特許第6907439号(P6907439)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンミ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6907439チエノピリミジン化合物の塩酸塩の結晶形
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907439
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】チエノピリミジン化合物の塩酸塩の結晶形
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/04 20060101AFI20210708BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20210708BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210708BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   C07D495/04 105Z
   C07D495/04CSP
   A61K31/519
   A61P35/00
   A61P43/00 111
【請求項の数】27
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2018-533930(P2018-533930)
(86)(22)【出願日】2016年12月30日
(65)【公表番号】特表2019-500384(P2019-500384A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】KR2016015535
(87)【国際公開番号】WO2017116192
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2019年11月21日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0190853
(32)【優先日】2015年12月31日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0065977
(32)【優先日】2016年5月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516132149
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ベク、 ジョン ウク
(72)【発明者】
【氏名】チョン、 ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】オ、 ヒ スク
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヒ チョル
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 ソン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハ、 テ ヒ
【審査官】 阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−529630(JP,A)
【文献】 医薬品結晶の分子状態に関する物性評価(12) 塩・結晶形の最適化と結晶化技術,Pharm Tech Japan,2002年,vol.18, no.10,pp.81-96,ISSN 0910-4739
【文献】 プロセス化学 第2版 医薬品合成から製造まで,2014年 3月30日,p.405-413,420-429,446-451
【文献】 C.G.WERMUTH編,最新 創薬化学 下巻,株式会社 テクノミック,1999年,p.347-365
【文献】 平山令明,有機化合物結晶作製ハンドブック,2008年 7月25日,p.17-23,37-40,45-51,57-65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 495/04
A61K 31/519
A61P 35/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式1の化合物の二塩酸塩一水和物(2HCl・1HO)の結晶であって、
Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜、11.1゜±0.2゜、14.0゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する結晶形を有する結晶。
【化1】
【請求項2】
前記結晶形は、Cu−Kα光源で照射したとき、21.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の結晶。
【請求項3】
前記結晶形は、44.6±0.2ppm及び56.6±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の二塩酸塩一水和物(2HCl・1HO)の結晶形であることを特徴とする請求項に記載の結晶。
【請求項4】
前記結晶形は、149.6±0.2ppm、152.6±0.2ppm及び164.3±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の二塩酸塩一水和物(2HCl・1HO)の結晶形であることを特徴とする請求項に記載の結晶。
【請求項5】
前記結晶形は、44.6±0.2ppm及び56.6±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する、化学式1の化合物の二塩酸塩一水和物(2HCl・1の結晶形であることを特徴とする請求項に記載の結晶。
【請求項6】
前記結晶形は、149.6±0.2ppm152.6±0.2ppm及び164.3±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルと、を有する、化学式1の化合物の二塩酸塩一水和物(2HCl・1HO)の結晶形であることを特徴とする請求項に記載の結晶。
【請求項7】
化学式1の化合物の二塩酸塩一水和物(2HCl・1HO)の結晶であって、
Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、8.1゜±0.2゜、9.7゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜、16.0゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜22.0゜±0.2゜、24.1゜±0.2゜、26.3゜±0.2゜及び27.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを有する結晶形を有する結晶
【化2】
【請求項8】
前記結晶形は、43.4±0.2ppm及び45.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の二塩酸塩一水和物(2HCl・1HO)の結晶形であることを特徴とする請求項に記載の結晶。
【請求項9】
前記結晶形は、117.0±0.2ppm、149.8±0.2ppm及び165.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の二塩酸塩一水和物(2HCl・1HO)の結晶形であることを特徴とする請求項に記載の結晶。
【請求項10】
化学式1の化合物の二塩酸塩三水和物(2HCl・3HO)の結晶であって、
Cu−Kα光源で照射したとき、4.6゜±0.2゜、8.6゜±0.2゜15.8゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、19.7゜±0.2゜、25.1゜±0.2゜及び26.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを有する結晶形を有する結晶
【化3】
【請求項11】
前記結晶形は、45.0±0.2ppm及び53.8±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の二塩酸塩三水和物(2HCl・3HO)の結晶形であることを特徴とする請求項10に記載の結晶。
【請求項12】
前記結晶形は、117.6±0.2ppm及び150.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の二塩酸塩三水和物(2HCl・3HO)の結晶形であることを特徴とする請求項10に記載の結晶。
【請求項13】
化学式1の化合物の二塩酸塩三水和物(2HCl・3HO)の結晶であって、
Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、7.0゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜、15.5゜±0.2゜、18.2゜±0.2゜、21.0゜±0.2゜及び27.9゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する結晶形を有する結晶
【化4】
【請求項14】
前記結晶形は、43.8±0.2ppm及び53.8±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の二塩酸塩三水和物(2HCl・3HO)の結晶形であることを特徴とする請求項13に記載の結晶。
【請求項15】
前記結晶形は、117.7±0.2ppm、153.1±0.2ppm及び165.6±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の二塩酸塩三水和物(2HCl・3HO)の結晶形であることを特徴とする請求項13に記載の結晶。
【請求項16】
化学式1の化合物の一塩酸塩一水和物(1HCl・1HO)の結晶であって、
Cu−Kα光源で照射したとき、7.8゜±0.2゜、10.7゜±0.2゜、13.0゜±0.2゜、18.6゜±0.2゜、19.1゜±0.2゜、22.0゜±0.2゜、22.5゜±0.2゜、24.6゜±0.2゜、25.3゜±0.2゜及び25.7゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する結晶形を有する結晶
【化5】
【請求項17】
前記結晶形は、42.5±0.2ppm及び54.4±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の一塩酸塩一水和物(1HCl・1HO)の結晶形であることを特徴とする請求項16に記載の結晶。
【請求項18】
前記結晶形は、124.1±0.2ppm、131.8±0.2ppm及び164.7±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の一塩酸塩一水和物(1HCl・1HO)の結晶形であることを特徴とする請求項16に記載の結晶。
【請求項19】
化学式1の化合物の一塩酸塩二水和物(1HCl・2HO)の結晶であって、
Cu−Kα光源で照射したとき、7.5゜±0.2゜、15.1゜±0.2゜20.0゜±0.2゜、21.2゜±0.2゜及び25.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する結晶形を有する結晶
【化6】
【請求項20】
前記結晶形は、43.1±0.2ppm及び53.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の一塩酸塩二水和物(1HCl・2HO)の結晶形であることを特徴とする請求項19に記載の結晶。
【請求項21】
前記結晶形は、117.6±0.2ppm、133.4±0.2ppm及び164.3±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の一塩酸塩二水和物(1HCl・2HO)の結晶形であることを特徴とする請求項19に記載の結晶。
【請求項22】
化学式1の化合物の一塩酸塩二水和物(1HCl・2HO)の結晶であって、
Cu−Kα光源で照射したとき、8.7゜±0.2゜、11.6゜±0.2゜、17.5゜±0.2゜、19.4゜±0.2゜23.1゜±0.2゜及び26.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する結晶形を有する結晶
【化7】
【請求項23】
前記結晶形は、41.3±0.2ppm、48.8±0.2ppm及び55.9±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の一塩酸塩二水和物(1HCl・2HO)の結晶形であることを特徴とする請求項22に記載の結晶。
【請求項24】
前記結晶形は、119.0±0.2ppm、152.7±0.2ppm及び165.0±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトルを有する化学式1の化合物の一塩酸塩二水和物(1HCl・2HO)の結晶形であることを特徴とする請求項22に記載の結晶。
【請求項25】
結晶形が、純粋なものであることを特徴とする請求項に記載の結晶。
【請求項26】
請求項1に記載の結晶、及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む薬学的組成物。
【請求項27】
前記薬学的組成物は、上皮細胞成長因子受容体チロシンキナーゼまたはその変異体によって誘導された癌の治療に使用することを特徴とする請求項26に記載の薬学的組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チエノピリミジン化合物の塩酸塩、及びそれを含む薬学的組成物に係り、さらに具体的には、本発明は、N−(3−(2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)アクリルアミドの塩酸塩、及びそれを含む薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物名がN−(3−(2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)アクリルアミドである下記化学式1の化合物は、PCT出願WO2011/162515に公開されている。前記化合物は、変異性上皮細胞成長因子受容体チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する。
【0003】
【化1】
【0004】
また、前記参照文献には、化学式1の化合物を製造する方法を開示している。
【0005】
しかし、前記参照文献で製造された化学式1の化合物は、一般的に、医薬品の大規模生産に大して適さない形態である非晶質固状(amorphous solid)に製造される。また、前記参照文献による方法によって得られた化学式1の化合物の比較的低い溶解性は、依然として発展の余地がある。
【0006】
それにより、向上した水溶性を有しながら、薬学的固状の形態、及び剤形に係わる厳格な要求条件、並びにその具体的な事項に符合可能な化学式1の化合物の適切な固状形態、望ましくは、結晶形への必要性がある。
【0007】
固状形態のうち一つとして、有効成分の塩形態、例えば、酸との反応を介して得られる塩基性有効成分の酸付加塩である。それぞれ塩の形態について、多くの塩生成体(salt formers)、及び潜在的多数の多形体(potentially several polymorph)が存在するために、適する固状特性を有する適切な塩形態を究明することは、挑戦的な努力が必要である。本発明者らは、化学式1の化合物の塩酸塩、特に、その結晶形は、全般的にすぐれたレベルの薬学的に要求される物理化学的特性、例えば、すぐれた水溶性を有しながらも、特定保管条件にとらわれずにも、安定した長期間管理が可能であるという点を有するということを見い出すことにより、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】PCT第WO2011/162515号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、チエノピリミジン化学式1の化合物の塩酸塩、及びそれを含む薬学的組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的を達成するために、本発明の一様態においては、以下に表示された化学式1の化合物の塩酸塩、具体的には、塩酸塩の結晶形を提供する。
【0011】
【化2】
【0012】
他の一様態において、前記化学式1の化合物の塩酸塩結晶形は、一塩酸塩である。
【0013】
他の一様態において、前記化学式1の化合物の塩酸塩結晶形は、二塩酸塩である。
【0014】
他の一様態において、前記化学式1の化合物の塩酸塩結晶形は、水和物である。
【0015】
他の一様態において、前記化学式1の化合物の塩酸塩結晶形は、一水和物である。
【0016】
他の一様態において、前記化学式1の化合物の塩酸塩結晶形は、三水和物である。
【0017】
他の一様態において、前記化学式1の化合物の塩酸塩結晶形は、二水和物である。
【0018】
前記結晶形の具体的な例は、以下に表示されたとおりである:
【0019】
Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜、21.1゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(2HCl・1HO)の結晶形。前記結晶形は、Cu−Kα光源で照射したとき、11.1゜±0.2゜、14.0゜±0.2゜及び20.8゜±0.2゜の2θでの回折ピークをさらに含んでもよい;
【0020】
Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜及び22.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを有する化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(2HCl・1HO)の結晶形。前記結晶形は、Cu−Kα光源で照射したとき、8.1゜±0.2゜、9.7゜±0.2゜、16.0゜±0.2゜、24.1゜±0.2゜、26.3゜±0.2゜及び27.1゜±0.2゜の2θでの回折ピークをさらに含んでもよい;
【0021】
Cu−Kα光源で照射したとき、4.6゜±0.2゜、8.6゜±0.2゜及び15.8゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを有する化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、三水和物(2HCl・3HO)の結晶形。前記結晶形は、Cu−Kα光源で照射したとき、17.2゜±0.2゜、19.7゜±0.2゜、25.1゜±0.2゜及び26.3゜±0.2゜の2θでの回折ピークをさらに含んでもよい;
【0022】
Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、7.0゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜及び21.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを有する化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、三水和物(2HCl・3HO)の結晶形。前記結晶形は、Cu−Kα光源で照射したとき、15.5゜±0.2゜、18.2゜±0.2゜及び27.9゜±0.2゜の2θでの回折ピークをさらに含んでもよい;
【0023】
Cu−Kα光源で照射したとき、7.8゜±0.2゜、22.5゜±0.2゜及び25.7゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを有する化学式1の化合物の一塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(1HCl・1HO)の結晶形。前記結晶形は、Cu−Kα光源で照射したとき、10.7゜±0.2゜、13.0゜±0.2゜、18.6゜±0.2゜、19.1゜±0.2゜、22.0゜±0.2゜及び24.6゜±0.2゜の2θでの回折ピークをさらに含んでもよい;
【0024】
Cu−Kα光源で照射したとき、7.5゜±0.2゜、15.1゜±0.2゜及び20.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを有する化学式1の化合物の一塩酸塩水和物、望ましくは、二水和物(1HCl・2HO)の結晶形。前記結晶形は、Cu−Kα光源で照射したとき、21.2゜±0.2゜及び25.1゜±0.2゜の2θでの回折ピークをさらに含んでもよい;
【0025】
Cu−Kα光源で照射したとき、8.7゜±0.2゜、19.4゜±0.2゜及び23.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを有する化学式1の化合物の一塩酸塩水和物、望ましくは、二水和物(1HCl・2HO)の結晶形。前記結晶形は、Cu−Kα光源で照射したとき、11.6゜±0.2゜、17.5゜±0.2゜及び26.1゜±0.2゜の2θでの回折ピークをさらに含んでもよい;
【0026】
他の一様態において、本明細書に記載された塩酸塩の結晶形は、それぞれ実質的に純粋な形態である。
【0027】
本明細書で使用された用語「実質的に純粋な」は、少なくとも95%純粋、望ましくは、99%純粋なものを意味し、95%純粋なものは、5%以下、99%純粋なものは、1%以下の化学式1の化合物が、任意の他の形態(その他結晶形、非晶質形など)で存在することを意味する。
【0028】
本発明の他の一様態において、化学式1の化合物の塩酸塩、または本明細書に記載された前記塩酸塩の結晶形のうち一つ、及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体及び/または希釈剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0029】
前記薬学的組成物は、上皮細胞成長因子受容体チロシンキナーゼまたはその変異体によって誘導された癌治療にも使用される。
【発明の効果】
【0030】
前記化学式1の化合物の塩酸塩、具体的には、本発明による結晶形は、全般的にすぐれた物理化学的特性、すなわち、水溶性、吸湿性、化学的安定性などを有し、それにより、それを有効成分として含む薬学的組成物の製造に容易に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す図面である。
図1B】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形のX線粉末回折パターンを示す図面である。
図1C】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形のX線粉末回折パターンを示す図面である。
図1D】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形のX線粉末回折パターンを示す図面である。
図1E】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形のX線粉末回折パターンを示す図面である。
図1F】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形のX線粉末回折パターンを示す図面である。
図1G】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形のX線粉末回折パターンを示す図面である。
図1H】本発明の比較例による化学式1の化合物塩に対する非晶質形のX線粉末回折 パターンを示す図面である。
図2A】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の示差走査熱量測定法(DSC)グラフを示す図面である。
図2B】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の示差走査熱量測定法グラフを示す図面である。
図2C】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の示差走査熱量測定法グラフを示す図面である。
図2D】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の示差走査熱量測定法グラフを示す図面である。
図2E】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の示差走査熱量測定法グラフを示す図面である。
図2F】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の示差走査熱量測定法グラフを示す図面である。
図2G】本発明の比較例による化学式1の化合物塩に対する非晶質形の示差走査熱量測定法グラフを示す図面である。
図3A】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の動的蒸気吸着(DVS)グラフを示す図面である。
図3B】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の動的蒸気吸着グラフを示す図面である。
図3C】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の動的蒸気吸着グラフを示す図面である。
図3D】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の動的蒸気吸着グラフを示す図面である。
図3E】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の動的蒸気吸着グラフを示す図面である。
図3F】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の動的蒸気吸着グラフを示す図面である。
図3G】本発明の比較例による化学式1の化合物塩に対する非晶質形の動的蒸気吸着グラフを示す図面である。
図4A】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の13C交差分極/マジック角スピニング(CP/MAS)全体側波抑制(TOSS)固状核磁気共鳴(ssNMR)(13C CP/MAS TOSS ssNMR:13C cross polarization/magic angle spinning total suppression of sidebands solid state nuclear magnetic resonance)のグラフを示す図面である。
図4B】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の13C交差分極/マジック角スピニング(CP/MAS)全体側波抑制(TOSS)固状核磁気共鳴(ssNMR)(13C CP/MAS TOSS ssNMR)のグラフを示す図面である。
図4C】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の13C交差分極/マジック角スピニング(CP/MAS)全体側波抑制(TOSS)固状核磁気共鳴(ssNMR)(13C CP/MAS TOSS ssNMR)のグラフを示す図面である。
図4D】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の13C交差分極/マジック角スピニング(CP/MAS)全体側波抑制(TOSS)固状核磁気共鳴(ssNMR)(13C CP/MAS TOSS ssNMR)のグラフを示す図面である。
図4E】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の13C交差分極/マジック角スピニング(CP/MAS)全体側波抑制(TOSS)固状核磁気共鳴(ssNMR)(13C CP/MAS TOSS ssNMR)のグラフを示す図面である。
図4F】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の13C交差分極/マジック角スピニング(CP/MAS)全体側波抑制(TOSS)固状核磁気共鳴(ssNMR)(13C CP/MAS TOSS ssNMR)のグラフを示す図面である。
図4G】本発明の実施例による化学式1の化合物塩に対する結晶形の13C交差分極/マジック角スピニング(CP/MAS)全体側波抑制(TOSS)固状核磁気共鳴(ssNMR)(13C CP/MAS TOSS ssNMR)のグラフを示す図面である。
図4H】本発明の比較例による化学式1の化合物塩に対する非晶質形の13C交差分極/マジック角スピニング(CP/MAS)全体側波抑制(TOSS)固状核磁気共鳴(ssNMR)(13C CP/MAS TOSS ssNMR)グラフを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
取り立てて言及されない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的な用語を含む全ての用語は、本発明が属する技術分野の当業者により、一般的に理解される意味と同一意味を有する。しかし、取り立てて明示されない限り、以下に記載された用語は、本明細書全体にわたり、以下に記載されたような意味を有する:
【0033】
本明細書に使用された用語「約」は、特定値または特定範囲の5%以内であり、望ましくは、1%〜2%以内である。例えば、「約10%」は、9.5%〜10.5%、そして望ましくは、9.8%〜10.2%を意味する。他例として、「約100℃」は、95℃〜105℃、そして望ましくは、98℃〜102℃を意味する。
【0034】
取り立てて明示されない限り、熟練当業者は、本発明で報告されたX線粉末回折研究からのピーク値が、典型的に、当該分野で観察可能な実験誤差と関連しているということを理解するであろう。具体的には、該ピークは、本明細書に報告された値の±0.5゜内に位置すると解釈される。さらに具体的には、該ピークは、本明細書に報告された値の±0.2゜内に位置すると解釈される。
【0035】
取り立てて明示されない限り、熟練当業者は、本発明で報告された固状核磁気共鳴(ssNMR)研究からのピーク値が、典型的に、当該分野で観察可能な実験誤差と関連しているということを理解するであろう。具体的には、化学的移動(chemical shift)は、本明細書に報告された値の±0.5ppm内に位置すると解釈される。さらに具体的には、該化学的移動は、本明細書に報告された値の±0.2ppm内に位置すると解釈される。
【0036】
化学式1の化合物塩酸塩
本発明は、下記化学式1の化合物塩酸塩、すなわち、N−(3−(2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)アクリルアミドを提供する。
【0037】
【化3】
【0038】
前記化学式1の化合物(遊離塩基)は、その開示が、参照として本明細書に含まれたWO2011/162515号に記載された従来の方法によっても製造される。
【0039】
前述の参照文献に開示された化学式1の化合物は、非晶質形であり、0.1μg/mL以下の水溶性を有する難溶性化合物である。
【0040】
一般的には、遊離塩基を塩形態に転換することは、不水溶性薬学材料を溶解するのに役に立つと知られている。しかし、塩は、また薬学的に要求される全般的な物理化学的特性、例えば、特定結晶質多形体の製造再現性、高程度の結晶化、結晶形の安定性、化学的安定性、非吸湿性などを有さなければならない。
【0041】
化学式1の化合物の適切な塩の種類を選択するために、化学式1の化合物塩は、多様な条件や方法により、多様な酸と溶媒とを使用して製造され、それによって得られた塩の物理化学的特性を評価した。それによって得られた多くの塩及び結晶形の種類のうち、具体的には、本明細書に記載された結晶形において、化学式1の化合物の塩酸塩は、最も優秀な、薬学的に要求される全般的な物理化学的特性、例えば、特定結晶質多形体の製造再現性、高程度の結晶化、結晶形の安定性、化学的安定性、非吸湿性などを示した。
【0042】
本発明の一実施例において、化学式1の化合物の結晶質塩酸塩が提供される。本発明の一具体例において、前記結晶質塩酸塩は、水和物である。他の一具体例において、前記結晶質塩酸塩は、二塩酸塩である。さらに他の一具体例において、前記二塩酸塩は、水和物である。さらに他の一具体例において、前記結晶質塩酸塩は、一塩酸塩である。さらに他の一具体例において、前記一塩酸塩は、水和物である。
【0043】
化学式1の化合物塩の結晶形
化学式1の化合物塩は、結晶形、非晶質形またはその混合物であり、望ましくは、結晶形にも製造される。前記化学式1の化合物塩酸塩結晶形は、優秀な安定性を有し、それにより、その形成を容易にする物理化学的特性を有しているという点で望ましい。
【0044】
本発明によれば、前記化学式1の化合物は、塩酸塩の多様な結晶形にも製造され、例えば、二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(2HCl・1HO)の結晶形(タイプA);二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(2HCl・1HO)の結晶形(タイプB);二塩酸塩水和物、望ましくは、三水和物(2HCl・3HO)の結晶形(タイプA);二塩酸塩水和物、望ましくは、三水和物(2HCl・3HO)の結晶形(タイプB);一塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(1HCl・1HO)の結晶形;一塩酸塩水和物、望ましくは、二水和物(1HCl・H2O)の結晶形(タイプA);及び一塩酸塩水和物、望ましくは、二水和物(1HCl・2HO)の結晶形(タイプB)にも製造される。
【0045】
前記塩酸塩の結晶形において、下記実験例1で検討されたように、二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(2HCl・1HO)の結晶形(タイプA)は、最も高い水溶性を示し、それは、非吸湿性/非脱湿性及び安定性の側面で有利であり、薬学的組成物の有効成分として望ましい。
【0046】
本発明による前記それぞれの結晶形は、以下でさらに具体的に説明される。
【0047】
本発明の一具体例において(例1)、本発明は、化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(2HCl・1HO)の結晶形(タイプA)を提供する。
【0048】
前記結晶形(例1)は、Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを示す(XRPD1−1)。
【0049】
さらに具体的には、前記結晶形(例1)は、Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜、21.1゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD1−2)。
【0050】
さらに具体的には、前記結晶形(例1)は、Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜、11.1゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD1−3)。
【0051】
さらに具体的には、前記結晶形(例1)は、Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜、11.1゜±0.2゜、21.1゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD1−4)。
【0052】
さらに具体的には、前記結晶形(例1)は、Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜、11.1゜±0.2゜、14.0゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD1−5)。
【0053】
さらに具体的には、前記結晶形(例1)は、Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜、11.1゜±0.2゜、14.0゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD1−6)。
【0054】
さらに具体的には、前記結晶形(例1)は、Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜、11.1゜±0.2゜、14.0゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜、21.1゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD1−7)。
【0055】
さらに具体的には、前記結晶形(例1)は、Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜、10.7゜±0.2゜、11.1゜±0.2゜、14.0゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜、21.1゜±0.2゜、22.5゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD1−8)。
【0056】
前記ピークは、約10%以上の相対強度(I/I)を有するものでもある。
【0057】
前記結晶形(例1)は、約3.1%の含水量を有することができ(理論的含水量数値は、3.11%である)、約202℃〜約225℃の溶融点を有することができる。
【0058】
前記結晶形(例1)は、25゜〜150℃の広範囲な吸熱ピークを有することができ、10℃/分の昇温速度で、示差走査熱量測定法(DSC)で測定するとき、約221℃で吸熱ピークを有することができる。
【0059】
前記結晶形(例1)は、DSC(10℃/min)での測定時、約49℃で開始点、及び約110℃で最低点を有する吸熱ピーク、約221℃及び約253℃での吸熱ピーク、並びに約265℃での発熱ピークを有することができる。
【0060】
前記結晶形(例1)は、0%〜90%の相対湿度(RH)の完全な範囲内において、可逆的水分吸着及び脱湿約3%を示すことができ、動的蒸気吸着(DVS)時、10%〜90%の相対湿度の領域において、相当に低レベルの変化を有することができる。
【0061】
前記結晶形(例1)は、44.6±0.2ppm及び56.6±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMR(13C cross polarization/magic angle spinning total suppression of sidebands solid state nuclear magnetic resonance)スペクトルを有することができる(ssNMR1−1)。
【0062】
さらに具体的には、前記結晶形(例1)は、44.6±0.2ppm、45.4±0.2ppm、50.8±0.2ppm及び56.6±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR1−2)。
【0063】
前記結晶形(例1)は、149.6±0.2ppm、152.6±0.2ppm及び164.3±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR1−3)。
【0064】
さらに具体的には、前記結晶形(例1)は、116.5±0.2ppm、130.7±0.2ppm、146.8±0.2ppm、149.6±0.2ppm、152.6±0.2ppm及び164.3±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR1−4)。
【0065】
さらに具体的には、前記結晶形(例1)は、44.6±0.2ppm、56.6±0.2ppm、149.6±0.2ppm、152.6±0.2ppm及び164.3±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR1−5)。
【0066】
前記結晶形(例1)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)44.6±0.2ppm及び56.6±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMR。
【0067】
前記結晶形(例1)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、5.6゜±0.2゜及び27.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)149.6±0.2ppm、152.6±0.2ppm及び164.3±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトル。
【0068】
前記結晶形(例1)は、また前述のXRPDピーク(XRPD1−1〜XRPD1−7)及び13C化学的移動(ssNMR1−1〜ssNMR1−5)の任意の他の組み合わせによっても特徴づけられる。
【0069】
本発明の他の具体例において(例2)、本発明は、化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(2HCl・1HO)の結晶形(タイプB)を提供する。
【0070】
前記結晶形(例2)は、Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜及び22.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD2−1)。
【0071】
さらに具体的には、前記結晶形(例2)は、Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、8.1゜±0.2゜、9.7゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜、16.0゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜、22.0゜±0.2゜、24.1゜±0.2゜、26.3゜±0.2゜及び27.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD2−2)。
【0072】
さらに具体的には、前記結晶形(例2)は、Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、8.1゜±0.2゜、9.7゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜、16.0゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜、22.0゜±0.2゜、24.1゜±0.2゜、26.3゜±0.2゜、26.8゜±0.2゜、27.1゜±0.2゜及び28.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD2−3)。
【0073】
前記ピークは、約20%以上の相対強度を有するものでもある。
【0074】
前記結晶形(例2)は、43.4±0.2ppm及び45.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR2−1)。
【0075】
さらに具体的には、前記結晶形(例2)は、43.4±0.2ppm、45.2±0.2ppm、49.8±0.2ppm、51.3±0.2ppm及び53.3±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR2−2)。
【0076】
前記結晶形(例2)は、117.0±0.2ppm、149.8±0.2ppm及び165.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR2−3)。
【0077】
さらに具体的には、前記結晶形(例2)は、117.0±0.2ppm、120.4±0.2ppm、128.7±0.2ppm、149.8±0.2ppm、151.7±0.2ppm及び165.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR2−4)。
【0078】
さらに具体的には、前記結晶形(例2)は、43.4±0.2ppm、45.2±0.2ppm、117.0±0.2ppm、149.8±0.2ppm及び165.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR2−5)。
【0079】
前記結晶形(例2)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜及び22.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)43.4±0.2ppm及び45.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMR。
【0080】
前記結晶形(例2)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜及び22.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターン;及び
(b)117.0±0.2ppm、149.8±0.2ppm及び165.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMR。
【0081】
前記結晶形(例2)は、また前述のXRPDピーク(XRPD2−1〜XRPD2−3)及び13C化学的移動(ssNMR2−1〜ssNMR2−5)の任意の他の組み合わせによっても特徴づけられる。
【0082】
本発明の他の具体例において(例3)、本発明は、化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、三水和物(2HCl・3HO)の結晶形(タイプA)を提供する。
【0083】
前記結晶形(例3)は、Cu−Kα光源で照射したとき、4.6゜±0.2゜、8.6゜±0.2゜及び15.8゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD3−1)。
【0084】
さらに具体的には、前記結晶形(例3)は、Cu−Kα光源で照射したとき、4.6゜±0.2゜、8.6゜±0.2゜、15.8゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、19.7゜±0.2゜、25.1゜±0.2゜及び26.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD3−2)。
【0085】
さらに具体的には、前記結晶形(例3)は、Cu−Kα光源で照射したとき、4.6゜±0.2゜、8.6゜±0.2゜、15.8゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、19.7゜±0.2゜、20.1゜±0.2゜、21.1゜±0.2゜、23.5゜±0.2゜、25.1゜±0.2゜及び26.3゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD3−3)。
【0086】
前記ピークは、約15%以上の相対強度を有するものでもある。
【0087】
前記結晶形(例3)は、DSCでの測定時、約51℃及び約95℃で吸熱ピーク(10℃/min)、並びに約178℃及び約218℃で吸熱ピーク(10℃/min)を有することができる。
【0088】
前記結晶形(例3)は、約10.1%の含水量を有することができ(理論的含水量数値は、8.8%である)、約205℃〜約210℃の溶融点を有することができる。
【0089】
前記結晶形(例3)は、DVS時、10%〜40%の相対湿度の領域において、相当に低レベルに測定された吸湿性を有することができ、40%以上の相対湿度の領域での吸湿性は、約9%とも測定される。
【0090】
前記結晶形(例3)は、45.0±0.2ppm及び53.8±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR3−1)。
【0091】
さらに具体的には、前記結晶形(例3)は、116.4±0.2ppm、117.6±0.2ppm、131.4±0.2ppm、149.3±0.2ppm及び150.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR3−2)。
【0092】
前記結晶形(例3)は、117.6±0.2ppm及び150.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR3−3)。
【0093】
さらに具体的には、前記結晶形(例3)は、116.4±0.2ppm、117.6±0.2ppm、131.4±0.2ppm、149.3±0.2ppm及び150.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR3−4)。
【0094】
さらに具体的には、前記結晶形(例3)は、45.0±0.2ppm、53.8±0.2ppm、117.6±0.2ppm及び150.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR3−5)。
【0095】
前記結晶形(例3)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、4.6゜±0.2゜、8.6゜±0.2゜及び15.8゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)45.0±0.2ppm及び53.8±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトル。
【0096】
前記結晶形(例3)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、4.6゜±0.2゜、8.6゜±0.2゜及び15.8゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)117.6±0.2ppm及び150.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトル。
【0097】
前記結晶形(例3)は、また記載されたXRPDピーク(XRPD3−1〜XRPD3−3)、及び記載された13C化学的移動(ssNMR3−1〜ssNMR3−5)の任意の他の組み合わせによっても特徴づけられる。
【0098】
本発明の他の具体例において(例4)、本発明は、化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、三水和物(2HCl・3HO)の結晶形(タイプB)を提供する。
【0099】
前記結晶形(例4)は、Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、7.0゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜及び21.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD4−1)。
【0100】
さらに具体的には、前記結晶形(例4)は、Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、7.0゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜、15.5゜±0.2゜、18.2゜±0.2゜、21.0゜±0.2゜及び27.9゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD4−2)。
【0101】
さらに具体的には、前記結晶形(例4)は、Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、7.0゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜、13.2゜±0.2゜、14.1゜±0.2゜、15.5゜±0.2゜、18.2゜±0.2゜、19.4゜±0.2゜、20.5゜±0.2゜、21.0゜±0.2゜、23.0゜±0.2゜、24.5゜±0.2゜、25.8゜±0.2゜及び27.9゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD4−3)。
【0102】
前記ピークは、約20%以上の相対強度を有するものでもある。
【0103】
前記結晶形(例4)は、DSC(10℃/分)での測定時、約50℃で開始点、及び約73℃で最低点を有する吸熱ピーク、約189℃での吸熱ピーク、並びに約222℃での吸熱ピークを有することができる。
【0104】
前記結晶形(例4)は、約8.9%の含水量を有することができ(理論的含水量数値は、8.8%である)、約210℃〜約215℃の溶融点を有することができる。
【0105】
前記結晶形(例4)は、10%〜30%の相対湿度の領域において、約6%の吸湿性上昇を示すことができるが、40%以上の相対湿度の領域での吸湿性は、相当に低く、一定レベルにも測定される。
【0106】
前記結晶形(例4)は、43.8±0.2ppm及び53.8±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR4−1)。
【0107】
さらに具体的には、前記結晶形(例4)は、43.8±0.2ppm、46.7±0.2ppm、49.9±0.2ppm及び53.8±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR4−2)。
【0108】
前記結晶形(例4)は、117.7±0.2ppm、153.1±0.2ppm及び165.6±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR4−3)。
【0109】
さらに具体的には、前記結晶形(例4)は、117.7±0.2ppm、120.6±0.2ppm、130.0±0.2ppm、147.6±0.2ppm、153.1±0.2ppm及び165.6±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR4−4)。
【0110】
さらに具体的には、前記結晶形(例4)は、43.8±0.2ppm、53.8±0.2ppm、117.7±0.2ppm、153.1±0.2ppm及び165.6±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR4−5)。
【0111】
前記結晶形(例4)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、7.0゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜及び21.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)43.8±0.2ppm及び53.8±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトル。
【0112】
前記結晶形(例4)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、6.4゜±0.2゜、7.0゜±0.2゜、12.8゜±0.2゜及び21.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)117.7±0.2ppm153.1±0.2ppm及び165.6±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトル。
【0113】
前記結晶形(例4)は、また前述のXRPDピーク(XRPD4−1〜XRPD4−3)及び13C化学的移動(ssNMR4−1〜ssNMR4−5)の任意の他の組み合わせによっても特徴づけられる。
【0114】
本発明の他の具体例において(例5)、本発明は、化学式1の化合物の一塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(1HCl・1HO)の結晶形を提供する。
【0115】
前記結晶形(例5)は、Cu−Kα光源で照射したとき、7.8゜±0.2゜、22.5゜±0.2゜及び25.7゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD5−1)。
【0116】
さらに具体的には、前記結晶形(例5)は、Cu−Kα光源で照射したとき、7.8゜±0.2゜、10.7゜±0.2゜、13.0゜±0.2゜、18.6゜±0.2゜、19.1゜±0.2゜、22.0゜±0.2゜、22.5゜±0.2゜、24.6゜±0.2゜、25.3゜±0.2゜及び25.7゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD5−2)。
【0117】
さらに具体的には、前記結晶形(例5)は、Cu−Kα光源で照射したとき、7.8゜±0.2゜、10.7゜±0.2゜、12.7゜±0.2゜、13.0゜±0.2゜、13.9゜±0.2゜、17.7゜±0.2゜、18.6゜±0.2゜、19.1゜±0.2゜、21.5゜±0.2゜、22.0゜±0.2゜、22.5゜±0.2゜、24.6゜±0.2゜、25.3゜±0.2゜及び25.7゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD5−3)。
【0118】
前記ピークは、約20%以上の相対強度を有するものでもある。
【0119】
前記結晶形(例5)は、DSC(10℃/分)での測定時、約115℃で開始点、及び約142℃で最低点を有する吸熱ピーク、約204℃での発熱ピーク、並びに約210℃で開始点、及び約251℃で最低点を有する吸熱ピークを有することができる。
【0120】
前記結晶形(例5)は、約3.5%の含水量を有することができ(理論的含水量数値は、3.33%である)、約190℃〜約200℃の溶融点を有することができる。
【0121】
前記結晶形(例3)は、10%〜70%の相対湿度の領域において、相当に低レベルに測定された吸湿性を示すが、70%以上の相対湿度の領域での吸湿性は、約7%とも測定される。
【0122】
前記結晶形(例5)は、42.5±0.2ppm及び54.4±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR5−1)。
【0123】
さらに具体的には、前記結晶形(例5)は、42.5±0.2ppm、45.4±0.2ppm、51.0±0.2ppm及び54.4±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR5−2)。
【0124】
前記結晶形(例5)は、124.1±0.2ppm、131.8±0.2ppm及び164.7±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR5−3)。
【0125】
さらに具体的には、前記結晶形(例5)は、114.8±0.2ppm、124.1±0.2ppm、129.3±0.2ppm、131.8±0.2ppm、153.5±0.2ppm及び164.7±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR5−4)。
【0126】
さらに具体的には、前記結晶形(例5)は、42.5±0.2ppm、45.4±0.2ppm、51.0±0.2ppm、54.4±0.2ppm、114.8±0.2ppm、124.1±0.2ppm、129.3±0.2ppm、131.8±0.2ppm、153.5±0.2ppm及び164.7±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR5−5)。
【0127】
前記結晶形(例5)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、7.8゜±0.2゜、22.5゜±0.2゜及び25.7゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)42.5±0.2ppm及び54.4±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトル。
【0128】
前記結晶形(例5)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、7.8゜±0.2゜、22.5゜±0.2゜及び25.7゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)117.7±0.2ppm153.1±0.2ppm及び165.6±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトル。
【0129】
前記結晶形(例5)は、また前述のXRPDピーク(XRPD5−1〜XRPD5−3)及び13C化学的移動(ssNMR5−1〜ssNMR5−5)の任意の他の組み合わせによっても特徴づけられる。
【0130】
本発明の他の具体例において(例6)、本発明は、化学式1の化合物の一塩酸塩水和物、望ましくは、二水和物(1HCl・2HO)の結晶形(タイプA)を提供する。
【0131】
前記結晶形(例6)は、Cu−Kα光源で照射したとき、7.5゜±0.2゜、15.1゜±0.2゜及び20.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD6−1)。
【0132】
さらに具体的には、前記結晶形(例6)は、Cu−Kα光源で照射したとき、7.5゜±0.2゜、15.1゜±0.2゜、20.0゜±0.2゜、21.2゜±0.2゜及び25.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD6−2)。
【0133】
さらに具体的には、前記結晶形(例6)は、Cu−Kα光源で照射したとき、6.8゜±0.2゜、7.5゜±0.2゜、15.1゜±0.2゜、17.0゜±0.2゜、18.1゜±0.2゜、20.0゜±0.2゜、21.2゜±0.2゜、22.7゜±0.2゜、23.0゜±0.2゜、25.1゜±0.2゜及び26.5゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD6−3)。
【0134】
前記ピークは、約10%以上の相対強度を有するものでもある。
【0135】
前記結晶形(例6)は、DSC(10℃/分)での測定時、約62℃で開始点、及び約90℃で最低点を有する吸熱ピーク、並びに約171℃で開始点、及び約182℃で最低点を有する吸熱ピークを有することができる。
【0136】
前記結晶形(例6)は、約6.8%の含水量を有することができ(理論的含水量数値は、6.45%である)、約190℃〜約200℃の溶融点を有することができる。
【0137】
前記結晶形(例6)の吸湿性は、DVS時、10%〜90%の相対湿度の領域で約2%とも測定される。
【0138】
前記結晶形(例6)は、43.1±0.2ppm及び53.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR6−1)。
【0139】
さらに具体的には、前記結晶形(例6)は、43.1±0.2ppm、46.5±0.2ppm、48.1±0.2ppm及び53.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR6−2)。
【0140】
前記結晶形(例6)は、117.6±0.2ppm、133.4±0.2ppm及び164.3±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR6−3)。
【0141】
さらに具体的には、前記結晶形(例6)は、117.6±0.2ppm、133.4±0.2ppm、137.8±0.2ppm、151.7±0.2ppm、164.3±0.2ppm及び165.0±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR6−4)。
【0142】
さらに具体的には、前記結晶形(例6)は、43.1±0.2ppm、46.5±0.2ppm、48.1±0.2ppm、53.2±0.2ppm、117.6±0.2ppm、133.4±0.2ppm、137.8±0.2ppm、151.7±0.2ppm、164.3±0.2ppm及び165.0±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR6−5)。
【0143】
前記結晶形(例6)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、7.5゜±0.2゜、15.1゜±0.2゜及び20.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)43.1±0.2ppm及び53.2±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトル。
【0144】
前記結晶形(例6)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、7.5゜±0.2゜、15.1゜±0.2゜及び20.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)117.6±0.2ppm133.4±0.2ppm及び164.3±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトル。
【0145】
前記結晶形(例6)は、また記載されたXRPDピーク(XRPD6−1〜XRPD6−3)、及び記載された13C化学的移動(ssNMR6−1〜ssNMR6−5)の任意の他の組み合わせによっても特徴づけられる。
【0146】
本発明の他の具体例において(例7)、本発明は、化学式1の化合物の一塩酸塩水和物、望ましくは、二水和物(1HCl・2HO)の結晶形(タイプB)を提供する。
【0147】
前記結晶形(例7)は、Cu−Kα光源で照射したとき、8.7゜±0.2゜、19.4゜±0.2゜及び23.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD7−1)。
【0148】
さらに具体的には、前記結晶形(例7)は、Cu−Kα光源で照射したとき、8.7゜±0.2゜、11.6゜±0.2゜、17.5゜±0.2゜、19.4゜±0.2゜、23.1゜±0.2゜及び26.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD7−2)。
【0149】
さらに具体的には、前記結晶形(例7)は、Cu−Kα光源で照射したとき、8.7゜±0.2゜、11.6゜±0.2゜、14.4゜±0.2゜、17.5゜±0.2゜、19.4゜±0.2゜、20.8゜±0.2゜、21.9゜±0.2゜、23.1゜±0.2゜、26.1゜±0.2゜及び28.0゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むXRPDパターンを示す(XRPD7−3)。
【0150】
前記ピークは、約20%以上の相対強度を有するものでもある。
【0151】
前記結晶形(例7)は、DSC(10℃/分)での測定時、約55℃で開始点、及び約71℃で最低点を有する吸熱ピーク、並びに約215℃で開始点、及び約222℃で最低点を有する吸熱ピークを有することができる。
【0152】
前記結晶形(例7)は、約6.0%の含水量を有することができ(理論的含水量数値は、6.45%である)、約190℃〜約200℃の溶融点を有することができる。
【0153】
前記結晶形(例7)の吸湿性は、DVS時、10%〜90%の相対湿度の領域で約14%とも測定される。
【0154】
前記結晶形(例7)は、41.3±0.2ppm、48.8±0.2ppm及び55.9±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR7−1)。
【0155】
さらに具体的には、前記結晶形(例7)は、41.3±0.2ppm、42.6±0.2ppm、48.8±0.2ppm、50.0±0.2ppm及び55.9±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR7−2)。
【0156】
前記結晶形(例7)は、119.0±0.2ppm、152.7±0.2ppm及び165.0±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR7−3)。
【0157】
さらに具体的には、前記結晶形(例7)は、119.0±0.2ppm、132.9±0.2ppm、139.0±0.2ppm、152.7±0.2ppm、163.5±0.2ppm及び165.0±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR7−4)。
【0158】
さらに具体的には、前記結晶形(例7)は、41.3±0.2ppm、42.6±0.2ppm、48.8±0.2ppm、50.0±0.2ppm、55.9±0.2ppm、119.0±0.2ppm、132.9±0.2ppm、139.0±0.2ppm、152.7±0.2ppm、163.5±0.2ppm及び165.0±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C CP/MAS TOSS ssNMRスペクトルを有することができる(ssNMR7−5)。
【0159】
前記結晶形(例7)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、8.7゜±0.2゜、19.4゜±0.2゜及び23.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)41.3±0.2ppm48.8±0.2ppm及び55.9±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトル。
【0160】
前記結晶形(例7)は、下記のところを有することができる:
(a)Cu−Kα光源で照射したとき、8.7゜±0.2゜、19.4゜±0.2゜及び23.1゜±0.2゜の回折角2θでのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン;及び
(b)119.0±0.2ppm152.7±0.2ppm及び165.0±0.2ppmの13C化学的移動におけるピークを含む13C固状NMRスペクトル。
【0161】
前 記結晶形(例7)は、また記載されたXRPDピーク(XRPD7−1〜XRPD7−3)、及び記載された13C化学的移動(ssNMR7−1〜ssNMR7−5)の任意の他の組み合わせによっても特徴づけられる。
【0162】
医学的用法及び薬学的組成物
WO2011/162515号に公開されたように、前記化学式1の化合物は、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼの変異によって誘導された癌細胞成長に対する、選択的であって効率的な阻害活性、及びその薬剤耐性に対して、有用であるということが明らかにされた。
【0163】
一様態において、本発明は、1以上のEGFR変異を伴う癌の治療に対する用途として、本明細書に記載された化学式1の化合物塩酸塩、または化学式1の化合物塩酸塩結晶形をさらに提供する。
【0164】
他の一様態において、本発明は、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化学式1の化合物塩酸塩、または化学式1の化合物塩酸塩結晶形の治療的有効量を投与する段階を含む癌の治療方法を提供し、ここで、治療対象癌は、1以上のEGFR変異を伴う癌である。
【0165】
他の一様態において、前記治療対象癌は、1以上のEGFR変異を伴う癌であり、少なくとも1つのEGFR変異は、Del19(エクソン19欠失)、L858R及びT790Mのうちから選択される。
【0166】
他の一様態において、前記治療対象癌は、Del19 EGFR変異を伴う癌である。
【0167】
他の一様態において、前記治療対象癌は、EGFR変異L858Rを伴う癌である。
【0168】
他の一様態において、前記治療対象癌は、EGFR変異T790Mを伴う癌である。
【0169】
他の一様態において、前記治療対象癌は、Del19/T790M及びL858R/T790Mで構成された群から選択される少なくとも2つのEGFR変異を伴う癌である。
【0170】
本様態において、前記化学式1の化合物塩酸塩、または前記化学式1の化合物塩酸塩結晶形は、上皮細胞成長因子受容体チロシンキナーゼ、またはその変異体による癌または腫瘍の予防または治療のための薬学的組成物の製造にも使用される。前記薬学的組成物は、前述の塩酸塩、または塩酸塩の結晶形について記載されたようなEGFR変異を伴う同一癌治療にも使用される。
【0171】
それにより、本発明は、望ましくは、結晶形である、化学式1の化合物塩酸塩、及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む薬学的組成物を提供する。前記薬学的組成物は、上皮細胞成長因子受容体チロシンキナーゼ、またはその変異体によって誘導された癌または腫瘍の治療にも使用される。
【0172】
望ましくは、結晶形である、前記化学式1の化合物塩酸塩、またはそれを含む薬学的組成物の投与量は、治療対象、治療対象の疾病の深刻性または健康状態、投与経路、医師の診断などによっても異なる。しかし、一般的に、70kgの体重の人を対象に、化学式1の化合物に基づく遊離塩基を、10mg〜2,000mg、望ましくは、50mg〜1,000mgの量で、1日1回〜4回、またはオン/オフ(on/off)スケジュールで、経口経路または非経口経路を介しても投与される。場合によっては、前述のところより少ない投与量投与がさらに適切でもあり、有害な副作用を誘発しなければ、前記投与量よりさらに多くの投与量が投与されてもよい。顕著に多くの投与量が投与される場合、該投与は、投与当たりさらに少ない投与量で、何回か分割投与して毎日遂行されもする。
【0173】
本発明による前記薬学的組成物は、従来の方法により、例えば、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、シロップ、エマルジョン、マイクロエマルジョンのような多様な経口投与形態に、または筋肉内、静脈内または皮下投与のような非経口投与形態の多様な剤形にも製造される。
【0174】
前記薬学的組成物は、任意の非毒性である、従来薬学的に許容可能な担体、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビークルを含んでもよい。本発明による前記薬学的組成物は、経口投与用剤形にも製造され、前記利用される担体は、例えば、セルロース、ケイ酸カルシウム、とうもろこし片栗粉、ラクトース、スクロース、デキストロース、硫酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ゼラチン、タルク、界面活性剤、懸濁液剤、乳化剤、希釈剤などを含んでもよい。さらには、前記薬学的組成物が経口投与用剤形に製造される場合、前記利用される希釈剤は、ラクトース、マンニトール、サッカライド、微細結晶質セルロース、セルロース誘導体、とうもろこし粉末などを含んでもよい。前記本発明による前記薬学的組成物が注射用剤形に製造される場合、前記利用される担体は、例えば、水、食塩水、水溶性グルコース溶液、水溶性類似糖(sugar-like)溶液、アルコール、グリコール(例えば、ポリエチレングリコール400)、エーテル、オイル、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリド、界面活性剤、懸濁液剤、乳化剤などを含んでもよい。
【0175】
以下、本発明について、実施例によって詳細に説明する。しかし、それら実施例は、ただ例示的なものであり、本発明は、それら実施例によって制限されるものであると意図されるものではない。
【0176】
分析機器及び測定方法
1.X線粉末回折(XRPD)
X線粉末回折分光(XRPD:X−ray powder diffraction)分析は、サンプルを3゜ 2θから40゜ 2θまで、D8 Advance(Bruker ASX、ドイツ)分析機で行った。サンプルの量が100mg未満である場合、約5mg〜10mgのサンプルを、サンプルホルダに固定されたガラススライド上に柔らかく圧着させた。サンプルの量が100mg超過である場合、サンプル表面が平滑であり、サンプルホルダレベルの真上になるように、約100mgのサンプルをプラスチックサンプルホルダに柔らかく圧着させた。
【0177】
測定は、下記のように行った:
負極物質(Kα):Cu Kα(1.54056Å)
スキャニング範囲:3゜〜40゜
発電機セッティング:100mA、40.0kV
スキャニング速度:1秒/ステップ
ダイバースリット(diver slit):0.3゜
アンチスキャッタスリット(anti-scatter slit):0.3゜
温度:20℃
ステップサイズ:0.02゜ 2θ
回転:使用
測角器(goniometer)半径:435mm
【0178】
2.示差走査熱量測定法(DSC)
示差走査熱量測定法(DSC:differential scanning calorimeter)分析をSTA−1000(Scinco、韓国)を使用し、30℃〜350℃で行った。5mg〜10mgの量にサンプルを秤量し、アルミニウムDSCペンに付加し、アルミニウムDSCファンは密閉しない方式で、穿孔アルミニウムふたで封をされた。その後、前記サンプルを、10℃/分のスキャニング速度で、30℃で350℃で加熱し、発生した熱流動反応をDSCで観察した。
【0179】
3.動的蒸気吸着(DVS)
動的蒸気吸着(DVS:dynamic vapor sorption)分析は、25℃、相対湿度0%〜90%で、DVS−advantage(Surface measurement system、イギリス)分析機を使用した。10mgのサンプルを、ワイヤ・メッシュ蒸気吸着秤パン(wire-mesh vapor sorption balance pan)に入れ、表面測定システム(surface measurement system)を介したDVS−advantage動的蒸気吸着秤(dynamic vapor sorption balance)に付着させた。安定した重量に逹するまで(99.5%段階の完了)、サンプルを各段階で維持しながら、サンプルを10%ズ増分で、10%〜90%の相対湿度のラムピングプロファイル(ramping profile)に適用した。吸着サイクルの完了後、前記サンプルを、相対湿度を0%以下に維持しながら、同一工程を経て乾燥させた。吸着(adsorption)/脱着(desorption)サイクル(3回反復)の間、サンプル重量の変化を記録し、前記サンプルの吸湿性を測定した。
【0180】
4.固状核磁気共鳴分光法(ssNMR)
固状核磁気共鳴分光法(SSNMR:solid state nuclear magnetic resonance spectroscopy)を、固状でNMR分光による多形体を比較するための目的で遂行した。100mgの量にサンプルを秤量し、4mmサンプルチューブに付加した。13C NMRスペクトル(13C CP/MAS TOSS ssNMR)を、下記条件で、4mmプローブタイプ(probe type)CP/MAS BB−1Hを利用したBruker Avance II 500MHz Solid NMRシステム(Bruker、ドイツ)分析機を利用して常温で記録した:
【0181】
周波数:125.76MHz
スペクトル幅:20kHz
マジック角(magic angle)でのサンプルの回転速度:5kHz
パルスシーケンス(pulse sequence):デカップリング(decoupling)を伴う交差分極(CP:cross polarization)SPINAL64(80kHzのデカップリングパワー(decoupling power))
遅延反復:5秒
接触時間:2ミリ秒(ms)
スキャニング回数:4,096
外部標準品:アダマンタン(adamantane)
【0182】
5.高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)
高性能液体クロマトグラフィ(HPLC:high performance liquid chromatography)分析を、純度及び含量、例えば、安定性テストなどを分析するための目的で、Agilent 1100/1200シリーズHPLCシステム(Agilent、米国)分析機を使用して行った。HPLCに使用された条件は、下記の通りであった。
【0183】
純度及び含量分析条件:チエノピリミジン化学式1の化合物
カラム:ハイドロスフィアC18(YMC)、5μm(150mm×4.6mm)
カラム温度:30℃
検出器:UV分光光度計
検出波長:254nm
流速:1.0mL/分
分析時間:35分
溶離剤:NaClO−NaHPO−リン酸塩バッファ溶液(pH2.5±0.1)/CHCN=40/60(v/v%)
【0184】
6.イオンクロマトグラフィ(IC)
イオンクロマトグラフィ(IC:ion chromatography)分析を、Thermo Fisher Scientific ICS−2500 series ICSystems(Thermo Fisher Scientific、米国)分析機を使用し、塩酸塩内の塩酸含量を分析するための目的で行った。ICに使用された条件は、下記の通りであった。
【0185】
含量分析条件:チエノピリミジン化学式1の化合物
カラム:IonPac AS19(Dionex)、(250mm×4mm)、ガード(guard)(50mm×4mm)
カラム温度:30℃
検出器:伝導度検出器(CD)
サプレッサ(suppressor):ASRS 4mm、電流(current)40mA
流速:1.0mL/分
分析時間:30分
溶離剤:10mM KOH溶液
【0186】
7.含水量測定
水分含量(含水量)を、795KFT Titrino(Metrohm、スイス)カールフィッシャー(Karl Fischer)滴定器を使用して測定した。
【0187】
8.溶融点測定
溶融点をIA9200(Electrothermal、UK)溶融点測定器を利用して測定した。
【実施例】
【0188】
実施例:化学式1の化合物塩酸塩結晶形の製造
実施例1.化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(2HCl・1HO)の結晶形(タイプA)の製造
本明細書で参照されたWO2011/162515号に公開された製造方法、または本明細書で参照されたような、それと類似した方法によって製造した化学式1の化合物を、10.0gの量で、100mLの90%水溶性エタノール溶液(エタノール/水=9/1)に付加した。4mL(45.2mmol)の量に濃縮されたHCl溶液を、そこに付加し、常温で6時間撹拌して得た沈澱固体を濾過した。結果物を、20mLの90%水溶性エタノール溶液(エタノール/水=9/1)で洗浄して乾燥させ、9.0gの標題化合物を得た(収率:80.0%)。
【0189】
含水量:3.1%(一水和物の理論的含水量数値:3.11%)
イオンクロマトグラフィ:13.1%(二塩酸塩の理論的含水量数値:13.0%)
【0190】
他の一様態において、本発明は、下記段階を含む工程によって製造した化学式1の化合物塩酸塩結晶形を提供する:
(a)アルコールの水溶液を、前記化学式1の化合物の遊離塩基に添加する段階;
(b)1.5〜3等量(eq.)の(前記遊離塩基と係わる)HClを、(a)段階で得た混合物に添加する段階;及び
(c)沈殿物を収集する段階。
【0191】
望ましくは、当該工程で使用される前記遊離塩基は、非晶質形である。望ましくは、当該工程で使用される前記アルコールの水溶液は、エタノールまたはイソプロパノールの水溶液であり、さらに望ましくは、前記水溶液は、85%〜95%、特に望ましくは、90%のエタノールまたはイソプロパノールの水溶液である。最も望ましいものは、90%のエタノール水溶液である。付加するHClの望ましい量は、2〜2.5等量の(前記遊離塩基と係わる)HCl、最も望ましくは、2.2〜2.3等量のHClである。望ましくは、HCl付加後に得られた前記混合物は、常温で5〜8時間撹拌する(6時間が望ましい)。沈殿物の収集は、濾過を介して行われる。選択的には、収集後、沈殿物は、前記工程の段階(a)で使用された同一アルコール水溶液を使用して洗浄される。
【0192】
特性分析
実施例1で製造した結晶形のXRPD,DSC,DVS及びssNMR分析結果は、それぞれ図1A図2A図3A及び図4Aに示されている。
【0193】
前記結晶形のXRPDスペクトルにおいて、3%以上の相対強度(I/I)を有するピークは、下記表1に記載されている。ピークのI/I比率が10%以上である場合、該ピークは、回折角が5.6゜、10.7゜、11.1゜、14.0゜、20.8゜、21.1゜、22.5゜及び27.3゜(2θ±0.2゜)であった。
【0194】
【表1】
【0195】
本明細書に記載されたような測定条件を適用した場合、前記結晶形は、脱水及び吸熱(endotherm)と係わる25℃〜150℃の広範囲な吸熱ピークと、溶融及び分解(decomposition)と係わる約238℃温度のピークを示した。
【0196】
前記結晶形は、カールフィッシャー(Karl Fischer)滴定器により、約3.1%の含水量を示し(理論的含水量数値は、3.11%である)、約202℃〜約225℃の溶融点を示した。
【0197】
前記結晶形のDVS時、10%〜90%の相対湿度の領域で測定された水分吸収程度は非常に低く(2%〜3%)、可逆的であった。前記結晶形は、長期間保管条件(例えば、25℃の温度、及び60%の相対湿度)下、加速条件(accelerated condition)(例えば、40℃の温度、及び75%の相対湿度)下、及び苛酷試験条件(stress testing condition)(例えば、60℃の温度)下で、非常に安定していることを示した。
【0198】
前記結晶形のssNMR分光において、観察されたピークを下記表2に収集した(ppm±0.2ppmで表現される):
【0199】
【表2】
【0200】
実施例2.化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(2HCl・1HO)の結晶形(タイプB)の製造
【0201】
後述する実施例4に記載された化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、三水和物(タイプB)1.0gの量を、60℃で1週間、安定性試験のために、チャンバで乾燥させ、1.0gの標題化合物を得た。
【0202】
含水量:3.3%(一水和物の理論的含水量数値:3.1%)
イオンクロマトグラフィ:12.8%(二塩酸塩の理論的含水量数値:13.0%)
【0203】
特性分析
実施例2で製造した結晶形のXRPD分析結果が図1Bに示されている。
【0204】
前記結晶形のXRPDスペクトルにおいて、3%以上の相対強度(I/I)を有するピークは、下記表3に記載されている。ピークのI/I比率が10%以上である場合、該ピークは、回折角が6.4゜、8.1゜、9.7゜、12.8゜、13.7゜、14.3゜、16.0゜、19.0゜、20.8゜、21.2゜、22.0゜、24.1゜、24.6゜、24.9゜、26.0゜、26.3゜、26.8゜、27.1゜、28.1゜、29.2゜、30.9゜及び34.4゜(2θ±0.2゜)であった。
【0205】
【表3】
【0206】
前記結晶形のssNMR分光において、観察されたピークを下記表4に収集した(ppm±0.2ppmで表現される):
【0207】
【表4】
【0208】
実施例3.化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、三水和物(2HCl・3HO)の結晶形(タイプA)の製造
化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(タイプA、実施例1)を、10.0gの量で100mLの水に付加した。混合物を還流しながら加熱し、30分間撹拌し、常温に冷却し、12時間撹拌して得た沈澱固体を濾過した。濾過された沈殿物を、20mLの水で洗浄して乾燥させ、8.0gの標題化合物を得た(収率:80.0%)。
【0209】
含水量:10.1%(一水和物の理論的含水量数値:8.8%)
イオンクロマトグラフィ:11.1%(一塩酸塩の理論的含水量数値:13.0%)
【0210】
特性分析
実施例3で製造した結晶形のXRPD,DSC,DVS及びssNMR分析結果は、それぞれ図1C図2B図3B及び図4Bに示されている。
【0211】
前記結晶形のXRPDスペクトルにおいて、3%以上の相対強度(I/I)を有するピークは、下記表5に記載されている。ピークのI/I比率が10%以上である場合、該ピークは、回折角が4.6゜、8.6゜、15.1゜、15.8゜、17.2゜、17.9゜、18.5゜、19.7゜、20.1゜、21.1゜、21.3゜、23.0゜、23.5゜、24.4゜、24.7゜、25.1゜、25.8゜、26.3゜、26.8゜、27.8゜及び28.4゜(2θ±0.2゜)であった。
【0212】
【表5】
【0213】
本明細書に記載されたような測定条件を適用した場合、前記結晶形は、DSC(10℃/分)試薬51℃、約95℃及び約178℃での吸熱ピーク、並びに約218℃での吸熱ピークを有する。DSC時、約51℃、約95℃及び約178℃での吸熱ピークは、二塩酸塩三水和物の結晶形の脱水点を示し、約218℃での吸熱ピークは、溶融点を示す。
【0214】
前記結晶形は、カールフィッシャー(Karl Fischer)滴定器により、約10.1%の含水量を示し(理論的含水量数値は、8.8%である)、約205℃〜約210℃の溶融点を示した。
【0215】
前記結晶形のDVS時、10%〜40%の相対湿度の領域で測定された水分吸収程度は、非常に低かったが、40%以上の相対湿度の領域での水分吸収程度は、約9%以上と測定された。前記結晶形は、長期間保管条件(例えば、25℃の温度、及び60%の相対湿度)下、及び加速条件(例えば、40℃の温度及び75%の相対湿度)下の水分吸収により、三水和物の結晶形を維持すると予想された。
【0216】
前記結晶形のssNMR分光において、観察されたピークを下記表6に収集した(ppm±0.2ppmで表現される):
【0217】
【表6】
【0218】
実施例4.化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、三水和物(2HCl・3HO)の結晶形(タイプB)の製造
【0219】
化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(タイプA、実施例1)を、10.0gの量で100mLの70%水溶性エタノール溶液(エタノール/水=9/1)に付加した。混合物を還流しながら加熱し、30分間撹拌し、常温に冷却し、12時間撹拌して得た沈澱固体を濾過した。濾過された沈殿物を、20mLの同一溶媒で洗浄して乾燥させ、7.0gの標題化合物を得た(収率:70.0%)。
【0220】
含水量:8.9%(三水和物の理論的含水量数値:8.8%)
イオンクロマトグラフィ:13.0%(二塩酸塩の理論的含水量数値:13.0%)
【0221】
特性分析
実施例4で製造した結晶形のXRPD,DSC,DVS及びssNMR分析結果は、それぞれ図1D図2C図3C及び図4Cに示されている。
【0222】
前記結晶形のXRPDスペクトルにおいて、3%以上の相対強度(I/I)を有するピークは、下記表7に記載されている。ピークのI/I比率が10%以上である場合、該ピークは、回折角が6.4゜、7.0゜、8.8゜、12.8゜、13.2゜、14.1゜、15.5゜、16.4゜、18.0゜、18.2゜、19.4゜、20.5゜、21.0゜、21.9゜、23.0゜、23.2゜、24.5゜、25.3゜、25.8゜、26.1゜、26.5゜、27.9゜、28.5゜、30.1゜、30.5゜及び31.0゜(2θ±0.2゜)であった。
【0223】
【表7】
【0224】
本明細書に記載されたような測定条件を適用した場合、前記結晶形は、DSC(10℃/分)での測定時、約50℃で開始点、及び約73℃で最低点を有する吸熱ピーク、約189℃での吸熱ピーク、並びに約222℃での吸熱ピークを示した。DSC時、約73℃及び約189℃での吸熱ピークは、二塩酸塩三水和物の結晶形の脱水点を示し、約222℃での吸熱ピークは、溶融点を示す。
【0225】
前記結晶形は、カールフィッシャー(Karl Fischer)滴定器により、約8.9%の含水量を示し(理論的含水量数値は、8.8%である)、約210℃〜約215℃の溶融点を示した。
【0226】
前記結晶形のDVS時、10%〜30%の相対湿度の領域で測定された水分吸収程度は、非常に高かったが、40%以上の相対湿度の領域での水分吸収程度は、非常に弱く測定された。前記結晶形は、長期間保管条件(例えば、25℃の温度及び60%の相対湿度)下、及び加速条件(例えば、40℃の温度及び75%の相対湿度)下の水分吸収により、三水和物の結晶形を維持すると予想された。
【0227】
前記結晶形のssNMR分光において、観察されたピークを下記表8に収集した(ppm±0.2ppmで表現される):
【0228】
【表8】
【0229】
実施例5:化学式1の化合物の一塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(1HCl・1HO)の結晶形の製造
WO2011/162515号に公開された製造方法、または本明細書で参照されたような、それと類似した方法によって製造した化学式1の化合物を、5.0g(0.010mol)の量で、15mLの水、及び35mLのエタノールを含む混合溶媒に付加した。前記反応混合物に、0.97mL(0.011mol)のHClを滴加し、常温で12時間撹拌して得た沈澱固体を濾過した。濾過された沈殿物を、1.5mLの水、及び3.5mLのエタノールを含む混合溶媒で洗浄し、50℃で乾燥させ、2.6gの標題化合物を得た(収率:48.0%)。
【0230】
含水量:3.5%(一水和物の理論的含水量数値:3.33%)
イオンクロマトグラフィ:6.7%(一塩酸塩の理論的含水量数値:7.0%)
【0231】
特性分析
実施例5で製造した結晶形のXRPD,DSC,DVS及びssNMR分析結果は、それぞれ図1E図2D図3D及び図4Dに示されている。
【0232】
前記結晶形のXRPDスペクトルにおいて、3%以上の相対強度(I/I)を有するピークは、下記表9に記載されている。ピークのI/I比率が10%以上である場合、該ピークは、回折角が7.8゜、10.7゜、12.7゜、13.0゜、13.9゜、14.2゜、15.6゜、17.0゜、17.7゜、18.6゜、19.1゜、19.5゜、21.5゜、22.0゜、22.5゜、24.6゜、25.3゜、25.7゜、26.0゜、26.4゜、27.7゜、28.2゜、29.5゜及び34.8゜(2θ±0.2゜)であった。
【0233】
【表9】
【0234】
本明細書に記載されたような測定条件を適用した場合、前記結晶形は、DSC(10℃/分)での測定時、約115℃で開始点、及び約142℃で最低点を有する吸熱ピーク、約204℃での発熱ピーク、並びに約210℃で開始点、及び約251℃で最低点を有する吸熱ピークを示した。DSC時、約142℃での吸熱ピークは、一塩酸塩一水和物の結晶形の脱水点を示し、約204℃での発熱ピークは、部分的な相変異の発生を示し、約251℃での吸熱ピークは、溶融点を示す。
【0235】
前記結晶形は、カールフィッシャー(Karl Fischer)滴定器により、約3.5%の含水量を示し(一水和物の理論的含水量数値は、3.33%である)、約190℃〜約200℃の溶融点を示した。
【0236】
前記結晶形のDVS時、10%〜70%の相対湿度の領域で測定された水分吸収程度は、非常に低かったが、70%以上の相対湿度の領域での水分吸収程度は、約7%であった。前記結果から、前記結晶形は、水分吸収によって長期間保管条件(例えば、25℃の温度、及び60%の相対湿度)下、及び加速条件(例えば、40℃の温度及び75%の相対湿度)下で安定していると予測された。
【0237】
前記結晶形のssNMR分光において、観察されたピークを下記表10に収集した(ppm±0.2ppmで表現される):
【0238】
【表10】
【0239】
実施例6.化学式1の化合物の一塩酸塩水和物、望ましくは、二水和物(1HCl・2HO)の結晶形(タイプA)の製造
実施例1で製造した化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(タイプA)を、30.0gの量で900mLの水に付加した。前記混合物を、常温で72時間撹拌して得た沈澱固体を濾過した。濾過された沈殿物を、60mLの同一溶媒で洗浄して乾燥させ、20gの標題化合物を得た(収率:67.0%)。
【0240】
含水量:6.8%(二水和物の理論的含水量数値:6.45%)
イオンクロマトグラフィ:6.9%(一塩酸塩の理論的含水量数値:7.0%)
【0241】
特性分析
実施例6で製造した結晶形のXRPD,DSC,DVS及びssNMR分析結果は、それぞれ図1F図2E図3E及び図4Eに示されている。
【0242】
前記結晶形のXRPDスペクトルにおいて、3%以上の相対強度(I/I)を有するピークは、下記表11に記載されている。ピークのI/I比率が10%以上である場合、該ピークは、回折角が6.8゜、7.5゜、15.1゜、17.0゜、18.1゜、20.0゜、21.2゜、22.7゜、23.0゜、25.1゜及び26.5゜(2θ±0.2゜)であった。
【0243】
【表11】
【0244】
本明細書に記載されたような測定条件を適用した場合、前記結晶形は、DSC(10℃/分)での測定時、約62℃で開始点、及び約90℃で最低点を有する吸熱ピーク、並びに約171℃で開始点、及び約182℃で最低点を有する吸熱ピークを示した。DSC時、約90℃での吸熱ピークは、一塩酸塩二水和物の結晶形の脱水点を示し、約182℃での吸熱ピークは、溶融点を示す。
【0245】
前記結晶形は、カールフィッシャー(Karl Fischer)滴定器により、約6.8%の含水量を示し(理論的含水量数値は、6.45%である)、約190℃〜約200℃の溶融点を示した。
【0246】
前記結晶形のDVS時、10%〜90%の相対湿度の領域で測定された水分吸収程度は、約2%ほどとに低かった。前記結晶形は、長期間保管条件(例えば、25℃の温度、及び60%の相対湿度)下、及び加速条件(例えば、40℃の温度、及び75%の相対湿度)下で安定していると予測された。
【0247】
前記結晶形のssNMR分光において、観察されたピークを下記表12に収集した(ppm±0.2ppmで表現される):
【0248】
【表12】
【0249】
実施例7.化学式1の化合物の一塩酸塩水和物、望ましくは、二水和物(1HCl・2HO)の結晶形(タイプB)の製造
実施例1で製造した化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物を、15.0g(0.026mol)の量で、水(45mL)とエタノール(105mL)とからなる混合溶媒に付加した。2.18g(0.055mol)の水酸化ナトリウムが、2.18g(0.055mol)の水に溶解された水溶液を、反応混合物に滴加し、常温で30分間撹拌した後、2.75mL(0.031mol)の塩酸に滴加した。前記反応混合物を、常温で12時間撹拌して得た沈澱固体を濾過した。濾過された沈殿物を、4.5mLの水、及び10.5mLのエタノールからなる混合溶媒で洗浄し、50℃で乾燥させ、8.5gの標題化合物を得た(収率:60.0%)。
【0250】
含水量:6.0%(二水和物の理論的含水量数値:6.45%)
イオンクロマトグラフィ:7.2%(一塩酸塩の理論的含水量数値:7.0%)
【0251】
特性分析
実施例7で製造した結晶形のXRPD,DSC,DVS及びssNMR分析結果は、それぞれ図1G図2F図3F及び図4Fに示されている。
【0252】
前記結晶形のXRPDスペクトルにおいて、3%以上の相対強度(I/I)を有するピークは、下記表13に記載されている。ピークのI/I比率が10%以上である場合、該ピークは、回折角が8.7゜、11.6゜、13.1゜、13.3゜、14.4゜、15.3゜、17.5゜、18.1゜、18.6゜、19.4゜、20.1゜、20.8゜、21.9゜、23.1゜、24.2゜、26.1゜、26.6゜、27.2゜、28.0゜、30.5゜及び31.7゜(2θ±0.2゜)であった。
【0253】
【表13】
【0254】
本明細書に記載されたような測定条件を適用した場合、前記結晶形は、DSC(10℃/分)での測定時、約55℃で開始点、及び約71℃で最低点を有する吸熱ピーク、並びに約215℃で開始点、及び約222℃で最低点を有する吸熱ピークを示した。DSC時、約71℃での吸熱ピークは、一塩酸塩二水和物の結晶形の脱水点を示し、約222℃での吸熱ピークは、溶融点を示す。
【0255】
前記結晶形は、カールフィッシャー(Karl Fischer)滴定器により、約6.0%の含水量を示し(理論的含水量数値は、6.45%である)、約190℃〜約200℃の溶融点を示した。
【0256】
前記結晶形のDVS時、10%〜70%の相対湿度の領域で測定された水分吸収程度は、非常に低かったが、70%以上の相対湿度の領域での水分吸収程度は、約14%であった。かような結果から、前記結晶形は、長期間保管条件(例えば、25℃の温度及び60%の相対湿度)下、及び加速条件(例えば、40℃の温度及び75%の相対湿度)下で安定していると予測された。
【0257】
前記結晶形のssNMR分光において、観察されたピークを下記表14に収集した(ppm±0.2ppmで表現される):
【0258】
【表14】
【0259】
比較例1:化学式1の化合物の二塩酸塩(2HCl)の非晶質形の製造
化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物(タイプA)を、10gの量で、200mLのメタノールに付加した。前記混合物を、40℃で30分間撹拌して得た不溶性固体を濾過した。濾過された沈殿物を減圧蒸溜し、9.0gの標題化合物を得た(収率:90.0%)。
【0260】
含水量:6.9%
イオンクロマトグラフィ:12.1%(二塩酸塩の理論的含水量数値:13.0%)
【0261】
特性分析
比較例1で製造した非晶質形のXRPD,DSC,DVS及びssNMR分析結果は、それぞれ図1H図2G図3G及び4Gに示されている。
【0262】
XRPDスペクトルにおいて、前記非晶質形は、特定の回折パターンを示していない。
【0263】
さらには、前記非晶質形は、DSC(10℃/分)時、特定の吸熱/発熱曲線を示していない。
【0264】
さらには、前記非晶質形は、DVS時、10%〜90%の相対湿度の領域において、非常に高レベルの水分吸収を示した。かような結果から、前記非晶質形は、水分吸収により、長期間保管条件(例えば、25℃の温度、及び60%の相対湿度)下、及び加速条件(例えば、40℃の温度、及び75%の相対湿度)下で不安定であると予測された。実際、前記非晶質形は、25℃の温度、及び60%の相対湿度、並びに40℃の温度、及び75%の相対湿度の条件下において、13%〜15%の吸湿性を示した。
【0265】
さらには、前記非晶質形は、カールフィッシャー(Karl Fischer)滴定器での測定時、4%〜8%の含水量(理論的含水量数値:8.81%)を示し、含水量の相当な変動を示した。溶融点は、特定することができず、分解点は、+約250℃と観察された。
【0266】
前記非晶質形のssNMR分光において、観察されたピークを下記表15に収集した(ppm±0.2ppmで表現される):
【0267】
【表15】
【0268】
実験例1:水溶性の測定実験
水溶性を測定するために、実施例1〜7で製造した化学式1の化合物の塩酸塩に係わる多形体の各サンプルを、以下に記載された条件下で、非イオン性水中で準備した。各溶液を、化学式1の化合物の含有量の測定条件により、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析し、化学式1の化合物の量に基づいた、溶解された量を測定し(LOD:>0.001mg/mL)、数値を計算した。結果は、下記表16の通りである。
【0269】
具体的には、前記多形体の各サンプルを、500mgの量で5mLの水に付加し、20℃〜25℃でボーテックスミキサ(voltamixer)で混合し、GH Polypro membrane Acrodisc、PALL(空隙サイズ:0.2m)で濾過した。濾過液を、HPLCに使用した希釈剤で、1:100の比率で希釈してサンプルを得た。
【0270】
【表16】
【0271】
表16に記載されているように、前記化学式1の化合物塩酸塩の溶解度は、化学式1の化合物(遊離塩基)の溶解度に比べ、相当に高かった。特に、化学式1の化合物の二塩酸塩の結晶形の溶解度は、一塩酸塩の結晶形の溶解度に比べ、相当に高く、実施例1の結晶形は、二塩酸塩の結晶形多形体のうち最も高い水溶性を示した。
【0272】
それにより、溶離のような条件を考慮し、実施例1の結晶形(化学式1の化合物の二塩酸塩水和物、望ましくは、一水和物が、(タイプA))薬学的組成物の観点で最も望ましいと予想される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H