【実施例】
【0018】
以下に、製造例,実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
実施例1
イブプロフェン30重量部、トラネキサム酸37.5重量部、酸化マグネシウム15重量部、結晶セルロース11.5重量部、ヒドロキシプロピルセルロース5重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。得られた造粒粒子100重量部にステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0020】
比較例1
イブプロフェン30重量部、トラネキサム酸37.5重量部、結晶セルロース26.5重量部、ヒドロキシプロピルセルロース5重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。得られた造粒粒子100重量部にステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0021】
比較例2
トラネキサム酸75重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し流動層造粒乾燥機(FL-MINI;フロイント産業社製)で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子(造粒粒子A)を得た。得られた造粒粒子100重量部にステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0022】
試験例1(製剤の安定性試験)
実施例1及び比較例1、2で調製した各錠剤をガラス瓶に入れ金属キャップで密封し、65℃下に1週間保存した後の各錠剤の膨張やひび割れ、湿潤の有無や錠剤厚みの変化を打錠直後と比較した。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1から明らかな通り、イブプロフェンとトラネキサム酸を含む比較例1では保存後に著しい錠剤の膨張や変形が認められた。トラネキサム酸単独の比較例2では同様の変化は認められず、イブプロフェン及びトラネキサム酸が同一製剤中に存在することで変形が生じると推測された。一方で、さらに酸化マグネシウムを配合した実施例1では同一製剤中にイブプロフェン及びトラネキサム酸を含むにもかかわらず保存後の錠剤の膨張や外観変化は認められなかった。この結果より、イブプロフェンとトラネキサム酸を含む製剤の保存時の外観変化について、酸化マグネシウムを配合することで抑制可能であることが明らかとなった。
【0025】
実施例2
イブプロフェン45重量部、合成ヒドロタルサイト30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0026】
実施例3
イブプロフェン45重量部、ケイ酸マグネシウム30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0027】
実施例4
イブプロフェン45重量部、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈物30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0028】
比較例3
イブプロフェン45重量部、乾燥水酸化アルミニウムゲル30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0029】
比較例4
イブプロフェン45重量部、ケイ酸アルミニウム30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0030】
比較例5
イブプロフェン45重量部、無水リン酸水素カルシウム30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0031】
比較例6
イブプロフェン45重量部、乳酸カルシウム30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0032】
比較例7
イブプロフェン45重量部、炭酸水素ナトリウム30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥したが湿潤状態のまま乾燥した造粒粒子を得ることが出来なかった。
【0033】
比較例8
イブプロフェン45重量部、グリシン30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0034】
比較例9
イブプロフェン45重量部、L−リジン塩酸塩30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0035】
比較例10
イブプロフェン45重量部、L−アルギニン塩酸塩30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0036】
比較例11
イブプロフェン45重量部、クエン酸30重量部、結晶セルロース20重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0037】
比較例12
イブプロフェン45重量部、結晶セルロース50重量部、ヒドロキシプロピルセルロース4重量部及び軽質無水ケイ酸1重量部を乳鉢で混合した後、水を加えて湿式造粒し温風乾燥器で乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。この造粒粒子50重量部と比較例2に記載の造粒粒子A50重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部を混合して打錠用粉末を調製し、卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠335mgの素錠を製した。
【0038】
試験例2(製剤の安定性試験)
実施例2〜4並びに比較例3〜12で調製した各錠剤をガラス瓶に入れ金属キャップで密封し、65℃下に1週間保存した後の各錠剤の膨張やひび割れ、湿潤の有無や錠剤厚みの変化を打錠直後と比較した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
表2から明らかな通り、マグネシウムを含む無機塩である合成ヒドロタルサイト(実施例2)、ケイ酸マグネシウム(実施例3)及び水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈物(実施例4)を含む製剤では保存後の膨張や外観変化が抑制されたのに対し、マグネシウムを含まない無機塩(比較例3〜5)、有機金属塩(比較例6)、各種アミノ酸(比較例8〜10)並びに有機酸(比較例11)を配合した製剤では著しい膨張が認められた。また、イブプロフェンとトラネキサム酸を別顆粒に群分けした製剤(比較例12)でも膨張した。試験例1及び2の結果より、イブプロフェンとトラネキサム酸を含む製剤において,成分の群分けにかかわらず、マグネシウムを含む無機塩を同時に配合することで保存時の製剤の膨張、ひび割れ等の外観変化を抑制できることが明らかとなった。
【0041】
[製造例]
製造例1 イブプロフェンおよび酸化マグネシウム含有造粒粒子の調製
表3中の製造例1に示す各成分を秤量後、混合して造粒用粉末を得た。造粒用粉末により、混練機(NW10;パウレック社製)および流動層造粒乾燥機(FD-WSG-2;パウレック社製)を用いて水・アルコール混液にヒプロメロースを溶解させた造粒液を添加し、常法により造粒、乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。
【0042】
製造例2 イブプロフェン含有造粒粒子の調製
表3中の製造例2に示す処方により、流動層造粒乾燥機(FD-WSG-2;パウレック社製)を用いて水・アルコール混液にヒプロメロースを溶解させ軽質無水ケイ酸を分散させた造粒液を添加し、常法により造粒、乾燥した後22Mの篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。
【0043】
製造例3 エテンザミド含有造粒粒子の調製
表3中の製造例3に示す処方により、高速攪拌造粒機(VG-25;パウレック社製)および流動層造粒乾燥機(FD-WSG-2;パウレック社製)を用いて水・アルコール混液を造粒液として添加し、常法により造粒、乾燥した後22M篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。
【0044】
製造例4 トラネキサム酸含有造粒粒子の調製
表3中の製造例4に示す処方により、高速攪拌造粒機(VG-5;パウレック社製)および流動層造粒乾燥機(FL-MINI;フロイント産業社製)を用いて水・アルコール混液を造粒液として添加し、常法により造粒、乾燥した後22M篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。
【0045】
製造例5 トラネキサム酸およびアリルイソプロピルアセチル尿素含有造粒粒子の調製
表3中の製造例5に示す処方により、高速攪拌造粒機(VG-5;パウレック社製)および流動層造粒乾燥機(FL-MINI;フロイント産業社製)を用いて水を造粒液として添加し、常法により造粒、乾燥した後22M篩で整粒を行い、造粒粒子を得た。
【0046】
【表3】
【0047】
実施例5
製造例1の造粒粒子173gに製造例4の造粒粒子139g、無水カフェイン22.5g、軽質無水ケイ酸3.6g、カルボキシメチルスターチナトリウム(以下、CMS-Naと略す)14.9gおよびステアリン酸マグネシウム1.8gを混合して打錠用粉末を調製し、その後ロータリー式打錠機(VIRGO19;菊水製作所社製)を用いて1錠394mgの素錠を製した。
【0048】
実施例6
製造例1の造粒粒子104gに製造例3の造粒粒子37.9g、製造例5の造粒粒子145g、無水カフェイン18.8g、軽質無水ケイ酸3.2g、CMS-Na12.4gおよびステアリン酸マグネシウム1.6gを混合して打錠用粉末を調製し、その後ロータリー式打錠機(VIRGO19;菊水製作所社製)を用いて1錠430mgの素錠を製した。
【0049】
実施例7
製造例1の造粒粒子153gに製造例5の造粒粒子155g、無水カフェイン36g、軽質無水ケイ酸3.6g、CMS-Na16.2gおよびステアリン酸マグネシウム1.8gを混合して打錠用粉末を調製し、その後ロータリー式打錠機(VIRGO19;菊水製作所社製)を用いて1錠457mgの素錠を製した。
【0050】
比較例13
製造例2の造粒粒子170gに製造例4の造粒粒子163g、無水カフェイン26.3g、軽質無水ケイ酸3.7g、CMS-Na11gおよびステアリン酸マグネシウム1.8gを混合して打錠用粉末を調製し、その後ロータリー式打錠機(VIRGO19;菊水製作所社製)を用いて1錠358mgの素錠を製した。
【0051】
比較例14
製造例2の造粒粒子70gに軽質無水ケイ酸0.7g、CMS-Na2.2g、ステアリン酸マグネシウム0.4gを混合し第1層用の打錠用粉末を調製した。次に製造例4の造粒粒子46.5gに無水カフェイン7.5g、食用黄色5号0.02g、軽質無水ケイ酸0.5g、CMS-Na1.7gおよびステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し第2層用の打錠用粉末を得た。これらの打錠用粉末を用い卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠358mg(第1層:170mg、第2層:188mg)の錠剤を製した。
【0052】
比較例15
製造例2の造粒粒子70gに軽質無水ケイ酸0.7g、CMS-Na2.2g、ステアリン酸マグネシウム0.4gを混合し第1層用の打錠用粉末を調製した。次に製造例3の造粒粒子30.3gに無水カフェイン15g、食用黄色5号0.02g、軽質無水ケイ酸0.5g、CMS-Na1.4gおよびステアリン酸マグネシウム0.2gを混合し第2層用の打錠用粉末を調製した。さらに製造例5の造粒粒子58gに軽質無水ケイ酸0.6g、CMS-Na1.8gおよびステアリン酸マグネシウム0.3gを混合して第3層用の打錠用粉末を調製した。これらの打錠用粉末を用い卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠404mg(第1層:122mg、第2層:79mg、第3層:203mg)の錠剤を製した。
【0053】
比較例16
製造例2の造粒粒子64.8gに無水カフェイン18g、リボフラビン0.08g、軽質無水ケイ酸0.88g、CMS-Na2.5gおよびステアリン酸マグネシウム0.4gを混合し第1層用の打錠用粉末を調製した。次に製造例5の造粒粒子58gに軽質無水ケイ酸0.6g、CMS-Na1.8gおよびステアリン酸マグネシウム0.3gを混合して第2層用の打錠用粉末を調製した。これらの打錠用粉末を用い卓上錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)により1錠419mg(第1層:217mg、第2層:202mg)の錠剤を製した。
【0054】
表4に、実施例5〜7、比較例13〜16の固形製剤に配合された有効成分を示す。
【0055】
【表4】
【0056】
試験例3(製剤の安定性試験)
実施例5〜7並びに比較例13〜16で調製した各製剤をガラス瓶に入れ金属キャップで密封し、65℃下に2週間もしくは50℃下に2箇月保存した後、目視観察により各製剤の膨張やひび割れ、湿潤の有無などの外観の状態を評価した。結果を表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
表5、
図1から明らかな通り、マグネシウムを含む無機塩を含まない製剤では、イブプロフェンとトラネキサム酸を別顆粒に配した単層錠の製剤(比較例13)のみならず、イブプロフェンとトラネキサム酸を別層に配した多層錠設計の製剤(比較例14〜16)においても、50℃又は65℃保存後に特定の層の膨張に伴う層間の剥離やひび割れ、湿潤等の外観変化が認められた。特に、イブプロフェン含有層とトラネキサム酸含有層の間に中間層を設けた処方では、イブプロフェンとエテンザミドの相互作用による著しい湿潤も加わり、外観変化は著しかった(比較例15)。これらの結果より、イブプロフェンとトラネキサム酸を含有し、マグネシウムを含む無機塩を含まない製剤では成分の別顆粒化や多層錠といった手法では高温保存後の外観変化を抑制できないことが明らかとなった。
一方、イブプロフェンとトラネキサム酸にさらにマグネシウムを含む無機塩を配合した製剤(実施例5〜7)では、65℃及び50℃保存後に製剤の膨張やひび割れ、湿潤等は認められず、高温保存後においても当初の外観を維持可能であることが明らかとなった。