(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の変位検出装置の実施の形態例について、
図1〜
図15を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
また、以下の説明において記載される各種のレンズは、単レンズであってもよいし、レンズ群であってもよい。
【0013】
1.第1の実施の形態例
まず、本発明の変位検出装置の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)の構成を
図1〜
図6に従って説明する。
【0014】
1−1.変位検出装置の構成例
図1は、変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図1に示すように、変位検出装置1は、被測定物Tに対向するヘッド2と、被測定物Tの厚みA1を演算する厚み検出部3とを有している。ヘッド2は、光源11と、第1レンズ12と、分離光学系13と、対物レンズ14と、第2レンズ15と、非点収差発生部16と、分割光学系17と、第1の受光部18と、第2の受光部19とを有している。なお、厚み検出部3は、ヘッド2内に収容してもよく、あるいはヘッド2の外部に設けた携帯情報処理端末や、PC(パーソナルコンピュータ)に配置してもよい。
【0015】
被測定物Tは、光を透過可能な性質を有する材料によって略平板状に形成されている。被測定物Tは、第1の面を示す表面T1と、表面T1と対向する第2の面を示す裏面T2を有している。そして、変位検出装置1は、被測定物Tにおける表面T1と裏面T2が対向する方向である高さ方向Zの長さ、すなわち被測定物Tの厚みA1を検出する。
【0016】
光源11は、例えば、半導体レーザダイオードやスーパールミネッセンスダイオード、ガスレーザ、固体レーザ、発光ダイオード等が挙げられる。光源11は、ヘッド2に着脱可能に取り付けられている。光源11をヘッド2に着脱可能に取り付けることにより、ヘッド2を設置箇所から取り外さなくても、劣化した光源11を新しい光源11と交換することができる。これにより、光源11を交換する度にヘッド2の設置位置がずれる心配がなく、信頼性を必要とする測定や製造装置に変位検出装置1を使用する場合に有利となる。
【0017】
第1レンズ12は、光源11の出射側に配置されている。第1レンズ12は、例えば、コリメートレンズ等により構成されている。第1レンズ12は、光源11から出射された光Lを平行光にコリメートする。第1レンズ12により平行光にコリメートされた光Lは、分離光学系13に入射する。
【0018】
分離光学系13は、例えば、ビームスプリッタやハーフミラー等により構成されている。分離光学系13は、光源11から出射された光Lを透過させる。また、分離光学系13は、被測定物Tの表面T1によって反射された第1反射光L1と、被測定物Tの裏面T2によって反射された第2反射光L2を反射させる。すなわち、分離光学系13は、第1反射光L1及び第2反射光L2の光路を、光源11から出射された光Lの光路と分離させる。
【0019】
分離光学系13と被測定物Tの間には、対物レンズ14が配置されている。対物レンズ14は、光源11から出射され、かつ分離光学系13を透過した光Lを被測定物Tに向けて集光する。対物レンズ14は、その焦点位置f1が被測定物T内又は被測定物Tの近傍に合わせた状態でヘッド2に固定されている。これにより、対物レンズ14が固定されるため、対物レンズ14に不要な振動が発生することを防ぐことができる。
【0020】
なお、本例の変位検出装置1では、対物レンズ14をヘッド2に固定する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、対物レンズ14を不図示のレンズ保持部を用いて対物レンズ14の光軸方向に移動可能に支持してもよい。これにより、被測定物Tが対物レンズ14の焦点位置f1から頻繁に外れる場合に、ヘッド2全体を移動させずに、対物レンズ14のみを移動させることができる。そして、対物レンズ14の焦点位置f1が被測定物T内又は被測定物Tの近傍に合わせた状態で、対物レンズ14は、レンズ保持部により所定の位置で固定される。そのため、対物レンズ14は、被測定物Tの厚みA1を検出する際は、所定の位置で固定される。
【0021】
また、被測定物Tの表面T1で反射された第1反射光L1と、被測定物Tの裏面T2で反射された第2反射光L2は、対物レンズ14による再び平行光にコリメートされるそして、第1反射光L1と第2反射光L2は、重なりながら再び分離光学系13に入射し、分離光学系13によって第2レンズに15向けて反射される。
【0022】
集光レンズの一例を示す第2レンズ15は、第1レンズ12と同様に、コリメータレンズ等により、構成されている。第2レンズ15は、分離光学系13によって反射された第1反射光L1と第2反射光L2を非点収差発生部16及び分割光学系17に向けて集光させる。
【0023】
なお、第1レンズ12、対物レンズ14及び第2レンズ15は、光源11の波長変動による焦点距離の変動を受けにくくする色消し対策(色収差補正)を施してもよい。これにより、光源11の波長や温度を監視しなくてもよく、被測定物Tの厚みA1を測定した測定値に補正を行う必要がなくなる。
【0024】
非点収差発生部16は、第2レンズ15と分割光学系17との間に配置されている。非点収差発生部16は、第2レンズ15によって集光された第1反射光L1と第2反射光L2に非点収差を発生させる。非点収差発生部16としては、例えば、第2レンズ15から出射された第1反射光L1と第2反射光L2の光路中に斜めに配置された透明な基板により構成される。
【0025】
非点収差発生部16としては、光路中に斜めに配置された透明な基板に限定されるものではなく、例えば、シリンドリカルレンズや、球面とシリンドリカル面を複合させたマルチレンズ等その他各種の光学部品を適用できるものである。
【0026】
分割光学系17は、例えば、ビームスプリッタやハーフミラー等により構成されている。分割光学系17は、非点収差発生部16を通過した光を2つに分割する。分割光学系17で反射された光は、第1の受光部18に入射し、分割光学系17を透過した光は、第2の受光部19に入射する。また、第1の受光部18と分割光学系17の間隔h1(
図3参照)と、第2の受光部19と分割光学系17の間隔h2(
図3参照)は、異なる長さに設定されている。なお、第1の受光部18と第2の受光部19の詳細な位置関係については、後述する。
【0027】
第1の受光部18と第2の受光部19のうち少なくとも一方は、分割光学系17から出射される光の光軸方向に沿って移動可能に支持されている。そして、第1の受光部18と第2の受光部19は、厚み測定を行う被測定物Tの基準となる厚みに応じて、その位置を調整することができる。
【0028】
第1受光ユニットを示す第1の受光部18は、被測定物Tの表面T1で反射され、非点収差発生部16により非点収差が発生した第1反射光L1の光量を検出する。第1の受光部18は、第1反射光L1の光軸に直交する平面上に並ぶ4つの受光素子31、32、33、34から構成されている(
図2及び
図5B参照)。なお、4つの受光素子31、32、33、34に照射される照射像(照射スポット)P1の形状については、後述する。
【0029】
第2受光ユニットを示す第2の受光部19は、被測定物Tの裏面T2で反射され、非点収差発生部16により非点収差が発生した第2反射光L2の光量を検出する。第2の受光部19は、第2反射光L2の光軸に直交する平面上に並ぶ4の受光素子41、42、43、44から構成されている(
図2及び
図6B参照)。なお、4つの受光素子41、42、43、55に照射される照射像(照射スポット)P2の形状については、後述する。
【0030】
第1の受光部18と第2の受光部19は、厚み検出部3に接続されている。そして、第1の受光部18と第2の受光部19は、得られたフォーカス信号を厚み検出部3に出力する。厚み検出部3は、第1の受光部18と第2の受光部19により得られるフォーカス信号を用いて被測定物Tの厚みA1を演算する。
【0031】
図2は、厚み検出部3を示すブロック図である。
図1及び2に示すように、厚み検出部3は、第1の受光部18に接続された第1絶対位置演算部21と、第2の受光部19に接続された第2絶対位置演算部22と、第1絶対位置演算部21と、第2絶対位置演算部22に接続された比較器23とを有している。
【0032】
図2に示すように、第1絶対位置演算部21は、第1加算器51と、第2加算器52と、差動増幅器53と、絶対位置演算器54とを有している。第1加算器51は、第1の受光部18の第1受光素子31と、第2受光素子32に接続されている。そして、第1加算器51は、第1受光素子31と第2受光素子32で光電変換された信号を加算する。第2加算器52は、第1の受光部18の第3受光素子33と、第4受光素子34に接続されている。そして、第2加算器52は、第3受光素子33と第4受光素子34で光電変換された信号を加算する。
【0033】
差動増幅器53は、第1加算器51と第2加算器52に接続されている。差動増幅器53は、第1加算器51と第2加算器52で加算された信号を差動増幅する。差動増幅器53は、絶対位置演算器54に接続されている。絶対位置演算器54は、差動増幅器53で演算された信号から被測定物Tの表面T1における高さ方向Zの絶対位置情報を演算する。
【0034】
第2絶対位置演算部22は、第1絶対位置演算部21と同様に、第1加算器61と、第2加算器62と、差動増幅器63と、絶対位置演算器64とを有している。第1加算器61は、第2の受光部19の第1受光素子41と、第2受光素子42に接続されている。そして、第1加算器61は、第1受光素子41と第2受光素子42で光電変換された信号を加算する。第2加算器62は、第2の受光部19の第3受光素子43と、第4受光素子44に接続されている。そして、第2加算器62は、第3受光素子43と第4受光素子44で光電変換された信号を加算する。
【0035】
差動増幅器63は、第1加算器61と第2加算器62に接続されている。差動増幅器63は、第1加算器61と第2加算器62で加算された信号を差動増幅する。差動増幅器63は、絶対位置演算器64に接続されている。絶対位置演算器64は、差動増幅器63で演算された信号から被測定物Tの裏面T2における高さ方向Zの絶対位置情報を演算する。
【0036】
第1絶対位置演算部21及び第2絶対位置演算部22における詳細な絶対位置情報の演算方法については、後述する。
【0037】
比較器23は、第1絶対位置演算部21の絶対位置演算器54と、第2絶対位置演算部22の絶対位置演算器64に接続されている。比較器23は、第1絶対位置演算部21で演算された表面T1の絶対位置情報と、第2絶対位置演算部22で演算された裏面T2の絶対位置情報の差から被測定物Tの厚みA1を演算し、演算した厚みA1を出力する。
【0038】
1−2.第1の受光部と第2の受光部の位置関係
次に、
図3及び
図4を参照して、第1の受光部18と第2の受光部19の詳細な位置関係について説明する。
図3は、被測定物Tに照射された光の状態を示す説明図、
図4は、第1の受光部18と第2の受光部19の位置関係を示す説明図である。
【0039】
まず、
図3に示すように、被測定物Tは、照射された実線で示す光Lを表面T1で反射させ、また表面T1を透過した光Lを裏面T2で反射させている。そのため、被測定物Tに照射された光Lは、第1の面を示す表面T1で反射された一点鎖線で示す第1反射光L1と、第2の面を示す裏面T2で反射された二点鎖線で示す第2反射光L2となる。また、上述したように、対物レンズ14の焦点位置f1は、被測定物T内又は被測定物Tの近傍に合うように設定されている。そのため、第1反射光L1と第2反射光L2は、被測定物Tの厚みA1分の長さの違いで、わずかに波面が異なる。
【0040】
図4に示すように、第1の受光部18は、第2レンズ15からその受光面までの光路長が、表面T1で反射された第1反射光L1が受光面で集光する長さに設定されている。そのため、第1の受光部18の受光面には、第1反射光L1の照射像P1が結像される。また、第1の受光部18における第2レンズ15からその受光面までの光路長は、裏面T2で反射された第2反射光L2が発散する長さに設定されている。そのため、第1の受光部18における第2レンズ15からその受光面までの光路長は、第1の受光部18で第1反射光L1のフォーカス信号を検出可能な範囲で、かつ第2反射光L2のフォーカス信号は検出不能な範囲に設定される。
【0041】
これに対して、第2の受光部19は、第2レンズ15からその受光面までの光路長が、裏面T2で反射された第2反射光L2が受光面で集光する長さの位置に配置されている。そのため、第2の受光部19の受光面には、第2反射光L2の照射像P2が結像される。また、第2の受光部19における第2レンズ15からその受光面までの光路長は、表面T1で反射された第1反射光L1が発散する長さに設定されている。そのため、第2の受光部19における第2レンズ15からその受光面までの光路長は、第2の受光部19で第2反射光L2のフォーカス信号を検出可能な範囲で、かつ第1反射光L1のフォーカス信号は検出不能な範囲に設定される。
【0042】
ここで、第1反射光L1と第2反射光L2における第2レンズ15から分割光学系17までの光路長が等しい。そのため、第1の受光部18の受光面から分割光学系17までの間隔h1と、第2の受光部19の受光面から分割光学系17までの間隔h2を調整することで、第1の受光部18と第2の受光部19までの光路長が上述した範囲に設定されている。なお、被測定物Tの厚みA1分の長さの違いで、第1の受光部18の受光面から分割光学系17までの間隔h1と、第2の受光部19の受光面から分割光学系17までの間隔h2は、異なる長さになる。
【0043】
1−3.第1絶対位置演算部及び第2絶対位置演算部の絶対位置情報の演算方法
次に、
図5及び
図6を参照して、第1絶対位置演算部及び第2絶対位置演算部の絶対位置情報の演算方法について説明する。
【0044】
図5Aは、第1の受光部18で得られるフォーカス信号の特性を示しており、
図5Bは、第1の受光部18の受光面に照射される照射像の例を示している。なお、
図5Aの横軸は、被測定物Tの表面T1と裏面T2と直交する高さ方向Zの位置を示し、縦軸は第1絶対位置演算部21の差動増幅器53から出力されるフォーカス信号を示している。
【0045】
図5Bに示すように、第1の受光部18は、第1受光素子31と、第2受光素子32と、第3受光素子33と、第4受光素子34が第1反射光L1の光軸周りに所定の間隔を開けて配置されている。第1受光素子31と第2受光素子32は、第1反射光L1の光軸を挟んで対向しており、第3受光素子33と第4受光素子34は、第1反射光L1の光軸を挟んで対向している。
【0046】
上述したように、第1の受光部18は、第2レンズ15からその受光面までの光路長が、表面T1で反射された第1反射光L1が受光面で集光する長さで、かつ裏面T2で反射された第2反射光L2が発散する長さの位置に配置されている。そのため、
図5Bに示すように、第1の受光部18の4つの受光素子31〜34には、第1反射光L1の照射像P1が結像され、その周囲には第2反射光L2の照射像P2が照射される。この第2反射光L2の照射像P2は、第1の受光部18の4つの受光素子31〜34では、検出不能な光量となっている。
【0047】
また、第1反射光L1には、非点収差発生部16により非点収差が加えられている。そのため、対物レンズ14の焦点位置f1が被測定物Tの表面T1と裏面T2の中間付近に位置している場合、照射像P1が最も小さくなる。そして、表面T1の高さ方向Zの絶対位置が変化すると、第1の受光部18に照射される第1反射光L1の照射像P1は、第1受光素子31及び第2受光素子32側に延びた楕円形、または第3受光素子33及び第4受光素子34側に延びた楕円形に変化する。
【0048】
第1受光素子31から出力される出力信号をA、第2受光素子32から出力される出力信号をB、第3受光素子33から出力される出力信号をC、第4受光素子34から出力される出力信号をDとすると、第1絶対位置演算部21の差動増幅器53から出力されるフォーカス信号S
Fは、下記式1によって表される。
[式1]
S
F=(A+B)−(C+D)
【0049】
そして、第1絶対位置演算部21の差動増幅器53から出力されるフォーカス信号S
Fの特性は、
図5Aに示すようになる。
図5Aに示すフォーカス信号S
Fの値が「0」を通り、高さ方向Zの変化に対してフォーカス信号S
Fの変化が線形に変化する領域、すなわち一次関数で表現可能な領域が、第1の受光部18のフォーカス信号検出範囲S1となる。
【0050】
そして、第1絶対位置演算部21の絶対位置演算器54は、差動増幅器53から出力されたフォーカス信号S
Fから、被測定物Tの表面T1の高さ方向Zの絶対位置情報に変換(演算)し、比較器23に出力する。
【0051】
次に、第2絶対位置演算部22の絶対位置情報の演算方法について
図6A及び
図6Bを参照して説明する。
図6Aは、第2の受光部19で得られるフォーカス信号の特性を示しており、
図6Bは、第2の受光部19の受光面に照射される照射像の例を示している。なお、
図6Aの横軸は、高さ方向Zの位置を示し、縦軸は第2絶対位置演算部22の差動増幅器63から出力されるフォーカス信号を示している。
【0052】
図6Bに示すように、第2の受光部19は、第1の受光部18と同様に、第1受光素子41と、第2受光素子42と、第3受光素子43と、第4受光素子44が第2反射光L2の光軸周りに所定の間隔を開けて配置されている。第1受光素子41と第2受光素子42は、第2反射光L2の光軸を挟んで対向しており、第3受光素子43と第4受光素子44は、第2反射光L2の光軸を挟んで対向している。
【0053】
上述したように、第2の受光部19は、第2レンズ15からその受光面までの光路長が、裏面T2で反射された第2反射光L2が受光面で集光する長さで、かつ表面T1で反射された第1反射光L1が発散する長さの位置に配置されている。そのため、
図6Bに示すように、第2の受光部19の4つの受光素子41〜44には、第2反射光L2の照射像P2が結像され、その周囲には第1反射光L1の照射像P1が照射される。この第1反射光L1の照射像P1は、第2の受光部19の4つの受光素子41〜44では、検出不能な光量となっている。
【0054】
また、第2反射光L2には、第1反射光L1と同様に、非点収差発生部16により非点収差が加えられている。そのため、対物レンズ14の焦点位置f1が被測定物Tの表面T1と裏面T2の中間付近に位置している場合、照射像P2が最も小さくなる。そして、裏面T2の高さ方向Zの絶対位置が変化すると、第2の受光部19に照射される第2反射光L2の照射像P2は、第1受光素子41及び第2受光素子42側に延びた楕円形、または第3受光素子43及び第4受光素子44側に延びた楕円形に変化する。
【0055】
第1受光素子41から出力される出力信号をA、第2受光素子42から出力される出力信号をB、第3受光素子43から出力される出力信号をC、第4受光素子44から出力される出力信号をDとすると、第2絶対位置演算部22の差動増幅器63から出力されるフォーカス信号S
Fは、上述した式1によって表される。
【0056】
そして、第2絶対位置演算部22の差動増幅器63から出力されるフォーカス信号S
Fの特性は、
図6Aに示すようになる。
図6Aに示すフォーカス信号S
Fの値が「0」を通り、高さ方向Zの変化に対してフォーカス信号S
Fの変化が線形に変化する領域、すなわち一次関数で表現可能な領域が、第2の受光部19のフォーカス信号検出範囲S2となる。
【0057】
そして、第2絶対位置演算部22の絶対位置演算器64は、差動増幅器63から出力されたフォーカス信号S
Fから、被測定物Tの裏面T2の高さ方向Zの絶対位置情報に変換(演算)し、比較器23に出力する。
【0058】
1−4.変位検出装置の動作
次に、上述した構成を有する変位検出装置1の動作例、すなわち変位検出装置1を用いた被測定物Tの厚みA1の測定例について説明する。
【0059】
まず、第1の受光部18及び第2の受光部19の取り付け位置を、厚み測定を行う被測定物Tの基準となる厚みに応じて調整する。具体的には、第1の受光部18及び第2の受光部19のうち少なくとも一方を、分割光学系17から出射される光の光軸方向に沿って移動させる。被測定物Tの厚みに応じて第1の受光部18及び第2の受光部19のうち少なくとも片側を調整することで、より多種な被測定物の厚みの測定が可能になる。
【0060】
また、高精度な平面ミラーを用いて、第1の受光部18と第2の受光部19で検出される値が同一面で同じ値になるように、比較器23で校正を行ってもよい。これにより、第1絶対位置演算部21及び第2絶対位置演算部22で出力されるフォーカス信号S
Fの値が「0」となる位置の校正を行うことができる。
【0061】
さらに、厚みと屈折率が高精度に管理された基準器を用いて、その表面と裏面で反射された反射光のファーカス信号S
Fの値が「0」となるように、第1の受光部18及び第2の受光部19のうち少なくとも一方を調整し、変位検出装置1で測定される厚みの絶対値を校正してもよい。
【0062】
なお、第1の受光部18及び第2の受光部19を配置する位置は、
図5A及び
図6Aに示すように、照射される照射像P1、P2がフォーカス信号検出範囲S1、S2の範囲に収まればよい。そのため、対物レンズ14の焦点位置f1を厳密に調整する必要がなく、対物レンズ14を設置する際の取り付け精度の許容範囲を広げることができ、対物レンズ14の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0063】
次に、上述した第1の受光部18、第2の受光部19や厚み検出部3の初期設定を行った変位検出装置1の光源11から光Lを出射させて、ヘッド2から被測定物Tに向けて光Lを照射させる。被測定物Tに照射された光Lは、第1レンズ12によって平行光にコリメートされると共に分離光学系13を透過する。そして、光Lは、対物レンズ14によって集光されて被測定物Tに照射される。
図1及び
図3に示すように、光Lは、被測定物Tの表面T1で反射され、また、被測定物Tの表面T1を透過した光Lは、裏面T2で反射される。
【0064】
表面T1で反射された第1反射光L1と裏面T2で反射された第2反射光L2は、重なり合った状態で、対物レンズ14によって平行光にコリメートされて、分離光学系13に照射される。第1反射光L1と第2反射光L2は、分離光学系13によって反射されて、第2レンズ15に照射される。そして、第1反射光L1と第2反射光L2は、第2レンズによって集光され、非点収差発生部16を透過して分割光学系17に照射される。
【0065】
第1反射光L1と第2反射光L2は、それぞれ非点収差発生部16を透過することで、非点収差発生部16により、非点収差が加えられている。そして、第1反射光L1と第2反射光L2が重なり合った光は、分割光学系17によって2つに分割されて、第1の受光部18と、第2の受光部19に受光される。
【0066】
第1の受光部18は、第1反射光L1を受光し、第2の受光部19は、第2反射光L2を受光する。第1の受光部18は、受光した第1反射光L1を光電変換することで得られた信号を第1絶対位置演算部21に出力する。また、第2の受光部19は、受光した第2反射光L2を光電変換することで得られた信号を第2絶対位置演算部22に出力する。
【0067】
そして、第1絶対位置演算部21は、第1の受光部18からの信号に基づいて被測定物Tの表面T1の絶対位置情報、すなわち高さ方向Zの位置を演算し、比較器23に出力する。第2絶対位置演算部22は、第2の受光部19からの信号に基づいて被測定物Tの裏面T2の絶対位置情報、すなわち高さ方向Zの位置を演算し、比較器23に出力する。なお、第1絶対位置演算部21及び第2絶対位置演算部22での絶対位置情報の演算方法は、上述したため、ここではその説明は省略する。なお、第1絶対位置演算部21による絶対位置情報演算動作と、第2絶対位置演算部22による絶対位置情報演算動作は、互いに同期して行われる。
【0068】
次に、比較器23は、第1絶対位置演算部21で演算された表面T1の絶対位置情報と、第2絶対位置演算部22で演算された裏面T2の絶対位置情報の差から被測定物Tの厚みA1を演算し、演算した厚みA1を出力する。これにより、変位検出装置1を用いた被測定物Tの厚みA1の測定動作が完了する。
【0069】
本例の変位検出装置1によれば、被測定物Tの表面T1に入射する光と裏面T2に入射する光は、同じ光源11から出射され、同じ第1レンズ12、分離光学系13及び対物レンズ14を通過している。すなわち、表面T1に入射する光と裏面T2に入射する光は、光源11、第1レンズ12、分離光学系13及び対物レンズ14を共有している。
【0070】
また、被測定物Tの表面T1から反射される第1反射光L1と、裏面T2から反射される第2反射光L2は、同じ対物レンズ14、分離光学系13、第2レンズ15、非点収差発生部16及び分割光学系17を通過している。すなわち、第1反射光L1と第2反射光L2は、対物レンズ14、分離光学系13、第2レンズ15、非点収差発生部16及び分割光学系17を共有している
【0071】
そのため、光源11、第1レンズ12、分離光学系13、対物レンズ14、第2レンズ15、非点収差発生部16及び分割光学系17に生じる振動や、設置位置の誤差は、被測定物Tの表面T1に入射する光と裏面T2に入射する光や、第1反射光L1と第2反射光L2に対して等しく作用する。
【0072】
さらに、第1絶対位置演算部21による表面T1の絶対位置情報演算動作と第2絶対位置演算部22による裏面T2の絶対位置情報演算動作は、互いに同期して行われる。そのため、表面T1の絶対位置情報や裏面T2の絶対位置情報を演算する際に、光源11や非点収差発生部16等の部品による振動や設置位置の誤差による影響をキャンセルすることができ、安定した測定を行うことができる。
【0073】
さらに、比較器23において被測定物Tの表面T1と裏面T2の絶対位置情報の差分を演算することで被測定物Tの厚みA1を演算するため、対物レンズ14の焦点位置f1を被測定物Tの表面T1や裏面T2に合わせる必要がない。そのため、本例の変位検出装置1では、被測定物Tの測定を行う間は、対物レンズ14をヘッド2に固定することができ、対物レンズ14をその光軸方向に移動させるアクチュエータ等の移動機構を設ける必要がない。その結果、従来の変位検出装置のように対物レンズ14を移動させる際に生じる機械的な振動が発生することがないため、高精度に被測定物Tの厚みA1を測定することができ、高速で安定した測定を行うことができる。
【0074】
また、被測定物Tがヘッド2からの光Lの照射範囲から外れた場合、測定を行うことはできなくなる。しかしながら、本例の変位検出装置1では、対物レンズ14の焦点位置f1を合わせる動作を必要としないため、再び被測定物Tが光Lの照射範囲、すなわち対物レンズ14の焦点位置f1の近傍に被測定物Tが配置された際、即座に被測定物Tの厚みA1を測定することができる。
【0075】
また、第1絶対位置演算部21と第2絶対位置演算部22の差動増幅器53、63は、被測定物Tの反射率の変化で出力値が変化するおそれがある。この場合、第1絶対位置演算部21は、第1の受光部18で得られる絶対位置情報に対して、第1の受光部18の総受光量で割ってもよい。この総受光量とは、第1の受光部18の4つの受光素子31、32、33、34で得られる光量の総和である。
【0076】
同様に、第2絶対位置演算部22は、第2の受光部19で得られる絶対位置情報に対して、第2の受光部19の総受光量で割ってもよい。この総受光量とは、第2の受光部19の4つの受光素子41、42、43、44で得られる光量の総和である。これにより、被測定物Tからの反射光量の影響を抑制することができ、光量の変化による第1絶対位置演算部21と第2絶対位置演算部22で演算される絶対位置情報の変化を抑えることができる。
【0077】
第2反射光L2は、被測定物Tの表面T1を透過して被測定物T内を通過する。そのため、例えば、裏面T2の絶対位置情報を演算する第2絶対位置演算部22や比較器23に、被測定物Tの屈折率の係数を予め代入可能にしてもよい。さらに、実際の被測定物Tの厚みA1は、被測定物Tの屈折率で割った値に近くなるため、比較器23において演算した厚みA1を屈折率に基づいて補正してもよい。
【0078】
また、比較器23から出力される情報は、被測定物Tの厚みA1に対応したデジタルの厚み情報と、被測定物Tの厚みA1をアナログの電圧値に変換した情報と、で選択可能にしてもよい。比較器23から出力される情報が、アナログの電圧値であれば、より高速でデータ遅延の被測定物Tの厚みA1情報を出力することができる。
【0079】
2.第2の実施の形態例
次に、
図7を参照して第2の実施の形態例に係る変位検出装置について説明する。
図7は、第2の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
【0080】
この第2の実施の形態例に係る変位検出装置101が、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と異なる点は、分離光学系の構成である。そのため、ここでは、分離光学系について説明し、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0081】
図7に示すように、変位検出装置101は、被測定物Tに対向するヘッド102と、厚みを演算する厚み検出部103とを有している。ヘッド102は、光源11と、第1レンズ12と、偏光ビームスプリッタ113と、位相板125と、対物レンズ14と、第2レンズ15と、非点収差発生部16と、分割光学系17と、第1の受光部18と、第2の受光部19とを有している。
【0082】
変位検出装置101では、偏光ビームスプリッタ113と位相板125により、分離光学系が構成される。なお、第1レンズ12、対物レンズ14、第2レンズ15、非点収差発生部16、分割光学系17、第1の受光部18及び第2の受光部19は、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と同一であるため、その説明は省略する。
【0083】
偏光ビームスプリッタ113は、s偏光の光を反射して、p偏光の光を透過させる。そして、光源11から出射された光Lは、偏光ビームスプリッタ113に入射する前に、p偏光に変換されている。そのため、偏光ビームスプリッタ113に入射した光Lは、偏光ビームスプリッタ113を透過する。偏光ビームスプリッタ113と対物レンズ14の間には、位相板125が配置されている。
【0084】
位相板125は、例えば、1/4波長板等から構成されている。そのため、位相板125は、通過する光がp偏光の場合、進行方向を中心軸として第1の向きに回転する円偏光に変換させる。また、通過する光が第1の向きに回転する円偏光の場合、s偏光に変換させる。さらに、通過する光がs偏光の場合、進行方向を中心軸として第1の方向とは反対である第2の向きに回転する円偏光に変換させる。そして、通過する光が第2の向きに回転する円偏光の場合、p偏光に変換させる。
【0085】
そして、偏光ビームスプリッタ113を透過して光Lの偏光方向は、p偏光であるため、位相板125を通過することで、進行方向を中心軸として第1の向きに回転する円偏光に変換する。また、被測定物Tの表面T1で反射された第1反射光L1と裏面T2で反射された第2反射光L2の偏光方向は、位相板125を通過する前では、進行方向を中心軸として第1の向きに回転する円偏光である。そのため、第1反射光L1と第2反射光L2が位相板125を通過すると、その偏光方向は、s偏光に変換される。
【0086】
そして、第1反射光L1と第2反射光L2は、その偏光方向がs偏光であるため、偏光ビームスプリッタ113によって反射されて、第2レンズ15に照射される。
【0087】
その他の構成は、第1の実施の形態に係る変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置101によっても、上述した第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
また、被測定物Tが複屈折等の偏光特性が無い場合、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1よりも第2の実施の形態例に係る変位検出装置101のほうが、被測定物Tに照射させる光Lの光量を多くすることができ、ノイズレベル等の信号品質を向上させることができる。
【0089】
3.第3の実施の形態例
次に、
図8〜
図11を参照して第3の実施の形態例に係る変位検出装置について説明する。
図8は、第3の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図9は、第3の実施の形態例に係る変位検出装置の厚み検出部を示すブロック図である。
図10は、第3の実施の形態例に係る変位検出装置における第1の受光部及び第2の受光部の受光面に照射される照射像の例を示す説明図である。
図11は、第3の実施の形態例に係る変位検出装置の第1の受光部及び第2の受光部で検出された光量から得られるフォーカス信号の特性を示す説明図である。
【0090】
この第3の実施の形態例に係る変位検出装置201は、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1における非点収差発生部に代えてナイフエッジ法を用いたものである。そのため、ここでは、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0091】
変位検出装置201は、被測定物Tに対向するヘッド202と、厚みを演算する厚み検出部203とを有している。ヘッド202は、光源211と、第1レンズ212と、分離光学系213と、対物レンズ214と、第2レンズ215と、分割光学系217と、第1ナイフエッジ226と、第2ナイフエッジ227と、第1の受光部218と、第2の受光部219とを有している。光源211、第1レンズ212、分離光学系213、対物レンズ214、第2レンズ215及び分割光学系217は、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と同様であるため、その説明は省略する。
【0092】
第1ナイフエッジ226は、分割光学系217と第1の受光部218の間に配置され、第2ナイフエッジ227は、分割光学系217と第2の受光部219の間に配置されている。第1ナイフエッジ226は、分割光学系217で反射された第1反射光L1と第2反射光L2が重なり合った光のうち光軸と直交する平面の領域の略半分の領域を遮蔽する。同様に、第2ナイフエッジ227は、分割光学系217を透過した第1反射光L1と第2反射光L2が重なり合った光のうち光軸と直交する平面の領域の略半分の領域を遮蔽する。
【0093】
さらに、第1ナイフエッジ226と分割光学系217の間隔h3は、第1反射光L1が第1ナイフエッジ226の近傍で結像され、第2反射光L2が第1の受光部218の受光面で発散する長さに設定されている。また、第2ナイフエッジ227と分割光学系217の間隔h4は、第2反射光L2が第2のナイフエッジ227の近傍で結像され、第1反射光L1が第2の受光部219の受光面で発散する長さに設定されている。なお、第1ナイフエッジ226と第2ナイフエッジ227を配置する位置は、被測定物Tの厚みA1に応じて、調整される。
【0094】
図9に示すように、厚み検出部203は、第1の受光部218に接続された第1絶対位置演算部221と、第2の受光部219に接続された第2絶対位置演算部222と、第1絶対位置演算部221と、第2絶対位置演算部222に接続された比較器223とを有している。
【0095】
第1絶対位置演算部221は、差動増幅器253と、絶対位置演算器254とを有している。差動増幅器253は、第1の受光部218の第1受光素子231と、第2受光素子232に接続されている。差動増幅器253は、第1受光素子231と第2受光素子232で光電変換された信号を差動増幅する。差動増幅器253は、絶対位置演算器254に接続されている。そして、絶対位置演算器254は、差動増幅器253からの信号に基づいて被測定物Tの表面T1における高さ方向Zの絶対位置情報を演算する。
【0096】
第2絶対位置演算部222は、第1絶対位置演算部221と同様に、差動増幅器263と、絶対位置演算器264とを有している。差動増幅器263は、第2の受光部219の第1受光素子241と、第2受光素子242に接続されている。差動増幅器263は、第1受光素子241と第2受光素子242で光電変換された信号を差動増幅する。差動増幅器263は、絶対位置演算器264に接続されている。そして、絶対位置演算器264は、差動増幅器263からの信号に基づいて被測定物Tの裏面T2における高さ方向Zの絶対位置情報を演算する。
【0097】
比較器223は、第1絶対位置演算部221の絶対位置演算器254と、第2絶対位置演算部222の絶対位置演算器264に接続されている。比較器223は、第1絶対位置演算部221で演算された表面T1の絶対位置情報と、第2絶対位置演算部222で演算された裏面T2の絶対位置情報の差から被測定物Tの厚みを演算し、演算した厚みを出力する。
【0098】
図10に示すように、第1の受光部218及び第2の受光部219の第1受光素子231、241、第2受光素子232、242は、光軸を挟んで対向している。第1の受光部218及び第2の受光部219のそれぞれ2つの受光素子231、241、232、242には、第1反射光L1又は第2反射光L2の照射像Pが結像される。具体的には、第1の受光部218の2つの受光素子231、232には、第1反射光L1の照射像が結像され、第2の受光部219の2つの受光素子241、242には、第2反射光L2の照射像が照射される。
【0099】
第1反射光L1及び第2反射光L2は、第1ナイフエッジ226及び第2ナイフエッジ227によって光軸と直交する平面の略半分が遮光されている。そのため、表面T1又は裏面T2の高さ方向Zの絶対位置が変化すると、第1の受光部218又は第2の受光部219に照射される照射像Pは、第1受光素子231、241側、または第2受光素子232、242側に移動する。
【0100】
そのため、第1絶対位置演算部221及び第2絶対位置演算部222は、それぞれ、2つの受光素子231、241、232、242で光電変換された信号を差動増幅器253、263で差増増幅することで、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と同様な、
図11に示すような、フォーカス信号を得ることができる。
【0101】
その他の構成は、第1の実施の形態に係る変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このようなナイフエッジ法を用いた構成を有する変位検出装置201によっても、上述した第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0102】
4.第4の実施の形態例
次に、
図12及び
図13を参照して第4の実施の形態例に係る変位検出装置について説明する。
図12は、第4の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図13は、第4の実施の形態例に係る変位検出装置における第1受光側導光部材及び第2受光側導光部材の受光面に照射される照射像の例を示す説明図である。
【0103】
この第4の実施の形態例に係る変位検出装置301は、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1における光源11、第1の受光部18及び第2の受光部19をヘッド2の外側に配置したものである。そのため、ここでは、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0104】
図12に示すように、変位検出装置301は、光源11と、ヘッド302と、第1受光ユニット325と、第2受光ユニット326と、厚み検出部3とを有している。ヘッド302には、第1レンズ12と、分離光学系13と、対物レンズ14と、第2レンズ15と、非点収差発生部16と、分割光学系17が配置されている。
【0105】
また、変位検出装置301は、照射側導光部材304と、第1受光側導光部材305と、第2受光側導光部材306とを有している。照射側導光部材304は、例えば、光ファイバにより構成されている。照射側導光部材304は、光源11から照射された光Lをヘッド302の第1レンズ12まで導光する。
【0106】
第1受光側導光部材305は、分割光学系17によって反射された第1反射光L1を第1の受光部18まで導光する。そして、第2受光側導光部材306は、分割光学系17を透過した第2反射光L2を第2の受光部19まで導光する。また、第1受光側導光部材305と第1の受光部18で第1受光ユニット325を構成し、第2受光側導光部材306と第2の受光部19で第2受光ユニット326を構成している。そのため、第1受光側導光部材305における光を受光する受光面が、第1受光ユニット325の受光面となる。また、第2受光側導光部材306における光を受光する受光面が、第2受光ユニット326の受光面となる。
【0107】
第1受光側導光部材305の受光面と分割光学系17の間隔h1は、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1における第1の受光部18の受光面と分割光学系17の間隔h1と等しく設定されている。そのため、第1受光側導光部材305の受光面には、第1反射光L1の照射像P1が結像され、第2反射光L2は発散する。そのため、第1受光側導光部材305は、第1反射光L1を第1の受光部18まで導光することができる。
【0108】
第2受光側導光部材306の受光面と分割光学系17の間隔h2は、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1における第2の受光部19の受光面と分割光学系17の間隔h1と等しく設定されている。そのため、第2受光側導光部材306の受光面には、第2反射光L2の照射像P2が結像され、第1反射光L1は発散する。そのため、第2受光側導光部材306は、第2反射光L2を第2の受光部19まで導光することができる。
【0109】
図13に示すように、第1受光側導光部材305及び第2受光側導光部材306は、それぞれ第1光ファイバ321と、第2光ファイバ322と、第3光ファイバ323と、第4光ファイバ324とを有している。第1光ファイバ321、第2光ファイバ322、第3光ファイバ323、第4光ファイバ324は、光の光軸周りに配置されている。第1光ファイバ321と第2光ファイバ322は、光軸を挟んで対向しており、第3光ファイバ323と第4光ファイバ324は、光軸を挟んで対向している。
【0110】
第1光ファイバ321における光の出射端は、受光部18、19の第1受光素子31、41(
図6B、
図7B参照)に対向している。第2光ファイバ322における光の出射端は、受光部18、19の第2受光素子32、42に対向し、第3光ファイバ323における光の出射端は、受光部18、19の第3受光素子33、43に対向している。そして、第4光ファイバ324は、受光部18、19の第4受光素子34、44に対向している。
【0111】
表面T1や、裏面T2の高さ方向Zの絶対位置が変化すると、第1受光側導光部材305や第2受光側導光部材306の受光面に照射される第1反射光L1の照射像P1や第2反射光L2の照射像P2は、第1光ファイバ321及び第2光ファイバ322側に延びた楕円形、または第3光ファイバ323及び第4光ファイバ324側に延びた楕円形に変化する。
【0112】
その他の構成は、第1の実施の形態に係る変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置301によっても、上述した第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0113】
この第4の実施の形態例に係る変位検出装置401によれば、熱源となる光源11を他の部材から離すことができる。また、ヘッド302から離れた場所で、光源11や第1の受光部18及び第2の受光部19のメンテナンスが可能となり、作業性が向上する。さらに、外部からの強磁界によって光や、第1の受光部18や、第2の受光部19に与える影響を防止することができる。
【0114】
5.第5の実施の形態例
次に、
図14を参照して第5の実施の形態例に係る変位検出装置について説明する。
図14は、第5の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
【0115】
この第5の実施の形態例に係る変位検出装置401は、第4の実施の形態例に係る変位検出装置301と同様に、第3の実施の形態例に係る変位検出装置201における光源211、第1の受光部218及び第2の受光部219をヘッド202の外側に配置してものである。そのため、ここでは、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1及び第3の実施の形態例に係る変位検出装置201と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0116】
図14に示すように、変位検出装置401は、光源211と、ヘッド402と、第1受光ユニット425と、第2受光ユニット426と、厚み検出部203とを有している。ヘッド402には、第1レンズ212と、分離光学系213と、対物レンズ214と、第2レンズ215と、分割光学系217と、第1ナイフエッジ226と、第2ナイフエッジ227が配置されている。
【0117】
また、変位検出装置401は、照射側導光部材404と、第1受光側導光部材405と、第2受光側導光部材406とを有している。照射側導光部材404は、例えば、光ファイバにより構成されている。照射側導光部材404は、光源211から照射された光Lをヘッド402の第1レンズ212まで導光する。
【0118】
第1受光側導光部材405は、第1反射光L1を第1の受光部218まで導光し、第2受光側導光部材406は、第2反射光L2を第2の受光部219まで導光する。また、第1受光側導光部材405と第1の受光部218で第1受光ユニット425を構成し、第2受光側導光部材406と第2の受光部219で第2受光ユニット426を構成している。
【0119】
第1受光側導光部材405は、第1光ファイバ431と、第2光ファイバ432と、三角形状の反射プリズム433とを有している。反射プリズム433の頂点は、分割光学系217で反射された第1反射光L1の光軸と一致している。また、反射プリズム433の頂点を間に挟んで配置される2つの反射面は、被測定物Tの表面T1の高さ方向に変位した際に移動する照射像の移動方向に沿って配置されている。
【0120】
第1光ファイバ431及び第2光ファイバ432における光を受光する受光面は、反射プリズム433を間に挟んで対向している。また、第1光ファイバ431における光の出射端は、第1の受光部218の第1受光素子231(
図10参照)と対向し、第2光ファイバ432における光の出射端は、第1の受光部218の第2受光素子232(
図10参照)と対向している。
【0121】
第2受光側導光部材406は、第1受光側導光部材405と同様に、第1光ファイバ441と、第2光ファイバ442と、三角形状の反射プリズム443とを有している。反射プリズム443の頂点は、分割光学系217を透過した第2反射光L2の光軸と一致している。また、反射プリズム443の頂点を間に挟んで配置される2つの反射面は、被測定物Tの裏面T2の高さ方向に変位した際に移動する照射像の移動方向に沿って配置されている。
【0122】
第1光ファイバ441及び第2光ファイバ442における光を受光する受光面は、反射プリズム443を間に挟んで対向している。また、第1光ファイバ441における光の出射端は、第2の受光部219の第1受光素子241(
図10参照)と対向し、第2光ファイバ442における光の出射端は、第2の受光部219の第2受光素子242(
図10参照)と対向している。
【0123】
その他の構成は、第3の実施の形態に係る変位検出装置201と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置401によっても、上述した第3の実施の形態例に係る変位検出装置201や第4の実施の形態例に係る変位検出装置301と同様の作用効果を得ることができる。
【0124】
6.第6の実施の形態例
次に、
図15を参照して第6の実施の形態例に係る変位検出装置について説明する。
図15は、第6の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
【0125】
この第6の実施の形態例に係る変位検出装置501は、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1のヘッド2を用いて、高さ方向Zと直交する方向、すなわち被測定物の表面や裏面と平行する横方向Xの絶対位置を検出する装置である。そのため、ここでは、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0126】
図15に示すように、変位検出装置501は、ヘッド2と、変位測定部503と、スケール505とを有している。ヘッド2とスケール505は、互いに対向しており、少なくとも一方が横方向Xに移動可能に配置されている。なお、ヘッド2の構成は、第1の実施の形態例に係る変位検出装置1のヘッド2と同一であるため、ここではその説明は省略する。
【0127】
スケール505は、略平板状に形成されている。スケール505は、ヘッド2と対向する表面505aと、表面505aと対向する裏面505bとを有している。スケール505は、ヘッド2から照射された光Lを透過可能な部材で形成されている。さらに、スケール505は、ヘッド2から照射された光Lを表面505a及び裏面505bで反射する。
【0128】
表面505a及び裏面505bは、互いに対向する方向である高さ方向Zと直交する横方向Xと略平行に配置されている。スケール505の高さ方向Zの厚みA1、すなわち表面505aと裏面505bの間隔は、横方向Xに沿って連続的に一定の傾斜、又は段階的に変化している。
【0129】
変位測定部503は、第1絶対位置演算部521と、第2絶対位置演算部522と、比較器523と、変位変換器524とを有している。
【0130】
第1絶対位置演算部521は、第1の受光部18で光電変換された信号に基づいて、スケール505の表面505aにおける高さ方向Zの絶対位置情報を演算する。第2絶対位置演算部522は、第2の受光部19で光電変換された信号に基づいてスケール505の裏面505bにおける高さ方向Zの絶対位置情報を演算する。なお、第1絶対位置演算部521及び第2絶対位置演算部522における表面505a及び裏面505bの絶対位置情報の演算方法は、第1の実施の形態例に係る第1絶対位置演算部21及び第2絶対位置演算部22における被測定物Tの表面T1及び裏面T2の絶対位置情報の演算方法と同一である。
【0131】
比較器523は、第1絶対位置演算部521で演算されたスケール505の表面505aの絶対位置情報と、第2絶対位置演算部522で演算されたスケール505の裏面505bの絶対位置情報の差からスケール505の厚みA2を演算する。そして、比較器523は、変位変換器524に接続されており、演算したスケール505の厚みA2情報を変位変換器524に出力する。
【0132】
変位変換器524には、スケール505における厚みA2情報とスケール505の横方向Xにおける絶対位置情報とを対向付けしたテーブルが格納されている。変位変換器524は、予め格納されたテーブルを参照し、比較器523から出力されたスケール505の厚みA2情報を、横方向Xの絶対位置情報に変換する。これにより、この第6の実施の形態例に係る変位検出装置501によれば、スケール505の厚みA2からスケール505の横方向Xの絶対位置を検出することができる。
【0133】
例えば、スケール505の厚みA2を1mmとし、表面505aを横方向Xに10μm/mmの傾斜を持たせた場合について説明する。すなわち、スケール505は、横方向Xに1mm変位すると、厚みA2は、10μm変化する。この場合、フォーカス信号の検出範囲を±50μmとすることで、横方向Xの測定範囲の長さは10mmとなる。このときの高さ方向Zの検出分解能は、フォーカス信号検出範囲の1/10000である5nm程度になり、横方向Xの検出分解能は0.5μmとなる。
【0134】
その他の構成は、第1の実施の形態に係る変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置501によっても、上述した第1の実施の形態例に係る変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0135】
なお、第6の実施の形態例に係る変位検出装置501のヘッドとしては、第2〜第4の実施の形態例に係る変位検出装置101〜401のヘッドを用いてもよい。
【0136】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。上述した実施の形態例では、光源から照射される光は、気体中だけでなく、液体中又は真空中の空間を飛ばして光を供給するようにしてもよい。
【0137】
さらに、上述した実施の形態例に係る変位検出装置では、被測定物の表面と裏面の絶対位置情報から被測定物の厚さを測定する例を説明したが、これに限定されるものではない。本発明の変位検出装置は、例えば、被測定物における互いに対向する任意の2つの面の絶対位置情報から2つの面の間隔を測定してもよい。
【0138】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。