(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイルハウジングの前記内部容積部は、径方向外側の容積部と径方向内側の容積部とを含み、前記径方向外側の容積部は、前記最初の段部の径方向外側に位置し、前記径方向内側の容積部は、前記ベアリングと重複する、請求項1に記載の粘性クラッチ。
前記コイルハウジングの前記径方向外側の容積部及び前記径方向内側の容積部は、互いに隣接しかつ開口されており、前記巻線の前記巻回は、前記径方向外側の容積部及び前記径方向内側の容積部の両方に延在する、請求項2に記載の粘性クラッチ。
前記ベアリングは、外側レースと当該外側レースと係合する転動体とを含み、前記コイルハウジングの前記内部容積部内の前記巻線の前記巻回は、前記転動体を軸方向及び径方向の両方で少なくとも部分的に覆う、請求項1に記載の粘性クラッチ。
前記バルブは、中央開口部及びストッパ開口部を有する環状本体を含む電機子を含み、前記粘性クラッチは、前記電機子が前記電磁コイルの励磁によって作動されるとき、前記電機子の前記環状本体のストッパ開口部と整列し、その中に突き出るように配置された電機子ストッパを更に含む、請求項1に記載の粘性クラッチ。
前記バルブは、径方向に延びる切欠きと、隣接する軸方向凹部と、を有する環状本体を有する電機子を含み、前記バルブは、前記電機子を前記入力部材に可撓的に取り付けるリーフスプリングを含み、前記リーフスプリングは、前記径方向に延びる切欠き及び前記軸方向凹部内に完全に収容される、請求項1に記載の粘性クラッチ。
前記内部容積部の前記第1の部分及び前記第2の部分は、互いに隣接しかつ開口し、前記巻線の前記巻回は、前記第1の部分及び前記第2の部分の両方に渡って延在する、請求項18に記載の電磁コイルアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般に、本発明は、ファンクラッチとして使用することに適する、クラッチのエンジン側に電磁コイルを備えた電子制御粘性クラッチを提供する。当該クラッチは、関連するベアリングシステム、例えば、クラッチにトルク出力を提供するウォーターポンプ用のベアリングシステムが支持するオーバーハングの荷重を低減するために、極めて狭い、すなわち、軸方向長さが短いものである。相対的に短い軸方向長さを有するクラッチは、相対的に小さい質量を有するコンパクトなクラッチ設計を推進することができ、オーバーハング荷重を容易に低減することができることが見出された。
【0018】
添付の図面を含む本開示の全体を見ると、本発明は多くの特徴及び利点を有することが認識されるが、このクラッチの多くの特徴は軸方向長さを最小化するのに寄与しており、これらの特徴には、階段状電磁コイル、入力ロータディスクを貫通して電磁コイルとロータディスクとの間に配置されたバルブ、電機子を作動させる磁束回路、及びクラッチのハウジング全体を貫通するシャフトが含まれる。
【0019】
図1は粘性クラッチ20の一実施形態の斜視図であり、
図2は
図1の線分2−2に沿った粘性クラッチ20の断面図である。
図1及び
図2に示すように、粘性クラッチ20は、シャフト22と、ハウジング24と、ロータ26と、リザーバ28と、作動チャンバ30と、バルブ32と、電磁コイル34とを備えている。粘性クラッチ20の回転軸を規定する軸Aが図示されている。
【0020】
図示の実施形態は、単に一例として開示されているに過ぎず、これに限定するものではなく、多数の代替の実施形態が可能であり、そのいくつかの特徴が以下の本文で説明される。
【0021】
シャフト22は、粘性クラッチ20の中心に位置し、ハウジング24を含む粘性クラッチ20の軸方向全長にわたって延伸している。シャフト22は、粘性クラッチ20全体の一次構造支持体として機能することができ、すなわち、粘性クラッチ20の質量は、主としてシャフト22によって支持され得る。図示の実施形態では、粘性クラッチ20の質量は、本質的にシャフト22によって担持される。
【0022】
図1の実施形態に示すように、シャフト22は、第1端部又は駆動端22D(後端とも呼ばれる)において第1の係合機構22−1と、反対の第2端部又は前端(又は駆動される)端部22Fにおいて第2の係合機構22−2とを含む。シャフト22は、更に、駆動端22Dにおいてより大きな直径を有し、前端部22Fにおいてより小さな直径へと漸進的に減少する階段状の構成を有することができる。図示の実施形態のシャフト22は、「活軸」すなわち被駆動入力シャフトであり、これは、シャフト22が粘性クラッチ20へのトルク入力を受け取り、トルク入力が存在するときはいつでも回転することを意味する。次いで、シャフト22は、トルク入力をクラッチの他の構成要素に分配する。
【0023】
第1の係合機構22−1は、トルク入力を提供する外部原動機(図示せず)、例えば、エンジン駆動シャフト又はウォーターポンプのシャフト、との係合を可能にする。一実施形態では、第1の係合機構22−1は、内部(雌)ねじ山として構成されるが、代替の実施形態では、他の係合機構、例えば、ボルト結合のためのフランジ、シーブ/プーリなど、を使用することができる。内部の第1の係合機構22−1の外側は、小さな軸方向ストッパ22−3及び円筒形の外面22−4とすることができる。
【0024】
第2の係合機構22−2は、適切な工具がシャフト22と係合して、粘性クラッチ20全体を原動機に取り付けたり、原動機から取り外したりすることを可能にする。例えば、第2の係合機構22−2は、アレンヘッドソケット、又は他の適切なタイプのソケット(例えば、Reynolds、Torx(登録商標)など)であり得る。第2の係合機構22−2を内部係合構造、すなわち雌構造として構成することは、粘性クラッチ20の軸方向の全長を短くするのに役立つが、以下で更に説明するように、他の実施形態では他の構成も可能である。
【0025】
シャフト22の前端部22Fにおける第2の係合機構22−2があることは、駆動端22D、又はその近傍におけるフランジ又は六角形工具受け入れ機能(すなわち、レンチフラット)などの外部の係合機構の必要性を無くすることができ、シャフト22の駆動端22Dが原動機の被駆動構成要素に単独で内部係合することを可能にする。シャフト22の駆動端22Dにおけるこのような内部係合は、粘性クラッチ20の径方向寸法の有意な増加なしに粘性クラッチ20の全軸方向長さを短くすることを可能とする。
【0026】
軸方向クラッチ長さの短縮が可能となる理由の一つは、シャフト22が第1の内部係合機構22−1を有しており、電磁コイル34のような周辺構成要素がシャフト22の駆動端部22Dと広範囲に重なり合うことが許容されるからであり、これを外部係合機構とした場合にはツールのアクセスを維持する必要性のためこの重なり合いの許容度合いは小さくなってしまう。更に、粘性クラッチ20に固定されるファンブレードが、エンジン室の範囲内における駆動端22Dへの接続を制限するファンクラッチ用途などの多くの用途において、一般的には、駆動端22Dよりもシャフトの前端部22Fの方が便利にアクセス可能であろう。
【0027】
ハウジング24は、互いに回転しないように固定された基体24−1及びカバー24−2を含む。ハウジング24は、粘性クラッチ20の作動状態によって、シャフト22に対してハウジング24が選択的に回転することが可能、すなわち、シャフト22の回転速度の約0%〜約100%となるように配分される。この点に関して、シャフト22(及びロータ26)が粘性クラッチ20へのトルク入力を受け取るとき、ハウジング24は、粘性クラッチ20の出力(又は出力部材)として機能し得る。冷却フィン24−3は、周囲空気への熱放散が容易となるように、ハウジング24の外面、すなわち、基体24−1及び/又はカバー24−2に設けることができる。
【0028】
図示の実施形態では、基体24−1は、後方ベアリング40によってシャフト22上に支持され、カバー24−2は、前方ベアリング42によってシャフト22上に支持される。後方ベアリング40及び前方ベアリング42は、ロータ26の両側に位置し、互いに軸方向に間隔を置いて配置されている。ベアリング40及び42はそれぞれ、図示の実施形態では単列ボールベアリングであるが、代替の実施形態では他の構成を有することができる。
【0029】
多くの従来技術の粘性クラッチは代わりにクラッチの駆動側(エンジン側)に単一のベアリングセットを有し、クラッチの質量と出力装置(例えばファン)の質量の両方を支持する。このような単一ベアリングの従来技術のクラッチでは、単列ベアリングは、負荷能力が少ないため、複列ベアリングと比較した場合、単列周りの撓みの恐れが比較的大きいため、問題となり得る。従って、このような従来技術のクラッチでは、複列ベアリングが、クラッチの重要な軸方向中心部分において、相対的に長い軸方向長さを占め、クラッチの軸方向全長を増大させる傾向があり、望ましくない。
【0030】
2つの単列ベアリング40及び42の使用は、3つの主要な利点を有する。第1に、2つの離間したベアリング40及び42の存在は、1つの単列ベアリングと比較した場合、比較的高い安定性及び低い撓みを可能にする。第2に、追加の前方ベアリング42をハウジング24のカバー24−2の中に、一般に使用されないシャフト22の前端部22Fの又はその近くの空間に配置することができ、これは粘性クラッチ20の全軸長を目立って増加させることはない。最後に、カバー24−2内の前方ベアリング42は、シャフト22のためのカバー24−2内の密封開口を提供する。これにより、粘性クラッチ20の前側からアクセス可能なシャフト22に第2の係合機構22−2を追加して、例えばエンジン又はウォーターポンプに対して粘性クラッチ20全体を取り付けたり取り外したりすることができる。
【0031】
ハウジング24は、アルミニウム又は別の適切な材料から作製され得る。カバー24−2は、単一部品であり、粘性クラッチ20内の粘性せん断流体(例えば、シリコーンオイル)及び粘性クラッチ20からの汚れ及び破片を保持するという利点を有するダイカスト部品であり得る。後述するように、挿入部品は、磁束伝導のためにハウジング24の一部(例えば、基体24−1)に設けることができる。1つ以上のシール(図示せず)をハウジング24に沿って設けて、せん断流体を粘性クラッチ20内に保持するのを更に助けることができるが、図示の実施形態では、前方ベアリング42及び後方ベアリング40は、追加の専用シール要素を必要とせずに、ハウジング24内にせん断流体をシールする。又、ハウジング24には、粘性クラッチ20から出力されるトルクを受け入れるファン等の図示しない出力装置を固定することができる。
【0032】
ロータ26は、少なくとも部分的にハウジング24内に、好ましくはハウジング24内全体に配置され、円板状の形状とすることができる。従って、ロータ26はロータディスクと呼ぶことができる。ロータ26は、シャフト22に回転可能に固定され、シャフト22と共に常時回転する。これに関して、シャフト22がトルク入力を受け入れる場合、ロータ26は、粘性クラッチ20の入力又は入力部材として機能することができる。
【0033】
図示の実施形態では、ロータ26は、伝導性部分26−1及び非伝導性部分26−2を有し、この場合の「伝導性」は、磁束伝導性を指す。伝導性部分26−1は、スチール又は別の適切な磁束伝導材料(例えば、任意の強磁性材料)から作製され得、非伝導性部分26−2は、アルミニウム又は磁束を容易に伝導しない別の適切な材料から作製され得る。伝導性部分26−1は、シャフト22に直接固定することができ、リザーバ28から離間し、離間したロータ26の径方向内側ハブとして構成することができる。
【0034】
更に、図示の実施形態では、伝導性部分26−1は、後方ベアリング40及び前方ベアリング42の両方に当接する。非伝導性部分26−2は、ロータ26の径方向外側部分に配置することができる。図示の実施形態では、伝導性部分26−1は、内側に面する円筒面26−3を有する円筒形部分と、露出した軸方向後方に面する部分26−4とを含む軸方向オフセット領域を含む。
【0035】
更に、図示の実施形態では、伝導性部分26−1は、ロータ26の全体を所定の径方向の範囲(例えば、円筒面26−3へ、又は円筒面26−3を越えて)に渡って形成され、その点で、磁束を導くためだけの、ロータの周辺部構造材料に埋め込まれるか又はこれを貫通する非構造的な磁束ガイドインサートとは区別される構造要素である。伝導性部分26−1は又、シャフト22からかなりの距離にわたって径方向外側に延び、伝導性部分26−1を単なるハブ又は内側スリーブよりも大きくすることができる。
【0036】
図示の実施形態に示されるように、伝導性部分26−1は、軸方向オフセット領域及び円筒面26−3を越えて延在するが、作動チャンバ30の径方向内側に配置される。更に、図示の実施形態では、伝導性部分26−1は、シャフト22から、ハウジング24の基体24−1のハブ(及び/又は後述する内側ハブ/第2の磁束ガイド)にある位置、又はハブから径方向外側の位置、ならびに後方ベアリング40の外向きの位置まで延びる。
【0037】
リザーバ28は、せん断流体の供給を保持するための貯蔵容積部を提供する。図示の実施形態では、リザーバ28は、ロータ26上又はロータ26内に設けられている。リザーバ28のプレート28−1は、ロータ26に取り付けられ、ロータ26によって担持されて、境界の一部を形成して、せん断流体を保持するのを助け、リザーバ28を粘性クラッチ20の他の部分から分離することができる。プレート28−1は、粘性クラッチ20の内部に配置することができ、カバー24−2に面するロータ26の前側に配置することができる。せん断流体の全部又は一部は、粘性クラッチ20の係合に必要でない場合、リザーバ28に貯蔵することができる。
【0038】
図示の実施形態では、ロータ26の内部に含まれるリザーバ28、及びリザーバ28内部に含まれるせん断流体が、ロータ26と共に回転するように、リザーバ28はロータ26に担持される。このように、シャフト22及びロータ26が粘性クラッチ20への入力として機能するとき、リザーバ28は、粘性クラッチ20へのトルク入力がある間は常時入力速度で回転している。このことにより、比較的迅速なクラッチ係合の応答時間を達成するように、ロータが担持するリザーバ28内のせん断流体に運動エネルギーを分配する。リザーバ28の境界に沿って出口孔44が設けられ、せん断流体が、粘性クラッチ20の流体回路に沿って作動チャンバ30まで通過できるようにする。
【0039】
図示の実施形態では、ロータ26はリザーバ28の境界の一部を形成し、出口孔44はロータ26を通過する。より具体的には、図示の実施形態では、出口孔44は、伝導性部分26−1から外側の位置で、ロータ26の非伝導性部分26−2を実質的に軸方向に貫通する。
【0040】
作動チャンバ30は、ロータ26とハウジング24との間に形成されている。作動チャンバ30は、ロータ26の両側に延伸し得る。以下に更に説明するように、作動チャンバ30へのせん断流体(例えば、シリコーンオイル)の選択的導入は、ロータ26とハウジング24との間でトルクを伝達する粘性せん断結合を生じさせることによって粘性クラッチ20を係合させ、トルク伝達の程度(及び関連する出力速度)は、作動チャンバ30内に存在するせん断流体の体積の関数として可変させる。
【0041】
同心円状の環状リブ、溝、及び/又は他の適切な構造をロータ26及びハウジング24に設けて、当該技術分野で知られているように、作動チャンバ30に沿った表面積を増大させ、せん断流体が作動チャンバ30内に存在するときにせん断結合を推進することができる。更に、ロータ26の外径領域には開口(図示せず)を設けて、作動チャンバ30内のせん断流体がロータ26の反対側の間を当該技術分野で周知の方法で移動できるようにすることができる。
【0042】
せん断流体は、作動チャンバ30からリザーバ28へ、図示の実施形態ではハウジング24内に配置された戻り孔46に沿ってポンプで戻される。戻り孔46内へのせん断流体のポンピングは、当技術分野で知られているように、ダム又はバッフル(具体的には示さず)を使用して連続的に行うことができる。このようなダムは、戻り孔46の入口に隣接してハウジング24上に配置することができる。従って、粘性クラッチ20の流体回路は、リザーバ28から出口孔44を通って作動チャンバ30に延び、次いで作動チャンバ30から戻り孔46を通ってリザーバ28に戻る。
【0043】
バルブ32は、リザーバ28と作動チャンバ30との間のせん断流体の流れを選択的に制御する。粘性クラッチ20は電磁的に制御可能である。これは、電磁コイル34の選択的励磁が、作動チャンバ30内に存在するせん断流体の体積、ひいては入力部材と出力部材との間の係合及びトルク伝達の程度を制御するために、バルブ32の作動を制御できることを意味する。
【0044】
図示の実施例では、バルブ32の全ての可動部分がハウジング24内に収容されており、バルブ32はロータ26の後側でロータ26と電磁コイル34との間に配置されている。粘性クラッチ20の磁束回路及びバルブ32の詳細は以下で更に説明するが、簡単に言えば、電磁コイル34からの磁束は電機子32−1を動かすことができ(例えば、軸方向に旋回でき)、電機子32−1はバルブ素子32−2(例えば、リードバルブ)を動かすことができる(例えば、押圧することによって同時に旋回できる)。バルブ素子32−2は、流体回路に沿ったせん断流体の流れを選択的に制限又は防止することができる。
【0045】
図示の実施形態では、バルブ素子32−2は、出口孔44を覆い又開放して、リザーバ28から出るせん断流体の流れを選択的に制御する。「フェイルオン」構成と呼ばれるいくつかの実施形態では、バルブ素子32−2は、デフォルトで機械的に開位置に偏位させることができ、電磁コイル34を励磁すると、バルブ素子32−2は、せん断流体の流れを制限又は停止する閉位置に移動する。
【0046】
図示の実施例では、電磁コイル34はコイルベアリング48によってシャフト22上に支持されている。より詳細には、電磁コイル34は、ハウジング24の外側のシャフト22の駆動端22Dに支持され、コイルベアリング48は軸方向ストッパ22−3に当接する。電磁コイル34は、通常、テザーなどによって回転可能に固定され、コイルベアリング48は、非回転電磁コイル34と回転可能なシャフト22との間の相対的な回転を可能にする。電磁コイル34の構成の更なる詳細については後述する。
【0047】
図3は、軸Aの上方のみを示す粘性クラッチ20の一部の断面図であり、破線50によって概略的に表される磁束回路を示している。ハウジング24は、第1の磁束ガイド24−4及び第2の磁束ガイド24−5を含み、それぞれが磁束伝導性材料で作られる。第1の磁束ガイド24−4及び第2の磁束ガイド24−5の両方は、図示の実施形態では、ロータ26の後側すなわち駆動側で基体24−1に埋め込まれて固定される。
【0048】
更に、第1の磁束ガイド24−4及び第2の磁束ガイド24−5のそれぞれは、対向する前側及び/又は後側で基体24−1から突出することができる。第1の磁束ガイド24−4及び第2の磁束ガイド24−5はそれぞれ、ハウジング24を通る磁束の伝達を可能にする。磁束の伝達が不要の時は、ハウジング24は、通常、磁束を効率的に伝達しないアルミニウムのような材料で作られる。
【0049】
第2の磁束ガイド24−5は、基体24−1の径方向内側部分に配置されたハブとして構成することができ、後方ベアリング40に直接係合することができる。この点において、第2の磁束ガイド24−5は、磁束伝導機能を提供することに加えて、ハウジング24の構造部分とすることができる。又、第2の磁束ガイド24−5は、後方ベアリング40に係合する軸方向ストッパと、基体24−1に埋め込まれた径方向に延伸する部分とを組み込むことができる。第2の磁束ガイド24−5は、第1の磁束ガイド24−4から径方向内側に離間して配置することができる。図示の実施形態では、第1の磁束ガイド24−4は、互いに対して径方向に段階的にオフセットされた対向する前端及び後端を有する。
【0050】
バルブ32の作動を容易にするために磁束を伝達する粘性クラッチ20の磁束回路は、図示の実施形態では、以下の構成を有する。磁束回路は、電磁コイル34から第1の磁束ガイド24−4まで第1の空隙を横断して延びる。次に、磁束回路は、第1の磁束ガイド24−4からバルブ32の電機子32−1まで第2の空隙を横断して延びる。次に、磁束回路は、バルブ32の電機子32−1から第3の空隙を横断してロータ26の伝導性部分26−1まで延びる。第3の空隙は、軸方向後面26−4に隣接して配置することができる。
【0051】
更に、第3の空隙は、電機子32−1が作動され、ロータ26に向かって又はロータ26に対して引き寄せられるときに、効果的に閉じることができる。次に、磁束回路は、ロータ26の伝導性部分26−1から第2の磁束ガイド24−5まで第4の空隙を横断して延びる。第4の空隙は、円筒面26−3に隣接して配置することができる。最後に、磁束回路は、第2の磁束ガイド24−5から第5の空隙を横断して電磁コイル34に戻るように延びる。
【0052】
粘性クラッチ20の、図示の実施形態における磁束回路のいくつかの態様は、以下の通りである。第1の空隙、第2の空隙、第4の空隙、及び第5の空隙のいずれか又はすべては、径方向に配向することができる。磁束回路内の径方向に配向された空隙は、比較的狭い公差で比較的小さく保つことができ、効率的で一貫した磁束伝導を促進するのに役立つ。第3の空隙は、軸方向に配向することができる。上述したように、電機子32−1が作動され、ロータ26に向かって、又はロータ26に向かって引き寄せられたとき、第3の空隙は効果的に閉じることができる。
【0053】
第1空隙及び第2の空隙は、軸Aからほぼ同じ径方向距離に位置することができ、電磁コイル34から電機子32−1へ通過する磁束は、第1の磁束ガイド24−4の径方向オフセットのために、第1及び第2の空隙を径方向内側方向に横断する。第5の空隙は、電磁コイル34の径方向内周の外側に配置することができ、第1の空隙は、電磁コイル34の径方向外周の内側に配置することができる。磁束回路全体は、ベアリング40及び48の外側に配置することができ、ロータ26の伝導性部分26−1を通過することは別に、粘性クラッチ20の駆動側又は後側に配置することができる。
【0054】
図4は、粘性クラッチ20の電磁コイルアセンブリの一部の断面図であり、軸線Aの上方のみを示しており、
図4に示すアッセンブリは、電磁コイル34とコイルベアリング48とを含んでいる。
【0055】
図示の実施形態におけるコイルベアリング48は、外側レース48−1と、内側レース48−2と、複数の転動体48−3とを含む。転動体48−3は、外側レース48−1と内側レース48−2との間に配置され、外側レース48−1と内側48−2とに係合する。図示の実施形態では、コイルベアリングは単列のボール型転がり要素48〜3を有するが、他の実施形態では、他のタイプのベアリング(例えば、ローラーベアリング又はニードルベアリング(needle bearing))を使用することもできる。
【0056】
図4に示されるように、電磁コイル34は、コイルハウジング34−1及び巻線又は巻線34−2を含む。コイルハウジング34−1は、内部容積部34−3を画定する磁束伝導性材料で作られた壁34−1Wによって形成される。図示の実施形態では、コイルハウジング34−1は、カップとして構成され、壁34−1Wは、1つの面(例えば、前面)で開いている。コイルハウジング34−1の壁34−1Wは又、内部容積部34−3に向かって(又は内部に)突出するノッチ、すなわち段部34−4を形成する。
【0057】
コイルベアリング48は、コイルハウジング34−1の壁34−1Wの外側、すなわち、壁34−1Wの内側の内部容積部34−3及び巻線34−2の巻線とは反対側において、段部34−4内に全体的又は部分的に収容される。段部34−4の存在は、径方向内側部分P
I及び径方向外側部分P
Oを含む、内部容積部34−3の異なる部分(又はサブ容積部)を確立する。内部容積部34−3の内側部分P
I及び外側部分P
Oは、互いに接触し、隣接することができ、それらの間に障壁又は障害物がない状態で互いに開いている。
【0058】
更に、内側部分P
I及び外側部分P
Oは、断面で見たとき、内部容積部34−3がL字形を有するように配置することができる。外側部分P
Oは、軸方向の深さ(又は長さ)D
Oを有し、内側部分P
Iは、軸方向の深さ(又は長さ)D
Iを有する。軸方向深さD
Oは、図示の実施形態では、軸方向深さD
Iよりも大きい。外側部分P
Oは、コイルベアリング48の外側レース48−1の径方向外側に配置することができ、一方、内側部分P
Iは、外側レース48−1の径方向内側に延在することができ、転動体48−3と径方向で重なり合うことができる(又、別の実施形態では、任意選択で、内側レース48−2も)。言い換えると、外側部分P
Oは、コイルベアリング48の径方向外側に配置することができ、内側部分P
Iは、軸方向に並べて配置することができ、又はコイルベアリング48と重なり合うことができる。
【0059】
更なる実施形態では、コイルハウジング34−1の壁34−1Wに(追加のコイルベアリングを収容するように)1つ以上の追加段差を設けることができ、内部容積部34−3は、対応する追加部分を有することができる。
【0060】
巻線34−2は、コイルハウジング34−1の内部容積部34−3内に位置する複数の巻きを作ることによってコイルを形成する。図示の実施形態では、巻線34−2の巻線は、内部容積部34−3の内側部分P
I及び外側部分P
Oにわたり、巻線34−2によって形成されるコイルは、コイルハウジング34−1のような階段形状を有する。
【0061】
更に、電磁コイル34が励磁されると、内部容積部34−3の内側部分P
I及び外側部分P
Oの両方内に磁束が生成される。内部容積部34−3の構成は、巻線34−2の巻線がコイルベアリング48の少なくとも一部に径方向及び軸方向の両方に渡って延在することを可能にし、例えば、巻線34−2の巻線は、コイルベアリング48の転動体48−3に径方向及び軸方向に渡って延在することができる。
【0062】
巻線34−2は、適切なポッティング材料34−5を使用してコイルハウジング34−1内にポッティングことができる。更に、接続タワー34−6を設けて、巻線34−2と電源(図示せず)との間の電気的接続を容易にすることができる。テザー又は他の回転防止装置(図示せず)を電磁コイル34に接続することもできる。
【0063】
電磁コイル34の「階段状」構成は、粘性クラッチ20の全軸長を短くすることを容易にする。電磁コイル34によって発生され得る磁束の量は、主に、巻線34−2の巻数及び巻線34−2に流れる電流の量に関係する。2つの設計手法は、これらの制約により生じる課題を顕在化する。
【0064】
純粋に質量/重量の観点から、最も効率的な設計は、巻線の各巻回の直径、すなわち円周が縮小又は最小化された、長くて小径のコイルを利用することである。このような長くて小径のコイル構成は、最小量の材料を使用し、質量/重量及びコストを低減する。長くて小径の電磁コイルはシャフト上に回転可能に支持されるので、電磁コイルとコイルベアリングとをシャフト上に並べて配置する傾向がある。長くて小径の電磁コイルがシャフトに近接していることにより、必要に応じて、シャフトを磁束回路の一部として使用してバルブを動作させることも可能になる。
【0065】
他方、軸方向長さの観点からは、最も効率的なクラッチ設計は、電磁コイルをコイルベアリングの直上に配置し、電磁コイルをコイルベアリングと同軸方向の領域に配置することである。しかし、同軸方向の領域を占有するコイル巻線の各巻きは、円周方向に実質的に長くなるので(コイルベアリングの外側の直径が大きくなるため)、電磁コイルを製造するのに必要な材料はかなり大きくなり、設計にコスト及び質量が加わる。更に、同軸方向の領域を占有する電磁コイルが使用される場合、シャフトは、他の構成要素(例えば、埋め込まれた磁束ガイド)を追加することなく、磁束回路の一部としてもはや容易に使用することができない。
【0066】
電磁コイル34が階段状の構成を有する粘性クラッチ20の実施形態は、2つの代替設計(すなわち、長くて小径コイル、及び同軸方向の領域を占有する設計)の組み合わせであり、これは、各々の設計の利点を維持することを可能にする。コイルベアリング48と並んで存在する径方向内側部分P
Iにおける巻線34−2の巻回は、比較的小さな巻回直径及びシャフト22への近接性を可能にし、粘性クラッチ20の例示の実施形態は、磁束回路の一部として磁束伝導のためにシャフト22を使用しないが、粘性クラッチ20の代替の実施形態は、容易にそれを行うことができる(例えば、
図6及び7を参照のこと)。
【0067】
更に、コイルベアリング48の上方(すなわち、径方向外側)に位置する径方向外側部分P
O内の巻線34−2のターンは、粘性クラッチ20内で使用されていない軸方向長さであるコイルベアリング48と同軸方向の領域を利用する。この構成は、比較的小さい質量/重量ペナルティで電磁コイル34の軸方向に小さい占有面積を可能にし、同時に、適切な磁束密度がバルブ32を作動させることも可能にする。
【0068】
図5は、ロータ26、リザーバ28及びバルブ32を単独で示した断面斜視図である。図示の実施例では、バルブ32は、ロータ26によって支持され且つロータ26に固定され、又、バルブ32は、その全部が、リザーバ28の反対側のロータ26の後側(又は駆動側)に配置されている。
【0069】
上述したように、バルブ32は、電機子32−1及びバルブ素子32−2を含む。更に、
図5に示すように、バルブ32はスプリング32−3を含む。図示の実施形態では、電機子32−1は、中央開口部32−1Cを有する本体32−1Bを含む。中央開口部32−1Cは、本体32−1Bがシャフト22、並びに第1の磁束ガイド24−4の突出部分、後方ベアリング40、及び/又は他の所望の構成要素(
図2及び
図3参照)を取り囲むことを可能にする。
【0070】
図示の実施形態では、中央開口部32−1Cは、ロータ26の伝導性部分26−1の円筒面26−3よりもわずかに大きい直径を有する。電機子32−1は、上述したように、粘性クラッチ20の磁束回路の一部を形成する。電機子32−1の本体32−1Bは又、ロータ26に別個に取り付けることができるバルブ素子32−2を押圧して、出口孔44を覆うようにバルブ素子32−2を動かすことができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、バルブ32の構成及び動作は、共同譲渡された米国特許第8,881,881号に記載されている、リードバルブ素子を利用したものと同様とすることができる。しかしながら、本明細書に開示されるバルブ32の特定の構成は、単に例として提供され、これに限定するものではないことに留意されたい。並進要素又は回転要素を有するバルブ、ならびに戻り孔46を選択的に覆うバルブなど、多数の他のタイプのバルブ構成を代替の実施形態で利用することができる。更に、バイメタル制御バルブアセンブリは、当技術分野で周知のように、電磁制御バルブアセンブリの代わりに、更なる実施形態で使用することができる。
【0072】
スプリング32−3(アンカースプリングとも呼ばれる)は、図示の実施形態では、径方向に突出した線に沿って軸方向に撓むリーフスプリングであり、電機子32−1の本体32−1Bとロータ26との間(例えば、非伝導性部分26−2)に固定される。このようにして、スプリング32−3は、電機子32−1をロータ26に可撓的に取り付け、電機子32−1及びバルブ32全体をデフォルトで開位置に偏位する力を付与することができる。
【0073】
図示の実施形態では、スプリング32−3は、電機子32−1に対して凹んでおり、粘性クラッチ20の軸方向長さ及び径方向寸法の両方を低減するのに役立つ。軸方向凹部32−1D及び隣接する径方向に延びる切欠き32−1Rを本体32−1Bに設けることができる。
【0074】
図示の実施形態では、切欠き32−1Rは、ほぼ長方形の周囲を有し、本体32−1Bの外径縁部32−1Eから中央開口部32−1Cに向かって内向きに延び、対向する前側と後側との間で本体32−1Bを完全に貫通して(すなわち、軸方向に)延び、一方、本体32−1Bの部分は、切欠き32−1Rと中央開口部32−1Cとの間で無傷のままである。凹部32−1Dは、切欠き32−1Rに直接接して隣接し、切欠き32−1Rと中央開口部32−1Cとの間に径方向に位置する。凹部32−1Dは、本体32−1Bの後側から本体32−1Bの一部を通って軸方向に延びる深さを有する。
【0075】
スプリング32−3は、凹部32−1D及び切欠き32−1Rの両方に延び、図示の実施形態では、スプリング32−3は、概して、切欠き32−1R及び凹部32−1D内に完全に含まれる(切欠き32−1R及び/又は凹部32−1Dの外側のスプリング32−3の一部を撓ませる極端な撓み状態がない)。スプリング32−3の一端は、切欠き32−1R内で且つ外径縁部32−1Eの径方向内側の位置でロータ26に(例えば、ねじなどの適切な締結具を使用して)取り付けることができ、スプリング32−3の反対側の端部は、凹部32−1D内で電機子32−1の本体32−1Bに取り付けることができる。
【0076】
ストッパ開口部32−1Sは、中央開口部32−1Cと外径縁部32−1Eとの間に径方向に配置され、電機子32−1の本体32−1Bに設けることもできる。ストッパ開口部32−1Sは更に、出口孔44の径方向内側に、且つ出口孔44から角度的に間隔を置いて配置することができる。ストッパ開口部32−1Sは、ロータ26から軸方向に延びる電機子のストッパ60と協働することができる。図示の実施形態では、ストッパ開口部32−1Sは円形であり、対向する前側と後側との間で本体32−1Bを完全に貫通して延びる。
【0077】
図示の実施形態のストッパ60は、止めねじ又はねじ式に調整可能な部材に類似しており、ロータ26に対する電機子32−1の移動の軸方向限界を確定するように調整可能である。ストッパ60は、電機子32−1が電磁コイル34の励磁によって作動されると、ストッパ開口部32−1Sと整列し、ストッパ開口部32−1S内に突出するように配置される。
図5には1つのストッパ開口部32−1Sとストッパ60しか見えないが、1つ以上の追加の対称的に配置されたストッパ開口部32−1Sとストッパ60を更に設けることができる。
【0078】
図6は粘性クラッチ120の別の実施形態の断面図であり、
図7は粘性クラッチ120の一部の断面図である。
図6及び
図7の実施例に示すように、粘性クラッチ120は、シャフト122と、ハウジング124と、ロータ126と、リザーバ128と、作動チャンバ130と、バルブ132と、電磁コイル134とを含む。粘性クラッチ120の回転軸を規定する軸Aが示されている。
【0079】
粘性クラッチ120の一般的な動作は、上述した粘性クラッチ20の動作と同様であり、同様の構成要素は、
図6及び
図7ならびにこれらに関連する明細書の記載において100だけ加算された同様の参照符号によって示される。同様に、粘性クラッチ120は、粘性クラッチ20と同じ特徴及び利点の大部分を組み込んでいる。
図6及び
図7の例示された実施形態は、単に例として開示されたものでありこれに、限定するものではなく、多数の代替実施形態が可能であり、そのいくつかの特徴が以下の本文で説明されることに留意されたい。
【0080】
シャフト122は、粘性クラッチ120の中心に位置し、ハウジング124を含む粘性クラッチ120の軸方向全長にわたって延びている。
図6の実施形態に示されるように、シャフト122は、第1の又は駆動端122D(後端とも呼ばれる)における第1の係合機構122−1と、反対側の第2の又は前端122F(又は被駆動端)における第2の係合機構122−2とを含む。
【0081】
図示の実施形態のシャフト122は、シャフト22と同様に「活軸」すなわち被駆動入力シャフトである。図示の実施形態では、第1の係合機構122−1は、内部(雌)ねじ山として構成され、第2の係合機構122−2は、例えば、六角ヘッドキャップねじ、レンチフラット、又は他の適切な外部工具係合構造のような外部係合機構として構成される。内部の第1の係合機構122−1の外側には、小さな軸方向ストッパ122−3及び円筒形の外面122−4を設けることができる。
【0082】
ハウジング124は、互いに回転不能に固定された基体124−1及びカバー124−2を含む。基体124−1は、軸方向に延伸して突出する円環124−6を有するハブ124−5を有することができ、円環124−6は、ロータ126に向かって前方に延伸することができる。ハウジング124は、シャフト122上に回転可能に支持され、ハウジング124が、粘性クラッチ120の作動状態(すなわち、シャフト122の回転速度の約0%〜約100%)の関数として、シャフト122に対して選択的に回転することを可能にする。この点において、シャフト122(及びロータ126)が粘性クラッチ120へのトルク入力を受け入れる場合、ハウジング124は、粘性クラッチ120の出力部材(又は出力部材)として作用し得る。冷却フィンは、上述した粘性クラッチ20と同様に、ハウジング124の外面に設けることができる。
【0083】
図示の実施形態では、基体124−1は、後方ベアリング140によってハブ124−5でシャフト122上に支持され、カバー124−2は、前方ベアリング142によってシャフト122上に支持される。後方ベアリング140及び前方ベアリング142は、ロータ126の両側に配置され、互いに軸方向に間隔を置いて配置されている。ハブ124−5の円環124−6は、後方ベアリング140を支持し、ハウジング124の基体124−1と係合するのに適した軸方向の空間を提供することができる。ベアリング140及び142は、図示の実施形態では、それぞれ単列ボールベアリングであり、後方ベアリング140は、前方ベアリング142よりも大きいが、ベアリング140及び142は、代替の実施形態では、他の構成を有することができる。
【0084】
ハウジング124は、アルミニウム又は別の適切な材料(単数又は複数)から作製され得、そしてダイカスト部品であり得る。1つ以上の磁束ガイドインサートは、以下で更に論じられるように、ハウジング124を通過することができる。しかしながら、粘性クラッチ120の利点は、少数の磁束ガイドインサート(例えば、単一の磁束ガイド)のみが必要とされることである。ハウジング124には、粘性クラッチ120から出力されるトルクを受け入れるため、図示しないファン等の出力装置を固定することができる。
【0085】
後方ベアリング140に隣接してスペーサ125を設けることができる。図示の実施形態では、スペーサは、前方接触面125−1及び反対側の後方接触面125−2を含む。前方接触面125−1及び後方接触面125−2は、互いに径方向にずらすことができる、平行に軸方向と面する面とすることができる。前方接触面は後方ベアリング140と係合することができ、後方接触面125−2はシャフト122の肩部と係合することができる。
【0086】
図示の実施形態では、スペーサ125は、前方接触面125−1及び後方接触面125−2の径方向のオフセットを容易にするとともに、シャフト122の階段形状に適応するように、断面が六角形の外周を有する。スペーサ125は、非磁束伝導性材料、又は磁束伝導性材料で作ることができる(従って、以下で論じるように、任意選択で磁束回路の一部とすることができる)。
【0087】
ロータ126は、少なくとも部分的にハウジング124内に、好ましくは全体的にハウジング124内に配置され、ディスク形状を有することができる(従って、ロータ126は、ロータディスクと呼ぶことができる)。ロータ126は、シャフト122に回転可能に固定され、シャフト122と共に常時回転する。この点において、シャフト122がトルク入力を受け入れる場合、ロータ126は、粘性クラッチ120の入力又は入力部材として機能することができる。
【0088】
図示の実施形態では、ロータ126は、伝導性部分126−1及び非伝導性部分126−2を有し、この場合の「伝導性」は、磁束伝導性を指す。伝導性部分126−1は、スチール又は別の適切な磁束伝導材料(例えば、任意の強磁性材料)から作製され得、非伝導性部分126−2は、アルミニウム又は磁束を容易に伝導しない別の適切な材料から作製され得る。伝導性部分126−1は、ロータ126全体を構造的に支持するロータ126の径方向内側ハブとして構成することができ、伝導性部分126−1は、シャフト122に直接固定することができる。非伝導性部分126−2は、ロータ126の径方向外側部分に配置することができる。伝導性部分126−1は、リザーバ128から間隔を置いて配置され、リザーバ128から分離され得る。
【0089】
更に、図示の実施形態では、伝導性部分126−1は、後方ベアリング140と前方ベアリング142の両方に当接する。図示の実施形態では、伝導性部分126−1は、軸方向オフセット領域を含み、軸方向オフセット領域は、内側に面する円筒面126−3を有する円筒形部分と、露出した軸方向後方に面する部分126−4とを含む。
【0090】
更に、図示の実施形態では、伝導性部分126−1は、所定の径方向範囲にわたって(例えば、円筒面126−3まで、又は円筒面126−3を越えて)ロータ126の全体を形成し、この点において、磁束を単に伝導するためにロータの周囲構造材料に埋め込まれるか、又はそうでなければロータの周囲構造材料を通過する非構造磁束ガイドインサートとは区別される構造構成要素である。伝導性部分126−1は又、シャフト122からかなりの距離にわたって径方向外側に延び、伝導性部分126−1を単なるハブ又は内側スリーブよりも多くすることができる。図示の実施形態に示されるように、伝導性部分126−1は、軸方向オフセット領域及び円筒面126−3を越えて延在するが、作動チャンバ130の径方向内側に位置する。
【0091】
更に、図示の実施形態では、伝導性部分126−1は、シャフト122から、ハウジング124の基体124−1の円環124−6及び/又はハブ124−5における位置、又は円環124−6及び/又はハブ124−5から径方向外側の位置、ならびに後方ベアリング140の外側に延びる。伝導性及び非伝導性部分126−1及び126−2は、所与の径方向距離にわたって重なり合うことができ、これらの部分間の構造的係合部126−5(例えば、冶金的又は機械的接続)を容易にする。
【0092】
構造的係合部126−5は、ロータ126の軸方向に厚くなった部分とすることができ、軸方向の厚さは、ロータ126のすぐ径方向内側及び外側の両方の部分よりも大きい。ロータ126は、ハウジング124の基体124−1のハブ124−5の軸方向に延びる円環124−6の遠位端が、円筒面126−3における軸方向オフセット領域に隣接するロータ26と軸方向に重なるように、ハウジング124の基体124−1のハブ124−5のハブ124−5の一部と軸方向に重なり合うことができる。このような構成は、粘性クラッチ120の軸方向全長のコンパクト化を促進するのに役立つ。
【0093】
リザーバ128は、せん断流体の供給を維持するための貯蔵容積部を提供する。図示の実施形態では、リザーバ128は、ロータ126上又はロータ126内に設けられている。リザーバ128のプレート128−1は、ロータ126に取り付けられ、ロータ126によって担持されて、境界の一部を形成して、せん断流体を保持するのを助け、リザーバ128を粘性クラッチ120の他の部分から分離することができる。プレート128−1は、粘性クラッチ120の内部に配置することができ、カバー124−2に面するロータ126の前側に配置することができる。せん断流体の全部又は一部は、粘性クラッチ120の係合に必要とされない場合、リザーバ128に貯蔵され得る。
【0094】
図示の実施形態では、リザーバ128はロータ126によって担持され、リザーバ128及び両者内に収容されたせん断流体がロータ126と共に回転するようになっている。リザーバ128の境界に沿って出口孔144が設けられ、せん断流体が粘性クラッチ120の流体回路に沿って作動チャンバ130へ通過することを可能にする。図示の実施形態では、ロータ126はリザーバ128の境界の一部を形成し、出口孔144はロータ126を貫通している。より具体的には、図示の実施形態では、出口孔144は、伝導性部分126−1から外側の位置で、ロータ126の非伝導性部分126−2を実質的に軸方向に貫通する。
【0095】
作動チャンバ130は、ロータ126とハウジング124との間に画成されている。作動チャンバ130は、ロータ126の両側に延びることができる。粘性クラッチ20に関して説明したように、作動チャンバ130へのせん断流体(例えば、シリコーンオイル)の選択的導入は、ロータ126とハウジング124との間でトルクを伝達する粘性せん断結合を作り出すことによって粘性クラッチ120と係合することができ、トルク伝達の程度(及び関連する出力速度)は、作動チャンバ130内に存在するせん断流体の体積の関数として可変である。
【0096】
同心環状リブ、溝、及び/又は他の適切な構造をロータ126及びハウジング124に設けて、当該技術分野で知られているように、作動チャンバ130に沿った表面積を増大させ、せん断流体が作動チャンバ130内に存在するときにせん断結合を促進することができる。更に、当技術分野で周知の方法で、作動チャンバ130内のせん断流体がロータ126の反対側との間を移動できるように、ロータ126の外径領域に開口(図示せず)を設けることができる。
【0097】
せん断流体は、作動チャンバ130からリザーバ128へ、図示の実施形態ではハウジング124内に配置された戻り孔146に沿ってポンプで戻される。戻り孔146内へのせん断流体のポンピングは、当技術分野で知られているように、ダム又はバッフルを使用して連続的に行うことができる。このようなダムは、戻り孔146の入口に隣接してハウジング124上に配置することができる。従って、粘性クラッチ120の流体回路は、リザーバ128から出口孔144を通って作動チャンバ130に延び、次いで作動チャンバ130から戻り孔146を通ってリザーバ128に戻る。
【0098】
バルブ132は、リザーバ128と作動チャンバ130との間のせん断流体の流れを選択的に制御する。粘性クラッチ120は電磁的に制御することができ、すなわち、電磁コイル134の選択的励磁が、作動チャンバ130内に存在するせん断流体の容積部を制御するためにバルブ132の作動を制御することができ、次に、入力部材と出力部材(例えば、ロータ126及びハウジング124)との間の係合及びトルク伝達の程度を制御することができる。
【0099】
図示の実施形態では、バルブ132の全ての可動部分がハウジング124内に収容され、バルブ132がロータ126の後方側でロータ126と電磁コイル134の間に配置されている。上述した粘性クラッチ20のバルブ32と同様に、電磁コイル134からの磁束は、電機子132−1を動かす(例えば、軸方向に旋回する)ことができ、電機子132−1は、次に、バルブ素子132−2(例えば、リードバルブ)を動かす(例えば、押すことによって同時に旋回する)ことができる。電機子132−2は、環状の形状とすることができ、ハウジング124のハブ124−5の円環124−6及び/又は後方ベアリング140の周りに配置することができ、粘性クラッチ120の軸方向長さを減少させることができる。電機子132−2によるバルブ素子132−2の作動は、流体回路に沿ったせん断流体の流れを選択的に制限又は防止することができる。図示の実施形態では、バルブ素子132−2は、出口孔144を覆ったり、覆わなかったりして、リザーバ128からのせん断流体の流れを選択的に制御する。
【0100】
「フェイルオン」構成と呼ばれるいくつかの実施形態では、バルブ素子132−2は、デフォルトで開位置に機械的に偏位することができ、電磁コイル134の励磁により、バルブ素子132−2は、せん断流体の流れを制限又は防止する閉位置に移動する。
【0101】
更に、バルブ132は、上述したように、
図5に示すバルブ32と同様又は同一の構成とすることができ、止め具及びアンカースプリング用の切り抜き部を含む。更に、バルブ132及び電機子132−1は、ロータディスク126によって担持され、電磁コイル134の励磁時にロータディスク126に向かって引っ張られるように構成することができるので、ハウジング124に対する運動を防止するストッパの必要はなく、粘性クラッチ120の軸方向長さを減少させることに役立つ。
【0102】
図示の実施形態では、電磁コイル134は、内側レース148−1及び外側レース148−2と転動体148−3とを含むコイルベアリング148によってシャフト122上に支持されている。より詳細には、電磁コイル134は、ハウジング124の外側のシャフト122の駆動端122Dに支持され、コイルベアリング148が軸方向ストッパ122−3に当接する。電磁コイル134は、通常、テザーなどによって回転可能に固定され、コイルベアリング148は、回転しない電磁コイル134と回転可能なシャフト122との間の相対的な回転を可能にする。電磁コイル134及びコイルベアリング148は、共に、
図4に関して上述したものと同様のコイルアセンブリを提供することができる。
【0103】
図7は、破線150によって概略的に表される粘性クラッチ120の磁束回路を示す。ハウジング124は、磁束伝導性材料で作られた磁束ガイド124−4を含み、磁束ガイド124−4は、図示の実施形態では、ロータ126の後部又は駆動側で基体124−1に固定又は埋め込まれる。磁束ガイド124−4は、対向する前側及び/又は後側で基体124−1から突出することができる。磁束ガイド124−4は、ハウジング124を通る磁束の伝達を可能にし得る。磁束の伝達が不要なときは、ハウジング124は、典型的には、磁束を効率的に伝達しないアルミニウムのような材料から作製される。
【0104】
図示の実施形態では、磁束ガイド124−4は、径方向内側に突出する円環と共に、径方向において互いに段階的にオフセットされて対向する前端及び後端を有する。
【0105】
バルブ132の作動を容易にするために磁束を伝達する粘性クラッチ120の磁束回路は、図示の実施形態では、以下の構成を有する。磁束回路は、電磁コイル134から磁束ガイド124−4まで第1の空隙を横断して延伸する。次に、磁束回路は、磁束ガイド124−4からバルブ132の電機子132−1まで第2の空隙を横断して延伸する。次に、磁束回路は、バルブ132の電機子132−1から第3の空隙を横断してロータ126の伝導性部分126−1まで延伸する。第3の空隙は、軸方向後面126−4に隣接して配置することができる。
【0106】
更に、第3の空隙は、電機子132−1が作動され、ロータ126に向かって、又はロータ126に向かって引き寄せられるときに、効果的に閉じることができる。次に、磁束回路は、ロータ126の伝導性部分126−1からシャフト122まで延伸する。最後に、磁束回路は、シャフト122から第4の空隙を横断して電磁コイル134に戻るように延伸する。
【0107】
粘性クラッチ120の図示の実施形態における磁束回路のいくつかの態様は、以下の通りである。第1の空隙、第2の空隙、及び第4の空隙のいずれか又はすべては、径方向に配向することができる。磁束回路内の径方向に配向された空隙は、比較的狭い公差で比較的小さく保つことができ、効率的で一貫した磁束伝導を促進するのに役立つ。第3の空隙は、軸方向に配向することができる。上述したように、第3の空隙は、電機子132−1が作動され、ロータ126に向かって、又はロータ126に対して引き寄せられるときに、効果的に閉じることができる。
【0108】
第1の空隙は、電磁コイル134の径方向内周の外側に配置することができ、第4の空隙は、電磁コイル134の径方向外周の内側に配置することができる。後方ベアリング140は、磁束回路の内側に配置することができる。一方、前方ベアリング142及びコイルベアリング148は、それぞれ、磁束回路の外側に配置することができる。ロータ126の伝導性部分126−1を通過する以外に、磁束回路を粘性クラッチ120の駆動側又は後側に配置することもできる。
【0109】
電磁コイル134の階段状の構成は、シャフト122への近接を容易にすることができ、それにより、比較的小さい(第4の)径方向空隙を横断する電磁コイル134とシャフト122との間の磁束伝導を可能にする(
図4及び付随する説明も参照)。又、このような階段状電磁コイル構成は、望ましくない製造の複雑さを増大、クラッチの全体的な軸方向及び/又は径方向の寸法の増大、及び質量を増大させる傾向がある追加の磁束ガイドの必要性、を回避する。
【0110】
以下は、本発明の可能な実施形態の例示的な説明である。
【0111】
粘性クラッチは、入力部材と、出力部材と、入力部材と出力部材との間で画定される作動チャンバと、流体回路によって作動チャンバに流体接続され、せん断流体の供給を維持するリザーバと、リザーバと作動チャンバとの間の、流体回路に沿ったせん断流体の流れを制御するバルブと、ベアリングと、ベアリングによって支持される電磁コイルと、を備え、電磁コイルの選択的励磁がバルブを始動させ、電磁コイルは、コイルハウジングと、コイルハウジングの内部容積部内で複数の巻回を形成する巻線と、を含み、コイルハウジングは、階段状の構成を有し、前記ベアリングの少なくとも一部をその最初のステップに収容する。
【0112】
前段落の粘性クラッチは、任意選択で、追加的及び/又は代替的に、以下の特徴、構成、及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。
コイルハウジングの内部容積部は、径方向外側の容積部と径方向内側の容積部とを含み、径方向外側の容積部は、最初のステップの径方向外側に位置し、径方向内側の容積部は、ベアリングと重複してもよい。
コイルハウジングの径方向外側の容積部及び径方向内側の容積部は、互いに隣接して開口されてよく、巻線の巻回は、径方向外側の容積部及び径方向内側の容積部の両方に延在していてもよい。
ベアリングは、外側レースと、外側レースと係合する転動体とを含むことができ、コイルハウジングの内部容積部内の巻線の巻回は、軸方向及び径方向の両方に転動体に少なくとも部分的に覆うことができる。
コイルハウジングは、カップとして構成することができる。
巻き線はコイルハウジング内にポッティングすることができる。
ベアリングが電磁コイルをシャフト上に支持する。
シャフトは、常時入力部材と共に回転するように入力部材に回転可能に固定することができる。
入力部材は、ロータディスクを備えることができ、出力部材は、ロータディスクを囲むハウジングを備えることができる。
シャフトは、ハウジング全体を貫通することができる。
電磁コイルをハウジングの外側に配置することができる。
シャフトは、第1の端部に内部係合機構を有し、反対側の第2の端部に内部係合機構を有することができる。
シャフトは、第1の端部に内部係合機構を有し、反対側の第2の端部に外部係合機構を有することもできる。
コイルハウジングの内部容積部の断面をL字形とすることができる。
バルブは、中央開口部とストッパ開口部とを有する環状本体を有する電機子を含むことができる。
電機子が電磁コイルの励磁によって作動されるとき、電機子の環状本体のストッパ開口部と整列し、その中に突き出るように電機子ストッパを配置することができる。
電機子ストッパは、電機子の動きの軸方向限界を調整するように構成されたねじ込み式に調整可能な部材を備えることができる、及び/又は、バルブは、径方向に延びる切欠きと隣接する軸方向凹部とを有する環状本体を有する電機子を含むことができ、バルブは、電機子を入力部材に可撓的に取り付けるリーフスプリングを含み、リーフスプリングは、径方向に延びる切欠き及び軸方向凹部内に完全に収容される。
【0113】
方法は、コイルを提供するために電磁コイルハウジングの内部容積部内に巻線を巻き付けるステップを含む。当該巻線は、径方向外側の容積部と隣接する径方向内側の容積部とに及ぶように内部容積部内で複数回巻回され、径方向外側の容積部は、電磁コイルハウジングの壁によって形成される段部の径方向外側に配置される。この方法は、前記段部で、ベアリングを前記電磁コイルハウジングと係合させるステップをさらに含む。
【0114】
前段落の方法は、任意選択で、追加的及び/又は代替的に、以下の特徴、構成、及び/又は追加のステップのうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。
粘性クラッチの電磁作動バルブを通過する磁束回路に隣接するベアリングで電磁コイルハウジングを支持するステップ。
【0115】
クラッチと共に使用するための電磁コイルアセンブリは、外側レースと、内側レースと、外側レースと内側レースとの間に配置された複数の転動体とを含むベアリングと、巻線と、ベアリングの外側レースで支持される壁によって画定されるコイルハウジングとを含むことができ、コイルハウジングは、巻線の複数の巻きが配置される内部容積部を更に画定し、巻線の巻回は、壁を挟んでベアリングに対向して配置され、内部容積部は、第1の軸方向深さを有する第1の部分と、第2の軸方向深さを有する第2の部分とを含み、第1の軸方向深さは、ベアリングの外側レースの径方向外側に配置され、第2の部分は、ベアリングの外側レースの径方向内側に延在する。
【0116】
前段落の電磁コイルアセンブリは、任意選択で、追加的及び/又は代替的に、以下の特徴、構成、及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。
コイルハウジングは、壁によって画定されたノッチを有することができ、ベアリングは、軸方向においてノッチ内に収容される。
内部容積部の第1の部分及び第2の部分は、互いに隣接して開口を有していてもよく、巻線の巻きは、第1及び第2の部分の両方に渡っていてもよい。
巻線の巻回は、内部容積部の第1の部分と第2の部分との両方に渡って延在することができる。
コイルハウジングの内部の巻線の巻線は、軸方向及び径方向の両方向においてベアリングの転動体に少なくとも部分的に及ぶことができる。
コイルハウジングは、カップとして構成することができる。
コイルハウジング内に巻線をポッティングすることができる。
第1及び第2の部分によって形成されるコイルハウジングの内部容積部は、断面がL字形とすることができる。
【0117】
粘性クラッチは、シャフトと、
シャフトと共に常時回転するようにシャフトに回転可能に取り付けられたロータディスクであって、磁束伝導性材料で作られた伝導性部分と、磁束伝導性材料とは異なる材料で作られた別の部分とを含むロータディスクと、
ハウジングと、
ロータディスクとハウジングとの間に画定された作動チャンバとであって、を含むことができ、ロータディスクとハウジングとの間のトルク結合が。当該作動チャンバ内に存在するせん断流体の体積の関数として選択的に提供される作動チャンバと、
せん断流体の供給を保持するためのリザーバであって、流体回路によって作動チャンバに流体接続されるとともにロータディスクによって担持されリザーバと、
流体回路に沿ってリザーバと作動チャンバとの間のせん断流体の流れを制御するバルブであって、電機子を含むバルブと、
コイルの選択的励磁によりバルブの作動を制御する電磁コイルであって、リザーバからロータディスクの反対側に配置される電磁コイルと、
ハウジングを通過する第1の磁束ガイドと、
ハウジングを通過し、第1の磁束ガイドの内側に配置される第2の磁束ガイドがあって、磁束回路が、電磁コイルから第1の磁束ガイドへ、次いでバルブの電機子へ、次いでロータディスクの伝導性部分へ、次いで第2の磁束ガイドへ、次いで電磁コイルへ戻るようになっている第2の磁束ガイド
とを含む。
【0118】
前段落の粘性クラッチは、任意選択で、追加的及び/又は代替的に、以下の特徴、構成、及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。
磁束回路は、電磁コイルと第1の磁束ガイドとの間の第1の空隙、第1の磁束ガイドとバルブの電機子との間の第2の空隙、バルブの電機子とロータディスクの伝導性部分との間の第3の空隙、ロータの伝導性部分と第2の磁束ガイドとの間の第4の空隙、及び第2の磁束ガイドと電磁コイルとの間の第5の空隙を横切る。
第1及び第5の空隙は、それぞれ径方向に向けることができる。
第4の空隙を径方向に向けることができる。
第2の空隙は、径方向に向けることができる。
第3の空隙は、軸方向に配向することができる。
第2の磁束ガイドは、第1のハウジングベアリングによってシャフト上に支持されるハウジングの基体部分のハブを形成することができる。
ハウジングのカバー部分は、第2のハウジングベアリングによってシャフト上に支持することができる。
第1及び第2のハウジングベアリングは、それぞれ、単列ベアリングとすることができる。
ロータディスクの伝導性部分は、シャフト上に支持されるハブを形成することができる。
ロータディスクの伝導性部分は、空隙を挟んで第2の磁束ガイドに面する円筒面を含むことができる。
シャフトは、ハウジングを完全に貫通することができる。
電磁コイルをハウジングの外側に配置することができる。
電磁コイルは、コイルベアリングによってシャフト上に支持することができる。
電磁コイルは、コイルハウジングと、コイルハウジングの内部容積部内に複数の巻回を形成する巻線とを含むことができ、コイルハウジングは、コイルハウジングの外部における最初のステップの内部にコイルベアリングを少なくとも部分的に収容するための階段状の構成を有する。
コイルハウジングの内部容積部は、径方向外側の容積部と径方向内側の容積部とを含むことができ、径方向外側の容積部は、最初のステップの径方向外側に位置し、径方向内側の容積部は、コイルベアリングと重なる。
コイルハウジングの径方向外側の容積部及び径方向内側の容積部は、互いに隣接して開口を有してよく、巻線の巻回は、径方向外側の容積部及び径方向内側の容積部の両方に渡って延在してもよい。
コイルベアリングは、外側レースと、外側レースと係合する転動体とを含むことができる。
コイルハウジングの内部容積部内の巻線の巻回は、コイルベアリングの転動体に軸方向及び径方向の両方向に少なくとも部分的に覆うことができる。
シャフトは、第1の端部に内部係合機構を有し、反対側の第2の端部に内部係合機構を有することができる。
シャフトは、第1の端部に内部係合機構を有し、反対側の第2の端部に外部係合機構を有することもできる。
電機子は、径方向に延びる切欠きと、隣接する軸方向凹部とを有する環状本体を有することができ、バルブは、電機子をロータディスクに可撓的に取り付けるリーフスプリングを含む。
リーフスプリングは、径方向に延びる切欠き及び軸方向の凹部内に全体的に又は部分的に収容することができる。
電機子は、中央開口部とストッパ開口部とを有する環状本体を有することができる。
電機子ストッパは、電機子がロータディスクに向かって駆動されるときに、電機子の環状本体内のストッパ開口部と整列し、その中に突出するように配置され、及び/又は、電機子ストッパは、ロータディスクに固定されることができる。
電機子ストッパは、電機子の移動の軸方向限界を調整するように構成されたねじ込み式に調整可能な部材を含むことができる。
【0119】
粘性クラッチは、シャフトと、シャフトと共に常に回転するようにシャフトに回転可能に取り付けられたロータディスクとを含むことができ、ロータディスクは、磁束伝導性材料で作られた伝導性部分と、異なる材料で作られた別の部分とを含み、伝導性部分は、シャフトと接触するロータディスクのハブを形成する。
粘性クラッチは、基体及びカバーを有するハウジングをさらに含み、この基体は、軸方向に延びる円環を有するハブを含む。
粘性クラッチは、ロータディスクとハウジングとの間に画定される作動チャンバをさらに含み、ロータディスクとハウジングとの間のトルク結合が、当該作動チャンバ内に存在するせん断流体の体積の関数として選択的に提供される。
粘性クラッチは、せん断流体の供給を保持するためのリザーバをさらに含み、このリザーバは作動チャンバに流体接続されており、また、このリザーバはロータディスクによって担持されている。
粘性クラッチは、流体回路に沿ってリザーバと作動チャンバとの間のせん断流体の流れを制御するバルブをさらに含む。このバルブは、ハウジングの基体のハブの軸方向に延びる円環の径方向外側に配置された電機子を含む。
粘性クラッチは、コイルの選択的励磁がバルブの作動を制御する電磁コイルをさらに含む。この電磁コイルは、リザーバからロータディスクの反対側に位置している。
粘性クラッチは、ハウジングを通過する磁束ガイドをさらに含む。磁束回路は、電磁コイルからこの磁束ガイドに、次に、バルブの電機子に、次にロータディスクの伝導性部分に、次にシャフトに、そして最後に電磁コイルに戻るように延びている。
【0120】
前段落の粘性クラッチは、任意選択で、追加的及び/又は代替的に、以下の特徴、構成、及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。
磁束回路は、電磁コイルと磁束ガイドとの間の第1の空隙、磁束ガイドとバルブの電機子との間の第2の空隙、バルブの電機子とロータディスクの伝導性部分との間の第3の空隙、シャフトと電磁コイルとの間の第4の空隙を横断することができる。
第1及び第4の空隙をそれぞれ径方向に向けることができる。
第2の空隙は、径方向に向けることができる。
第3の空隙は、軸方向に配向することができる。
ハウジングの基体は、基体のハブと係合する第1のハウジングベアリングによってシャフト上に支持することができ、ハウジングのカバーは、第2のハウジングベアリングによってシャフト上に支持することができ、第1及び第2のハウジングベアリングは、それぞれ、単列ベアリングとすることができる。
ロータディスクの伝導性部分は、軸方向の空隙を横断して電機子に面する表面を含むことができる。
ロータディスクの伝導性部分は、リザーバから離間して配置することができる。
電磁コイルをハウジングの外側に配置することができる。
電磁コイルは、コイルベアリングによってシャフト上に支持することができる。
電磁コイルは、コイルハウジングと、コイルハウジングの内部容積部内に複数の巻回を形成する巻線とを含むことができ、コイルハウジングは、コイルハウジングの外部における最初のステップの内部にコイルベアリングを少なくとも部分的に収容するための階段状の構成を有する。
コイルハウジングの内部容積部は、径方向外側の容積部と径方向内側の容積部とを含むことができ、径方向外側の容積部は、最初のステップの径方向外側に位置することができ、径方向内側の容積部は、コイルベアリングと重なり合うことができる。
コイルハウジングの径方向外側の容積部及び径方向内側の容積部は、互いに隣接し且つ開いていてもよい。
巻線の巻きは、径方向外側の容積部と径方向内側の容積部との両方に渡って延在することができる。
コイルベアリングは、外側レースと、外側レースと係合する転動体とを含むことができ、コイルハウジングの内部容積部内の巻線の巻回は、軸方向及び径方向の両方において、転動体を少なくとも部分的に覆うことができる。
シャフトは、第1の端部に内部係合機構を有することができ、シャフトは、反対側の第2の端部に内部係合機構を有することができる。
シャフトは、第1の端部に内部係合機構を有することができ、シャフトは、反対側の第2の端部に外部係合機構を有することができる。
電機子は、径方向に延びる切欠きと、隣接する軸方向凹部とを有する環状本体を有することができ、バルブは、電機子をロータディスクに可撓的に取り付けるリーフスプリングを含むことができ、リーフスプリングは、径方向に延びる切欠き及び軸方向凹部内に完全に収容することができる。
電機子は、中央開口部とストッパ開口部とを有する環状本体を有することができ、粘性クラッチは、ロータディスクに固定された電機子ストッパを更に含むことができ、電機子ストッパは、電機子がロータディスクに向かって駆動されるときに電機子の環状本体のストッパ開口部と整列し、その中に突出するように配置することができる。
電機子ストッパは、電機子の移動の軸方向限界を調整するように構成されたねじ込み式に調整可能な部材を備えることができる。
シャフトは、ハウジングを完全に貫通することができる。
ハウジングの基体は、基体のハブと係合する第1のハウジングベアリングによってシャフト上に支持することができ、粘性クラッチは、第1のハウジングベアリングに当接するスペーサを更に含むことができ、スペーサは、径方向にオフセットした前方及び後方接触面を有することができる。
ハウジングの基体は、第1のハウジングベアリングによってシャフト上に支持することができ、ハウジングのカバーは、第2のハウジングベアリングによってシャフト上に支持することができ、第1のハウジングベアリングは、磁束回路の内側に配置することができ、第2のハウジングベアリングは、磁束回路の外側に配置することができる。
ロータディスクは、軸方向オフセットを有することができ、ハウジングの基体のハブの軸方向に延びる円環の遠位端は、軸方向オフセットに隣接するロータディスクと軸方向に重なり合うことができる。
【0121】
粘性クラッチを動作させる方法は、電磁コイルを励磁して磁束を生成するステップと、電磁コイルから粘性クラッチのハウジング内の磁束ガイドに磁束を第1の空隙を横断して通過させるステップと、第1の磁束ガイドからバルブの電機子に磁束を第2の空隙を横断して通過させるステップと、バルブの電機子からロータの伝導性ハブ部分に磁束を第3の空隙を横断して通過させるステップと、バルブを作動させて、粘性クラッチ内のせん断流体の流れを電機子の移動の関数として制御するステップと、ロータの伝導性ハブ部分から活軸に磁束を通過させるステップと、活軸から電磁コイルに磁束を第4の空隙を横断して通過させるステップと、を含むことができる。
【0122】
粘性クラッチを動作させる方法は、電磁コイルを励磁して磁束を発生させるステップと、電磁コイルから粘性クラッチのハウジング内の第1の磁束ガイドに第1の空隙を横断して磁束を通過させるステップと、第1の磁束ガイドからバルブの電機子に第2の空隙を横断して磁束を通過させるステップと、電機子からロータの伝導性部分に第3の空隙を横断して磁束を通過させるステップと、バルブを作動させて、電機子の移動の関数として粘性クラッチ内のせん断流体の流れを制御するステップと、ロータの伝導性部分からハウジング内の第2の磁束ガイドに第4の空隙を横断して磁束を通過させるステップと、第2の磁束ガイドから電磁コイルに第5の空隙を横断して磁束を通過させるステップとを含むことができる。
【0123】
粘性クラッチは、ロータディスクと、
ハウジングと、
ロータディスクとハウジングとの間に画定され作動チャンバであって、ロータディスクとハウジングとの間のトルク結合が当該作動チャンバ内に存在するせん断流体の体積の関数として選択的に提供される作動チャンバと、
ロータディスクによって担持され、流体回路によって作動チャンバに流体接続されるせん断流体の供給を保持するリザーバと、
流体回路に沿って当該リザーバと作動チャンバとの間のせん断流体の流れを制御するバルブであって、径方向に延びる切欠きを有する環状本体とそれに隣接する軸方向凹部とを有する電機子を備えるとともにこの電機子をロータディスクに撓み可能に取り付けるリーフスプリングをさらに含み、当該リーフスプリングは径方向に延びる切り欠き及び軸方向凹部内に完全に収容されようになっているバルブと、
コイルの選択的励磁によりバルブ制御する電磁コイルと、を備える。
【0124】
粘性クラッチは、ロータディスクと、
ハウジングと、
ロータディスクとハウジングとの間に画定され作動チャンバであって、ロータディスクとハウジングとの間のトルク結合が当該作動チャンバ内に存在するせん断流体の体積の関数として選択的に提供される作動チャンバと、
ロータディスクによって担持され、流体回路によって作動チャンバに流体接続されるせん断流体の供給を保持するリザーバと、
流体回路に沿ってリザーバと作動チャンバとの間のせん断流体の流れを制御するバルブであって、中央開口部及びストッパ開口部を備える環状本体を有する電機子を含むバルブと、
バルブの作動を制御する電磁コイルと、
ロータディスクに固定された電機子ストッパであって、電機子が電機子ディスクに向かって駆動されたとき、ストッパ開口部に整列され、電機子の環状本体のストッパ開口部内へに突出する電機子ストッパと、を含む。
【0125】
前段落の粘性クラッチは、任意選択で、追加的及び/又は代替的に、以下の特徴、構成、及び/又は追加の構成要素のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。電機子ストッパは、電機子の動きの軸方向限界を調整するように構成されたねじ込み式に調整可能な部材を備えることができる。
【0126】
「実質的に」、「本質的に」、「一般的に」、「おおよそ」などの、本明細書で使用される任意の相対的な用語又は程度の用語は、本明細書で明確に述べられる任意の適用可能な定義又は制限に従って解釈されるべきであり、それに従うべきである。すべての場合において、本明細書で使用される任意の相対的な用語又は程度の用語は、任意の関連する開示された実施形態、ならびに、本開示の全体を考慮して当業者によって理解されるような範囲又は変形を広く包含するように解釈されるべきであり、例えば、通常の製造公差の変動、付随的な位置合わせの変動、熱、回転、又は振動動作条件などによって引き起こされる過渡的な位置合わせ又は形状の変動などを包含するように解釈されるべきである。更に、本明細書で使用される任意の相対的な用語又は程度の用語は、あたかも、所与の開示又は記載において適格な相対的な用語又は程度の用語が利用されなかったかのように、指定された品質、特性、パラメータ又は値を変更なしに明確に含む範囲を包含すると解釈されるべきである。
【0127】
本発明は好ましい実施形態に関して説明されているが、当業者であれば、様々な変更が本発明の精神及び範囲から逸脱することなく形状及び細部になされてもよいことは認識できる。例えば、本発明のクラッチは、軽量用途向けとして説明されているが、中型又は重量用途向けにスケールアップすることもできる。更に、一実施形態に関して説明した特徴及び構成を、必要に応じて別の実施形態に組み込むことができる。