特許第6907417号(P6907417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6907417訓練コンテンツ作成制御装置、訓練コンテンツ作成制御方法、および訓練コンテンツ作成制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907417
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】訓練コンテンツ作成制御装置、訓練コンテンツ作成制御方法、および訓練コンテンツ作成制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20210708BHJP
   G09B 19/24 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   G06T19/00 A
   G09B19/24
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-547234(P2020-547234)
(86)(22)【出願日】2019年11月27日
(86)【国際出願番号】JP2019046292
(87)【国際公開番号】WO2021019799
(87)【国際公開日】20210204
【審査請求日】2020年9月9日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/029415
(32)【優先日】2019年7月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 貴之
(72)【発明者】
【氏名】土屋 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】大西 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】菊地 克朗
(72)【発明者】
【氏名】成田 賀仁
【審査官】 真木 健彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−187741(JP,A)
【文献】 特開2000−050445(JP,A)
【文献】 特開2008−123061(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0243013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G09B 19/24
G09B 9/00
G06F 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイに表示された仮想空間内で対象機器の保守作業の訓練を行うための保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを作成する際の動作制御を行う訓練コンテンツ作成制御装置であって、
前記対象機器の部品および前記部品の取り扱い時に使用する工具の3次元オブジェクトデータを格納する3DCGオブジェクトデータベースと、
回転運動を行う部品および工具の前記3次元オブジェクトデータに対して、基準点および回転軸をあらかじめ設定するローカル座標系設定部と、
前記3次元オブジェクトデータを前記仮想空間内に配置して、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示データ出力部と、
前記基準点および前記回転軸がそれぞれ設定された前記部品および前記工具の組み合わせが選択された場合、選択された部品および工具のそれぞれの基準点を前記仮想空間内の同一位置座標に配置するとともに、選択された部品および工具のそれぞれの回転軸を一致させるように、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示位置変更部と、
を有することを特徴とする訓練コンテンツ作成制御装置。
【請求項2】
前記表示位置変更部は、選択された部品の前記仮想空間内の位置座標および回転軸を維持したまま、選択された工具の前記仮想空間内の位置座標および回転軸を、選択された部品の前記仮想空間内の位置座標および回転軸に一致させることを特徴とする請求項1に記載の訓練コンテンツ作成制御装置。
【請求項3】
選択された工具の前記仮想空間内の位置座標および回転軸を、選択された部品の前記仮想空間内の位置座標および回転軸に一致させる際に前記部品に対して前記工具を移動させることで、前記部品に対する工具の移動を表すアニメーションを作成する移動アニメーション作成部を有することを特徴とする請求項2に記載の訓練コンテンツ作成制御装置。
【請求項4】
前記3次元オブジェクトデータは、少なくとも部品と工具との識別が可能な属性情報を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の訓練コンテンツ作成制御装置。
【請求項5】
前記表示位置変更部により前記基準点および前記回転軸を一致させた部品および工具を前記仮想空間内の前記回転軸を中心として回転させて、前記部品および工具の回転運動を表すアニメーションを作成する回転アニメーション作成部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の訓練コンテンツ作成制御装置。
【請求項6】
前記表示位置変更部により前記基準点および前記回転軸を一致させた部品および工具を前記仮想空間内の前記回転軸を中心として回転させるとともに前記回転軸方向に直線移動させて、前記部品および工具の回転運動および直線移動運動を表すアニメーションを作成する回転アニメーション作成部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の訓練コンテンツ作成制御装置。
【請求項7】
ディスプレイに表示された仮想空間内で対象機器の保守作業の訓練を行うための保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを作成する際の動作制御を行う訓練コンテンツ作成制御方法であって、
前記対象機器の部品および前記部品の取り扱い時に使用する工具の3次元オブジェクトデータを格納するオブジェクトデータ格納ステップと、
回転運動を行う部品および工具の前記3次元オブジェクトデータに対して、基準点および回転軸をあらかじめ設定するローカル座標系設定ステップと、
前記3次元オブジェクトデータを前記仮想空間内に配置して、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示データ出力ステップと、
前記基準点および前記回転軸がそれぞれ設定された前記部品および前記工具の組み合わせが選択された場合、選択された部品および工具のそれぞれの基準点を前記仮想空間内の同一位置座標に配置するとともに、選択された部品および工具のそれぞれの回転軸を一致させるように、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示位置変更ステップと、
を有することを特徴とする訓練コンテンツ作成制御方法。
【請求項8】
ディスプレイに表示された仮想空間内で対象機器の保守作業の訓練を行うための保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを作成する際の動作制御を行う訓練コンテンツ作成制御プログラムであって、
前記対象機器の部品および前記部品の取り扱い時に使用する工具の3次元オブジェクトデータを格納するオブジェクトデータ格納機能と、
回転運動を行う部品および工具の前記3次元オブジェクトデータに対して、基準点および回転軸をあらかじめ設定するローカル座標系設定機能と、
前記3次元オブジェクトデータを前記仮想空間内に配置して、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示データ出力機能と、
前記基準点および前記回転軸がそれぞれ設定された前記部品および前記工具の組み合わせが選択された場合、選択された部品および工具のそれぞれの基準点を前記仮想空間内の同一位置座標に配置するとともに、選択された部品および工具のそれぞれの回転軸を一致させるように、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示位置変更機能と、
をコンピュータにより実現させることを特徴とする訓練コンテンツ作成制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイに表示された仮想空間内で対象機器の保守作業の訓練を行うための保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを作成する際の動作制御を行う訓練コンテンツ作成制御装置、訓練コンテンツ作成制御方法、および訓練コンテンツ作成制御プログラムに関する。より詳細には、当該訓練コンテンツを作成することが可能なオーサリングツールである訓練コンテンツ作成装置に含まれる一機能を担い、訓練コンテンツ作成時の動作を制御する訓練コンテンツ作成制御装置、訓練コンテンツ作成制御方法、および訓練コンテンツ作成制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器の保守作業を行う現場において、保守作業の事前訓練を3DCG(3次元コンピュータグラフィックス:3−Dimentional Computer Graphics)化し、AR(拡張現実:Augmented Reality)やVR(仮想現実:Virtual Reality)を用いて、対象機器の構造や対象機器の組み立てまたは分解等の作業手順を説明する保守作業訓練システムが知られている。なお、本明細書における保守作業とは、対象機器の部品を交換または修理する作業全般を意味している。
【0003】
上記のような保守作業訓練システムでは、機器の画像に3DCGを用いることでユーザは多視点から対象機器の形状を確認でき、さらにはインタラクティブに保守作業の訓練を進めることができるため、対象機器の構造や作業手順等を理解しやすく、学習効率の向上が期待できる。
【0004】
一方、保守作業訓練システムの開発には、3DCGを用いた訓練コンテンツの作成を行うためのオーサリングツールが用いられる。オーサリングツールは例えば仮想空間内でアニメーションを作成する機能を有し、対象機器の構造や作業手順等をアニメーションで表現することで、ユーザが直感的に把握できるようにすることができるようになっている。
【0005】
下記の特許文献1には、仮想空間内でアニメーションを作成するアニメーション作成装置および方法が開示されており、例えば歯車等の複数の部品が連動したアニメーションの作成を行うことができるようになっている。具体的には、特許文献1に開示されているアニメーション作成装置は、仮想物体の基本形状タイプ属性のパラメータを設定するためのアニメーション基本形状設定手段と、仮想物体のスケール属性および座標値属性のパラメータを設定するための仮想物体形状設定手段と、仮想物体の変位属性のパラメータを設定し、各種動作を指示するためのアニメーション動作指示手段と、動作指示がされた仮想物体に接触し、連動する仮想物体を判定するとともに、接触物体属性および変位属性を設定するための仮想物体接触判定処理手段と、仮想物体毎に設定された変位属性に基づいて、仮想物体の所定時間後のアニメーション変化量を更新するアニメーション更新処理手段と、更新された座標値に基づいて、仮想物体の描画を行うためのアニメーション描画処理手段とを有し、複数の仮想物体間に動作が伝播するような複雑なアニメーション定義/設定を、簡単な操作にて行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−187741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の開示技術によれば、複数のオブジェクトが仮想空間に配置された初期状態として、複数のオブジェクトを適切な位置に手動で配置する必要がある。初期状態でオブジェクトを適切な位置に配置することは容易ではなく、特許文献1の開示技術には、適切な位置に配置できない位置ずれが起こって所望のアニメーションを作成することができないという問題や、適切な位置に配置するまでに時間がかかるという問題等がある。
【0008】
また、特許文献1の開示技術によれば、アニメーション作成時に、Δt毎に接触判定を行って接触しているオブジェクトについて連動した動作を計算する必要がある。接触判定は複雑な計算処理を伴うものであり、特許文献1の開示技術には、複雑な計算処理を実行する接触判定機能を組み込む必要があるという問題、Δt毎に接触判定に係る計算を行うため計算処理の負荷が高くなり、計算時間が長くなるという問題等がある。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するために、保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを作成する際に、複数のオブジェクトを所望の位置に配置できるようにするとともに、直感的に把握しやすい操作によって従来よりも短時間で効率良く訓練コンテンツを作成できるようにする訓練コンテンツ作成制御装置、訓練コンテンツ作成制御方法、および訓練コンテンツ作成制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の訓練コンテンツ作成制御装置は、(1)ディスプレイに表示された仮想空間内で対象機器の保守作業の訓練を行うための保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを作成する際の動作制御を行う訓練コンテンツ作成制御装置であって、
前記対象機器の部品および前記部品の取り扱い時に使用する工具の3次元オブジェクトデータを格納する3DCGオブジェクトデータベースと、
回転運動を行う部品および工具の前記3次元オブジェクトデータに対して、基準点および回転軸をあらかじめ設定するローカル座標系設定部と、
前記3次元オブジェクトデータを前記仮想空間内に配置して、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示データ出力部と、
前記基準点および前記回転軸がそれぞれ設定された前記部品および前記工具の組み合わせが選択された場合、選択された部品および工具のそれぞれの基準点を前記仮想空間内の同一位置座標に配置するとともに、選択された部品および工具のそれぞれの回転軸を一致させるように、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示位置変更部と、
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の訓練コンテンツ作成制御装置によれば、部品および工具の3次元オブジェクトデータにローカル座標系を設定し、さらに、ローカル座標系の原点を基準点としてあらかじめ設定することで、部品と工具の位置を容易に一致させることができるようになる。さらに、ローカル座標系の1軸(例えばY軸)を回転軸としてあらかじめ設定することで、一体となって回転運動し得る部品と工具のそれぞれの回転軸を容易に一致させることができるようになる。その結果、本発明の訓練コンテンツ作成制御装置を含む訓練コンテンツ作成制御装置を用いて訓練コンテンツを作成する際、オペレータは、直感的に把握しやすい操作により、従来よりも短時間で効率良く訓練コンテンツを作成できるようになる。
【0012】
本発明の訓練コンテンツ作成制御装置において、(2)前記表示位置変更部は、選択された部品の前記仮想空間内の位置座標および回転軸を維持したまま、選択された工具の前記仮想空間内の位置座標および回転軸を、選択された部品の前記仮想空間内の位置座標および回転軸に一致させるようにしてもよい。この構成によれば、部品の表示位置を固定した状態で、部品に対して工具を適切な位置に配置できるようになる。これにより、訓練コンテンツにおいて、実際の使用感と同様に、部品に対して工具を移動させて位置合わせを行う動作が再現できるようになる。
【0013】
本発明の訓練コンテンツ作成制御装置は、(3)選択された工具の前記仮想空間内の位置座標および回転軸を、選択された部品の前記仮想空間内の位置座標および回転軸に一致させる際に前記部品に対して前記工具を移動させることで、前記部品に対する工具の移動を表すアニメーションを作成する移動アニメーション作成部を有してもよい。この構成によれば、実際の使用感と同様に、部品に対して工具を移動させて位置合わせを行う動作を再現したアニメーションを作成できるようになる。このアニメーションを訓練コンテンツとして使用することで、保守作業訓練システムのユーザは、仮想空間において部品および工具を実際に使用している感覚を体感できるようになる。
【0014】
本発明の訓練コンテンツ作成制御装置において、(4)前記3次元オブジェクトデータは、少なくとも部品と工具との識別が可能な属性情報を含んでもよい。この構成により、部品や工具等を含む仮想空間内のオブジェクトの属性を属性情報により識別できるようになり、適切な属性のオブジェクト同士を適切な位置に配置できるようになる。
【0015】
本発明の訓練コンテンツ作成制御装置は、(5)前記表示位置変更部により前記基準点および前記回転軸を一致させた部品および工具を前記仮想空間内の前記回転軸を中心として回転させて、前記部品および工具の回転運動を表すアニメーションを作成する回転アニメーション作成部を有してもよい。この構成により、実際の使用感と同様に、部品と工具とが一体となって回転する動作を再現したアニメーションを作成できるようになる。このアニメーションを訓練コンテンツとして使用することで、保守作業訓練システムのユーザは、部品および工具を実際に使用している感覚を体感できるようになる。
【0016】
本発明の訓練コンテンツ作成制御装置は、(6)前記表示位置変更部により前記基準点および前記回転軸を一致させた部品および工具を前記仮想空間内の前記回転軸を中心として回転させるとともに前記回転軸方向に直線移動させて、前記部品および工具の回転運動および直線移動運動を表すアニメーションを作成する回転アニメーション作成部を有してもよい。この構成により、実際の使用感と同様に、部品と工具とが一体となって回転しながら部品が工具によって取り外される動作または取り付けられる動作を再現したアニメーションを作成できるようになる。このアニメーションを訓練コンテンツとして使用することで、保守作業訓練システムのユーザは、部品および工具を実際に使用している感覚を体感できるようになる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の訓練コンテンツ作成制御方法は、(7)ディスプレイに表示された仮想空間内で対象機器の保守作業の訓練を行うための保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを作成する際の動作制御を行う訓練コンテンツ作成制御方法であって、
前記対象機器の部品および前記部品の取り扱い時に使用する工具の3次元オブジェクトデータを格納するオブジェクトデータ格納ステップと、
回転運動を行う部品および工具の前記3次元オブジェクトデータに対して、基準点および回転軸をあらかじめ設定するローカル座標系設定ステップと、
前記3次元オブジェクトデータを前記仮想空間内に配置して、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示データ出力ステップと、
前記基準点および前記回転軸がそれぞれ設定された前記部品および前記工具の組み合わせが選択された場合、選択された部品および工具のそれぞれの基準点を前記仮想空間内の同一位置座標に配置するとともに、選択された部品および工具のそれぞれの回転軸を一致させるように、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示位置変更ステップと、
を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の訓練コンテンツ作成制御方法によれば、部品および工具の3次元オブジェクトデータにローカル座標系を設定し、さらに、ローカル座標系の原点を基準点としてあらかじめ設定することで、部品と工具の位置を容易に一致させることができるようになる。さらに、ローカル座標系の1軸(例えばY軸)を回転軸としてあらかじめ設定することで、一体となって回転運動し得る部品と工具のそれぞれの回転軸を容易に一致させることができるようになる。その結果、本発明の訓練コンテンツ作成制御装置を含む訓練コンテンツ作成制御装置を用いて訓練コンテンツを作成する際、オペレータは、直感的に把握しやすい操作により、従来よりも短時間で効率良く訓練コンテンツを作成することができるようになる。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の訓練コンテンツ作成制御プログラムは、(8)ディスプレイに表示された仮想空間内で対象機器の保守作業の訓練を行うための保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを作成する際の動作制御を行う訓練コンテンツ作成制御プログラムであって、
前記対象機器の部品および前記部品の取り扱い時に使用する工具の3次元オブジェクトデータを格納するオブジェクトデータ格納機能と、
回転運動を行う部品および工具の前記3次元オブジェクトデータに対して、基準点および回転軸をあらかじめ設定するローカル座標系設定機能と、
前記3次元オブジェクトデータを前記仮想空間内に配置して、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示データ出力機能と、
前記基準点および前記回転軸がそれぞれ設定された前記部品および前記工具の組み合わせが選択された場合、選択された部品および工具のそれぞれの基準点を前記仮想空間内の同一位置座標に配置するとともに、選択された部品および工具のそれぞれの回転軸を一致させるように、前記部品および前記工具を前記ディスプレイ上に表示する表示位置変更機能と、
をコンピュータにより実現させることを特徴とする。
【0020】
本発明の訓練コンテンツ作成制御プログラムによれば、部品および工具の3次元オブジェクトデータにローカル座標系を設定し、さらに、ローカル座標系の原点を基準点としてあらかじめ設定することで、部品と工具の位置を容易に一致させることができるようになる。さらに、ローカル座標系の1軸(例えばY軸)を回転軸としてあらかじめ設定することで、一体となって回転運動し得る部品と工具のそれぞれの回転軸を容易に一致させることができるようになる。その結果、本発明の訓練コンテンツ作成制御装置を含む訓練コンテンツ作成制御装置を用いて訓練コンテンツを作成する際、オペレータは、直感的に把握しやすい操作により、従来よりも短時間で効率良く訓練コンテンツを作成することができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを訓練コンテンツ作成装置により作成する際に、複数のオブジェクトを所望の位置に配置できるようになり、直感的に把握しやすい操作によって従来よりも短時間で効率良く訓練コンテンツを作成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態における訓練教材提示システムの一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態における訓練教材作成・提供サーバの構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置を用いて、3DCGオブジェクトに基準点および回転軸を設定する動作の一例を示すフローチャートである。
図5A】本発明の実施の形態において、3DCGオブジェクトに設定されるローカル座標系の一例を示す図であり、工具であるドライバにローカル座標系が設定された状態を示す図である。
図5B】本発明の実施の形態において、3DCGオブジェクトに設定されるローカル座標系の一例を示す図であり、工具であるスパナにローカル座標系が設定された状態を示す図である。
図5C】本発明の実施の形態において、3DCGオブジェクトに設定されるローカル座標系の一例を示す図であり、部品であるナットにローカル座標系が設定された状態を示す図である。
図5D】本発明の実施の形態において、3DCGオブジェクトに設定されるローカル座標系の一例を示す図であり、部品であるネジにローカル座標系が設定された状態を示す図である。
図6】本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置を用いた部品と工具との位置合わせの動作の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態において、位置調整前後のディスプレイ上の表示画面の一例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態において、表示メモリに展開されている3DCGオブジェクトデータのデータ構造例を模式的に示す図である。
図9】本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置を用いたアニメーション作成の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態における訓練教材提示システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示す訓練教材提示システムは、訓練教材作成・提示サーバ1と訓練教材実行端末2とが、通信ネットワーク3を介して接続された構成を有している。
【0025】
訓練教材作成・提供サーバ1は、訓練コンテンツを含む訓練教材を作成する訓練コンテンツ作成装置としての機能と、訓練教材実行端末2において仮想空間内で保守作業の訓練が可能となるよう、作成した訓練教材を通信ネットワーク3を介して訓練教材実行端末2へ提供する訓練コンテンツ提供装置としての機能とを有している。訓練教材作成・提供サーバ1は、訓練教材を作成する機能として、例えば3DCGを含む訓練コンテンツを生成するオーサリング(Authoring)機能を有している。なお、本明細書では、訓練教材作成・提供サーバ1における訓練コンテンツの作成者をオペレータと呼ぶ。
【0026】
訓練教材実行端末2は、訓練者が操作する情報端末である。訓練者は、訓練教材作成・提供サーバ1から提供される訓練教材を、ディスプレイに表示された仮想空間内で確認しながら、表示された訓練教材を用いた対象機器の保守作業の訓練を行えるようになっている。なお、本明細書では、訓練教材実行端末2において保守作業の訓練を行う訓練者をユーザと呼ぶ。
【0027】
訓練教材作成・提供サーバ1および訓練教材実行端末2は、例えば、PC(パーソナル・コンピュータ)等の情報処理装置により構成される。特に、訓練教材実行端末2については、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯端末で構成されてもよい。
【0028】
通信ネットワーク3は、特に限定されるものではなく、訓練教材作成・提供サーバ1と訓練教材実行端末2とが相互に通信可能となる任意の通信媒体である。一例として、通信ネットワーク3は、ローカルエリアネットワークやインターネット等のグローバルネットワーク、近距離無線通信等であってもよい。訓練教材作成・提供サーバ1および訓練教材実行端末2は、通信ネットワーク3に有線または無線のどちらで接続してもよい。
【0029】
訓練教材作成・提供サーバ1は、訓練教材を作成および実行する機能を有している。一方、訓練教材実行端末2は、提供された訓練教材を再生する機能を有していればよい。例えば、汎用のブラウザ環境で再生可能となるよう訓練教材を作成することで、訓練教材実行端末2に特別なアプリケーションをインストールすることなく、ブラウザ上で再生された訓練教材を用いてユーザが保守作業の訓練を行えるようにしてもよい。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態における訓練教材作成・提供サーバの構成の一例を示すブロック図である。図2には、図1に示す訓練教材作成・提供サーバ1の詳細な構成が図示されている。
【0031】
図2に示す訓練教材作成・提供サーバ1は、操作部10、通信部20、表示部30、表示メモリ40、制御部50、電源供給部60、メモリ70、ストレージ80を有しており、各部がバス90により接続されている。
【0032】
操作部10は、キーボードやマウス等の入力インタフェースである。訓練教材作成・提供サーバ1のオペレータは、操作部10を用いて訓練教材作成・提供サーバ1の操作を行うことで、所望の動作の実行指示を訓練教材作成・提供サーバ1へ入力することができるようになっている。
【0033】
通信部20は、通信ネットワーク3を介して訓練教材実行端末2との間で通信を行う機能を有している。
【0034】
表示部30は、各種情報を視覚的に表示するディスプレイであり、例えばLCD(液晶ディスプレイ:Liquid Crystal Display)等により構成される。操作部10および表示部30は、一体となったタッチパネルにより構成されてもよい。
【0035】
表示メモリ40は、表示部30に表示する情報を一時的に格納するメモリである。表示メモリ40は、例えば制御部50の画像処理における作業領域や、表示部30に出力されるデータのバッファとしての役割を有している。表示メモリ40は、専用のVRAMにより構成されてもよく、メインメモリ(メモリ70)と同じRAM(例えば、DRAMやSRAM)等により構成されてもよい。
【0036】
制御部50は、訓練教材作成・提供サーバ1全体の制御を行うCPU(中央演算処理装置:Central Processing Unit)や、画像処理を行うGPU(グラフィックス処理装置:Graphics Processing Unit)等のプロセッサにより構成される。制御部50は、後述するメモリ70に格納および展開されている種々のプログラムを実行することで、プログラムに記述された様々な機能を実現することができる。
【0037】
電源供給部60は、訓練教材作成・提供サーバ1の動作に必要な電源を供給する。
【0038】
メモリ70は、例えば、ROM、RAM等を含み、各種機能を実現するためのプログラムを格納および展開したり、各種情報を記憶したりする機能を有している。図2に示す一例では、メモリ70は、本発明の実施の形態に係る機能を実現するためのプログラムとして、3DCGオブジェクト選択受付プログラム71、3DCGオブジェクトローカル座標系設定プログラム72、3DCGオブジェクト表示制御プログラム73、アニメーション作成プログラム77を記憶している。これらの各プログラムには、訓練教材作成・提供サーバ1で実行する処理があらかじめ記述されており、制御部50が各プログラムをメモリ70から読み出して実行することにより、訓練教材作成・提供サーバ1において所定の各機能が実現されるようになっている。
【0039】
ストレージ80は、無給電状態においても記憶した情報を保持することができる補助記憶装置である。ストレージ80は、特に限定されないが、例えば、SSD(ソリッドステートドライブ:Solid State Drive)等のフラッシュメモリやHDD(ハードディスクドライブ:Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置、光記憶装置、光磁気記憶装置等により構成される。図2に示す一例では、ストレージ80は、本発明の実施の形態で用いられるデータを格納するデータベースとして、3DCGオブジェクトデータベース81および属性データベース82を記憶している。また、ストレージ80は、訓練教材作成・提供サーバ1で作成された訓練コンテンツを格納する訓練コンテンツ格納部83としての機能も有している。
【0040】
3DCGオブジェクトデータベース81は、3DCGオブジェクトデータを格納するデータベースである。3DCGオブジェクトデータは、3DCGオブジェクトデータの作成者がCAD(コンピュータ支援設計:Computer Aided Design)等によってあらかじめ作成したデータであり、3次元の仮想空間内で3DCGオブジェクトの形状を表すデータである。
【0041】
本発明の実施の形態において、3DCGオブジェクトデータは、例えば、保守作業の対象機器を構成するパーツや取り付け部品、工具等のCADデータである。製品設計等で使用されるCADデータがある場合、このCADデータを利用可能な形式に変換することで使用可能である。
【0042】
取り付け部品とは、対象機器を構成するパーツを組み立てて固定する際に必要な部品であり、ネジ(例えば、プラスネジ、マイナスネジ、トルクス(登録商標)ネジ)、ナット、ボルト等を意味する。また、工具とは、取り付け部品を対象機器に取り付ける際または取り外す際に使用される道具であり、ドライバ、スパナ、レンチ等を意味する。本発明では、ネジ、ナット、ボルト等の部品や、これらの部品に対して使用されるドライバ、スパナ、レンチ等の工具が、所定の回転軸を中心とした回転運動を行うことに着目し、後述するようにローカル座標系を設定することで部品と工具との位置合わせやアニメーションの作成が容易に行えるようになる。
【0043】
また、属性データベース82は、3DCGオブジェクトの属性情報を格納するデータベースである。属性データベース82は、各3DCGオブジェクトの属性、すなわち各3DCGオブジェクトがパーツ、取り付け部品、工具のいずれの属性を有しているかを管理するデータベースである。各3DCGオブジェクトと属性情報との関連付けは、あらかじめオペレータによって登録される。ここでは、3DCGオブジェクトデータベース81および属性データベース82を別々のデータベースで表しているが、例えば3DCGオブジェクトデータベース81において、各3DCGオブジェクトデータとともにその属性情報を格納することで、3DCGオブジェクトデータベース81および属性データベース82を統合してもよい。
【0044】
次に、訓練教材作成・提供サーバ1に含まれる訓練コンテンツ作成制御装置について説明する。図3は、本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図2に示す訓練教材作成・提供サーバ1は、訓練コンテンツ作成装置としての機能を有しており、図3には、訓練コンテンツ作成装置の一部を構成する訓練コンテンツ作成制御装置の詳細な構成が図示されている。
【0045】
図3に示す訓練コンテンツ作成制御装置100は、操作部10、表示部30、表示メモリ40、制御部50、ストレージ80を有している。これらの各部は、図2に示す訓練教材作成・提供サーバ1の操作部10、表示部30、表示メモリ40、制御部50、ストレージ80にそれぞれ対応するものである。
【0046】
図3に示す制御部50は、3DCGオブジェクト選択受付部51、3DCGオブジェクトローカル座標系設定部52、3DCGオブジェクト表示制御部53、アニメーション作成部57を有している。
【0047】
3DCGオブジェクト選択受付部51は、制御部50が3DCGオブジェクト選択受付プログラム71を実行することで実現される機能部である。3DCGオブジェクト選択受付部51は、操作部10から入力された3DCGオブジェクトに係る様々な指示を受け、適切に処理できる機能部へその指示を供給できるようになっている。
【0048】
3DCGオブジェクトローカル座標系設定部52は、制御部50が3DCGオブジェクトローカル座標系設定プログラム72を実行することで実現される機能部である。3DCGオブジェクトローカル座標系設定部52は、選択された3Dオブジェクトに対するローカル座標系の設定情報に基づいて、当該選択された3DCGオブジェクトに対してローカル座標系の基準点および回転軸を設定する機能を有している。
【0049】
3DCGオブジェクト表示制御部53は、制御部50が3DCGオブジェクト表示制御プログラム73を実行することで実現される機能部である。3DCGオブジェクト表示制御部53は、3DCGオブジェクトデータベース81に格納されている3DCGオブジェクトデータを読み出して表示コンテンツを作成し、表示部30に表示する機能を有している。3DCGオブジェクト表示制御部53は、3DCGオブジェクト属性確認部54、3DCGオブジェクト表示位置変更部55、3DCGオブジェクト表示データ出力部56を有している。
【0050】
3DCGオブジェクト属性確認部54は、オペレータによって選択された3DCGオブジェクトの属性を取得する機能を有している。3DCGオブジェクト表示位置変更部55は、オペレータによって選択された3DCGオブジェクトの表示位置を変更する機能を有している。3DCGオブジェクト表示データ出力部56は、表示メモリ40と連携して3DCGオブジェクトやその他の表示情報を表示メモリ40に書き込むことで、表示部30を通じて視覚的な情報を出力する機能を有している。図3に示す3DCGオブジェクト(工具)座標データ格納部41は表示部30に表示されている3DCGオブジェクト(工具)のデータが表示メモリ40に一時的に記憶されている状態を示し、3DCGオブジェクト(部品)座標データ格納部42は表示部30に表示されている3DCGオブジェクト(部品)のデータが表示メモリ40に一時的に記憶されている状態を示している。
【0051】
アニメーション作成部57は、制御部50がアニメーション作成プログラム77を実行することで実現される機能部である。アニメーション作成部57は、3DCGオブジェクト表示制御部53で作成された表示コンテンツを用いて、アニメーションを作成する機能を有している。一例として、アニメーション作成部57は、3DCGオブジェクト表示制御部53で作成された複数のキーフレームを取得し、これらのキーフレームを連続して再生するアニメーションを作成することができるようになっている。アニメーション作成部57は、キーフレーム間の画像を補完する処理を行うことで、より滑らかな動きを再現するアニメーションを作成してもよい。回転数入力受付部58は、アニメーション作成部57で作成する際の3DCGオブジェクトの回転数について、操作部10からの入力を受け付ける機能を有している。移動距離入力受付部59は、アニメーション作成部57で作成する際の3DCGオブジェクトのローカル座標系のY軸方向の移動距離について、操作部10からの入力を受け付ける機能を有している。
【0052】
以下、図3に示す訓練コンテンツ作成制御装置100の構成に基づいて、本発明の実施の形態における動作について説明する。
【0053】
(ローカル座標系の設定)
本発明の実施の形態では、3DCGオブジェクトローカル座標系設定部52により、回転運動を行う部品および工具の3DCGオブジェクトデータに対して基準点および回転軸を定めたローカル座標系を設定する。図4は、本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置を用いて、3DCGオブジェクトに基準点および回転軸を設定する動作の一例を示すフローチャートである。
【0054】
図4において、まずオペレータは、操作部10を用いて、ローカル座標系の設定対象である3DCGオブジェクトを選択する(ステップS11)。3DCDオブジェクトの選択指示が3DCGオブジェクト選択受付部51に入力されると、3DCGオブジェクト選択受付部51は、その入力情報を3DCGオブジェクト表示制御部53へ供給する。3DCGオブジェクト表示制御部53は、選択された3DCGオブジェクトデータを3DCGオブジェクトデータベース81から読み出し、表示部30のディスプレイ上にその3DCGオブジェクトを表示する(ステップS13)。
【0055】
次に、オペレータは、操作部10を用いて、ディスプレイ上に表示されている3DCGオブジェクトに対してローカル座標系を設定する(ステップS15)。このローカル座標系の設定は、一例として、ディスプレイ上に表示されている3DCGオブジェクトにローカル座標系の原点および3軸を重畳表示し、オペレータがディスプレイを確認しながら、ローカル座標系の位置および向きを所望の状態に合わせることで行われる。
【0056】
ローカル座標系は、3DCGオブジェクトが配置された仮想空間の座標系(グローバル座標系)から独立して、個々の3DCGオブジェクトに対して設定可能な座標系である。ローカル座標系は、例えば、原点OおよびX軸、Y軸、Z軸の3軸によって規定される。
【0057】
上述したように、3DCGオブジェクトはパーツや取り付け部品、工具等を含んでおり、このうち、ネジ、ナット、ボルト等の部品や、これらの部品に対して使用されるドライバ、スパナ、レンチ等の工具は、所定の回転軸を中心とした回転運動を行うものである。本発明は、このような3DCGオブジェクトが行う回転運動に合わせて、このローカル座標系の位置および向きを設定することを特徴とする。
【0058】
具体的には、3DCGオブジェクトが回転運動を行う部品である場合、部品の取り付けまたは取り外しを行う際に当接する工具との当接点を基準として原点Oを定め、回転運動を行う際の回転軸を所定の軸(例えばY軸)としたローカル座標系を設定する。3DCGオブジェクトが回転運動を行う工具である場合、部品の取り付けまたは取り外しを行う際に当接する部品との当接点を基準として原点Oを定め、回転運動を行う際の回転軸を所定の軸(以下、所定の軸をY軸として説明する)としたローカル座標系を設定する。
【0059】
図5A図5Dは、本発明の実施の形態において、3DCGオブジェクトに設定されるローカル座標系の一例を示す図である。図5Aには、工具であるドライバにローカル座標系が設定された状態が図示されている。ドライバは、ネジの取り付けまたは取り外し時には、長手方向先端部がネジの頭部に差し込まれ、長手方向を回転軸として回転運動を行う。ドライバには、例えばネジとの当接点である長手方向先端部を原点Oとし、長手方向をY軸としたローカル座標系が設定される。
【0060】
図5Bには、工具であるスパナにローカル座標系が設定された状態が図示されている。スパナは、ボルトやナットの取り付けまたは取り外し時には、開口部がボルトやナットの頭部に横から差し込まれ、ボルトやナットの頭部に対して略垂直方向を回転軸として回転運動を行う。スパナには、例えばボルトやナットとの当接点である開口部の中心を原点Oとし、ボルトやナットの頭部に対して略垂直方向をY軸としたローカル座標系が設定される。
【0061】
図5Cには、部品であるナットにローカル座標系が設定された状態が図示されている。ナットは、取り付けまたは取り外し時にはその側面がスパナやレンチの開口部で囲まれ、ナット内部の貫通孔方向を回転軸として回転運動を行う。ナットには、例えばナット内部の貫通孔の中心を原点Oとし、ナット内部の貫通孔方向をY軸としたローカル座標系が設定される。
【0062】
図5Dには、部品であるネジにローカル座標系が設定された状態が図示されている。ネジは、取り付けまたは取り外し時にはその頭部がドライバの先端部と当接し、頭部に略垂直方向を回転軸として回転運動を行う。ネジには、例えばネジの頭部を原点Oとし、ネジの頭部に対して略垂直方向をY軸としたローカル座標系が設定される。
【0063】
なお、回転軸と一致させるローカル座標系の一軸(例えばY軸)の方向は、工具および部品の組み合わせに応じて適宜設定されることが望ましい。例えば、図5Aに示すドライバは、ドライバの先端側から基端側に向けてY軸正方向が設定されており、このドライバを用いて取り付けまたは取り外しを行うネジ(例えば、図5Dに示すネジ)は、ネジの頭部から上方に向けてY軸正方向が設定されている。後述する工具と部品の位置合わせでは、ドライバの基準点とネジの基準点を一致させるとともに、ドライバのY軸とネジのY軸とが同一方向となるように一致させることで、ドライバの先端部がネジの頭部に垂直に差し込まれた状態が実現される。
【0064】
3DCGオブジェクトに対してローカル座標系が設定されると、3DCGオブジェクトローカル座標系設定部52は、設定されたローカル座標系の情報を3DCGオブジェクトと関連付けて、3DCGオブジェクトデータベース81に格納する(ステップS17)。
【0065】
なお、ここでは、3DCGオブジェクトをディスプレイ上に表示させた状態で、オペレータが、ディスプレイに表示された3DCGオブジェクトを見ながらインタラクティブにローカル座標系を設定する場合を一例に挙げて説明したが、ディスプレイ上に3DCGオブジェクトを表示することなく、オペレータが3DCGオブジェクトデータベースに直接書き込むことでローカル座標系を設定してもよい。すなわち、3DCGオブジェクトに対するローカル座標系の設定はどのような方法で行われてもよく、最終的に、部品であれば工具との当接点、工具であれば部品との当接点を基準として原点Oを定め、回転運動を行う際の回転軸をY軸とするローカル座標系が設定されればよい。
【0066】
(部品と工具との位置合わせ)
本発明の実施の形態では、上述したようにローカル座標系を設定することで、ローカル座標系の原点Oを基準点として使用し、ローカル座標系のY軸を回転軸として使用することで、部品と工具との位置合わせを適切に行うことができるようになる。図6は、本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置を用いた部品と工具との位置合わせの動作の一例を示すフローチャートである。
【0067】
ここでは、図6に示す動作を説明するために、図7を参照する。図7の上部(位置調整前)に示すように、フィットネスバイクの右側カバーを取り付けているネジと、その部品を取り外すための工具であるドライバとが、ディスプレイ上に表示されている状態を初期状態として説明する。
【0068】
図7の上部に示すように対象機器がディスプレイ上の仮想空間内に配置されている場合、3DCGオブジェクト(工具)座標データ格納部41および3DCGオブジェクト(部品)座標データ格納部42を含む表示メモリ40には、仮想空間内に配置されている3DCGオブジェクトに関するデータが展開されている。図8に、表示メモリ40に展開されている3DCGオブジェクトデータのデータ構造例を模式的に示す。
【0069】
図8には、仮想空間内に配置されている各3DCGオブジェクトに関連して、各3DCGオブジェクトの名前(File name)、属性(Attribute)、各3DCGオブジェクトの位置(Position/Origin)、各3DCGオブジェクトの向き(Rotation)、拡大率(Scale)、移動の可否(Move)が示されている。本発明では、3DCGオブジェクトデータは、位置や向き等の座標情報に加えて、あらかじめオペレータによって関連付けられた属性情報を有している。
【0070】
図8のデータ構造例において、各3DCGオブジェクトの名前(File name)は、例えば「ネジ」、「ドライバ」等のように、形状や特徴を識別する情報である。属性(Attribute)は、その3DCGオブジェクトが部品(取り付け部品)、工具、パーツ等の機能を識別する情報である。位置(Position/Origin)は、各3DCGオブジェクトに設定されたローカル座標系の原点Oが仮想空間の座標系(グローバル座標系)のどの位置に配置されているかを示す情報である。向き(Rotation)は、グローバル座標系の3軸に対するローカル座標系の3軸のずれ(回転角度)を示す情報である。拡大率(Scale)は、各3DCGオブジェクトのディスプレイ上における表示拡大率である。移動の可否(Move)は、各3DCGオブジェクトが回転運動を行いながら直線移動運動を行うことができるものであるかを示す情報である。なお、直線移動運動を行うことができる場合には、移動の可否(Move)内に移動可能な方向が含まれてもよい。例えば、符号(プラス/マイナス)によってY軸方向に対する向きを表し、プラスの符号はY軸方向と同一方向、マイナスの符号はY軸方向と逆方向に移動可能なことを表すようにしてもよい。
【0071】
なお、対象機器の各パーツは実際のパーツと同じ比率で3DCGオブジェクトデータ化する一方、ネジ等の取り付け部品については、デフォルメして実際よりも10倍程度拡大してもよい。取り付け部品は元々サイズが小さいものが多く、パーツよりも拡大率を上げて表示することで、対象部品の交換や修理に係る保守作業の訓練においてユーザが取り付け部品を確実に確認できるようになる。
【0072】
図7の上部(位置調整前)に示す状態では、ドライバとネジは離れた位置に配置されている。例えばドライバでネジを取り外すアニメーションを作成するためには、ドライバの先端部がネジの頭部に対して垂直に差し込まれた位置となるようにドライバを移動する必要がある。
【0073】
図6において、まずオペレータは、操作部10を用いて、ドライバ(工具)およびネジ(部品)を選択する(ステップS21)。この選択は、例えば、ディスプレイ上に表示されているドライバおよびネジをマウスによりクリックすることで行われる。ドライバおよびネジの選択指示が3DCGオブジェクト選択受付部51に入力されると、3DCGオブジェクト選択受付部51は、その入力情報を3DCGオブジェクト表示制御部53へ供給する。3DCGオブジェクト表示制御部53は、表示メモリ40に展開されているデータの中から、選択されたドライバおよびネジのデータを特定する(ステップS23)。
【0074】
次にオペレータは、操作部10を用いて、位置合わせ実行指示を入力する(ステップS25)。この実行指示は、例えば、ディスプレイ上に表示された所定の実行指示ボタン(図7には不図示)をマウスによりクリックすることで行われる。3DCGオブジェクト選択受付部51はこの実行指示を受けると、実行指示を3DCGオブジェクト表示制御部53へ供給する。3DCGオブジェクト表示制御部53は実行指示に応答して、3DCGオブジェクト属性確認部54において、ステップS23で特定したドライバおよびネジのそれぞれの属性情報を確認する。
【0075】
そして、属性が工具であるドライバを移動対象として、属性が部品であるネジを移動先として設定し、3DCGオブジェクト表示位置変更部55は、ドライバの基準点(ドライバのローカル座標系の原点)をネジの基準点(ネジのローカル座標系の原点)で上書きする(ステップS27)。さらに、3DCGオブジェクト表示位置変更部55は、ドライバの回転軸(ドライバのローカル座標系のY軸)を、ネジの回転軸(ネジのローカル座標系のY軸)と一致するように変更し(ステップS28)、変更後の状態をディスプレイ上に表示する(ステップS29)。この一連の動作によって、図7の下部(位置調整後)に示すように、ドライバは移動して、その先端部がネジの頭部に対して垂直に差し込まれた位置に配置される。
【0076】
なお、ステップS28において、ドライバのローカル座標系のY軸とネジのローカル座標系のY軸とを一致させる際には、Y軸同士が同一方向を向くように配置される。図7に示すドライバは、ドライバの基端側から先端側に向かってY軸正方向が設定されており、図7に示すネジは、ネジの頭部から下方に向けてY軸正方向が設定されている。これにより、ドライバの基準点とネジの基準点を一致させるとともに、ドライバのY軸とネジのY軸とが同一方向となるように一致させることで、ドライバの先端部がネジの頭部に垂直に差し込まれた状態が実現される。
【0077】
以上のように本発明の実施の形態では、あらかじめ部品および工具に対して、適切な位置に基準点(原点O)を定めるとともに、回転軸をY軸と一致させたローカル座標系を設定したことで、部品および工具の基準点および回転軸を一致させる処理によって、部品および工具の位置合わせが瞬時に完了できるようになる。
【0078】
なお、3DCGオブジェクトには、工具、取り付け部品、パーツの3種類が存在するため、移動対象と移動先の組み合わせは3×3=9通りある。しかし、この組み合わせを多くしておくと、オペレータが3DCGに不慣れな場合、混乱を招く懸念がある。そこで、固定された部品に対して工具を当接させる実際の使用例に近い組み合わせ、すなわち移動対象を工具、移動先を取り付け部品に限定するようにしてもよい。
【0079】
また、上記の動作例では、3DCGオブジェクト属性確認部54が選択された3DCGオブジェクトの属性情報を確認して工具および部品を識別することで、移動対象のドライバと移動先のネジを判別できるようにしているが、例えば、オペレータに移動対象および移動先の順に選択させることで、属性情報を参照せずに移動対象および移動先を決定してもよい。
【0080】
また、ドライバが移動した後の状態をディスプレイ上に表示することに加えて、さらに、アニメーション作成部57が、ドライバの移動前後の状態(すなわち、図7の上部に示す位置調整前の状態と、図7の下部に示す位置調整後の状態)を補完する画像を作成してもよい。アニメーション作成部57は、作成した補完画像を用いて、移動前の状態から移動後の状態にドライバが移動する様子を表現した移動アニメーションを作成でき、訓練コンテンツとして使用するアニメーションとして訓練コンテンツ格納部83に格納してもよい。
【0081】
(位置合わせ後のアニメーション作成)
本発明の実施の形態では、上述したように、基準点および回転軸を一致させることで、部品と工具との位置合わせを適切かつ瞬時に行うことができる。さらに、位置合わせにおいて部品と工具の回転軸が一致していることから、部品および工具が回転する回転アニメーションの作成も容易となる。図9は、本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置を用いたアニメーション作成の動作の一例を示すフローチャートである。
【0082】
ここでは、上述した位置合わせをあらかじめ行い、ドライバ(工具)およびネジ(部品)の基準点および回転軸が一致した状態(例えば、図7の下部に示す状態)で、アニメーションの作成を行う場合について説明する。
【0083】
図9において、まずオペレータは、操作部10を用いて、基準点および回転軸が一致したドライバ(工具)およびネジ(部品)を選択する(ステップS31)。この選択は、例えば、ディスプレイ上に表示されているドライバおよびネジをマウスによりクリックすることで行われる。
【0084】
次にオペレータは、操作部10を用いて、アニメーションにおける回転数および移動距離を入力する(ステップS33)。この回転数は1回転を360°とした場合の回転数であり、この移動距離はローカル座標系のY軸方向に沿って直線移動する移動距離である。回転数入力受付部58および移動距離入力受付部59は、入力された回転数および移動距離に係る情報を3DCGオブジェクト表示制御部53へ供給する。例えばオペレータが回転数として「2」、移動距離として「+0.3」を入力した場合には、3DCGオブジェクト表示制御部53において、2回転=720°、1回転する毎のローカル座標系のY軸方向の移動距離=+0.15が設定される。なお、移動距離の符号(プラス/マイナス)はY軸方向に対する向きを表しており、例えば、移動距離が正の値の場合にはY軸方向と同一方向、移動距離が負の値の場合にはY軸方向と逆方向を表している。
【0085】
続いてオペレータは、操作部10を用いて、アニメーション作成指示を入力する(ステップS35)。この作成指示は、例えば、ディスプレイ上に表示された所定の実行指示ボタン(図7には不図示)をマウスによりクリックすることで行われる。3DCGオブジェクト選択受付部51はこの作成指示を受けると、作成指示を3DCGオブジェクト表示制御部53へ供給する。3DCGオブジェクト表示制御部53は作成指示に応答して、3DCGオブジェクト位置変更部55により、ステップS31で選択されたドライバおよびネジを所定の角度および所定の移動距離毎に回転および直線移動させてドライバおよびネジの位置座標を決定しながら、キーフレームを生成する(ステップS35)。
【0086】
ドライバおよびネジを回転および直線移動させる際の位置座標の計算方法は、特に限定されるものではないが、上述した位置合わせによりドライバおよびネジの回転軸が同一となっていることから、例えば、ドライバおよびネジが一体化した回転の計算にクォータニオンを使用することが有効である。クォータニオンは、回転角度θと回転軸の方向rが既知であれば、角度θだけ回転した後の位置座標を解析的に求めることができる既存技術である。ドライバおよびネジの回転軸は同一となっていることから、ドライバおよびネジを同一の回転体として捉えて、同一の式によって計算を行うことが可能である。
【0087】
クォータニオンの回転角度θは、キーフレームを生成する所定の角度に対応しており、例えば20°等の値にあらかじめ設定される。キーフレームの枚数は、この所定の角度とオペレータによって入力された回転数とにより決定される。例えば、オペレータが2回転=720°を入力し、キーフレームを生成する所定の角度が20°の場合には、0°〜720°まで20°刻みで回転する様子を表す合計37枚のキーフレームが生成される。
【0088】
さらに、オペレータによって入力された移動距離に基づき、一体化したドライバおよびネジをローカル座標系のY軸方向に沿って直線移動させる所定の移動距離が決定される。例えば、オペレータが移動距離=+0.3を入力した場合には、上記のように2回転する様子を表す合計37枚のキーフレームにおいて、Y軸方向に沿って+0.3/(37−1)刻みで直線移動する様子が表される。
【0089】
3DCGオブジェクト表示制御部53で作成されたキーフレームはアニメーション作成部57へ出力され、アニメーション作成部57は複数のキーフレームを連続して再生するアニメーションを作成して、訓練コンテンツとして訓練コンテンツ格納部83へ格納する(ステップS37)。このアニメーションは、ドライバおよびネジが一体となって回転軸を中心として回転し、回転軸方向に沿って取り外される様子、あるいは回転軸方向に沿って取り付けられる様子を再現した回転アニメーションである。ドライバの先端部がネジの頭部に挿入されて回転および直線移動するアニメーションは、ドライバを使用してネジを取り外す動き、または、ドライバを使用してネジを取り付ける動きを的確に表している。このアニメーションを訓練コンテンツとして使用することで、保守作業訓練システムのユーザは、部品および工具を実際に使用している感覚を体感できるようになる。
【0090】
次に、本発明の作用・効果について説明する。
【0091】
上述したように、本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置100は、3DCGオブジェクトローカル座標系設定部52により、回転運動を行う部品および工具の3次元オブジェクトデータに対して基準点および回転軸をあらかじめ設定しておき、部品および工具の組み合わせが選択された場合には、3DCGオブジェクト表示位置変更部55により、選択された部品および工具のそれぞれの基準点を前記仮想空間内の同一位置座標に配置するとともに、選択された部品および工具のそれぞれの回転軸を一致させるように部品および工具をディスプレイ上に表示するように構成されている。
【0092】
この構成により、部品および工具の位置合わせを適切かつ容易に行うことができ、さらに、回転体である部品および工具のそれぞれの回転軸の位置合わせも適切かつ容易に行うことができるようになる。その結果、保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを作成する際に、部品および工具が一体化した回転を表すアニメーションの作成に適した所望の位置に部品および工具を配置できるようになり、部品および工具の選択等の簡単な操作によって従来よりも短時間で効率良く訓練コンテンツで用いられるアニメーションを作成できるようになる。
【0093】
また、本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置100では、表示位置変更部55が、選択された部品の仮想空間内の位置座標および回転軸を維持したまま、選択された工具の仮想空間内の位置座標および回転軸を、選択された部品の仮想空間内の位置座標および回転軸に一致させるように構成されていてもよい。
【0094】
この構成により、部品の表示位置を固定した状態で、部品に対して工具を適切な位置に配置できるようになる。その結果、訓練コンテンツにおいて、実際の使用感と同様に、部品に対して工具を移動させて位置合わせを行う動作が再現できるようになる。
【0095】
また、本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置100において、アニメーション作成部57が、選択された工具の仮想空間内の位置座標および回転軸を、選択された部品の仮想空間内の位置座標および回転軸に一致させる際に部品に対して工具を移動させることで、部品に対する工具の移動を表すアニメーションを作成するように構成されていてもよい。さらには、アニメーション作成部57が、工具の移動前後の画像をキーフレームとして、キーフレーム間の補完処理を行うことで、部品および工具の移動を表すアニメーションを作成するように構成されていてもよい。
【0096】
この構成により、実際の使用感と同様に、部品に対して工具を移動させて位置合わせを行う動作を再現したアニメーションを作成できるようになる。このアニメーションを訓練コンテンツとして使用することで、保守作業訓練システムのユーザは、部品および工具を実際に使用している感覚を体感できるようになる。
【0097】
また、本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置100において、3次元オブジェクトデータは、少なくとも部品と工具との識別が可能な属性情報を含んでいてもよい。
【0098】
この構成により、部品や工具等を含む仮想空間内のオブジェクトの属性を属性情報により識別できるようになり、例えば部品および工具の組み合わせ等のように、適切な属性のオブジェクト同士を適切な位置に配置できるようになる。
【0099】
また、本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置100に3DCGオブジェクト選択受付部51を設けて、オペレータによる部品および工具の組み合わせの選択入力を受け付けるようにしてもよい。
【0100】
この構成により、オペレータが、部品と工具との組み合わせを選択できるようになり、オペレータにより選択された部品と工具との所望の組み合わせに関して、適切な位置への配置および回転軸の一致に係る処理を行うことができるようになる。
【0101】
また、本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置100において、表示位置変更部55により基準点および回転軸を一致させた部品および工具を仮想空間内の回転軸を中心として回転させることで、アニメーション作成部57が、部品および工具の回転運動を表すアニメーションを作成するように構成されていてもよい。
【0102】
この構成により、実際の使用感と同様に、部品と工具とが一体となって回転する動作を再現したアニメーションを作成できるようになる。このアニメーションを訓練コンテンツとして使用することで、保守作業訓練システムのユーザは、部品および工具を実際に使用している感覚を体感できるようになる。
【0103】
本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置100において、表示位置変更部55により基準点および回転軸を一致させた部品および工具を仮想空間内の回転軸を中心として回転させるとともに回転軸方向に直線移動させることで、アニメーション作成部57が、部品および工具の回転運動および直線移動運動を表すアニメーションを作成するように構成されていてもよい。
【0104】
この構成により、実際の使用感と同様に、部品と工具とが一体となって回転しながら部品が工具によって取り外される動作または取り付けられる動作を再現したアニメーションを作成できるようになる。このアニメーションを訓練コンテンツとして使用することで、保守作業訓練システムのユーザは、部品および工具を実際に使用している感覚を体感できるようになる。
【0105】
また、本発明の実施の形態における訓練コンテンツ作成制御装置100において、アニメーション作成部57が、部品および工具を仮想空間内の回転軸を中心として所定の角度ずつ回転させた状態を描画するキーフレームを所定の角度毎に作成するように構成されていてもよい。さらには、アニメーション作成部57が、所定の角度毎に作成された複数のキーフレーム間の補完処理を行うことで、部品および工具の回転運動および直線移動運動を表すアニメーションを作成するように構成されていてもよい。
【0106】
この構成により、部品および工具を回転軸周りに所定の角度ずつ回転させながら所定の距離ずつ移動させるだけでキーフレームを容易に作成できるようになり、キーフレーム間の補完処理を行うことで、部品と工具とが一体となって回転および直線移動する動作を再現したアニメーションを容易かつ短時間で作成できるようになる。
【0107】
また、本発明は、上述した訓練コンテンツ作成制御装置における各処理を実行する訓練コンテンツ作成制御方法や、訓練コンテンツ作成制御方法をプログラム命令として記述し、訓練コンテンツ作成制御装置により実行可能とした訓練コンテンツ作成制御プログラムを提供することができる。
【0108】
以上説明したように、本発明は、保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを訓練コンテンツ作成装置により作成する際に、複数のオブジェクトを所望の位置に配置できるようになるという効果、直感的に把握しやすい操作によって従来よりも短時間で効率良く訓練コンテンツを作成できるようになるという効果を有し、ディスプレイに表示された仮想空間内で対象機器の保守作業の訓練を行うための保守作業訓練システムで用いられる訓練コンテンツを作成する技術全般に有用である。
【0109】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例および設計変更等をその技術的範囲に包含するものである。
【符号の説明】
【0110】
1 訓練教材作成・提供サーバ
2 訓練教材実行端末
3 通信ネットワーク
10 操作部
20 通信部
30 表示部
40 表示メモリ
41 3DCGオブジェクト(工具)座標データ格納部
42 3DCGオブジェクト(部品)座標データ格納部
50 制御部
51 3DCGオブジェクト選択受付部
52 3DCGオブジェクトローカル座標系設定部(ローカル座標系設定部)
53 3DCGオブジェクト表示制御部
54 3DCGオブジェクト属性確認部
55 3DCGオブジェクト表示位置変更部(表示位置変更部)
56 3DCGオブジェクト表示データ出力部(表示データ出力部)
57 アニメーション作成部(移動アニメーション作成部、回転アニメーション作成部)
58 回転数入力受付部
59 移動距離入力受付部
60 電源供給部
70 メモリ
71 3DCGオブジェクト選択受付プログラム
72 3DCGオブジェクトローカル座標系設定プログラム
73 3DCGオブジェクト表示制御プログラム
77 アニメーション作成プログラム
80 ストレージ
81 3DCGオブジェクトデータベース
82 属性データベース
83 訓練コンテンツ格納部
90 バス
100 訓練コンテンツ作成制御装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9