(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項2記載の分光分析装置において、前記選択した電圧は、イオンを前記イオン化装置から前記検出器に向けて移動させる電圧プロファイル、及び前記電圧プロファイルに沿う前記第1電極の位置に基づいて選択する、分光分析装置。
請求項3記載の分光分析装置において、前記電圧供給器は、前記第1電極と前記第2電極との間にDC電圧差を生ずるよう構成し、前記DC電圧は、前記第1電極と前記第2電極との間の前記電圧プロファイルに沿う電圧差に対応する、分光分析装置。
請求項1〜5のうちいずれか一項記載の分光分析装置において、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくとも一方は、前記イオンの移動方向を横切って配列した導体を有し、前記導体間に前記イオンが移動できる間隙を設け、また前記第1電極及び前記第2電極のうち他方の電極は、前記間隙を通過するイオン経路における移動方向を横切って配列した導体を有する、分光分析装置。
請求項9又は10記載のイオン移動度分光分析装置において、前記イオン改質器は、前記ドリフトチャンバ及び前記イオン化チャンバのうち一方のチャンバ内に配置する、イオン移動度分光分析装置。
請求項11記載のイオン移動度分光分析装置において、前記ドリフトチャンバに沿って、また前記イオン改質器を通過するドリフトガスの流れを生ずるよう配置したドリフトガス入口及びドリフトガス出口を備える、イオン移動度分光分析装置。
請求項9〜12のうちいずれか一項記載のイオン移動度分光分析装置において、前記電圧供給器は、前記第1電極の電圧を前記第2電極の電圧よりも少なく変化させるよう構成する、イオン移動度分光分析装置。
請求項9〜13のうちいずれか一項記載のイオン移動度分光分析装置において、前記電圧供給器は、前記第2電極の電圧を前記第1電極の電圧よりも迅速に変化させるよう構成する、イオン移動度分光分析装置。
請求項9〜13のうちいずれか一項記載のイオン移動度分光分析装置において、前記経時変化電圧は、前記第1電極及び前記第2電極に供給される前記等しい振幅の経時変化電圧とし、前記第2電極に供給される電圧は、前記第1電極に供給される電圧とは逆位相とする、イオン移動度分光分析装置。
請求項9〜15のうちいずれか一項記載のイオン移動度分光分析装置において、前記第1電極及び前記第2電極は、前記イオンの移動方向に互いに離間させ、また前記電圧供給器は、前記イオンを前記イオン化装置から前記検出器に向けて移動させる電圧プロファイル、及び前記電圧プロファイルに沿う前記第1電極の位置に基づいて、前記第1電極の電圧を保持するよう構成する、イオン移動度分光分析装置。
請求項9〜16のうちいずれか一項記載のイオン移動度分光分析装置において、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくとも一方は、前記イオンの移動方向を横切って配列した導体を有し、前記導体間に前記イオンが移動できる間隙を設け、また前記第1電極及び前記第2電極のうち他方の電極は、前記間隙を通過するイオン経路における移動方向を横切って配列した導体を有する、イオン移動度分光分析装置。
請求項9〜16のうちいずれか一項記載のイオン移動度分光分析装置において、前記第1電極及び前記第2電極は、前記イオンの移動方向に互いに分離されている、イオン移動度分光分析装置。
請求項9〜19のうちいずれか一項記載のイオン移動度分光分析装置において、前記イオン改質器は、前記ドリフトチャンバの領域によって前記検出器から分離されており、前記ゲートは、前記イオン化装置から前記領域へのイオンの通過を制御する、イオン移動度分光分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面において、同一参照符号は同一素子を示すのに使用する。
【0011】
図1はイオン移動度分光分析装置(IMS)100の部分断面図である。
図2は同一分光
分析装置の概略図を示す。
図2における挿入
図Aは、
図2に示すA−A線上から見た2つ
の電極126,127の配列を示す。
【0012】
図1及び
図2に示す分光分析装置はイオン化装置102を有し、このイオン化装置10
2はゲート106によってドリフトチャンバ104から分離される。ゲート106はイオ
ン化装置102からドリフトチャンバ104内へのイオン通過を制御することができる。
図示のように、IMS100は、物質を関心対象サンプルからイオン化装置に導入するこ
とができる入口108を有する。
【0013】
図1に示す実施例において、ドリフトチャンバ104はイオン化装置102と検出器1
18との間に位置し、したがって、イオンはドリフトチャンバ104を移動することによ
って検出器118に到達することができる。ドリフトチャンバ104は、ドリフトチャン
バ104に沿って電圧プロファイルを印加する一連のドリフト電極120a,120bを
有し、イオンをイオン化装置102からドリフトチャンバ104に沿って検出器118に
向かって移動させる。
【0014】
IMS100は、イオンが検出器118まで移動するのとはほぼ反対方向へのドリフト
ガスの流れを生ずるよう構成することができる。例えば、ドリフトガスは検出器118の
近傍からゲート106に向かって流れることができる。図示のように、ドリフトガス入口
122及びドリフトガス出口124を使用してドリフトガスをドリフトチャンバに通過さ
せることができる。ドリフトガスの例としては、限定しないが、窒素、ヘリウム、空気、
再循環させる空気(例えば、清浄化及び/又は乾燥化した空気)等々がある。
【0015】
検出器118は信号をコントローラ200に供給するよう接続することができる。コン
トローラ200が検出器118からの電流を使用して、イオンが検出器118に到達した
ことを推測し、またイオンの特性は、イオンがゲート106からドリフトチャンバ104
に沿って検出器118まで通過するのに要した時間に基づいて決定することができる。検
出器118の実施例は、イオンが検出器118の到達したことを表している信号を供給す
るよう構成する。例えば、検出器は、帯電させてイオンを捕捉する導電性電極(例えば、
ファラデー板)を有する。
【0016】
電極120a,120bは、イオンを検出器118に向けて案内するよう配列し、例え
ば、このドリフト電極120a,120bは、イオンを検出器118に集中させるようド
リフトチャンバ104の周りに配置するリングを有することができる。
図1の実施例は、
2個のみの電極120a,120bを有するが、幾つかの実施例においては、複数個の電
極を使用するか、又は単独の電極を検出器118と組み合わせて使用し、イオンを検出器
118に向けて案内する電界を印加することができる。
【0017】
イオン改質器電極126,127は、ゲート電極106から離して配置することができ
る。図示のように、イオン改質器電極126,127は、ドリフトチャンバ内でゲート電
極と検出器との間に配列する。実施形態において、イオン改質器電極は、イオン化チャン
バ内、例えば、入口108とゲート106との間に配列することができる。
【0018】
イオン改質器電極126,127それぞれは、ドリフトチャンバを横切って配列した導
体アレイを有することができる。図示のように、イオン改質器電極126,127それぞ
れの導体は、イオンが電極を通過できる間隙を有し、この間隙を通ってイオンが移動する
。一実施例において、イオンは電極126の導体間の間隙を通過して、電極126,12
7間における領域129に進入し、また電極127の導体間における間隙を経由して領域
129から退出する。イオンが電極126,127間の領域内にある間にイオンは交流(
RF)電界に晒される。
【0019】
図1に示すように、電圧供給器202をコントローラ200によって制御するよう接続
する。電圧供給器202は、イオン化装置102に電圧を供給し、サンプルからの物質を
イオン化できるよう接続する。実施形態において、電圧供給器202はゲート電極106
に接続し、イオンのイオン化チャンバからドリフトチャンバ104への通過を制御する。
電圧供給器202はドリフト電極120a,120bに接続して、イオンをイオン化装置
102から検出器118に移動させる電圧プロファイルを生ずるようにする。
図1に示す
ように、電圧供給器202は交流RF電圧をイオン改質器電極126,127に供給する
よう接続する。2個のイオン改質器電極126,127のうち一方の電圧を他方における
電圧に対して制御することによって、電圧供給器は、第1電極と第2電極との間に経時変
化電圧を生ずることができる。経時変化電圧は、少なくとも2.5MHzの周波数を有す
る。実施形態において、この周波数は、少なくとも3MHz又は少なくとも5MHzとし
、幾つかの実施形態においては少なくとも6MHzとする。実施形態においてこの周波数
は100MHz未満とし、幾つかの実施形態においては50MHz未満、幾つかの実施形
態においては20MHz未満、幾つかの実施形態においては15MHz未満、又は10M
Hz未満とする。例えば、この周波数は、3MHz〜20MHzの間、又は6MHz〜1
2MHzの間とすることができる。幾つかの実施形態において、この周波数は約8MHz
とする。
【0020】
実施形態において、電圧供給器は、第1電極の電圧を制御し、第2電極の電圧よりも少
なく変化させるよう構成する。実施例において、イオン改質器電極126,127のうち
一方の電圧変化の振幅(大きさ)は、他方のイオン改質器電極における変化の振幅より小
さくすることができる。例えば、電圧供給器202は、直流(DC)基準電圧に基づいて
一方のイオン改質器電極の電圧を制御し、一方の電極の電圧を一定にし、他方の電圧を変
化させるようにすることができる。一実施例において、電圧供給器はイオン改質器電極1
26,127の電圧を制御し、それぞれの変化は、正弦波、矩形波、鋸歯状波、又はパル
ス列となるようにすることができ、一方のイオン改質器電極における電圧変化の振幅が他
方のイオン改質器電極における電圧変化よりも小さくなるようにすることができる。実施
形態において、イオン改質器電極に対して非対称の電圧を印加することによって、分光分
析装置の他のコンポーネントとの望ましくないRF電界結合を減少することができ、また
このことにより、分光分析装置からの電磁干渉の望ましくない漏洩を減少することができ
る。
【0021】
電圧供給器202は2個のイオン改質器電極の電圧を制御して、選択した位相差で変化
させることができ、例えば、電圧コントローラは、2個のイオン改質器電極126,12
7の電圧を制御して、一方の電極が正電圧偏位を生じている間に他方の電極が負電圧偏位
を行うようにすることができる。例えば、電圧供給器202は、2個のイオン改質器電極
126,127の電圧を制御して、反位相で変化させることができる。2個の電極の電圧
偏位は同一振幅となるようにすることができる。
【0022】
幾つかの実施例において、電圧供給器はイオン改質器電極126,127のうち一方の
電圧を制御し、イオン改質器電極126,127のうち他方の電圧よりも一層迅速に変化
させる。例えば、一方のイオン改質器電極126,127は基準電圧(DC電圧とするこ
とができる)に接続することができるとともに、他方のイオン改質器電極はRF電圧のよ
うな交流電圧に接続することができる。
【0023】
上述したように、ドリフト電極120a,120bは、イオンをドリフトチャンバに沿
って移動させる電圧プロファイルを生じ、これによりイオンはイオン化装置から検出器に
向かって移動する。
図1及び
図2に示すように、第1イオン改質器電極126及び第2イ
オン改質器電極127はイオンの移動方向に互いに離して配置することができる。実施形
態において、電圧供給器は、イオン改質器電極126,127のうち少なくとも一方の電
圧を、ドリフトチャンバ104に沿うイオン改質器電極126,127の位置に基づいて
、またドリフト電極120a,120bにより生ずる電圧プロファイルに基づいて制御す
るよう構成する。実施形態において、イオン改質器電極の時間平均電圧は、この電圧プロ
ファイルに基づいて選択する。実施形態において、電圧供給器202は、イオン改質器電
極間でオフセットしたDC電圧を供給する。このDC電圧オフセットは、イオン改質器電
極126,127間の間隔及び電圧プロファイルに基づくものとすることができる。
【0024】
図1及び
図2に示すように、イオン改質器電極126,127それぞれは、導体グリッ
ドを有する。
図2に示すようにイオン改質器電極126,127は互いに平行にする。実
施形態において、グリッドは、イオンのイオン化装置から検出器への移動方向を横切って
(例えば、移動方向に対して交差する又は直交する方向)に配列する。
【0025】
検出器に向かって移動するイオンは、イオン改質器電極126の導体間における間隙を
通過してイオン改質器電極126,127間の領域129内に進入し、この領域129で
高周波(RF)電界に晒される。
【0026】
検出器118に対してより近接するイオン改質器電極127は、この電極127の導体
が他方のイオン改質器電極における間隙を経て移動するイオンの経路に位置するよう配列
する。
図2の挿入
図Aに詳細に示すように、一方の電極127における導体は、他方の電
極126における間隙を少なくとも部分的に遮ることができる。このことにより、イオン
改質器によって娘イオンに変換される親イオンの数を増加することができる。電極126
の導体は電極127の導体に平行であるように示す。実施形態において、電極126,1
27は互いに平行な平面上に配列するが、2個の電極126,127の導体は互いに角度
的にオフセットし、一方のイオン改質器電極の導体が他方のイオン改質器電極の間隙を通
過して移動するイオンの経路上に位置するように配列する。実施形態において、電極12
6,127は互いに平行な平面上に配列するが、2個の電極126,127の導体はイオ
ン移動方向を横切る方向に互いに側方にオフセットし、一方のイオン改質器電極126の
導体が、他方のイオン改質器電極127の間隙を通過するイオン経路上に位置させる。幾
つかの実施例において、これら特徴を組み合わせて、2個のイオン改質器電極126,1
27の導体を側方及び角度的の双方に関してオフセットさせることができる。
【0027】
実施形態において、分光分析装置及び電圧供給器は共通ハウジング内に収納することが
できる。
【0028】
実施形態において、イオン改質器電極126,127はドリフトチャンバ内に配置する
ことができる。イオン改質器電極はドリフトチャンバに沿ってゲート電極から離して配置
することができる。ゲート電極106からの間隔は、少なくとも0.5mm、例えば、少
なくとも2mm、実施形態においては少なくとも4mm、実施形態においては少なくとも
6mm、又は少なくとも7mmとすることができる。実施形態において、この間隔は15
0mm未満、又は100mm未満、例えば、50mm未満とすることができる。
【0029】
電極126,127はワイヤメッシュを有することができる。メッシュは、繰返し正方
形パターンとなるよう配列した導体の格子とすることができる。導体は少なくとも10μ
m、例えば、30μm未満の太さを有することができる。メッシュのピッチは、少なくと
も200μm、例えば、500μm未満とすることができる。2個のメッシュは互いに少
なくとも0.1mm、例えば、少なくとも0.15mmだけ互いに離れ、例えば、0.4m
m未満、例えば、0.3mm未満だけ互いに離れるようにすることができる。
【0030】
一実施形態において、ゲート106に最も近い電極126をドリフト領域内でゲート1
06から7mmの位置に配列する。この実施形態において、イオン改質器電極間の間隔を
0.2mmとし、また電極は、正方形パターンを持つメッシュを有する。この実施形態に
おいて、メッシュの導体は21μmの太さを有し、また363μmのピッチにして配列す
る。導体はワイヤとする。
【0032】
図3に示すように、イオンを改質する方法は、関心対象サンプルから分光分析装置のイ
オン化チャンバへの物質を取得するステップ300と、物質をイオン化するステップ30
2とを有する。次に、ゲート電極が動作してイオンをイオン化チャンバから検出器に向け
て移動させるステップ306を行う。検出器に向かう経路上でイオンはイオン改質領域を
移動することができる。実施形態において、
図3に示す方法は、その領域において少なく
とも2.5MHzの周波数で変化する経時変化電界を受けるステップ308を有する。次
にステップ310として、イオンは検出され、またゲートから検出器までの飛行時間に基
づいて分析される。
【0033】
実施形態において、本発明
の方法は、領域
の一方
の側面における電圧が、領域の他方
の側面における電圧よりも少ない変化をするよう制御するステップを有する。例えば、領域の一方
の側面における電圧を、領域の他方
の側面における電圧よりも一層迅速に変化させるよう制御することができる。
【0034】
分光分析において、イオン計数はプラズマグラムにおけるピークによって測定すること
ができ、またピークの高さは、特定時間に検出器に到達するイオン数の指標となり得る。
イオン改質によって生ずるイオンは、「娘イオン」と称することができ、娘イオンを生ず
る元イオンを「親イオン」と称することができる。
【0035】
図4は、シクロヘキサノールの親イオンに関連するピーク高さに対する改質さされた娘
イオンに関連するピーク高さの比をプロットした3つの曲線を表しているグラフ400を
示す。
【0036】
図4に示すグラフにおいて、x軸402は、
図1及び
図2に示す電極126,127の
ようなイオン改質器電極に印加する高周波電圧における振幅(大きさ)を示す。
【0037】
y軸404は、娘イオンの個数の親イオンの個数に対する比を示す。
【0038】
グラフでプロットした第1曲線406は、RF電圧の周波数が1.9MHzにおけるR
F電圧振幅の関数としての比を示す。グラフでプロットした第2曲線408は、RF電圧
の周波数が2.5MHzにおけるRF電圧振幅の関数としての比を示す。グラフでプロッ
トした第3曲線410は、RF電圧の周波数が2.8MHzにおけるRF電圧振幅の関数
としての比を示す。
【0039】
図4から分かるように、所定RF電圧振幅で発生する娘イオン数は、一貫してRF周波
数が大きくなればなるほど多くなり、また2.5MHzまで周波数を増加させると極めて
著しい効果を有し、2.8MHzまでの増加はそれより幾分よい効果が得られる。幾つか
の実施形態において、このより高い周波数のRF使用によれば、1.9MHzの周波数と
比較すると、所定電圧における比が倍以上になる。本明細書の文脈から理解できるように
、このことは、所定感度を得るのに必要な電圧を減少することによって大きな効率利得を
もたらす。
【0040】
図4から分かるように、1500VのRF電圧振幅において、娘イオンのピーク高さは
、周波数が1.9MHzであったときの親イオンピーク高さの1.5倍であったが、周波数
を2.8MHzに増加させたとき、1500Vにおいて、断片ピーク高さは親イオンピー
ク高さの3倍であった。
【0041】
理論に縛られるつもりはないが、1.9MHzの周波数において、イオンがRF波形の
半分を移動する距離は2個のイオン改質器電極126,127間の距離に相当するものと
思われる。したがって、イオンは、周波数が増大したとき晒されるような多くのRFサイ
クルに晒されることはない。換言すれば、イオンが2MHzサイクルの半分で1秒あたり
1000メートルの速度を有する場合、印加電圧が矩形波であるとして0.25mm、又
は印加電圧が正弦波であるとして0.176mm移動する。イオン改質器電極間の間隔が
0.25mm又はそれより小さい場合、単に2、3サイクル後にイオンはイオン改質器か
ら脱出する。周波数が6MHz又は8MHzまで増加するとき、サイクルの半分で移動す
る距離は減少する(例えば、8MHzで0.044mmになる)。したがって、イオンは
イオン改質器を脱出する前により多くのサイクルに晒され、また分裂又は何らかの他の分
子転換を生ずる十分高い結合エネルギーを有する衝突に晒されるイオンの確率が増大する
。
【0042】
幾つかの実施形態において、例えば、8MHz〜10MHz間のより高い周波数でさえ
、イオン改質器におけるイオン喪失を減少させることができ、繰り返し言うが理論に拘泥
するつもりはないが、このことは、イオンが「後戻りできないポイント」(導体に引き寄
せられる)に到達する前にイオン改質器電極の導体により一層近接できるからである。し
たがって、ワイヤに衝突するイオンがより少なくなり、ひいてはより多くのイオンがイオ
ン改質器を通り抜けて存続し、感度を一層向上することができる。
【0043】
図5はこの感度向上を表すグラフ500を示す。
【0044】
図5に示すグラフ500にてx軸502は、
図1及び
図2に示す電極126,127の
ようなイオン改質器電極に印加する高周波電圧の振幅を示す。この実施例における親イオ
ンは陰イオンモードの反応イオンを含む。
【0045】
y軸504は、イオン改質器電極がx軸502に示す電圧で動作させた状態でイオン改
質器電極がピーク高さまで動作しない(オフ状態になる)ときのピーク高さと比較した正
規化ピーク高さの比を示す。
【0046】
グラフ上にプロットした第1曲線506は、RF電圧の周波数が3MHzである場合の
RF電圧振幅の関数としての比を示す。グラフ上にプロットした第2曲線508は、RF
電圧の周波数が10MHzである場合のRF電圧振幅の関数としての比を示す。より高い
周波数を使用する場合イオン喪失の大きな減少が見られ、このことは、とくに、より大き
い電圧振幅で言える。
【0047】
図4、
図6及び
図7において、それぞれは、改質された娘イオンに関連するピーク高さ
の、親イオンに関連するピーク高さに対する比をプロットした3つのグラフ600,70
0を示す。
図4、
図6及び
図7において、同様の参照符号は同様の要素を示すのに使用す
る。
【0048】
図6に示す実施例600において、親イオンはホスホン酸ジイソプロピルメチル(DI
MP)を含む。
【0049】
図7に示す実施例700において、親イオンはアセトンを含む。
【0050】
当然のことながら、本明細書の文脈において、RF電界は、イオンを改質するようエネ
ルギーを印加する(例えば、イオンにエネルギーを加えて有効温度に上昇させる)のに適
切な周波数特性を有する任意の交流電界とする。
【0051】
本明細書の文脈から、当業者には他の実施例及び改変もあり得ることは明らかであろう
。
【0052】
本発明の態様は、本明細書に記載の方法のうち任意な1つ又は複数の方法を実施するた
めの、コンピュータプログラム製品、及び例えば、命令を格納してプロセッサをプログラ
ムする非一時的有形媒体のようなコンピュータ可読媒体を提供する。装置の他の改変及び
変更は当業者にとって本明細書文脈から明らかであろう。