(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907425
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】構造物の計装のためのデータ取得デバイス
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20210708BHJP
G01D 21/00 20060101ALI20210708BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20210708BHJP
G06F 1/18 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
G01D11/24 K
G01D21/00 M
G08C15/00 E
G06F1/18 A
【請求項の数】18
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2021-506065(P2021-506065)
(86)(22)【出願日】2019年4月19日
(65)【公表番号】特表2021-516411(P2021-516411A)
(43)【公表日】2021年7月1日
(86)【国際出願番号】EP2019060247
(87)【国際公開番号】WO2019202155
(87)【国際公開日】20191024
【審査請求日】2021年4月23日
(31)【優先権主張番号】1853458
(32)【優先日】2018年4月19日
(33)【優先権主張国】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520404263
【氏名又は名称】サフラン・データ・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲルレロ,ジスラン
(72)【発明者】
【氏名】ピント,オリビエ
【審査官】
細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0160742(US,A1)
【文献】
米国特許第6402031(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0259376(US,A1)
【文献】
特開2013−076681(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/068295(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 1/00−21/02
G08C 13/00−25/04
G06F 1/00−119:22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ取得デバイス(10)であって、
空洞(20)を画定する側壁(17)を備えるケーシング(11)と、
積み重ね方向において空洞(20)内で積み重ねられる複数の電子モジュール(12)と、
1つ以上のコネクタブロック(13)と、
電子モジュール(12)に、積み重ね方向に平行な圧縮力(F)を加えることが可能な加圧部材(26)と
を備え、
各電子モジュール(12)は、第1の面(29)と、第1の面に対向する第2の面(31)とを有し、第1の面(29)上に延在する第1の導電性トラックのセット(32)と、第2の面(31)上に延在する第2の導電性トラックのセット(33)とを備え、第1の導電性トラックのセット(32)が、データ信号の送信専用である少なくとも1つの導電性トラック(4−8)を含み、第2の導電性トラックのセット(33)が、データ信号の送信専用であり、第1の導電性トラックのセット(32)のデータ信号の送信専用である導電性トラック(4−8)に、電子モジュールの内部に延在する電気接続通路を介して電気的に接続される、少なくとも1つの導電性トラック(4−8)を含み、
各コネクタブロック(13)は、スタックの2つの隣接する電子モジュール(12A、12B)の間に位置決めされて、電子モジュールのうちの1つ(12B)の第1の導電性トラックのセット(32)の各トラック(37)と、電子モジュールのうちの他の電子モジュール(12A)の第2のトラックのセット(33)の対応するトラック(38)との間の電気接続を確立し、
圧縮力は、各コネクタブロック(13)がケーシング(11)の側壁(17)に対して支持されたままにするように、積み重ね方向に垂直な半径方向においてコネクタブロック(13)の寸法を増大させることによって各コネクタブロック(13)を変形させる傾向にある、
デバイス。
【請求項2】
電子モジュール(12)が空洞(20)内に積み重ねられるとき、空洞(20)内での電子モジュール(12)の積み重ね順序にかかわらず、モジュールのうちの1つ(12A)の第2の面(31)上でのデータ信号の送信専用である導電性トラック(4−8)が、スタック内の別の隣接するモジュール(12B)の第1の面(29)のデータ信号の送信専用である導電性トラック(4−8)に面して、スタック全体を通じてデータ信号をあるモジュールから別のモジュールへと伝搬するように、導電性トラック(4−8)が構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
電子モジュール(12)のうちの少なくとも1つが、データ信号を生成することが可能である、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
第1の導電性トラックのセット(32)が、同期信号の送信専用である少なくとも1つの導電性トラック(1、3)を含み、第2の導電性トラックのセット(33)が、同期信号の送信専用であり、第1の導電性トラックのセット(32)の同期信号の送信専用である導電性トラック(1、3)に、電子モジュールの内部に延在する電気接続通路を介して電気的に接続される、少なくとも1つの導電性トラック(1、3)を含み、電子モジュール(12)が空洞(20)内に積み重ねられるとき、モジュールのうちの1つ(12A)の第2の面(31)上での同期信号の送信専用である導電性トラック(1、3)が、モジュールのうちの別のモジュール(12B)の第1の面(29)上での同期信号の送信専用である導電性トラック(1、3)に面するように、トラック(1、3)が構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ取得デバイス。
【請求項5】
第1の導電性トラックのセット(32)が、電源信号の送信専用である少なくとも1つの導電性トラック(2、9)を含み、第2の導電性トラックのセット(33)が、電源信号の送信専用であり、第1の導電性トラックのセット(32)の電源信号の送信専用である導電性トラック(2、9)に、電子モジュールの内部に延在する電気接続通路を介して電気的に接続される、少なくとも1つの導電性トラック(2、9)を含み、電子モジュール(12)が空洞(20)内に積み重ねられるとき、モジュールのうちの1つ(12A)の第2の面(31)上での電源信号の送信専用である導電性トラック(2、9)が、モジュールのうちの別のモジュール(12B)の第1の面(29)上での電源信号の送信専用である導電性トラック(2、9)に面するように、トラック(2、9)が構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ取得デバイス。
【請求項6】
第1の導電性トラックのセット(32)が、データ信号の送信専用である少なくとも1つの導電性トラック(4−8)、同期信号の送信専用である1つの導電性トラック(1、3)、および、電源信号の送信専用である1つの導電性トラック(2、9)を含み、第2の導電性トラックのセット(33)は、第1の導電性トラックのセット(32)の、データ信号の送信専用である導電性トラック(4−8)、同期信号の送信専用である導電性トラック(1、3)、および、電源信号の送信専用である導電性トラック(2、9)に、電子モジュールの内部で第1の面(29)から第2の面(31)まで延在する電気接続通路を介してそれぞれ電気的に接続される、データ信号の送信専用である少なくとも1つの導電性トラック(4−8)、同期信号の送信専用である1つの導電性トラック(1、3)、および、電源信号の送信専用である1つの導電性トラック(2、9)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の取得デバイス。
【請求項7】
ケーシング(11)が開口部を有し、取得デバイス(10)が、
ケーシング(11)の開口部を閉塞させることが可能な本体(21)を備えるキャップ(14)と、
キャップ(14)の本体(21)を通じて延在するコネクタ(25)であって、コネクタ(25)が、通信ケーブルに接続されて、空洞(20)の内部に位置決めされる電子モジュール(12)のうちの1つ以上と、ケーシング(11)の外部に構成される離れた設備との間でデータ信号を送信することが可能である、コネクタ(25)と
をも備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のデータ取得デバイス。
【請求項8】
キャップ(14)とスタックとの間に位置決めされる第1のエンドプレート(23)を備え、第1のエンドプレート(23)が、第3の面(39)を有し、第3の面(39)上に延在する第3の導電性トラックのセットを備え、第3の導電性トラックのセットのトラックが、一方においては、コネクタ(25)に電気的に接続されており、他方においては、電子モジュール(12)のうちの1つの第1の導電性トラックのセット(32)または第2の導電性トラックのセット(33)のトラック(37、38)に電気的に接続されることが可能である、請求項7に記載のその取得デバイス。
【請求項9】
各接続要素(13)が、電子モジュールのうちの1つの第1の導電性トラックのセットの各トラックと、電子モジュールのうちの他の電子モジュールの第2の導電性トラックのセットの対応するトラックとの間の電気接続を確立するように、圧縮力の方向に平行な第1の方向において高い導電率を有し、圧縮力に垂直な方向において低い導電率を有する異方性導電材料のブロックを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の取得デバイス。
【請求項10】
異方性導電材料が、非伝導性マトリックス、および、マトリックス内に分散された複数の導電性要素を含み、導電性要素が、第1の方向においてのみ電気信号を伝導することが可能である、請求項9に記載の取得デバイス。
【請求項11】
マトリックスが、エラストマー材料から形成される、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
各電子モジュール(12)が、第1の導電性トラックのセット(32)が延在する第1の面(29)を有する第1の電子基板(28)と、第2の導電性トラックのセット(33)が延在する第2の面(31)を有する第2の電子基板(30)と、第1の電子基板(28)と第2の電子基板(30)との間に位置決めされ、第1の導電性トラックのセット(32)のトラックのうちの1つ(37)および第2の導電性トラックのセット(33)のトラックのうちの1つ(38)に接続される1つ以上の電子構成要素(34)とを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の取得デバイス。
【請求項13】
電子構成要素(34)のうちの1つが、構成要素(34)が接続される第1の導電性トラックのセット(32)のトラック(37)を介して、測定データを含む入力電気信号を受信して、測定データに処理を適用し、電子構成要素(34)が接続される第2の導電性トラックのセット(33)のトラック(38)を介して、処理された測定データを含む電気出力信号を生成することが可能である、請求項11に記載の取得デバイス。
【請求項14】
電子構成要素(34)のうちの1つが、電子構成要素(34)が接続される第1の導電性トラックのセット(32)のトラック(37)と、電子構成要素(34)が接続される第2の導電性トラックのセット(33)のトラック(38)との間に電圧を生成することが可能な電池である、請求項12または13に記載の取得デバイス。
【請求項15】
電子構成要素(34)のうちの1つが、例えば、振動センサ、加速度センサ、音響センサ、温度センサまたは圧力センサなどの、測定データを含む電気測定信号を生成することが可能なセンサである、請求項12または13に記載の取得デバイス。
【請求項16】
各電子モジュール(12)が、構成要素(34)と電子基板(28、30)との間の空間を充填する注封材料(36)を備える、請求項12から15のいずれか一項に記載の取得デバイス。
【請求項17】
各電子モジュール(12)が、第1の電子基板(28)および第2の電子基板(30)によって、電子構成要素(34)を収容する保護ハウジングを画定するように、第1の電子基板(28)と第2の電子基板(30)との間に延在する側壁を備える、請求項12から15のいずれか一項に記載の取得デバイス。
【請求項18】
データ取得システムであって、
計装される構造物の異なる位置に取り付けられることが可能である、請求項1から17のいずれか一項に記載の複数の取得デバイス(10)と、
通信ケーブル(60)またはワイヤレス接続(70)を介して異なる取得デバイス(10)に接続されて、異なる取得デバイス(10)において発生する測定データ信号を受信することが可能であるデータ集線装置(50)と
を備える、データ取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物(陸上車、航空機、鉄道車両)または産業設備(発電設備)の計装向けに意図されたデータ取得デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
計装は、試験または品質管理中に測定を遂行するために、試験される乗り物または産業設備にセンサおよびオンボード(on−board)取得デバイスを設置することから成る。データは、例えば、物理データ(衝撃、振動)または環境データ(温度、湿度、圧力)であり得る。データ取得デバイスは、種々のセンサから発生するデータを収集し、フォーマット化する。
【0003】
図1は、知られている取得デバイスの第1の例を概略的に示す。取得デバイスは、シャーシと、引き出しのようにシャーシに挿入されることが可能な一連の電子モジュールとを備える。シャーシは、挿入開口部を画定する側壁と、底壁とを備える。側壁は、電子モジュールが挿入され得るスライドを設けられる。デバイスはまた、シャーシの内部で底壁に取り付けられる電子基板をも備える。電子基板は、一連のコネクタを備える。各電子モジュールは、スライドのうちの1つに挿入され、コネクタのうちの1つを介して電子基板に電気的に接続される。このデバイスは、必要に応じて、種々のセンサから発生する信号を取得し、処理することが可能な異なる電子モジュールのアセンブリを可能にする。
【0004】
このデバイスの1つの欠点はかさばることであり、結果、一般的に、センサに近接して設置され得ない。したがって、種々のセンサを取得デバイスに接続するために、ケーブルが設置されなければならない。その上、シャーシは、アダプタプレートおよび取り付けねじを用いることによって、計装される構造物に取り付けられなければならない。結果として、デバイスはかさばり、その設置は、ケーブル通路を設け、取り付けねじの挿入のために計装される構造物内に穿孔することを必要とする。したがって、試験される乗り物または設備の計装は、乗り物または設備の性能を実質的に変更させる可能性がある。試験される乗り物または設備の性能に対する計装のこの影響は、一般的に、可能であるときに得られる測定値を修正するために、試験の前に評価されなければならない。その上、試験される乗り物または設備が計装されると、一般的に、例えばセンサを追加することが所望されるときに、センサ、取得デバイスまたは配線の構成を容易に変更することは可能でない。
【0005】
図2は、取得デバイスの第2の例を概略的に示す。取得デバイスは、一連の電子モジュールを備える。各モジュールは、個々のケーシングを備える。モジュールケーシングは、ともにアセンブルされてスタックを形成し、電子モジュールは、コネクタを用いることによってともに接続される。
【0006】
このタイプのデバイスは一般的に、
図1に示されているデバイスよりもかさばらない。しかしながら、このデバイスも、アダプタプレートおよび取り付けねじを用いることによって、計装される構造物に取り付けられなければならないという欠点を有する。その上、種々のセンサを取得デバイスに接続するために、ケーブルも設置されなければならない。したがって、
図1のデバイスと同様に、
図2に示されているデバイスは、試験される乗り物または設備が計装されると、センサ、取得デバイスおよび配線の構成を容易に変更することを可能にしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目標は、かさ、および、計装される構造物に対する影響が低減しており、過酷な環境条件下で使用され得るデータ取得デバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目標は、本発明の範囲内で、データ取得デバイスであって:
− 空洞を画定する側壁を備えるケーシングと、
− 積み重ね方向において空洞内で積み重ねられることが可能な複数の電子モジュールと、
− 1つ以上のコネクタブロックと、
− 電子モジュールに、積み重ね方向に平行な圧縮力を加えることが可能な加圧部材と
を備え、
各電子モジュールが、第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを有し、第1の面上に延在する第1の導電性トラックのセットと、第2の面上に延在する第2の導電性トラックのセットとを備え、第1の導電性トラックのセットが、データ信号の送信専用である少なくとも1つの導電性トラックを含み、第2の導電性トラックのセットが、データ信号の送信専用であり、第1の導電性トラックのセットのデータ信号の送信専用である導電性トラックに、電子モジュールの内部に延在する電気接続通路を介して電気的に接続される、少なくとも1つの導電性トラックを含み、
各コネクタブロックが、スタックの2つの隣接する電子モジュールの間に位置決めされて、電子モジュールのうちの1つの第1の導電性トラックのセットの各トラックと、電子モジュールのうちの他の電子モジュールの第2のトラックのセットの対応するトラックとの間の電気接続を確立し、
圧縮力は、各コネクタブロックがケーシングの側壁に対して支持されたままにするように、積み重ね方向に垂直な半径方向においてコネクタブロックの寸法を増大させることによって各コネクタブロックを変形させる傾向にある、
データ取得デバイスによって達成される。
【0009】
このタイプのデバイスにおいて、種々の電子モジュール間のデータの送信は、各モジュールの面上に存在する専用導電性トラックのおかげで実行される。したがって、スタックの電子モジュールの電気接続は、電子基板または特定の配線に起因するのではなく、他のモジュールによって保証される。
【0010】
コネクタブロックは側壁に対して支持されたままにされるため、コネクタブロックは電子モジュールをケーシング内で固定する。したがって、電子モジュールは、振動および衝撃に対して保護される。結果として、取得デバイスは、過酷な環境条件下でデータの取得に使用され得る。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、電子モジュールが空洞内に積み重ねられるとき、空洞内での電子モジュールの積み重ね順序にかかわらず、モジュールのうちの1つの第2の面上でのデータ信号の送信専用である導電性トラックが、スタック内の別の隣接するモジュールの第1の面のデータ信号の送信専用である導電性トラックに面して、スタック全体を通じてデータ信号をあるモジュールから別のモジュールへと伝搬するように、導電性トラックは構成される。
【0012】
電子モジュールは、それらの機能が変更されることなく、ケーシング内で任意の順序で積み重ねられ得るため、デバイスを容易に再構成することが可能であり:必要に応じて1つ以上の電子モジュールを単純に追加し、および/または、引き出すことで十分である。
【0013】
提案されているデバイスはまた、以下の特徴のうちの1つを有することもできる:
− 電子モジュールのうちの少なくとも1つが、データ信号を生成することが可能である、
− 第1の導電性トラックのセットが、同期信号の送信専用である少なくとも1つの導電性トラックを含み、第2の導電性トラックのセットが、同期信号の送信専用であり、第2の導電性トラックのセットの同期信号の送信専用である導電性トラックに、電子モジュールの内部に延在する電気接続通路を介して電気的に接続される、少なくとも1つの導電性トラックを含み、電子モジュールが空洞内に積み重ねられるとき、モジュールのうちの1つの第2の面上での同期信号の送信専用である導電性トラックが、モジュールのうちの別のモジュールの第1の面上での同期信号の送信専用である導電性トラックに面するように、トラックが構成されている、
− 第1の導電性トラックのセットが、電源信号の送信専用である少なくとも1つの導電性トラックを含み、第2の導電性トラックのセットが、電源信号の送信専用であり、第2のトラックのセットの電源信号の送信専用であるトラックに、電子モジュールの内部に延在する電気接続通路を介して電気的に接続される、少なくとも1つの導電性トラックを含み、電子モジュールが空洞内に積み重ねられるとき、モジュールのうちの1つの第2の面の電源信号の送信専用である導電性トラックが、モジュールのうちの別のモジュールの第1の面上での電源信号の送信専用である導電性トラックに面するように、トラックが構成されている、
− 第1の導電性トラックのセットが、データ信号の送信専用である少なくとも1つの導電性トラック、同期信号の送信専用である1つの導電性トラック、および、電源信号の送信専用である1つの導電性トラックを含み、第2の導電性トラックのセットは、第1の導電性トラックのセットの、データ信号の送信専用である導電性トラック、同期信号の送信専用である導電性トラック、および電源信号の送信専用である導電性トラックに、電子モジュールの内部で第1の面から第2の面へと延在する電気接続通路を介してそれぞれ電気的に接続される、データ信号の送信専用である少なくとも1つの導電性トラック、同期信号の送信専用である1つの導電性トラック、および、電源信号の送信専用である1つの導電性トラックを含む、
− 加圧部材が、例えば、圧縮ばねなどの弾性戻り部材を含む、
− 取得デバイスが、第1のエンドプレートを備え、加圧部材が、キャップの本体と第1のエンドプレートとの間に位置決めされ、結果、加圧部材が、第1のエンドプレートを介して電子モジュールに圧縮力を加える、
− 取得デバイスが、第2のエンドプレートを備え、電子モジュールが、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間に位置決めされる、
− ケーシングが開口部を有し、取得デバイスが:
ケーシングの開口部を閉塞させることが可能な本体を備えるキャップと、
キャップの本体を通じて延在するコネクタであって、コネクタが、通信ケーブルに接続されて、空洞の内部に位置決めされる電子モジュールのうちの1つ以上と、ケーシングの外部に構成される離れた設備との間でデータ信号を送信することが可能である、コネクタと
をも備える、
− 取得デバイスが、キャップとスタックとの間に位置決めされる第1のエンドプレートを備え、第1のエンドプレートが、第3の面を有し、第3の面上に延在する第3の導電性トラックのセットを備え、第3の導電性トラックのセットのトラックが、一方においては、コネクタに電気的に接続されており、他方においては、1つの電子モジュールの第1の導電性トラックのセットまたは第2の導電性トラックのセットのトラックに電気的に接続されることが可能である、
− 取得デバイスが、第3の導電性トラックのセットのトラックをコネクタに接続する可撓性電気コネクタケーブルを備える、
− 各コネクタブロックが、電子モジュールのうちの1つの第1の導電性トラックのセットの各トラックと、電子モジュールのうちの他の電子モジュールの第2のトラックのセットの対応するトラックとの間の電気接続を確立するように、電子モジュールの積み重ね方向に平行な第1の方向において高い導電率(すなわち、例えば数ミリオームなど、典型的には1オーム未満の低い電気抵抗)を有し、電子モジュールの積み重ね方向に垂直な方向において低い導電率(すなわち、例えば数ギガオーム程度など、典型的には10
9オームよりも大きい高い電気抵抗)を有する異方性導電材料から形成される、
− 異方性導電材料が、非伝導性マトリックス、および、マトリックス内に分散された複数の導電性要素を含み、導電性要素が、第1の方向においてのみ電気信号を伝導することが可能である、
− マトリックスが、エラストマー材料から形成される、
− 各電子モジュールが、第1の導電性トラックのセットが延在する第1の面を有する第1の電子基板と、第2の導電性トラックのセットが延在する第2の面を有する第2の電子基板と、第1の電子基板と第2の電子基板との間に位置決めされ、第1の導電性トラックのセットのトラックのうちの1つおよび第2の導電性トラックのセットのトラックのうちの1つに接続される1つ以上の電子構成要素とを備える、
− 電子構成要素のうちの1つが、構成要素が接続される第1の導電性トラックのセットのトラックを介して、測定データを含む入力電気信号を受信して、測定データに処理を適用し、電子構成要素が接続される第2の導電性トラックのセットのトラックを介して処理された測定データを含む電気出力信号を生成することが可能である、
− 電子構成要素のうちの1つが、電子構成要素が接続される第1の導電性トラックのセットのトラックと、電子構成要素が接続される第2の導電性トラックのセットのトラックとの間に電圧を生成することが可能な電池である、
− 電子構成要素のうちの1つが、例えば、振動センサ、加速度センサ、音響センサ、温度センサまたは圧力センサなどの、測定データを含む電気測定信号を生成することが可能なセンサである、
− 各電子モジュールが、構成要素と電子基板との間の空間を充填する注封(potting)材料を備える、
− 各モジュールが、第1の電子基板および第2の電子基板によって、電子構成要素を収容する保護ハウジングを画定するように、第1の電子基板と第2の電子基板との間に延在する側壁を備える、
− 第1の導電性トラックのセットおよび第2の導電性トラックのセットのトラックが、円形であり、同心円状に位置決めされる、
− ケーシングが、空洞を囲む回転柱形状を有する側壁を備える。
【0014】
本発明はまた、データ取得システムであって:
計装される構造物の異なる位置に取り付けられることが可能である、上記で規定されているような複数の取得デバイスと、
異なる取得デバイスから発生する測定データ信号を受信するために、通信ケーブルまたはワイヤレス接続を介して異なる取得デバイスに接続されることが可能であるデータ集線装置(concentrator)とを備える、データ取得システムにも関する。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、取得システムはまた、計装される構造物に取り付けられることが可能である複数のセンサも備え、各センサは、取得デバイスのうちの1つに接続されて、測定データを取得デバイスに送信する。
【0016】
純粋に例示であり、限定ではなく、添付の図面を参照して読む必要がある、以下の説明によって、他の特徴および利点が明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】すでに論じられている、従来技術のデータ取得デバイスの第1の例を示す概略図である。
【
図2】すでに論じられている、従来技術のデータ取得デバイスの第2の例を示す概略図である。
【
図3】本発明の可能な実施形態によるデータ取得デバイスを示す概略図である。
【
図4】取得デバイスのキャップを示す概略図である。
【
図5】データ取得デバイスの一部を形成する電子モジュールを示す概略断面図である。
【
図6】電子モジュールの第1の面を示す概略図である。
【
図7】電子モジュールの第2の面を示す概略図である。
【
図8】2つの隣接する電子モジュールの間に位置決めされるコネクタブロックを示す概略図である。
【
図9】2つの隣接する電子モジュールの間に位置決めされる別のコネクタブロックを示す概略図である。
【
図10】電子モジュールによって実施され得る機能を示す概略図である。
【
図11】電子モジュールによって実施され得る機能を示す概略図である。
【
図12】電子モジュールによって実施され得る機能を示す概略図である。
【
図13】電子モジュールによって実施され得る機能を示す概略図である。
【
図14】電子モジュールによって実施され得る機能を示す概略図である。
【
図15】取得デバイスのキャップを含む端部アセンブリによって実施され得る機能を示す概略図である。
【
図16】取得デバイスのキャップを含む端部アセンブリによって実施され得る機能を示す概略図である。
【
図17】取得デバイスのキャップを含む端部アセンブリによって実施され得る機能を示す概略図である。
【
図18】取得デバイスのキャップを含む端部アセンブリによって実施され得る機能を示す概略図である。
【
図19】複数の取得デバイスを備えるデータ取得システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図3において、データ取得デバイス10は、ケーシング11と、複数の電子モジュール12と、複数のコネクタブロック13とを備える。
【0019】
ケーシング11は、2つのエンドキャップ14、15と、本体16とを備える。本体16は、例えば、軸Xを有する回転柱など、一般に円筒形状を有する側壁17を備える。側壁17は、2つの端部開口部を画定する2つの自由縁(free edge)18、19を有する。各キャップ14、15は、開口部のうちの1つに導入され、例えばねじ止めまたは任意の他の手段によって本体16に取り付けられることが可能である。側壁17は、電子モジュール12およびコネクタブロック13を受け入れることが可能な空洞20を画定する。空洞20は、ケーシング11の2つの開口部の間に延在する。
【0020】
電子モジュール12およびコネクタブロック13は、開口部のうちの1つを介してケーシングの空洞20の内部に導入されることが可能である。その上、電子モジュール12およびコネクタブロック13は、ケーシング11の軸Xに平行な積み重ね方向において空洞20内に積み重ねられることが可能である。より正確には、電子モジュール12およびコネクタブロック13は、各電子モジュール12がスタック内で2つのコネクタブロック13の間に配置されるように、互いに交互に積み重ねられる。
【0021】
各電子モジュール12は、電子モジュールに特有の機能を提供することが可能である。例えば、電子モジュールは、1つ以上のセンサ(例えば加速度計または圧力センサなど)、データ処理構成要素、メモリおよび電池を含むことができる。
【0022】
電子モジュール12はまた、中間モジュール、すなわち、いかなる特定の機能も果たさないが、空洞20が所定の容積を有し、必要な電子モジュール12の数が、空洞20の容積全体が充填されることを可能にしない場合に、スタックを完成させる役割を果たす電子モジュールを含むこともできる。
【0023】
各キャップ14、15は、開口部のうちの1つおよびエンドプレート23、24を閉じるために本体16に取り付けられることが可能である閉塞部分(blocking part)21、22を備える。
【0024】
キャップ14、15が本体16に取り付けられると、電気モジュール12およびコネクタブロック13から成るスタックは、2つのエンドプレート23と24との間に配置される。
【0025】
図4に示されているように、キャップ14は、閉塞部分21および加圧部材26を通じて延在するコネクタ25を備える。
【0026】
加圧部材26は、キャップ14の閉塞部分21とエンドプレート23との間に位置決めされる。加圧部材26は、電子モジュール12およびコネクタブロック13を互いに対して圧縮されたままにするために、スタックに、積み重ね方向に平行な圧縮力Fを加えることが可能である。加圧部材26は、エンドプレート23を介して電子モジュール12に圧縮力Fを加える。
【0027】
図4に示されているように、加圧部材26は、例えば、圧縮ばねなどの弾性戻り要素を含むことができる。
【0028】
キャップ14はまた、エンドプレート23の導電性トラックをコネクタ25に接続する可撓性電気コネクタケーブル27をも備える。
【0029】
コネクタ25は、通信ケーブルに接続され、空洞20の内部に位置決めされる1つ以上の電子機器12と、ケーシング11の外部に配置される離れた設備との間で信号を送信することが可能である。
【0030】
図5−
図7は、電子モジュール12を概略的に示す。電子モジュール12は、円筒チップの形状を有する。
【0031】
図5に示されている例において、電子モジュール12は、第1の平面29を有する第1の電子基板28と、第1の平面29に対向する第2の平面31を有する第2の電子基板30とを備える。平面29および31は、積み重ね方向に垂直に延在する。電子モジュール12はまた、第1の面29上に延在する第1の導電性トラックのセット32と、第2の面31上に延在する第2の導電性トラックのセット33とをも備える。
【0032】
電子モジュール12はまた、2つの電子基板28と30との間に位置決めされる複数の電気接続部42をも備え、それぞれが、トラック32および33を2つずつ接続するように第1の面29から第2の面31まで延在する。電子モジュール12はまた、2つの電子基板28と30との間に位置決めされ、特定の電気接続部42に接続される複数の電子構成要素34をも備える。電子モジュール12はまた、第1の電子基板28と第2の電子基板30との間に位置決めされ、電子構成要素34を支持する、1つ以上のインターリーブ基板35をも備える。電子モジュール12はまた、構成要素34と電子基板28、30、35との間の空間を充填する注封材料36をも備える。このように、電気接続部42および電子構成要素34は、注封材料36によって、機械的負荷(振動、衝撃、圧力変動)および周囲湿度から保護される。その上、注封材料36は、電子モジュール12を気密にするように選択され得る。
【0033】
代替的に、各モジュール12は、第1の電子基板および第2の電子基板によって、電気接続部42および電子構成要素34を収容する保護ハウジングを画定するように、第1の電子基板28と第2の電子基板30との間に延在する側壁を備えることができる。
【0034】
図6に示されているように、第1の導電性トラックのセット32は、第1のパターンにしたがって同心円状に構成される複数の円形導電性トラック37を含む。
【0035】
図7に示されているように、第2の導電性トラックのセット33は、第2のパターンにしたがって同心円状に構成される複数の円形導電性トラック38を含む。第2のパターンは、第1のパターンと同一である。
【0036】
第1のトラックのセット32は、電子モジュール12間で同一である。同様に、第2のトラックのセット33は、電子モジュール12間で同一である。
【0037】
加えて、
図6および
図7に示されている例において、第1のトラックのセット32は第2のトラックのセット33と対称である。より正確には、この例において、第1のトラックのセット32は第2のトラックのセット33と同一である。
【0038】
第1のトラックのセット32および第2のトラックのセット33の各々は、3−10個のトラックを含むことができる。
【0039】
図7および
図8に示されている例において、第1のトラックのセット32および第2のトラックのセット33は各々、1から9の番号を付されている9つの個別のトラックを含む。各トラックは、所定の信号の送信専用である。
【0040】
図6および
図7に示されている例において、トラック番号1および番号3は同期信号(「CLK」および「FSYNC」と呼ばれる)の送信専用であり、トラック番号2および番号9は電源信号(「VCC」および「GND」と呼ばれる)の送信専用であり、トラック番号4から8はデータ信号(「SCLK」、「D_AOUT」、「D_AIN」、「I2C_SCL」、「I2C_SDA」と呼ばれる)の送信専用である。
【0041】
したがって、導電性トラック37および38は、電子モジュール12が空洞20内に積み重ねられると、電子モジュールの第2の面31の導電性トラック番号1から9の各々が、スタック内の隣接する電子モジュールの第1の面29の対応する導電性トラック番号1から9に面するように構成される。このように、信号は、空洞20内の電子モジュール12の積み重ね順序にかかわらず、スタックを通じて1つの電子モジュール12から別の電子モジュールへと伝搬される。
【0042】
その上、第1のエンドプレート23は、スタックに向けて方向付けられた第1の支持面39を有する。第1のエンドプレート23は、第1の支持面39上に延在する第3の導電性トラックのセットを備える。第3の導電性トラックのセットは、
図7に示されている第2の導電性トラックのセット33と同一である。可撓性電気コネクタケーブル27が、第3の導電性トラックのセットのトラックをコネクタ25に接続する。したがって、導電性トラックは、電子モジュール12が空洞20内に積み重ねられると、スタックの第1の端部に配置される電子モジュール12の第1の面29の導電性トラック番号1から9の各々が、第1のエンドプレート23の第1の支持面39の対応する導電性トラック番号1から9に面するように構成される。したがって、第3の導電性トラックのセットのトラックは、一方においては、コネクタ25に電気的に接続され、他方においては、スタックの第1の端部に配置される電子モジュール12の第1の導電性トラックのセット32のトラック37に接続される。
【0043】
同様に、第2のエンドプレート24は、スタックに向けて方向付けられた第2の支持面40を有する。第2のエンドプレート24は、第2の支持面40上に延在する第4の導電性トラックのセットを備える。第4の導電性トラックのセットは、第1の導電性トラックのセット32と同一である。したがって、導電性トラックは、電子モジュール12が空洞20内に積み重ねられると、スタックの第2の端部に配置される電子モジュール12の第2の面31の導電性トラック番号1から9の各々が、第2の支持面40の対応する導電性トラック番号1から9に面するように構成される。したがって、第4の導電性トラックのセットのトラックは、スタックの第1の端部に対向する、スタックの第2の端部に配置される電子モジュール12の第2の導電性トラックのセット33のトラック38に接続される。
【0044】
図8に示されているように、各コネクタブロック13は、ディスクの形状を有し、スタックの2つの隣接する電子モジュール12の間に位置決めされることが可能である。より正確には、
図8に示されているコネクタブロック13は、第1の電子モジュール12Aの第2の面31と、第2の面31に面して位置決めされる第2の電子モジュール12Bの第1の面29との間に位置決めされる。コネクタブロックは、第1の電子モジュール12Aの第1の導電性トラックのセット32の各トラック37と、第2の電子モジュール12Bの第2のトラックのセット33の対応するトラック38との間に電気接続を確立することが可能である。
【0045】
各コネクタブロック13は、異方性導電材料から形成され、異方性導電材料は、電子モジュール12bの第1の導電性トラックのセット32の各トラック37と、電子モジュール12Aの第2のトラックのセット33の対応するトラック38との間の電気接続を確立するように、電子モジュール12の積み重ね方向に平行な第1の方向において高い導電率(すなわち、1オーム程度の低い抵抗)を有し、電子モジュール12の積み重ね方向に垂直な方向において低い導電率(すなわち、例えば、10
12オーム程度の高い抵抗)を有する。
【0046】
異方性導電材料は、例えば、エラストマー材料から形成される非伝導性マトリックス、および、マトリックス内に分散された複数の導電性要素を含み、導電性要素は、積み重ね方向においてのみ信号を伝導することが可能である。
【0047】
圧縮力を被ると、コネクタブロック13は、変形する傾向にある。より正確には、積み重ね方向において測定されるコネクタブロック13の厚さは減少する傾向にあり、一方、積み重ね方向に垂直な半径方向において測定されるコネクタブロック13の半径は増大する傾向にある。したがって、コネクタブロック13は、電子モジュール13とエンドプレート23および24との間の空間を占め、ケーシング11の側壁17に対して支持される。このように、コネクタブロック13は、ケーシング11内の電子モジュール12を固定し、電子モジュール12を振動および衝撃に対して保護する。
【0048】
各コネクタブロック13は、環状外面を有する。
図3に示されているように、各コネクタブロック13は、圧縮力Fの影響下で、コネクタブロック13が半径方向の膨張を受けるような寸法にされている。これには、コネクタブロック13の環状外面が側壁17の円筒内面に対して加圧されるという効果がある。コネクタブロック13の材料は、側壁17の内面に対して押し付けられる。このように、コネクタブロック13は、電子モジュール13を気密に分離する。したがって、電子モジュール13は、空洞20内部の湿気または汚染物質の侵入に対して保護される。
【0049】
その上、コネクタブロック13は、外部に放熱するために、電子モジュール12によって生成され得る熱のケーシングの側壁への伝導を可能にする材料から形成され得る。熱の放散をさらに向上させるために、ケーシング11は、側壁17の外面に構成された微粒子を備えることができる。
【0050】
図9は、2つの隣接する電子モジュール12の間に位置決めされ得るコネクタブロック13の別の例を概略的に示す。コネクタブロック13は、環状形状を有する。取得デバイスはまた、コネクタブロック13の中心に位置決めされたコネクタ41をも備える。
【0051】
電子モジュール12の面上での導電性トラック37および38の性質に起因して、同期信号、電源信号およびデータ信号などの電気信号が、スタックを通じてあるモジュール12から別のモジュールへと送信され、これはスタック内の電子モジュール12の順序とは関係ない。
【0052】
各電子モジュール12は、データ信号、同期信号または電源信号を以下のように伝搬させることができる:
− 電子モジュール12が、信号を使用または処理することなく、第1の導電性トラックのセット32のトラック37と、第2の導電性トラックのセット33の対応するトラック38との間で信号を送信し、
− 電子モジュール12が、第1の導電性トラックのセット32のトラック37と、第2の導電性トラックのセット33の対応するトラック38との間で信号を送信し、同時に、信号を使用して、その電子構成要素を機能させる。
【0053】
図10から
図14は、電子モジュール12によって実施され得る機能の種々の例を概略的に示す。
【0054】
図10において、電子モジュール12はセンサモジュールである。
【0055】
電子モジュールは、測定データを含むデータ信号を生成することが可能なセンサ(例えば、加速度計または圧力センサ)を備える。電子モジュールは、第1の導電性トラックのセットの1つのトラックと、第2の導電性トラックのセットのトラックとの間でデータ信号を送信する。電子モジュールは、同期信号を使用して、第1の導電性トラックのセットのトラックと、第2の導電性トラックのセットの対応するトラックとの間で依然として同期信号を送信しながら、同期を必要とするその電子構成要素(典型的にはアナログ/デジタル変換構成要素)を同期する。同様に、電子モジュールは、電力信号を使用して、第1の導電性トラックのセットのトラックと、第2の導電性トラックのセットの対応するトラックとの間で依然として電力信号を送信しながら、その電子構成要素に供給する。
【0056】
図11において、電子モジュール12はデータ記録モジュールである。
【0057】
電子モジュールは、データ信号からデータを記録するように構成されるメモリを備える。電子モジュールは、第1の導電性トラックのセットのトラックと、第2の導電性トラックのセットの対応するトラックとの間でデータ信号を送信する。電子モジュールは、電力信号を使用して、第1の導電性トラックのセットのトラックと、第2の導電性トラックのセットの対応するトラックとの間で依然として電力信号を送信しながら、その電子構成要素に供給する。その上、電子モジュールは、信号を使用または処理することなく、第1の導電性トラックアセンブリのトラックと、第2の導電性トラックのセットの対応するトラックとの間で同期信号を送信する。
【0058】
図12において、電子モジュール12は処理モジュールである。
【0059】
電子モジュールは、電子モジュールが受信するデータ信号を処理し、処理されたデータ信号を生成するように構成される。電子モジュールは、電力信号および同期信号を使用して、第1の導電性トラックのセットのトラックと、第2の導電性トラックのセットのトラックとの間で依然として電力信号および同期信号を送信しながら、その電子構成要素に供給する。
【0060】
図13において、電子モジュール12は電源モジュールであり、その構成要素のうちの1つが電池である。
【0061】
電子モジュールは、電源信号を生成するように構成される。電子モジュールは、信号を使用または処理することなく、第1の導電性トラックのセットのトラックと、第2の導電性トラックのセットの対応するトラックとの間でデータ信号を送信する。同様に、電子モジュールは、信号を使用または処理することなく、第1の導電性トラックのセットのトラックと、第2の導電性トラックのセットの対応するトラックとの間で同期信号を送信する。
【0062】
図14において、電子モジュール12はインターリーブモジュールである。
【0063】
この場合、電子モジュールは、スタックの合計サイズを所望の寸法に適合させることは別として、いかなる特定の機能も実施しない。電子モジュールは、信号を使用または処理することなく、第1の導電性トラックのセットのそれぞれのトラックと、第2の導電性トラックのセットの対応するそれぞれのトラックとの間でデータ信号、同期信号および電力信号を送信する。
【0064】
図15から
図18は、キャップ14または15のうちの1つによって実施され得る種々の機能を概略的に示す。
【0065】
図15において、キャップ14は、受動的なキャップである、すなわち、キャップ14はいかなる特定の機能も実施しない。
【0066】
この場合、第3の導電性トラックのセットのトラックがコネクタに電気的に接続される。したがって、コネクタは、データ信号、同期信号および電源信号を受信する。これらの信号は、デバイスのケーシングの外部に配置される離れた設備に、通信ケーブルまたはワイヤレス接続を介して送信され得る。
【0067】
図16から
図18は、キャップが能動的である、すなわち、キャップがキャップに特有の機能を実施する、キャップの実施形態を示す。
【0068】
図16において、キャップ14は、第1のフォーマットにおいてスタックの種々のモジュールを通じて伝搬するデータ信号を、第1のフォーマットとは異なる第2のフォーマットを有するデータ信号に変換することが可能な変換構成要素を含む。第2のフォーマットのデータ信号は、デバイスのケーシングの外部に配置される離れた設備に、通信ケーブル上でまたはワイヤレス接続を介してブロードキャストされることが可能である。変換構成要素はまた、逆変換を実行する、すなわち、第2のフォーマットのデータ信号を第1のフォーマットのデータ信号に変換することも可能である。
【0069】
図17において、キャップ14は、第1のフォーマットにおいてスタックの種々のモジュールを通じて伝搬する同期信号を、第1のフォーマットとは異なる第2のフォーマットを有する同期信号に変換することが可能な変換構成要素を含む。第2のフォーマットの同期信号は、デバイスのケーシングの外部に配置される離れた設備に、通信ケーブル上でまたはワイヤレス接続を介してブロードキャストされることが可能である。変換構成要素はまた、逆変換を遂行する、すなわち、第2のフォーマットの同期信号を第1のフォーマットの同期信号に変換することも可能である。
【0070】
図18において、キャップ14は、第1のフォーマット(例えば第1の電圧レベル)においてスタックの種々のモジュールを通じて伝搬する電源信号を、第1のフォーマットとは異なる第2のフォーマット(例えば第2の電圧レベル)を有する信号に変換することが可能な変換構成要素を含む。第2のフォーマットの電源信号は、デバイスのケーシングの外部に配置される離れた設備に、通信ケーブル上でブロードキャストされることが可能である。変換構成要素はまた、逆変換を遂行する、すなわち、第2のフォーマットの電源信号を第1のフォーマットの電源信号に変換することも可能である。
【0071】
無論、
図16から
図18に示されている3つの機能のうちのいくつかを実施するキャップが考慮され得る。
【0072】
図19は、データ取得システムを概略的に示す。
【0073】
データ取得システムは、複数のデータ取得デバイス10と、データ集線装置50とを備える。
【0074】
データ取得システムは、計装される構造物に異なる位置において取り付けられる複数のセンサを備える。センサの中で、特定のセンサは、データ取得デバイス10と違う別個のセンサ110であり得る。この場合、各センサ110は、計装される構造物に取り付けられ、関連付けられるデータ取得デバイス10に接続される。センサ110は、センサ110によって生成される測定データを関連付けられるデータ取得デバイス10に送信するように、通信ケーブルまたはワイヤレス接続を介して、関連付けられる取得デバイスに接続される。これらのセンサの中で、他のセンサは、データ取得デバイス10に一体化され得る。この場合、センサは、データ取得デバイス10の電子モジュールの一部である。
【0075】
データ取得デバイス10は、ねじまたは穿孔を用いずに、単純に、ホースクランプまたは自動ロック式ケーブルクランプ(一般的に「タイラップ(tyrap)」と呼ばれるプラスチックまたは金属のホースクランプなど)を用いることによって、計装される構造物に(例えば、ケーブルより線またはチューブに)取り付けられ得る。各取得デバイス10のアセンブリおよび分解は、工具を用いずに遂行され得、必要に応じて取得アセンブリを再構成することを可能にする。
【0076】
各データ取得デバイス10は、通信ケーブル60またはワイヤレス接続70(例えば無線周波数接続)を介して別のデータ取得デバイス10またはデータ集線装置50に接続される。
【0077】
データ集線装置50は、また、他のデータ取得デバイス80にも接続され得る。
【0078】
データ集線装置50は、異なる取得デバイス10および80から発生するデータ信号を受信し、集約(ローカルに取得されるそれ自体のデータによる)、フィルタリング(すなわち、データ集線装置が受信するデータの間でのデータの選択による)、記録媒体90におけるデータの記録、および/または、送信リンク100を介した、例えば取得アセンブリが航空機に設置される場合の地上局などの、他の設備へのデータの送信を進めるように構成される。