Fo,Ro,Go,Bo)のうちの輝度値Foは、F補正回路36から出力され、出力FRGB輝度データ(Fo,Ro,Go,Bo)のうちの輝度値Ro、Go、Boは、減算回路37から出力される。
【0140】
レンダリング補正項演算回路42は、レジスタ回路25に格納されているF副画素データに含まれるパラメータFR’、FG’、FB’及び副画素配置データと、ガンマ変換/平均化回路41から受け取ったパラメータMIN1g、MIN2gとに基づいて、補正項Cg、CRg、CGg、CBgを算出する。補正項Cgは、副画素配置データに応じて式(16a)又は(16b)に従って算出され、補正項CRg、CGg、CBgは、式(17a)〜(17c)に従って算出される。
【0141】
レンダリング補正回路43は、レンダリング補正項演算回路42から受け取った補正項Cg、CRg、CGg、CBgに基づいて出力FRGB輝度データ(Fo,Ro,Go,Bo)を補正することにより、レンダリング補正後FRGB輝度データ(Fr,Rr,Gr,Br)を算出する。本実施形態では、レンダリング補正後FRGB輝度データ(Fr,Rr,Gr,Br)は、上記の式(18a)〜(18d)に従って算出される。算出されたレンダリング補正後FRGB輝度データ(Fr,Rr,Gr,Br)は、逆ガンマ変換回路38は、レンダリング補正後FRGB輝度データ(Fr,Rr,Gr,Br)に対して逆ガンマ変換を行うことにより、色追加処理において最終的に出力すべき出力FRGBデータ(F
OUT,R
OUT,G
OUT,B
OUT)を生成する。出力FRGBデータ(F
OUT,R
OUT,G
OUT,B
OUT)は、上記の式(19a)〜(19d)に従って算出される。
【0142】
このような構成の色追加処理回路40が、上述の第2の実施形態の色追加処理を実行可能であることは、容易に理解されよう。
【0143】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明が種々の変更と共に実施され得ることは、当業者には理解されよう。