(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、この発明の一実施形態のヒートポンプ装置の構成について、図面に基づき詳細に説明する。なお、このヒートポンプ装置は、暖房装置および冷房装置として機能させることができるが、以下の実施形態においては主として暖房装置として使用している場合の構成要素および動作について説明する。
【0014】
1は加熱された循環液を供給するヒートポンプ式の熱源機としてのヒートポンプユニットで、ヒートポンプユニット1は、その筐体内に、冷媒を圧縮する回転数可変の圧縮機2、流路切換手段としての四方弁3、冷媒と循環液との熱交換を行う液冷媒熱交換器4、減圧手段としての膨張弁5、送風ファン6の作動により送られる空気(外気)との熱交換を行う空気熱交換器7とを有し、それらを冷媒配管8で環状に接続して冷媒が循環するヒートポンプ回路9を形成しているものである。前記液冷媒熱交換器4は、例えば、プレート式熱交換器で構成され、プレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートが積層され、冷媒を流通させる冷媒流路と循環液を流通させる液流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されている。なお、ヒートポンプ回路9を循環する冷媒としては、HFC冷媒や二酸化炭素冷媒等の任意の冷媒を用いることができるものである。
【0015】
10は外気温度を検出する外気温度センサ、11は膨張弁5から空気熱交換器7までの冷媒配管8に設けられ、冷媒温度を検出する冷媒温度センサである。
【0016】
前記冷媒配管8に設けられた四方弁3は、ヒートポンプ回路9における冷媒の流れ方向を切り換える機能を有し、圧縮機2から吐出された冷媒を、液冷媒熱交換器4、膨張弁5、空気熱交換器7の順に流通させ、圧縮機2に戻す流路を形成する状態(暖房運転時および正サイクル除霜運転時の状態)と、圧縮機2から吐出された冷媒を、空気熱交換器7、膨張弁5、液冷媒熱交換器4の順に流通させ、圧縮機2に戻す流路を形成する状態(逆サイクル除霜運転時の状態)とに切換可能なものである。
【0017】
12はヒートポンプユニット1で加熱された循環液が供給され、供給された循環液の熱を利用することで被空調空間の空調を行う熱交換端末であり、熱交換端末12としては暖房専用端末である床暖房パネルやラジエータ、冷暖房兼用端末である輻射パネルやファンコイル等を用いるものである。
図1では1つしか設けられていないが、複数であってもよいものであり、数量や仕様が特に限定されるものではない。
【0018】
13は液冷媒熱交換器4と熱交換端末12とを液配管14で環状に接続し、循環液(例えば、水や不凍液等)が循環する循環回路で、循環回路13は、循環回路13に循環液を循環させる回転数可変の循環ポンプ15と、熱交換端末12から液冷媒熱交換器4に流入する循環液の温度を検出する戻り温度センサ16と、循環液を貯留し循環回路13内の圧力を調整するシスターン17とを備えているものである。
【0019】
18は各種のデータやプログラムを記憶する記憶手段と、演算・制御処理を行う制御手段とを備え、ヒートポンプ装置の動作を制御する制御装置であり、制御装置18はヒートポンプユニット1内の各種センサの信号やリモコン19からの信号を受け、圧縮機2、四方弁3、膨張弁5、送風ファン6、循環ポンプ15の駆動を制御するものである。
【0020】
前記制御装置18は、ヒートポンプ回路9を作動させると共に循環ポンプ15を駆動させて、液冷媒熱交換器4において循環液を加熱し、加熱された循環液を熱交換端末12に供給し、被空調空間を加熱する暖房運転中に、所定の除霜開始条件が成立したと判断すると空気熱交換器の霜を溶かす除霜運転を実行させるものである。
【0021】
前記制御装置18は、前記暖房運転中に所定の除霜開始条件が成立したと判断すると、前記除霜運転として、冷媒の流れ方向を暖房運転時から変更することなく暖房運転時の冷媒の流れ方向と同方向とし、冷媒を循環させて空気熱交換器7に発生した霜を溶かす正サイクル除霜運転を実行させた後に、冷媒の流れ方向が暖房運転時の冷媒の流れ方向と逆になるように四方弁3を切り換えて、圧縮機2から吐出された高温冷媒を直接、空気熱交換器7に循環させて、空気熱交換器7に発生した霜を溶かす逆サイクル除霜運転を実行させるものである。なお、前記除霜運転の詳細な動作については後述する。
【0022】
また、前記除霜運転の開始は、例えば、外気温度センサ10で検出した外気温度が予め設定された除霜開始温度に達したか否か、または外気温度センサ10で検出した外気温度および冷媒温度センサ11で検出した冷媒温度がそれぞれ予め設定された除霜開始温度に達したか否かを制御装置18が判断、すなわち所定の除霜開始条件が成立したか否かを制御装置18が判断して、除霜開始条件が成立したと判断したら前記除霜運転を開始することができる。また、前記除霜運転の完了は、冷媒温度センサ11で検出する空気熱交換器7を流通してきた冷媒の温度が、予め設定された除霜終了温度に達したか否かを制御装置18が判断、すなわち所定の除霜終了条件が成立したか否かを制御装置18が判断して、除霜終了条件が成立したと判断したら除霜動作を終了することができる。
【0023】
次に、ヒートポンプ装置の暖房運転時の動作について
図2を用いて説明する。
図2中の矢線は、ヒートポンプ回路9を流れる冷媒の流れ方向、循環回路13を流れる循環液の流れ方向をそれぞれ示したものである。なお、本実施形態のヒートポンプ装置では冷房運転を行うこともできるが、ここでは暖房運転時の動作のみを説明するものとし、冷房運転の説明は省略する。
【0024】
リモコン19から、液冷媒熱交換器4において循環液を加熱し熱交換端末12に供給する暖房運転の指示がなされると、制御装置18は、四方弁3を暖房運転時の状態となるように流路を切り換え、圧縮機2、膨張弁5、送風ファン6を駆動させ、ヒートポンプ回路9を作動させると共に、循環ポンプ15を駆動させて暖房運転を開始させ、冷媒は、圧縮機2、四方弁3、液冷媒熱交換器4、膨張弁5、空気熱交換器7、四方弁3、圧縮機2の順で循環し(
図2のヒートポンプ回路9の矢線参照。)、循環液は液冷媒熱交換器4から熱交換端末12に循環され、熱交換端末12から再度、液冷媒熱交換器4に戻されるものである(
図2の循環回路13の矢線参照。)。この時、液冷媒熱交換器4は凝縮器として機能し、空気熱交換器7は蒸発器として機能するものである。
【0025】
制御装置18は、暖房運転中、循環液の温度を検出する戻り温度センサ16の検出値が、リモコン19の設定温度に基づいて設定される目標温度になるように、圧縮機2の回転数を制御するものである。
【0026】
前記暖房運転中、ヒートポンプ回路9において、液冷媒熱交換器4は凝縮器として機能し、液冷媒熱交換器4にて圧縮機2から吐出された高温高圧の気相状態の冷媒と循環ポンプ15により循環される循環液とが熱交換され、冷媒の熱によって循環液が加熱される。一方、空気熱交換器7は蒸発器として機能し、空気熱交換器7にて膨張弁5から吐出された低温低圧の気液二相状態の冷媒と送風ファン6を駆動させることで送風される外気とが熱交換され、冷媒は外気から吸熱して気相状態へと変化し、圧縮機2へ戻るものである。
【0027】
また、前記暖房運転中、循環回路13では、液冷媒熱交換器4で加熱された循環液は、循環ポンプ15の駆動により熱交換端末12に供給され、被空調空間の内気に対して放熱して被空調空間を加温し、熱交換端末12を流出した循環液は再び液冷媒熱交換器4に戻され加温されるものである。
【0028】
この暖房運転中に、制御装置18が所定の除霜開始条件が成立したと判断すると、除霜運転の実行を開始するものであり、除霜運転として、まず、正サイクル除霜運転を所定時間行う。正サイクル除霜運転の形態は、
図2に示すように、暖房運転時と同方向に冷媒を循環させる形態(
図2のヒートポンプ回路9の矢線参照。)であり、具体的な正サイクル除霜運転の動作としては、制御装置18は圧縮機2の回転数を予め設定された除霜時回転数に制御すると共に、膨張弁5を除霜運転前の暖房運転時よりも所定の開度まで拡大、ここでは全開まで拡大させ、循環ポンプ15の回転数を予め設定された除霜時回転数とする。この時、圧縮機2から吐出された高温の冷媒は、液冷媒熱交換器4で循環液と熱交換し、液冷媒熱交換器4を流出した後に膨張弁5を通過して空気熱交換器7に供給され、空気熱交換器7の除霜が行われるものであり、この正サイクル除霜運転時は、膨張弁5の開度を所定の開度である全開まで拡大することで、膨張弁5では冷媒は減圧されることなく通過して、冷媒は暖かいまま空気熱交換器7に供給され、空気熱交換器7に発生した霜を溶かすものである。
【0029】
前記正サイクル除霜運転が所定時間行われると、次に、除霜運転として、逆サイクル除霜運転を開始する。逆サイクル除霜運転の形態は、
図3に示すように、冷媒を、圧縮機2、四方弁3、空気熱交換器7、膨張弁5、液冷媒熱交換器4、四方弁3、圧縮機2の順で循環させ、暖房運転時と逆方向に冷媒を循環させる形態(
図3のヒートポンプ回路9の矢線参照。)であり、具体的な逆サイクル除霜運転の動作としては、制御装置18は、四方弁3を冷媒の流れ方向が暖房運転時の冷媒の流れ方向と逆になるように切り換え、圧縮機2の回転数を正サイクル除霜運転と同様の除霜時回転数に制御すると共に、膨張弁5を全開とし、循環ポンプ15を最大回転数で駆動させる。この時、圧縮機2から吐出された高温の冷媒は、空気熱交換器7に直接供給され、空気熱交換器7に発生した霜を溶かす。空気熱交換器7にて霜との熱交換で温度低下し空気熱交換器7から流出した低温の冷媒は、膨張弁5で減圧されることなく膨張弁5を通過し、液冷媒熱交換器4で循環液と熱交換し、循環液から吸熱して再び圧縮機2に戻るものである。
【0030】
次に、特徴的な動作として、暖房運転を行っているときに空気熱交換器7に発生した霜を溶かす除霜運転が実行される場合のヒートポンプ装置1の動作について、
図4のタイムチャートを用いて説明する。なお、
図4中の時間t0は、暖房運転が安定した後の任意の時間とする。
【0031】
四方弁3を、冷媒が圧縮機2、液冷媒熱交換器4、膨張弁5、空気熱交換器7、圧縮機2の順に循環する暖房運転時の冷媒流路となるよう制御し、圧縮機2、膨張弁5、送風ファン6を駆動させると共に、循環ポンプ15を駆動させ、液冷媒熱交換器4にて冷媒と循環液とが熱交換されて循環液が加熱され、加熱された循環液を熱交換端末12に供給して被空調空間を加熱する暖房運転を行っている最中に、制御装置18が、外気温度センサ10で検出した外気温度等から除霜開始条件が成立したと判断した場合(時間t1)、制御装置18は空気熱交換器7に発生した霜を溶かす除霜運転として所定時間の正サイクル除霜運転を開始させる(時間t1〜)。この時、制御装置18は、四方弁3は冷媒の流路の切り換えを行わず暖房運転時と同状態(冷媒が圧縮機2、液冷媒熱交換器4、膨張弁5、空気熱交換器7、圧縮機2の順に循環する状態)を継続するよう制御し、圧縮機2の回転数を予め設定された除霜時回転数に制御すると共に、膨張弁5を暖房運転時よりも所定の開度まで拡大、ここでは全開まで拡大するよう制御し、循環ポンプ15の回転数を予め設定された除霜時回転数、ここでは暖房運転時と同回転数に制御する。循環ポンプ15の除霜時回転数については、上述のように暖房運転時と同回転数としてもよく、暖房運転時とは異なる予め設定された所定の除霜時回転数としてもよい。
【0032】
前記正サイクル除霜運転時は、圧縮機2から吐出された高温の冷媒は、液冷媒熱交換器4で循環液と熱交換して循環液に放熱し、液冷媒熱交換器4を流出した後に膨張弁5を通過して空気熱交換器7に供給され、空気熱交換器7の除霜が行われるものであり、この正サイクル除霜運転時は、膨張弁5の開度を所定の開度である全開まで拡大することで、膨張弁5では冷媒は減圧されることなく通過して、膨張弁5通過時に冷媒の温度低下がほぼ無い状態で液冷媒熱交換器4を流出した冷媒が空気熱交換器7に供給され、空気熱交換器7に発生した霜を溶かすものであり、正サイクル除霜運転の実行により、膨張弁5の開度を全開にした状態で、所定時間(時間t1〜時間t2)の間、ヒートポンプ回路9内に冷媒を循環させることで、、暖房運転時に低圧側で温度の低かった膨張弁5から空気熱交換器7の冷媒の流路には、暖房運転時よりも高い温度の冷媒が流れ、それにより、膨張弁5から空気熱交換器7の冷媒の流路が加熱されて温度が徐々に上昇し、ヒートポンプ回路9を循環する冷媒のうち、冷媒温度が一番低い空気熱交換器7内の冷媒の最低温度値(より正確には、膨張弁5出口から空気熱交換器7出口までの冷媒流路内の冷媒の最低温度値)も例えば、−5℃から−2℃、−2℃から0℃というように徐々に上昇していく。
【0033】
また、前記正サイクル除霜運転は、所定時間(時間t1〜時間t2)行われるものであるが、この所定時間は、
図5に示すように、外気温度が−5℃以上0℃未満の場合は所定時間が1分に設定され、外気温度が−10℃以上−5℃未満の場合は所定時間が3分に設定され、外気温度が−10℃未満の場合は所定時間が5分に設定されるというように、前記所定時間は外気温度センサ10の検出する外気温度に応じて変更されるものであり、詳細には、外気温度センサ10で検出される外気温度が低いほど所定時間の長さが長く設定される。このことについて説明すると、まず、暖房運転時において空気熱交換器7は蒸発器として機能しており、空気熱交換器7では外気と冷媒とで熱交換が行われ、冷媒は外気から吸熱する関係上、冷媒温度は外気温度よりも低い温度であり、外気温度が低くなるほど、それに対応して冷媒温度も低くなる。そして、暖房運転中に正サイクル除霜運転を実行するに当たり、仮に、正サイクル除霜運転を実行する前記所定時間の長さを外気温度に関係なく一律にし、外気温度が例えば−1℃であった場合と−10℃であった場合とで正サイクル除霜運転後の状態を比較すると、外気温度が−1℃の場合は、外気温度が−10℃の場合と比べて空気熱交換器7内の冷媒の温度が高いので、一律に設定された所定時間正サイクル除霜運転した結果、ヒートポンプ回路9を循環する冷媒のうち、冷媒温度が一番低い空気熱交換器7内の冷媒の最低温度値も上昇し、正サイクル除霜運転後の逆サイクル除霜運転が開始された際に、空気熱交換器7から流出されて液冷媒熱交換器4内に流入される冷媒の温度を、液冷媒熱交換器4内の循環液を凍結させないような温度まで上昇させることができる。一方、外気温度が−10℃の場合は、外気温度が−1℃の場合と比べて、もともとの冷媒温度が低いため、一律に設定された所定時間正サイクル除霜運転させたとしても、正サイクル除霜運転後の逆サイクル除霜運転が開始された際に液冷媒熱交換器4内の循環液を凍結させないような温度まで上昇させることができずに、循環液を凍結させてしまうおそれがある。
【0034】
上述の比較例のうち、低い方の外気温度(上記例では−10℃)を基準として所定時間の長さを一律に設定することも考えられるが、その場合、外気温度が高いとき(上記例では−1℃)には、過剰に正サイクル除霜運転を行うこととなり、それでは無駄な放熱ロスが発生してしまう。よって、所定時間の長さは外気温度に応じて設定されるのがよく、外気温度が低いほど正サイクル除霜運転を実行する時間を長く設定するのがよいということになる。なお、
図5に示した外気温度と所定時間との対応関係は一例であるが、予め実験を行うことで、正サイクル除霜運転終了時に、ヒートポンプ回路9を循環する冷媒のうち、冷媒温度が一番低い空気熱交換器7内の冷媒の最低温度値が、循環液を凍結させないような温度まで上昇させることができる時間を、外気温度に応じて定めたものであり、
図5の外気温度と所定時間との対応関係を示したデータテーブルは制御装置18に予め記憶されている。また、所定時間は、除霜開始条件が成立したと判断したタイミング(時間t1)で、外気温度センサ10の検出する外気温度に基づき制御装置18が設定するものである。
【0035】
そして、前記正サイクル除霜運転の実行開始から所定時間(時間t1〜時間t2)が経過したと制御装置18が判断すると正サイクル除霜運転を終了し、次に、空気熱交換器7に発生した霜を溶かす除霜運転として逆サイクル除霜運転を開始させる(時間t2〜)。このとき、制御装置18は圧縮機2の駆動を停止させ、四方弁3を、冷媒が圧縮機2、空気熱交換器7、膨張弁5、液冷媒熱交換器4、圧縮機2の順に循環する暖房運転時とは逆転した冷媒流路となるように切り換える(時間t2)。また、このときの膨張弁5の開度は全開であり、循環ポンプ15の回転数は除霜時回転数を維持している。
【0036】
そして、制御装置18は、圧縮機2の吐出側(高圧側)と吸込側(低圧側)の差圧をなくして圧縮機2等の機能部品を次の起動時に安全に起動させるために、時間t2〜時間t3の一定時間圧縮機2を停止させ、その後、圧縮機2の回転数を予め設定された除霜時回転数に設定して駆動を開始させると共に、循環ポンプ15を最大回転数で駆動させる(時間t3〜時間t4)。このとき、圧縮機2から吐出された高温の冷媒が、直接的に空気熱交換器7に供給され空気熱交換器7に発生した霜を溶かし、空気熱交換器7から流出した冷媒は、膨張弁5で減圧されることなく膨張弁5を通過し、液冷媒熱交換器4で循環液と熱交換して循環液から吸熱し、再び圧縮機2に戻るものである。
【0037】
この逆サイクル除霜運転時は、空気熱交換器7から流出した冷媒は膨張弁5側を回って液冷媒熱交換器4に循環されるが、逆サイクル除霜運転実行前の正サイクル除霜運転にて、冷媒の最低温度値を液冷媒熱交換器4内の循環液を凍結させないような温度まで上昇させるので、逆サイクル除霜運転時に、空気熱交換器7から流出して膨張弁5側から回ってきた冷媒が液冷媒熱交換器4に流入しても、液冷媒熱交換器4内の循環液が凍結することはなく、循環液の凍結による液冷媒熱交換器4の破損もないものである。
【0038】
また、逆サイクル除霜運転時は、循環ポンプ15の回転数を最大回転数とすることで、循環回路13側の熱を液冷媒熱交換器4を介して循環液側から冷媒側に積極的に与えて空気熱交換器7の除霜に利用し、除霜運転が行われる時間を短縮することができるものである。
【0039】
そして、前記逆サイクル除霜運転を行っているときに、制御装置18が、冷媒温度センサ11で検出する空気熱交換器7を流通してきた冷媒の温度から除霜終了条件が成立したと判断すると、圧縮機2の駆動を停止させ、循環ポンプ15の回転数を最大回転数から除霜時回転数で駆動するように制御し(時間t4)、圧縮機2の吐出側(高圧側)と吸込側(低圧側)の差圧をなくして圧縮機2等の機能部品を次の起動時に安全に起動させるために、時間t4〜時間t5の一定時間圧縮機2を停止させ、逆サイクル除霜運転を終了させて除霜運転を完了させ、その後、制御装置18は、四方弁3を、冷媒が圧縮機2、液冷媒熱交換器4、膨張弁5、空気熱交換器7、圧縮機2の順に循環する暖房運転時の冷媒流路となるように切り換え、圧縮機2の駆動を開始させると共に、膨張弁5の開度を全開から暖房運転時における開度に戻し、循環ポンプ15の回転数を除霜時回転数から暖房運転時における回転数に戻して、暖房運転を再開させるものである(時間t5〜)。
【0040】
以上説明したように、本実施形態では、暖房運転中に除霜開始条件が成立した場合に、正サイクル除霜運転を所定時間実行してから逆サイクル除霜運転を行うようにしている。仮に、暖房運転中に除霜開始条件が成立した場合に、いきなり逆サイクル除霜を行ってしまうと、暖房運転時に蒸発器として機能していた空気熱交換器7内に保有された低温の冷媒(マイナス域の温度の冷媒)が、何ら温度上昇することなく低温のまま、空気熱交換器7から膨張弁5側を回って液冷媒熱交換器4に流れ込み、その結果、液冷媒熱交換器4は急速に冷却され、液冷媒熱交換器4内で低温の冷媒と熱交換された循環液が凍結する可能性があり、循環液の凍結によって液冷媒熱交換器4が破損するおそれがあったが、正サイクル除霜運転を所定時間実行してから逆サイクル除霜運転を行うようにしたことで、所定時間の正サイクル除霜運転により、ヒートポンプ回路9を循環する冷媒のうち、冷媒温度が一番低い空気熱交換器7内の冷媒の最低温度値を、循環液が凍結しない温度に上昇させ、それから逆サイクル除霜運転を行うので、逆サイクル除霜運転時に、空気熱交換器7から流出して膨張弁5側から回ってきた冷媒が液冷媒熱交換器4に流入しても、液冷媒熱交換器4内の循環液が凍結することはなく、循環液の凍結による液冷媒熱交換器4の破損もないものである。さらに、正サイクル除霜運転を所定時間実行してヒートポンプ回路9を循環する冷媒の最低温度値を高めてから、逆サイクル除霜運転を行うようにしたことで、逆サイクル除霜運転時に液冷媒熱交換器4にて冷媒と熱交換される循環回路13側の循環液の温度低下が、逆サイクル除霜運転のみを行った場合よりも軽減され、暖房感の低下を緩和することができるものである。
【0041】
また、本実施形態では、正サイクル除霜運転を実行する所定時間の長さを、外気温度が低いほど長くするようにしているが、これは、暖房運転時に空気熱交換器7内の冷媒は外気から吸熱する関係上、外気温度センサ10で検出される外気温度が低いほど空気熱交換器7内の冷媒温度も低いので、暖房運転時にヒートポンプ回路9を循環する冷媒のうち、冷媒温度が一番低い空気熱交換器7内の冷媒の最低温度値を、正サイクル除霜運転を行うことによって、液冷媒熱交換器4内の循環液が凍結しない温度値まで上昇させるのに必要な時間が変わってくることによるものである。よって、正サイクル除霜運転を実行する所定時間の長さを、外気温度が低いほど長くするようにしたことで、外気温度に対応する空気熱交換器7内の冷媒温度に合わせた時間分、正サイクル除霜運転を行うので、暖房運転時にヒートポンプ回路9を循環する冷媒のうち、冷媒温度が一番低い空気熱交換器7内の冷媒の最低温度値を、正サイクル除霜運転により循環液が凍結しない温度まで適切に上昇させることができ、正サイクル除霜運転後の逆サイクル除霜運転が行われたときに、液冷媒熱交換器4に循環液が凍結するような温度の冷媒を流入させることがないものである。
【0042】
さらに、逆サイクル除霜運時は、循環ポンプ15の回転数を最大回転数として駆動させることで、循環回路13側の熱を液冷媒熱交換器4を介して循環液側から冷媒側に積極的に与えて空気熱交換器7の除霜に利用し、除霜運転が行われる時間を短縮することができるものである。
【0043】
なお、本発明は先に説明した一実施形態に限定されるものでなく、本実施形態では、暖房装置のみならず冷房装置としても使用可能なヒートポンプ装置において、暖房運転時に本発明の除霜運転を適用したが、暖房装置としてのみ使用可能なヒートポンプ装置において、その暖房運転時に本発明の除霜運転を適用してもよいものである。
【0044】
また、本実施形態では、正サイクル除霜運転を所定時間実行して、暖房運転時にヒートポンプ回路9を循環する冷媒のうち、冷媒温度が一番低い空気熱交換器7内の冷媒の最低温度値を、正サイクル除霜運転により循環液が凍結しない温度まで上昇させてから、その後に逆サイクル除霜運転を行うようにしたが、正サイクル除霜運転時を、冷媒温度センサ11で検出される冷媒温度が循環液が凍結しない温度に上昇するまで正サイクル除霜運転を実行して、その後に逆サイクル除霜運転を行うようにしてもよく、この場合でも、先に説明した本実施形態と同様に、正サイクル除霜運転により、ヒートポンプ回路9を循環する冷媒のうち、冷媒温度が一番低い空気熱交換器7内の冷媒の最低温度値を、循環液が凍結しない温度に上昇させ、それから逆サイクル除霜運転を行うので、逆サイクル除霜運転時に、空気熱交換器7から流出して膨張弁5側から回ってきた冷媒が液冷媒熱交換器4に流入しても、液冷媒熱交換器4内の循環液が凍結することはなく、循環液の凍結による液冷媒熱交換器4の破損もないという効果を発揮することができるものである。