(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の各構造では、取付部品4や抜け止め部材27の操作により、容易にブレーカを着脱することができるものの、ブレーカの主な固定力は、抜止部10の突起9への係止力か、あるいは凹凸係合部34の係合力となっており、取付スペースに制限があることを考え合わせると、その向上には限界が存在する。
本発明の主な目的は、ブレーカが容易に着脱可能であり、取付時の固定力が十分に確保され、低コストである分電盤のブレーカ取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、角部及び当該角部に配置された切欠部を有する分電盤のパネルと、被係止部を有するブレーカと、前記被係止部に係止する係止部、及び前記切欠部に入る溝部を有する、板状の取付部材と、を備えており、前記取付部材は、前記溝部が前記角部を通過することにより回転し、前記係止部は、前記取付部材の回転により、前記被係止部に近づいて係止することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記係止部は、一対の側部を含んでおり、前記側部の外側に、前記溝部が配置されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記係止部は、前記被係止部に接触する押さえ部を含んでいることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記取付部材は、他の部分に対して角度を付けられた摘み部を有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の主な効果は、ブレーカが容易に着脱可能であり、取付時の固定力が十分に確保され、低コストである分電盤のブレーカ取付構造が提供されることである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施の形態やその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。尚、本発明は、下記の実施の形態や変更例に限定されない。
当該形態や変更例における前後上下左右は、説明の便宜上定められたものであり、設置の状況や移動可能あるいは姿勢変化可能な部材の位置や姿勢等により変化することがある。
【0009】
図1は、本発明に係る分電盤のブレーカ取付構造1の斜視図であり、
図2は、
図1の上面図であり、
図3は、内部構造が省略された
図2のB−B線断面図であり、
図4は、ブレーカ16を除く
図1の分解斜視図である。
ブレーカ取付構造1は、2枚の板状のパネル2を前後に並べた状態で上面側に載せる一対の板状のベース4と、左右の基台6を介してベース4間を渡るようにベース4に取り付けられて前後のパネル2間の上方に配置される前後一対の母線バー8と、各基台6及び母線バー8の左右各端部の上部に取り付けられる側面視U字状の架台10と、架台10に対して支持板12を介して取り付けられ各母線バー8間の上方に配置される母線バー14と、ブレーカ16毎に用意される取付部材18と、を備えている。
【0010】
図5は、ブレーカ取付構造1に係る後側のパネル2と3個のブレーカ16(うち1個は分離状態である)と6個の取付部材18とについての斜視図であり、
図6は、取付部材18の斜視図である。
前側のパネル2は、後側のパネル2と、左右方向の母線バー14に対して線対称となる配置を除いて同様に成るため、その説明は省略される。前側のパネル2に取り付けられるブレーカ16や取付部材18についても、同様である。
【0011】
後側のパネル2の前辺部は、下方(起立部20a)及び前方(接触部20b)に折曲げられた第1脚部20となっており、パネル2の後辺部は、下方(起立部22a)及び後方(接触部22b)に折曲げられた第2脚部22となっている。パネル2は、第1脚部20及び第2脚部22の各接触部20b,22bにおいてベース4に接触してネジ止めされ、第1脚部20及び第2脚部22の各起立部20a,22aの分だけベース4から離れている。
パネル2における第1脚部20と第2脚部22との間は、前後左右に広がっており、複数(6個)のブレーカ16を載置可能な載置部24となっている。
【0012】
第1脚部20の起立部20aには、載置部24より上方に突出する前面視ロ字状の係止片26が、複数(6個)、左右に並ぶように設けられている。係止片26は、載置部24の一部を切り起こすことで、起立部20aに連続するように形成されている。
【0013】
又、第2脚部22の起立部22aと載置部24との間の角部25ないしその周辺部には、切欠部30が6個設けられている。
各切欠部30は、載置部24の後端際に配置された左右に長い挿入部30aと、挿入部30aから角部25まで挿入部30aより左右に短い状態で前後に延びるレール部30bと、起立部22aに配置されたレール部30bと同じ左右幅の待機部30cと、を一連に備えている。
レール部30bの後端部から、係止片26までの前後方向の長さは、ブレーカ16の前後方向の長さと同様である。
【0014】
各母線バー8は、上方及び外側に突出する枝状部32を、6本備えている。
又、母線バー14は、下方及び外側に突出する枝状部34を、下方及び前方に突出するもの6本、並びに下方及び後方に突出するもの6本の合計12本有している。
【0015】
各ブレーカ16は、略直方体状のブレーカ本体40と、ブレーカ本体40の前部に配置された左右一対の凹状の電源側接続端子42と、その下方であってブレーカ本体40の下部に形成されたブレーカ本体40から前方に突出する第1被係止片44と、ブレーカ本体40の後部に配置された左右一対の凹状の負荷側接続端子46と、その下方であってブレーカ本体40の下部に形成されたブレーカ本体40から後方に突出する被係止部としての第2被係止片48と、を備えている。
【0016】
各取付部材18は、後方からみて“∩”字状ないしは逆凹字状で金属製の板バネであり、左右対称形状を呈していて、起立状態で上部となり、他の部分に対して斜め後方に向かうように曲げられており角度を付けられている摘み部50と、その下側に隣接する部分の中央から後方に延びる押さえ部52と、摘み部50の下側に隣接する部分の左右両側から下方に延びる側部54と、を備えている。
摘み部50の上部左右の角は、丸められており、押さえ部52の後部左右の角も、丸められている。
押さえ部52の前後方向の長さは、ブレーカ16の第2被係止片48の前後方向の長さと同様である。
各側部54の中間部及び下部には、外側へ突出する突片56が設けられている。両側部54の内辺同士の間隔は、第2被係止片48の左右方向の長さと同様であり、双方の上側の突片56における下面を結んだ仮想的な細長い面と、押さえ部52の下面の根本部との間隔は、第2被係止片48の上下方向の長さと同様である。又、左右の突片56における外側先端間の距離は、挿入部30aの左右の長さより短く、挿入部30aの前後方向の幅は、取付部材18の肉厚より若干大きい。
各側部54における上下の突片56の間は、比較的に短い(取付部材18の肉厚程度の)長さで前後に延びる溝部58となっている。各溝部58の上下方向の幅は、パネル2の肉厚より若干大きくなっている。
【0017】
ブレーカ16は、例えば次のようにパネル2の載置部24に対し作業者により着脱される。
作業者は、予め、ブレーカ16を取り付ける切欠部30における挿入部30aに、起立状態の取付部材18の各側部54の先端部を入れ(
図5の左から1,2番目の取付部材18参照)、各溝部58の外側にパネル2の載置部24の肉厚部が位置する状態で取付部材18を後方に移動させて、溝部58内にレール部30bの左右外側部分が入るようにする。
作業者は、更に取付部材18の後方への移動を行い、レール部30bの後端部から角部25を経て待機部30cに至るまで取付部材18の移動を継続する(
図5の左から3,4番目の取付部材18参照)。取付部材18は、角部25から待機部30cの上端部に移動する際、起立姿勢から、両側の溝部58の周りで回転して、倒伏姿勢、即ち摘み部50が後下がりとなり、押さえ部52が下方に突出し、その他の部分が略水平に倒伏している姿勢となる。
【0018】
そして、まず、作業者は、ブレーカ16の第1被係止片44を、パネル2の係止片26に入れると共に、第2被係止片48を、対応する取付部材18の前側に配置する(
図5における左側のブレーカ16参照)。ブレーカ16は、切欠部30の挿入部30aとレール部30bの後端部以外の部分とを覆う。
次いで、作業者は、摘み部50を摘み、両側の溝部58が切欠部30の角部25に配置された部分を上方に辿るようにして、取付部材18を、倒伏姿勢から起立姿勢となるように回転させる(同図における中央ないし右側のブレーカ16参照)。ブレーカ16は、起立姿勢となった取付部材18の側部54や摘み部50下側の隣接部分に押され、第1被係止片44が係止片26に完全に入る。又、母線バー8における1本の枝状部32の先端部に、電源側接続端子42の一方が完全に入り、母線バー14における1本の枝状部34の先端部に、他方の電源側接続端子42が完全に入る。更に、取付部材18の各側部54の内側に、ブレーカ16の第2被係止片48の左右の面が接触し、押さえ部52の下面に、第2被係止片48の上面が接触する。よって、各側部54及び押さえ部52が、ブレーカ16の第2被係止片48を係止する係止部の役割を担う。
こうして、作業者は、ブレーカ16のパネル2に対する取付を完了する。
【0019】
取付状態において、ブレーカ16は、パネル2の係止片26の上部及び取付部材18の押さえ部52により、第2被係止片48を介して上方への移動が食い止められる。
又、ブレーカ16は、係止片26の左部及び右部並びに各側部54により、左右方向への移動が阻止される。
更に、ブレーカ16は、係止片26の後面、及び各側部54の前面や摘み部50下側の隣接部分の前面により、前後方向への移動が阻止される。
取付部材18は、第2被係止片48の側部54間における嵌合により、前後方向や左右方向の移動が抑制される。又、取付部材18は、当該嵌合や、押さえ部52の第2被係止片48に対する接触、あるいは溝部58のパネル2(レール部30b後端部外側)への係合により、上下方向の移動が阻止される。
尚、枝状部32,34の先端部は、電源側接続端子42に接続される。
【0020】
ブレーカ16を取り外す場合、作業者は、取付部材18を倒伏姿勢に戻して取付部材18がブレーカ16の第2被係止片48から離れるようにし、更にブレーカ16を後退させ、第1被係止片44がパネル2の係止片26から離れるようにすると共に、電源側接続端子42が枝状部32,34の先端部から離れるようにする。
作業者は、ブレーカ16と取付部材18とを共に後退させても良い。又、作業者は、併せて、取付部材18を、パネル2の切欠部30から、挿入部30aを経て取り外しても良い。
【0021】
かようなブレーカ取付構造1は、角部25及び角部25を含むように配置された切欠部30を有する分電盤のパネル2と、第2被係止片48を有するブレーカ16と、第2被係止片48に係止する各側部54及び押さえ部52、及び前記切欠部30に入る溝部58を有する、板状の取付部材18と、を備えており、取付部材18は、溝部58が角部25を通過することにより回転し、各側部54及び押さえ部52は、取付部材18の倒伏姿勢から起立姿勢への回転により、第2被係止片48に近づいて係止する。よって、作業者は、取付部材18の溝部58をパネル2の切欠部30に係合させた状態で、取付部材18を角部25により回転させ、各側部54及び押さえ部52をブレーカ16の第2被係止片48に係止させるだけで、ブレーカ16をパネルに容易に取り付けることができ、各側部54及び押さえ部52の第2被係止片48への係止を解除するだけでブレーカ16を容易に取り外すことができる。かようなブレーカ16を載置するための取付部材18のパネル2への係合は、パネル2に切欠部30を形成し、板状の取付部材18に溝部58を形成することにより、低コストで実現できる。又、取付部材18は、ブレーカ16の第2被係止片48やパネル2の切欠部30に対し、板バネとしての弾性力により係止しあるいは係合するので、ブレーカ16取付時の固定力は、十分に確保される。
又、ブレーカ16の第2被係止片48を係止する係止部は、一対の側部54を含んでおり、それら側部54の外側に、溝部58が配置されている。よって、ブレーカ16に対する係止部及び切欠部30に係合する溝部58を有する取付部材18がシンプルでコンパクトに形成される。
更に、第2被係止片48を係止する係止部は、第2被係止片48の上面に接触する押さえ部52を含んでいる。よって、ブレーカ16がより一層確実に取り付けられる。
加えて、取付部材18は、他の部分に対して角度を付けられた摘み部50を有している。よって、作業者は、摘み部50を持つことで取付部材18を容易に操作することができ、特に、ブレーカ16の取付時にブレーカ本体40から離れており持ち易い摘み部50を持って、取付部材18をブレーカ16から全体が離れるまで容易に回転操作することができ、一層容易にブレーカ16を取り外すことができる。
【0022】
尚、ブレーカ取付構造1は、適宜次のような変更例を有する。
取付部材18の形状や大きさ、材質等は、様々に変更することができる。例えば、各側部54の下部同士を結ぶ連結部が設けられて、取付部材18が後ろからみてロ字状とされても良い。又、摘み部50とそれ以外の部分とが別体で形成され組み合わせられていても良く、各側部54とそれ以外の部分とが別体で形成され組み合わせられていても良い。更に、摘み部50あるいはその下側隣接部分の何れか一方は、省略されても良い。又更に、取付部材18は、左右非対称形状であっても良い。又、押さえ部52は、第2被係止片48に対し単に接触するだけであっても良いし、第2被係止片48に接触するのみならず第2被係止片48を押圧しても良い。押さえ部52の前後方向の長さは、ブレーカ16の第2被係止片48の前後方向の長さより短くても良いし、長くても良い。更に、溝部58は、突片56が配置されない状態で形成されても良いし、角溝に代えて丸溝やアリ溝とされても良いし、取付部材18起立時の前後方向以外の方向に形成されても良いし、取付部材18の肉厚より長くても良い。加えて、取付部材18は、合成樹脂製であっても良い。
母線バー8,14は、枝状部32,34を有さないものとすることができる。
枝状部32,34の代わりに凹部が設けられると共に電源側接続端子42が当該凹部に入る凸部とされたり、断面ロ字状の係止片26に代えて凸部を有する係止片が設けられると共に第1被係止片44に代えて当該凸部を受け入れる凹部が設けられたり、第2被係止片48が取付部材18に設けられた凸部を受け入れる凹部とされたりする等、各種の係止や係合において凹凸が適宜入れ替えられても良い。又、各種の係止や係合は、互いに掛かり合う爪をそれぞれ有する凸部同士によってなされても良い。
電源側接続端子42及び負荷側接続端子46の少なくとも一方が上下に並ぶようにされたり、1枚のパネル2に5個以下あるいは7個以上のブレーカ16が載置可能であるようにされたり、ベース4に1枚あるいは3枚以上のパネル2を載せたり、ベース4が一連のものとされるかあるいは省略されたり、3種以上の母線バーが設けられたりする等、各種部材や部分の配置や設置数等は、適宜変更可能である。