(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907510
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】車両ドア及び車両ドアへのハーネスの設置方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20210708BHJP
B60J 10/76 20160101ALI20210708BHJP
【FI】
B60R16/02 620C
B60J10/76
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-220778(P2016-220778)
(22)【出願日】2016年11月11日
(65)【公開番号】特開2018-76034(P2018-76034A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】福島 一裕
【審査官】
宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−307951(JP,A)
【文献】
再公表特許第2010/143292(JP,A1)
【文献】
特開2018−058381(JP,A)
【文献】
特開平06−270667(JP,A)
【文献】
特開2003−312264(JP,A)
【文献】
特開2002−002270(JP,A)
【文献】
実開平04−007254(JP,U)
【文献】
実開昭60−195217(JP,U)
【文献】
米国特許第06079765(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第102008024477(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60J 10/00−10/90
B60R 13/06
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席または助手席のドアであって外側となるアウターパネルに内側となるインナーパネルを接合して、サイドガラスが上下動する構成である車両ドアにおいて、
前記サイドガラスの上下動を案内するガラスランのうちの車両後側の後部下側ガラスランが挿入される前記インナーパネルの窓部と、前記アウターパネルに固定されて、前記後部下側ガラスランの先端部に係合される後部ガラスラン用固定部と、前記後部下側ガラスランの下端部若しくは下側部分に設けられて、前記アウターパネルおよび前記インナーパネルの間に配置されるハーネスを支持する支持部と、を備えて、
前記後部下側ガラスランは前記支持部が前記ハーネスを支持した状態で前記後部ガラスラン用固定部の周りに車両前方から後方に回動可能に構成され、前記ハーネスは前記後部下側ガラスランが前記後部ガラスラン用固定部に固定されたときに前記アウターパネル側に固定支持される構成であることを特徴とする車両ドア。
【請求項2】
前記ハーネスが、前記アウターパネルのドアハンドルに設けられているスマートキーシステム用のハーネスである請求項1に記載の車両ドア。
【請求項3】
前記支持部にハーネスの接続用コネクタを設けた請求項1または2に記載の車両ドア。
【請求項4】
運転席または助手席の車両ドアが外側となるアウターパネルに内側となるインナーパネルを接合して構成されている車両における車両ドアへのハーネスの設置方法において、
サイドガラスの上下動を案内するガラスランのうちの車両後側の後部下側ガラスランを前記インナーパネルの窓部から挿入して、前記後部下側ガラスランの先端部を前記アウターパネルに固定されている後部ガラスラン用固定部に係合すると共に、前記後部下側ガラスランの下端部若しくは下側部分に設けた支持部に、前記アウターパネルと前記インナーパネルの間に配置されるハーネスを支持させた後に、
前記後部下側ガラスランを前記後部ガラスラン用固定部の周りに車両前方から後方に回動させて前記後部下側ガラスランを前記後部ガラスラン用固定部に固定させることで、前記後部下側ガラスランを配設するとともに前記ハーネスを前記アウターパネル側に固定支持することを特徴とする車両ドアへのハーネスの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドア及び車両ドアへのハーネスの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、停車中の車両の運転席のドアハンドルの施錠及び解錠を、運転者が鍵を鞄等に収納したまま鍵に触れることなくドアロックの施錠・解錠を行ったり、エンジンを始動させることができるスマートキーシステムが実用化されてきており、トラックなどにもこのシステムを搭載するケースが増加している。
【0003】
このシステムをトラックなどの車両に搭載する場合、ドアハンドルに設置されたシステム用のスイッチに電流を供給するためのハーネスがドアのインナーパネルとアウターパネルの間の空間で車両走行中に揺動しないようにハーネスを固定する必要がある。
【0004】
ここで、スマートキーシステム用のハーネスではないが、ウインドウガラスの調光用の液晶シートやヒータ線への電力供給用のハーネスを、螺旋状の弾性被覆部材の内側に通して伸縮自在にするとともに、車両ドアのウインドウガラスの昇降をガイドするガラスガイドレールに沿わせて配置することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−252995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の給電装置はウインドウガラスへの電力供給用のハーネスに係る装置であり、スマートキーシステムを車両に搭載する場合等の際におけるハーネスの固定に係る技術については未だ良案が提案されていない。
【0007】
本発明の目的は、車両の運転席のドアにスマートキーシステムを配設する等で車両ドアの内部にハーネスを配設する際に、このハーネスを車両ドアのアウターパネル側に容易に固定支持することができる車両ドア及び車両ドアへのハーネスの設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の車両ドアは、車両の運転席または助手席のドアであって外側となるアウターパネルに内側となるインナーパネルを接合して
、サイドガラスが上下動する構成である車両ドアにおいて、
前記サイドガラスの上下動を案内するガラスランのうちの車両後側の後部下側ガラスランが挿入される前記インナーパネルの窓部と、前記アウターパネルに固定されて、前記後部下側ガラスランの先端部に係合される後部ガラスラン用固定部と、前記後部下側ガラスランの下端部若しくは下側部分に設けられて、前記アウターパネル
および前記インナーパネルの間に配置されるハーネスを支持する支持部
と、を備えて、前記後部下側ガラスランは前記支持部が前記ハーネスを支持した状態で前記後部ガラスラン用固定部の周りに車両前方から後方に回動可能に構成され、前記ハーネスは前記後部下側ガラスランが前記後部ガラスラン用固定部に固定されたときに前記アウターパネル側に固定支持される構成であることを特徴とする。
【0009】
また、上記の目的を達成するための本発明の車両ドアへのハーネスの設置方法は、運転席または助手席の車両ドアが外側となるアウターパネルに内側となるインナーパネルを接合して構成されている車両における車両ドアへのハーネスの設置方法において、サイドガラスの上下動を案内するガラスランのうちの車両後側の後部下側ガラスランを前記インナーパネルの窓部から挿入して、前記後部下側ガラスランの先端部を前記アウターパネルに固定されている後部ガラスラン用固定部に係合すると共に、前記後部下側ガラスランの下端部若しくは下側部分に設けた支持部に、前記アウターパネルと前記インナーパネルの間に配置されるハーネスを支持させた後に、前記後部下側ガラスランを前記後部ガラスラン用固定部の周りに車両前方から後方に回動させて前記後部下側ガラスランを前記後部ガラスラン用固定部に固定させることで、前記後部下側ガラスランを配設するとともに前記ハーネスを前記アウターパネル側に固定支持することを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両ドア及び車両ドアへのハーネスの設置方法によれば、車両の運転席または助手席のドアにスマートキーシステムを配設する等で車両ドアの内部にハーネスを配設する際に、このハーネスを車両ドアのアウターパネル側に容易に固定支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】アウターパネルを運転席側から見た場合の側面図で、アウターパネルにインナーパネルを接合した状態を示す図である。
【
図2】アウターパネルにガラスランを設置する第1段階の状態を示すインナーパネルを省略した側面図である。
【
図3】アウターパネルにガラスランを設置する第2段階の状態を示すインナーパネルを省略した側面図である。
【
図4】アウターパネルにガラスランを設置する際の後部下側ガラスランとスマートキーシステム用のコネクタとドア側ハーネス用のコネクタの関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態の車両ドア及び車両ドアへのハーネスの設置方法について、図面を参照しながら説明する。なお、
図1〜
図3では、車両の前後方向、車両の上下方向をそれぞれ矢印X、Zで示している。なお、車両の幅方向(紙面に垂直な方向)については、矢印Yで示される方向ではあるが、図示を省略している。
【0013】
本発明の車両ドア1は、車両の運転席または助手席の車両ドア1であって、車両の外側より内側(運転席側)に向かって順に、アウターパネル2、インナーパネル3、及びドアトリム(内張り:図示しない)を配置して、これらのアウターパネル2、インナーパネル3、及びドアトリムを接合して構成される。アウターパネル2には、サイドガラス10と、ガラスラン11、12、13と、ドアハーネス21と、外部ドアハンドル14が備わる。なお、
図2及び
図3では、インナーパネル3については、孔3a、3b(点線で図示)を除いて、省略している。また、ドアトリムについては全図で図示を省略している。
【0014】
サイドガラス10は、アウターパネル2に設けられたガラスラン11、12、13に挿入されてアウターパネル2とインナーパネル3との間に配置されるガラスであり、運転席に設けられている上下動(昇降)用のスイッチ(図示しない)の操作に応じて、モーター等の駆動装置(図示しない)により、ドアの所定範囲内で上下動(昇降)する装置である。
【0015】
ガラスラン11、12、13は、前部ガラスラン11、上部ガラスラン12、後部ガラスラン13の後部上側ガラスラン13aが一体的に構成され、さらに、後部下側ガラスラン13bが後部上側ガラスラン13aの固定部13cに固定されることで、全体が構成される。つまり、後部ガラスラン13は後部上側ガラスラン13aと後部下側ガラスラン13bで構成される。
【0016】
このガラスラン11、12、13は、断面コの字型のゴム製の部材で、コの字の凹部がサイドガラス10の外縁部が挿入されるように前方と上方と後方の3方面の外周を囲んで設置されて、サイドガラス10の所定範囲内での上下動を車両の前方及び後方より案内する装置である。車両の前方側を案内する前部ガラスラン11は、サイドガラス10の前方外縁部に沿うように備わる。車両の後方側を案内する後部ガラスラン13は、
図1に示すように、サイドガラス10の後方外縁部に沿うように備わる。また、上部ガラスラン12は、サイドガラス10が最も上昇したときにサイドガラス10の上側外縁部が挿入されるように備わる。
【0017】
ドアハーネス21は、アウターパネル2及びインナーパネル3に備えた装置群に接続されて電気を供給するためのハーネスである。この装置群とは、例えば、サイドガラス10の上下動用のスイッチ等である。外部ドアハンドル14は、ドア開閉用の装置で、この外部ドアハンドル14への運転者の手動操作により、外部ドアハンドル14の操作力がロッド15を介して機械的にドアロック16に伝わることで、車両ドア1はドアロック16により解放される。
【0018】
インナーパネル3には、アウターパネル2及びインナーパネル3に上記の装置群を備える等の作業を運転席または助手席側から視認しながら行えるように、作業用(組み付け用)の窓部3a、3bが形成されている。
図1〜
図3では、2つの窓部3a、3bがインナーパネル3に形成されているが、この窓部3a、3bの形成数及び位置については
図1〜
図3に示す形状や位置に限定されない。
【0019】
また、車両の内部にはバッテリー等の電源装置20が備わる。電源装置20はドアハーネス21と接続されていて、電源装置20からドアハーネス21を介して上記の装置群に電気が供給可能な構成となっている。
【0020】
本発明の車両では、スマートキーシステムが搭載される。スマートキーシステムは、スマートキーシステム用のスイッチ(図示しない)と、スマートキーシステム用のアンテナ(図示しない)と、スマートキーシステム用のハーネス23とを有するシステムである。スイッチとアンテナについては、アウターパネル2に備えた外部ドアハンドル14本体、若しくはその近傍に備わる。このスイッチへの運転者の手動操作、あるいはアンテナを介した車両間の自動通信により、電気的にドアロック16へ指示が伝達され、ドアロック16に備えるアクチュエーターにより解錠および施錠される。
【0021】
そして、スマートキーシステム用のハーネス23については、その一端をスイッチに、ハーネス23の他端をサイドガラス10の上下動を案内するガラスラン11、12、13のうちの車両後側の後部下側ガラスラン13bの下端部若しくは下側部分に備えている支持部13dで支持するよう構成されている。
【0022】
図4に示すように、この支持部13dに第1係合部(例えば雄部)を設け、スマートキーシステム用のコネクタ24をコネクタ連結部24aで拘束し、このコネクタ連結部24aの他端側に設けたコネクタ側係合部(例えば雌部)24bを支持部13dの第1係合部に係合させることで、後部下側ガラスラン13bの支持部13dにスマートキーシステム用のコネクタ24を介してスマートキーシステム用のハーネス23を固定支持する。
【0023】
また、スマートキーシステム用のコネクタ24にドアハーネス21用のコネクタ22を接続することにより、電源装置20からドアハーネス21とスマートキーシステム用のハーネス23を経由してスマートキーシステム用のスイッチに電気を供給する。
【0024】
なお、ドアハーネス21とスマートキーシステム用のハーネス23の接続位置を後部下側ガラスラン13bの最下端にすると、これらのハーネス21、23がサイドガラス10の下降時にサイドガラス10との干渉を回避できるようになるのでより好ましい。
【0025】
次に、本発明に係る実施の形態の車両ドアへのハーネスの設置方法について説明する。車両ドアへのスマートキーシステム用のハーネス23の設置の第1段階では、ドアトリムを取り付ける前に、サイドガラス10を最も上側に位置させた状態または、サイドガラス10を取り付ける前の状態で、工程A(
図2の矢印A)として、インナーパネル3の窓部3bから後部下側ガラスラン13bを挿入して、次の工程B(
図2の矢印B)として、後部下側ガラスラン13bの先端部(上端部)を、サイドガラス10の後方外縁部の下端周辺の所定位置に備わる、後部上側ガラスラン13aの差込口(固定部)13cに斜め前方の下側から斜め後方の上方に向かって差し込んで、後部下側ガラスラン13bの先端部を後部上側ガラスラン13aに一時的に固定する。
【0026】
この工程Bでは、後部下側ガラスラン13bはサイドガラス10の下方にあり、その上端部を差込口13cに差し込んだときに、後部下側ガラスラン13bの下端部若しくは下側近傍がインナーパネル3の作業用の窓部3bを通して作業者が視認できる位置に配置されるように、作業用の窓部3bを開口する。このようにすることで、後述の工程C、D、Eで、作業者が当該工程C〜Eに対応する作業を視認しながら行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
【0027】
次の工程C(
図4の矢印C)として、外部ドアハンドル14に設置したスマートキーシステム用のスイッチに接続されているスマートキーシステム用のハーネス23の他端側のコネクタ24をコネクタ連結部24aで拘束し、このコネクタ連結部24aの他端側に設けたクリップ(取付部材)等で構成されるコネクタ側係合部(例えば雌部)24bを、後部下側ガラスラン13bの支持部13dの第1係合部(例えば雄部)に係合させることで、後部下側ガラスラン13bの支持部13dにスマートキーシステム用のコネクタ24を介してスマートキーシステム用のハーネス23を固定支持する。
【0028】
次の工程D(
図2及び
図4の矢印D)として、工程Cで取り付けられたスマートキーシステム用のハーネス23のコネクタ24に、電源装置20に接続されているドアハーネス21のコネクタ(先端)22を接続する。このとき、コネクタ24を後部下側ガラスラン13bの後方にコネクタ24の接続部の前方が窓部3b側を向くように配置して、
図2の紙面に垂直な方向から視て、手前から奥に向かってドアハーネス用のコネクタ22をスマートキーシステム用のコネクタ24に通すように構成すると、後部下側ガラスラン13bが障害とならずに、ドアハーネス21とハーネス23を容易に接続することができる。
【0029】
次の工程E(
図3の矢印E)として、差込口13cを支点として、差込口13cより下方の後部下側ガラスラン13bを車両の前方から後方に向って回転させながら、上方の後部下側ガラスラン13bが後部上側ガラスラン13aの後方外縁部と円滑に(例えば直線的に)接続するようにして、
図3に示すように、後部上側ガラスラン13aと後部下側ガラスラン13bからなる後部ガラスラン13の全体がサイドガラス10の後方外縁部に平行となるように設置する。以上が、本発明の車両ドアへのハーネスの設置方法となる。
【0030】
以上をまとめると、本発明の実施の形態の車両へのハーネスの設置方法は、運転席または助手席の車両ドア1が外側となるアウターパネル2に内側となるインナーパネル3を接合して構成されている車両における車両ドアへのハーネスの設置方法であり、この設置方法において、サイドガラス10の上下動を案内するガラスラン11、12、13のうちの車両後側の後部下側ガラスラン13bをインナーパネル3の窓部3bから挿入して、後部下側ガラスラン13bの先端部をアウターパネル2に固定されている後部ガラスラン用固定部13cに係合すると共に、後部下側ガラスラン13bの下端部若しくは下側部分に設けた支持部13dに、アウターパネル2とインナーパネル3の間に配置されるハーネス23を支持させた後に、後部下側ガラスラン13bを後部ガラスラン用固定部13cの周りに車両前方から後方に回動させて後部下側ガラスラン13bを後部ガラスラン用固定部13cに固定させることで、後部下側ガラスラン13bを配設するとともにハーネス23をアウターパネル2側に固定支持する方法となる。
【0031】
なお、インナーパネル3における作業用の窓部(図示しない)を外部ドアハンドル14付近に設けて、後部下側ガラスラン13bを
図1に示す位置に設置した後に、作業者が上記の工程C〜Eに対応する作業を外部ドアハンドル14付近の作業用の窓部から確認しながら行う場合には、量産体制に入っているインナーパネル3に対して、この作業用の窓部を改めて設けることになり、インナーパネル3のみならず、ドアトリムも大幅な改修を行う必要が生じて、高コストになり易い。
【0032】
上記の構成の実施の形態の車両ドア1によれば、サイドガラス10の上下動を車両後方より案内するガラスラン11、12、13の後部下端で、スマートキーシステム用のハーネス23とドアハーネス21を固定するので、サイドガラス10の上下動に支障をきたすことなく、スマートキーシステム用のハーネス23を固定することができる。その結果、車両の走行中に、スマートキーシステム用のハーネス23が揺動して、アウターパネル2及びインナーパネル3に備えた他装置群と接触して破損するのを回避することができる。
【0033】
また、後部下側ガラスラン13bの下端部若しくは下側部分でハーネス21、23を接続するだけで、省スペースでスマートキーシステム用のハーネス23を固定することができる。
【0034】
また、外部ドアハンドル14に備えたスマートキーシステム用のスイッチと両ハーネス21、23同士の支持部13dとの間の距離は短いので、スマートキーシステム用のハーネス23を短くすることができ、低コスト化を図ることができる。
【0035】
また、上記の構成の実施の形態の車両ドアへのハーネスの設置方法によれば、車両後方の後部下側ガラスラン13bを差込部13cで一時的に固定しつつ、後部下側ガラスラン13bの下端部若しくは下側部分の支持部にクリップ等の係合部を設けて、この係合部を介して取り付けられたスマートキーシステム用のハーネス23にドアハーネス21を接続した後に、上記の差込口13cを支点として振り子のように後部下側ガラスラン13bを最終設置位置に移動させて固定するので、両ハーネス21、23の接続を比較的広いスペースのなかで行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 車両ドア
2 アウターパネル
3 インナーパネル
3a、3b インナーパネルの窓部
10 サイドガラス
11 前部ガラスラン
12 上部ガラスラン
13 後部ガラスラン
13a 後部上側ガラスラン
13b 後部下側ガラスラン
13c 固定部
13d 支持部(雄部)
14 外部ドアハンドル
15 ロッド
16 ドアロック
20 電源装置
21 ドア側ハーネス
22 ドア側ハーネス用のコネクタ
23 スマートキーシステム用のハーネス
24 スマートキーシステム用のコネクタ
24a コネクタ連結部
24b コネクタ係合部(雌部)