(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ラクトースの前記粒径分布は、d10 = 20-65 μm、d50 = 80-120 μm、d90 = 130-180 μm、及び、<10 μm = <6%である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸入器。
前記ブデソニドの粒径は、d10 <1 μm、d50 = <5 μm、d90 = <10 μm、及び、NLT 99% < 10 μmである、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸入器。
前記フマル酸フォルモテロールの粒径は、d10 <1 μm、d50 = <5 μm、d90 = <10 μm、及び、 NLT 99% <10 μmである、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸入器。
吸入による呼吸器疾患の治療で使用するための医薬組成物であって、前記組成物は、活性成分、及び、キャリアのみからなり、前記活性成分は、微粒化されたフマル酸フォルモテロール、及び、微粒化されたブデソニドを備え、前記キャリアは、d10 = 20-65 μm、d50 = 80-120 μm、d90 = 130-180 μm、及び、<10 μm = <10%の粒径分布を有するラクトースのみからなる、ことを特徴とする吸入による呼吸器疾患の治療で使用するための医薬組成物。
前記ブデソニドの粒径は、d10 <1 μm、d50 = <5 μm、d90 = <10 μm、及び、NLT 99% < 10 μmである、ことを特徴とする請求項12に記載の吸入による呼吸器疾患の治療で使用するための医薬組成物。
前記フマル酸フォルモテロールの粒径は、d10 <1 μm、d50 = <5 μm、d90 = <10 μm、及び、 NLT 99% <10 μmであることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の吸入による呼吸器疾患の治療で使用するための医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、好ましい実施態様によるドライパウダー吸入器の第一の側の等角図である。
【
図3】
図3は、
図1の吸入器のメイン組立体の第二の側の等角図である。
【
図4】
図4は、
図1の吸入器のメイン組立体の第二の側の等角図であり、ヨークを除いて示す。
【
図5】
図5は、
図1の吸入器のメイン組立体の第一の側の分解等角図である。
【
図6】
図6は、
図1の吸入器の薬剤カップの分解拡大等角図である。
【
図7】
図7は、
図1の吸入器のホッパーと脱凝集器の第一の側の分解等角図である。
【
図8】
図8は、
図1の吸入器のホッパーと脱凝集器の旋回チャンバの上板の第二の側の分解等角図である。
【
図9】
図9は、
図1の吸入器のケース、カム、マウスピースカバーの第一の側の分解等角図である。
【
図12】
図12は、
図1の吸入器のヨークの第一の側の等角図であり、ラチェットとヨークの押し棒を示している。
【
図13】
図13は、
図1の吸入器において、ヨークのラチェットと押し棒の縦方向の動きに応答する、薬剤カップのボスの横方向の動きの模式図である。
【
図16】
図16は、
図1の吸入器の部分の一部断面の拡大等角図であり、吸入器を通じた薬剤の吸入を示している。
【
図23】
図23は、低、中、及び、高強度のBF Spiromax吸入器によるブデソニドの送達用量(DD)を、各装置のBOL、MOL、及び、EOLにおいて示す(エラーバーは、標準偏差を示し、データは、ラベル表記の用量に対するパーセンテージとして表される)。
【
図24】
図24は、低、中、及び、高強度のBF Spiromax吸入器によるフォルモテロールの送達用量(DD)を、各装置のBOL、MOL、及び、EOLにおいて示す(エラーバーは、標準偏差を示し、データは、ラベル表記の用量に対するパーセンテージとして表される)。
【
図25A】BF Spiromaxによる送達用量:低強度吸入器(シミュレーションスキームA & B)を示し、データは、ラベル表記の用量に対するパーセンテージとして表される)。
【
図25B】BF Spiromaxによる送達用量:高強度吸入器(シミュレーションスキームC & D)を示し、データは、ラベル表記の用量に対するパーセンテージとして表される)。
【
図25C】BF Spiromaxによる送達用量:中強度吸入器(シミュレーションスキームE)を示し、データは、ラベル表記の用量に対するパーセンテージとして表される)。
【0009】
本発明の吸入器は:ドライパウダー薬剤を収容する容器、及び、該容器から計量された用量の薬剤を送達するための装置;ドライパウダー薬剤の凝集物を分散させるためのサイクロン脱凝集器;マウスピースを通じた吸入に誘発される空気流を配向させるための、計量された用量の薬剤へ延在する送達経路;を含む。
【0010】
好ましい形態では、用量計量システムは、通路に受けられるカップであって、分配ポートと送達経路との間で移動可能なカップ、分配ポート及び送達経路のうち一方に向かってカップを付勢するカップばね、及び、少なくとも2つの位置の間を移動可能なヨークを含む。ヨークは、該ヨークが一方の位置にあるときにはカップと係合してカップの動きを止め、該ヨークが他方の位置にあるときにはカップの動きを許容するラチェットを含む。
【0011】
吸入器は、活性成分とキャリアの凝集物を分散させるためのサイクロン脱凝集器を含む。これは患者によるパウダーの吸入に先立って行われる。脱凝集器は、第一端から第二端へ軸に沿って延在する旋回チャンバを規定する内壁、ドライパウダー供給ポート、入口ポート、及び、出口ポートを含む。
【0012】
供給ポートは、吸入器のドライパウダー送達経路と旋回チャンバの第一端との間の流体の流通を提供するために、旋回チャンバの第一端にある。入口ポートは、旋回チャンバの第一端に近接して旋回チャンバの内壁にあり、脱凝集器の外部領域と旋回チャンバの間の流体の流通を提供する。出口ポートは、旋回チャンバの第二端と脱凝集器の外部領域との間の流体の流通を提供する。
【0013】
出口ポートでの呼吸に誘発される低圧が、ドライパウダー供給ポートと入口ポートとを通じて、旋回チャンバに空気を流入させる。空気流は、出口ポートを通って出る前に、互いに、また、旋回チャンバの壁と衝突することで、活性成分がキャリア(ラクトース)から分離される。脱凝集器はさらに、引き入れられるパウダーのさらなる衝突や衝撃を作り出すために、旋回チャンバの第一端に翼を含む。
【0014】
第一の呼吸に作動される空気流は、吸入器から、第一端と第二端との間で縦方向に延在するチャンバの第一端にドライパウダーを引き入れるように配向され、第一の空気流は縦方向に配向される。
【0015】
第二の呼吸に作動される空気流は、チャンバの第一端へ実質的に横方向に配向されて、空気流は互いに衝突し、実質的に組み合わさる。
【0016】
次いで、組み合わされた空気流の一部がチャンバの第二端に向かって実質的に縦方向に偏向され、また、組み合わされた空気流の残りの部分は、チャンバの第二端に向かってらせん経路に配向される。組み合わされた空気流及びそこに引き入れられたドライパウダーの全部が、それから、チャンバの第二端から患者の口腔へと送達される。
【0017】
脱凝集器は、活性成分の粒子が、患者による吸入の間に、患者の肺の気管支領域中にパウダーが適切に浸透するために充分に小さいことを確実にする。
【0018】
つまり、本発明の一実施態様では、脱凝集器は:第一端から第二端へ軸に沿って延在する旋回チャンバを規定する内壁;吸入器のドライパウダー送達経路と旋回チャンバの第一端との間の流体の流通を提供するための、旋回チャンバの第一端のドライパウダー供給ポート;脱凝集器の外部領域と旋回チャンバの第一端との間の流体の流通を提供し、旋回チャンバの第一端に近接する、旋回チャンバの内壁の少なくとも1つの入口ポート;旋回チャンバの第二端と脱凝集器の外部領域との間の流体の流通を提供する出口ポート;及び、少なくとも部分的にチャンバの軸から放射状に外向きに延在する旋回チャンバの第一端の翼を備え、翼の各々は、少なくとも部分的に軸を横断する方向に面した斜めの表面を有し;それにより、出口ポートでの呼吸に誘発される低圧が、ドライパウダー供給ポートと入口ポートとを通じて、空気を旋回チャンバに流入させる。
【0019】
吸入器は、薬剤を収容するための容器と、容器から計量された用量の薬剤を送達するための装置を有する。容器は、典型的には加圧システムである。吸入器は、好ましくは:分配ポートを含む密封容器;前記分配ポートと連通し、圧開放ポートを含む通路;密封容器の内部と通路の圧開放ポートとの間の流体の流通を提供するコンジット;及び、通路に移動可能に受けられるカップ組立体を含む。カップ組立体は、分配ポートと整列した時に薬剤を受けるようにされている凹部、凹部が分配ポートと整列していない時に分配ポートをシールするようにされている第一のシール表面、及び、凹部が分配ポートと整列する時に圧開放ポートをシールし、また、凹部が分配ポートと整列していない時に圧開放ポートを開放する第二のシール表面と、を含む。
【0020】
吸入器は、好ましくは、用量カウンタを有する。吸入器は、患者の吸入のためのマウスピース、用量計量装置によるマウスピースへ送られる薬剤用量の計量の間に所定の経路に沿って移動可能な歯止めを含む用量計量装置、及び、用量カウンタを含む。
【0021】
好ましい形態には、用量カウンタは、ボビンと、回転可能なスプールと、ボビンの軸に対して回転可能で、ボビンに受けられる巻かれたリボンとを含む。リボンは、スプールに固定されたリボンの第一端とボビン上に位置するリボンの第二端との間に、逐次的に存在する印を有する。用量カウンタはまた、スプールから歯止めの所定の経路へ放射状に外側に延在する歯を含み、それゆえ、マウスピースへ送られる用量を計測する間に、スプールが歯止めによって回され、リボンはスプール上を進められる。
【0022】
好ましい吸入器は、患者の吸入のための個別的な分配量及び用量でドライパウダー薬剤を分配する、シンプルで、正確で、一貫性のある機械的な用量計量システムと、一貫した分配用量を確実にする容器加圧システムと、吸入器に残存する用量の数を表示する用量カウンタとを有する。
【0023】
図面を参照して、吸入器10は、概略的に、ハウジング18と、ハウジングに受容される組立体12とを含む(
図2参照)。ハウジング18は、開口端22と患者の吸入のためのマウスピース24とを有するケース20、ケース20の開口端22に固定され、該開口端を閉じるキャップ26、及び、マウスピース24をカバーするためにケース20に枢動可能に取り付けられたカバー28を含む(
図1、2及び9参照)。ハウジング18は、好ましくは、例えばポリプロピレン、アセタール又は成形ポリスチレンのようなプラスチックで製造されるが、金属や他に適した材料で製造されていてもよい。
【0024】
内部組立体12は、バルク形態のドライパウダー薬剤を収容するための容器14、送達経路34とマウスピース24との間で薬剤を分散させる脱凝集器10´、及び、容器を脱凝集器に接続するスペーサー38を含む。
【0025】
容器14は、概略的に、伸縮可能なベローズ40と、ベローズ40が少なくとも部分的に縮められて容器の内部体積が減少されるのに従って薬剤を分配するための分配ポート44を有するホッパー42と、からなる(
図2〜5、7〜8参照)。
【0026】
ホッパー42は、バルク形態のドライパウダー薬剤を保持するためにあり、柔軟なアコーディオン状のベローズ40によって、実質的に気密に閉じられた開口端46を有する。
【0027】
エアフィルター48は、ホッパー42の開口端46をカバーし、ドライパウダー薬剤がホッパー42から漏れるのを防止している(
図7参照)。
【0028】
ホッパー42のベース50は、スペーサー38に固定され、次いで、スペーサー38は脱凝集器10´に固定される(
図3〜5、7〜8参照)。ホッパー42、スペーサー38及び脱凝集器10´は、好ましくは、ポリプロピレン、アセタール又は成形ポリスチレンのようなプラスチックで製造されるが、金属やその他の適切な材料で製造されてもよい。
【0029】
ホッパー42、スペーサー38及び脱凝集器10´は、部品の間に気密をもたらす方法で接続されている。この目的のために、ヒートシール又はコールドシール、レーザ溶接又
は超音波溶接が例えば用いられうる。
【0030】
スペーサー38とホッパー42はともに、薬剤送達経路34を規定し、薬剤送達経路34は好ましくは、引き込み空気流を作り出すためのベンチュリ36(
図16参照)を含む。スペーサー38は、ホッパー42の分配ポート44と連通するスライド通路52と、薬剤送達経路34と脱凝集器10´の供給ポート22との間の流体の流通を提供するチムニー54とを規定する(
図7及び8参照)。スライド通路52は、概略的に、吸入器10の軸“A”に関して垂直に延在する。
【0031】
脱凝集器10´は、ドライパウダーがマウスピース24を通って吸入器10を離れる前に、ドライパウダー薬剤の凝集物を分散させる。
【0032】
図17‐22を参照して、脱凝集器10´は、患者による薬剤の吸入の前に、薬剤の凝集物、もしくは薬剤とキャリアの凝集物を分散させる。
【0033】
概略的に、脱凝集器10´は、軸A´に沿って第一端18´から第二端20´に延在する旋回チャンバ14´を規定する内壁12´を含む。旋回チャンバ14´は、軸A´を横切るよう設計された円形の断面領域を含み、断面領域は旋回チャンバ14´の第一端18´から第二端20´へと縮小するので、旋回チャンバの第一端から第二端へ移動するすべての空気流は圧縮され、少なくとも部分的にチャンバの内壁12´と衝突する。
【0034】
好ましくは、旋回チャンバ14´の断面領域は、単調に減少する。さらに、内壁12´は、好ましくは凸状であり、すなわち、
図22に最も良く示されるように軸A´に向かって内側に湾曲する。
【0035】
図17、19及び22に示されるように、脱凝集器10´はまた、吸入器のドライパウダー送達経路と旋回チャンバ14´の第一端18´との間の流体の流通を提供するために、旋回チャンバ14´の第一端18´にドライパウダー供給ポート22´を含む。
図22に矢印1´として示される、供給ポート22´を通ってチャンバ14´に入る空気流が、少なくとも当初はチャンバの軸A´に対して平行であるように、ドライパウダー供給ポート22´は実質的に軸A´と平行の方向であることが好ましい。
【0036】
図17‐22を参照して、脱凝集器10´はさらに、チャンバの第一端18´に近接して又は近くに、旋回チャンバ14´の内壁12´に少なくとも1つの入口ポート24´を含み、脱凝集器の外部領域と旋回チャンバ14´の第一端18´との間の流体の流通を提供する。好ましくは、少なくとも1つの入口ポートは、実質的に軸A´を横断する方向、かつ、実質的に旋回チャンバ14´の円形の断面の接線方向に延在する、2つの直径方向に向かい合う入口ポート24´、25´を含む。結果的に、
図17及び21に矢印2´、3´で示される、入口ポートを通って旋回チャンバ14´に入る空気流は、少なくとも当初はチャンバの軸A´に対して横断方向に配向され、供給ポート22´を通って入る空気流1´と衝突して乱流を生じさせる。
図21及び22に矢印4´で示される組み合わされた空気流は、次いでチャンバ14´の内壁12´と衝突し、渦流を形成し、チャンバの第二端20´に向かって動きながらさらなる乱流を生じさせる。
【0037】
図17‐19及び22を参照して、脱凝集器10´は、旋回チャンバ14´の第一端18´に、チャンバの軸A´から少なくとも部分的に放射状に外向きに延在する翼26´を含む。翼26´の各々は、少なくとも一部分がチャンバの軸A´を横断する方向に面する斜めの表面28´を有する。翼26´は、
図22に示されるように、組み合わされた空気流4´の少なくとも一部4A´が、斜めの表面28´と衝突するように形成されている。好ましくは、翼は4つの翼26´を含み、各々が、軸A´と整列するハブ30´と旋回チャンバ14´の壁12´との間に、延在している。
【0038】
図17‐22に示されるように、脱凝集器10´はさらに、旋回チャンバ14´の第二端20´と脱凝集器の外部領域との間の流体の流通を提供する出口ポート32´を含む。出口ポート32´での呼吸に誘発される低圧は、供給ポート22´を通じる空気流1´と入口ポートを通じる空気流2´、3´とを生じさせ、かつ、旋回チャンバ14´を通る組み合わされた空気流4´を引き込む。組み合わされた空気流4´は、次いで、出口ポート32´を通じて脱凝集器を出る。好ましくは、出口ポート32´は軸A´対して実質的に横向きに延在し、空気流4´は出口ポート32´の内壁と衝突して、さらなる乱流を生じさせる。
【0039】
吸入器と組み合わせて脱凝集器10´を使用する間、出口ポート32´での患者の吸入は、ドライパウダー供給ポート22´と入口ポートとのそれぞれを通じて入る空気流1´、2´、3´を生じさせる。図示されていないが、供給ポート22´を通る空気流1´は、旋回チャンバ14´中にドライパウダーを引き入れる。空気流1´と引き入れられたドライパウダーとは、供給ポート22´によってチャンバ中に縦向きに配向される。一方、入口ポートからの空気流2´、3´は横向きに配向され、そのため空気流が衝突して実質的に組み合わさる。
【0040】
組み合わされた空気流4´の一部と引き入れられたドライパウダーとは、次いで、翼26´の斜めの表面28´と衝突し、ドライパウダーの粒子及びドライパウダーのすべての凝集物の斜めの表面に対する衝撃と、互いの衝突とを起こさせる。旋回チャンバ14´の幾何形状は、組み合わされた空気流4´と引き入れられたドライパウダーとがチャンバを通って乱流、らせん経路、又は渦流を生じるようにさせる。理解されるように、旋回チャンバ14´の減縮する断面が連続的に方向を変化させ、組み合わされた空気流4´と引き入れられたドライパウダーのらせん運動を加速する。つまり、ドライパウダーの粒子とドライパウダーのすべての凝集物が絶えず旋回チャンバ14´の壁12´に対して激突し、互いに衝突して、粒子と凝集物との間の相互的な研磨や粉砕が生じる。さらに、翼26´の斜めの表面28´から偏向される粒子や凝集物が、さらなる激突や衝突を生じさせる。
【0041】
旋回チャンバ14´を出ると、組み合わされた空気流4と引き入れられたドライパウダーの方向は、出口ポート32´を通って、軸A´に対して横方向に再び変えられる。組み合わされた空気流4´と引き入れられたドライパウダーは、流れの旋回成分を保持しており、空気流4´と引き入れられたドライパウダーは、らせん状に旋回して出口ポート32´を通る。旋回流は、残っている凝集物が患者によって吸入される前にさらに分散れるように、出口ポート32´においてさらなる激突を生じる。
【0042】
図17−22に示されるように、脱凝集器は、好ましくは、2つの部品から組み立てられる:カップ状のベース40´とカバー42´である。ベース40´とカバー42´は、旋回チャンバ14´を形成するように接続される。カップ状のベース40´は、チャンバの壁12´と第二端20´とを含み、出口ポート32´を規定する。ベース40´はまた、旋回チャンバ14´の入口ポートを含む。カバー42´は、翼26´を形成し、かつ、供給ポート22´を規定する。
【0043】
脱凝集器のベース40´及びカバー42´は、好ましくは、ポリプロピレン、アセタール、又は成形ポリスチレンなどのプラスチックから製造されるが、金属やその他の適切な材料から製造されてもよい。好ましくは、ドライパウダーが翼26´に付着することがないよう、カバー42´は帯電防止剤を含む。ベース40´とカバー42´とは、部品間に気密シールが得られるように接続される。この目的のために例えば、ヒートシール、コールドシール、レーザ溶接又は超音波溶接が用いられうる。
【0044】
吸入器10は特定の脱凝集器10´と併せて示されているが、吸入器10は示された脱凝集器と併せて用いることに制限されず、別のタイプの脱凝集器や単純な旋回チャンバと併せて用いられうる。
【0045】
用量計量システムは、ハウジング18内の内部組立体12に備え付けられ、吸入器10の軸“A”と平行に直線方向に可動である、第一のヨーク66と第二のヨーク68とを含む(
図2参照)。作動ばね69は、マウスピース24に向かう第一の方向にヨークを付勢するため、ハウジング18のキャップ26と第一のヨーク66との間に位置している。特に、作動ばね69は、第一のヨーク66をベローズ40に対して、かつ、第二のヨーク68をマウスピースカバー28に備え付けられたカム70に対して、付勢する(
図9参照)。
【0046】
第一のヨーク66は、ベローズ40の冠部74を受け、保持する開口72を含み、第一のヨーク66がキャップ26に向かって、すなわち作動ばね69に対抗して動かされる時に、ベローズ40を引っ張り、拡張するようになっている(
図2参照)。第二のヨーク68は、第一のヨーク66を受けるベルト76と、第1のヨーク66と逆方向に(
図3、11、12参照)マウスピースカバー28のカム70に向かって(
図9、10参照)ベルトから延在する2つのカムフォロワー78とを含む。
【0047】
用量計量システムはまた、マウスピースカバー28に備え付けられ(
図9、10参照)、開位置と閉位置との間をカバー28とともに動くことができる、2つのカム70を含む。カム70はそれぞれ開口80を含み、ケース20の外向きに延在するヒンジ82はそこを通って、カバー28の第1の凹部84に受けられるようになっている。カム70はまた、外向きに延在し、カバー28の第二の凹部88に受けられるボス86を含み、そのため、カバー28はヒンジ82の周りに枢動し、カム70がヒンジの周りにカバー28とともに動く。
【0048】
各カム70はまた、第一、第二、及び第三のカム表面90、92、94を含み、第二のヨーク68のカムフォロワー78は、作動ばね69によってカム表面に対して付勢されている。カム表面90、92、94は、カムフォロワー78が、カバー28が閉じられた時には第一のカム表面90と、カバー28が部分的に開らかれた時にはカム表面92と、また、カバー28が完全に開かれた時には第三のカム表面94と、逐次係合するように設けられている。第一のカム表面90は、第二及び第三のカム表面よりもヒンジ82からさらに離れており、また、第二のカム表面92は、第三のカム表面94よりもヒンジ82からさらに離れている。それゆえ、カム70は、ヨーク66、68が、カバー28が開くにつれて、第一、第二、第三の位置を通って(マウスピース24に向かう)第一の方向に吸入器10の軸“A”と平行に作動ばね69によって動かされることを許容する。カム70はまた、カバー28が閉じるにつれて、第三、第二、第一の位置を通って(作動ばね69に対抗し、ハウジング18のキャップ26に向かって)軸“A”と平行な第二の方向に、ヨーク66、68を押す。
【0049】
用量計量システムはさらに、容器14の分配ポート44と送達経路34との間を移動可能なカップ組立体96を含む。カップ組立体96は、ホッパー42の下で、スペーサー38のスライド通路52にスライド可能に受けられたスレッド100に備え付けられた、薬剤カップ98を含む(
図5、6参照)。薬剤カップ98は、容器14の分配ポート44から薬剤を受けるように設定された凹部102を含み、ドライパウダー薬剤が満たされた時、所定用量の該薬剤を保持するように形成されている。カップスレッド100は、スライド通路52に沿って、ホッパー42の分配ポート44から送達経路34に向かってカップばね104によって付勢されており、カップばね104はホッパー42に固定されている(
図4、5参照)。
【0050】
用量計量システムはまた、第二のヨーク68のカムフォロワー78の1つの上に、カップスレッド100のボス110に係合するラチェット106と押し棒108とを含む(
図5、11、12参照)。ラチェット106は、柔軟なフラップ112上に備え付けられており、ボス110が押し棒108によって係合された時に、スレッド100のボス110、ラチェット106を押し下げてラチェット106の上を通過することを許容する。用量計量システムの操作は次に述べられる。
【0051】
容器加圧システムは、容器14の内部と流体流通する圧開放コンジット114(
図7、8参照)と、ホッパー42の圧開放コンジット114との流体流通を提供するスライド通路52の壁にある圧開放ポート116(
図5、8参照)と、を含む。
【0052】
薬剤カップ組立体96は、カップ組立体が送達経路34へと動かされると(
図5、6参照)、分配ポート44をシールするように設定されている第一のシール表面118を含む(
図5、6参照)。シールばね120は、スレッド100とカップ98との間に、薬剤カップ98をホッパー42の下部表面に対して付勢して、容器14の分配ポート44をシールするように備えられている。カップ98は、カップが容器に対して付勢されるが、カップをスレッド100内に保持するようにするクリップ122を含む。
【0053】
スレッド100は、カップ98の凹部102が分配ポート44と整列する時に圧開放ポート116をシールするように設定されている第二のシール表面124と、第一のシール表面118が分配ポート44と整列するときに圧開放ポート116を開放するように設定されたへこみ部126とを含む(
図6参照)。加圧システムの操作が次に述べられる。
【0054】
用量カウントシステム16は、ホッパー42に備え付けられ、リボン128を含み、リボン128は、それに印刷された連続番号又はその他の適当な印を有しており、ハウジング18に備えられる透明窓130と整列している(
図2参照)。用量カウントシステム16は、回転可能なボビン132、一方向に回転可能なインデックススプール134、ボビン132上に受けられ、巻かれて、第一端127がスプール134に固定されているリボン128を含み、リボン128は、スプール134が回転あるいは前進するに従って印が逐次的に表示されるように、ボビン132から巻き出される。
【0055】
スプール134は、容器14から送達経路34への薬剤の一用量の送達を実行するヨーク66、68の動きに伴って回転するよう設定されており、吸入器10によって新たな一用量が分配されたことを示すように、リボン128上の番号が前に進められる。リボン128は、数字やその他の適切な印が、スプール134の回転に伴って増える又は減るように設計されうる。例えば、リボン128は、吸入器10に残存する用量の数を示すように、スプール134の回転に伴って、数字やその他の適切な印が減るように設定されている。
【0056】
また、リボン128は、吸入器10によって分配された用量の数を示すように、スプー
ル134の回転に伴って、数字又は他の適切な印が増えるように設定されうる。
【0057】
インデックススプール134は、好ましくは、放射状に延在する歯136を含み、歯136は、第二のヨーク68のカムフォロワー78(
図3、11参照)の1つから延在する歯止め138によって係合されており、ヨークの動きに伴ってインデックススプール134を回転あるいは前進させる。より具体的には、歯止め138は、マウスピース24カバー28が閉じられて、ヨーク66,68がハウジング18のキャップ26に向かって後ろ向きに動くときのみに、歯136と係合してインデックススプール134を前進させるように形成され設定されている。
【0058】
用量カウントシステム16はまた、用量カウントシステムをホッパー42に固定するシャーシ140を含み、また、ボビン132とインデックススプール134とを受けるためのシャフト142、144を含む。ボビンシャフト142は、好ましくは分岐し、シャフト142上のボビン132の回転に対して弾性抵抗を生みだすための放射状の突起146を含んでいる。クラッチばね148は、インデックススプール134の端部で受けられ、一方向のみ(
図14に示されるように、反時計回り)にスプール134の回転を許容するようにシャーシ140に固定されている。用量カウントシステム16の操作が次に述べられる。
【0059】
図13は、マウスピースカバー28が開閉される際の、カップスレッド100のボス110と、第二のヨーク68のラチェット106と押し棒108の相対的な動きを図示する。ヨーク66、68の第一の位置(カバー28は閉じられており、カムフォロワー78はカム70の第一のカム表面90と接している)において、ラチェット106は、カップばね104がカップスレッド100を送達経路34へ動かすことを止めている。用量計量システムは、ヨークが第一位置にある時に、薬剤カップ98の凹部102が容器14の分配ポート44に直接的に整列し、スペーサー38の圧開放ポート116がカップスレッド100の第2のシール表面124によってシールされるように設定される。
【0060】
カバー28が部分的に開かれ、カム70の第二のカム表面92がカムフォロワー78と係合すると、作動ばね69がヨーク66、68をマウスピース24に向かって直線的に第二の位置へ動かすことが許容され、薬剤容器14のベローズ40を部分的に押し縮める。部分的に押し縮められたベローズ40は、容器14の内部を加圧し、容器の分配ポート44から分配される薬剤が薬剤カップ98の凹部102を満たすようにして、所定量の用量が提供されることを確実にする。しかしながら、第二の位置において、ラチェット106はカップスレッド100が送達経路34から動かされることを抑止し、それゆえ、薬剤カップ98の凹部102は容器14の分配ポート44と整列したままで、スペーサー38の圧開放ポート116は、カップ組立体96の第二のシール表面124によってシールされたままである。
【0061】
カバー28が完全に開けられ、第三のカム表面94がカムフォロワー78と係合すると、作動ばね69がヨーク66、68をさらにマウスピース24に向かって第三の位置へと動かすことが許容される。第三の位置に動かされる時、ラチェット106は係合が外れ、又はカップスレッド100のボス110の下に落ち、カップスレッド100がカップばね104によって動かされることを許容し、それゆえ、カップ98の満たされた凹部102が送達経路34のベンチュリ36に位置し、容器14の分配ポート44はカップ組立体96の第一のシール表面118によってシールされる。さらに、圧開放ポート116は、スレッド100の側面のへこみ部126によって開放され、容器14からの圧を解放し、ベローズ40がさらに押し縮まることを許容し、ヨーク66、68の第三の位置への動きに対応する。そうして、吸入器10は、患者による送達経路34に置かれた薬剤用量の吸入に準備が整う。
【0062】
図16に示されるように、送達経路34を通って流れる呼吸に誘発される空気流4´は、ベンチュリ36を通過し、薬剤を引き入れ、吸入器10の脱凝集器10´に薬剤を運ぶ。他の2つの呼吸に誘発される空気流2´、3´(1つのみが示されている)は、直径方向の両側の入口ポート24´、25´を通って脱凝集器10´に入り、送達経路34からの薬剤が引き入れられた空気流150と組み合わされる。組み合わせ流4´と引き入れられたドライパウダー薬剤は、次いで、脱凝集器の出口ポート32´へ移動し、患者の吸入のためにマウスピース24を通って流れる。
【0063】
一度吸入が完了すると、マウスピースカバー28は閉じられうる。カバー28が閉じられた時、トリガーカム70がヨーク66、68を上向きに動かし、第一のヨーク66がベローズ40を拡張し、第二のヨーク68の歯止め138が、一用量が分配されたという視覚的な表示を提供するように、用量カウントシステム16のインデックススプール134を前進させる。さらに、カップ組立体96が、上向きに動く第二のヨーク68の押し棒108によって第一の位置へと戻され(
図13参照)、カップスレッド100のボス110が、第二のヨーク68のラチェット106に係合し、保持される。
【0064】
本発明を実施するための適切な吸入器は、Teva Pharmaceuticalsから入手することができるSpiromax(登録商標)DPIである。
【0065】
本発明の吸入器に用いられる薬剤は、微粒化されたブデソニド、微粒化されたフマル酸フォルモテロール、及び、ラクトースキャリアの混合物を備えている。微粒化は、例えばジェットミルのような任意の適切な周知技術によって実施されてよい。
【0066】
薬剤は、ブデソニドを含む。実質的に全てのブデソニドの粒子は、サイズが10 μm未満であることが好ましい。これは、粒子が効果的に気流に引き込まれ、作用部位である下肺に沈着されることを確実にするためである。好ましくは、ブデソニドの粒径分布は、d10 <1 μm、d50 = <5 μm、d90 = <10 μm、及び、NLT 99% < 10 μmであり;より好ましくは、ブデソニドの粒径分布は、d10 <1 μm、d50 = 1-3 μm、d90 = 3-6 μm、及び、NLT 99% <10 μmである。
【0067】
ブデソニドの送達用量(患者へ実際に送達される量)は、好ましくは、一作動あたり50-500 μgであり、具体例では、一作動あたり80、160、及び、320 μgである。本発明の吸入器は、±15%のブデソニドに対する送達用量の均一性を提供する。
【0068】
薬剤はまた、フマル酸フォルモテロールを含む。実質的に全てのフマル酸フォルモテロールの粒子は、サイズが10 μm未満であることが好ましい。これもまた、粒子が効果的に気流に引き込まれ、作用部位である下肺に沈着されることを確実にするためでる。好ましくは、フマル酸フォルモテロールの粒径分布は、d10 <1 μm、d50 = <5 μm、d90 = <10 μm、及び、NLT 99% < 10 μmであり;より好ましくは、フマル酸フォルモテロールの粒径分布は、d10 <1 μm、d50 = 1-3 μm、 d90 = 3.5-6 μm、及び、 NLT 99% <10 μmである。
【0069】
フマル酸フォルモテロールの送達用量(“ラベル表記”の量)は、塩基として、好ましくは、一作動あたり1-20 μgであり、具体例では、一作動あたり4.5、及び、9 μgである。用量は、フォルモテロールの存在量に基づいている(すなわち、量は、カウンターイオンの質量の寄与を含むことなく計算される)。本発明の吸入器は、±15%のフォルモテロールに対する送達用量の均一性を提供する。
【0070】
特に好ましいブデソニド/フォルモテロールの送達用量は、μgで、80/4.5、及び、160/4.5、及び、320/9である。
【0071】
活性薬剤の送達用量は、以下の方法を用いてUSP<601>に従って測定される。真空ポンプ(MSP HCP-5)がレギュレータ(Copley社 TPK 2000)に接続され、レギュレータはDUSAサンプリングチューブ(dosage unit sampling apparatus、Copley社)中で要求される低下圧力P
1を調整するために用いられる。吸入器は、気密シールを確実にするようにマウスピースのアダプターに挿入される。P
1は、サンプルテストの目的のために4.0 KPa(3.95-4.04 KPa)の圧力低下に調整される。吸入器の作動後に、DUSAが取り外され、濾紙がトランスファーピペットを用いて中に押し入れられる。既知量の溶媒(アセトニトリル:メタノール:水(40:40:20))を用いて、マウスピースのアダプターが濯がれ、DUSAに入れられる。DUSAは、サンプルを完全に溶かすように振動される。サンプル溶液の一部は、Acrodisc PSF 0.45 μmフィルターが装着された5mLシリンジに移される。フィルターからの最初の数滴が捨てられ、濾過された溶液がUPLCバイアルに移される。次いで、標準のUPLC技術が、DUSA中に送達された活性薬剤の量を決定するために用いられる。吸入器の送達用量は、吸入器の寿命の初期、中期及び最期にて、典型的には、3つの異なる日に収集される。
【0072】
ラクトースキャリアは、d10 = 20-65 μm、d50 = 80-120 μm、d90 = 130-180 μm、及び、<10 μm = <10%の粒径分布を有する。好ましくは、ラクトースの粒径分布は、d10 = 20-65 μm、d50 = 80-120 μm、d90 = 130-180 μm、及び、<10 μm = <6%である。ラクトースは、好ましくは、ラクトース一水和物(例えば、α‐ラクトース一水和物)であり、例えば篩い分けのような標準技術によって準備されてよい。
【0073】
発明者らは、装置の構成(とりわけ、容器からの活性の計量とサイクロンチャンバ)の組合せと、ラクトースの粒径分布とが相まって驚くほどに均一な送達用量を提供することを示した。本発明は、以前に利用可能な吸入器と製剤の組合せをこえる驚くほどに改善された均一な送達用量を提供する。これは、より一貫しかつ信頼できる患者の治療に貢献する。さらに驚くべきことに、本発明の吸入器が多数の異なる流量(流速)にわたって均一な送達用量を提供することが示された。つまり、均一な送達用量は、流量に関わらず、つまり装置を用いる患者の病気の重症度に関わらず得られうる。
【0074】
実際、本発明により解決される課題は、異なる流量の範囲にわたるブデソニド/フォルモテロールの、これらを必要とする患者への、一貫しかつ信頼できる送達を提供する必要性である。一般的に、患者の呼吸器疾患が重度であるほど、彼らが吸入の際に生じさせることができる流量はより少ない。従来の吸入器/製剤の組合せにより提供される乏しい送達用量の均一性は、失敗した又は不適切な投与量をもたらしうる。これは、吸入器が、日常の薬剤に用いられるときにも問題となるが、救助または必須の薬剤に用いられるときには特に問題となる。
【0075】
さらに、発明者らは、本発明が驚くべきことに装置の姿勢(配向)に関係なく均一な送達用量を提供することを示した。つまり、吸入器は、患者が例えば立っているか、座っているか、横になっているかに関わらず適切な投与を提供するのに効果的である。
【0076】
本発明は、また、呼吸器疾患の治療用の本発明の任意の態様及び実施形態の吸入器を提供する。とりわけ、呼吸器疾患は、喘息や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)でありうる。
【0077】
本発明の任意の態様において、喘息は、例えば、軽度、軽度から中等度、中等度、中等度から重度、又は、重度の喘息といった任意の喘息でありうると想定される。前記の喘息は、当業者に理解される通り、Global Initiative for Asthma (GINA)ガイドラインによるGINAステージ1、2、3、又は4として分類されうる。
【0078】
ここで提供される活性成分及びラクトースの粒径分布は、例えば空気中といった乾式分散としてのレーザ回折によって、例えばRODOSディスペンサが装備されたSympatec HELOS/BFを用いて測定される。
【0079】
本発明は、また、吸入用の医薬組成物を提供し、当該組成物は、微粒化されたフマル酸フォルモテロールと、微粒化されたブデソニドと、ラクトースキャリアと、を備え、ラクトースキャリアは、d10 = 20-65 μm、d50 = 80-120 μm、d90 = 130-180 μm、及び、<10 μm = <10%の粒径分布を有する。ラクトースの粒径分布は、d10 = 20-65 μm、d50 = 80-120 μm、d90 = 130-180 μm、及び、<10 μm = <6%でもよい。ブデソニドの粒径は、d10 <1 μm、d50 = <5 μm、d90 = <10 μm、及び、NLT 99% < 10 μmでもよい。フマル酸フォルモテロールの粒径は、d10 <1 μm、d50 = < 5μm、d90 = <10 μm、及び、NLT 99% <10 μmでもよい。
【0080】
本発明は、また、喘息、又は、COPDのような呼吸器疾患の治療に用いられる前記態様に係る医薬組成物を含む。
【0081】
本発明は、以下で実施例を参照して記述されるが、実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0082】
[実施例1]
ブデソニド/フォルモテロール(BF) Spiromax (Teva Pharmaceuticals)の3つの製剤が準備された:低強度(120吸入、各々が80 μgのブデソニド及び4.5 μgのフォルモテロールを送達する)、中強度(120吸入、一吸入あたり160 μgのブデソニド及び4.5 μgのフォルモテロール)、及び、高強度(60吸入、一吸入あたり320 μgのブデソニド及び9 μgのフォルモテロール)である。2つの研究が実施された。1つ目は、最初の用量からラベル表記によるところの最後の用量までBF Spiromax吸入器の寿命を通じた送達用量の均一性(UDD)を測定することを目的とする(用量一貫性を示すような)実験室研究であった。2つ目の研究は、BF Spiromaxの(UDDとしての)用量一貫性を、実環境での吸入器操作及び投与レジメンをシミュレーションした条件下で調査した。
【0083】
3つの強度のBF Spiromaxの一容器あたりの成分が、表1−3に示されている。
【0084】
表1.BF Spiromax(80/4.5 μg、120吸入)製品の一容器あたりの成分
【表1】
【0085】
表2.BF Spiromax(160/4.5 μg、120吸入)製品の一容器あたりの成分
【表2】
【0086】
表3.BF Spiromax(320/9 μg、60吸入)製品の一容器あたりの成分
【表3】
【0087】
<研究1、製品寿命にわたるUDD>
BF Spiromax装置が、貯蔵、姿勢、及び、最小投与間隔に関連して、患者の情報に従って用いられた。3つの異なるBF Spiromax吸入器が調査された:低強度;中強度;高強度であった。装置は、それらの寿命(寿命の初期(“BOL”)から寿命の最期(“EOL”)まで)を通して清掃されなかった。吸入器は、3つのバッチの低強度のBF Spiromax (n = 42)、3つのバッチの中強度の製品(n = 42)、及び、3つのバッチの高強度のBF Spiromax (n = 42)から選択された。
【0088】
装置の寿命にわたってUDDを評価するために、62.5 L/minの一定流量(装置(Q)への4 KPaの圧力低下に相当する)が、4 Lの吸入体積を達成するために適用された。BF Spiromax寿命の異なるステージから10回分の用量が、dosage unit sampling apparatus (DUSA)を用いて別々に収集された。3回分の用量が、装置の最初の放出(BOL)から収集され、4回分の用量が吸入器寿命を通じた中途段階(寿命の中期(“MOL”))から取られ、そして、3回分の用量(ラベル表記上の最後の用量を含んでいる)が吸入器の寿命の最期(EOL)から取られた。4 Lの空気が装置を通じて引き込まれた後、ブデソニド及びフォルモテロールの収集された用量が、回収され、そして、認証された高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析された。
【0089】
<研究2、実環境シミュレーション>
実環境条件が、患者のリーフレットに従って、分析者が勤務日時の間に吸入器を携帯し、規定のスキームに従い用量を分配し、毎週乾いた布で吸入器のマウスピースを清掃することで、シミュレートされた。5つの異なるシミュレーションスキームが、表4に要約されるように、吸入器をそれらのラベル表記上の最後の用量までテストするように策定された。
【0090】
表4.研究シュミレーションスキーム
【表4】
【0091】
各スキームにおいて、吸入器の用量が、UDDの分析のために収集された。UDDの評価のために、用量が、装置への4 KPaの圧力低下でDUSA中に収集された。4 Lの空気が装置を通じて引き込まれた後、収集された製剤原料が回収され、認証されたHPLCを用いて分析された。実験条件(25℃、60%の相対湿度)下で一日間にわたり同じ吸入器バッチから得られた結果が、比較のために用いられた。
【0092】
<研究1の結果、製品寿命にわたるUDD >
BF Spiromax装置は、ブデソニド及びフォルモテロールの一貫した用量をそれらの製品寿命を通じて送達した(
図23、24)。重要なことに、各製剤の寿命に対しての平均用量は、ラベル表記の用量と類似していた(表5)。BOLの用量がMOL及びEOLよりも僅かに低い傾向があったけれども、全ての用量が、ラベル表記の用量の±15%以内であった(低強度の用量は、ブデソニドについてはラベル表記の用量の90.7から108.0%の間の範囲にあり、フォルモテロールについては87.6-101.1%の範囲であった。中強度の範囲は、92.4-108.5%及び94.8-109.9%であった。高強度の範囲は、92.7%-104.8%及び96.8-110.2%であった)。
【0093】
表5.ブデソニド及びフォルモテロールの送達用量:各製剤に対しての測定された装置寿命平均(寿命初期の3回分の用量、寿命中期の4回分の用量、寿命最期の3回分の用量)。標準偏差は括弧内に示されている。
【表5】
【0094】
<研究2の結果、実環境のシミューション>
シミュレーションスキームA-Eにわたる“実環境”の状況下のブデソニド及びフォルモテロールのUDDデータ(送達用量として表される[ラベル表記の用量に対する%])が
図25に示されている。3つの吸入器強度の全てにおいて、送達用量は、寿命にわたって一貫性があった。単一吸入/一日と複数吸入/一日のレジメンとの間でUDDデータに差異はなかった(
図25)。
【0095】
[実施例2]
COPDを患っている子ども、青年、大人等の特定の患者は、吸入気流量ピークが低い傾向にある。従って、装置/製剤が流量の範囲にわたってUDDを提供することが重要である。この実施例では、40、60、及び、90 L/minの流速が、全ての患者によって達成可能なSpiromax装置を通じた最小、中間、及び、最大の流量を再現するために採用された。BF Spiromaxの送達用量の均一性及び微粒子質量が、この臨床的に関連のある流量範囲にわたって調査された。
【0096】
この研究は、120回分の用量を含む低強度製品及び中強度製品、及び、60回分の用量を含む高強度製品の3つのバッチで実施された。3つの吸入器が、バッチごとに各流量でテストされた。10回分の送達用量(吸入器の寿命初期に3回、中期に4回、最期に3回)が、規格UDD手順につき、選択された流量で、4 Lの空気体積を用いて、各吸入器から別々にdose unit sampling apparatus中に収集された。2つのAPSDデモンストレーションがUDDテストのために使用された吸入器で実施された。1つは吸入器寿命の初期に、もう1つは吸入器寿命の最期に実施された。それによって、平均送達用量が、全30回の送達用量の結果から計算され、平均FPDが各流量でテストされた各バッチに対する全6セットのデータ(すなわち、一吸入ごとに2つのNGI)から測定された。
【0097】
バッチ及び流量ごとの平均送達用量及び相対標準偏差(RSD)が、表6−8に、低強度、中強度、及び、高強度のBF Spiromax製品に対してそれぞれ示されている。典型的に、低い送達用量が、40 L/minのテスト流量において得られ、高い送達用量が、90 L/minのテスト流量において得られている。あらゆる場合において、バッチごと、テストごとの平均送達用量(n = 30 用量)は、低、中、及び、高強度のBF Spiromax製品において、それぞれ、十分にラベル表記での要求に対する85%-115%の範囲内である。
【0098】
表6.低強度製品(n = 30)で異なる流量で得られた平均送達用量(DD)及びRSDの結果
【表6】
【0099】
表7.中強度製品(n = 30)で異なる流量で得られた平均DD及びRSDの結果
【表7】
【0100】
表8.高強度製品(n = 30)で異なる流量で得られた平均DD及びRSD結果
【表8】
【0101】
この実施例は、4 Lの一定体積で、対象とする患者集団により達成可能な流量の範囲にわたり最小送達用量及び微粒子質量の一貫性を証明している。それゆえ、この研究成果に基づいて、本願のBF Spiromax製品は臨床的に関連する流量において安全で有効な用量を送達することができる、と結論付けることができる。
【0102】
[実施例3]
ルーチンの実験テストが、吸入器において、吸入器が起立姿勢で保持された状態で、これらが作動され、計量された用量が抽出されるときに実施された。患者は、吸入器を別姿勢で保持しながら、装置を作動させて用量を吸入しうる。装置の姿勢の研究は、作動中または吸入中の姿勢がどのように本願のBF Spiromax製品からの用量送達に影響を与えるかを評価するように実施された。製品の性能は、UDDの観点から、作動中または放出中において、吸入器をデフォルトの起立姿勢から前方(プラス)又は後方(マイナス)へ45°傾けながら評価され、そして、ルーチンのテスト結果(対照群)と比較された。
【0103】
3つのバッチの低強度の製品、及び、3つのバッチの高強度の製品が、UDD用のルーチンのテストスキームに従ってテストされた。バッチごとに3つの吸入器がテストされた。不用の用量が、吸入器が起立姿勢に保持されたときに作動され、収集された。傾斜作動:装置が+45°又は-45°で保持された状態で作動され、次いで、正立姿勢でサンプル収集チューブ中への放出が行なわれる。傾斜放出:正立姿勢で作動され、次いで+45°又は-45°の傾斜姿勢でサンプル収集チューブ中への放出が行なわれる。結果が、表9に示されている。
【0104】
表9.異なる姿勢での作動又は吸入で得られた強度ごとの全体平均送達用量(n = 9吸入器)
【表9】
【0105】
結果は、起立姿勢から45°以内の傾斜姿勢で本願の装置/製剤を作動させる又は計量された用量を吸入することは、起立姿勢で作動された吸入器や吸入された計量用量と比較して、用量送達プロファイルを変化させないことを示している。