(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体の流路を開閉する電磁弁、該電磁弁から送られる前記流体により、被塗布基材に塗布される液体の放出状態又は不放出状態への切り替えが行われる液体塗布部、前記流体が前記電磁弁から前記液体塗布部へ向かう途中の流路の内圧を計測する圧力センサ、前記電磁弁を開閉する制御信号を送信するタイミング制御部、及び演算処理部を有する、液体を前記被塗布基材に間欠塗布するための液体塗布装置であって、
前記演算処理部は、前記タイミング制御部から前記電磁弁に対して前記液体塗布部を前記液体の放出状態とするオン信号が出力された時刻と、前記圧力センサから前記液体の放出状態に対応するオン信号が出力された時刻との差分である塗布開始時遅れ時間、又は前記タイミング制御部から前記電磁弁に対して前記液体塗布部を前記液体の不放出状態とするオフ信号が出力された時刻と、前記圧力センサから前記液体の不放出状態に対応するオフ信号が出力された時刻との差分である塗布終了時遅れ時間を算出し、算出された前記塗布開始時遅れ時間又は前記塗布終了時遅れ時間が、既定の範囲から外れたときに、塗布に異常が生じたと判定する、液体塗布装置。
前記塗布開始時遅れ時間及び前記塗布終了時遅れ時間を算出し、前記塗布開始時遅れ時間又は前記塗布終了時遅れ時間が、既定の範囲から外れたときに、塗布に異常が生じたと判定する、請求項1に記載の液体塗布装置。
前記圧力センサから出力される前記オン信号は、前記内圧の計測値が予め定めた閾値以上となったときに出力され、前記圧力センサから出力される前記オフ信号は、前記内圧の計測値が前記閾値未満となったときに出力される、請求項1又は2に記載の液体塗布装置。
搬送中の前記被塗布基材の一定の送り長さ間隔で周期信号を発生する信号発生手段を備え、前記信号発生手段が前記周期信号を発した時刻と、前記タイミング制御部から前記オン信号が出力された時刻との差分、又は前記信号発生手段が前記周期信号を発した時刻と、前記オフ信号が出力された時刻との差分を演算し、それらの差分の少なくとも一方が、予め設定した範囲から外れたときに、塗布に異常が生じたと判定する第2動作チェック部を備える、請求項1〜4の何れか1項に記載の液体塗布装置。
前記第2動作チェック部は、前記信号発生手段が前記周期信号を発した時刻と、前記タイミング制御部から前記オン信号が出力された時刻及び前記オフ信号が出力された時刻それぞれとの差分を演算し、それらの差分の少なくとも一方が、予め設定した範囲から外れたときに、塗布に異常が生じたと判定する請求項5に記載の液体塗布装置。
前記演算処理部は、間欠塗布複数回分の前記塗布開始時遅れ時間又は前記塗布終了時遅れ時間を記憶装置に記録し、記録した塗布複数回分の前記塗布開始時遅れ時間又は前記塗布終了時遅れ時間の平均値に基づき、前記異常と判定する基準となる前記既定の範囲を自動で設定する機能を有する、請求項1〜7の何れか1項に記載の液体塗布装置。
流体の流路を開閉する電磁弁、該電磁弁から送られる前記流体により、被塗布基材に塗布される液体の放出状態又は不放出状態への切り替えが行われる液体塗布部、前記流体が前記電磁弁から前記液体塗布部へ向かう途中の流路の内圧を計測する圧力センサ、及び前記電磁弁を開閉する制御信号を送信するタイミング制御部を備えた液体塗布装置を用いて、搬送中の被塗布基材に液体を間欠塗布する液体塗布方法であって、
演算処理装置に、前記タイミング制御部から前記電磁弁に対して前記液体塗布部を前記液体の放出状態とするオン信号が出力された時刻と、前記圧力センサから前記液体の放出状態に対応するオン信号が出力された時刻との差分である塗布開始時遅れ時間、又は前記タイミング制御部から前記電磁弁に対して前記液体塗布部を前記液体の不放出状態とするオフ信号が出力された時刻と、前記圧力センサから前記液体の不放出状態に対応するオフ信号が出力された時刻との差分である塗布終了時遅れ時間を算出させ、算出させた前記塗布開始時遅れ時間又は前記塗布終了時遅れ時間が、既定の範囲であるか否かの動作チェックを行いつつ、前記被塗布基材に対する前記液体の間欠塗布を行う、液体塗布方法。
前記塗布開始時遅れ時間及び前記塗布終了時遅れ時間を算出させ、算出させた前記塗布開始時遅れ時間及び前記塗布終了時遅れ時間が、それぞれ既定の範囲であるか否かの動作チェックを行いつつ、前記被塗布基材に対する前記液体の間欠塗布を行う、請求項9に記載の液体塗布方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の液体塗布装置の一実施形態の概略構成を示している。この液体塗布装置1は、液体塗布部制御用の制御用流体の流路を開閉する電磁弁4と、電磁弁4から送られる制御用流体により、被塗布基材2に塗布されるホットメルト等の液体51の放出状態又は不放出状態への切り替えが行われる液体塗布部5を備えている。ここで、制御用流体とは、被塗布基材2に塗布される液体が、液体塗布部5から放出される放出状態と放出されない不放出状態との切り替えを行わせるための流体である。制御用流体としては、
図2に示すような、弁体10の移動により放出状態と不放出状態とを切り替えられる液体塗布部5における該弁体10を移動させることができる流体を特に制限なく用いることができ、例えば、窒素ガス、圧縮エア等の圧縮ガス、鉱物油、水グリセリン等の液体等を用いることもできる。これらの中でも、動作速度、設置容易性の観点から、圧縮ガス等の圧縮性を有する圧縮流体が好ましく、コスト、安全性の観点から、圧縮エアを用いることが更に好ましい。
【0011】
また液体塗布装置1は、制御用流体が電磁弁4から液体塗布部5へ向かう途中の流路の内圧を計測する圧力センサ6を備えている。圧力センサ6は、制御用流体の流路の内圧の計測値が予め定めた閾値以上となったときにオン信号を出力し、制御用流体の流路の内圧の計測値が前記閾値未満となった場合にオフ信号を出力する。ここでいう、オフ信号の出力には、オン信号を出力しないことや、オン信号の出力が終了して、電圧等の出力のレベルがhigh(ハイ)からlow(ロー)へと変化することも含む。圧力センサ6は、最大圧力と最低圧力を目安に閾値を設定し(たとえば最大圧力の50%)、該閾値以上となっている間、オン信号の出力が継続するように設定することが好ましい。
【0012】
また液体塗布装置1は、搬送中の被塗布基材2の一定の送り長さ間隔で周期信号を発生する信号発生手段を備えている。
液体塗布装置1は、搬送中の被塗布基材2の搬送速度と等しい周速度で回転するローラ34を備えている。ローラ34の回転軸31にドグ32が設けられ、その回転軸31の近傍に近接スイッチ33が配されている。そして、ローラ34が回転してドグ32が近接スイッチ33に周期的に近接する度にパルス信号P1が発生する。
液体塗布装置1において、ローラ34は、被塗布基材2が吸収性物品1個分の長さ流れる毎に一回転し、該ローラ34が一回転する毎に周期信号P1を一回発生させる。ローラ34、ドグ32及び近接スイッチ33は、搬送中の被塗布基材2の一定の送り長さ間隔で周期信号P1を発生させる信号発生手段として機能する。
また液体塗布装置1は、ローラ34のモータに回転位置検出器36が設置されており、モータからの回転信号を取得することでローラ34回転時の位置(0−360°)を検出することができる。回転位置検出器36としては、エンコーダ等の各種公知のものを用いることもできる。
液体塗布装置1において、ローラ34は、被塗布基材2が吸収性物品1個分の長さ流れる毎に一回転し、回転位置検出器36により吸収性物品1個を0−360°で位置検出するのが好ましい。
【0013】
ローラ34は、例えば、被塗布基材2を吸収性物品1個分の長さに切断するローラカッターのローラ、被塗布基材2を搬送する搬送手段のローラ(ニップローラ、ベルトコンベアの駆動又は従動ローラ等)、被塗布基材2に接触して回転するフリーローラ等であり得る。ローラ34の回転速度は、被塗布基材2の搬送速度との関係で決まる。ローラ34の回転速度(周速)は、被塗布基材2の搬送速度と同一速度、あるいは該搬送速度に比例する速度であることが好ましい。また、ローラ34は、一定速度で回転することが好ましい。
図2には、ローラ34がローラカッターのローラである場合が示されている。ローラ34が、被塗布基材2を吸収性物品1個分の長さに切断するローラカッターのローラであることは、個々の吸収性物品の適正な位置に液体を高精度に塗布することが容易となる観点から好ましい。
【0014】
被塗布基材2としては、液体を塗布可能な任意の素材からなる材が用いられる。被塗布基材2は、シート状物であることが好ましく、該シート状物としては、不織布、樹脂フィルム、紙、織物、これらの一以上の積層体、これらの一以上の積層体の層間に非シート状物を連続又は間欠的に介在させた積層体等が挙げられる。生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ、尿とりパッド等の吸収性物品の製造に、本実施形態の液体塗布装置1を用いる場合の被塗布基材2の例としては、吸収性物品の表面材、裏面材、剥離紙、個装シート等の帯状原反、吸収体の連続体、2以上の積層体の連続体等が挙げられる。
【0015】
液体を塗布する被塗布基材2は、例えば、不図示の送出しローラから送り出され、フィードローラ等の公知の搬送機構により次工程に搬送される。被塗布基材2の搬送経路中には液体塗布部5が設けられ、この液体塗布部5からホットメルト等の液体が放出され、プリントPが被塗布基材2に形成される。このプリントPは所定の間隔で形成される。被塗布基材2が、吸収性物品の構成部材である場合、
図2に示す被塗布基材2の搬送方向MDにおいて、液体塗布部5による液体の塗布位置と、ローラ34を備えたローラカッターによる切断位置との間に、吸収性物品の他の構成部材を合流させる合流部や、合流させた後の複数の部材にヒートシール等の接合加工や、エンボス加工等の各種加工を施す加工部等が配置されていても良い。
ホットメルトとしては、例えば、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー)、SIBS(スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックポリマー)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックポリマー)等のスチレン系エラストマー;エチレン・酢酸ビニル系コポリマー;ポリエステル系、アクリル系、ポリオレフィン系等のエラストマー類;ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリイソプレン、天然ゴム等のゴム類等が好ましく用いられる。これらの中でも、特に、スチレン系エラストマーは、均一に塗布できるため、本実施形態で好ましく用いられる。また、ホットメルトの塗布方式は特に限定されず、コーター方式、スパイラル方式(オメガ方式、デュラウエーブ方式等)、スプレー方式、カーテンスプレー方式など公知のものを利用することができるが、間欠塗布を管理する観点から好ましい方法は、コーター方式、カーテンスプレー方式、スプレー方式である。
被塗布基材2を素材とする製品としては、例えば、前述した生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ、尿とりパッド等の吸収性物品が挙げられる。本発明の液体塗布装置は、電磁弁を介した流体で液体塗布部を動作させて液体の塗布を行うことができる任意の製品の製造に好ましく用いることができる。
【0016】
図2には、液体塗布部5を作動させるための構造が示されている。
図2に示すように、液体塗布部5は、弁体10を備えている。弁体10はニードル部10aと、ニードル部10aの後端側に形成されたフランジ部10bとからなり、ニードル部10aの先端には円錐台状の栓部10cが形成されている。そして、弁体10が昇降することにより、栓部10cがホットメルトの流路を開閉し、これにより液体塗布部5はホットメルトを放出する状態と放出しない状態とに切り換えられる。液体塗布部5には、液体供給装置52から塗布すべき液体51が供給される。
また、液体塗布部5には、制御用流体供給装置41であるコンプレッサ等から電磁弁4を介して制御用流体としての圧縮エアが送り込まれる。この圧縮エアの作用により弁体10は昇降する。
電磁弁4は、制御部7の一部を構成するタイミング制御部8に接続されている。タイミング制御部8は、電磁弁4に対して電磁弁4を開閉する制御信号を送信し、電磁弁4の開閉及びそのタイミングを制御する。タイミング制御部8としては、例えば、塗布ガンによる液体の塗布及びその塗布の終了のタイミングの制御に使用可能な市販のガンコントローラを用いることもできる。また電磁弁4から液体塗布部5に向かう流路に設けられた圧力センサ6は、制御部7の一部を構成する演算処理部9に接続されている。また前述した回転検出器3もこの演算処理部9に接続されている。演算処理部9としては、パーソナルコンピュータ等のコンピュータに所定の制御プログラムを組み込んだものや、所定の設定を行ったプログラマブルロジックコントローラ(PLC)等を用いることができる。
【0017】
また液体塗布装置1の制御部7は、演算処理部9に、第1の動作チェックを行う第1動作チェック部91、及び第2の動作チェックを行う第2動作チェック部92を有しており、液体塗布装置1によれば、第1動作チェック部91による第1の動作チェック及び第2動作チェック部92による第2の動作チェックの一方又は双方を行いつつ、搬送中の被塗布基材2に対する液体(ホットメルト等)の間欠塗布を行うことができる。
液体塗布装置1の演算処理部9は、パーソナルコンピュータ、汎用コンピュータ等の通常のコンピュータが備える表示部、入力部、記憶装置、中央演算部、内部タイマー等を備えていることが好ましい。表示部は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode−Ray Tube)、ELディスプレイ(Electroluminescence display)等によって構成され、入力部は、例えばキーボードやタッチパネル、USB等の外部メモリを接続可能なインターフェース等によって構成される。記憶装置は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(solid state drive)等によって構成され、中央演算部は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成される。コンピュータの表示部、入力部、記憶装置、中央演算部等は、コンピュータにインストールされたOS(Operating System)及び該OS上で動作するアプリケーションソフトによって相互に連関して動作することによって、演算処理部9の第1動作チェック部91及び第2動作チェック部92、後述する基準自動設定部93及び警報発生部94等として機能する。
【0018】
第1動作チェック部91により行われる第1の動作チェックについて説明する。
図3は、制御部7のタイミング制御部8から出力される電磁弁4の制御信号の出力波形、圧力センサ6の出力波形、及び信号発生手段(ドグ32)の出力波形を示すタイミングチャートである。電磁弁4の制御信号は、電磁弁4に出力されるのと同時に、演算処理部9にも出力される。
【0019】
タイミング制御部8から電磁弁4に対して出力される制御信号は、ハイ(high)の状態が、電磁弁4の弁を開放状態に維持する指令、それ以外のロー(low)の状態が、電磁弁4の弁を閉鎖状態に維持する指令である。したがって、電磁弁4に対して出力され、同時に電磁弁4及び演算処理部9に入力される電磁弁4の制御信号は、
図3に示すように、出力値が、ロー(low)からハイ(high)へと変化した時刻T1が、電磁弁4を閉鎖状態から開放状態へと切り替えるオン信号が出力された時刻T1であり、電磁弁4にオン信号が出力されると、電磁弁4が、閉鎖状態から開放状態へと切り替わることによって、圧縮ガス等の制御用流体が、電磁弁4から液体塗布部5に向かって流れ、その制御用流体によって、液体塗布部5が、液体の不放出状態から放出状態へと切り替わる。そして、それにより、ホットメルト等の液体の被塗布基材2への塗布が開始される。また、タイミング制御部8から電磁弁4に対してオン信号が出力されることによって、電磁弁4が閉鎖状態から開放状態へと切り替わると、制御用流体が電磁弁4から液体塗布部5に向かって流れ、圧縮性流体の流路の内圧が上昇する。そして、圧力センサ6により計測した当該流路の内圧の計測値が、予め定めた閾値以上となった時点T2で、圧力センサ6から演算処理部9に対して圧力センサ6のオン信号が出力される。
【0020】
他方、タイミング制御部8から電磁弁4に対して出力される制御信号は、
図3に示すように、出力値が、ハイ(high)からロー(low)へと変化した時刻T3が、電磁弁4を開放状態から閉鎖状態へと切り替えるオフ信号が出力された時刻T3であり、電磁弁4にオフ信号が出力されると、電磁弁4が、開放状態から閉鎖状態へと切り替わることによって、電磁弁4から液体塗布部5に向かって流れる制御用流体の流れが停止し、それによって、液体塗布部5が液体の放出状態から不放出状態へと切り替わる。そして、それにより、ホットメルト等の液体の被塗布基材2への間欠塗布の1回の塗布が終了する。また、タイミング制御部8から電磁弁4に対してオフ信号が出力されることによって、電磁弁4が開放状態から閉鎖状態へと切り替わり、それによって制御用流体の流れが停止すると圧縮性流体の流路の内圧が下がる。そして、圧力センサ6により計測した当該内圧の計測値が、予め定めた前記閾値未満となった時点T4で、圧力センサ6から演算処理部9に対して圧力センサ6のオフ信号が出力される。
【0021】
本発明の装置及び方法の第1実施形態においては、搬送中の被塗布基材2に対するホットメルト等の液体の間欠塗布を行いつつ、以下の第1の動作チェックが行われる。この第1の動作チェックにおいては、制御部7の演算処理部9が、圧力センサから前記液体の放出状態に対応するオン信号が出力された時刻として、圧力センサ6からオン信号が出力された時刻T2を用い、
図3に示すように、タイミング制御部8から電磁弁4に対してオン信号が出力された時刻T1と圧力センサ6からオン信号が出力された時刻T2とから両者の差分である塗布開始時遅れ時間d1を算出して、記憶装置95に記録する。この塗布開始時遅れ時間d1は、間欠塗布の個々の塗布のそれぞれについて、電磁弁4に対してオン信号が出力された時刻T1から圧力センサ6からオン信号が出力された時刻T2までの時間であり、圧力センサ6からのオン信号の出力が、電磁弁4に対してオン信号の出力からどの程度遅れて検知されたかを示す。また、この第1の動作チェックにおいては、制御部7の演算処理部9が、圧力センサから前記液体の不放出状態に対応するオフ信号が出力された時刻として、圧力センサ6からオフ信号が出力された時刻T4を用い、
図3に示すように、タイミング制御部8から電磁弁4に対してオフ信号が出力された時刻T3と圧力センサ6からオフ信号が出力された時刻T4とから両者の差分である塗布終了時遅れ時間d2を算出して、記憶装置95に記録する。この塗布終了時遅れ時間d2は、間欠塗布の個々の塗布のそれぞれについて、電磁弁4に対してオフ信号が出力された時刻T3から、圧力センサ6からオフ信号が出力された時刻T4までの時間であり、圧力センサ6によるオフ信号の出力が、電磁弁4に対してオフ信号を出力してからどの程度遅れて出力されたかを示す。
【0022】
制御部7の演算処理部9は、好ましくは間欠塗布の個々の塗布を行う度に、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2を算出し、算出した塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2が、それぞれについて定められた既定の範囲内であるか否かを監視しながら、間欠塗布を継続する。そして、塗布開始時遅れ時間d1又は塗布終了時遅れ時間d2が既定の範囲から外れた塗布を検出した場合に異常が生じたと判定する。制御部7の第1動作チェック部91が、このようにして異常を検知した場合は、警報発生部94が、前述した、モニタ等からなる表示部11に視覚的に認識できる警告を表示させたり、あるいは非常ベル等の音や合成音声や記録した声等により警告を発する。警告は、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2の何れが、既定の範囲を外れたかを認識できるものが好ましく、例えば、
図3に示すような、タイミング制御部8から出力される制御信号の出力波形及び圧力センサから出力される出力波形の両波形をモニタ等の表示部11に表示することを伴うことが好ましい。
【0023】
上記の第1の動作チェックを行いつつ間欠塗布を行うことで、電磁弁の性能低下や寿命を原因として発生しやすい、間欠塗布の異常を容易に検知することができる。
例えば、電磁弁が、開放状態から閉鎖状態に戻らない故障やそれによる塗布不良は、塗布終了時遅れ時間d2が既定の範囲を超えることによって検知することができ、電磁弁が、閉鎖状態から開放状態とならない故障やそれによる塗布不良は、塗布開始時遅れ時間d1が既定の範囲を超えることによって検知することができる。
また、塗布開始時遅れ時間d1が既定の範囲を超える一方、塗布終了時遅れ時間d2が既定の範囲に収まる場合、又は塗布開始時遅れ時間d1が既定の範囲に収まる一方、塗布終了時遅れ時間d2が既定の範囲を超える場合は、制御用流体の圧力異常、又は電磁弁の閉鎖状態と解放状態との切替不良の何れかが発生したこと、及びそれによる塗布不良であることが推定される。
【0024】
液体塗布装置1の第1動作チェック部91は、例えば、
図4に概略を示す処理フローで、上述した第1の動作チェックを行う。
図4に示すフローチャートのステップS2は、前述したドグ及び近接スイッチを用いた信号発生手段により、吸収性物品1個分の長さに相当する送り長さ間隔で周期的に発生する周期信号P1(
図3参照)を取得するとともに、モータに設置された回転位置検出器36による回転信号を取得するステップである。ステップS5に記載の「しきい値」は、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2のそれぞれについて予め設定しておく上述した既定の範囲であり、例えば、吸収性物品等の製品としたときに、プリントP等の液体が塗布された範囲の、流れ方向MDの下流側の端部位置及び上流側の端部位置の目標位置を中心として、どの程度までずれても良品として許容するかに応じて幅を持たせて設定する。ステップS3は、タイミング制御部8により電磁弁4に制御信号としてオン信号又はオフ信号を出力するとともに、それらの信号を同時に演算処理部9にも取り込むステップである。より具体的には、ステップS2で取得した周期信号P1でタイミング制御部8のプリセットを実施し、回転位置検出器36による回転信号で吸収性物品1個中の位置を検出し、所定のタイミングで電磁弁4に制御信号としてオン信号又はオフ信号を出力する。ステップS4は、圧力センサから出力されるオン信号又はオフ信号を、演算処理部9にも取り込むステップである。ステップS5においては、ステップS3,S4で取り込んだ情報に基づき、演算処理部9が、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2を算出し、それぞれが既定の範囲に収まるか否かを判定するステップであり、ステップS6は、異常であると判定した場合に警報発生部94により、表示部11等に警報を表示させるステップである。このフローは、間欠塗布を継続している間、各回の塗布のそれぞれについて行う。間欠塗布を終了する場合や異常を検知した場合は、ステップS7に移行して液体塗布装置の運転を停止し、異常を検知して停止したときには、電磁弁の交換等の必要な作業を行う。
【0025】
図5は、入力部の一例であるタッチパネルを介して入力設定した、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2それぞれについての「しきい値」が示された画面を示す模式図であり、当該画面には、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2のそれぞれに入力して設定した、異常か否かを判断する基準とする「既定の範囲」としての「しきい値」と、間欠塗布中に時々刻々と変化する塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2それぞれの現在値が示されている。
図5中、現在のショット数は、間欠塗布の個々の塗布の累積数であり、1回の塗布する度に1づつ増加する。
第1動作チェック部91は、第1の動作チェックに必要な処理をコンピュータが行わせるための第1動作チェックプログラムをコンピュータ等に組み込むことにより構成することができる。
【0026】
本発明の装置及び方法の第2実施形態においては、搬送中の被塗布基材に対するホットメルト等の液体の間欠塗布を行いながら、以下の第2の動作チェックが行われる。この第2の動作チェックは、第1の動作チェックと共に行うことが好ましい。
第2動作チェックにおいては、前述した信号発生手段、好ましくは吸収性物品1個分の長さ流れる毎に周期信号を発する信号発生手段を用い、当該周期信号を周期的に発生させるとともに、それらの周期信号を、制御部の演算処理部9に入力させ、内部タイマーの時間と関連付けて記録する。また第1実施形態と同様にして、タイミング制御部8から電磁弁4に対してオン信号及びオフ信号が出力された時刻T1、T3も、制御部の演算処理部9に入力させ、内部タイマーの時間と関連付けて記録する。
そして、制御部7の演算処理部9により、周期信号が発生した時刻T0と、タイミング制御部8から電磁弁4に対してオン信号が出力された時刻T1との差分d3(
図3参照)、及び周期信号が発生した時刻T0と、タイミング制御部8から電磁弁4に対してオフ信号が出力された時刻T3との差分d4をそれぞれ算出する。
制御部7の演算処理部9は、好ましくは間欠塗布の個々の塗布を行う度に、前記差分d3と前記差分d4とを算出し、また、算出した前記差分d3及び前記差分d4が、それぞれについて定められた既定の範囲内であるか否かを監視しながら、間欠塗布を継続する。そして、前記差分d3又は前記差分d4が既定の範囲から外れた塗布を検出した場合に異常が生じたと判定する。制御部7の第2動作チェック部92が、このようにして異常を検知した場合は、警報発生部94が、前述した、モニタ等からなる表示部11に視覚的に認識できる警告を表示させたり、あるいは非常ベル等の音や合成音声や記録した声等により警告を発する。警告は、前記差分d3及び前記差分d4の何れが、既定の範囲を外れたかを認識できることが好ましく、例えば、
図3に示すような、タイミング制御部8から出力される制御信号の出力波形及び周期信号の出力波形の両波形をモニタに表示することを伴うものとすることが好ましい。
【0027】
上記の第2の動作チェックを行いつつ間欠塗布を行うことで、タイミング制御部8や電磁弁4の故障を原因として発生しやすい、間欠塗布の異常を容易に検知することができる。
例えば、タイミング制御部8から電磁弁4に対する制御信号の伝達に異常がある場合は、周期信号を発した時刻T0からタイミング制御部8から電磁弁4に対してオン信号が出力された時刻T1までの時間である前記差分d3が、既定の範囲を超えることになり、また、タイミング制御部8の内部タイマー、回転位置検出器36、又はドグ32の何れかが故障している場合は、前記差分d3及び前記差分d4の何れかが既定の範囲を超えることとなる。したがって、第2の動作チェックを行うことにより、タイミング制御部8や電磁弁4等のこのような故障に基づく間欠塗布の異常を容易に検知することができる。
【0028】
液体塗布装置1の第2動作チェック部92は、例えば、
図6に概略を示す処理フローで、上述した第2の動作チェックを行う。
図6に示すフローチャートのステップS12は、前述したドグ及び近接スイッチを用いた信号発生手段により、吸収性物品1個分の長さに相当する送り長さ間隔で周期的に発生する周期信号P1(
図3参照)を取得するステップである。ステップS13は、タイミング制御部8により電磁弁4に制御信号としてオン信号又はオフ信号を出力するとともに、それらの信号を同時に演算処理部9にも取り込むステップである。ステップS14は、ステップS12,S13で取り込んだ情報に基づき、前記差分d3,d4を算出し、そのそれぞれが既定の範囲に収まっているか否かを判定するステップであり、ステップS15は、異常であると判定した場合に警報発生部94により、表示部11等に警報を表示させるステップである。このフローは、間欠塗布を継続している間、各回の塗布のそれぞれについて行う。間欠塗布を終了する場合や異常を検知した場合は、ステップS16に移行して液体塗布装置の運転を停止し、異常を検知して停止したときには、タイミング制御部8と電磁弁4とを結ぶ配線の断線の確認や交換や、タイミング制御部8の交換等の必要な作業を行う。
第2動作チェック部92は、第2の動作チェックに必要な処理をコンピュータが行わせるための第2動作チェックプログラムをコンピュータ等に組み込むことにより構成することができる。
【0029】
第1動作チェック又は第2動作チェックにより異常を検知し、その異常が電磁弁4に基づくものであることが判明した場合、当該電磁弁4を交換する。
本発明の液体塗布装置は、電磁弁4を交換して間欠塗布を再開した後に、間欠塗布複数回分の塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2を記憶部に順次記録し、記録した複数回分の塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2それぞれの平均値に基づき、第1動作チェックで異常と判定する基準となる既定の範囲を自動で設定する基準自動設定部93を有することが好ましい。熱や寿命等により性能が劣化する前の電磁弁についての塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2をもとに、基準を設定することで、製造ロット等による電磁弁の性能の差を考慮できる等の利点がある。
【0030】
本発明の液体塗布装置は、基準自動設定部93を備えることが好ましい。基準自動設定部93は、電磁弁4を交換して間欠塗布を再開した後、例えば、開始ボタンを押すだけで、
図7に示すような処理により、第1動作チェックで異常判定の基準として使用した「しきい値」を自動で生成し、記憶装置等に保存しておき、それをその後の間欠塗布を行う際に、第1の動作チェックで異常判定の基準とする「しきい値」として使用できるようにするものである。
【0031】
図7は、基準自動設定部による処理のフローを示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートを参照しつつ基準自動設定部の動作フローを説明すると、電磁弁4を交換して間欠塗布を再開した状態で、表示部11に表示された開始ボタンをクリックすると(ステップS22)、間欠塗布の各回の塗布を行うため電磁弁の開放及び閉鎖の動作時に、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2が算出され、それらが記憶装置に形成されたデータベースに記録される(ステップS23)。間欠塗布においては塗布が繰り返され、その1回の塗布毎に、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2が算出され、算出された結果が、順次データベースに記録される(ステップS24)。そして、塗布が予め設定された規定回数繰り返されたときに、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2のそれぞれについて平均値が算出される(ステップS25,S26)。
そして、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2のそれぞれについて、算出された平均値に許容される電磁弁の劣化を考慮した値を加えた「しきい値」が算出される(ステップS27)。「しきい値」は、間欠塗布に異常が生じたと判定する基準となる第1動作チェックの際の「既定の範囲」であり、第1の動作チェックで異常判定の基準とする「しきい値」として使用できる形で、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2についての「しきい値」が保存される(ステップS28)。
【0032】
液体塗布装置に、基準自動設定部93や基準自動設定部93が有する機能を持たせることによって、製造ロット等によって微妙に性能に差がある電磁弁についても、それ自体を基準に「しきい値」を設定できるため、電磁弁の性能劣化による電磁弁の動作不良を常に一定の幅を持たせて判断できる。
本発明の液体塗布方法に用いる演算処理装置としては、例えば、上述した演算処理部9の機能を備える任意の装置を用いることができる。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はそれらの実施形態に制限されず、適宜変更可能である。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、電磁弁4をオンにすることで液体塗布部5からホットメルトを塗布する装置について説明したが、電磁弁4をオフにすることで液体塗布部5からホットメルトを塗布するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、
図1に示すように、幅方向に長い長尺状のホットメルトのプリントPを搬送方向に沿って一定間隔毎に形成した例について説明したが、液体塗布部5のノズルを複数にし、各ノズルに対応する圧縮エア用の電磁弁を設け、小さいプリントPを被塗布基材2の幅方向に複数形成してもよい。例えば、
図8に示すように、被塗布基材2の幅方向に沿って2つのプリントPを形成してもよい。
【0035】
また、
図3に示すように、ローラ34が1回転する間に、塗布を1回行うのに代えて、
図9に示すように、ローラ34が1回転する間に、複数回の塗布を行っても良い。
更に、上述した実施形態では、液体塗布部5からホットメルトを塗布する例について説明したが、本発明は、ホットメルト以外の液体、例えば、ホットメルト型接着剤以外の接着剤、表面処理剤、スキンケア剤、香料の塗布にも適用することができる。
また、上述した実施形態では、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2の両方を算出して、算出された塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2の何れか一方又は両方を用いて塗布に異常が生じたかどうかを判断していたが、塗布開始時遅れ時間d1及び塗布終了時遅れ時間d2の何れか一方のみを算出して、算出された塗布開始時遅れ時間d1又は塗布終了時遅れ時間d2に基づき、異常が生じたか否かを判定してもよい。
また、上述した実施形態では、第2の動作チェックにおいて、前記差分d3及び前記差分d4の両方を演算し、それらの差分の少なくとも一方が、予め設定した範囲から外れたときに、塗布に異常が生じたと判定していたが、前記差分d3及び前記差分d4の何れか一方のみを演算し、その算出された差分のみに基づき異常が生じたか否かを判定してもよい。