【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、事前形成穴なしで少なくとも1つの構成要素を第2の構成要素に接合する方法であって、
a.高強度材料製である第1の構成要素と、第2の構成要素とを、少なくとも部分的に一方が他方の上に配置される状態で準備するステップと、
b.接合装置と補助接合要素とを準備するステップと、
c.該接合装置によって該第1の構成要素に向かって接合軸に沿って動かされて、最初に事前形成穴のない接合区域の領域内で第1の構成要素を貫通し、次いで事前形成穴のない接合区域の領域内で第2の構成要素に達するようにされた補助接合要素によって、第1及び第2の構成要素を互いに接合するステップと、
を含み、
接合に先立って、接合区域の領域内における第1の構成要素が、一方で第1の構成要素と他方で接合要素上に設けられた電極との間に形成される電気アークによって、第1の構成要素の接合区域上に熱影響域が形成されるように熱処理され、第1の構成要素が、該熱影響域内において第1の構成要素の強度が低下するように加熱されることとを特徴とする、方法を提供する。
【0008】
このように、第1の構成要素と第2の構成要素との間の接続の前に、第1の構成要素は、一方で第1の構成要素と他方で接合要素上に設けられた電極との間に形成された電気アークによって、いずれにしても第1の構成要素上の接合区域内に熱影響域が形成されるように接合区域の領域内で局所的に熱的事前処理され、この熱影響域内で第1の構成要素が加熱され、熱影響域内の第1の構成要素の強度が低下するように、及び/又は、第1の構成要素が熱影響域で溶融するようになる。この方法は、第1及び第2の構成要素が互いに関して位置決めされるようにして行われる。本発明による方法は、片側からのアクセスで実行可能である。それゆえ、2つ以上の構成要素の接合は、接合部の両側からのアクセスを必要としない。第2の構成要素は、分離されない。異なる材料を互いに接合することができる。例えば、第1の構成要素は鋼製、第2の構成要素はアルミニウム製であってもよく、又はその逆であってもよい。補助接合要素は、種々の材料製とすることができる。
【0009】
熱影響域又は接合ゾーン若しくは接合区域内で高強度材料製の第1の構成要素の強度が選択的に低下するので、これは、第1の構成要素及び随意付加的に第2の構成要素内に事前穴を形成することを必要とせず、及び/又は接合力を許容できないほど高くすることなく、第1の構成要素を通して補助接合要素を案内することができ、これを第2の構成要素に接続することができるという利点を提供する。このことにより、この方法の固有の部分として、特に穴の事前穿孔又は打抜きのプロセスステップが割愛され、事前打抜き部の作成と構成要素の接続との間で構成要素の位置が変化することが防止されるので、接合プロセスが単純化される。例えば、くぎ、ボルト、半中空ポンチリベット又はFDSねじを補助接合要素として用いることができる。
【0010】
本発明の文脈において、室温での強度が少なくとも600MPaの場合、高強度材料という。
【0011】
本発明の意味における電気アークは、移動型電気アーク又は非移動型電気アーク(プラズマジェット)とすることができる。好ましい実施形態において、電気アークは、接合軸のまわりに環状に形成される。
【0012】
好ましい実施形態において、電気アークは、補助接合要素の外側部を囲む。例えば、補助接合要素は、円筒形本体を備え、電気アークは、円筒形本体を少なくとも部分的に取り囲む。
【0013】
好ましい実施形態において、第1の構成要素の熱処理の間、接合装置上に配置された保護ガスノズルを介して保護ガスが供給される。保護ガスは、電気アークを生成するために用いられる。保護ガスは、(非消耗)電極及び/又は溶融物を酸化の影響から保護する。
【0014】
好ましい実施形態において、保護ガスノズルは、環状であり、及び/又は第1の構成要素に距離を置いて面する開口部を含む。例えば、保護ガスノズルは、電気アーク又は電極を囲む。
【0015】
好ましい実施形態において、補助接合要素は、接合ポンチを介して接合軸に沿って駆動される。このとき熱影響域内で第1の構成要素の十分な軟化又は溶融が得られているならば、補助接合要素は、接合ポンチを介して熱影響域内に導入される。
【0016】
好ましい実施形態において、接合ステップの間、補助接合要素を接合軸のまわりで回転させる。
【0017】
好ましい実施形態において、接合ステップの間、接合区域の領域内で第2の構成要素にダイが押し付けられる。ダイを第2の構成要素に押し付けることによって、接合プロセスの間の第1の構成要素及び/又は第2の構成要素の変形を有利に防止することができる。ダイは、これに関連して、接合プロセスの間に接合スタンプを介して補助接合部分に及ぼされる接合力を吸収する。
【0018】
好ましい実施形態において、ダイは、補助接合要素と同軸に配置される。
【0019】
好ましい実施形態において、電極は、ディスポーザブル電極である。例えば、電極は、環状電極である。電極は、非消耗電極であってもよく、これは数回再使用することができる。
【0020】
電極は、第1の構成要素の上方、かつ構成要素の接続が意図された接合区域の上方に配置することができる。補助接合要素は、非消耗電極内で送られ、接合軸方向で調整可能な接合スタンプ又はポンチの下に固定される。接合スタンプは、特に並進直線運動、及び随意的付加的に回転運動を行うことができる。接合プロセスの間に両方の運動を重ね合わせることができる。
【0021】
電気アークは、上方の構成要素(又は第1の構成要素)と非消耗(又はディスポーザブル)電極との間で点火される。特に、電極構成要素間で燃焼するプラズマアーク(プラズマジェット)が提供される。第1の構成要素が電気回路の一部ではない無移送電気アークを組み込むこともできる。電気アークを介して第1の構成要素に供給される熱エネルギーは、第1の構成要素の強度(及び随意に第2の構成要素の強度)を低下させるように、第1の構成要素(及び随意に第2の構成要素)を加熱する。例えば、熱影響域内の第1の構成要素上で局所的に溶融物を生成させることができる。
【0022】
好ましい実施形態において、ディスポーザブル電極は、接合ステップの後、第1及び/又は第2の構成要素に当接するように補助接合要素によって保持される。
【0023】
好ましい実施形態において、補助接合要素は、第2の構成要素を貫通して案内される。あるいは、補助接合要素は、第2の構成要素内に案内されるが第2の構成要素を貫通しないようにすることができる。
【0024】
好ましい実施形態において、補助接合要素は第2の構成要素内で変形する。特に、補助接合要素は、接合軸に対して半径方向外方に曲がる。補助接合要素の成形及び曲がりに起因して、特に2つの構成要素のシームレスな接続が補助接合要素によって生成される。
【0025】
好ましい実施形態において、熱影響域の領域が冷却され、一方で補助接合要素と他方で第1の構成要素及び/又は第2の構成要素との間に一体接合接続が形成される。
【0026】
好ましい実施形態において、補助接合要素の外側部は、パターンを備え、その結果、一方で第1の構成要素及び第2の構成要素と他方で補助接合要素との間に摩擦係合接続及び/又は噛合い接続が生成されるように、第1の構成要素及び/又は第2の構成要素の熱影響域の領域内で接合ステップの間にグリッピングがもたらされる。パターンは、アンダーカットとすることができる。例えば、補助接合要素及び第1の構成要素は、溶接、欠陥のはんだ付け又は合金相(intermetallic phase)によって、一体結合するように冶金学的に接続される。
【0027】
好ましい実施形態において、接合ステップに先立って、第2の構成要素は、第2の構成要素の熱影響域内で電気アークによって加熱され、ここで電気アークは、第2の構成要素の熱影響域内で第2の構成要素の強度が低下するように及び/又は第2の構成要素が熱影響域内で溶融するように、第2の構成要素と更なる電極とによって点火される。
【0028】
一方で第1の構成要素に関連付けられた電極と、他方で第2の構成要素に関連付けられた更なる電極とを設けることによって、事前打抜きなしで2つの高強度構成要素を有利に接続することができる。この目的で、2つの構成要素の各々が熱影響域内で加熱され、加熱の結果として両方の構成要素の強度が局所的に低下し又は溶融物が局所的に生成され、その結果、小さい力の印加で補助接合要素を第1の構成要素を貫通して案内することができ、これを第2の構成要素に接続することができる。この点に関して、補助接合要素は、第2の構成要素を貫通して案内することもでき、又は第2の構成要素を貫通することなく第2の構成要素の中に案内することもできる。
【0029】
第1の構成要素の強度の低下に加えて第2の構成要素も加熱した場合、第2の構成要素の強度が低下し、補助接合要素を導入するために印加する力を更に低減することができ、その結果、特にプロセスを加速することができ又はサイクルタイムを増大することができ及び/又は接合力を低減することができる。
【0030】
好ましい実施形態において、第1の構成要素に関連付けられた電極と、第2の構成要素に関連付けられた更なる電極とが同軸に配置され、及び/又は互いに対向して配置される。
【0031】
好ましい実施形態において、一方で電極と第1の構成要素との間の電気アークと、他方で更なる電極と第2の構成要素との間の電気アークとが、特に同時に又は時間が重複するように点火される。補助接合要素は、第1の電気アーク及び第2の電気アークが点火及び/又は消火されている間に、接合ポンチによって動かすことができ、又は第2の構成要素に接合することができる。
【0032】
ひとたび接合ポンチが補助接合要素をその終端位置(すなわち、第1及び第2の構成要素の接合が行われ得る位置)にもってくると、その後に非消耗電極(非消耗電極が用いられている場合)及び接合ポンチの戻り行程が続く。熱影響域は冷却され、材料はその高強度を回復する。補助接合要素を介した第2の構成要素に対する第1の構成要素の接続が最終的に生成される。
【0033】
本発明によれば、第1の構成要素の加熱と補助接合要素の導入とが時間的に重複すること又は逐次的に行われることを規定することができる。
【0034】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として提供される以下の実施形態の説明から容易に明らかになるであろう。