特許第6907095号(P6907095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907095
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
   G01N27/409 100
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-207890(P2017-207890)
(22)【出願日】2017年10月27日
(65)【公開番号】特開2019-78712(P2019-78712A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142686
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 浩貴
(72)【発明者】
【氏名】藤井 智樹
(72)【発明者】
【氏名】大場 健弘
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−296159(JP,A)
【文献】 特開2009−115781(JP,A)
【文献】 特開2004−233096(JP,A)
【文献】 特開2013−234987(JP,A)
【文献】 特開2005−227032(JP,A)
【文献】 特開2004−301811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延び、先端側に被検出ガス中の特定ガス成分を検出する検知部を有するセンサ素子と、
前記センサ素子の周囲を取り囲んで保持する筒状の主体金具と、
周壁およびその先端側に先端壁を有し、自身の基端部が前記主体金具の先端側に固定されると共に、前記周壁に前記被検出ガスを自身の内部に導入するためのガス導入孔が形成されたプロテクタと、を備えたガスセンサであって、
前記プロテクタは、前記プロテクタの最内周側となる内側のプロテクタと、前記内側のプロテクタに外嵌される外側のプロテクタと、を有し、
前記検知部は前記ガス導入孔のうち最基端側に位置するガス導入孔よりも後端側に配置され、
前記内側のプロテクタを前記軸線方向と直交し、且つ、前記ガス導入孔を通る平面で切断した円断面をみたとき、前記円断面の中心、及び、前記ガス導入孔を通る仮想線上において、前記ガス導入孔と対向する位置に前記ガス導入孔と異なる開口面積を有するガス導入孔が配置されているガスセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスセンサであって、
前記円断面の中心を通り、且つ、前記ガス導入孔を通らない任意の直線で前記円断面を2分割した場合に、一方側の分割領域に位置する前記ガス導入孔の総開孔面積は、他方側の分割領域に位置する前記ガス導入孔の総開孔面積よりも小さいガスセンサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスセンサであって、
前記センサ素子の先端は、前記ガス導入孔のうち最基端側に位置するガス導入孔よりも後端側に配置されるガスセンサ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガスセンサであって、
前記内側のプロテクタにおいて対向する前記ガス導入孔の間に前記周壁が存在しないガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出ガス中に晒され、この中の特定ガス成分を検出するセンサ素子を備えるガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の排気管等に取り付けられて使用され、排気ガス中の特定ガス(例えばNOx(窒素酸化物)や酸素など)の濃度に応じて、大きさの異なる起電力が生じたり、抵抗値が変化したりするセンサ素子を備えるガスセンサが知られている。センサ素子の先端側には特定ガス成分を検出する検知部が設けられており、ヒータ等によって加熱されることで、検知部が特定ガス成分を検出している。ところが、センサ素子の検知部が加熱により高温になっているときに、排気ガスに含まれる水滴が検知部に付着(被水)すると、熱衝撃によってセンサ素子にクラック等の破損が生ずるおそれがある。そこで、センサ素子の検知部をプロテクタで覆い、センサ素子を被水から保護するガスセンサが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5に示すように、特許文献1のガスセンサは、絶縁材(セラミック、例えばアルミナ)からなるセラミックホルダ300の挿通孔320にセンサ素子21を挿通させて保持し、このセラミックホルダ300を主体金具1100の内側に配置した構造になっている。また、センサ素子21の先端側の検知部は保護層25で覆われている。
主体金具1100は先後に貫通する内孔1100hを有し、セラミックホルダ300から先端側に突出したセンサ素子21の保護層25の後端部26が、内孔1100h内に収容されている。さらに、主体金具1100の先端には金属製のプロテクタ510、610が装着され、センサ素子21を保護している。プロテクタ510、610の通気孔560、670は、各プロテクタの中心を対称中心として周方向に点対称に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−115781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図5のガスセンサにおいて、プロテクタ510、610の通気孔560、670を経由して被測定ガスが導入されると、矢印で示すように被測定ガスは通気孔560に対向する位置に存在するセンサ素子21に衝突し、大部分がそのまま先端側のガス排出孔680から抜け出るため、内孔1100hには被測定ガスが導入され難いものの、検知部を通気孔560よりも先端側に配置する構成としておく分には問題は生じない。
しかしながら、検知部が通気孔560よりも後端側に配置する構成にしてしまうと、被測定ガスが検知部まで到達し辛くなりセンサ素子の応答性が悪化する虞がある。また、ガスセンサの小型化を目的としてセンサ素子の先端が通気孔560よりも後端側に配置される構成にする場合には、内孔1100hに向かう被測定ガスのガス流を形成することが肝要であるが、図5のプロテクタ510、610にあっては、各通気孔が同開口面積で点対称に配置されているため、導入された被測定ガス同士が正面衝突してガス流が乱れるため、内孔1100hに向かう被測定ガスのガス流を形成することが困難である。そのため、センサ素子の応答性が悪化する虞がある。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、センサ素子の応答性を損なわずに小型化することが可能なガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面のガスセンサは、軸線方向に延び、先端側に被検出ガス中の特定ガス成分を検出する検知部を有するセンサ素子と、前記センサ素子の周囲を取り囲んで保持する筒状の主体金具と、周壁およびその先端側に先端壁を有し、自身の基端部が前記主体金具の先端側に固定されると共に、前記周壁に前記被検出ガスを自身の内部に導入するためのガス導入孔が形成されたプロテクタと、を備えたガスセンサであって、前記検知部は前記ガス導入孔のうち最基端側に位置するガス導入孔よりも後端側に配置され、前記プロテクタを前記軸線方向と直交し、且つ、前記ガス導入孔を通る平面で切断した円断面をみたとき、前記円断面の中心、及び、前記ガス導入孔を通る仮想線上において、前記ガス導入孔と対向する位置に前記ガス導入孔と異なる開口面積を有するガス導入孔が配置されているように構成される。
このようなガスセンサによれば、ガス導入孔と対向する位置に当該ガス導入孔と異なる開口面積を有するガス導入孔が配置されているため、一方側に位置するガス導入孔から導入された被測定ガスと他方側に位置するガス導入孔から導入された被測定ガスとが衝突するような場合であっても、開孔面積の大きい方から導入される被測定ガスの方が被測定ガスの導入量が多いため、主体金具の内孔側に向かう被測定ガスのガス流を形成することができる。
【0008】
また、本開示の一側面のガスセンサにおいて、一方側の分割領域に位置するガス導入孔の総開孔面積が、他方側の分割領域に位置するガス導入孔の総開孔面積よりも小さくなるように構成されてもよい。
このようなガスセンサによれば、一方側に位置するガス導入孔から導入された被測定ガスと他方側に位置するガス導入孔から導入された被測定ガスとが衝突するような場合であっても、総開孔面積の大きい他方側から導入される被測定ガスの方が一方側に比べて導入量が多いため、主体金具の内孔側に向かう被測定ガスのガス流を強く形成することができる。
【0009】
また、本開示の一側面のガスセンサにおいて、前記センサ素子の先端は、前記ガス導入孔のうち最基端側に位置するガス導入孔よりも後端側に配置される構成とされてもよい。
このようなガスセンサによれば、他方側のガス導入孔から導入される被測定ガスがセンサ素子に衝突せずに対向側のプロテクタ内壁に衝突するため、ガス流を乱すことなく主体金具の内孔側に向かう被測定ガスのガス流を強く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態にかかるガスセンサの断面図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3】第1実施形態の円断面図である。
図4】第1実施形態におけるガス流を示す図である。
図5】従来のガスセンサの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のガスセンサを実施するための形態について、図1図3に基づいて詳細に説明する。ただし、本形態は、排気ガス中の酸素濃度を検出する全領域空燃比ガスセンサを具体化したものであり、したがって、まずこのガスセンサ1の全体構成について概略説明し、その後、各部位と共にその構成についてさらに詳細に説明する。
【0012】
図1において、ガスセンサ(全領域空燃比ガスセンサ)1は、センサ素子21と、センサ素子21を挿通させる挿通孔32を有するセラミックホルダ30と、セラミックホルダ30の径方向周囲を取り囲む主体金具11と、を備えている。
センサ素子21のうち、検知部22が形成された先端寄り部位が、セラミックホルダ30の先端向き面30aより先端に突出している(図2参照)。このように挿通孔32を通されたセンサ素子21は、セラミックホルダ30の後端面側(図示上側)に配置されたシール材(本例では滑石)41を、絶縁材からなるスリーブ43、リングワッシャ45を介して先後方向に圧縮することによって、主体金具11の内側において先後方向に気密を保持して固定されている。なお、センサ素子21の後端29を含む後端29寄り部位はスリーブ43及び主体金具11より後方に突出しており、その後端29寄り部位に形成された各電極端子24に、シール材85を通して外部に引き出された各リード線71の先端に設けられた端子金具75が圧接され、電気的に接続されている。また、この電極端子24を含むセンサ素子21の後端29寄り部位は、保護筒81でカバーされている。以下、さらに詳細に説明する。
【0013】
センサ素子21は軸線O方向に延びると共に、測定対象に向けられる先端側(図示下側)に、検知用電極等(図示せず)からなり被検出ガス中の特定ガス成分を検出する検知部22を備えた帯板状(板状)をなしている。センサ素子21の横断面は、先後において一定の大きさの長方形(矩形)をなし、セラミック(固体電解質等)を主体として細長いものとして形成されている。センサ素子21の検知部22に、アルミナ又はスピネル等からなる多孔質の保護層25が被覆され、保護層25の形成部位は、保護層25の厚み分(例えば、0.5〜0.6mm)、横断面が大きくなっている(厚みは誇張して図示している)。このセンサ素子21自体は、従来公知のものと同じものであり、固体電解質(部材)の先端寄り部位に検知部22をなす一対の検知用電極が配置され、これに連なり後端寄り部位には、検知用出力取り出し用のリード線71接続用の電極端子24が露出形成されている。また、本例では、センサ素子21のうち、固体電解質(部材)に積層状に形成されたセラミック材の先端寄り部位内部にヒータ(図示せず)が設けられており、後端寄り部位には、このヒータへの電圧印加用のリード線71接続用の電極端子24が露出形成されている。なお、図示はしないが、これら電極端子24は縦長矩形に形成され、例えばセンサ素子21の後端29寄り部位において、帯板の幅広面(両面)に3つ又は2つの電極端子が横に並んでいる。
【0014】
主体金具11は、先後において同心異径の筒状をなし、先端側が小径で、後述するプロテクタ51、61を外嵌して固定するための円筒状の円環状部(以下、円筒部ともいう)12を有し、その後方(図示上方)の外周面には、それより大径をなす、エンジンの排気管への固定用のネジ13が設けられている。そして、その後方には、このネジ13によってセンサ1をねじ込むための多角形部14を備えている。また、この多角形部14の後方には、ガスセンサ1の後方をカバーする保護筒(外筒)81を外嵌して溶接する円筒部15が連設され、その後方には外径がそれより小さく薄肉のカシメ用円筒部16を備えている。なお、このカシメ用円筒部16は、図1では、カシメ後のために内側に曲げられている。なお、多角形部14の下面には、ねじ込み時におけるシール用のガスケット19が取着されている。
一方、図2に示すように、主体金具11は、軸線O方向に貫通する内孔18を有している。内孔18は先端側に設けられた小径孔18a、及び小径孔18aよりも後端側に設けられ、小径孔18aよりも径大な大径孔18bを備えている。そして、小径孔18aの内面17aと、大径孔18bの内面17cとを繋ぐ後端向き面17bを備えている。本例では後端向き面17bは先端へ向かって先細るテーパ状に形成されている。又、内面17a、後端向き面17b、内面17cを合わせて主体金具11の内周面17と表記する。
【0015】
主体金具11の大径孔18bの内側には、絶縁性セラミック(例えばアルミナ)からなり、概略短円筒状に形成されたセラミックホルダ30が配置されている。図2に示すように、セラミックホルダ30の先端向き面30aは、先端に向かって先細りのテーパ状に形成された外周側先端向き面30a2と、外周側先端向き面30a2より内周側で平面状の内周側先端向き面30a1とを有している。そして、外周側先端向き面30a2の外周寄りの部位が後端向き面17bに係合しつつ、セラミックホルダ30が主体金具11内に位置決めされ、かつ隙間嵌めされている。
一方、挿通孔32は、セラミックホルダ30の中心に設けられると共に、センサ素子21のうち保護層25よりも後端側の部位が略隙間なく通るように、センサ素子21の横断面とほぼ同一の寸法の矩形の開口とされている。
【0016】
挿通孔32の先端側には、セラミックホルダ30の内周側先端向き面30a1から後端側へ向かって凹み、挿通孔32の先端に連通すると共に挿通孔32より径大な凹孔35が形成されている。本例では、凹孔35は挿通孔32より径大の円形をなし、凹孔35の底面(挿通孔32の先端の位置)35bは平面をなしている。又、本例では凹孔35の内周面35iは軸線O方向に平行になっている。そして、凹孔35の内周面35iと内周側先端向き面30a1とが繋がる位置に先端縁35eが形成されている。なお、内周側先端向き面30a1の先端縁35e側の部位は面取りされている。
センサ素子21は、セラミックホルダ30の挿通孔32に通され、センサ素子21の先端をセラミックホルダ30の先端面向き面30a及び主体金具11の先端12aよりも先方に突出させている。又、保護層25の後端部26は凹孔35に収容されている。なお、センサ素子21をセラミックホルダ30の挿通孔32に通して組付ける際に、保護層25が挿通孔32に衝突して保護層25が損傷することを防止するため、保護層25の後端部26を、挿通孔32の先端(底面35b)よりも先端側に離間させるとよい。また、保護層25のうち、凹孔35内に収容される後端部26の軸線方向長さが、凹孔35の外側に配置される先端部の軸線方向長さよりも短くされている。これにより、センサ素子21の検出精度の低下を抑制している。
凹孔35の内周面35iは、凹孔35内に収容された保護層25の外周面と離間すると共に、主体金具11の小径孔18aの内面17a及びプロテクタ51の最内周側(素子と直接対向する)となる内側のプロテクタ51の内周面51aよりも全周に亘って径方向内側に位置している。
【0017】
一方、センサ素子21の先端部位には、本形態では、2層構造からなり、共にそれぞれ通気孔(穴)56、67を有する有底円筒状のプロテクタ(保護カバー)51,61が被せられている。このうち内側のプロテクタ51の後端が、主体金具11の円筒部12に外嵌され、溶接されている。なお、通気孔56はプロテクタ51の周壁の後端側で周方向において対称に、例えば2箇所設けられている。一方プロテクタ51の先端側にも、周方向において例えば4箇所、排出穴53が設けられている。また、外側のプロテクタ61は、内側のプロテクタ51に外嵌して、同時に円筒部12に溶接されている。外側のプロテクタ61の通気孔67は、周壁の先端寄り部位に、周方向において例えば8箇所設けられており、また、プロテクタ61先端の底部中央にも排出孔69が設けられている。
【0018】
又、図1に示すように、センサ素子21の後端29寄り部位に形成された各電極端子24には、外部にシール材85を通して引き出された各リード線71の先端に設けられた各端子金具75がそのバネ性により圧接され、電気的に接続されている。そして、この圧接部を含む各端子金具75は、本例ガスセンサ1では、異径筒状をなす保護筒(金属筒)81内に配置された絶縁材からなる端子金具保持部材91内に設けられた各収容部内に、それぞれ対向配置で設けられている。なお、端子金具保持部材91は、保護筒(金属筒)81内に固定された環状支持部材80を介して径方向及び先端側への動きが規制されている。そして、この保護筒81の先端部(大径筒部)82を、主体金具11の後端寄り部位の円筒部15に外嵌して溶接することで、ガスセンサ1の後方が気密状にカバーされている。なお、リード線71は保護筒81の後端部の小径筒部83の内側に配置されたシール材(例えばゴム)85を通されて外部に引き出されており、この小径筒部83を縮径カシメしてこのシール材85を圧縮することにより、この部位の気密が保持されている。
因みに、このシール材85は端子金具保持部材91の後端を先方に押す形で配置されており、これにより、この端子金具保持部材91及びその内部に設けられた端子金具75の取付け安定が図られている。なお、端子金具保持部材91はその外周に形成されたフランジ93を保護筒81の内側に固定された環状支持部材80の上に支持させられており、これにてシール材85の圧縮力を受けている。
【0019】
以下、第1の実施形態について、図3を用いて説明する。図3は、軸線方向と直交し、且つ、通気孔56を通る平面で切断した円断面図(図2のA−A断面図)である。内側のプロテクタ51には、周方向に通気孔56a、通気孔56bがそれぞれ開口されている。換言すると、内側のプロテクタ51には、プロテクタ51の中心に対して周方向に通気孔56a、通気孔56bがそれぞれ点対称に開口されている。なお、ここでは保護層25は省略して図示していない。
【0020】
また、内側のプロテクタ51の中心軸を通り、且つ、各通気孔を通らない直線ALで分割された一方側の分割領域には、通気孔56aが含まれている。直線ALで分割された他方側の分割領域には、通気孔56bが含まれている。ここで、通気孔56bはφ1.0mmの真円で形成されており、その開口面積は約0.785mmである。通気孔56aφ1.5mmの真円で形成されており、その開口面積は約1.766mmである。すなわち、一方側の分割領域に位置する通気孔56aの開孔面積は、他方側の分割領域に位置する通気孔56bの開孔面積よりも小さい構成となっている。換言すると、一方側の分割領域に位置する通気孔56aの開孔面積は、他方側の分割領域に位置する通気孔56bと異なる開孔面積を有する構成となっている。すなわち、一方側の分割領域に位置する通気孔の総開孔面積は、他方側の分割領域に位置する通気孔の総開孔面積よりも小さい構成となっている。
【0021】
図4は第1実施形態におけるガス流を示す図である。ガス流GSは矢印で示している。図4に示す通り、プロテクタ51、61の通気孔56a、67を経由して導入された被測定ガスは、通気孔56aに対向する位置に形成された通気孔56bを経由して導入された被測定ガスと一旦衝突するが、開口面積の大きい通気孔56aを経由して導入された被測定ガスは通気孔56bを経由して導入された被測定ガスを踏み台にして内孔18に向かい、その後、排出穴53に向かうガス流GSが形成されている。当該ガス流GSの経路途中には検知部22が存在している。これにより、センサ素子21の検知部22に被測定ガスが充分に到達していることがわかる。
【0022】
本発明のガスセンサは、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜にその構造、構成を設計変更して具体化できる。
具体的には、上記形態ではセンサ素子を、横断面が長方形(矩形)の帯板状のものとしたが、本発明のガスセンサに使用されるセンサ素子は、横断面が正方形のものであっても、それ以外のものであってもよい。さらに、上記においては全領域空燃比ガスセンサにおいて具体化したが、本発明に係るガスセンサは、その他のガスセンサにおいても具体化できる。また、通気孔も真円に限らず、矩形等であってもよい。また、各通気孔の開口面積もそれぞれ異ならせてもよい。
【符号の説明】
【0023】
1…ガスセンサ
11…主体金具(ハウジング)
18…内孔
21…センサ素子
22…検知部
25…保護層
30…セラミックホルダ
32…セラミックホルダの挿通孔
35…凹孔
51…内側のプロテクタ
56、67…通気孔
61…外側のプロテクタ
O…軸線

図1
図2
図3
図4
図5