(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一枚の板紙を基材としたドリッパー本体成形用シートと、前記ドリッパー本体成形用シートの上面に固定したフィルター用シートとからなり、前記ドリッパー本体成形用シートを折り込むことにより成形される簡易ドリッパーであって、
前記ドリッパー本体形成用シートは、中央部位で直交する第1仮想線と第2仮想線が設定され、その中央部位に第1仮想線を挟んで、第2仮想線上で尖端同士が間隔を空けて対向する抽出孔開口用の一対のV字スリットと、前記一対のV字スリットのそれぞれの開放側端部から前記第1仮想線を挟んで相互に接近する方向に傾斜し前記ドリッパー本体形成用シートの端縁まで延在する一対の第1山折り用罫線とが設けられ、
前記一対のV字スリット及び前記一対の第1山折り用罫線で囲まれた部分が前記フィルター用シートを上面に受けて固定するフィルター受け部となるフィルター受け用形成部となり、また、前記一対のV字スリット及び前記一対の第1山折り用罫線の外側の部分が支持脚部となる支持脚用形成部となっており、
前記フィルター受け用形成部に前記フィルター用シートを固定している前記ドリッパー本体成形用シートの前記一対の第1山折り用罫線を山折りすることにより、前記一対のV字スリットを押し広げて前記フィルター用シートの下面側に抽出孔を開口させるとともに、前記フィルター受け用形成部で前記フィルター受け部を形成し、前記支持脚用形成部で前記支持脚部を形成することを特徴とする簡易ドリッパー。
前記ドリッパー本体成形用シートには、前記一対のV字スリットの尖端間にある前記第2仮想線上に谷折り用罫線が設けられ、前記一対のV字スリットの尖端から前記ドリッパー本体成形用シートの端縁に至る前記第2仮想線上に第2山折り用罫線が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の簡易ドリッパー。
前記ドリッパー本体成形用シートに形成された、前記一対のV字スリットのそれぞれの開放側端部から、前記第1仮想線を挟んで相互に接近する方向に傾斜し前記ドリッパー本体成形用シートの端縁まで延在する前記一対の第1山折り用罫線は、前記ドリッパー本体成形用シートの端縁上における前記一対の第1山折り用罫線の端部同士が離れていることを特徴とする請求項1または2に記載の簡易ドリッパー。
前記ドリッパー本体成形用シートの前記支持脚用形成部の開放側端縁には、容器開口用係止溝部が形成されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の簡易ドリッパー。
前記フィルター受け用形成部に固定される前記フィルター用シートは、前記フィルター受け用形成部の上面に前記フィルター受け用形成部における前記第1仮想線上或いは近傍に第1仮想線に沿って固定されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の簡易ドリッパー。
【背景技術】
【0002】
近年、荷物にならず持ち運び容易で、出先などでもコーヒーや紅茶などを楽しむことができる、シート状の平坦な状態からドリッパーを成形できる紙製の簡易ドリッパーが広く用いられている。
【0003】
そのような紙製の簡易ドリッパーとしては、従来、例えば、厚紙シートの中心線のほぼシート中央部に中心孔を設け、中心孔を設けた残部の中心線上に中心線を上方向に折り曲げ自在とする押し罫線を設け、中心孔の両外側部に中心線と直交し押し罫線を介して下方向に折り曲げ可能の1対の支持片を設け中心孔全周縁の裏側に袋状濾紙の開口部全周縁を接着したドリッパーが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、中央矩形側板と、該中央矩形側板の両側方に折線を介して扇型に順次連設されている複数の逆三角形側板と、両側方末端に折線を介して連設されていて側縁から突出する連結片により側縁同士を連結することができる連結用側板によって形成される、多角形開口部と楔形底部を有するフィルター収容部と、フィルター収容部が楔形底部から差し込まれて保持される差込穴を有する円盤状フランジ部と、一端が折線を介して前記フィルター収容部の中央矩形側板の下端に接続されている矩形接続板と、該矩形接続板の他端に折線を介して一端が接続され、他端が前記円盤状フランジ部の外周縁に接続されている矩形支持板とによって形成される接続支持部とよりなる、一枚のブランクシートから組み立てられるドリッパーが提供されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているドリッパーは、中央部に中心孔を設け、その中心孔の全周縁の裏側に袋状濾紙の開口部全周縁を接着するといった構造であるため、不安定な形状の袋状濾紙を適切な位置に合わせ且つ抜けのない接着が必要となり、その製造に高い精度が求められる。そのため、製造に時間とコストがかかるといった問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載のドリッパーは、上記の通り複雑な形状をしているため製造に手間がかかるばかりでなく、その成形にあっても、複数箇所を折り曲げたり、一部分を他の部分の穴に差し込んだりする必要があり、そのため、成形にも手間がかかるといった問題がある。
【0008】
本発明の目的は、かかる先行技術の持つ課題を解決し、従来の紙製の簡易ドリッパーよりも製造が容易で且つ簡単な作業で成形することができる紙製の簡易ドリッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、一枚の板紙を基材としたドリッパー本体成形用シートと、前記ドリッパー本体成形用シートの上面に固定したフィルター用シートとからなり、前記ドリッパー本体成形用シートを折り込むことにより成形される簡易ドリッパーであって、前記ドリッパー本体形成用シートは、中央部位で直交する第1仮想線と第2仮想線が設定され、その中央部位に第1仮想線を挟んで、第2仮想線上で尖端同士が間隔を空けて対向する抽出孔開口用の一対のV字スリットと、前記一対のV字スリットのそれぞれの開放側端部から前記第1仮想線を挟んで相互に接近する方向に傾斜し前記ドリッパー本体形成用シートの端縁まで延在する一対の第1山折り用罫線とが設けられ、前記一対のV字スリット及び前記一対の第1山折り用罫線で囲まれた部分が前記フィルター用シートを上面に受けて固定するフィルター受け部となるフィルター受け用形成部となり、また、前記一対のV字スリット及び前記一対の第1山折り用罫線の外側の部分が支持脚部となる支持脚用形成部となっており、前記フィルター受け用形成部に前記フィルター用シートを固定している前記ドリッパー本体成形用シートの前記一対の第1山折り用罫線を山折りすることにより、前記一対のV字スリットを押し広げて前記フィルター用シートの下面側に抽出孔を開口させるとともに、前記フィルター受け用形成部で前記フィルター受け部を形成し、前記支持脚用形成部で前記支持脚部を形成することを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、前記ドリッパー本体形成用シートは、中央部位で直交する前記第1仮想線と前記第2仮想線が設定され、その中央部位に前記第1仮想線を挟んで、前記第2仮想線上で尖端同士が間隔を空けて対向する抽出孔開口用の前記一対のV字スリットと、前記一対のV字スリットのそれぞれの開放側端部から、前記第1仮想線を挟んで相互に接近する方向に傾斜し前記ドリッパー本体形成用シートの端縁まで延在する前記一対の第1山折り用罫線とが設けられ、前記一対のV字スリット及び前記一対の第1山折り用罫線で囲まれた部分が前記フィルター用シートを上面に受けて固定する前記フィルター受け部となる前記フィルター受け用形成部となり、また、前記一対のV字スリット及び前記一対の第1山折り用罫線の外側の部分が前記支持脚部となる前記支持脚用形成部となっており、前記フィルター受け用形成部に前記フィルター用シートを固定している前記ドリッパー本体成形用シートの前記一対の第1山折り用罫線を山折りすることにより、前記一対のV字スリットを押し広げて前記フィルター用シートの下面側に抽出孔を開口させるとともに、前記フィルター受け用形成部で前記フィルター受け部を形成し、前記支持脚用形成部で前記支持脚部を形成するので、前記一対の第1山折り用罫線を折り曲げるといった簡単な作業により簡易ドリッパーを容易に且つ確実に成形することができる。
即ち、前記一対の第1山折り用罫線を山折りすることにより、前記一対の第1山折り用罫線の外側の部分である支持脚用形成部は、前記一対の第1山折り用罫線を軸に下方に回転して起立し、かつ前記一対の第1山折り用罫線の傾斜に応じて変形して前記第2仮想線に沿って山折方向に屈曲し、対向する略「く」字型の一対の支持脚部となる。また、支持脚用形成部の屈曲により一対のV字スリットは水平方向に広げられ、これに伴ってフィルター受け用形成部は、一対の第1山折り用罫線の傾斜に応じて第1仮想線方向の両端が隆起し中央部分が沈んだ凹形状のフィルター受け部となり、そして、フィルター受け部と一対の支持脚部の間に抽出孔が開口した簡易ドリッパーを成形することができる。
更には、構成が簡単なので、製造が容易であり、低コストで得ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記ドリッパー本体成形用シートには、前記一対のV字スリットの尖端間にある前記第2仮想線上に谷折り用罫線が設けられ、前記一対のV字スリットの尖端から前記ドリッパー本体成形用シートの端縁に至る前記第2仮想線上に第2山折り用罫線が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記ドリッパー本体成形用シートには、前記一対のV字スリットの尖端間にある前記第2仮想線上に谷折り用罫線が設けられ、前記一対のV字スリットの尖端から前記ドリッパー本体成形用シートの端縁に至る前記第2仮想線上に前記第2山折り用罫線が設けられているので、前記第1山折り用罫線を山折りすることによりフィルター受け用形成部に谷折方向の力が掛かったとき、フィルター受け用形成部の中央部は、前記一対のV字スリットの尖端間にある前記第2仮想線上に設けられた谷折り用罫線の存在により、前記谷折り用罫線から容易に谷折りされ、中央部分が沈んだ凹形状のフィルター受け部を容易に且つ確実に形成することができる。
また、前記第1山折り用罫線を山折りすることにより、前記一対の第1山折り用罫線を軸に下方に回転して起立した前記支持脚用形成部に、前記第2仮想線に沿った山折方向の力が掛かったとき、前記一対のV字スリットの尖端から前記ドリッパー本体成形用シートの端縁に至る前記第2仮想線上に設けられた前記第2山折り用罫線の存在により、前記支持脚用形成部は前記第2山折り用罫線から容易に山折りされ、対向する略「く」字型の一対の支持脚部を容易に且つ確実に形成することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の、前記ドリッパー本体成形用シートに形成された、前記一対のV字スリットのそれぞれの開放側端部から、前記第1仮想線を挟んで相互に接近する方向に傾斜し前記ドリッパー本体成形用シートの端縁まで延在する前記一対の第1山折り用罫線は、前記ドリッパー本体成形用シートの端縁上における前記一対の第1山折り用罫線の端部同士が離れていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、前記ドリッパー本体成形用シートに形成された、前記一対のV字スリットのそれぞれの開放側端部から、前記第1仮想線を挟んで相互に接近する方向に傾斜し前記ドリッパー本体成形用シートの端縁まで延在する前記一対の第1山折り用罫線は、前記ドリッパー本体成形用シートの端縁上における前記一対の第1山折り用罫線の端部同士が離れているので、前記一対の第1山折り用罫線を山折りすることにより、前記支持脚用形成部が起立し、前記一対の支持脚部が形成されたとき、前記一対の支持脚部の間に隙間が形成され、この隙間を通して、前記フィルター受け部と前記一対の支持脚部の間に開口している前記抽出孔からの抽出状況を確認することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3までのいずれか1項に記載の、前記ドリッパー本体成形用シートの前記支持脚用形成部の開放側端縁には、容器開口用係止溝部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、前記ドリッパー本体成形用シートの前記支持脚用形成部の開放側端縁には、容器開口用係止溝部が形成されているので、前記支持脚用形成部で形成された支持脚部の下端縁に前記容器開口用係止溝部が存在することになり、成形された簡易ドリッパーの使用に際し、支持脚部の下端縁に存在する前記容器開口用係止溝部を容器の開口部に挿入することにより、簡易ドリッパーを容器の開口部に安定した状態で載置でき、且つ成形された簡易ドリッパーの保形を維持することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4までのいずれか1項に記載の、前記フィルター受け用形成部に固定される前記フィルター用シートは、前記フィルター受け用形成部の上面に前記フィルター受け用形成部における前記第1仮想線上或いは近傍に第1仮想線に沿って固定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、前記フィルター受け用形成部に固定される前記フィルター用シートは、前記フィルター受け用形成部の上面に前記フィルター受け用形成部における前記第1仮想線上或いは近傍に第1仮想線に沿って固定されているので、前記一対の第1山折り用罫線を山折りして、前記フィルター受け用形成部が一対の第1山折り用罫線の傾斜に応じて変形し、中央部分が沈んで凹形状のフィルター受け部が形成されたとき、前記フィルター用シートは前記フィルター受け用形成部と一体となって中央部分が沈んだフィルター受け部の形状に沿った凹形状となり、上方に開口した容器状のフィルターとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る簡易ドリッパーによれば、シート状の平坦な状態から簡単な作業で容易に成形することができ、更には、構成が簡単なので、製造が容易であり、低コストな簡易ドリッパーを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る簡易ドリッパーの実施の形態の一例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本例の成形前の簡易ドリッパーを示す平面図、
図2は
図1に示す簡易ドリッパーのドリッパー本体成形用シートを示す平面図、
図3は
図2に示すドリッパー本体成形用シートから成形したドリッパー本体部を示す平面図、
図4は
図3に示すドリッパー本体部の正面図、
図5は
図3に示すドリッパー本体部の側面図、
図6は
図3に示すドリッパー本体部のA−A断面図、
図7は
図1に示す簡易ドリッパーの成形後の状態を示す斜視図、
図8は
図1に示す簡易ドリッパーの使用の状態を示す説明図である。
【0022】
本例の簡易ドリッパー1は、
図1に示すように、ドリッパー本体部2を成形するドリッパー本体成形用シート3と、ドリッパー本体成形用シート3の上面に固定したフィルター部4を形成するフィルター用シート5とからなり、ドリッパー本体成形用シート3を折り込むことにより成形される。
【0023】
ドリッパー本体成形用シート3は、一枚の板紙を基材として形成される。用いられる板紙基材は簡易ドリッパー1を成形するために折り曲げ可能な可撓性と、簡易ドリッパー1の使用時にお湯を注がれても形状を維持することができる剛性を備えていれば特に問わない。また、本例の簡易ドリッパー1では板紙の両面に耐水性を有する樹脂薄膜が積層されており、成形された簡易ドリッパー1の使用時にお湯を注いでも、注がれたお湯を板紙が吸収することなく、簡易ドリッパー1の剛性が弱まってしまうといった事態を防ぐことができる。また、樹脂薄膜の形成に用いる樹脂には熱溶着性を有する樹脂を用いることにより、後述するドリッパー本体成形用シート3とフィルター用シート5との固定をヒートシールにより簡易に行えるので望ましい。樹脂薄膜の形成に用いる熱溶着性を有する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエステル等を用いる。
【0024】
ドリッパー本体成形用シート3の形状は特に限定されず、略矩形、略正方形、円形、楕円形など任意の形状に形成される。本例では、
図2に示すように、略矩形状に形成している。
ドリッパー本体成形用シート3は、次のように構成されている。
先ず、ドリッパー本体成形用シート3に、その中央部位Cで直交する第1仮想線L1と第2仮想線L2を設定する。
この中央部位Cには第1仮想線L1を挟んで第2仮想線L2上で尖端6a同士が間隔を空けて対向する、後述する抽出孔を開口するための一対のV字スリット6が設けられている。なお、本例のV字スリット6の尖端6aは直線状に形成しているが、これに限られるものではなく、先端を尖らせた「V」字型に形成しても良いし、弧状の「U」字型に形成しても良い。
この一対のV字スリット6のそれぞれの開放端部6bから第1仮想線L1を挟んで、相互に接近する方向に傾斜しドリッパー本体成形用シート3の端縁まで延在する第1山折り用罫線7が設けられている。なお、本例では第1山折り用罫線7を直線状に形成しているが、曲線状に形成しても良い。
【0025】
このように構成されたドリッパー本体成形用シート3の、一対のV字スリット6と一対の第1山折り用罫線7に囲まれた部分は、後述する簡易ドリッパー1の成形時に、フィルターを受けて固定するドリッパー本体のフィルター受け部となるフィルター受け用形成部8となる。また、一対のV字スリット6と一対の第1山折り用罫線7の外側の部分が、後述する簡易ドリッパー1の成形時に、起立してフィルター受け部を支持する支持脚部となる支持脚用形成部9となる。
【0026】
また、本例のドリッパー本体成形用シート3には、一対のV字スリット6の尖端6a間の第2仮想線L2上に谷折り用罫線10が設けられ、一対のV字スリット6の尖端6aからドリッパー本体成形用シート3の端縁に至る間の第2仮想線L2上に第2山折り用罫線11が設けられている。谷折り用罫線10及び第2山折り用罫線11は、後述する簡易ドリッパー1の成形時のフィルター受け用形成部8と支持脚用形成部9の屈曲をアシストして、簡易ドリッパー1の成形を容易にする。
なお、谷折り用罫線10と第2山折り用罫線11の形成位置は、第2仮想線L2上に限るものではなく、第2仮想線L2方向に沿った異なる位置に設けても良い。また形成する本数も単数に限らず、複数設けても良い。例えば、フィルター受け部8の中央部分に平面の底部を形成したい場合には、一対のV字スリット6の先端6a間に第2仮想線L2から第1仮想線L1方向に等間隔を空けて第2仮想線と平行する2本の谷折り罫線を形成し、フィルター受け部8の中央部分に平面の底部を形成する。
【0027】
また、本例では、一対の第1山折り用罫線7は、ドリッパー本体成形用シート3の端縁上において、その端部7a同士が離れるように設けられている。このようにすることにより、後述する成形された簡易ドリッパー1を構成する一対の支持脚部の間に隙間が形成され、この隙間から簡易ドリッパー1による抽出状況を確認することができる。
【0028】
また、本例のドリッパー本体成形用シート3には、簡易ドリッパー1を容器に係止する係止機構として、支持脚用形成部9の開放側端縁に簡易ドリッパー1を容器へ係止させる容器開口用係止溝部12が2つずつ形成されている。なお、容器開口用係止溝部12の数は2つずつに限られない。また、簡易ドリッパー1を容器に係止する係止機構は容器開口用係止溝部12に限られず、簡易ドリッパー1を容器に安定して載置可能な公知の係止機構を用いても良い。
【0029】
このように構成されたドリッパー本体成形用シート3の表面には、
図1に示すように、フィルター用シート5が固着されている。フィルター用シート5を形成する素材は、濾過機能を有する素材であれば特に問わないが、本例ではドリッパー本体成形用シート3に固定される面にポリプロピレンなどの熱溶着性樹脂を含有させた濾紙を用いている。また、フィルター用シート5の形状は、後述する簡易ドリッパー1の成形時に形成される抽出孔を覆うことができる大きさを持った形状であれば特に問わない。
【0030】
また、本例のフィルター用シート5のドリッパー本体成形用シート3への固定は、ドリッパー本体成形用シート3に重ねたフィルター用シート5の表面から第1仮想線L1に沿って成形前の簡易ドリッパー1の両端に亘って設定された固着部13を加熱押圧してドリッパー本体成形用シート3の上面とフィルター用シート5の裏面を熱溶着することにより行っている。なお、フィルター用シート5のドリッパー本体成形用シート3への固定はこれに限られず、固定方法にあっては、糊、接着剤等の公知の固定方法を用いることができる。固定位置にあっては、フィルター受け用形成部8の表面であれば特に問わないが、第1仮想線L1方向の中央部分またはその近傍を固定位置とすることにより、後述の簡易ドリッパー成形時に、フィルター受け用形成部8の変形に伴いフィルター用シート5の中央部分を沈ませて容器形状にすることができる。本例では、第1仮想線L1に沿って、重ねられたドリッパー本体成形用シート3とフィルター用シート5の両端に亘って固着部13を設定しているので、簡易ドリッパー1の成形時にフィルター用シートは中央部が沈むだけではなく、凹状に変形するフィルター受け用形成部8に沿って変形し、より容易に容器形状にすることができる。また、ドリッパー本体成形用シート3とフィルター用シート5との固着を、両者を重ねて、固着部13の上を通過するようにヒートシールローラーで挟み込み、送り出すことにより行えるので、ドリッパー本体成形用シート3とフィルター用シート5との固着を簡易に行うことができる。
【0031】
このように構成された平坦な状態の簡易ドリッパー1の成形は、一対の第1山折り用罫線7を、その外側部分である支持脚用形成部9が下方に回転するように山折りすることにより行われる。支持脚用形成部9の下方への回転角は、本例では約90°であるが、容器の形状・大きさに合わせて適宜使用者が定める。
【0032】
かかる作業により、まず、第1山折り用罫線7を軸にして下方に回転した支持脚用形成部9は起立し、かつ一対の第1山折り用罫線7の傾斜に応じて変形して第2仮想線L2に沿って山折りするように屈曲し、簡易ドリッパー1を囲むように対向する略「く」字型の一対の支持脚部14に形成される(
図3,
図5参照)。このとき、本例の簡易ドリッパー1では一対のV字スリット6の尖端6aからドリッパー本体成形用シート3の端縁までに至る間の第2仮想線L2上に第2山折り用罫線11が形成されているので、第2仮想線に沿って山折り方向への力が掛かると第2山折り用罫線11が山折りされ、ドリッパー本体成形用シート3を形成する板紙に弾性の大きい素材を用いても、支持脚用形成部9を容易に且つ確実に屈曲させることができる。なお本例では、第1山折り用罫線7を直線状に形成しているため、平面から見たドリッパー本体部2の形状は略正方形状となっているが、第1山折り用罫線7の形状や長さを変更することにより、ドリッパー本体部2の平面から見た形状を異なるものとすることができ、例えば第1山折り用罫線7を外側に湾曲した円弧状に形成すると、ドリッパー本体部2の平面から見た形状を円形又は楕円形にすることができる。
【0033】
また、一対のV字スリット6は、一対の第1山折り用罫線7の山折りにより、V字スリット6の外縁部分が上方に移動して縦方向に広げられ、それから山折りされる第2山折り用罫線11を軸に支持脚用形成部9が屈曲し、一対のV字スリット6の両側の開放端部6b間が狭められる。これにより、後述するフィルター受け用形成部8から形成されるフィルター受け部15と支持脚部14との間に抽出液を容器内に滴下するための抽出孔16が形成される。
また、上方に移動したV字スリット6の先端6aの外縁部分は支持脚部14から上方に突出する凸状頂部14aとなる。
【0034】
そして、フィルター受け用形成部8は、一対の第1山折り用罫線7の傾斜に応じて第1仮想線L1方向の両端が隆起し、中央部分が沈むように屈曲して凹形状フィルター受け部15に形成される(
図4,
図6参照)。このとき、本例の簡易ドリッパー1では一対のV字スリット6の尖端6a間の第2仮想線L2上に谷折り用罫線10が形成されており、第2仮想線上L2に沿った谷折り方向の力が掛かると谷折り用罫線10は谷折りされるので、ドリッパー本体成形用シート3を形成する板紙に弾性の大きい素材を用いても、フィルター受け用形成部8を容易且つ確実に屈曲させて、フィルター受け部15を形成することができる。
【0035】
また本例では、一対のV字スリット6のそれぞれの開放側端部6bから、第1仮想線L1を挟んで相互に接近する方向に傾斜しドリッパー本体成形用シート3の端縁まで延在する一対の第1山折り用罫線7は、ドリッパー本体成形用シート3の端縁上における一対の第1山折り用罫線7の端部7a同士が離れるように形成しているので、第1山折り用罫線7を山折りし、支持脚用形成部9が起立して、一対の支持脚部14が形成されたとき、一対の支持脚部14の間に隙間が形成される。この形成された隙間により、簡易ドリッパー1による抽出孔16からの抽出状況を確認することができる(
図5参照)。
【0036】
そして、本例の簡易ドリッパー1は、ドリッパー成形用シート2の支持脚用形成部9の開放側端縁に、容器開口用係止溝部12が形成されており、支持脚部14の形成により、容器開口用係止溝部12は垂下方向に開口する。これにより、容器開口用係止溝部12を容器の縁に嵌めることができ、簡易ドリッパー1を容器の開口部に安定して載置することができる。
【0037】
また、ドリッパー本体成形用シート3に固着されたフィルター部4を形成するフィルター用シート5は、ドリッパー本体成形用シート3とフィルター受け用形成部8の上面における第1仮想線L1に沿って設定された固着部13上で固着されているので、フィルター受け用形成部8のフィルター受け部15への変形に従って変形し、第1仮想線L1方向の両端部分が隆起し、中央部分が沈む。また、フィルター用シート5の第2仮想線L2方向の両端部分は、一対の第1山折り用罫線7の山折りにより上方に移動するV字スリット6の外縁部分に持ち上げられ、形成された支持脚部14の凸状頂部14aに引っかかり、持ち上げられた状態が維持されて、フィルター用シート5は第2仮想線L2方向も両端部分が隆起し、中央部分が沈んだ凹形状に変形する。このことにより、フィルター用シート5から、抽出孔16を覆い、上方に開口した容器形状のフィルター部4を容易に形成することができる(
図7参照)。
【0038】
このように成形された簡易ドリッパー1は、
図8に示すようにカップなどの容器17の開口部に抽出孔16が位置するように載置し、容器形状のフィルター部15内にお茶やコーヒーなどを入れ、お湯を注いで容器内に抽出する。また本例では、支持脚部14の下端に形成されている容器開口用係止溝部12を容器17の開口部の縁に嵌めて簡易ドリッパー1を容器17に載置しているので、お湯を注いでも簡易ドリッパー1が安定して容器17に載置された状態を維持することができる。
【0039】
このように構成された簡易ドリッパー1によれば、その構成は、一枚の板紙を基材としたドリッパー本体成形用シート3と、ドリッパー本体成形用シート3の上面に固定したフィルター用シート5とからなり、ドリッパー本体成形用シート3を折り込むことにより成形される簡易ドリッパー1であって、ドリッパー本体成形用シート3は、中央部位Cで直交する第1仮想線L1と第2仮想線L2が設定され、その中央部位Cに第1仮想線L1を挟んで、第2仮想線L2上で尖端6a同士が間隔を空けて対向する抽出孔16開口用の一対のV字スリット6と、一対のV字スリット6のそれぞれの開放側端部6bから、第1仮想線L1を挟んで相互に接近する方向に傾斜しドリッパー本体成形用シート3の端縁まで延在する一対の第1山折り用罫線7とが設けられたものであるので、従来の平坦な状態から成形される簡易ドリッパーと比較してシンプルな形状であり、容易に製造することができる。
【0040】
また、かかる構成により、一対の第1山折り用罫線7の山折りという、簡単な作業により簡易ドリッパー1を成形することができる。即ち、一対の第1山折り用罫線7を山折りする作業により、第1山折り用罫線7の外側である支持脚用形成部9は第1山折り用罫線7を軸に下方に回転して起立し、かつ一対の第1山折り用罫線7の傾斜に応じて変形して第2仮想線L2に沿って山折りするように屈曲するので、対向する略「く」字型の一対の支持脚部14が形成される。また、支持脚用形成部9の回転により上下方向へ、屈曲により水平方向へ一対のV字スリット6は広げられ、抽出孔16が形成される。さらに、フィルター受け用形成部8は一対の第1山折り用罫線7の傾斜に応じて第1仮想線L1方向の両端が隆起し、中央部分が沈み、凹形状のフィルター受け部15が形成される。
【0041】
また、本例の簡易ドリッパー1は、ドリッパー本体成形用シート3に一対のV字スリット6の尖端6a間にある第2仮想線L2上に谷折り用罫線10が設けられ、一対のV字スリット6の尖端6aからドリッパー本体成形用シート3の端縁に至る第2仮想線L2上に第2山折り用罫線11が設けられているので、各罫線が折り曲がることにより、ドリッパー本体形成用シートの素材に弾性率が大きい素材を用いても、フィルター受け用形成部8と支持脚用形成部9を容易且つ確実に屈曲させることができる。
【0042】
また、本例の簡易ドリッパー1は、一対のV字スリット6のそれぞれの開放側端部6bから、第1仮想線L1を挟んで相互に接近する方向に傾斜しドリッパー本体成形用シート3の端縁まで延在する一対の第1山折り用罫線7は、ドリッパー本体成形用シート3の端縁上における一対の第1山折り用罫線7の端部7a同士が離れるように形成しているので、第1山折り用罫線7を山折りし、支持脚用形成部9が起立して、一対の支持脚部14が形成されたとき、一対の支持脚部14の間に隙間が形成され、この隙間を通して、簡易ドリッパー1による抽出孔16からの抽出状況を確認することができる。
【0043】
さらに、ドリッパー本体成形用シート3の支持脚部14を形成する支持脚用形成部9の開放側端縁には、容器開口用係止溝部12が形成されており、支持脚部14が形成されると垂下方向に開口する容器開口用係止溝部12を容器開口部の縁に嵌め込むことにより、成形した簡易ドリッパー1を安定した状態で容器17の開口部に載置することができる。
【0044】
また、本例のフィルター用シート5のドリッパー本体成形用シート3への固定は、第1仮想線L1に沿って、ドリッパー本体成形用シート3とフィルター受け用形成部8の上面における第1仮想線L1に沿って設定された固着部13上で固着されているので、フィルター受け用形成部8のフィルター受け部15への変形に従って変形し、第1仮想線L1方向の両端部分が隆起し、中央部分が沈む。また、フィルター用シート5の第2仮想線L2方向の両端部分は、一対の第1山折り用罫線7の山折りにより上方に移動するV字スリット6の外縁部分に持ち上げられ、形成された支持脚部14の凸状頂部14aに引っかかり、持ち上げられた状態が維持されて、フィルター用シート5は第2仮想線L2方向も両端部分が隆起し、中央部分が沈んだ凹形状に変形する。このことにより、フィルター用シート5から、抽出孔16を覆い、上方に開口した容器形状のフィルター部4を容易に形成することができる。
また、ドリッパー本体成形用シート3とフィルター用シート5とを固着する固着部13を、第1仮想線L1に沿って成形前の簡易ドリッパー1の両端に亘るように設定しているので、ドリッパー本体成形用シート3とフィルター用シート5との固着を、両者を重ねて、固着部13の上を通るようにヒートシールローラーで挟み込み、送り出すことにより行うことができ、ドリッパー本体成形用シート3とフィルター用シート5との固着を簡易に行うことができる。