(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸収部から流出した前記第1の被加熱流体の温度が所定の温度になるように、前記蒸発部及び前記再生部に流入する前記加熱源流体の流量と前記吸収部に前記第1の被加熱流体として流入する前記加熱源流体の流量との比が設定された;
請求項1に記載の吸収式熱交換システム。
前記凝縮部から流出した前記第2の被加熱流体から分岐された一部の前記第2の被加熱流体を、前記吸収部に導入される前の前記第1の被加熱流体に合流させる部分被加熱流体バイパス流路を備える;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸収式熱交換システム。
前記吸収部から流出した前記第1の被加熱流体の温度が所定の温度になるように、前記凝縮部から流出した前記第2の被加熱流体の、前記蒸発部及び前記再生部の少なくとも一方から流出した前記加熱源流体と混合する流量と、前記部分被加熱流体バイパス流路を流れる流量との比が設定された;
請求項4に記載の吸収式熱交換システム。
前記凝縮部から前記蒸発部に搬送される前記冷媒液と、前記蒸発部及び前記再生部の少なくとも一方から流出した前記加熱源流体と、の間で熱交換を行わせる冷媒熱交換器を備える;
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の吸収式熱交換システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱交換器の用途の1つとして、排熱を回収することが挙げられる。排熱は、使用されずに捨てられる熱であるため、排熱を回収して温度を上昇させる流体の出口温度を、排熱を含む熱が奪われて温度が低下する流体の入口温度よりも高い温度にすることができれば、活用の幅が広がることとなる。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、温度を上昇させる被加熱流体の出口温度を、温度が低下する加熱源流体の入口温度よりも高くすることができる吸収式熱交換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図1に示すように、吸収液Saが冷媒の蒸気Veを吸収して濃度が低下した希溶液Swとなる際に放出した吸収熱によって第1の被加熱流体RPの温度を上昇させる吸収部10と;冷媒の蒸気Vgが凝縮して冷媒液Vfとなる際に放出した凝縮熱によって第2の被加熱流体GPの温度を上昇させる凝縮部40と;凝縮部40から冷媒液Vfを導入し、導入した冷媒液Vfが蒸発して吸収部10に供給される冷媒の蒸気Veとなる際に必要な蒸発潜熱を加熱源流体RSから奪うことで加熱源流体RSの温度を低下させる蒸発部20と;吸収部10から希溶液Swを導入し、導入した希溶液Swを加熱し希溶液Swから冷媒Vgを離脱させて濃度が上昇した濃溶液Saとするのに必要な熱を加熱源流体RSから奪うことで加熱源流体RSの温度を低下させる再生部30とを備え;吸収液Sa、Swと冷媒Ve、Vf、Vgとの吸収ヒートポンプサイクルによって、吸収部10は再生部30よりも内部の圧力及び温度が高くなり、蒸発部20は凝縮部40よりも内部の圧力及び温度が高くなるように構成され;蒸発部20及び再生部30に導入される前の加熱源流体RAから分岐された一部の加熱源流体を第1の被加熱流体RPとして吸収部10に導入するように構成されている。
【0007】
このように構成すると、蒸発部及び再生部に導入される前の加熱源流体から分岐された一部の加熱源流体を第1の被加熱流体として吸収部に導入するので、吸収部から流出した第1の被加熱流体の温度を蒸発部及び再生部に導入される前の加熱源流体の温度よりも高くすることができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様に係る吸収式熱交換システム1において、吸収部10から流出した第1の被加熱流体RPの温度が所定の温度になるように、蒸発部20及び再生部30に流入する加熱源流体RSの流量と吸収部10に第1の被加熱流体RPとして流入する加熱源流体RPの流量との比が設定されている。
【0009】
このように構成すると、吸収部から流出した第1の被加熱流体の温度を調節することができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図1に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る吸収式熱交換システム1において、凝縮部40から流出した第2の被加熱流体GPが蒸発部20及び再生部30の少なくとも一方から流出した加熱源流体RSと混合するように構成されている。
【0011】
このように構成すると、吸収式熱交換システムに流入する加熱源流体の流量と吸収式熱交換システムから流出する加熱源流体の流量とのバランスを図ることができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図2に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る吸収式熱交換システム2において、凝縮部40から流出した第2の被加熱流体GPから分岐された一部の第2の被加熱流体GPdを、吸収部10に導入される前の第1の被加熱流体RPに合流させる部分被加熱流体バイパス流路48を備える。
【0013】
このように構成すると、システム構成を簡単にすることができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図2を参照して示すと、上記本発明の第4の態様に係る吸収式熱交換システム2において、吸収部10から流出した第1の被加熱流体RPの温度が所定の温度になるように、凝縮部40から流出した第2の被加熱流体GPの、蒸発部20及び再生部30の少なくとも一方から流出した加熱源流体RSと混合する流量と、部分被加熱流体バイパス流路48を流れる流量との比が設定されている。
【0015】
このように構成すると、吸収部から流出した第1の被加熱流体の温度及び流量のバランスを調節することができる。
【0016】
また、本発明の第6の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図3に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第5の態様のいずれか1つの態様に係る吸収式熱交換システム3において、凝縮部40から蒸発部20に搬送される冷媒液Vfと、蒸発部20及び再生部30の少なくとも一方から流出した加熱源流体RSと、の間で熱交換を行わせる冷媒熱交換器99を備える。
【0017】
このように構成すると、吸収式熱交換システムから流出する加熱源流体の温度を下げることができ、吸収式熱交換システムにおいて加熱源流体から回収する熱量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、蒸発部及び再生部に導入される前の加熱源流体から分岐された一部の加熱源流体を第1の被加熱流体として吸収部に導入するので、吸収部から流出した第1の被加熱流体の温度を蒸発部及び再生部に導入される前の加熱源流体の温度よりも高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
まず
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る吸収式熱交換システム1を説明する。
図1は、吸収式熱交換システム1の模式的系統図である。吸収式熱交換システム1は、吸収液と冷媒との吸収ヒートポンプサイクルを利用して、熱利用機器HCFに向けて吸収式熱交換システム1から流出する昇温対象流体RPの温度が、駆動熱源として吸収式熱交換システム1に流入する駆動熱源流体RSの温度よりも高くなるように熱移動させるシステムである。ここで、昇温対象流体RPは、吸収式熱交換システム1において温度を上昇させる対象となる流体であり、第1の被加熱流体に相当する。駆動熱源流体RSは、吸収式熱交換システム1において温度が低下する流体であり、加熱源流体に相当する。吸収式熱交換システム1は、吸収液S(Sa、Sw)と冷媒V(Ve、Vg、Vf)との吸収ヒートポンプサイクルが行われる主要機器を構成する吸収器10、蒸発器20、再生器30、及び凝縮器40を備えている。吸収器10、蒸発器20、再生器30、凝縮器40は、それぞれ、吸収部、蒸発部、再生部、凝縮部に相当する。
【0022】
本明細書においては、吸収液に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「希溶液Sw」や「濃溶液Sa」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「吸収液S」ということとする。同様に、冷媒に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「蒸発器冷媒蒸気Ve」、「再生器冷媒蒸気Vg」、「冷媒液Vf」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒V」ということとする。本実施の形態では、吸収液S(吸収剤と冷媒Vとの混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Vとして水(H
2O)が用いられている。
【0023】
吸収器10は、昇温対象流体RPの流路を構成する伝熱管12と、濃溶液Saを伝熱管12の表面に供給する濃溶液供給装置13とを内部に有している。伝熱管12は、一端に昇温流体導入管51が接続され、他端に昇温流体流出管19が接続されている。昇温流体導入管51は、昇温対象流体RPを伝熱管12に導く流路を構成する管である。昇温流体導入管51には、内部を流れる昇温対象流体RPの流量を調節する昇温流体弁51vが設けられている。昇温流体流出管19は、吸収器10で加熱された昇温対象流体RPを流す流路を構成する管である。吸収器10は、濃溶液供給装置13から濃溶液Saが伝熱管12の表面に供給され、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収して希溶液Swとなる際に吸収熱を発生させる。この吸収熱を、伝熱管12を流れる昇温対象流体RPが受熱して、昇温対象流体RPが加熱されるように構成されている。
【0024】
蒸発器20は、駆動熱源流体RSの流路を構成する熱源管22を、蒸発器缶胴21の内部に有している。蒸発器20は、蒸発器缶胴21の内部に冷媒液Vfを散布するノズルを有していない。このため、熱源管22は、蒸発器缶胴21内に貯留された冷媒液Vfに浸かるように配設されている(満液式蒸発器)。熱源管22の一端には、駆動熱源導入管52が接続されている。駆動熱源導入管52は、駆動熱源流体RSを熱源管22に導く流路を構成する管である。駆動熱源導入管52には、内部を流れる駆動熱源流体RSの流量を調節する駆動熱源弁52vが設けられている。駆動熱源導入管52の他端は、昇温流体導入管51の他端と共に、熱源流体流入管55に接続されている。熱源流体流入管55は、合流熱源流体RAが流れる流路を構成する管である。熱源流体流入管55を流れる合流熱源流体RAは、分流して、昇温流体導入管51と駆動熱源導入管52とに流入するように構成されている。つまり、昇温対象流体RPは、合流熱源流体RAのうちの昇温流体導入管51に流入したものであり、駆動熱源流体RSは、合流熱源流体RAのうちの駆動熱源導入管52に流入したものである。蒸発器20は、熱源管22周辺の冷媒液Vfが熱源管22内を流れる駆動熱源流体RSの熱で蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veが発生するように構成されている。蒸発器缶胴21には、蒸発器缶胴21内に冷媒液Vfを供給する冷媒液管45が接続されている。
【0025】
吸収器10と蒸発器20とは、相互に連通している。吸収器10と蒸発器20とが連通することにより、蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veを吸収器10に供給することができるように構成されている。
【0026】
再生器30は、希溶液Swを加熱する駆動熱源流体RSを内部に流す熱源管32と、希溶液Swを熱源管32の表面に供給する希溶液供給装置33とを有している。熱源管32内を流れる駆動熱源流体RSは、蒸発器20の熱源管22内を流れた後の駆動熱源流体RSとなっている。蒸発器20の熱源管22と再生器30の熱源管32とは、駆動熱源流体RSを流す駆動熱源連絡管25で接続されている。再生器30の熱源管32の駆動熱源連絡管25が接続された端部とは反対側の端部には、駆動熱源流出管39が接続されている。駆動熱源流出管39は、駆動熱源流体RSを再生器30の外へ導く流路を構成する管である。再生器30は、希溶液供給装置33から供給された希溶液Swが駆動熱源流体RSに加熱されることにより、希溶液Swから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した濃溶液Saが生成されるように構成されている。希溶液Swから蒸発した冷媒Vは再生器冷媒蒸気Vgとして凝縮器40に移動するように構成されている。
【0027】
凝縮器40は、低温熱源流体GPが流れる伝熱管42を凝縮器缶胴41の内部に有している。伝熱管42の一端には、低温熱源流体GPを伝熱管42に導く流路を構成する低温熱源導入管57が接続されている。伝熱管42の他端には、凝縮器40から流出した低温熱源流体GPを流す流路を構成する低温熱源流出管49の一端が接続されている。低温熱源流出管49の他端は、駆動熱源流出管39の他端と共に、熱源流体流出管59に接続されている。熱源流体流出管59は、駆動熱源流出管39を流れる駆動熱源流体RSと、低温熱源流出管49を流れる低温熱源流体GPと、が合流した合流熱源流体RAが流れる流路を構成する管である。凝縮器40は、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgを導入し、これが凝縮して冷媒液Vfとなる際に放出した凝縮熱を、伝熱管42内を流れる低温熱源流体GPが受熱して、低温熱源流体GPが加熱されるように構成されている。低温熱源流体GPは、第2の被加熱流体に相当する。再生器30と凝縮器40とは、相互に連通するように、再生器30の缶胴と凝縮器缶胴41とが一体に形成されている。再生器30と凝縮器40とが連通することにより、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgを凝縮器40に供給することができるように構成されている。
【0028】
再生器30の濃溶液Saが貯留される部分と吸収器10の濃溶液供給装置13とは、濃溶液Saを流す濃溶液管35で接続されている。濃溶液管35には、濃溶液Saを圧送する溶液ポンプ35pが配設されている。吸収器10の希溶液Swが貯留される部分と希溶液供給装置33とは、希溶液Swを流す希溶液管36で接続されている。濃溶液管35及び希溶液管36には、濃溶液Saと希溶液Swとの間で熱交換を行わせる溶液熱交換器38が配設されている。凝縮器40の冷媒液Vfが貯留される部分と蒸発器缶胴21とは、冷媒液Vfを流す冷媒液管45で接続されている。冷媒液管45には、冷媒液Vfを圧送する冷媒ポンプ46が配設されている。
【0029】
吸収式熱交換システム1は、定常運転中、吸収器10の内部の圧力及び温度は再生器30の内部の圧力及び温度よりも高くなり、蒸発器20の内部の圧力及び温度は凝縮器40の内部の圧力及び温度よりも高くなる。吸収式熱交換システム1は、吸収器10、蒸発器20、再生器30、凝縮器40が、第2種吸収ヒートポンプの構成となっている。
【0030】
熱源流体流入管55及び熱源流体流出管59は、本実施の形態では、熱源設備HSFに接続されている。熱源設備HSFは、例えば製鉄所や発電所等からの排熱を回収する設備である。熱源設備HSFは、本実施の形態では、熱源流体流出管59から取り入れた合流熱源流体RAを、排熱で加熱し温度を上昇させて熱源流体流入管55に供給するものである。昇温流体流出管19及び低温熱源導入管57は、本実施の形態では、熱利用設備HCFに接続されている。熱利用設備HCFは、例えば導入した熱を暖房用に利用したり他の吸収冷凍機や吸収ヒートポンプ等の熱源機器の熱源として利用したりするものである。熱利用設備HCFは、本実施の形態では、昇温流体流出管19から導入した昇温対象流体RPが保有する熱を利用し、昇温対象流体RPから熱を奪って温度が低下した流体を低温熱源流体GPとして低温熱源導入管57に流出するものである。
【0031】
引き続き
図1を参照して、吸収式熱交換システム1の作用を説明する。まず、冷媒側の吸収ヒートポンプサイクルを説明する。凝縮器40では、再生器30で蒸発した再生器冷媒蒸気Vgを受け入れて、伝熱管42を流れる低温熱源流体GPによって再生器冷媒蒸気Vgが冷却されて凝縮し、冷媒液Vfとなる。このとき、低温熱源流体GPは、再生器冷媒蒸気Vgが凝縮する際に放出した凝縮熱によって温度が上昇する。凝縮した冷媒液Vfは、冷媒ポンプ46で蒸発器缶胴21に送られる。蒸発器缶胴21に送られた冷媒液Vfは、熱源管22内を流れる駆動熱源流体RSによって加熱され、蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veとなる。このとき、駆動熱源流体RSは、冷媒液Vfに熱を奪われて温度が低下する。蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veは、蒸発器20と連通する吸収器10へと移動する。
【0032】
次に溶液側の吸収ヒートポンプサイクルを説明する。吸収器10では、濃溶液Saが濃溶液供給装置13から供給され、この供給された濃溶液Saが蒸発器20から移動してきた蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する。蒸発器冷媒蒸気Veを吸収した濃溶液Saは、濃度が低下して希溶液Swとなる。吸収器10では、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、伝熱管12を流れる昇温対象流体RPが加熱され、昇温対象流体RPの温度が上昇する。伝熱管12を流れる昇温対象流体RPは、元は、蒸発器20の熱源管22に導入される駆動熱源流体RSの元と同じ合流熱源流体RAである。したがって、昇温流体流出管19を流れる昇温対象流体RPは、吸収器10で加熱された分だけ、蒸発器20及び再生器30に流入する駆動熱源流体RSよりも温度が高くなる。吸収器10で蒸発器冷媒蒸気Veを吸収した濃溶液Saは、濃度が低下して希溶液Swとなり、吸収器10の下部に貯留される。貯留された希溶液Swは、吸収器10と再生器30との内圧の差により再生器30に向かって希溶液管36を流れ、溶液熱交換器38で濃溶液Saと熱交換して温度が低下して、再生器30に至る。
【0033】
再生器30に送られた希溶液Swは、希溶液供給装置33から供給され、熱源管32を流れる駆動熱源流体RSによって加熱され、供給された希溶液Sw中の冷媒が蒸発して濃溶液Saとなり、再生器30の下部に貯留される。このとき、駆動熱源流体RSは、希溶液Swに熱を奪われて温度が低下する。熱源管32を流れる駆動熱源流体RSは、蒸発器20の熱源管22を通過してきたものである。希溶液Swから蒸発した冷媒Vは、再生器冷媒蒸気Vgとして凝縮器40へと移動する。再生器30の下部に貯留された濃溶液Saは、溶液ポンプ35pにより、濃溶液管35を介して吸収器10の濃溶液供給装置13に圧送される。濃溶液管35を流れる濃溶液Saは、溶液熱交換器38で希溶液Swと熱交換して温度が上昇してから吸収器10に流入し、濃溶液供給装置13から供給され、以降、同様のサイクルを繰り返す。
【0034】
吸収液S及び冷媒Vが上記のような吸収ヒートポンプサイクルを行う過程における、被加熱流体及び加熱源流体の温度の変化を、具体例を挙げて説明する。熱源設備HSFから流出して熱源流体流入管55を流れる95℃の合流熱源流体RAは、分流した昇温対象流体RP及び駆動熱源流体RSがそれぞれ95℃である。駆動熱源導入管52を流れる95℃の駆動熱源流体RSは、蒸発器20の熱源管22を流れた際に冷媒液Vfに熱を奪われて、駆動熱源連絡管25に至ると88℃に温度が低下する。その後、駆動熱源連絡管25を流れる駆動熱源流体RSは、再生器30の熱源管32を流れた際に希溶液Swに熱を奪われて、駆動熱源流出管39に至ると80℃に温度が低下する。
【0035】
他方、昇温流体導入管51を流れる昇温対象流体RPは、吸収器10の伝熱管12を流れた際に、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収して発生した吸収熱を得て、昇温流体流出管19に至ると100℃に温度が上昇する。昇温流体流出管19を流れる100℃の昇温対象流体RPは、熱利用設備HCFに流入して熱が利用されて温度が低下する。熱利用設備HCFで熱が利用されて温度が低下した流体は、30℃の低温熱源流体GPとして低温熱源導入管57に流出する。低温熱源導入管57を流れる30℃の低温熱源流体GPは、凝縮器40の伝熱管42を流れた際に、再生器冷媒蒸気Vgが凝縮して冷媒液Vfとなる際に放出した凝縮熱を得て、低温熱源流出管49に至ると40℃に温度が上昇する。
【0036】
低温熱源流出管49を流れる40℃の低温熱源流体GPは、駆動熱源流出管39を流れる80℃の駆動熱源流体RSと混合し、60℃の合流熱源流体RAとなって熱源流体流出管59を流れる。本実施の形態では、低温熱源流出管49の低温熱源流体GPと駆動熱源流出管39の駆動熱源流体RSとを混合することで、吸収式熱交換システム1に出入りする被加熱流体及び熱源流体の流量バランスを図っている。熱源流体流出管59を流れる60℃の合流熱源流体RAは、熱源設備HSFに流入して排熱を回収して温度が上昇する。熱利用設備HCFで温度が上昇した合流熱源流体RAは、95℃で熱源流体流入管55に流出し、以降、上述の流れを繰り返す。
【0037】
吸収式熱交換システム1では、上述のような温度関係を成り立たせて、吸収器10から流出した昇温対象流体RPの温度が所定の温度(熱利用設備HCFにおける利用に適した温度であって本実施の形態では100℃)になるように、昇温流体導入管51を流れる昇温対象流体RPの流量と、駆動熱源導入管52を流れる駆動熱源流体RSの流量と、の比を決定している。本実施の形態では、昇温対象流体RPと駆動熱源流体RSとの流量比を概ね1:1としている。なお、相対的に、昇温対象流体RPの流量を少なくすれば昇温対象流体RPの温度は高くなり、昇温対象流体RPの流量を多くすれば昇温対象流体RPの温度は低くなる。ここで、昇温流体導入管51を流れる昇温対象流体RPと駆動熱源導入管52を流れる駆動熱源流体RSとの流量比は、制御装置(不図示)に設けられた記憶装置(不図示)にあらかじめ設定しておいてもよいし、制御装置に設けられた入力装置(不図示)により随時設定が可能な構成としてもよい。本実施の形態では、昇温対象流体RPと駆動熱源流体RSとの流量比の調節を、昇温流体弁51v及び駆動熱源弁52vの開度を調節することで行うこととしている。昇温流体弁51v及び駆動熱源弁52vの開度の調節は、典型的には上述した制御装置に設定された流量比に基づいて制御装置からの信号によって自動で行われるが、制御装置によらずに手動で開度を調節することとしてもよい。なお、昇温流体弁51v及び駆動熱源弁52vに代えて、昇温流体導入管51と駆動熱源導入管52と熱源流体流入管55との接続部に三方弁を設けることとしてもよい。
【0038】
これまで説明した、吸収式熱交換システム1に対して入出する、加熱源流体(合流熱源流体RA)と被加熱流体(昇温対象流体RP、低温熱源流体GP)との流れを概観すると、吸収式熱交換システム1において、熱源設備HSFから流出して吸収式熱交換システム1に95℃で流入した合流熱源流体RAは吸収式熱交換システム1から60℃で流出して熱源設備HSFに流入しており、熱利用設備HCFから流出して吸収式熱交換システム1に30℃で流入した低温熱源流体GPは吸収式熱交換システム1から昇温対象流体RPとして100℃で流出して熱利用設備HCFに流入している。これを、熱源設備HSFに対して流出入する合流熱源流体RAを加熱源流体、熱利用機器HCFに対して流出入する昇温対象流体RP及び低温熱源流体GPを被加熱流体としてみると、吸収式熱交換システム1は、加熱源流体と被加熱流体との間で熱交換作用をしているものとみることができ、被加熱流体が、流入した被加熱流体の温度から加熱源流体の温度よりも高い温度まで加熱するだけの熱量を、加熱源流体から奪った後に流出する熱交換システムとみることができる。吸収式熱交換システム1から流出する被加熱流体(昇温対象流体RP)の温度が高い程、吸収式熱交換システム1に対する被加熱流体の入出口温度差を加熱源流体の入出口温度差よりも拡大して、被加熱流体(昇温対象流体RP)の流量を少なくすることができる。さらに、吸収式熱交換システム1から流出して熱源設備HSFに流入する合流熱源流体RAの流量と熱源設備HSFから流出して吸収式熱交換システム1に流入する合流熱源流体RAの流量を等しいものとし、吸収式熱交換システム1から流出して熱利用機器HCFに流入する昇温対象流体RPの流量と熱利用機器HCFから流出して吸収式熱交換システム1に流入する低温熱源流体GPの流量を等しいものとした場合には、加熱源流体及び被加熱流体の両流体が、吸収式熱交換システム1内で区画された独立した系統として吸収式熱交換システム1に流入出しているものとみることができ、吸収式熱交換システム1を熱交換器としてみることがより明瞭になる。本実施の形態に示したように、吸収式熱交換システム1から流出した合流熱源流体RAが熱源設備HSF内を通過して加熱された後に吸収式熱交換システム1に戻り、吸収式熱交換システム1から流出した昇温対象流体RPが熱利用機器HCFを通過して熱が消費された後に低温熱源流体GPとして吸収式熱交換システム1に戻るように構成すると好適である。
【0039】
なお、仮に、熱利用設備HCFに対して流出入する流体(被加熱流体)を、熱源設備HSFに対して流出入する流体(加熱源流体)に対して分流及び合流させずに、凝縮器40の伝熱管42を流れた低温熱源流体GPを吸収器10の伝熱管12に流すように独立した系統とする場合は、凝縮器40の伝熱管42を流れた低温熱源流体GPを吸収器10の伝熱管12に流入させる前に、蒸発器20及び再生器30から流出した駆動熱源流体RS又は蒸発器20及び再生器30に流入する前の駆動熱源流体RSと熱交換して加熱し昇温させる熱交換器が必要になる。これに対し、本実施の形態のように、熱利用設備HCFに対して流出入する流体(被加熱流体)を熱源設備HSFに対して流出入する流体(加熱源流体)に対して分流及び合流させると、上記仮定の場合に設ける熱交換器が不要となり、システム構成を簡単にすることができる。上記仮定の場合に設ける熱交換器が不要となることにより、熱交換器からの放熱損失と熱交換温度効率が1より小さいことによる被加熱流体の温度低下を回避して、熱交換器による熱効率の低下を解消することができる。さらに、熱交換器の設置スペース、熱交換器に流体が出入するための配管、熱交換器の保守点検作業をも省くこともできる。さらに、本実施の形態に係る吸収式熱交換システム1では、熱源設備HSFに流出する流体(加熱源流体)よりも低い温度の流体(被加熱流体)を熱利用設備HCFから導入し、熱源設備HSFから導入する流体(加熱源流体)よりも高い温度の流体(被加熱流体)を熱利用設備HCFに流出することができ、熱の有効利用を図ることができると共に、吸収式熱交換システム1に対する被加熱流体の入出口温度差を拡大して被加熱流体の流量を少なくすることができる。
【0040】
以上で説明したように、本実施の形態に係る吸収式熱交換システム1によれば、流出する昇温対象流体RPの温度が導入する駆動熱源流体RSの温度よりも高くなるように昇温対象流体RPを加熱することができ、駆動熱源流体RSよりも利用価値が高い昇温対象流体RPを外部に供給することができる。また、吸収器10で加熱される昇温対象流体RPを合流熱源流体RAから分岐すると共に、凝縮器40で加熱された低温熱源流体GPを、蒸発器20及び再生器30を通過した駆動熱源流体RSに合流させているので、駆動熱源流体RSと低温熱源流体GPとで熱交換させることなく、すなわち大型の熱交換器を設けることなく装置構成を簡単にして、比較的温度の高い昇温対象流体RPを供給(流出)することができる。また、吸収式熱交換システム1に流入出する駆動熱源流体RSの出入口温度差よりも、吸収式熱交換システム1に対して流入する低温熱源流体GPの温度と流出する昇温対象流体RPの温度との差を大きくすることができ、温度差が大きい分だけ熱利用設備HCFに供給する昇温対象流体RPの流量を少なくすることができ、搬送動力を削減することができる。
【0041】
次に
図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る吸収式熱交換システム2を説明する。
図2は、吸収式熱交換システム2の模式的系統図である。吸収式熱交換システム2は、主として以下の点で吸収式熱交換システム1(
図1参照)と異なっている。吸収式熱交換システム2は、低温熱源流出管49と昇温流体導入管51とを連絡する低温熱源バイパス管48が設けられている。低温熱源バイパス管48は、凝縮器40から流出して低温熱源流出管49を流れる低温熱源流体GPの一部を、吸収器10に流入する前の昇温流体導入管51を流れる昇温対象流体RPに合流させる管であり、部分被加熱流体バイパス流路に相当する。以下、説明の便宜上、低温熱源バイパス管48を流れる低温熱源流体GPを特に符号GPdで表して、低温熱源流出管49を流れる低温熱源流体GPと区別する場合がある。低温熱源バイパス管48には、内部を流れる低温熱源流体GPdの流量を調節する低温熱源バイパス弁48vが設けられている。他方、低温熱源バイパス管48との接続部よりも下流側の低温熱源流出管49には、内部を流れる低温熱源流体GPの流量を調節する低温熱源弁49vが設けられている。なお、低温熱源バイパス弁48v及び低温熱源弁49vに代えて、低温熱源流出管49と低温熱源バイパス管48との接続部に三方弁を設けることとしてもよい。吸収式熱交換システム2の上記以外の構成は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と同様である。
【0042】
上述のように構成された吸収式熱交換システム2は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)の作用に加えて、低温熱源バイパス弁48v及び低温熱源弁49vの開度を調節して、凝縮器40で加熱された低温熱源流体GPの一部GPdを、吸収器10に流入する前の昇温対象流体RPに混合させている。低温熱源バイパス弁48v及び低温熱源弁49vの開度の調節は、典型的には吸収式熱交換システム1と同様に制御装置(不図示)に設定された流量比に基づいて制御装置からの信号によって自動で行われるが、制御装置によらずに手動で開度を調節することとしてもよい。昇温対象流体RPに混合させる低温熱源流体GPdの流量を調節することで、昇温流体流出管19を流れる昇温対象流体RPの温度及び/又は流量を調節することができる。本実施の形態では、吸収器10から流出した昇温対象流体RPの温度が所定の温度及び/又は流量になるように、低温熱源バイパス管48を流れる低温熱源流体GPdの流量と、熱源流体流出管59に向けて低温熱源流出管49を流れる低温熱源流体GPの流量と、の比を決定している。なお、相対的に、低温熱源バイパス管48を流れる低温熱源流体GPdの流量を多くすれば昇温流体流出管19を流れる昇温対象流体RPの温度が下がって流量が増加し、低温熱源バイパス管48を流れる低温熱源流体GPdの流量を少なくすれば昇温流体流出管19を流れる昇温対象流体RPの温度が上がって流量が減少する。低温熱源バイパス管48を流れる低温熱源流体GPdの流量を多くした場合は、上述のように昇温流体流出管19を流れる昇温対象流体RPの温度は下がるが流量が増加するため、昇温流体流出管19を流れる昇温対象流体RPが保有する熱量を増大させることができる。
【0043】
次に
図3を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る吸収式熱交換システム3を説明する。
図3は、吸収式熱交換システム3の模式的系統図である。吸収式熱交換システム3は、主として以下の点で吸収式熱交換システム2(
図2参照)と異なっている。吸収式熱交換システム3は、吸収式熱交換システム2(
図2参照)の構成に加えて、冷媒熱交換器99を備えている。冷媒熱交換器99は、凝縮器40から蒸発器20に向かう冷媒液Vfと、再生器30から流出した駆動熱源流体RSを含む流体との間で熱交換を行わせる機器である。本実施の形態では、低温熱源流体GPと合流する前の駆動熱源流体RSを、冷媒液Vfと熱交換を行わせることとしているが、合流熱源流体RAと冷媒液Vfとで熱交換を行わせることとしてもよい。冷媒熱交換器99は、冷媒ポンプ46よりも下流側の冷媒液管45及び駆動熱源流出管39に配設されている。冷媒熱交換器99には、シェルアンドチューブ型やプレート型の熱交換器が用いられる。吸収式熱交換システム3の上記以外の構成は、吸収式熱交換システム2(
図2参照)と同様である。
【0044】
上述のように構成された吸収式熱交換システム3は、吸収式熱交換システム2(
図2参照)の作用に加えて、凝縮器40から蒸発器20に向かう冷媒液Vfと、再生器30から流出した駆動熱源流体RSとの間で熱交換が行われ、冷媒液Vfの温度が上昇し、駆動熱源流体RSの温度が低下する。冷媒熱交換器99から流出した冷媒液Vfは、温度が上昇して蒸発器20に流入するので、蒸発器20において蒸発するのに必要な熱量を抑制することができる。他方、冷媒熱交換器99から流出した駆動熱源流体RSは、温度が低下して低温熱源流体GPと混合した後に吸収式熱交換システム3から流出することとなり、吸収式熱交換システム3における駆動熱源流体RSの回収熱量を増やすことができる。なお、冷媒熱交換器99は、図示は省略するが、吸収式熱交換システム1(
図1参照)にも適用することができる。
【0045】
以上の説明では、熱源流体流入管55から駆動熱源導入管52に流入した駆動熱源流体RSが、蒸発器20の熱源管22を流れた後に再生器30の熱源管32を流れる、すなわち蒸発器20から再生器30へ直列に流れるとしたが、
図4の第1の実施の形態の変形例に係る吸収式熱交換システム1Aに示すように、駆動熱源導入管52を再生器30の熱源管32に接続すると共に駆動熱源流出管39を蒸発器20の熱源管22に接続して、再生器30の熱源管32から蒸発器20の熱源管22へ直列に流れることとしてもよく、図示は省略するが蒸発器20の熱源管22及び再生器30の熱源管32に並列に流れることとしてもよい。駆動熱源流体RSが再生器30から蒸発器20へ直列に流れることとすると、吸収式熱交換システム1のCOPが向上する利点がある。
図1に示すように駆動熱源流体RSが蒸発器20から再生器30へ直列に流れることとすると、吸収液Sの濃度が過度に上昇することを抑制して吸収液Sが結晶しにくくなる。また、駆動熱源流体RSが蒸発器20及び再生器30に並列に流れることとすると、COPの向上を図りつつ吸収液Sの濃度の上昇を抑制することができる。以上のように、駆動熱源導入管52に流入した駆動熱源流体RSが蒸発器20の熱源管22又は再生器30の熱源管32のいずれに最初に流入した場合であっても、昇温流体導入管51に流入した昇温対象流体RPは吸収器10の伝熱管12に導入することとなる。なお、駆動熱源流体RSが、再生器30の熱源管32から蒸発器20の熱源管22へ直列に流れること、あるいは蒸発器20の熱源管22及び再生器30の熱源管32に並列に流れることは、吸収式熱交換システム2(
図2参照)及び吸収式熱交換システム3(
図3参照)にも適用することができる。
【0046】
以上の説明では、凝縮器40を流出した低温熱源流体GPを蒸発器20及び再生器30を流出した駆動熱源流体RSに合流させることとしたが、凝縮器40の伝熱管42内を流れる流体を独立した系統としつつ、低温熱源導入管57を駆動熱源流出管39及び熱源流体流出管59に接続して熱利用設備HCFから流出した流体を駆動熱源流体RSに合流させることとしてもよい。
【0047】
以上の説明において、加熱源流体(合流熱源流体RA、駆動熱源流体RS)と被加熱流体(昇温対象流体RP、低温熱源流体GP)とは、分流及び合流を行うので同種の流体となる。適用する流体には温水の他に熱媒用液体や化学液体であってもよい。特に、水より沸点が高い熱媒用液体や化学液体を採用すると、流体の沸騰を抑制するために流体に高い圧力を作用させることなく高い温度域迄適用できてよい。
【0048】
以上の説明では、蒸発器20が満液式であるとしたが、流下液膜式であってもよい。蒸発器を流下液膜式とする場合は、蒸発器缶胴21内の上部に冷媒液Vfを供給する冷媒液供給装置を設け、満液式の場合に蒸発器缶胴21に接続することとしていた冷媒液管45の端部を、冷媒液供給装置に接続すればよい。また、蒸発器缶胴21の下部の冷媒液Vfを冷媒液供給装置に供給する配管及びポンプを設けてもよい。
【0049】
以上の説明では、吸収ヒートポンプサイクルが行われる吸収器10、蒸発器20、再生器30、凝縮器40が単段で構成されている例を説明したが、これらを多段で構成してもよい。例えば、吸収ヒートポンプサイクルを二段昇温型とする場合、吸収器10及び蒸発器20を、高温側の高温吸収器(以下、説明の便宜上、符号「10」に「H」を添えて表す。)及び高温蒸発器(以下、説明の便宜上、符号「20」に「H」を添えて表す。)と、低温側の低温吸収器(以下、説明の便宜上、符号「10」に「L」を添えて表す。)及び低温蒸発器(以下、説明の便宜上、符号「20」に「L」を添えて表す。)とに分ければよい。高温吸収器10Hは低温吸収器10Lよりも内圧が高く、高温蒸発器20Hは低温蒸発器20Lよりも内圧が高い。高温吸収器10Hと高温蒸発器20Hとは、典型的には、高温蒸発器20Hの冷媒Vの蒸気を高温吸収器10Hに移動させることができるように上部で連通している。低温吸収器10Lと低温蒸発器20Lとは、典型的には、低温蒸発器20Lの冷媒Vの蒸気を低温吸収器10Lに移動させることができるように上部で連通している。合流熱源流体RAから分流した昇温対象流体RPは、低温吸収器10Lには流入せずに高温吸収器10Hに流入して高温吸収器10Hで加熱される。合流熱源流体RAから分流した駆動熱源流体RSは、高温蒸発器20Hには導入されずに低温蒸発器20Lに導入される。低温吸収器10Lは低温蒸発器20Lから移動してきた冷媒Vの蒸気を吸収液Sが吸収する際の吸収熱で高温蒸発器20H内の冷媒液Vfを加熱して高温蒸発器20H内に冷媒Vの蒸気を発生させ、発生した高温蒸発器20H内の冷媒Vの蒸気は高温吸収器10Hに移動して高温吸収器10H内の吸収液Sに吸収される際の吸収熱で昇温対象流体RPを加熱するように構成される。