(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両に関する情報を表示する表示部に設けられる基材に、露光することで硬化する第1インクを積層させ当該第1インクを金型で成形することで第1模様を含む第1模様層を成形する第1模様層成形工程と、
前記第1模様層成形工程で成形された前記第1模様層に対して露光し前記第1インクを硬化させる第1模様層硬化工程と、
前記第1模様層硬化工程で硬化された前記第1模様層の前記基材側とは反対側の面に、露光することで硬化する第2インクを前記第1模様の一部を露出させて積層させ印刷することで前記第1模様層とは反対側の表面が平坦面として形成された平坦層を印刷する平坦層印刷工程と、
前記平坦層印刷工程で印刷された前記平坦層に対して露光し前記第2インクを硬化させる平坦層硬化工程と、
前記平坦層硬化工程で硬化された前記平坦層の前記平坦面に、露光することで硬化する第3インクを積層させて印刷することで第2模様を含む第2模様層を印刷する第2模様層印刷工程と、
前記第2模様層印刷工程で印刷された前記第2模様層に対して露光し前記第3インクを硬化させる第2模様層硬化工程とを含み、
前記第2模様層は、前記平坦層の前記平坦面の縁に対してクリアランスをあけた領域に印刷されることを特徴とする、
装飾部品製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の計器用表示板は、例えば、より多様な加飾を簡易に実現することができることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、多様な加飾を簡易に実現することができる車両表示装置用装飾部品、車両表示装置、及び、装飾部品製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両表示装置用装飾部品は、車両に関する情報を表示する車両表示装置に設けられる基材と、前記基材に積層されて設けられ第1インクによって第1模様が形成された第1模様層と、前記第1模様層の前記基材側とは反対側の面に前記第1模様の一部を露出させて積層されて設けられ第2インクによって前記第1模様層とは反対側の表面が平坦面として形成された平坦層と
、前記平坦層の前記第1模様層側とは反対側の前記平坦面に積層されて設けられ第3インクによって第2模様が形成された第2模様層とを備え、
前記第1インク、前記第2インク、及び、前記第3インクは、露光することで硬化する光硬化樹脂であり、前記第1模様層は、前記第1インクが金型によって成形され硬化された金型成形層であり、前記平坦層は、前記第2インクが印刷され硬化された印刷層であり、前記第2模様層は、前記第3インクが印刷され硬化された印刷層であり、前記平坦層の前記平坦面の縁に対してクリアランスをあけた領域に印刷されることを特徴とする。
【0007】
また、上記車両表示装置用装飾部品では、前記平坦層の前記第1模様層側とは反対側の前記平坦面に積層されて設けられ第3インクによって第2模様が形成された第2模様層を備えるものとすることができる。
【0008】
また、上記車両表示装置用装飾部品では、前記第1インク、前記第2インク、及び、前記第3インクは、露光することで硬化する光硬化樹脂であり、前記第1模様層は、前記第1インクが金型によって成形され硬化された金型成形層であり、前記平坦層は、前記第2インクが印刷され硬化された印刷層であり、前記第2模様層は、前記第3インクが印刷され硬化された印刷層であるものとすることができる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両表示装置は、車両に関する情報を表示する表示部と、前記表示部に設けられる車両表示装置用装飾部品とを備え、前記車両表示装置用装飾部品は、前記表示部に設けられる基材と、前記基材に積層されて設けられ第1インクによって第1模様が形成された第1模様層と、前記第1模様層の前記基材側とは反対側の面に前記第1模様の一部を露出させて積層されて設けられ第2インクによって前記第1模様層とは反対側の表面が平坦面として形成された平坦層と
、前記平坦層の前記第1模様層側とは反対側の前記平坦面に積層されて設けられ第3インクによって第2模様が形成された第2模様層とを備え、
前記第1インク、前記第2インク、及び、前記第3インクは、露光することで硬化する光硬化樹脂であり、前記第1模様層は、前記第1インクが金型によって成形され硬化された金型成形層であり、前記平坦層は、前記第2インクが印刷され硬化された印刷層であり、前記第2模様層は、前記第3インクが印刷され硬化された印刷層であり、前記平坦層の前記平坦面の縁に対してクリアランスをあけた領域に印刷されることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る装飾部品製造方法は、車両に関する情報を表示する表示部に設けられる基材に、露光することで硬化する第1インクを積層させ当該第1インクを金型で成形することで第1模様を含む第1模様層を成形する第1模様層成形工程と、前記第1模様層成形工程で成形された前記第1模様層に対して露光し前記第1インクを硬化させる第1模様層硬化工程と、前記第1模様層硬化工程で硬化された前記第1模様層の前記基材側とは反対側の面に、露光することで硬化する第2インクを前記第1模様の一部を露出させて積層させ印刷することで前記第1模様層とは反対側の表面が平坦面として形成された平坦層を印刷する平坦層印刷工程と、前記平坦層印刷工程で印刷された前記平坦層に対して露光し前記第2インクを硬化させる平坦層硬化工程と
、前記平坦層硬化工程で硬化された前記平坦層の前記平坦面に、露光することで硬化する第3インクを積層させて印刷することで第2模様を含む第2模様層を印刷する第2模様層印刷工程と、前記第2模様層印刷工程で印刷された前記第2模様層に対して露光し前記第3インクを硬化させる第2模様層硬化工程とを含
み、前記第2模様層は、前記平坦層の前記平坦面の縁に対してクリアランスをあけた領域に印刷されることを特徴とする。
【0011】
また、上記装飾部品製造方法では、前記平坦層硬化工程で硬化された前記平坦層の前記平坦面に、露光することで硬化する第3インクを積層させて印刷することで第2模様を含む第2模様層を印刷する第2模様層印刷工程と、前記第2模様層印刷工程で印刷された前記第2模様層に対して露光し前記第3インクを硬化させる第2模様層硬化工程とを含むものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る車両表示装置用装飾部品、車両表示装置、及び、装飾部品製造方法は、基材に積層された第1模様層の第1模様と、第1模様の一部を露出させて第1模様層に積層された平坦層の平坦面とを組み合わせた加飾とすることができる。この構成により、車両表示装置用装飾部品、車両表示装置、及び、装飾部品製造方法は、第1模様と、平坦面とを組み合わせたことによる相乗効果によって多様な加飾を簡易に実現することができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[実施形態]
本実施形態に係る車両表示装置用装飾部品としての装飾部品1は、
図1、
図2に示すように、車両に搭載される車両表示装置100に適用される。車両表示装置100は、いわゆる車載メータを構成するものであり、例えば、車両のダッシュボードに設けられたインストルメントパネルに搭載され、車両の運転に供される情報として当該車両に関する種々の情報を表示する。車両表示装置100は、車両に関する情報を表示する表示部101と、表示部101を含む当該車両表示装置100の各部に組み込まれた装飾部品1とを備える。そして、車両表示装置100は、装飾部品1の表面の模様を組み合わせることで、多様な加飾を実現したものである。
【0016】
なお、
図1に示す車両表示装置100の第1方向としての奥行き方向Xとは、典型的には、この車両表示装置100が適用される車両の前後方向に相当する。また、車両表示装置100の前面側とは、奥行き方向Xにおいて車両の運転席と対面する側であり、典型的には、当該運転席に座った運転者によって視認される側である。一方、車両表示装置100の背面側とは、奥行き方向Xにおいて前面側とは反対側であり、典型的には、インストルメントパネルの内部に収容される側である。また、車両表示装置100の第2方向としての幅方向Yとは、典型的には、この車両表示装置100が適用される車両の車幅方向Yに相当する。以下の説明では、車両表示装置100の幅方向Yにおいて、当該車両表示装置100の前面に向かって左側(
図1中左側)を幅方向Y左側、向かって右側(
図1中右側)を幅方向Y右側という場合がある。車両表示装置100の第3方向としての高さ方向Zとは、典型的には、この車両表示装置100が適用される車両の高さ方向に相当し、例えば、当該車両が水平面に位置した状態で鉛直方向に沿った方向である。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、車両表示装置100の各構成が相互に組み付けられ当該車両表示装置100がインストルメントパネルに組み付けられた状態での方向を表す。
【0017】
表示部101は、車両に関する種々の情報を表示するものである。ここでは、表示部101は、車両に関する情報として、例えば、車速を表示する速度計102、燃料残量を表示する燃料計103、走行用動力源の出力回転数を表示する回転計104、冷却水の温度を表示する水温計105、及び、画像情報を表示する液晶表示部106等を含んで構成される。表示部101は、車両表示装置100の各部を収容する筐体107内に配置されると共に各種情報の表示面が奥行き方向X前面側に露出する。筐体107は、樹脂材料等によって構成される。筐体107は、例えば、奥行き方向X背面側に配置される背面ケース108と、背面ケース108の奥行き方向X前面側に配置される中間ケース109と、中間ケース109の奥行き方向X前面側に配置される見返し部材110とを含んで構成される。筐体107は、背面ケース108、中間ケース109、及び、見返し部材110によって区画される空間部内に表示部101が配置される。そして、筐体107は、見返し部材110に形成される開口110a(
図2参照)を介して各表示部101の表示面が奥行き方向X前面側に露出する。ここでは、表示部101は、速度計102の表示面内に燃料計103の表示面が組み込まれており、同様に、回転計104の表示面内に水温計105の表示面が組み込まれている。表示部101は、筐体107内において、速度計102、及び、燃料計103が幅方向Y右側に配置される一方、回転計104、及び、水温計105が幅方向Y左側に配置され、さらに、液晶表示部106がこれらの間に配置される。
【0018】
例えば、
図2に示すように、速度計102は、筐体107内に配置される配線板111に内機112が固定される。内機112は、指針113の駆動源であるモータ112aを含んで構成され、当該モータ112aから指針113の回転軸114が突設される。燃料計103、回転計104、水温計105も速度計102とほぼ同様の構成である。見返し部材110は、配線板111や内機112等を覆い、上記のように開口110aから各表示部101の表示面を奥行き方向X前面側に露出させる。なお、車両表示装置100は、当該表示部101の奥行き方向X前面側が筐体107に取り付けられる透明カバーによって保護されている。
【0019】
装飾部品1は、車両表示装置100において、奥行き方向X前面側に露出し運転者を含む乗員の視界にはいりうる部分の化粧部材となるものである。装飾部品1は、例えば、表示部101、ここでは、速度計102、燃料計103、回転計104、水温計105等に組み込まれる各文字板115に適用される。文字板115は、速度計102、燃料計103、回転計104、水温計105等において見返し部材110の開口110aから奥行き方向X前面側に露出する表示面を構成するものである。文字板115は、指針113によって指し示される目盛の装飾、当該目盛に対応して付された計測値に関する様々な図柄、記号、文字列等の装飾を含んで構成される。
【0020】
なお、車両表示装置100は、速度計102、及び、当該速度計102の表示面に組み込まれた燃料計103の文字板115と、回転計104、及び、当該回転計104の表示面に組み込まれた水温計105等の文字板115とを備える。各文字板115は、図柄、記号、文字列等以外はほぼ同様の構成であるので、以下の説明では共通の説明とする。また、各文字板115は、連結部分等を介して相互に一体で形成されていてもよい。
【0021】
本実施形態の装飾部品1として構成される各文字板115は、
図1に示すように、奥行き方向X前面側の表面、すなわち、車両の運転席と対面し運転席に座った運転者等によって視認される側の面が表示面を構成する。そして、本実施形態の各文字板115は、表示面に、第1加飾領域10と、第2加飾領域20とを備え、当該第1加飾領域10と当該第2加飾領域20との組み合わせによって全体としてより多様な加飾を実現している。
【0022】
具体的には、第1加飾領域10は、中心軸線C1を中心とした略円形状の一部が第2加飾領域20によって切り欠かれた略扇形状の領域である。第2加飾領域20は、中心軸線C1とは異なる中心軸線C2を中心とした略円形状の領域、ここでは、第1加飾領域10よりも小径の略円形状の領域である。そして、第2加飾領域20は、一部が第1加飾領域10内に包含される領域である。言い換えれば、第1加飾領域10と第2加飾領域20とは、それぞれ異なる中心軸線C1、C2を中心とした略円形状に形成され、第2加飾領域20の一部が第1加飾領域10に食い込んだ領域として形成される。さらに言い換えれば、第2加飾領域20は、円周の一部が第1加飾領域10によって囲われている。ここでは、第1加飾領域10は、各文字板115において、それぞれ速度計102、回転計104の表示面を構成する。第2加飾領域20は、各文字板115において、それぞれ燃料計103、水温計105の表示面を構成する。中心軸線C1は、速度計102、回転計104の指針113の回転軸線と一致している。中心軸線C2は、燃料計103、水温計105の指針113の回転軸線と一致している。ここでは、中心軸線C2は、中心軸線C1に対して鉛直方向下側にずれた位置に設定される。
【0023】
そして、第1加飾領域10は、第1模様11が形成され、当該第1模様11による装飾が施される。一方、第2加飾領域20は、第2模様21が形成され、当該第2模様21による装飾が施されている。第1模様11と第2模様21とは、典型的には、互いに独立した模様である。ここでは、第1模様11と第2模様21とは、双方とも同種の目付模様である。本実施形態の第1模様11は、微細な複数の溝12が予め設定される基準点(例えば、中心軸線C1上の点)を中心として同心円弧状、あるいは、渦巻き円弧状に延在することで形成されるスピン目付模様である。第2模様21は、微細な複数の溝22が予め設定される基準点(例えば、中心軸線C2上の点)を中心として同心円環状、あるいは、渦巻き環状に延在することで形成されるスピン目付模様である。
【0024】
そして、本実施形態の装飾部品1(各文字板115)は、
図3に示すように、基材2、第1模様層3、平坦層4、及び、第2模様層5を順に積層させた積層構造とされることで、第1加飾領域10の第1模様11と第2加飾領域20の第2模様21とが構成される。なお、以下の説明では、基材2、第1模様層3、平坦層4、及び、第2模様層5が積層される方向を「積層方向」という場合がある。
【0025】
具体的には、装飾部品1(各文字板115)は、基材2と、第1模様層3と、平坦層4と、第2模様層5と、着色層6とを備える。
【0026】
基材2は、装飾部品1の積層構造のベース(基礎)となる層である。基材2は、車両表示装置100の表示部101に設けられるシート状の部材である。基材2は、ここでは、装飾部品1を構成する各文字板115の一部として、速度計102、燃料計103、回転計104、水温計105に設けられる。基材2は、装飾部品1を構成する樹脂材料(合成樹脂)として、可視光領域の波長の可視光線(可視光)を透過する光透過樹脂によって形成される。可視光領域の波長とは、人が視認できる波長であり、可視光領域は、例えば、波長が360〜830nmの範囲の成分である。基材2は、典型的には、絶縁性を有し、相対的に高い可撓性を有するシート状に形成される。基材2は、例えば、可視光線を透過する透明生地のポリカーボネート製シートを用いることができる。
【0027】
第1模様層3は、第1模様11が形成された層である。第1模様層3は、基材2の積層方向の一方側の主面に積層されて設けられる。第1模様層3は、第1インク3aによって上記第1模様11が形成される。第1インク3aは、露光することで硬化する光硬化樹脂であり、より詳細には、露光することで硬化度が変化する樹脂である。第1インク3aは、例えば、紫外線を照射することで硬化するUV(Ultraviolet、紫外線)硬化インクを用いることができる。第1インク3aは、例えば、所望の装飾部品1の色彩に応じて、白色インク、着色インク、透明インク等を適宜用いることができる。ここでは、第1インク3aは、着色層6の色を透過させるために、透明のUV硬化インクが用いられる。本実施形態の第1模様層3は、典型的には、当該第1インク3aが金型200(
図5等参照)によって成形され硬化された金型成形層である。より具体的には、第1模様層3は、基材2上に積層された当該第1インク3aが金型200によって成形されることで第1模様11が成形される。つまり、第1模様11は、金型200の成形面から当該成形面に形成された微細な複数の溝212(
図5等参照)が第1インク3aの表面に転写されることで、当該第1インク3aの表面に転写された転写溝である溝12によって形成される。そして、第1模様層3は、金型200によって第1模様11が成形された後に、露光され第1インク3aが硬化されることでその形状を保持する。
【0028】
平坦層4は、第1模様層3の一部を平坦化する層である。ここでは、平坦層4は、第1模様層3の一部を平坦化することで、第2模様層5の形成面を構成する層として機能する。平坦層4は、第1模様層3の積層方向の一方側の主面に積層されて設けられる。より具体的には、平坦層4は、第1模様層3の基材2側とは反対側の面に積層されて設けられる。そしてここでは、平坦層4は、第1模様層3の一部を覆う一方、他の部分を覆わず、第1模様11の一部を露出させるようにして設けられる。装飾部品1は、第1模様層3において平坦層4によって覆われておらず第1模様11が露出している領域が第1加飾領域10を構成する。一方、装飾部品1は、第1模様層3において平坦層4によって覆われている領域が第2加飾領域20を構成する。平坦層4は、第2インク4aによって第1模様層3とは反対側の表面が平坦面4bとして形成され、当該平坦面4bが第2模様層5の形成面を構成する。第2インク4aは、第1インク3aと同様に、露光することで硬化する光硬化樹脂であり、より詳細には、露光することで硬化度が変化する樹脂である。第2インク4aは、UV硬化インクを用いることができる。第2インク4aは、例えば、所望の装飾部品1の色彩に応じて、白色インク、着色インク、透明インク等を適宜用いることができる。ここでは、第2インク4aは、着色層6の色を透過させるために、透明のUV硬化インクが用いられる。本実施形態の平坦層4は、典型的には、当該第2インク4aが印刷機等によって印刷され硬化された印刷層である。より具体的には、平坦層4は、第1模様層3の基材2側とは反対側の面に、スクリーン印刷等によって第2インク4aが印刷されることで第1模様11の一部を露出させ、かつ、第1模様層3とは反対側の表面が平坦面4bとなるように印刷される。そして、平坦層4は、第1模様層3とは反対側の表面が平坦面4bとなるように印刷された後に、露光され第2インク4aが硬化されることでその形状を保持する。
【0029】
第2模様層5は、第2模様21が形成された層である。第2模様層5は、平坦層4の積層方向の一方側の主面に積層されて設けられる。より具体的には、第2模様層5は、平坦層4の第1模様層3側とは反対側の平坦面4bに積層されて設けられる。つまり、第2模様層5は、平坦層4によって覆われている第2加飾領域20に設けられる。第2模様層5は、第3インク5aによって上記第2模様21が形成される。第3インク5aは、第1インク3a、第2インク4aと同様に、露光することで硬化する光硬化樹脂であり、より詳細には、露光することで硬化度が変化する樹脂である。第3インク5aは、UV硬化インクを用いることができる。第3インク5aは、例えば、所望の装飾部品1の色彩に応じて、白色インク、着色インク、透明インク等を適宜用いることができる。ここでは、第3インク5aは、着色層6の色を透過させるために、透明のUV硬化インクが用いられる。本実施形態の第2模様層5は、典型的には、当該第3インク5aが印刷機等によって印刷され硬化された印刷層である。より具体的には、第2模様層5は、平坦層4の平坦面4bに、スクリーン印刷等によって第3インク5aが印刷されることで第2模様21が印刷される。つまり、第2模様21は、印刷機等によって印刷された第3インク5aが形成する印刷溝である溝22によって形成される。ここでは、第2模様21を含む第2模様層5は、平坦層4の平坦面4bの縁に対して予め設定された所定量のクリアランスCをあけた領域に印刷される。この構成により、装飾部品1は、第2模様層5が平坦層4の平坦面4bに印刷される際の位置ズレを当該クリアランスCによって許容できるようにしている。そして、第2模様層5は、第2模様21が印刷された後に、露光され第3インク5aが硬化されることでその形状を保持する。
【0030】
着色層6は、文字板115としての目盛の装飾、当該目盛に対応して付された計測値に関する様々な図柄、記号、文字列等の装飾が形成された層である。着色層6は、基材2の積層方向の他方側の主面に積層されて設けられる。より具体的には、着色層6は、基材2の第1模様層3側とは反対側の面に積層されて設けられる。着色層6は、着色インク6aによって上記目盛の装飾、当該目盛に対応して付された計測値に関する様々な図柄、記号、文字列等の装飾が形成される。着色インク6aは、例えば、可視光線を遮光する暗色系のインク、例えば、黒インク等を用いることができる。着色層6は、典型的には、当該着色インク6aが印刷機等によって印刷された印刷層である。より具体的には、着色層6は、基材2の第1模様層3側とは反対側の面に、スクリーン印刷等によって着色インク6aが印刷されることで上記目盛の装飾、当該目盛に対応して付された計測値に関する様々な図柄、記号、文字列等の装飾が印刷される。ここは、着色層6は、着色インク6aによって、上記図柄、記号、文字列等に対応した形状が中抜きされた印刷が施されることで、上記図柄、記号、文字列等が描かれる。装飾部品1として構成される各文字板115は、当該着色層6の着色インク6aによって車両情報に関する図柄、記号、文字列等の中抜きされた部分が光を透過する部分となる。そして、各文字板115は、例えば、筐体107内に設けられた光源が点灯することで、文字板115の奥行き方向X背面側から光が照射され、各中抜きされた部分において当該照射された光が透過され、中抜きされた部分に応じた図柄、記号、文字列等が点灯表示される。一方、各文字板115は、光源が消灯されることで、各中抜きされた部分に応じた図柄、記号、文字列等が消灯される。
【0031】
次に、
図4のフローチャート、及び、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10、
図11の模式的な断面図を参照して、装飾部品1として構成される文字板115の製造方法である装飾部品製造方法について具体的に説明する。以下で説明する装飾部品製造方法は、作業員が種々の装置、機器、治具等を用いて手作業で行うものとして説明するが、これに限らず、例えば、種々の製造装置によって自動で実行するものであってもよい。本実施形態の装飾部品製造方法は、第1模様層成形工程(ステップST1)と、第1模様層硬化工程(ステップST2)と、平坦層印刷工程(ステップST3)と、平坦層硬化工程(ステップST4)と、第2模様層印刷工程(ステップST5)と、2模様層硬化工程(ステップST6)と、着色層印刷工程(ステップST7)とを含む。
【0032】
まず、作業員は、第1模様層成形工程として、
図5、
図6に示すように、基材2に第1模様層3を構成する第1インク3aを積層させ、当該第1インク3aを金型200で成形することで第1模様11を含む第1模様層3を成形する(ステップST1)。金型200は、第1模様11を含む第1模様層3を成形するためのものである。金型200は、成形面に、成形面側模様211を構成する溝212が形成されている。成形面側模様211は、第1模様11と同形状の模様である。第1模様11は、金型200の成形面から当該溝212が第1インク3aの表面に転写されることで形成される。
【0033】
次に、作業員は、金型200を第1模様層3側から外し離型する。ここでは、第1インク3aは、金型200の離型後も、所定時間、形状を保持できる程度の粘度を有している。そして、作業員は、第1模様層硬化工程として、
図7に示すように、第1模様層成形工程(ステップST1)で成形された第1模様層3に対して露光し第1インク3aを硬化させる(ステップST2)。第1模様層3に対して露光する光源としては、第1インク3aに紫外線を照射可能な発光素子であるUV−LED(Light Emitting Diode)300を用いることができる。UV硬化インクによって構成される第1インク3aは、紫外線が照射され露光されることで硬化しその形状を保持する。
【0034】
次に、作業員は、平坦層印刷工程として、
図8に示すように、第1模様層硬化工程(ステップST2)で硬化された第1模様層3の基材2側とは反対側の面に、第2インク4aを積層させて印刷することで平坦層4を印刷する(ステップST3)。このとき、平坦層4は、第1模様11の一部を露出させて第2インク4aが印刷され、第1模様層3とは反対側の表面が平坦面4bとして形成される。
【0035】
次に、作業員は、平坦層硬化工程として、
図9に示すように、平坦層印刷工程(ステップST3)で印刷された平坦層4に対して露光し第2インク4aを硬化させる(ステップST4)。平坦層4に対して露光する光源としては、上記と同様にUV−LED300を用いることができる。UV硬化インクによって構成される第2インク4aは、紫外線が照射され露光されることで硬化しその形状を保持する。
【0036】
次に、作業員は、第2模様層印刷工程として、
図10に示すように、平坦層硬化工程(ステップST4)で硬化された平坦層4の平坦面4bに、第3インク5aを積層させて印刷することで第2模様21を含む第2模様層5を印刷する(ステップST5)。このとき、第2模様層5は、平坦層4の平坦面4bの縁に対して予め設定された所定量のクリアランスCをあけた領域に印刷される。第2模様21は、第3インク5aが形成する溝22によって形成される。
【0037】
次に、作業員は、第2模様層硬化工程として、
図11に示すように、第2模様層印刷工程(ステップST5)で印刷された第2模様層5に対して露光し第3インク5aを硬化させる(ステップST6)。第2模様層5に対して露光する光源としては、上記と同様にUV−LED300を用いることができる。UV硬化インクによって構成される第3インク5aは、紫外線が照射され露光されることで硬化しその形状を保持する。
【0038】
次に、作業員は、着色層印刷工程として、基材2の裏面(第1模様層3とは反対側の面)に接するように着色インク6aを印刷することで着色層6を印刷する(ステップST7)。以上で、
図3に示す装飾部品1として構成される文字板115を製造する装飾部品製造方法を終了する。
【0039】
以上で説明した装飾部品製造方法によって製造される装飾部品1(文字板115)、及び、当該装飾部品1を備える車両表示装置100は、下記の効果を奏する。すなわち、装飾部品1は、基材2に積層された第1模様層3の第1模様11と、第1模様11の一部を露出させて第1模様層3に積層された平坦層4の平坦面4bとを組み合わせた加飾とすることができる。つまり、装飾部品1は、第1模様11を含む第1模様層3を設けた上で、当該第1模様層3の一部に平坦層4を積層させ平坦面4bが形成される。この構成により、装飾部品1は、当該平坦面4bの領域において第1模様11を覆い視認できないようにした上で、当該平坦面4b上に第1模様11とは別の加飾を簡易に施すことができる。この構成により、装飾部品1、車両表示装置100は、第1模様11と、平坦面4bとを組み合わせたことによる相乗効果によって多様な加飾を簡易に実現することができる。
【0040】
ここでは、以上で説明した装飾部品製造方法によって製造される装飾部品1は、平坦層4の平坦面4b上に第1模様11とは別の第2模様21を含む第2模様層5が設けられる。この構成により、装飾部品1、車両表示装置100は、第1模様11と第2模様21とを組み合わせたことによる相乗効果によって多様な加飾を簡易に実現することができ、斬新な視覚効果を実現することができる。
【0041】
ここでは、以上で説明した装飾部品製造方法によって製造される装飾部品1は、第1インク3a、第2インク4a、及び、第3インク5aが光硬化樹脂であり、第1模様層3が金型成形層として形成される。したがって、装飾部品1は、例えば、樹脂装飾部品に対して第1模様層3の第1模様11を直接加工するような場合と比較して品質のバラツキを低減し生産性を向上することができる。その上で、装飾部品1は、平坦層4、第2模様層5が第1模様層3に積層させた印刷層として形成されるので、例えば、印刷用の版を変更することで、平坦面4b上に第1模様11とは別に設けられる加飾のバリエーションを容易に多数作成することができる。この場合、装飾部品1は、例えば、第1模様11を含む第1模様層3を成形するための金型200を各バリエーションで共通で用いた上で、平坦面4b上の加飾、ここでは、第2模様21等を各バリエーションごとに印刷によって簡単に設けることができる。また、装飾部品1は、平坦層4、第2模様層5が第1模様層3に積層させた印刷層として形成されるので、例えば、第1模様層3の第1模様11とは異なる加飾が施される領域を容易に変更、調整することができる。言い換えれば、装飾部品1は、第1模様11を含む第1模様層3を成形するための金型200に影響されずに平坦層4、第2模様層5や第2模様21を自由に設けることができる。この結果、この装飾部品1は、平坦面4b上の第1模様11とは別の加飾、ここでは、第2模様21等の加飾の調整や設計変更を容易に行うことができ、例えば、作業工数、製造コスト等を抑制して効率的にバリエーションの試作検討や作成を行うことができる。この結果、装飾部品1、車両表示装置100は、第1模様11と、平坦面4b上の第2模様層5の第2模様21とを組み合わせたことにより多様な加飾を実現した構成において、生産性の悪化を抑制することができ、例えば、製造コストの増加を抑制することができる。
【0042】
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両表示装置用装飾部品、車両表示装置、及び、装飾部品製造方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
以上の説明では、第1模様11と第2模様21とは、双方とも同種の目付模様であるものとして説明したがこれに限らず、相互に異なる種類の目付模様であってもよい。また、第1模様11と第2模様21とは、スピン目付模様であるものとして説明したがこれに限らない。例えば、第1模様11、第2模様21の一方、あるいは、両方は、いわゆる放射目付模様(旭光模様とも呼ばれる場合がある。)であってもよい。当該放射目付模様は、微細な複数の溝が予め設定される基準点(例えば、中心軸線C1、C2上の点)、あるいはその近傍から外側に向けて放射状に延在することで形成される模様である。また例えば、第1模様11、第2模様21の一方、あるいは、両方は、いわゆるドット模様、格子模様、レザー調模様、シボ調模様、木目調模様、カーボン調模様、ローレット調模様、ハニカム調模様、ヘアライン調模様、ギロッシュ調模様等であってもよい。
【0044】
以上の説明では、装飾部品1は、表示部101に組み込まれる各文字板115に適用されるものとして説明したがこれに限らず、車両表示装置100において奥行き方向X前面側に露出し運転者を含む乗員の視界にはいりうる部分の他の化粧部材に適用されてもよい。装飾部品1は、見返し部材110や速度計102、回転計104等の周りに設けられる環状化粧部材(リング部材)等に適用されてもよい。
【0045】
以上の説明では、第1模様11が施された第1加飾領域10は、略扇形状に形成され、平坦層4、第2模様層5が施された第2加飾領域20は、略円形状に形成されるものとして説明したがこれに限らない。第1加飾領域10、第2加飾領域20は、第1模様層3、平坦層4、第2模様層5が積層される構成であれば、それぞれ略矩形状、略三角形状等、種々の形状であってもよい。
【0046】
以上の説明では、装飾部品1は、平坦層4の平坦面4b上に第2模様21を含む第2模様層5が積層されるものとして説明したがこれに限らず、第2模様21を含む第2模様層5を備えない構成であってもよい。この場合、装飾部品1は、平坦層4の平坦面4bが第1模様11とは異なる加飾を構成することとなる。
【0047】
以上の説明では、第1インク3a、第2インク4a、第3インク5aは、透明インクを用いるものとして説明したがこれに限らず、白色インクや着色インクが用いられてもよい。
【0048】
以上で説明した第1模様層3、平坦層4、及び、第2模様層5の積層構造は、平坦層4、及び、第2模様層5が交互にさらに複数層設けられていてもよい。