(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一官能性硬化性材料は、Davies法に従って求められる場合、少なくとも10である親水性親油性バランスを特徴とするポリマー(硬化)物を形成するとして特徴づけられる、請求項1〜16のいずれかに記載の硬化性配合物。
三次元造形物物体を製造する方法であって、組立て材料を、造形物の形状に対応する設定されたパターンで複数の層を連続して形成するように分配することを含み、前記組立て材料が、請求項1〜44のいずれか1つに記載の硬化性配合物を含む、方法。
前記分配することに続いて、組立て材料を硬化エネルギーにさらして、それにより、前記硬化性配合物から形成される硬化した支持体材料を含む印刷物体を得ることをさらに含む、請求項45または46に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、付加製造(AM)、より具体的には、しかし限定的ではなく、付加製造(例えば、三次元インクジェット印刷など)に有用な水崩壊性配合物、および、該配合物を利用する付加製造方法に関する。
【0091】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0092】
付加製造(例えば、3Dインクジェット印刷)における使用のために好適である配合物について探索を行った際、本発明者らは、水に浸けられたとき、数分から数時間(例えば、2時間〜3時間)にまで及ぶ期間ではあるが、非常に短い期間のうちに崩壊可能である新規な配合物を設計し、首尾よく実施した。
【0093】
本明細書中上記で議論されるように、付加製造プロセス(例えば、3Dインクジェット印刷など)において一般に使用されている様々な可溶性配合物が、大きい水溶性および大きい膨潤能(水吸収度)を特徴とするように設計されている。そのような配合物は典型的には、高吸収性物として多くの場合には作用する硬化物を硬化時に形成する親水性の硬化性材料を含み、すなわち、硬化物は、該硬化物が水分子との水素結合を形成し得ることに起因する大きい膨潤能によって特徴づけられる。様々な高吸収性物が典型的には、低い架橋度合い(低い架橋密度)と、400%またはそれどころか500%もの大きい膨潤能とによって特徴づけられる。
【0094】
本発明者らは、水溶液と接触したときに崩壊可能である硬化物を形成し得る硬化性配合物が付加製造プロセスにおいて有益に使用され得ることを想定している。そのような配合物について探索を行った際、本発明者らは、そのような水崩壊性の硬化物が、本明細書中下記で議論されるように様々な特性の組合せ(例えば、剛性、電荷、水吸収度および親水性/親油性比、ならびに他の特性の1つまたは複数など)を特徴とし、かつ、本明細書中下記で議論されるように硬化物を水崩壊性にする特性(例えば、限定されないが、架橋度、剛性、水吸収度および/または他の特性の1つまたは複数など)を示す硬化物を一緒になってもたらす一官能性硬化性材料および多官能性硬化性材料の混合物を使用しながら形成され得ることを見出している。下記の実施例の節で明らかにされるように、そのような特性を特徴とする選択された組合せが実際に、水に浸けられたとき、硬化物が粉々に崩れる(物理的に分解する)ところまで水を吸収する硬化物を硬化時に形成することが示された。
【0095】
「崩壊可能な(breakable)」または「崩壊性(breakability)」によって、ポリマー物質が(例えば、化学的分解または溶解とは対照的に)物理的に分解し得ることが本明細書中では意味される。いくつかの実施形態において、崩壊可能な物質は、本明細書中に記載されるように分解して、または崩れて、粉々になる。
【0096】
「水崩壊可能な」によって、ポリマー物質が、水に浸けられたとき、および/または、水以外の水溶液(例えば、非蒸留水または他の塩含有水溶液)に浸けられたとき、本明細書中で定義されるように崩れることが可能であることが意味される。いくつかの実施形態において、水崩壊可能な物質が、水における静的浸漬のときに崩れる。水崩壊可能な物質は、自然に、すなわち、水溶液(例えば、水など)を接触させること以外に何ら物理的または機械的な力を加えることなく崩れる。
【0097】
次に
図1が参照される。
図1には、本発明の根底にある理論的根拠による例示的な硬化物が概略的に記載される。
図1に示されるように、硬化物は、複数のポリマー鎖(黒色の曲線)、および化学的架橋(赤色の曲線)、同様にまた、ポリマー鎖間における他の分子間相互作用(例えば、水素結合(青色の点線)など)を含むポリマー網状組織を特徴とする。
【0098】
何ら特定の理論によってとらわれることはないが、水を接触させると、水分子がポリマー鎖の間に進入し、ポリマー鎖間に形成される水素結合を妨げ、また、場合によっては他の分子間相互作用を妨げることが推測される。しかしながら、また、さらには何ら特定の理論によってとらわれることはないが、重合物を形成する硬化性材料の少なくとも一部の水吸収能、および、ある特定の共有結合架橋度、ならびに/あるいは、本発明の実施形態による重合物の相対的な剛直性のために、水分子のポリマー網状組織内への拡散により、圧力がポリマー網状組織に加わり、結果として、重合物(硬化物)は自然に崩れて、粉々になる。
【0099】
したがって、本明細書中に記載される硬化性配合物は、水崩壊可能な硬化物を形成することができるように設計される。そのような配合物は、製造された物体を、当該物体に悪影響を及ぼし得る、かつ/または面倒である、もしくは環境に優しくない機械的手段および/または化学的手段に供することなく、水に浸けたときに容易に除くことができる、付加製造プロセス(例えば、3Dインクジェット印刷など)における支持体材料配合物として特に使用可能である。しかしながら、そのような配合物はまた、造形用材料配合物として、例えば、水崩壊可能な物体を製造するために使用可能である。
【0100】
図2A〜
図2Bに示されるように、本明細書中に記載される新規な配合物が、3Dインクジェット印刷法における硬化した支持体材料であって、単に水に浸けたとき、非常に短い期間のうちに完全に除かれる、したがって、可溶性の固まった支持体材料を形成するための現在知られている配合物および/または現在入手可能な配合物に取って代わる硬化した支持体材料を形成するために首尾よく利用された。
【0101】
図3A〜
図3Cおよび
図4A〜
図4Bに示されるように、本発明のいくつかの実施形態による例示的な新規配合物は、水に浸けたときに崩れて、それにより、平均粒子サイズ(例えば、粒子の50%の粒子サイズ)が約4mmまでである複数の粒子を形成する硬化物を形成する。
【0102】
本明細書中において全体を通して、用語「物体」または用語「印刷された物体」または用語「製造された物体」は、付加製造プロセスの製造物を表す。この用語は、硬化した支持体材料を除く前の、本明細書中に記載されるような方法によって得られる製造物を示す。したがって、印刷された物体が、固まった(例えば、硬化した)造形用材料および固まった(例えば、硬化した)支持体材料、または集合的に固まった組立て材料から作製される。
【0103】
用語「印刷された物体」は、本明細書中において全体を通して使用される場合、印刷された物体全体またはその一部を示す。
【0104】
用語「造形物」は、本明細書中で使用される場合、製造プロセスの最終製造物を表す。この用語は、支持体材料が除かれた後の、本明細書中に記載されるような方法によって得られる製造物を示す。したがって、造形物は、別途示される場合を除き、硬化した造形用材料から本質的になる。この用語はまた、「造形物物体」、「最終物体」として、または単に「物体」として本明細書中では示される。
【0105】
「造形物」、「造形物物体」、「最終物体」および「物体」の用語は、本明細書中において全体を通して使用される場合、物体全体またはその一部を示す。
【0106】
本明細書中において全体を通して、表現「未硬化の組立て材料」は、本明細書中に記載されるように、層を連続して形成するように作製プロセス時に分配される材料をまとめて表す。この表現は、印刷された物体を形成するように分配される未硬化の材料、すなわち、1つまたは複数の未硬化の造形用材料配合物、および、支持体を形成するように分配される任意選択的に未硬化の材料、すなわち、未硬化の支持体材料配合物を包含する。
【0107】
本明細書中において全体を通して、表現「造形用材料配合物」(これはまた、本明細書中では交換可能に、「造形用配合物」として、または単に「配合物」として示される)は、本明細書中に記載されるように、造形物物体を形成するように分配される未硬化の組立て材料の一部を表す。造形用配合物は未硬化の造形用配合物であり、硬化エネルギーにさらされると、最終物体またはその一部を形成するものである。
【0108】
未硬化の組立て材料は1つまたは複数の造形用配合物を含むことができ、そのため、造形物物体の異なる部分が、異なる造形用配合物を硬化させたときに作製されるように、したがって、異なる硬化した造形用材料から、または硬化した造形用材料の異なる混合物から作製されるように分配することができる。
【0109】
本明細書中において全体を通して、用語「支持体材料配合物」(これはまた、本明細書中では交換可能に、「支持体配合物」と呼ばれる)は、本明細書中に記載されるように、支持体材料を形成するように分配される未硬化の組立て材料の一部を表す。支持体材料配合物は未硬化の配合物であり、硬化エネルギーにさらされると、固まった支持体材料を形成するものである。
【0110】
本明細書中において全体を通して、表現「硬化した造形用材料」および表現「固まった造形用材料」(これらは交換可能に使用される)は、分配された組立て材料を硬化にさらしたとき、本明細書中で定義されるように、造形物物体を形成する組立て材料の部分で、硬化した支持体材料(もし存在するなら)を除いた後の組立て材料の部分を表す。硬化した造形用材料は、本明細書中に記載されるように、当該方法で使用される造形用材料配合物に依存して、ただ1つの硬化した材料、または、2つ以上の硬化した材料の混合物であることが可能である。
【0111】
本明細書中において全体を通して、表現「固まった支持体材料」は、本明細書中では交換可能に、「硬化した支持体材料」、または単に「支持体材料」とも呼ばれ、作製された最終物体を作製プロセス時に支えるために意図される固まった(硬化した)組立て材料の部分で、プロセスが完了し、固まった造形用材料が得られると除かれる組立て材料の部分を表す。
【0112】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、(組立て材料、支持体材料および造形用材料の)未硬化の配合物は典型的には硬化性配合物であり、これは、硬化したときに固化物を形成する。
【0113】
本明細書中全体を通して、用語「硬化性配合物」により、本明細書中に記載されるように硬化エネルギーにさらされたとき、固体化または固化して、本明細書中で定義されるような硬化物を形成する材料の混合物が記載される。硬化性配合物は1つまたは複数の硬化性材料を含み、1つまたは複数の非硬化性材料、開始剤、および他の添加剤を必要に応じてさらに含むことがある。
【0114】
用語「硬化性材料」は、典型的には好適なエネルギー源にさらされるとき、重合および/または架橋を受け、したがって固まるか、または硬化する重合可能な材料である化合物または化合物の混合物である。
【0115】
「硬化性材料」は、モノマー化合物および/またはオリゴマー化合物および/またはポリマー化合物であることができる。
【0116】
「硬化性材料」はまた、本明細書中およびこの技術分野では「反応性」材料として示される。
【0117】
硬化性材料の重合および/または架橋は、いかなる公知の重合反応、例えばフリーラジカル重合、カチオン重合などによっても実施されることができる。
【0118】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性材料は光重合可能な材料であり、これは、本明細書中に記載されるように、放射線にさらされたときに重合するか、および/または架橋を受け、また、いくつかの実施形態において、硬化性材料はUV硬化性材料であり、これは、本明細書中に記載されるように、UV−可視放射線にさらされたときに重合するか、または架橋を受ける。
【0119】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような硬化性材料は、光誘導のラジカル重合を介して重合する重合可能な材料である。
【0120】
あるいは、硬化性材料は、熱硬化にさらされるとき(熱エネルギーにさらされるとき)重合および/または架橋を受ける熱硬化性材料である。
【0121】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性材料は、本明細書中に記載されるようにそれぞれが重合可能であるおよび/または架橋可能であるモノマーおよび/またはオリゴマーおよび/または短鎖ポリマーを含むことができる。
【0122】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性材料が硬化エネルギー(例えば、放射線)にさらされるとき、硬化性材料は鎖伸長および架橋のいずれか1つまたは鎖伸長および架橋の組合せによって重合する。
【0123】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性材料は、重合反応が起こる硬化エネルギーにさられるとき、ポリマー材料を重合反応時に形成することができるモノマーまたはモノマーの混合物である。そのような硬化性材料はまた、本明細書中では「モノマー型硬化性材料」または「硬化性モノマー」と呼ばれる。
【0124】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性材料は、重合および/または架橋反応が起こる硬化エネルギーにさられるとき、ポリマー型の支持体材料を重合および/または架橋反応時に形成することができるポリマーまたはオリゴマーあるいはポリマーおよび/またはオリゴマーの混合物である。
【0125】
硬化性材料は、一官能性の硬化性材料および/または多官能性の硬化性材料を含むことができる。
【0126】
本明細書中において、一官能性の硬化性材料は、硬化エネルギー(例えば、放射線)にさらされるときに重合を受けることができる1つの官能基を含む。多官能性の硬化性材料は、硬化エネルギー(例えば、放射線)にさらされるときに重合を受けることができ、かつ、加えて、硬化エネルギーにさらされたときに形成されるポリマー鎖の化学的架橋に関与することができる2つ以上の基を含む。
【0127】
硬化性材料が、重合可能かつ/または架橋可能な材料であるとき、硬化エネルギーにさらされたときに形成される硬化物は、本明細書中に記載されるように重合物またはポリマー網状組織である(例えば、複数のポリマー鎖(少なくとも2つ)が互いに架橋されている)。
【0128】
本明細書中において、表現「硬化エネルギーにさらす」、表現「硬化にさらす」、表現「硬化条件にさらす」および表現「硬化に影響を及ぼすエネルギー源にさらす」、ならびに、それらの文法的転用表現は交換可能に使用され、未硬化の組立て材料の分配された層が硬化エネルギーにさらされ、この暴露が典型的には、硬化エネルギーを該分配された層に加えることによって行われることを意味する。
【0129】
「硬化エネルギー」は典型的には、放射線を加えること、または熱を加えることを包含する。
【0130】
放射線は、硬化させられる材料に依存して、電磁放射線(例えば、紫外光または可視光)、または電子ビーム線、または超音波放射線もしくはマイクロ波放射線が可能である。放射線を加えること(すなわち、照射)は、好適な放射線源によって行われる。例えば、紫外線ランプまたは可視光ランプまたは赤外光ランプまたはキセノンランプを本明細書中に記載されるように用いることができる。
【0131】
放射線にさらされたときに硬化を受ける硬化性材料または硬化可能システムは、本明細書中では交換可能に「光重合可能」または「光活性化可能」または「光硬化性」であるとして示される。
【0132】
放射線がUV線であるとき、硬化性材料は、本明細書中ではUV硬化性であるとして示される。
【0133】
硬化エネルギーが熱を含むとき、硬化は、本明細書中およびこの技術分野では「熱硬化」としてもまた示され、熱エネルギーを加えることを含む。熱エネルギーを加えることが、本明細書中に記載されるように、例えば、層が分配される受入れ媒体、または、この受入れ媒体を収容するチャンバーを加熱することによって行われる。いくつかの実施形態において、加熱することが、抵抗加熱器を使用して行われる。
【0134】
いくつかの実施形態において、加熱することが、分配された層を熱誘導放射線により照射することによって行われる。そのような照射を、例えば、放射線を堆積層に放射するように作動させられるIRランプまたはキセノンランプによって行うことができる。
【0135】
熱にさらされたときに硬化を受ける硬化性材料または硬化可能システムは、本明細書中では「熱硬化性」または「熱活性化可能」または「熱重合可能」であるとして示される。
【0136】
本明細書中全体を通して、表現「クリーニング時間」は、硬化した支持体材料を製造された物体から除くために必要とされる時間を表す。
【0137】
本発明のいくつかの実施形態によれば、「クリーニング時間」は、本明細書中に記載されるような硬化物の所定量が、水に浸けられたときに崩れて、小片に粉々になるために要求される時間に等しい。この時間は、硬化物を水に浸けたときから、硬化物がもはや分解しないときまでの時間を記録することによって、例えば、材料の粒子の大きさにおける変化がそれ以上認められない時間を記録することによって測定することができる。
【0138】
本明細書中において全体を通して、表現「重量パーセント」が硬化性配合物の実施形態との関連で示されるときは常に、この用語により、本明細書中に記載されるような配合物の総重量の重量パーセントが意味される。
【0139】
表現「重量パーセント」はまた、本明細書中では「重量%」または「%wt.」または「wt.%」と示される。
【0140】
本明細書中において全体を通して、本発明のいくつかの実施形態が、付加製造が3Dインクジェット印刷であることの関連で記載される。しかしながら、他の付加製造プロセス(例えば、これらに限定されないが、SLAおよびDLPなど)が意図される。
【0141】
硬化性配合物:
本発明者らは、本明細書に規定されるように、水崩壊性材料として特徴づけられる硬化物を提供する硬化性配合物を設計し、首尾良く調製し、実施している。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態によれば、硬化物(重合物)の崩壊性が、間に含まれるどのような部分範囲および中間の値であっても含めて材料重量の約1%〜約300%である量で、または5%〜300%である量で、または10%〜300%である量で、または10%〜150%である量で、または20%〜150%である量で水(またはどのような他の水溶液であっても水溶液)を取り込む(膨潤する、吸収する)ときにもたらされ得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような硬化物は、硬化物が粉々に崩れる前のその重量の最大でも500%である量で水(またはどのような他の水溶液であっても水溶液)を膨潤(吸収)することができる。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような硬化物は、硬化物が粉々に崩れる(物理的に分解する)前のその重量の最大でも400%である量で、または最大でも350%である量で、または最大でも300%である量で、または最大でも250%である量で、または最大でも200%である量で、または最大でも150%である量で、または最大でも120%である量で、または最大でも100%である量で、または最大でも95%である量で、または最大でも90%である量で、または最大でも85%である量で、または最大でも80%である量で、または最大でも75%である量で、または最大でも70%である量で、または最大でも65%である量で、または最大でも60%である量で、または最大でも55%である量で、または最大でも50%である量で、または最大でも45%である量で、または最大でも40%である量で、または最大でも35%である量で、または最大でも30%である量で、または最大でも25%である量で、または最大でも20%である量で、または最大でも15%である量で、または最大でも10%である量で、または最大でも5%である量で水(またはどのような他の水溶液であっても水溶液)を膨張(吸収)することができる。
【0144】
これらの実施形態のいくつかにおいて、本明細書中に記載されるような硬化物は、硬化物が粉々に崩れる前のその重量の少なくとも0.1%である重量で、または少なくとも0.5%である重量で、または少なくとも1%である重量で、または少なくとも5%である重量で、または少なくとも8%である重量で、または少なくとも10%である重量で水(または水溶液)を膨潤(吸収)することができる。
【0145】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような硬化物は、間に含まれるどのような部分範囲および中間の値であっても含めて、硬化物が粉々に崩れる(物理的に分解する)前のその重量の約1%〜約300%である量で、または5%〜300%である量で、または10%〜300%である量で、または10%〜150%である量で水(またはどのような他の水溶液であっても水溶液)を膨潤(吸収)することができる。本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、水崩壊性物は、水に浸けられたとき、例えば、大きさが硬化物のサイズの50%〜0.001%であり得る粒子に崩れる(物理的に分解する)。
【0146】
本明細書中全体を通して、用語「粒子」は、例えば、本明細書中に記載されるように、どのような形状およびどのようなサイズであっても取ることができる、水崩壊性物の小さい破片を記載する。用語「粒子」はまた、本明細書中では交換可能に「粒状体(grain)」として、「破片」として、また、どのような他の技術的同義語としてであっても示される。
【0147】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、水崩壊性物は、水に浸けられたとき、平均サイズが10mmまでである粒子に崩れる(物理的に分解する)。本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、水崩壊性物は、水に浸けられたとき、平均サイズが8mmまでである粒子に崩れる(物理的に分解する)。本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、水崩壊性物は、水に浸けられたとき、平均サイズが6mmまでである粒子に崩れる(物理的に分解する)。本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、水崩壊性物は、水に浸けられたとき、平均サイズが5mmまでである粒子に崩れる(物理的に分解する)。本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、水崩壊性物は、水に浸けられたとき、平均サイズが4mmまでである粒子に崩れる(物理的に分解する)。本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、水崩壊性物は、水に浸けられたとき、平均サイズが3mmまでである粒子に崩れる(物理的に分解する)。本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、水崩壊性物は、水に浸けられたとき、平均サイズが2mmまでである粒子に崩れる(物理的に分解する)。
【0148】
粒子の「平均サイズ」によって、粒子の50%が超えず、かつ、粒子の50%が超えるサイズが意味され、これはまた、この技術分野ではd50として示される。
【0149】
いくつかの実施形態において、硬化物は複数の粒子に崩れ、この場合、粒子の少なくとも50%が、または少なくとも70%が、または少なくとも90%が、数ミクロン(例えば、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロンまたは5ミクロン)から約10mmまでの範囲にあるサイズを有する。いくつかの実施形態において、硬化物は複数の粒子に崩れ、この場合、粒子の少なくとも50%が、または少なくとも70%が、または少なくとも90%が、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロンまたは5ミクロンから約8mmまでの範囲にあるサイズを有する。いくつかの実施形態において、硬化物は複数の粒子に崩れ、この場合、粒子の少なくとも50%が、または少なくとも70%が、または少なくとも90%が、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロンまたは5ミクロンから約8mmまでの範囲にあるサイズを有する。いくつかの実施形態において、硬化物は複数の粒子に崩れ、この場合、粒子の少なくとも50%が、または少なくとも70%が、または少なくとも90%が、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロンまたは5ミクロンから約6mmまでの範囲にあるサイズを有する。いくつかの実施形態において、硬化物は複数の粒子に崩れ、この場合、粒子の少なくとも50%が、または少なくとも70%が、または少なくとも90%が、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロンまたは5ミクロンから約5mmまでの範囲にあるサイズを有する。いくつかの実施形態において、硬化物は複数の粒子に崩れ、この場合、粒子の少なくとも50%が、または少なくとも70%が、または少なくとも90%が、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロンまたは5ミクロンから約4mmまでの範囲にあるサイズを有する。いくつかの実施形態において、硬化物は複数の粒子に崩れ、この場合、粒子の少なくとも50%が、または少なくとも70%が、または少なくとも90%が、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロンまたは5ミクロンから約3mmまでの範囲にあるサイズを有する。いくつかの実施形態において、硬化物は複数の粒子に崩れ、この場合、粒子の少なくとも50%が、または少なくとも70%が、または少なくとも90%が、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロンまたは5ミクロンから約2mmまでの範囲にあるサイズを有する。いくつかの実施形態において、硬化物は複数の粒子に崩れ、この場合、粒子の少なくとも50%が、または少なくとも70%が、または少なくとも90%が、100ミクロンから約8mmまでの、または約100ミクロンから約6mmまでの、または約100ミクロンから約5mmまでの、または約100ミクロンから約4mmまでの範囲にあるサイズを有する。前記範囲のいずれかに含まれる中間の値および部分範囲が本明細書により意図される。いくつかの実施形態において、硬化物は複数の粒子に崩れ、この場合、粒子の少なくとも50%が、100ミクロンから約4mmまでの、または約2mmまでの範囲にあるサイズを有する。いくつかの実施形態において、硬化物は複数の粒子に崩れ、この場合、粒子の少なくとも70%が、100ミクロンから約4mmまでの、または約2mmまでの範囲にあるサイズを有する。本明細書中に記載される硬化性配合物から形成される硬化物の例示的な粒子サイズ分布が、
図3A〜
図3C、および
図4A〜
図4Bに示される。
【0150】
いくつかの実施形態によれば、本明細書中に記載される硬化性配合物は、硬化物から作製される3グラムの立方体が、本明細書中に記載されるように、水における静的浸漬のとき、10時間未満で、または8時間未満で、または6時間未満で、または4時間未満で、または3時間未満で、または2時間未満で、または1時間未満で、加えて、それどころか、40分未満で、30分未満で、20分未満で、または10分未満で崩壊可能であるようなものである硬化物を形成することができる。
【0151】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化物は、硬化物のサイズおよび/または形状と、硬化物が接触する水の量との間における比率にかかわらず、水に浸けられたときに崩れる。例えば、硬化物から作製される3グラムの立方体は、50ml、100ml、200ml、500ml、1リットルまたは1.5リットルの水に浸けられたとき、実質的に同じ期間のうちに崩壊可能である。いくつかの実施形態において、硬化物が崩れるまでの水における硬化物の静的浸漬の時間は、硬化物の化学的組成、および関連する性質に依存しており、硬化物が浸けられる水性配合物の体積または化学的組成には依存していない。
【0152】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に記載される配合物は、比較的低い膨潤能を示す硬化物を形成するとして特徴づけられる。
【0153】
本明細書中全体を通して、また、この技術分野において、用語「膨潤能」は、物質が水またはどのような他の水溶液であっても水溶液を吸収し、それを保持する特性を記述しており、本明細書中では、水またはどのような他の水溶液であっても水溶液に関しての「吸収度能」としても示され、物質によって吸収され得る水(または水溶液)の最大量をその重量を基準として示す。この用語は、物質の重量に対するwt%で表される。例えば、100グラムの物質が500グラムまでの水を吸収することができるときには、当該物質の水取り込みは500%であると見なされ、100グラムの物質が20グラムまでの水を吸収することができるときには、当該物質の水取り込みは20%であると見なされる。
【0154】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に記載される配合物は、本明細書中で定義されるように、500%未満である膨潤能、400%未満である膨潤能、350%未満である膨潤能、300%未満である膨潤能、好ましくは280%未満である膨潤能、250%未満である膨潤能、220%未満である膨潤能、200%未満である膨潤能、180%未満である膨潤能、170%未満である膨潤能、160%未満である膨潤能、150%未満である膨潤能、140%未満である膨潤能、130%未満である膨潤能、120%未満である膨潤能、110%未満である膨潤能、100%未満である膨潤能、より好ましくはより低い膨潤能、例えば、90%未満である膨潤能、80%未満である膨潤能、70%未満である膨潤能、60%未満である膨潤能、50%未満である膨潤能、40%未満である膨潤能、35%未満である膨潤能、30%未満である膨潤能、25%未満である膨潤能、20%未満である膨潤能、15%未満である膨潤能、または10%もの低い膨潤能を示す硬化物を形成するとして特徴づけられる。
【0155】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に記載される配合物は、間に含まれるどのような中間の値および部分範囲であっても含めて、本明細書中で定義されるように、約10%〜約300%の範囲にある膨潤能、または約10%〜約200%の範囲にある膨潤能、または約10%〜約150%の範囲にある膨潤能を示す硬化物を形成するとして特徴づけられる。この範囲を超える膨潤能は、本明細書中に記載されるような水崩壊性である硬化物をもたらさない、すなわち、この場合、硬化物は、本明細書中に記載されるように複数の粒子に崩れることはなく、一方、この範囲を下回る膨潤能は水崩壊性の特徴とならないことが推測される。
【0156】
本明細書中に記載される配合物は代わりに、または加えて、本明細書中で定義されるように比較的大きい共有結合架橋度を示す硬化物を形成するとして特徴づけられる。
【0157】
本明細書中全体を通して、また、この技術分野において、用語「架橋」は、重合物(ポリマー網状組織)におけるポリマー鎖間の分子間相互作用を記載する。そのような分子間相互作用には、例えば、水素結合、静電的相互作用、芳香族相互作用および/または共有結合架橋が含まれる。
【0158】
「共有結合(による)架橋」または「共有結合により架橋された」によって、重合物(硬化物)におけるポリマー鎖の少なくとも一部が共有結合を介して相互に連結されることが意味される。
【0159】
用語「架橋度合い」は、本明細書中では「架橋度」または「DOC」としてもまた示されているが、本明細書中で使用される場合、形成されている総結合のうちのポリマー鎖間の共有結合性結合であるポリマー網状組織(例えば、本明細書中に記載されるような硬化物のポリマー網状組織)内の結合の割合を表す計算された理論値を記載する。この値は、100%の転換を仮定して、硬化性配合物における一官能性硬化性材料および多官能性硬化性材料の合計に対する多官能性硬化性材料の量と、当該配合物における重合可能部分の総数のうちの多官能性硬化性材料中の重合可能部分のそれぞれの割合とに基づいて計算される。
【0160】
いくつかの実施形態において、架橋度が下記の式に従って計算される:
DOC=(n
XL×XL
f)/([(n
XL×XL
f)+(n
mm)]
式中、n
XL=多官能性硬化性材料のモル数;XL
f=多官能性硬化性材料の硬化性基(重合可能基)の数;n
mm=一官能性硬化性材料の数。
【0161】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化物は、本明細書中で定義されるように、少なくとも1%である架橋度合い、または少なくとも2%である架橋度合い、または少なくとも3%である架橋度合い、または少なくとも4%である架橋度合い、または少なくとも5%である架橋度合い、または少なくとも10%である架橋度合い、または少なくとも15%である架橋度合い、または少なくとも20%である架橋度合い、または少なくとも25%である架橋度合い、または少なくとも30%である架橋度合い、または少なくとも35%である架橋度合い、または少なくとも40%である架橋度合い、または少なくとも45%である架橋度合い、または少なくとも50%である架橋度合い、または少なくとも55%である架橋度合い、または少なくとも60%である架橋度合い、または少なくとも60%である架橋度合い、または少なくとも65%である架橋度合い、または少なくとも70%である架橋度合いによって特徴づけられる。本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化物は、間に含まれるどのような中間の値および部分範囲であっても含めて、本明細書中で定義されるように、約1%〜約90%の範囲にある架橋度合い、または約1%〜約80%の範囲にある架橋度合い、または約1%〜約70%の範囲にある架橋度合い、または約1%〜約60%の範囲にある架橋度合い、または約1%〜約50%の範囲にある架橋度合い、または約1%〜約40%の範囲にある架橋度合い、または約5%〜約80%の範囲にある架橋度合い、または約5%〜約65%の範囲にある架橋度合い、好ましくは約10%〜約80%の範囲にある架橋度合い、または約10%〜約70%の範囲にある架橋度合い、または約10%〜約60%の範囲にある架橋度合い、または約20%〜約80%の範囲にある架橋度合い、または約20%〜約70%の範囲にある架橋度合い、または約20%〜約50%の範囲にある架橋度合いによって特徴づけられる。
【0162】
多官能性硬化性材料、一官能性硬化性材料、ならびに多官能性硬化性材料および一官能性硬化性材料の濃度(例えば、両者間のモル比)を選択することによって、硬化物の架橋度が決定され得る。
【0163】
いくつかの実施形態において、また、下記の実施例の節で明らかにされるように、架橋度が、硬化物が水により崩れたときに得られる粒子の粒子サイズ分布に影響を及ぼす。
【0164】
いくつかの実施形態において、水崩壊性硬化物の性質(例えば、崩れたときに得られる粒子の粒子サイズ分布など)が、硬化物の架橋度を選択することによって、すなわち、多官能性硬化性材料、一官能性硬化性材料、ならびに多官能性硬化性材料および一官能性硬化性材料の濃度(例えば、両者間のモル比)を上記式に従って選択することによって操作される。
【0165】
本明細書中に記載される配合物は代わりに、または加えて、比較的大きい剛性(例えば、比較的高いTg)を示す硬化物を形成するとして特徴づけられる。
【0166】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、好適な硬化エネルギーにさらされたとき、本明細書中に記載されるような水崩壊性の硬化物をもたらすように選択される、少なくとも1つの一官能性硬化性材料および少なくとも1つの多官能性硬化性材料を含む硬化性配合物が提供される。
【0167】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、少なくとも1つの一官能性硬化性材料および少なくとも1つの多官能性硬化性材料は、好適な硬化エネルギーにさらされたとき、本明細書中上記で記載される特性の1つまたは複数を特徴とする硬化物をもたらすように選択される。
【0168】
一官能性硬化性材料:
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化性配合物は1つまたは複数の一官能性硬化性材料を含み、ただし、該一官能性材料の少なくとも1つが下記の式Iによって表される:
式中、
Raは、水素、アルキルまたはシクロアルキルである;かつ
Zは、X−L−Yによって表され、
ただし、式中、
Xは、−C(=O)−、−C(=O)−NR
1−、−C(=O)−O−、−P(=O)−(OR
2)−O−から選択され、または非存在である;
Yは、O
−M
+、OR
3、NR
4R
5またはN
+R
4R
5R
6Q
−から選択される;
Lは、長さが1個〜40個の原子である炭化水素部分であって、必要に応じて1つまたは複数のヘテロ原子によって中断され、該1つまたは複数のヘテロ原子が、O、SおよびNR
2から独立して選択される炭化水素部分であり、あるいは非存在である;
Qは、負荷電の対イオンである;
Mは、正荷電の対イオンである;かつ
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、水素、アルキルおよびシクロアルキルから選択される;
R
3は、水素、アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択される;かつ
R
4、R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、アルキルおよびシクロアルキルから選択され、あるいは、R
4およびR
5は環式環を形成する。
【0169】
式Iによって表される一官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、一官能性硬化性材料はイオン性であり、すなわち、一官能性硬化性材料はカチオンおよびアニオンを含む。
【0170】
これらの実施形態のいくつかにおいて、Yは、正荷電基または負荷電基のどちらかが可能である荷電基であり、硬化性化合物はさらに、Yの一部を形成するとして式Iにおいて表されるそれぞれの対アニオンを含む。
【0171】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、一官能性硬化性材料がイオン性であるとき、配合物は、当該イオン性材料の水溶液を含む場合がある。
【0172】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性材料は、水溶液に存在するときにはイオン化される。
【0173】
例示的なそのような硬化性材料は、YがO
−M
+であり、かつ、M
+がH
+であるものである。
【0174】
これらの実施形態によれば、YはOHであり、硬化性材料は7未満のpKaを有しており、その結果、このpKaを超えるpH(例えば、pH7)において、硬化性材料はイオン化されるようになる。
【0175】
Yが、(例えば、pH7において)O
−M
+にイオン化されるOHである例示的な硬化性材料には、重合可能なカルボン酸(例えば、アクリル酸など)およびビニルホスホン酸が含まれる。
【0176】
例示的な実施形態において、一官能性硬化性材料はアクリル酸であり、その結果、式Iにおいて、XはC(=O)であり、Lは非存在であり、YはO
−M
+であり、かつ、M
+はH
+である。これらの実施形態のいくつかにおいて、RaはHである。
【0177】
例示的な実施形態において、一官能性硬化性材料はビニルホスホン酸であり、その結果、式Iにおいて、XはP(=O)(OR
1)であり、Lは非存在であり、YはO
−M
+であり、かつ、M
+はH
+である。これらの実施形態のいくつかにおいて、RaはHである。
【0178】
式Iによって表される一官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、一官能性硬化性材料はイオン性であり、かつ、Yは負荷電基(例えば、O
−など)であり、M
+の正荷電対イオン(カチオン)をさらに含む。M
+はH
+が可能であり、または他の場合には金属カチオンが可能であり、好ましくは一価の金属カチオン(例えば、アルカリ金属カチオン(例えば、Na
+またはK
+)など)が可能である。
【0179】
式Iによって表される一官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、一官能性硬化性材料はイオン性であり、かつ、Yは正荷電基(例えば、N
+R
4R
5R
6など)であり、Q
−の負荷電対イオン(アニオン)をさらに含む。
【0180】
アニオンQ
−は、どのような一価アニオンあっても可能であり、例えば、限定されないが、ハリド(例えば、クロリド、ブロミドまたはヨージド、好ましくはクロリド)、スルホナート(例えば、トシラート、メシラート)、オキサラートおよびマレアートなどが可能である。
【0181】
これらの実施形態のいくつかにおいて、Lは炭化水素部分であり、いくつかの実施形態において、炭化水素部分は長さが1個〜8個の炭素原子であり、または1個〜6個の炭素原子であり、または1個〜4個の炭素原子である。いくつかの実施形態において、Lは、長さが2個または3個の炭素原子である炭化水素部分である。
【0182】
これらの実施形態のいくつかにおいて、炭化水素部分はアルキレンであり、いくつかの実施形態において、アルキレンは非置換のアルキレンである。アルキレンは、例えば、ブチレン、プロピレン エチレンまたはメチレンが可能であり、好ましくはエチレンまたはプロピレンである。
【0183】
YがN
+R
4R
5R
6Q
−であることについて本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、R
4〜R
6の1つまたは複数が水素以外であり、その結果、Yは、第二級アンモニウム、または、好ましいが、第三級アンモニウムもしくは第四級アンモニウムを含む。
【0184】
これらの実施形態のいくつかにおいて、R
4〜R
6のそれぞれが水素以外である。
【0185】
いくつかの実施形態において、R
4〜R
6の2つ以上またはそれぞれが、本明細書中で定義されるようにアルキルである。
【0186】
硬化性の一官能性材料がイオン性であることについて本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、XはC(=O)−Oであり、その結果、硬化性材料は一官能性アクリラートまたはモノアクリラートである。これらの実施形態のいくつかにおいて、Raは水素である。これらの実施形態のいくつかにおいて、Raはメチルであり、硬化性材料は一官能性メタクリラートである。
【0187】
硬化性の一官能性材料がイオン性であることについて本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、XはC(=O)−NR
1であり、その結果、硬化性材料は一官能性アクリルアミドである。これらの実施形態のいくつかにおいて、Raは水素である。これらの実施形態のいくつかにおいて、Raはメチルであり、硬化性材料は一官能性メタクリルアミドである。これらの実施形態のいくつかにおいて、R
1は水素である。
【0188】
イオン性である一官能性硬化性材料を含む硬化性配合物はまた、本明細書中では「1型」配合物として示される。
【0189】
式Iによって表される一官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、一官能性硬化性材料は非イオン性である。
【0190】
非イオン性である一官能性硬化性材料を含む硬化性配合物はまた、本明細書中では「2型」配合物として示される。
【0191】
式Iの非イオン性の一官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、Yはアミンであり、例えば、本明細書中に示されるようにNR
4R
5である。
【0192】
これらの実施形態のいくつかにおいて、アミンは第三級アミンであり、その結果、R
4およびR
5はそれぞれが水素以外である。
【0193】
Yがアミンであるときの実施形態のいくつかにおいて、Lは非存在であり、これらの実施形態のいくつかにおいて、XはC(=O)であり、硬化性材料はアクリルアミド系化合物である。
【0194】
例示的なヘテロ脂環式部分がモルホリンである。例示的なそのような硬化性材料がアクリロイルモルホリン(ACMO(商標))である。
【0195】
これらの実施形態のいくつかにおいて、R
4およびR
5はともにアルキルである。例示的なそのような硬化性材料がN,N−ジエチルアクリルアミド(DEAA(商標))である。
【0196】
いくつかの実施形態において、Lは、本明細書中に記載されるように炭化水素部分であり、いくつかの実施形態において、炭化水素部分は、本明細書中で定義されるようにアルキレンであり、好ましくは長さが1個〜4個の炭素原子であるアルキレンである。
【0197】
これらの実施形態のいくつかにおいて、Yはアミンであり、R
4およびR
5はともにアルキルである。例示的なそのような硬化性材料がN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA(商標))である。
【0198】
これらの実施形態のいくつかにおいて、XはC(=O)−NR
1であり、一官能性硬化性材料は一官能性アクリルアミドまたはモノアクリルアミドである。これらの実施形態のいくつかにおいて、Raは水素である。いくつかの実施形態において、Raはメチルであり、一官能性硬化性材料は一官能性メタクリルアミドである。これらの実施形態のいくつかにおいて、R
1は水素である。
【0199】
これらの実施形態のいくつかにおいて、XはC(=O)−Oであり、一官能性硬化性材料は一官能性アクリラートまたはモノアクリラートである。これらの実施形態のいくつかにおいて、Raは水素である。いくつかの実施形態において、Raはメチルであり、一官能性硬化性材料は一官能性メタクリラートである。
【0200】
いくつかの実施形態において、Yが、本明細書中に記載されるようにアミンであるとき、Raは水素である。
【0201】
式Iの非イオン性の一官能性硬化性材料については本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、Yはアルコキシ(これはOR
3として式Iにおいて表され、式中、R
3は水素以外であり、好ましくは、本明細書中で定義されるようにアルキルである)であり、いくつかの実施形態において、Yはヒドロキシである。
【0202】
Yがヒドロキシまたはアルコキシであることについて本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、Lは、本明細書中で定義されるように炭化水素部分である。
【0203】
これらの実施形態のいくつかにおいて、Lは、1つまたは複数のヘテロ原子によって中断される炭化水素部分である。
【0204】
いくつかの実施形態において、Lは、1つまたは複数のアルキレングリコール部分であり、あるいは1つまたは複数のアルキレングリコール部分を含む。
【0205】
いくつかの実施形態において、Lは、アルキレングリコール鎖、または、本明細書中で定義されるように2個〜20個、もしくは2個〜15個、もしくは5個〜15個のアルキレングリコール単位から構成されるポリ(アルキレングリコール)鎖(例えば、ポリ(エチレングリコール)鎖)であり、あるいは、アルキレングリコール鎖、または、本明細書中で定義されるように2個〜20個、もしくは2個〜15個、もしくは5個〜15個のアルキレングリコール単位から構成されるポリ(アルキレングリコール)鎖(例えば、ポリ(エチレングリコール)鎖)を含む。
【0206】
Yがアルコキシであることについて本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、XはC(=O)−Oであり、その結果、一官能性硬化性材料は一官能性アクリラートまたはモノアクリラートである。いくつかの実施形態において、Raは水素である。あるいは、Raはメチルであり、硬化性材料は一官能性メタクリラートまたはモノメタクリラートである。
【0207】
Yがアルコキシである例示的な一官能性アクリラートまたは一官能性メタクリラートが、一官能性のメチル−PEG(またはMPEG)アクリラートである。
【0208】
式Iの一官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、Raは水素である。いくつかの実施形態において、Raはメチルである。
【0209】
本明細書中に記載されるように式Iによって包含されるどのような他の化合物も、硬化性配合物に含まれるために好適である一官能性硬化性材料として意図されることには留意しなければならない。
【0210】
さらには、本実施形態の硬化性配合物に含まれるために好適である硬化性の一官能性材料はイオン性でなければならないこと、および/または、アルキル化された官能基(例えば、第三級アミン、第三級アンモニウムもしくは第四級アンモニウム、および/またはアルコキシなど)を特徴としなければならないことがどちらであれ、何ら特定の理論によってとらわれることはないが、推測されることには留意しなければならない。
【0211】
本発明のいくつかの実施形態との関連での使用のために好適である例示的な一官能性材料が本明細書中下記の表1に示される。
【0212】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、一官能性硬化性材料は、(唯一の硬化性材料として使用されたときに)硬化すると、下記特徴の1つまたは複数を特徴とする硬化物(例えば、ポリマー物)を形成した:
少なくとも200%の水取り込み;
少なくとも10である、Davies法に従って求められる親水性親油性バランス;および
少なくとも50重量パーセントである水溶性。
【0213】
これらの実施形態との関連において、「水吸収度」もまた意味する表現「水取り込み」は、水に浸けられたときにポリマー物質が吸収し得る水の量であって、(水を接触させる前の)その重量に対する相対的な量を意味する。
【0214】
これらの実施形態との関連において、表現「水溶性」は、溶液が濁る前(非透明になる前)の100グラムの水に加えられているポリマーの重量%を記載する。
【0215】
本実施形態との関連での使用のために好適である例示的な一官能性硬化性材料が、下記の実施例の節において表1に示される。
【0216】
多官能性硬化性材料:
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化性配合物は1つまたは複数の多官能性硬化性材料を含み、ただし、該多官能性材料の少なくとも1つが、
(i)20℃よりも高いTgを特徴とするポリマーを形成するとして特徴づけられる;かつ/または
(iii)下記の式IIによって表される:
式中、
Rbは、水素、アルキルまたはシクロアルキルである;
nは2〜10の整数である;
=C(Rb)−Wによって表される重合可能基のそれぞれにおけるWは、C(=O)−O、C(=O)−NR
8およびC(=O)から独立して選択され、または非存在である;かつ
Bは、少なくとも1つの水素ドナー含有基によって中断および/または置換される、1個〜20個の原子の、または2個〜20個の原子の炭化水素部分である。
【0217】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、多官能性硬化性材料は、それ自体が使用されたときには、20℃よりも高いTg、または30℃よりも高いTg、または40℃よりも高いTg、または50℃よりも高いTg、または60℃よりも高いTg、または70℃よりも高いTg、または80℃よりも高いTg、また、一層より高い、例えば、90℃、100℃もしくはそれよりも高いTgを特徴とするポリマー(硬化物)と形成するとして特徴づけられる。
【0218】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、多官能性硬化性材料は式IIによって表される。
【0219】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、多官能性硬化性材料は式IIによって表され、少なくとも20℃以上のTgを特徴とする硬化物(重合物)を形成するとして特徴づけられる。
【0220】
多官能性硬化性材料は、二官能性の硬化性材料(この場合、式IIにおけるnは2である)、三官能性の硬化性材料(この場合、nは3である)、四官能性または五官能性または六官能性の硬化性材料(この場合、nはそれぞれ、4、5または6である)であることが可能である。
【0221】
多官能性硬化性材料は、式IIにおいて=C(Rb)−Wによって表される2つ以上の重合可能基を含む。
【0222】
部分Bにより、2つ以上の重合可能基がつながれる。
【0223】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、nは2であり、部分Bは、2つの重合可能基を連結する二価基部分である。
【0224】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、nは3であり、部分Bは、3つの重合可能基との間を連結する三価基部分である。これらの実施形態のいくつかにおいて、Bは3本腕の(分岐)部分であり、または3本腕の(分岐)部分を含む。
【0225】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、nは4であり、部分Bは、4つの重合可能なビニル基との間を連結する。これらの実施形態のいくつかにおいて、Bは4本腕の(分岐)部分であり、または4本腕の(分岐)部分を含む。
【0226】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、多官能性硬化性材料は、本明細書中で定義されるように1つまたは複数の水素ドナー含有基を特徴とし、これらの実施形態のいくつかにおいて、Bは、1つまたは複数の水素ドナー含有基を含む。
【0227】
水素結合ドナーは、水素原子が共有結合される電気陰性の原子を含む基である。電気陰性の原子は、電子密度を水素原子から引き離し、その結果、水素原子は部分正電荷(δ
+)を帯びる。したがって、この水素原子は、部分負電荷(δ
−)を有する原子(例えば水分子中の酸素)と静電相互作用を介して相互作用することができる。
【0228】
水素ドナー含有基は、本明細書中で使用される場合、水素結合ドナーとして水素相互作用に関与し得る基を記載する。
【0229】
例示的なそのような基には、電気陰性原子(例えば、酸素)、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミン(第一級または第二級)、アミノアルキル、チオールおよびチオアルキルが含まれる。
【0230】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、Bは、1つもしくは複数のヒドロキシ基および/または1つもしくは複数のヒドロキシアルキル基および/または1つもしくは複数のアミン基を含む。
【0231】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、重合可能基のそれぞれにおけるWは独立して、C(=O)−O、C(=O)−NR
8およびC(=O)から選択される。
【0232】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、重合可能部分の少なくとも1つにおいて、WはC(=O)−Oである。
【0233】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、重合可能部分のそれぞれにおいて、WはC(=O)−Oである。そのような多官能性硬化性材料は多アクリラートとしてもまた示され、ジアクリラートおよびトリアクリラートなどであることが可能である。
【0234】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、水素ドナー含有基はアミンであり、またはアミンを含む。好ましくは、アミンは第一級アミンである。
【0235】
これらの実施形態のいくつかにおいて、Bはアミノアルキルであり、またはアミノアルキルを含み、いくつかの実施形態において、Bはジアミノアルキレンである。
【0236】
これらの実施形態のいくつかにおいて、nは2であり、Bは、アミノ基がアルキレンの末端炭素原子に結合する1,ω−アミノアルキレンである。例として、1,2−ジアミノエチレン、1,3−ジアミノプロピレンおよび1,4−ジアミノブチレンなどが挙げられる。
【0237】
例示的な実施形態において、Bは1,2−ジアミノエチレンである。
【0238】
Bが1,ω−アミノアルキレンである実施形態のいくつかにおいて、重合可能基のそれぞれにおけるWはC(=O)であり、硬化性材料はジアクリルアミド系化合物である。Rbがメチルであるとき、硬化性材料はジメタクリルアミド系化合物である。
【0239】
式IIによって表される多官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、水素ドナー含有基はヒドロキシであり、またはヒドロキシを含む。
【0240】
いくつかの実施形態において、Bは、少なくとも1つのヒドロキシまたはヒドロキシアルキルによって置換される、本明細書中に記載されるような炭化水素鎖である。
【0241】
これらの実施形態のいくつかにおいて、炭化水素鎖は、本明細書中に記載されるように1つまたは複数のアルキレングリコール基を含み、該アルキレングリコール基の1つまたは複数がヒドロキシまたはヒドロキシアルキルによって置換される。
【0242】
例示的な実施形態において、Bは、1つまたは複数のプロピレングリコール基を含み、該プロピレングリコール部分の少なくとも1つがヒドロキシまたはヒドロキシアルキルによって置換される。
【0243】
Bが1つまたは複数のアルキレングリコール基を含む実施形態のいくつかにおいて、該アルキレングリコール基の1つまたは複数がヒドロキシによって置換される。
【0244】
式IIによって表される多官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、水素ドナー含有基はヒドロキシアルキルであり、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルなどである。
【0245】
式IIによって表される多官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、Bは、長さが1個〜10個の炭素原子のアルキレン、または長さが1個〜18個の炭素原子のアルキレン、または長さが1個〜6個の炭素原子のアルキレン、または長さが1個〜4個の炭素原子のアルキレンである。
【0246】
式IIによって表される多官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、Bは、少なくとも1つのヒドロキシアルキルによって置換される、本明細書中に記載されるようなアルキレンである。
【0247】
式IIによって表される多官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、Bは、3つ以上の腕を特徴とする分岐型アルキレンであり、または3つ以上の腕を特徴とする分岐型アルキレンを含み、それらの少なくとも1つが、本明細書中に記載されるような水素結合供与基であり、または、本明細書中に記載されるような水素結合供与基を含む。
【0248】
これらの実施形態のいくつかにおいて、Bは、3つ以上の腕を特徴とする分岐型アルキレンであり、または3つ以上の腕を特徴とする分岐型アルキレンを含み、これらの腕の1つがヒドロキシアルキルであり、またはヒドロキシアルキルを含む。
【0249】
式IIによって表される多官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、Bは、1つまたは複数の酸素原子(O原子)によって中断される分岐型炭化水素部分であり、あるいは、1つまたは複数の酸素原子(O原子)によって中断される分岐型炭化水素部分を含む。
【0250】
式IIによって表される多官能性硬化性材料について本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、Bは、必要に応じてヘテロ原子(例えば、O)によって中断され、また、必要に応じてヒドロキシまたはヒドロキシアルキルによって置換される分岐型炭化水素部分であり、あるいは、必要に応じてヘテロ原子(例えば、O)によって中断され、また、必要に応じてヒドロキシまたはヒドロキシアルキルによって置換される分岐型炭化水素部分を含む。
【0251】
例示的な分岐型炭化水素部分は、[−(CH
2)a]
3−C−(CH
2)m−O−(CH
2)k−C−[(CH
2)b−]
3であり、または、[−(CH
2)a]
3−C−(CH
2)m−O−(CH
2)k−C−[(CH
2)b−]
3を含み、ただし、式中、a、b、mおよびkはそれぞれ独立して、0、1、2、3、4、および10までであり、好ましくは0〜4であり、より好ましくは1〜4であり、それぞれの末端炭素は重合可能基またはヒドロキシまたは水素に結合する。
【0252】
Bがヒドロキシであり、またはヒドロキシを含むことについて本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、重合可能基のそれぞれにおけるWは、本明細書中に記載されるようにC(=O)−Oである。
【0253】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、重合可能基のそれぞれにおけるRbは同じまたは異なることが可能である。いくつかの実施形態において、重合可能基のそれぞれにおけるRbは独立して、水素またはメチルである。いくつかの実施形態において、重合可能基のそれぞれにおけるRbは水素である。あるいは、重合可能基のそれぞれにおけるRbはメチルである。
【0254】
本明細書中に記載されるように式IIによって包含されるどのような他の化合物も、硬化性配合物に含まれるために好適である多官能性硬化性材料として意図されることには留意しなければならない。
【0255】
本実施形態との関連での使用のために好適である例示的な多官能性硬化性材料が、下記の実施例の節において表2に示される。
【0256】
非硬化性材料:
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、それぞれの実施形態のいずれか1つ、および、どのような組合せであれ、それらの組合せにおいて本明細書中に記載されるような硬化性配合物は、硬化性材料に加えて、1つまたは複数の非硬化性材料(これはまた、本明細書中では「非反応性」として示される)を含む。
【0257】
用語「非硬化性(の)」は、どのような条件のもとであっても重合可能でない材料、および/または本明細書中に記載される硬化性材料が重合可能である条件のもとで重合可能でない材料、および/または物体の作製において使用されるどのような条件のもとであっても重合可能でない材料を包含する。そのような材料は典型的には、重合可能な基、例えばUV−光重合可能な基を含まない。
【0258】
いくつかの実施形態において、非硬化性材料は、本明細書中に記載されるような硬化性材料に対して非反応性であり、すなわち、その材料は、硬化条件を含めて作製条件のもとでは硬化性材料と反応せず、また、その硬化を妨げることができない。
【0259】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、非硬化性材料は、ポリマー材料である。
【0260】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、非硬化性材料は、水混和性材料、例えば水混和性ポリマー材料である。
【0261】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、ポリマー材料は、本明細書中で定義されるように、水溶性または水分散性または水混和性のポリマー材料である。
【0262】
いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、本明細書中で定義されるような複数の親水性基をポリマーの骨格鎖の内部に、またはペンダント基としてそのどちらであっても含む。例示的なそのようなポリマー材料がポリオールである。いくつかの代表的な例には、ポリオール3165、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール、これらのポリマーのエトキシル化形態、およびパラフィン油など、ならびに、どのような組合せであれ、それらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0263】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、非硬化性材料は非ポリマー材料であり、いくつかの実施形態において、非ポリマー材料は水混和性の非ポリマー材料であり、例えば、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、およびBoltron P4290などである。
【0264】
付加製造プロセスにおいて一般に使用されているどのような非硬化性材料であっても(好ましくは、水混和性の非硬化性材料)、および、どのようなその組合せであっても意図される。
【0265】
さらなる薬剤:
それぞれの実施形態のいずれかにおける本明細書中に記載されるような硬化性配合物はさらに、さらなる薬剤を含むことができ、例えば、開始剤、抑制剤および安定剤などを含むことができる。
【0266】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつか、および、どのような組合せであれ、その組み合わせにおいて、硬化性配合物はさらに、硬化エネルギーまたは硬化条件にさらされたときに硬化性材料の重合を誘導するための開始剤を含む。
【0267】
これらの実施形態のいくつかにおいて、硬化性材料の1つまたは複数あるいはすべてがUV硬化性材料であり、開始剤が光開始剤である。
【0268】
光開始剤は、フリーラジカル光開始剤、カチオン性光開始剤、または、どのような組合せであれ、それらの組合せであることが可能である。
【0269】
フリーラジカル光開始剤は、放射線(例えば、紫外線または可視光など)にさらされるとフリーラジカルを生成し、それによって重合反応を開始させる化合物であれば、どのような化合物であってもよい。好適な光開始剤の限定されない例には、フェニルケトン系化合物、例えば、アルキル/シクロアルキルフェニルケトンなど;ベンゾフェノン系化合物(芳香族ケトン)、例えば、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、ミヒラーのケトンおよびキサントン系化合物など;アシルホスフィンオキシド型光開始剤、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TMPO)、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(TEPO)およびビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)など;ベンゾイン系化合物およびベンゾインアルキルエーテル、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルなどが含まれる。光開始剤の例として、アルファ−アミノケトンおよび1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、Igracure(登録商標)184として市販されるもの)が挙げられる。
【0270】
フリーラジカル光開始剤が、単独で、または共開始剤との組合せで使用される場合がある。共開始剤が、UV系において活性であるラジカルを生成させるために第2の分子を必要とする開始剤と一緒に使用される。ベンゾフェノンが、硬化性ラジカルを生成させるために第2の分子(例えば、アミンなど)を必要とする光開始剤の一例である。放射線を吸収した後、ベンゾフェノンは水素引き抜きによって第三級アミンと反応して、アクリレート系化合物の重合を開始させるアルファ−アミノラジカルを生成する。一群の共開始剤の限定されない例として、アルカノールアミン、例えば、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0271】
好適なカチオン性光開始剤には、例えば、重合を開始させるために十分である紫外光および/または可視光にさらされたときに非プロトン酸またはブレンステッド酸を形成する化合物が含まれる。使用される光開始剤は、単一の化合物、2つ以上の活性化合物の混合物、または2つ以上の異なる化合物(すなわち、共開始剤)の組合せである場合がある。好適なカチオン性光開始剤の限定されない例には、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩およびトリアリールセレノニウム塩などが含まれる。例示的なカチオン性光開始剤の1つがトリアリールソルホニウム(triarylsolfonium)ヘキサフルオロアンチモナート塩の混合物である。
【0272】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性配合物はさらに、作製プロセスにおいて有益に使用される1つまたは複数のさらなる薬剤を含む場合がある。そのような薬剤には、例えば、表面活性剤、抑制剤および安定剤が含まれる。
【0273】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような硬化性配合物は表面活性剤を含む。表面活性剤が、配合物の表面張力を、噴射のために、または他の印刷プロセスのために必要とされる値(これは典型的には30dyne/cm前後である)にまで低下させるために使用される場合がある。例示的なそのような薬剤の1つがシリコーン系表面添加剤であり、例えば、限定されないが、BYK−345として市販される表面剤などである。
【0274】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような硬化性配合物はさらに、作製プロセスの期間中で、かつ、硬化性配合物が硬化条件に供される前での硬化性材料の事前の重合を抑制する抑制剤を含む。例示的な安定剤(抑制剤)の1つがトリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩(NPAL)(例えば、FirstCure(登録商標)NPALで市販されるもの)である。
【0275】
好適な安定剤には、例えば、配合物を高温において安定化させる熱安定剤が含まれる。
【0276】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性配合物はシリコンポリエーテルを含まない。
【0277】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性配合物は水をさらに含む。
【0278】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性配合物は本明細書中に記載される一官能性および多官能性配合物に加えて、1つまたは複数の硬化性材料を含む。
【0279】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、そのような硬化性材料は、造形物製造プロセス(例えば、3D印刷プロセス)において一般に使用されているどのような硬化性材料であっても可能である。
【0280】
これらの実施形態のいくつかにおいて、さらなる硬化性材料の1つまたは複数が、水混和性の硬化性材料である。
【0281】
これらの実施形態のいずれかのいくつかにおいては、さらなる硬化性材料は、本明細書中に記載される一官能性硬化性材料および多官能性硬化性材料と同じ硬化条件にさらしたときに硬化可能である。例えば、本明細書中に記載される一官能性硬化性材料および多官能性硬化性材料が光重合性材料(例えば、UV硬化性)であるとき、該1つまたは複数のさらなる硬化性材料もまた光重合性(例えば、UV硬化性)である。
【0282】
さらなる硬化性材料は、モノマー系材料、オリゴマー系材料および/またはポリマー系材料であることが可能である。
【0283】
例示的なさらなる一官能性のUV硬化性材料には、アクリロイルモルホリン(ACMO)、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−(3,3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、メタクリルアミド(2−メチルプロペンアミド)、NIPAM、ビニルエーテル類、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、オリゴ(アルキレングリコール)モノアクリラートおよびオリゴウレタンアクリラートが含まれるが、これらに限定されない。他の水混和性の一官能性のアクリラート系化合物、メタクリラート系化合物、アクリルアミド系化合物またはメタクリルアミド系化合物が意図される。
【0284】
例示的なさらなる多官能性(例えば、二官能性)のUV硬化性材料には、ポリ(エチレングリコール)ジアクリラート、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリラート、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)ウレタンジアクリラート、および部分的にアクリラート化されたポリオールオリゴマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0285】
例示的な支持体材料配合物:
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、本明細書中に記載されるような硬化性の支持体材料配合物は、下記の表1に示される一官能性硬化性材料の1つまたは複数を含む。
【0286】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、本明細書中に記載されるような硬化性の支持体材料配合物は、下記の表2に示される多官能性硬化性材料の1つまたは複数を含む。
【0287】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、本明細書中に記載されるような硬化性の支持体材料配合物は、下記の表1に示される一官能性硬化性材料の1つまたは複数、および下記の表2に示される多官能性硬化性材料の1つまたは複数を含む。
【0288】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性配合物は、本明細書中に記載されるような式Iによって表される1つまたは複数の一官能性硬化性材料、ならびに/あるいは、本明細書中に記載されるような多官能性硬化性材料の1つまたは複数を含む。
【0289】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性配合物は、本明細書中に記載されるような式Iによって表される1つまたは複数の一官能性硬化性材料、ならびに/あるいは、本明細書中に記載されるような式IIによって表される多官能性硬化性材料の1つまたは複数を含む。
【0290】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化性配合物は、本明細書中に記載されるような式Iによって表される一官能性硬化性材料(1つまたは複数)の濃度が、配合物の総重量の40重量%〜90重量%の範囲であるように、または40重量%〜80重量%の範囲であるように、または50重量%〜80重量%の範囲であるようにされる。
【0291】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化性配合物は、一官能性硬化性材料(例えば本明細書中に記載されるような式Iによって表される一官能性硬化性材料、および本明細書中に記載されるような追加の一官能性硬化性材料)の全濃度が、間に含まれるどのような中間の値および部分範囲であっても含めて、配合物の総重量の40重量%〜90重量%の範囲であるように、または40重量%〜80重量%の範囲であるように、または50重量%〜80重量%の範囲であるようにされる。
【0292】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化性配合物は、本明細書中に記載されるような多官能性硬化性材料の濃度が、配合物の総重量の少なくとも5重量%であるようにされる。
【0293】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化性配合物は、本明細書中に記載されるような多官能性硬化性物質の全濃度が、間に含まれるどのような中間の値および部分範囲であっても含めて、配合物の総重量の5重量パーセント〜80重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜75重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜70重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜65重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜60重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜50重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜40重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜30重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜30重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜25重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜20重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜15重量パーセントの範囲であるようにされる。
【0294】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化性配合物は、本明細書中に記載されるような多官能性硬化性物質の全濃度が、間に含まれるどのような中間の値および部分範囲であっても含めて、配合物の総重量の5重量パーセント〜80重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜75重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜70重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜65重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜60重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜50重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜40重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜30重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜30重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜25重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜20重量パーセントの範囲であるように、または5重量パーセント〜15重量パーセントの範囲であるようにされる。
【0295】
下記には、本明細書中に記載されるような硬化性配合物に含まれるための一官能性硬化性材料および多官能性硬化性材料の様々な組合せの限定されない例が列挙される:
AM−130GおよびSR−610、これらを5〜65の範囲でのDOCで;
AM−130GおよびSR−259、これらを5〜90の範囲でのDOCで;
AM−130GおよびGDGDA、これらを5〜65の範囲でのDOCで;
AM−130GおよびSR−508、これらを5〜65の範囲でのDOCで;
AM−130GおよびSR−833S、これらを5〜65の範囲でのDOCで;
AM−130GおよびSR−415、これらを5〜25の範囲でのDOCで;
AM−130GおよびSR−444D、これらを5〜65の範囲でのDOCで;
AM−130GおよびSR−368、これらを5〜65の範囲でのDOCで;
AM−130GおよびSR−355、これらを5〜65の範囲でのDOCで;
AM−130GおよびSR−399、これらを5〜65の範囲でのDOCで;
HEAAおよびSR−610、これらを5〜25の範囲でのDOCで;
HEAAおよびSR−259、これらを5〜45の範囲でのDOCで;
HEAAおよびGDGDA、これらを5〜45の範囲でのDOCで;
HEAAおよびSR−508、これらを5〜25の範囲でのDOCで;
HEAAおよびSR−833S、これらを5〜65の範囲でのDOCで;
HEAAおよびSR−415、これらを5のDOCで;
HEAAおよびSR−444D、これらを5〜45の範囲でのDOCで;
HEAAおよびSR−368、これらを5〜25の範囲でのDOCで;
HEAAおよびSR−355、これらを5〜25の範囲でのDOCで;
HEAAおよびSR−399、これらを5〜25の範囲でのDOCで;
ACMOおよびSR−259、これらを5のDOCで;
ACMOおよびSR−415、これらを5のDOCで;
DMAPAAおよびSR−399、これらを25〜45の範囲でのDOCで;
PEA−6およびSR−508、これらを5〜65の範囲でのDOCで;
PEA−6およびSR−355、これらを5〜65の範囲でのDOCで;
PEA−6およびSR−399、これらを5〜65の範囲でのDOCで。
【0296】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、支持体用硬化性配合物はさらに、本明細書中に記載されるような非硬化性材料を含む。いくつかの実施形態において、非硬化性材料の濃度が配合物の総重量の1重量パーセント〜20重量パーセントの範囲であり、または1重量パーセント〜10重量パーセントの範囲である。
【0297】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化性配合物はさらに、開始剤(例えば、光開始剤)を配合物の総重量の0.1重量パーセント〜4重量パーセントの濃度で、または0.5重量パーセント〜4重量パーセントの濃度で、または0.5重量パーセント〜3重量パーセントの濃度で、または0.5重量パーセント〜2重量パーセントの濃度で含む。
【0298】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化性配合物はさらに、配合物の総重量の0重量パーセント〜2重量パーセントの濃度での開始剤、および/または、配合物の総重量の0重量パーセント〜2重量パーセントの濃度での界面活性剤を含む。
【0299】
例示的な配合物が下記の表3〜表5に示される。
【0300】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、硬化性配合物は、3Dインクジェット印刷に好適な粘度を示す。
【0301】
例示的な実施形態において、硬化性配合物の粘度は作業温度において30cps未満であり、または25cps未満であり、または20cps未満である。いくつかの実施形態において、配合物の粘度は室温においてより高く、例えば、室温において50cpsを超えることができ、または80cpsを超えることができる。
【0302】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、硬化性配合物は、室温において10cps〜20cpsの粘度を示すようにされる。いくつかの実施形態において、硬化性材料、ならびに、非硬化性材料、そして、それぞれの濃度は、配合物が、本明細書中に記載されるような所望の粘度を(硬化前に)示すように選択され、または操作される。
【0303】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、本明細書中に記載されるような硬化性配合物は、光エネルギーにさらされたときに硬化可能である。
【0304】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、本明細書中に記載されるような硬化性配合物は、本明細書中で定義されるようにUV硬化性であり、UV線にさらされたときに硬化可能である。
【0305】
造形物製造:
本明細書中に記載されるような硬化性配合物は、本明細書中で定義されるような、付加製造プロセスにおける非硬化の組立て材料配合物として使用するために好適である。
【0306】
本明細書中に記載されるような硬化性配合物は、3Dインクジェット印刷プロセスにおける非硬化の組立て材料配合物として使用するために好適である。
【0307】
本明細書中に記載されるような硬化性配合物は、本明細書中に記載されるように、水崩壊性の造形物物体を形成するために造形用材料配合物として、または、容易に除くことができる硬化した支持体材料を形成する支持体材料配合物としてそのどちらとしてでもそのようなプロセスにおいて使用することができる。
【0308】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかの様々な局面によれば、本明細書中に記載されるような硬化性配合物を利用する、三次元造形物物体を製造するための付加製造方法が提供される。
【0309】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、三次元造形物物体を作製する方法が提供され、この方法は、未硬化の組立て材料を、物体の形状に対応する設定されたパターンで複数の層を連続して形成するように分配することを含み、組立て材料は、本明細書中に記載されるような硬化性材料配合物を含む。
【0310】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、未硬化の組立て材料は1つまたは複数の造形用材料配合物を含み、あるいは、1つまたは複数の造形用材料配合物からなり、これらの造形用材料配合物の1つまたは複数が本実施形態のいずれか1つによる硬化性配合物である。
【0311】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、未硬化の組立て材料は、1つまたは複数の造形用材料配合物と、1つまたは複数の支持体材料配合物とを含み、支持体材料配合物の1つまたは複数が本実施形態のいずれか1つによる硬化性配合物である。
【0312】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、上記方法はさらに、分配することに続いて、組立て材料を硬化エネルギーにさらして、それにより、硬化した造形用材料と、必要な場合には硬化した支持体材料とを含む印刷物体を得ることを含む。
【0313】
未硬化の組立て材料が、本明細書中に記載されるような硬化性配合物を支持体材料配合物として含むとき、印刷物体は、硬化した造形用材料と、硬化した支持体材料とを含み、ただし、硬化した支持体材料の少なくとも一部が、本実施形態による硬化性配合物から形成される硬化物である。
【0314】
本明細書中に記載されるような硬化性配合物を利用する、三次元造形物物体を製造する上記方法はまた、製造プロセスとして、または造形物製造プロセスとして本明細書中では示される。
【0315】
本明細書中に記載される方法についての実施形態のいずれかのいくつかにおいて、本明細書中に記載される硬化性配合物は、造形用材料配合物ではなく、むしろ支持体材料配合物であり、造形用材料配合物は、付加製造(例えば、3Dインクジェット印刷など)において使用されるどのような造形用材料配合物であっても可能であり、好ましくは、支持体材料配合物が硬化可能である同じ条件のもとで硬化可能である。支持体材料配合物は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて、また、そのどのような組合せにおいてであっても本明細書中に記載される通りである。
【0316】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記作製方法は三次元造形物物体の付加製造である。
【0317】
この局面のいくつかの実施形態によれば、それぞれの層の形成が、少なくとも1つの未硬化の組立て材料を分配し、分配された組立て材料を本明細書中に記載されるような硬化エネルギーまたは硬化条件にさらして、それにより、硬化した造形用材料および任意選択的に硬化した支持体材料から構成される硬化した組立て材料を形成することによって達成される。
【0318】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、付加製造は好ましくは、三次元3Dインクジェット印刷によるものである。
【0319】
本実施形態の方法により、三次元物体が、当該物体の形状に対応する設定されたパターンで複数の層を形成することによって層状様式で製造される。
【0320】
それぞれの層が、二次元表面を走査し、パターン化する付加製造装置によって形成される。走査しながら、装置は二次元の層または表面における複数の目標位置を訪れ、それぞれの目標位置または一群の目標位置について、その目標位置または一群の目標位置が組立て材料によって占有されるべきか否か、および、どのタイプの組立て材料(例えば、造形用材料配合物または支持体材料配合物)がその目標位置に送達されるべきかを決定する。この決定が表面のコンピューター画像に従って行われる。
【0321】
AMが三次元印刷によって行われるとき、本明細書中で定義されるような未硬化の組立て材料が、組立て材料を支持用構造物の上に層で堆積させるための一組のノズルを有する分配ヘッドから分配される。したがって、AM装置は組立て材料を占有されるべき目標位置に分配し、他の目標位置を空白のままにする。この装置は典型的には、異なる組立て材料を分配するためにそれぞれが設定され得る複数の分配ヘッドを含む。したがって、異なる目標位置が、異なる組立て材料(例えば、本明細書中で定義されるような造形用配合物および/または支持配合物)によって占有され得る。
【0322】
本発明のこの局面の実施形態のいずれかのいくつかにおいて、方法は、物体の形状に対応する3D印刷データを受け取ることから始まる。このデータは、例えば、コンピューターの物体データに基づく作製命令に関するデジタルデータを、例えば、Standard Tessellation Language(STL)フォーマットもしくはStereoLithography Contour(SLC)フォーマット、Virtual Reality Modeling Language(VRML)、Additive Manufacturing File(AMF)フォーマット、Drawing Exchange Format(DXF)、Polygon File Format(PLY)、または、どのような他のフォーマットであれ、コンピューター支援設計(CAD)に好適な他のフォーマットの形式で送信するホストコンピューターから受け取ることができる。
【0323】
次に、本明細書中に記載されるような未硬化の組立て材料の液滴が、印刷データに従って、少なくとも2つの異なるマルチノズルインクジェット印刷ヘッドを使用して受け取り媒体の上に層で分配される。受け取り媒体は、三次元インクジェットシステムのトレー、または以前の堆積層であることが可能である。
【0324】
本発明のいくつかの実施形態において、分配することが、周囲環境のもとで行われる。
【0325】
必要に応じて、分配される前に、未硬化の組立て材料またはその一部(例えば、組立て材料の1つまたは複数の配合物)が分配に先立って加熱される。これらの実施形態は、比較的高い粘度を3Dインクジェット印刷システムの作業チャンバーの動作温度において有する未硬化の組立て材料配合物については特に有用である。配合物の加熱が好ましくは、それぞれの配合物を3Dインクジェット印刷システムの印刷ヘッドのノズルから噴射することを可能にする温度にまで行われる。本発明のいくつかの実施形態において、加熱は、それぞれの配合物が最大でもXセンチポアズの粘度を示す温度にまで行われ、ただし、Xは約30センチポアズであり、好ましくは約25センチポアズであり、より好ましくは約20センチポアズであり、あるいは、18センチポアズ、または16センチポイズ、または14センチポアズ、または12センチポアズ、または10センチポアズである。
【0326】
加熱は、それぞれの配合物を3D印刷システムの印刷ヘッドに装填する前に、あるいは、配合物が印刷ヘッドに存在する間に、または、組成物が印刷ヘッドのノズルを通過する間に実行することができる。
【0327】
いくつかの実施形態において、加熱が、それぞれの配合物を印刷ヘッドに装填する前に実行され、その結果、配合物による印刷ヘッドの目詰まりを、その粘度が高すぎる場合には避けるようにされる。
【0328】
いくつかの実施形態において、加熱が、印刷ヘッドを加熱することによって、少なくとも配合物が印刷ヘッドのノズルを通過している間に実行される。
【0329】
未硬化の組立て材料が3D印刷データに従って受け取り媒体の上に分配されると、方法は必要に応じて、また、好ましくは、分配された組立て材料を、硬化を達成するための条件にさらすことによって継続する。いくつかの実施形態において、分配された組立て材料は、硬化エネルギーを堆積層に加えることによって硬化エネルギーにさらされる。好ましくは、硬化が、層を堆積させた後、そして前の層を堆積させる前にそれぞれの個々の層に対して施される。
【0330】
硬化エネルギーまたは硬化条件は、例えば、使用される組立て材料に依存して、放射線、例えば、紫外線もしくは可視線、または他の電磁放射線など、あるいは電子ビーム線であることが可能である。分配された層に加えられる硬化エネルギーまたは硬化条件は、造形用材料配合物および/または支持体材料配合物を硬化させるために、または固体化させるために、または固まらせるために役立つ。好ましくは、同じ硬化エネルギーまたは硬化条件が、造形用材料および支持体材料(もし存在するなら)の両方の硬化を達成するために加えられる。あるいは、異なる硬化エネルギーまたは硬化条件が、分配された組立て材料に、造形用材料配合物および支持体材料配合物の硬化を達成するために同時に、または連続して加えられる。
【0331】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、上記方法はさらに、硬化した支持体材料を除いて、それにより、三次元造形物物体を得ることを含む。
【0332】
未硬化の組立て材料が、本明細書中に記載されるような硬化性配合物を支持体材料配合物として含むとき、本明細書中に記載されるような硬化性配合物から形成される硬化した支持体材料を除くことは、硬化した支持体材料を水または水溶液と接触させることを含む。
【0333】
いくつかの実施形態において、硬化した支持体材料を除くことは、印刷物体全体を水または水溶液と接触させることを含む。
【0334】
いくつかの実施形態において、硬化した支持体材料を除くことが、硬化した支持体材料または印刷物体全体を水または水溶液に浸けることによって行われる。
【0335】
いくつかの実施形態において、浸漬は静的浸漬であり、すなわち、水または溶液は撹拌されない。
【0336】
どのような体積の水または水溶液であっても、本明細書中に記載されるような硬化した支持体材料を除くために使用することができる。本明細書中に記載されるような硬化した支持体材料は、水に浸けられたとき、物理的に分解するので、水または溶液における硬化物の濃度は、その分解時間または分解速度に影響を及ぼさない。
【0337】
水溶液が使用される実施形態のいくつかにおいて、水溶液は実質的に中性であり、すなわち、pHが6〜8であり、または7である。
【0338】
水溶液が使用される実施形態のいくつかにおいて、水溶液はアルカリ性溶液または酸性溶液のどちらでもない(例えば、付加製造における硬化した支持体材料を溶解するために一般に使用されている溶液などではない)。
【0339】
水または水溶液と接触させることを手作業によって、または自動化された様式で行うことができる。硬化した支持体材料を除くために使用可能であるどのようなシステムまたは装置であっても意図される。
【0340】
本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、接触させることは、上でさらに記載されるように硬化された支持体材料のために適した時間期間、手で行われる。その時間は、数(例えば1〜3)分から数(例えば2〜8)時間の範囲であることができる。
【0341】
いくつかの実施形態において、接触させることが、水または水溶液を取り替えることなく(例えば、新しい使用分の水または水溶液を、硬化した支持体材料の除去が行われる装置またはシステムに導入することなく)行われる。
【0342】
物体(例えば、造形物物体)のAMに好適などのようなシステムであっても、本明細書中に記載されるような方法を実行するために使用可能である。
【0343】
本発明のいくつかの実施形態に従った物体のAMに好適なシステムの代表的かつ限定されない一例では、複数の分配ヘッドを含む分配ユニットを有する付加製造装置が含まれる。それぞれのヘッドが好ましくは、液体の(未硬化の)組立て材料が通って分配される1つまたは複数のノズルのアレイを備える。
【0344】
必須ではないが、好ましくは、AM装置は三次元インクジェット印刷装置であり、そのような場合、分配ヘッドはインクジェット印刷ヘッドであり、組立て材料がインクジェット技術により分配される。このことは、必ずしもそうである必要はない。これは、いくつかの用途については、付加製造装置が三次元印刷技術を用いることが必要でない場合があるからである。本発明の様々な例示的な実施形態により意図される付加製造装置の代表的な例には、限定されないが、結合剤ジェット粉末に基づく装置、溶融堆積造形装置および溶融材料堆積装置が含まれる。
【0345】
それぞれの分配ヘッドには、必要に応じて、また、好ましくは、温度制御ユニット(例えば、温度センサーおよび/または加熱装置)および材料レベルセンサーを必要に応じて含む場合がある1つまたは複数の組立て材料リザーバーを介して供給される。組立て材料を分配するために、電圧シグナルが、材料の液滴を、例えば、圧電インクジェット印刷技術でのように、分配ヘッドノズルを介して選択的に堆積させるために分配ヘッドに加えられる。それぞれのヘッドの吐出速度が、ノズルの数、ノズルのタイプ、および、加えられた電圧シグナル速度(周波数)に依存する。そのような分配ヘッドが、三次元自由造形物作製(solid freeform fabrication)の技術分野の当業者には知られている。
【0346】
必須ではないが、必要な場合には、分配ノズルまたは分配ノズルアレイの総数は、分配ノズルの半数が、支持体材料配合物(もし未硬化の組立て材料に含められるなら)を分配するように指定され、かつ、分配ノズルの半数が、造形用材料配合物を分配するように指定されるように、すなわち、造形用材料を噴射するノズルの数が、支持体材料を噴射するノズルの数と同じであるように選択される。しかしながら、そのことは、本発明の範囲を限定するために意図されないこと、および、造形用材料堆積ヘッド(造形用ヘッド)の数と、支持体材料堆積ヘッド(支持体ヘッド)の数とは異なり得ることが理解されなければならない。一般には、造形用ヘッドの数、支持体ヘッドの数、および、それぞれのヘッドまたはヘッドアレイにおけるノズルの数は、支持体材料の最大分配速度と造形用材料の最大分配速度との間での所定の比率aをもたらすように選択される。所定の比率aの値は好ましくは、それぞれの形成された層において、造形用材料の高さが支持体材料の高さに等しいことを保証するように選択される。aについての典型的な値が約0.6〜約1.5である。
【0347】
例えば、a=1の場合、支持体材料配合物の全体的な分配速度は一般に、すべての造形用ヘッドおよび支持体ヘッドが作動するときには造形用材料配合物の全体的な分配速度と同じである。
【0348】
好ましい実施形態において、p個のノズルからなるm個のアレイをそれぞれが有するM個の造形用ヘッドと、q個のノズルからなるs個のアレイをそれぞれが有するS個の支持体ヘッドとが、M×m×p=S×s×qであるように存在する。M×m個の造形用アレイおよびS×s個の支持体アレイのそれぞれを、アレイ群からの組立ておよび解体を行うことができる別個の物理的ユニットとして製造することができる。この実施形態において、それぞれのそのようなアレイは必要に応じて、また、好ましくは、それ自身の温度制御ユニットおよび材料レベルセンサーを備え、個々に制御された電圧をその動作のために受け取る。
【0349】
AM装置はさらに、硬化エネルギーまたは硬化条件の1つまたは複数の供給源を含むことができる硬化ユニットを含むことができる。硬化源は、使用される造形用材料配合物に依存して、例えば、放射線源(例えば、紫外線ランプまたは可視光ランプまたは赤外線ランプ、あるいは電磁放射線の他の供給源など)、または電子ビーム源であることが可能である。硬化エネルギー源は、組立て材料配合物の硬化または固体化のために役立つ。
【0350】
分配ヘッドおよび硬化エネルギー源(例えば、放射線源)は好ましくは、作業表面(受け取り媒体)として役立つトレーの上で往復運動するために好ましくは作動可能であるフレームまたはブロックに取り付けられる。本発明のいくつかの実施形態において、硬化エネルギー(例えば、放射線)源がブロックに取り付けられ、その結果、分配ヘッドが通った後で、分配ヘッドによって分配されたばかりの材料を少なくとも部分的に硬化させ、または固体化させることが続くようにされる。一般的な慣例によれば、トレーはX−Y面に配置され、好ましくは、(Z方向に沿って)垂直方向に、典型的には下方に移動するように設定される。
【0351】
本発明の様々な例示的な実施形態において、AM装置はさらに、新しく形成された層の厚さを、次の層がその上に形成される前に整え、一様にし、および/または確立するために役立つ1つまたは複数のレベリング装置(例えば、ローラー)を備える。レベリング装置は好ましくは、レベリング処理期間中に生じる過剰物を集めるための廃棄物収集装置を備える。廃棄物収集装置は、過剰物を廃棄物タンクまたは廃棄物カートリッジに送達するどのような機構であっても備え得る。
【0352】
使用時において、本明細書中に記載されるような分配ヘッドは走査方向(これは本明細書中ではX方向として示される)に動き、組立て材料を、分配ヘッドがトレーの上を通過する過程において所定の設定で選択的に分配する。組立て材料は典型的には、1つまたは複数のタイプの支持体材料配合物と、1つまたは複数のタイプの造形用材料配合物とを含む。分配ヘッドが通過した後には、造形用材料配合物および支持体材料配合物を硬化エネルギーまたは硬化条件(例えば、放射線)の供給源によって硬化させることが続く。分配ヘッドが逆方向に通過して、堆積させられたばかりの層についてのその出発点に戻る際において、組立て材料のさらなる分配が所定の設定に従って行われる場合がある。分配ヘッドの順方向通過および/または逆方向通過の際において、このように形成された層が、好ましくは、分配ヘッドの経路をその順方向および/または逆方向の動きでたどるレベリング装置によって整えられる場合がある。分配ヘッドがX方向に沿ってその出発点に戻ると、分配ヘッドは割出し方向(これは本明細書中ではY方向として示される)に沿って別の位置に移動し、同じ層をX方向に沿った往復運動によって組み立てることを続けることがある。あるいは、分配ヘッドは、順方向の動きと、逆方向の動きとの間で、または、2回以上の順方向−逆方向の動きの後で、Y方向に移動する場合がある。ただ1つの層を完成させるために分配ヘッドによって行われる一連の走査が、本明細書中では1回の走査サイクルとして示される。
【0353】
層が完成すると、トレーは、続いて印刷されることになる層の所望の厚さに従って、所定のZレベルにまでZ方向に下げられる。この手順が、造形用材料と支持体材料とを層状様式で含む三次元物体を形成するために繰り返される。
【0354】
いくつかの実施形態において、トレーが、層内において、分配ヘッドの順方向通過および逆方向通過の間にZ方向に移される場合がある。そのようなZ移動が、レベリング装置が一方向で表面と接触することを生じさせ、逆方向で接触することを防止するために行われる。
【0355】
本明細書中に記載されるような方法を実施するためのシステムは必要に応じて、また、好ましくは、組立て材料容器または組立て材料カートリッジを備え、かつ、複数の組立て材料配合物(本明細書中に記載されるような造形用材料配合物および/または支持体材料配合物)を作製装置に供給する組立て材料供給装置を備える。
【0356】
システムはさらに、作製装置を制御する制御ユニットと、必要に応じて、また、好ましくは同様に、本明細書中に記載されるような供給装置とを備える場合がある。制御ユニットは好ましくは、Standard Tessellation Language(STL)フォーマット、または、どのようなフォーマットであれ、他のフォーマット(例えば、限定されないが、上述のフォーマットなど)の形式でコンピューター可読媒体(好ましくは、非一時的な媒体)に記憶される、コンピューターの物体データに基づく作製命令に関するデジタルデータを送信するデータプロセッサーと通信する。典型的には、制御ユニットは、それぞれの分配ヘッドまたは分配ノズルアレイに加えられる電圧と、それぞれの印刷ヘッドにおける組立て材料の温度とを制御する。
【0357】
製造データが制御ユニットにロードされると、制御ユニットは、使用者の介入を伴うことなく作動することができる。いくつかの実施形態において、制御ユニットは、例えば、データプロセッサーを使用して、または、制御ユニットと通信するユーザーインタフェースを使用して、操作者からのさらなる入力を受け取る。ユーザーインタフェースは、この技術分野で知られているどのようなタイプのものであっても可能である(例えば、限定されないが、キーボードおよびタッチスクリーンなど)。例えば、制御ユニットは、さらなる入力として、1つまたは複数の組立て材料タイプおよび/または組立て材料属性、例えば、限定されないが、色、特性ひずみおよび/または転移温度、粘度、電気的性質、磁気的性質などを受け取ることができる。他の属性および属性群もまた意図される。
【0358】
いくつかの実施形態では、異なる材料を異なる分配ヘッドから分配することによって物体を作製することが意図される。これらの実施形態は、とりわけ、材料を所与の数の材料から選択し、選択された材料とそれらの性質との所望の組合せを規定することを可能にする。本実施形態によれば、層に関してそれぞれの材料の堆積の空間位置が、異なる材料による異なる三次元空間位置の占有を達成するために、あるいは、2つ以上の異なる材料による実質的に同じ三次元位置または隣接する三次元位置の占有を達成し、その結果、層内における材料の堆積後の空間的結合を可能にするようにし、それにより、複合材料をそれぞれの位置において形成するためにそのどちらであっても規定される。
【0359】
造形用材料のどのような堆積後結合または堆積後混合であっても意図される。例えば、ある特定の材料が分配されると、当該材料はその元々の性質を保つ場合がある。しかしながら、この材料が、同じ位置または近くの位置において分配される別の造形用材料または他の分配された材料と同時に分配されるとき、分配された材料に対して異なる性質を有する複合材料が形成される。
【0360】
したがって、本実施形態は広範囲の材料組合せ物の堆積を可能にし、また、物体の異なる部分が、物体のそれぞれの部分を特徴づけるために望まれる性質に従って、材料の多数の異なる組合せからなり得る物体の作製を可能にする。
【0361】
本明細書中に記載されるようなAMシステムの原理および動作に関するさらなる詳細が、公開番号が2013/0073068号である米国特許出願に見出される(その内容は本明細書により参照によって組み込まれる)。
【0362】
本明細書中に記載される方法およびシステムのそれぞれのいくつかの実施形態によれば、未硬化の組立て材料は、本明細書中に記載されるような少なくとも1つの支持体材料配合物を含む。
【0363】
造形物物体:
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、その実施形態のいずれかにおいて、また、そのどのような組合せにおいてであっても、本明細書中に記載されるような方法によって調製される三次元造形物物体が提供される。
【0364】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、本明細書中に記載されるようなAM方法によって作製される3D造形物物体が提供される。
【0365】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、本明細書中で定義される通りであるが、水崩壊性である、または少なくとも1つの水崩壊性部分を含む三次元造形物物体が提供される。
【0366】
いくつかの実施形態において、そのような造形物物体が、本明細書中に記載されるような方法によって、それぞれの実施形態のいずれか1つで製造され、ただし、造形物物体を形成するために使用される少なくとも1つの造形用材料配合物が、本明細書中に記載されるような硬化性配合物である。
【0367】
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を示す。
【0368】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0369】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0370】
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
【0371】
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0372】
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
【0373】
本明細書中で使用される用語「方法(methodまたはprocess)」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これには、例えば化学、機械およびコンピューターの技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学、機械およびコンピューターの技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、それらに限定されない。
【0374】
本明細書中全体を通して、用語「水混和性(の)」は、少なくとも一部が水に溶解可能である、または分散可能である(すなわち、分子の少なくとも50%が混合時に水中に移動する)物質を記載する。この用語は用語「水溶性(の)」および用語「水分散性(の)」を包含する。
【0375】
本明細書中全体を通して、用語「水溶性(の)」は、等しい体積または重量での水と混合されたとき、均一な溶液が形成される物質を記載する。
【0376】
本明細書中全体を通して、用語「水分散性(の)」は、等しい体積または重量での水と混合されたとき、均一な分散物を形成する物質を記載する。
【0377】
本明細書中において全体を通して、表現「連結部分」または表現「連結基」は、化合物中において2つ以上の部分または基をつなぐ基を表す。連結部分は、二官能性または三官能性の化合物に典型的には由来し、2つまたは3つの他の部分にその2つまたは3つの原子を介してそれぞれつながれる二価基部分または三価基部分と見なすことができる。
【0378】
三官能性である、またはより大きい官能性である連結部分は、分岐点から伸びる3つ以上の腕を特徴とする分岐した部分または分岐する部分であることが可能である。
【0379】
例示的な連結部分には、本明細書中で定義されるように、1つまたは複数のヘテロ原子によって場合により中断される直線状または枝分かれした炭化水素部分もしくは炭化水素鎖、および/または、連結基として定義されるときには下記で列挙される化学基のいずれかが含まれる。
【0380】
化学基が本明細書中で「末端基」と呼ばれるとき、当該化学基は、別の基にその1つの原子を介してつながれる置換基として解釈されなければならない。
【0381】
本明細書で使用される用語「アミン」は、−NRxRy基および−NRx−基の両方を記載し、ここでRxおよびRyはそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、これらの用語は本明細書中下記で定義される。
【0382】
従って、アミン基は、第一級アミン(ここでRxおよびRyの両方は水素である)、または第二級アミン(ここでRxは水素でありかつRyはアルキル、シクロアルキル、もしくはアリールである)、または第三級アミン(ここでRxおよびRyはそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキルもしくはアリールである)であり得る。
【0383】
代替的に、RxおよびRyはそれぞれ独立してヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボニル、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。
【0384】
用語「アミン」は、当該アミンが末端基である場合には、本明細書中下記で定義されるように、−NRxRy基を表すために本明細書中では使用され、また、当該アミンが連結基または連結部分の一部である場合には−NRx−基を表すために本明細書中では使用される。
【0385】
アミン末端基は、第一級アミン(この場合、RxおよびRyの両方が水素である)、または第二級(この場合、RxおよびRyの一方が水素以外(例えば、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアルケニルなど)である)、または第三級(この場合、RxおよびRyのそれぞれが水素以外である)であることが可能である。
【0386】
アミン連結基は第二級アミン(この場合、Rxは水素である)であり、また、第三級アミン(この場合、Rxは水素以外である)である。
【0387】
用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む飽和した脂肪族炭化水素を記載する。好ましくは、アルキル基は1個〜20個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば「1個〜20個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの20個までの炭素原子を含むということを意味する。さらに好ましくは、アルキル基は、1個〜10個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルである。最も好ましくは、他に示さない限り、アルキル基は、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルキルである(C(1−4)アルキル)。アルキル基は、置換または非置換であり得る。置換されたアルキルは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。
【0388】
アルキル基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であり得る。アルキルが連結基であるとき、それはまた、「アルキレン」または「アルキレン鎖」として本明細書中に言及される。
【0389】
本明細書中で使用されるアルケンおよびアルキンは、一つ以上の二重結合または三重結合をそれぞれ含む、本明細書中で定義されるアルキルである。
【0390】
用語「シクロアルキル」基は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有しない、すべて炭素からなる単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。例示は、限定されないが、シクロヘキサン、アダマチン、ノルボルニル、イソボルニル、及びその類似物を含む。シクロアルキル基は、置換または非置換であり得る。置換されたシクロアルキルは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。シクロアルキル基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であり得る。
【0391】
用語「複素脂環」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有する単環基または縮合環基を記載する。環はまた、1つまたは複数の二重結合を有することができる。しかしながら、環は完全共役のπ電子系を有しない。代表的な例はピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリノおよびその類似物である。複素脂環基は、置換または非置換であり得る。置換された複素脂環は一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。複素脂環基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であり得る。
【0392】
用語「アリール」基は、完全共役のπ電子系を有する、すべて炭素からなる単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。アリール基は、置換または非置換であり得る。置換されたアリールは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。アリール基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であり得る。
【0393】
用語「ヘテロアリール」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有し、さらには完全共役のπ電子系を有する単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンおよびプリンが含まれる。ヘテロアリール基は、置換または非置換であり得る。置換されたヘテロアリールは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。ヘテロアリール基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であり得る。代表的な例はピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンおよびその類似物である。
【0394】
用語「ハリド」および「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、または沃素を記載する。
【0395】
用語「ハロアルキル」は、1つまたは複数のハリドによってさらに置換された、上記で定義されるアルキル基を記載する。
【0396】
用語「スルファート」は、−O−S(=O)
2−ORx末端基または−O−S(=O)
2−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0397】
用語「チオスルファート」は、−O−S(=S)(=O)−ORx末端基または−O−S(=S)(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0398】
用語「スルファイト」は、−O−S(=O)−O−Rx末端基または−O−S(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rx′は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0399】
用語「チオスルファイト」は、−O−S(=S)−O−Rx末端基または−O−S(=S)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0400】
用語「スルフィナート」は、−S(=O)−ORx末端基または−S(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0401】
用語「スルホキシド」または「スルフィニル」は、−S(=O)Rx末端基または−S(=O)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0402】
用語「スルホネート」は、−S(=O)
2−Rx末端基または−S(=O)
2−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0403】
用語「S−スルホンアミド」は、−S(=O)
2−NRxRy末端基または−S(=O)
2−NRx−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RxおよびRyは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0404】
用語「N−スルホンアミド」は、RxS(=O)
2−NRy末端基または−S(=O)
2−NRx−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RxおよびRyは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0405】
用語「ジスルフィド」は、−S−SRx末端基またはS−S−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0406】
用語「ホスホナート」は、本明細書中で定義されるようなRxおよびRyを有する−P(=O)(ORx)(ORy)末端基または−P(=O)(ORx)(O)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
【0407】
用語「チオホスホナート」は、本明細書中で定義されるようなRxおよびRyを有する−P(=S)(ORx)(ORy)末端基または−P(=S)(ORx)(O)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
【0408】
用語「ホスフィニル」は、本明細書中上記で定義されるようなRxおよびRyを有する−PRxRy末端基または−PRx−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
【0409】
用語「ホスフィンオキシド」は、本明細書中で定義されるようなRxおよびRyを有する−P(=O)(Rx)(Ry)末端基または−P(=O)(Rx)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
【0410】
用語「ホスフィンスルフィド」は、本明細書中で定義されるようなRxおよびRyを有する−P(=S)(Rx)(Ry)末端基または−P(=S)(Rx)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
【0411】
用語「ホスファイト」は、本明細書中で定義されるようなRxおよびRyを有する−O−PRx(=O)(ORy)末端基または−O−PRx(=O)(O)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
【0412】
用語「カルボニル」または用語「カルボネート」は、本明細書中で使用される場合、本明細書中で定義されるようなRxを有する−C(=O)−Rx末端基または−C(=O)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
【0413】
用語「チオカルボニル」は、本明細書中で使用される場合、本明細書中で定義されるようなRxを有する−C(=S)−Rx末端基または−C(=S)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
【0414】
用語「オキソ」は、本明細書中で使用される場合、(=O)基を表し、この場合、酸素原子が、示された位置における原子(例えば、炭素原子)に二重結合によって連結される。
【0415】
用語「チオオキソ」は、本明細書中で使用される場合、(=S)基を表し、この場合、イオウ原子が、示された位置における原子(例えば、炭素原子)に二重結合によって連結される。
【0416】
用語「オキシム」は、=N−OH末端基または=N−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0417】
用語「ヒドロキシル」は、−OH基を記載する。
【0418】
用語「アルコキシ」は、本明細書中で定義される通り−O−アルキル基および−O−シクロアルキル基の両方を記載する。
【0419】
用語「アリールオキシ」は、本明細書中で定義される通り−O−アリール基および−O−ヘテロアリール基の両方を記載する。
【0420】
用語「チオヒドロキシ」は、−SH基を記載する。
【0421】
用語「チオアルコキシ」は、本明細書中で定義される通り−S−アルキル基および−S−シクロアルキル基の両方を記載する。
【0422】
用語「チオアリールオキシ」は、本明細書中で定義される通り−S−アリール基および−S−ヘテロアリール基の両方を記載する。
【0423】
「ヒドロキシアルキル」は、本明細書中で「アルコール」としても言及され、ヒドロキシ基によって置換される、本明細書中で定義されるアルキルを記載する。いくつかの実施形態において、アルキルは、その取り付け点に関して遠位でヒドロキシによって置換される。
【0424】
用語「シアノ」は、−C≡N基を記載する。
【0425】
用語「イソシアネート」は、−N=C=O基を記載する。
【0426】
用語「イソチオシアネート」は、−N=C=S基を記載する。
【0427】
用語「ニトロ」は、−NO
2基を記載する。
【0428】
用語「アシルハリド」は、−(C=O)Rz基(式中、Rzは本明細書中上記で定義される通りハリドである)を記載する。
【0429】
用語「アゾ」または「ジアゾ」は、−N=NRx末端基または−N=N−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0430】
用語「パーオキソ」は、−O−ORx末端基または−O−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0431】
用語「カルボキシレート」は、本明細書中で使用される場合、C−カルボキシレートおよびO−カルボキシレートを包含する。
【0432】
用語「C−カルボキシレート」は、−C(=O)−ORx末端基または−C(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0433】
用語「O−カルボキシレート」は、−OC(=O)Rx末端基または−OC(=O)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0434】
カルボキシレートは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、Rxと炭素原子とが一緒に連結されて、C−カルボキシレートで環を形成し、この基はまた、ラクトンとして示される。あるいは、RxとOとが一緒に連結されて、O−カルボキシレートで環を形成する。環状カルボキシレートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
【0435】
用語「チオカルボキシレート」は、本明細書中で使用される場合、C−チオカルボキシレートおよびO−チオカルボキシレートを包含する。
【0436】
用語「C−チオカルボキシレート」は、−C(=S)ORx末端基または−C(=S)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0437】
用語「O−チオカルボキシレート」は、−OC(=S)Rx末端基または−OC(=S)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rxは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0438】
チオカルボキシレートは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、Rxと炭素原子とが一緒に連結されて、C−チオカルボキシレートで環を形成し、この基はまた、チオラクトンとして示される。あるいは、RxとOとが一緒に連結されて、O−チオカルボキシレートで環を形成する。環状チオカルボキシレートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
【0439】
用語「カーバメート」は、本明細書中で使用される場合、N−カーバメートおよびO−カーバメートを包含する。
【0440】
用語「N−カーバメート」は、RyOC(=O)−NRx−末端基または−OC(=O)−NRx−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RxおよびRyは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0441】
用語「O−カーバメート」は、−OC(=O)−NRxRy末端基または−OC(=O)−NRx−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RxおよびRyは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0442】
カーバメートは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、Rxと炭素原子とが一緒に連結されて、O−カーバメートで環を形成する。あるいは、RxとOとが一緒に連結されて、N−カーバメートで環を形成する。環状カーバメートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
【0443】
用語「カーバメート」は、本明細書中で使用される場合、N−カーバメートおよびO−カーバメートを包含する。
【0444】
用語「チオカーバメート」は、本明細書中で使用される場合、N−チオカーバメートおよびO−チオカーバメートを包含する。
【0445】
用語「O−チオカーバメート」は、−OC(=S)−NRxRy末端基または−OC(=S)−NRx−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RxおよびRyは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0446】
用語「N−チオカーバメート」は、RyOC(=S)NRx−末端基または−OC(=S)NRx−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RxおよびRyは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0447】
チオカーバメートは、カーバメートについて本明細書中に記載したように、直鎖または環状であることが可能である。
【0448】
用語「ジチオカーバメート」は、本明細書中で使用される場合、S−ジチオカーバメートおよびO−チオジチオカーバメートを包含する。
【0449】
用語「S−ジチオカーバメート」は、−SC(=S)−NRxRy末端基または−SC(=S)NRx−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RxおよびRyは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0450】
用語「N−ジチオカーバメート」は、RySC(=S)NRx−末端基または−SC(=S)NRx−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RxおよびRyは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0451】
用語「尿素」(「ウレイド」とも称される)は、−NRxC(=O)−NRyRq末端基または−NRxC(=O)−NRy−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RzおよびRyは本明細書中上記で定義される通りであり、RqはRxおよびRyについて本明細書中で定義される通りである)を記載する。
【0452】
用語「チオ尿素」(「チオウレイド」とも称される)は、−NRxC(=S)−NRyRq末端基または−NRx−C(=S)−NRy−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rx,RyおよびRqは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0453】
用語「アミド」は、本明細書中で使用される場合、C−アミドおよびN−アミドを包含する。
【0454】
用語「C−アミド」は、−C(=O)−NRxRy末端基または−C(=O)−NRx−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RxおよびRyは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0455】
用語「N−アミド」は、RxC(=O)−NRy−末端基またはRxC(=O)−N−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RxおよびRyは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0456】
アミドは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、Rxと炭素原子とが一緒に連結されて、C−アミドで環を形成し、この基はまた、ラクタムとして示される。環状アミドは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
【0457】
用語「グアニル」は、RxRyNC(=N)−末端基または−RxNC(=N)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、RxおよびRyは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0458】
用語「グアニジン」は、−RxNC(=N)−NRyRq末端基または−RxNC(=N)−NRy−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rx,RyおよびRqは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0459】
用語「ヒドラジン」は、−NRx−NRyRq末端基または−NRx−NRy−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、Rx,RyおよびRqは本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
【0460】
本明細書中で使用される場合、用語「ヒドラジド」は、Rx、RyおよびRqが本明細書中で定義される通りである−C(=O)−NRx−NRyRq末端基または−C(=O)−NRx−NRy−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
【0461】
本明細書中で使用される場合、用語「チオヒドラジド」は、Rx、RyおよびRqが本明細書中で定義される通りである−C(=S)−NRx−NRyRq末端基または−C(=S)−NRx−NRy−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
【0462】
本明細書中において、用語「炭化水素」は、主に水素原子によって置換される炭素原子の鎖(これはまた、本明細書中では骨格鎖として示される)をその基本骨格として含む有機部分を記載する。炭化水素は、飽和型または不飽和型、直鎖型または分岐型であることが可能であり、また、脂肪族部分、脂環式部分および/または芳香族部分から構成されることが可能であり、また、必要に応じて、(水素以外の)1つまたは複数の置換基によって置換されることが可能である。
【0463】
炭化水素部分は必要に応じて、限定されないが、1つまたは複数の酸素原子、窒素原子(これは、−NR
1−について、またはアミン連結基について本明細書中で定義されるように置換される、または非置換である)および/またはイオウ原子を含めて、1つまたは複数のヘテロ原子によって中断され得る。
【0464】
炭化水素部分における炭素原子の数は2個〜20個の範囲が可能であり、好ましくはそれよりも少なく、例えば、1個〜10個の範囲であり、または1個〜6個の範囲であり、または1個〜4個の範囲である。炭化水素は連結基または末端基であることが可能である。
【0465】
炭化水素に関連して本明細書中に記載される実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、炭化水素は、どのようなヘテロ原子であれヘテロ原子によって中断されず、また、ヘテロ原子をその骨格鎖に含まず、また、アルキレン鎖であることが可能であり、あるいは、本明細書中で定義されるように、どのような順序であっても互いに共有結合により結合するアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、アルケンおよび/またはアルキンから構成されることが可能である。
【0466】
これらの実施形態のいくつかにおいて、炭化水素はアルキレン鎖である。
【0467】
用語「アルキレン」は、この用語が本明細書中で定義されるように、飽和脂肪族炭化水素基を記載する。この用語はまた、本明細書中では「アルキル」として示される。
【0468】
アルキレンは、アルキルについて本明細書中で定義されるように置換され得るか、または非置換であり得る。
【0469】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような炭化水素が1つまたは複数のヘテロ原子によって中断されるとき、該炭化水素は、1つまたは複数のアルキレングリコール基(単位)を含むことができる。
【0470】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキレングリコール」は−[(CRxRy)
z−O]
y−Rq末端基または−[(CRxRy)
z−O]
y−連結基を表し、ただし、式中、Rx、RyおよびRqは本明細書中で定義される通りであり、zは1〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数であり、より好ましくは2または3の整数であり、yは1またはそれ以上の整数である。好ましくは、RxおよびRyはともに水素である。zが2であり、かつ、yが1であるとき、この基はエチレングリコールである。zが3であり、かつ、yが1であるとき、この基はプロピレングリコールである。
【0471】
yが4よりも大きいとき、このアルキレングリコールは本明細書中ではポリ(アルキレングリコール)として示される。本発明のいくつかの実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)基またはポリ(アルキレングリコール)部分は、zが1〜20であるように、好ましくは1〜10であるように、より好ましくは1〜8であるように、または上でさらに規定したように1個〜20個の繰り返しアルキレングリコールユニットを有することができる。
【0472】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような炭化水素部分はポリ(アルキレングリコール)部分である。
【0473】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0474】
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0475】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0476】
実施例1
例示的な一官能性硬化性材料および多官能性硬化性材料
下記の表1には、試験された配合物を形成するために使用された例示的な親水性の一官能性硬化性材料が示される。
【0477】
【0478】
下記の表2には、試験された配合物を形成するために使用された例示的な多官能性硬化性材料が示される。
【0479】
【0480】
実施例2
崩壊性の測定
手順I(金型):
下記の表3に示されるように1つまたは複数の一官能性硬化性材料と、1つまたは複数の多官能性硬化性材料と、必要に応じて1つまたは複数の非硬化性成分との様々な組合せを含む配合物を、すべての成分を本明細書中に記載されるように光開始剤および必要に応じて他の添加剤の存在下、室温で混合し、必要に応じて、均一性を達成するために、また、脱気するためにオーブンにおいて50℃〜85℃で加熱することによって調製した。配合物を矩形形状の金型(63mm(x)×12.7mm(y)×3.2mm(z)の大きさ(約3gの各配合物))に入れ、約120分の期間にわたってUV照射に供した。その後、得られた硬化物を、撹拌を行うことなく、室温の水道水(100mL)に浸け、t=0(水におけるサンプルの浸漬)から、すべての硬化物が崩れる時点までの間の期間(これは、本明細書中に記載されるようなクリーニング時間に等しい)を記録した。
【0481】
手順II(3D印刷物体):
下記の表4に示されるように1つまたは複数の一官能性硬化性材料と、1つまたは複数の多官能性硬化性材料と、必要に応じて1つまたは複数の非硬化性成分との様々な組合せ、本明細書中に記載されるように光開始剤および必要に応じて他の添加剤を含む配合物を、すべての成分を室温で混合し、必要に応じて混合物をオーブンにおいて50℃〜85℃で加熱することによって調製した。得られた配合物を使用して、50mmのサイズのフクロウを、例えば、造形物材料としてのCeroClearと、50mm×23mm×25.8mmの境界ボックスサイズ(約15グラム)の支持体材料とを使用して、Connex500/Objet3Connexシステムで、
図2Aに例示されるように無光沢で印刷した。その後、印刷された物体を、水道水が満たされる3Lのガラス容器に浸け、クリーニング時間を記録した。クリーニング時間が、t=0(水における印刷物体の浸漬)から、反応が終点に達するまで(硬化した支持体材料がフクロウの表面から完全に除かれるまで)測定される。
図2Aには、クリーニングしたときのフクロウ物体が示される。
【0482】
比較のために、参照用の支持体配合物(これは、本明細書中に記載される硬化性材料とは異なる硬化性材料から作製される)を使用して、本明細書中上記の手順に従って、同じフクロウ物体を印刷し、クリーニング時間を測定した。
【0483】
結果:
金型実験で得られるデータは、ほぼすべての試験された配合物が、水における静的浸漬のとき、2時間未満で小片に粉々に崩れることによって分解することを明瞭に示す。
【0484】
3D印刷実験で得られるデータが下記の表3に示される。これらのデータはさらに、水に浸けられたときの本明細書中に記載される配合物の効率的な分解を裏付けている。
【0485】
図2Bには、下記の表4および表5にそれぞれ示される通りではあるが、2つの参照用配合物(これらは、1型および2型の支持体参照用配合物として表示される)と、本発明の例示的な実施形態による2つの配合物との比較データが示される。
【0486】
【0487】
【0488】
I型配合物は、例示的な一官能性硬化性材料として、正荷電のモノアクリラートを含み、II型配合物は、例示的な一官能性モノマーとして、アルコキシ末端のアルキレングリコールメタクリラートを含む。
図2Bに示されるように、本明細書中に記載される配合物は他の支持体配合物に取って代わる。
【0489】
【0490】
実施例3
水吸収の測定
本明細書中に記載されるような一官能性硬化性材料および多官能性硬化性材料の様々な組合せを含有する配合物(例えば、本明細書中の表1および表2を参照のこと)から作製されるサンプルを本明細書中上記の実施例2に記載されるような金型で、矩形の平押し金型(40×40mm、および3〜5mmの厚さ)を使用して調製した。
【0491】
硬化サンプルを48時間〜72時間の期間、水(100ml)に浸けた。サンプルが粒子に崩れ、下記の測定を粒子に対して行った。
【0492】
12ミクロンの細孔サイズのフィルターディスク(MUNKTELL、グレード1289)を使用して、崩れたときに得られる粒子を水から集め、そして、粒子間の水を確実に除くために、ブフナー漏斗を伴う真空ポンプを使用した。
【0493】
粒子を校正済みの分析天秤で重量測定し、その後、周囲条件のもとで96時間放置して乾燥させた。
【0494】
その後、得られた乾燥粒子を校正済みの分析天秤で重量測定した。
【0495】
水吸収率を、(i)水に浸けたとき、および、(ii)水に浸け、乾燥したときのサンプルの初期重量と比較される重量%差として定義した。
【0496】
AM−130GおよびSR−399の様々な配合物(それぞれが、本明細書中上記で記載されるように理論的に計算される異なる架橋度(DOC)を有する)について得られるデータが下記の表6に示される。
【0497】
非反応性(非硬化性)材料を含有する配合物から得られる硬化物は、非反応性成分の溶出のために、水に浸けた後では重量を失うことには留意される。
【0498】
【0499】
実施例4
粒子サイズの測定
サンプルが、本明細書中上記の実施例3に記載されるように金型で調製され、または、本明細書中上記の実施例2に記載されるように3Dインクジェット印刷によって調製される。
【0500】
得られたサンプルを48時間〜96時間の期間、100mlの水に浸けた。
【0501】
12ミクロンの細孔サイズのフィルターディスク(MUNKTELL、グレード1289)を使用して、崩れたときに得られる粒子を水から集め、少なくとも72時間の期間にわたって周囲条件のもとで放置して乾燥させた。その後、粒子を校正済みの分析天秤で重量測定した。
【0502】
粒子サイズ測定のために、5つの異なるメッシュサイズを単回試験において使用し、これらは4mmのメッシュサイズから250ミクロンまで配置された(4−2−1−0.5−0.25)。
【0503】
粒子を最大メッシュ網の全体に分散させ、メッシュカラムを振とうして、目詰まりに起因する粒子の沈降を回避した。粒子を、布/アルミニウム箔の中に裏返すことによってそれぞれのメッシュ網から集め、重量測定した。その後、それぞれの重量分画を総重量によって除した。
【0504】
いくらかの変動が測定期間中の重量喪失および/または混入のために生じたことには留意される。
【0505】
得られたデータが、様々な架橋度に関しての、AG−130GとSR368とから作製される印刷サンプル(
図3A)、AG−130GとSR355とから作製される印刷サンプル(
図3B)、および、AG−130GとSR399とから作製される印刷サンプル(
図3C)について
図3A〜
図3Cに示され、AG−130GとSR399との金型調製物(
図4A)、および、DMAPAA−QとSR444Dとの金型調製物(
図4B)について
図4A〜
図4Bに示される。
【0506】
下記の表7には、それぞれの成分の重量パーセント(mMoは一官能性硬化性材料の略であり、mCLは多官能性硬化性材料の略である)、両者間のモル比(nMo/CL)、およびそれぞれのDOCが示される。
【0507】
【0508】
示されるように、架橋度が10%超または20%超である場合、例えば、40%〜約70%である場合、ほとんどの粒子が4mm未満のサイズを有し、粒子の50%超が2mm以下のサイズを有する。
【0509】
これらのデータはさらに、一官能性硬化性材料および多官能性硬化性材料の組合せ、ならびに両者間のモル比を選択することによって、架橋度が決定され得ることを示す。架橋度により、粒子サイズ分布が決定され、その結果、DOCに影響を与えるパラメーターを操作することによって、硬化物が崩れたときに得られる粒子サイズ分布が事前に決定され得るようになった。
【0510】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0511】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。