(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、25℃から150℃までの昇温過程でのフィルム膨張率測定において、150℃におけるフィルム膨張率が、それぞれ0.5%以上1.5%以下であり、140℃90分熱処理前後のヘイズ変化量が、5.0%以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、150℃から50℃までの降温過程での寸法変化率が、それぞれ70ppm/℃以上140ppm/℃以下である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、ヤング率を平均した値をYave(MPa)、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、150℃から50℃の降温過程での寸法変化率を平均した値をαave(ppm/℃)としたとき、下記(2)式を満たす請求項1〜3に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(2)20≦Yave/αave≦40
少なくとも3層を有する積層ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの両側の表層の固有粘度がいずれも0.67dl/g以上0.9dl/g以下であり、かつ、前記積層ポリエステルフィルムの両側の表層の固有粘度の平均した値をIVa(dl/g)、前記積層ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層の固有粘度を平均した値をIVb(dl/g)としたとき、下記(3)式を満たす請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(3)0.01≦IVa−IVb≦0.3
前記ポリエステルフィルムの両側の表層の融点を平均した値TmAが250℃以上280℃以下の範囲であり、前記ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層の融点を平均した値TmBが250℃以下である請求項5に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
前記ポリエステルフィルムの両側の表層の厚みの和と、表層以外の層の厚みの和の比(両側の表層の厚みの和/表層以外の層の厚みの和)が、1/9〜1/2である請求項5または請求項6に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のポリエステルフィルムは、機械特性の観点から、二軸配向ポリエステルフィルムであることが必要である。ここでいうポリエステルは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。本発明のポリエステルフィルムは、機械特性の観点から、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートの共重合体からなることが好ましい。
【0013】
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、25℃から150℃までの昇温過程でのフィルム膨張測定において、150℃におけるフィルム膨張率が、それぞれ0.5%以上1.5%以下である必要がある。より好ましくは、0.7%以上1.4%以下である。さらに好ましくは、0.9%以上1.3%以下である。
一般的に、透明導電膜は、室温よりも温度が高い状態で基板上に製膜され、その後室温よりも温度が高い状態まで加熱され、キュアする工程を経て、室温まで徐々に除冷される降温過程を経る。ここで、透明導電膜に用いられるCOPフィルムは、COPは非晶性樹脂のため、加熱した際に分子鎖が動きやすく、室温から温度が高い状態にすると熱膨張する傾向にある(フィルムの膨張率は正の値となる)。一方、二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムを二軸に配向させる工程で受ける応力が残留しているため、室温から温度が高い状態に加熱すると製膜工程で受けた残留応力が開放された結果、熱収縮が発生する(フィルムの膨張率は負の値となる)。そのため、従来の二軸配向ポリエステルフィルムをCOPの保護フィルムとして用いると、フィルムの膨張率の差によって、透明導電膜の製膜基板の平面性が悪化したり、保護フィルムに剥がれが発生するという問題が発生していた。
そこで、透明導電膜を保護するPETフィルムのフィルム膨張率をCOPフィルムの膨張率に近しい値にすることで、室温より高い状態で行う工程で、透明導電膜にしわや剥がれといった問題が発生するのを抑制することができる。上述した点を踏まえ、ポリエステルフィルムのフィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、25℃から150℃までの昇温過程でのフィルム膨張測定において、150℃におけるフィルム膨張率が、それぞれ0.5%以上1.5%以下にすることで、透明導電膜を保護するPETフィルムとして使用する際に、しわや剥がれを抑制でき、COPとの貼り合せ性に優れ、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性を損なうことなく、導電性を良好に保つことができる。
【0014】
150℃におけるフィルム膨張率が0.5%未満であると、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合、COPと比べて加工工程で加熱した際の、フィルム膨張率が小さいため、しわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。
【0015】
また、150℃におけるフィルム膨張率が1.5%を超えると、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合、COPと比べて加工工程で加熱した際の、フィルム膨張率が大きいため、しわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。
ここでいうフィルムの主配向軸方向とは、フィルムにおいて最大の屈折率を有する方向を主配向軸とする。また、フィルムにおける最大の屈折率の方向は、フィルムの全ての方向の屈折率を屈折率計で測定して求めてもよく、位相差測定装置(複屈折測定装置)などにより遅相軸方向を決定することで求めてもよい。
【0016】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのフィルム膨張率とは、後述する方法で求められるが、フィルムを加熱した際の、寸法変化率を表したものである。
フィルム膨張率の測定方法は、熱機械測定装置TMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mmとして、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、荷重3gを負荷する。室温から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温させ、各温度(℃)における試料の寸法の値を得る。そして、25℃における試料の寸法L(25℃)(mm)と150℃における寸法L(150℃)(mm)から、下記(iii)式から算出する。なお、フィルム膨張率はフィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向それぞれについて、n=5で実施し、その平均値として算出する。
(iv)フィルム膨張率(%)=L(150℃)/L(25℃)×100
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのフィルム膨張率を上述の範囲とする方法は、特に限られるものではないが、例えば、以下の(I)、(II)の方法をとることができる。
(I)ポリエステルフィルムを少なくとも3層を有する積層ポリエステルフィルムとし、ポリエステルフィルムの両側の表層の融点を平均した値TmAが250℃以上280℃以下の範囲であり、前記ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層の融点を平均した値TmBが250℃以下とすること。
(II)二軸延伸した後のポリエステルフィルムをオフアニール又は、製膜における熱固定工程のテンター内で長手方向に寸法を戻し、長手方向リラックスすること。
【0017】
まず(I)について説明する。フィルムの膨張率を上げるためには、フィルムを構成する樹脂を非晶性にするか、非晶性に近づけることが重要である。二軸配向ポリエステルフィルムを(I)の構成とすることで、一般的な二軸配向ポリエステルフィルムより融点の低い層と、それよりも融点の高い層を持つ二軸配向ポリエステルフィルムとなる。(I)の構成の二軸配向ポリエステルフィルムに、熱処理工程で熱を加えると、融点の低いポリエステルフィルムの両側の表層以外の層の結晶構造が崩れ、配向が不規則な非晶構造になることにより、フィルムの非晶性が上がり、フィルム膨張率を上げることが可能となる。加えて、ポリエステルフィルムの両側の表層は、結晶構造を保つので、配向を維持し機械特性に優れ、オリゴマー発生を抑制できる。
【0018】
次に(II)について説明する。二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法において(II)の工程を経ることで、ポリエステルフィルムを二軸配向させる際に加わった残留応力を取り除くことが可能となる。詳しくは後述する。
【0019】
(I)に記載の、ポリエステルフィルムの両側の表層の融点を平均した値TmAが250℃以上280℃以下にする方法としては、両側の表層を構成するポリエステル樹脂をポリエチレンテレフタレート(PET)および/またはポリエチレンナフタレート(PEN)にすることが好ましい。また、前記ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層の融点を平均した値TmBを250℃以下にするには、ポリエステル樹脂がPETおよび/またはPENである場合、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸を共重合する方法、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノールを共重合する方法などが挙げられる。これらは単独で共重合しても良いし、複数種類共重合しても構わない。共重合量としては、共重合成分の合計が、ポリエステルの構成成分の全量に対して5mol%以上20mol%以下であることが好ましい。
【0020】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの両側の表層の融点を平均した値TmAが250℃以上280℃以下の範囲であることが、機械特性と加工性の点から好ましい。
【0021】
二軸配向ポリエステルフィルムの両側の表層の融点を平均した値TmAが250℃未満であると、非晶性に近いため、機械特性に劣り、オリゴマーが発生しやすくなるため、フィルムが白化する要因となる。
また、TmAが280℃を超えると、結晶性が高すぎるため、製膜性、機械特性に劣る。
【0022】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層の融点を平均した値TmBを250℃以下とすることが、フィルム膨張率、フィルム寸法変化率、機械特性の制御の点から好ましい。より好ましくは、220℃以上250℃以下であり、さらに好ましくは、230℃以上240℃以下である。
【0023】
二軸配向ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層の融点を平均した値TmBが220℃未満であると、フィルムが非晶状態に近いため、フィルムに熱がかかった場合に、フィルムの膨張率が大きくなりすぎたり、フィルムの結晶化温度に近い温度まで熱がかかると、ランダムな粗大結晶が生じることでフィルムの透明性が損なわれるだけでなく、ランダムな粗大結晶によってその周囲に存在する分子鎖が固定される結果、機械特性に劣り、フィルム寸法変化率も低下する。
また、TmBが250℃を超えると、結晶性に近いため、フィルムの分子鎖が熱によって自由に動くことができない結果、機械特性に劣り、フィルム膨張率やフィルム寸法変化率も低下する。
【0024】
(II)に記載の二軸延伸した後のポリエステルフィルムをオフアニールをする場合の条件としては、オフアニール温度を140℃以上200℃未満とし、フィルム幅方向はフリーな状態、つまり、フィルムをフィルム幅方向に拘束していない状態であり、また、長手方向に10N以上100N以下の張力をかけながら巻き取ることで、ポリエステルフィルムを二軸配向させる際に加わった残留応力を取り除くことが可能となる。長手方向にかかる張力は、好ましくは、20N以上60N以下である。
【0025】
また、(II)に記載の二軸延伸した後のポリエステルフィルムを製膜における熱固定工程のテンター内で長手方向に寸法を戻し、長手方向リラックスする方法とは、長手方向に延伸後、長手方向に寸法を0.01〜7%戻すという、いわゆるリラックス処理をするものである。この時のリラックス処理温度は、2段目以降の長手方向延伸温度と同等あるいはそれよりも30℃低い温度の範囲で行うことが好ましい。また、このリラックス処理は通常周速度差のある加熱冷却ロール間で行うのが効率的であるが、フリーロールの配置された熱風オーブン中や、クリップ付いたMDリラックステンター中で行っても良い
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、150℃から50℃までの降温過程での寸法変化率が、それぞれ70ppm/℃以上140ppm/℃以下であることが、COPと貼り合せた際の、しわや剥がれを抑制でき、COPとの貼り合せ性の点から好ましい。
【0026】
近年、透明導電膜の製膜基板として用いられる非晶性樹脂であるCOPからなるフィルムにおいて、150℃から50℃の降温時のフィルム寸法変化率は、COPの分子骨格にもよるが、70ppm/℃以上140ppm/℃以下である。本発明のフィルムの150℃から50℃の降温時のフィルム寸法変化率を上記範囲とすることによって、加工工程で加熱した後の徐冷過程での寸法変化挙動をCOPに近づけることができ、COPと貼り合せた際に、しわや剥がれが発生するのを抑制することができ、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性を損なうことなく、導電性を良好に保つことができる。より好ましくは80ppm/℃以上120ppm/℃以下、さらに好ましくは90ppm/℃以上110ppm/℃以下である。
【0027】
フィルムの寸法変化率が70ppm/℃未満であると、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合、COPと比べて加工工程で加熱した後の降温時の寸法変化が小さく、寸法差が生じるため、しわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。
【0028】
また、フィルムの寸法変化率が140ppm/℃を超えると、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合、COPと比べて加工工程で加熱した後の降温時の寸法変化が大きく、寸法差が生じるため、しわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。
【0029】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、ヤング率を平均した値をYave(MPa)、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、150℃から50℃の降温過程での寸法変化率を平均した値をαave(ppm/℃)としたとき、下記(iv)式を満たすことが、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合、キュア工程後のカールを抑制できるため、加工性の点から好ましい。
(vi)20≦Yave/αave≦50
ヤング率はフィルムの剛直性を示しており、ヤング率が高いほどフィルムの剛性が高く、寸法変化に伴う変形応力が高くなる。そのため、COPとPETフィルムのYave/αaveに差があると、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、キュア工程後に常温まで徐冷したとき、寸法変化の応力差によってフィルムがカールし、加工性が損なわれる。Yave/αaveを20以上40以下にすることで、COPとPETの寸法変化の応力差が小さくなるため、カールを抑制でき、加工性が良化するため好ましい。さらに好ましくは、30以上40以下である。Yave/αaveが20未満であると、フィルムの剛性がCOPより大幅に低くなるので、カール量がポリエステルフィルム側に大きくなり、加工時に傷が入りやすく、加工性に劣る場合がある。また、Yave/αaveが50を超えると、フィルムの剛性がCOPより高くなるので、カール量がCOP側に極度に大きくなり、加工性に劣る場合がある。
【0030】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも3層を有する積層ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの両側の表層の固有粘度がいずれも0.67dl/g以上0.9dl/g以下であることが二軸配向ポリエステルフィルムの剛性の制御の点から好ましい。より好ましくは、0.70dl/g以上0.85dl/g以下である。さらに好ましくは、0.72dl/g以上0.80dl/g以下である。
【0031】
ポリエステル樹脂は、一般的に、重合度(分子鎖の長さ)と固有粘度の間に相関を有する。そのため、固有粘度は、ポリエステル樹脂の重合度(分子鎖の長さ)の指標となり、重合度が高い(分子鎖が長い)ほど固有粘度は高くなる傾向にある。ポリエステルフィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度を上記範囲の下限以上とすることで、ポリエステルフィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂の分子鎖が長くなり、分子鎖の運動性が低下するため、分子鎖が剛直になりヤング率が高くなる。そのため、ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層の非晶性が高くなった場合でも、ポリエステルフィルム全体のヤング率が極端に低下することを抑制し、ヤング率を好ましい範囲にすることができる。
【0032】
ポリエステルフィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.67dl/g未満であると、ポリエステルフィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂のヤング率が低下し、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に平面性が悪くなる場合がある。
【0033】
また、ポリエステルフィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.90dl/gを超えると、極端にヤング率が高くなるため、機械特性、加工性に劣ったフィルムとなる場合がある。
【0034】
本発明の二軸配向のポリエステルフィルムは、積層ポリエステルフィルムの両側の表層の固有粘度の平均した値をIVa(dl/g)、前記積層ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層の固有粘度を平均した値をIVb(dl/g)としたとき、下記(ii)式を満たすことが二軸配向ポリエステルフィルムの機械特性の制御の点から好ましい。より好ましくは、0.03dl/g以上0.2dl/g以下である。さらに好ましくは、0.05dl/g以上0.15dl/g以下である。
(ii)0.01≦IVa−IVb≦0.3
IVa−IVbを上記範囲にすることで、極度なヤング率の低下を抑制し、機械特性、加工性を良好に保つことができる。
【0035】
IVa−IVbが0.01未満であると、積層ポリエステルフィルム全体のヤング率が低下し、機械特性に劣る場合がある。また、IVa−IVbが0.3を超えると、極端にヤング率が高くなるため、機械特性、加工性に劣る場合がある。
【0036】
本発明の二軸配向のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの両側の表層の厚みの和と、表層以外の層の厚みの和の比(両側の表層の厚みの和/表層以外の層の厚みの和)が、1/9〜1/2であることが好ましい。
【0037】
最外層の厚みが薄く、表層以外の層の厚みの和の比が1/9を下回る場合、積層による製膜性向上、機械特性向上の効果が得られない場合がある。一方、最外層の厚みが厚く、表層以外の層の厚みの和の比が1/2を超える場合、最外層の配向性の影響を強く受け、内層が無理に延伸される結果、フィルム製膜性が悪くなる場合がある。
【0038】
本発明の二軸配向のポリエステルフィルムは、140℃90分熱処理前後のヘイズ変化量が、5.0%以下であることが好ましい。より好ましくは、3.0%以下である。さらに好ましくは、1.0%以下である。
【0039】
二軸配向のポリエステルフィルムは、フィルムの140℃90分熱処理前後のヘイズ変化量が、5.0%を超えると、フィルムの表面にオリゴマーが発生し、フィルム白化の原因となるため好ましくない。
【0040】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表面が、140℃90分熱処理後のポリエステルフィルムの表面におけるエステル環状三量体量が0mg/m
2以上1.5mg/m
2以下であると、COPと貼り合せた際に、環状三量体の析出が抑制され、異物発生やフィルムの白化を抑制できることに加え、貼り合せ工程での部材の汚染を抑制できるので好ましい。より好ましくは0mg/m
2以上1.0mg/m
2以下であり、さらに好ましくは0mg/m
2以上0.5mg/m
2以下である。少なくとも一方の表面が、140℃90分熱処理後のポリエステルフィルムの表面におけるエステル環状三量体量を1.5mg/m
2を超えると、COPと貼り合せた際に、環状三量体析出による異物発生やフィルムの白化が起きることに加え、貼り合せ工程での部材の汚染が発生する可能性がある。また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表面が、140℃90分熱処理前後でのフィルム表面における環状三量体の変化量(熱処理前後の表面析出量)が1.4mg/m
2以下であることが好ましい。より好ましくは1.0mg/m
2以下である。なお、ここでいう環状三量体とは、ポリエステルの繰り返し単位の環状三量体を表す。ポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレート環状三量体のことを指す。エチレンテレフタレート環状三量体とは、ポリエチレンテレフタレート樹脂中に存在している低分子量体の一種で、分子間エステル交換反応、分子内エステル交換反応によって生成される。3つの単量体が、環状の構造をとったもので、ポリエチレンテレフタレート樹脂中の低分子量体の約80重量%を占める。環状三量体析出量は後述する測定方法により求められる。140℃90分熱処理後のポリエステルフィルムの表面におけるエステル環状三量体量を上述の範囲とする方法としては、特に限られるものではないが、例えば、フィルムを構成する樹脂の結晶性を低下させる(非晶性に近づける)方法が挙げられる。具体的には、ポリエステルフィルムを構成する樹脂を、示差走査熱量測定によって求められる結晶化パラメータΔTcgが80℃以上120℃以下の範囲にすると、熱処理によりフィルム表面に析出する環状三量体を低減することが容易となるだけでなく、熱処理前後でポリエステルフィルムの表面に析出する環状三量体の析出量を減らすことが可能となる。好ましくは、90℃以上115℃以下である。より好ましくは、95℃以上110℃以下である。
【0041】
一般的なポリエステルフィルムは結晶性ポリエステル樹脂から構成されることが多く、かかる結晶性ポリエステル樹脂を二軸延伸して得られるポリエステルフィルム中には、配向によりポリエステル樹脂が結晶化した部分(以下、配向結晶化部とする)と非晶部が存在する。ここで、環状三量体を中心としたオリゴマー成分は非晶部と親和性が高く、非晶部に多く存在する。この非晶部は配向結晶化部と比べて、熱的に不安定な状態にあり、熱を受けると、分子運動性が高まり、エネルギー的に安定となる方向に系が転移する。すなわち、熱により、非晶部が結晶化部へと転移するのである。このような系の転移が生じると、それまで非晶部の内部に存在していた環状三量体を中心とするオリゴマー成分が外部に排除される。その結果、オリゴマー成分はフィルム表面に析出し、異物発生やフィルムの白化が起きることに加え、貼り合せ工程での部材の汚染が発生する。そこで、ポリエステルフィルムに、非晶層を設けることで、環状三量体のフィルム表面への析出を抑制でき、
異物発生やフィルムの白化を抑制できるだけでなく、熱処理前後でポリエステルフィルムの表面に析出する環状三量体の析出量を減らすことができることに加え、貼り合せ工程での部材の汚染を抑制が可能となる。具体的には、ポリエステルフィルムに、非晶領域を明確に形成させる方法が挙げられる。この非晶領域は、非晶性のポリエステル樹脂からなるため、熱処理を受けてもほとんど結晶化しない。そのため、環状三量体を中心としたオリゴマー成分を、該非晶領域にて十分にトラップすることが可能になり、ポリエステルフィルムの表層からのオリゴマーの析出を防ぐことができる。
【0042】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表面粗さRaが1nm以上200nm以下、最大高さ粗さRzが100nm以上2000nm以下であることが、COPと貼り合せた際に打痕や、剥離した際の帯電を防止できるので好ましい。表面粗さRaは、より好ましくは、5nm以上100nm以下である。さらに好ましくは、10nm以上50nm以下である。表面粗さRaが1nm未満であると、表面が平滑のため、COPと貼り合せた際に密着性が高くなりすぎうまく貼りあわすことができず気泡が発生したり、剥離帯電が発生する場合がある。表面粗さRaが200nmを超えると、打痕などの発生の基点となりCOPと貼り合わせ際に気泡が発生する場合がある。また、最大高さ粗さRzは、より好ましくは、300nm以上1500nm以下である。さらに好ましくは、400nm以上1000nm以下である。最大高さ粗さRzが100nm未満であると、表面が平滑のため、COPと貼り合せた際に密着性が高くなりすぎうまく貼りあわすことができず気泡が発生したり、剥離帯電が発生する場合がある。また、最大高さ粗さRzが2000nmを超えると、打痕などの発生の基点となりCOPと貼り合わせ際に気泡が発生する場合がある。少なくとも一方の表面粗さを上述の範囲とする方法としては、特に限られるものではないが、例えば、ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層を非晶層に近づけつつ、ポリエステルフィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂に粒子を含有させる方法が挙げられる。ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層を非晶層に近づけることで、剛直な結晶構造に比べて柔軟な非晶構造を形成するため、粒子を含有させた場合に、表層に形成された粒子が埋没しやすくなり、また、粒子が満遍なく分散しやすくなるため、フィルムの表層の突起をむらなく形成することが可能となり、表面粗さRaと最大高さ粗さRaを好ましい範囲にすることができる。
【0043】
ポリエステルフィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂に含有される粒子の含有量としては、0.01重量%以上5重量%以下であることが好ましい。粒子含有量が0.01重量%よりも小さいと表面突起の形成が不十分となる場合がある。粒子含有量が5重量%よりも大きいと表面突起が大きくなりすぎる場合がある。より好ましくは、0.01重量%以上3重量%以下である。
【0044】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに含有される粒子としては特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、いずれも用いることができる。具体的な種類としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ珪酸塩、カオリン、タルク、モンモリロナイト、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、シリコーン、イミド等を構成成分とする有機粒子、コアシェル型有機粒子などが例示できる。
【0045】
また、上記の粒子は、粒子径が0.5μm以上10μm以下であることが、表面形状を制御するうえで好ましく、より好ましくは0.8μm以上8μm以下である。なお、本発明のポリエステルフィルムが、3層以上の積層ポリエステルフィルムである場合、表層を構成するポリエステル樹脂組成物に含有する上記の粒子が、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0046】
次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について具体例を挙げて説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるべきものではない。
【0047】
まず、ポリエステル樹脂を押出機内で加熱溶融した後口金から吐出し、未延伸シートを得る。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムが積層構成の場合、従来公知の製造方法で得ることが出来る。
(1)溶融したポリエステルを口金から吐出して未延伸シートを作製する際に、表面温度10℃以上40℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。
(2)(1)で得られた未延伸シートを、下記(v)式を満たす温度T1n(℃)にて、フィルムの長手方向(MD)とフィルムの幅方向(TD)に面積倍率8.5倍以上16.0倍以下に二軸延伸する。
(vii)Tg(℃)≦T1n(℃)≦Tg+40(℃)
Tg:ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度(℃)
(3)(2)で得られた二軸延伸フィルムを、下記(vi)式を満足する温度(Th0(℃))で、1秒間以上30秒間以下の熱固定処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却することによって、ポリエステルフィルムを得る。
(viii)Tm−60(℃)≦Th0(℃)≦Tm−10(℃)
Tm:フィルムを構成する樹脂の融点(℃)
(1)を満たす条件によって未延伸シートを得ることにより実質的に非晶のポリエステルフィルムを得ることができ、(2)以降の工程においてフィルムに配向を付与せしめ易くし、機械特性に良好なフィルムを得やすくすることができる。
(2)を満たす条件によって二軸延伸フィルムを得ることにより、フィルムに適度な配向を付与せしめ、機械特性の良好なフィルムとすることができる。
(3)を満たす条件によって融点の低い層の結晶構造が崩れ、配向が不規則な非晶構造になることにより、フィルムの非晶性が上がり、フィルム膨張率を上げることが可能となる。加えて、ポリエステルフィルムの両側の表層は、結晶配向するので、配向が形成されたポリエステル分子鎖の構造が安定し、機械特性、熱収縮率が良好なフィルムとすることができる。
【0048】
なお、(2)において、二軸延伸する方法としては、フィルムの長手方向(MD)とフィルムの幅方向(フィルムの長手方向に垂直な方向、TD)の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらを用いて行っても良い。また、延伸温度(T1n)(℃)がTg(℃)未満である場合、延伸することが困難である。T1n(℃)がTg+40(℃)を超える場合には、フィルム破れが頻発し、延伸によりフィルムを得ることができない場合がある。より好ましくは、Tg+10(℃)≦T1n(℃)≦Tg+30(℃)である。
【0049】
(3)の工程において、Th0が、Tm−10℃を超える場合、延伸によって付与したフィルムの配向が崩れ、フィルムの膨張率が大きくなりすぎたり、ランダムな粗大結晶が生じることでフィルムの透明性が損なわれるだけでなく、ランダムな粗大結晶によってその周囲に存在する分子鎖が固定される結果、機械特性に劣り、フィルム寸法変化率も低下する。Th0がTm−60℃を下回る場合、分子鎖の構造が安定せず、平面性が悪化したり製膜性が悪化する。
【0050】
[特性の測定方法および効果の評価方法]
A.25℃から150℃までの昇温過程のフィルム膨張率
熱機械測定装置TMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mmとして、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、荷重3gを負荷する。室温から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温させ、各温度(℃)における試料の寸法の値を得る。そして、25℃における試料の寸法L(25℃)(mm)と150℃における寸法L(150℃)(mm)から、下記(iii)式から算出する。なお、フィルム膨張率はフィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向それぞれについて、n=5で実施し、その平均値として算出する。
(iii)フィルム膨張率(%)=L(150℃)/L(25℃)×100
B.150℃から50℃までの降温過程の寸法変化率(CTE)(ppm/℃)
JIS K7197(1991)に準じて、熱機械測定装置TMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mmとして、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、荷重3gを負荷する。室温から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温させ、10分間保持し、その後、20℃まで10℃/分で降温させ、各温度(℃)における試料の寸法の値を得る。150℃における試料の寸法L(150℃)(mm)と、50℃における試料の寸法L(50℃)(mm)から、下記(vii)式から算出する。なお、寸法変化率は、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向それぞれについて、n=5で実施し、その平均値として算出する。
(ix)CTE(ppm/℃)=10
6×(L(150℃)−L(50℃)))/{20×(150−50)}
C.フィルム、各層を構成する樹脂の融点(Tm、TmA、TmB)(℃)
試料を、JIS K 7121(1999)に基づいた方法により、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mgずつ秤量し、試料を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し(1stRUN)、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷する。直ちに引き続いて、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行い、2ndRUNの示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。当該2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、吸熱ピークである結晶融解ピークにおけるピークトップの温度を求め、これを融点(℃)とする。2以上の結晶融解ピークが観測される場合は、最もピーク面積の大きいピークトップの温度を融点とする。
積層ポリエステルフィルムの各層を構成する樹脂の融点を測定する場合は、積層ポリエステルフィルムからミクロトームを用いて各層を構成する樹脂のみ削りだし、測定に供する。
【0051】
D.フィルム、各層を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)
JIS K7121(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mg秤量し、試料を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し(1stRUN)、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷する。直ちに引き続いて、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行い、2ndRUNの示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。当該2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、ガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点から求める。2以上のガラス転移の階段状の変化部分が観測される場合は、それぞれについて、ガラス転移温度を求め、それらの温度を平均した値を試料のガラス転移温度(Tg)(℃)とする。積層ポリエステルフィルムの各層を構成する樹脂のガラス転移温度を測定する場合は、積層ポリエステルフィルムからミクロトームを用いて各層を構成する樹脂のみ削りだし、測定に供する。
【0052】
E.フィルム、各層を構成する樹脂の結晶化温度(Tc)、結晶化パラメータ(ΔTcg)
JIS K7121(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mg秤量し、試料を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し(1stRUN)、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷する。直ちに引き続いて、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行い、2ndRUNの示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。当該2ndRUNの示差走査熱量測定チャートから、昇温時の発熱ピークである結晶化ピークのピークトップの温度として求め、これを結晶化温度(Tc)(℃)とする。2以上の結晶化ピークが観測される場合は、それぞれのピークのピークトップ温度から結晶化温度を求め、それらの温度を平均した値を試料の結晶化温度(Tc)(℃)とする。
前記の方法で求められるTgとTcを用いて、以下の式からΔTcg(℃)を求める。
ΔTcg=Tc−Tg。
積層ポリエステルフィルムの各層を構成する樹脂の結晶化温度を測定する場合は、積層ポリエステルフィルムからミクロトームを用いて各層を構成する樹脂のみ削りだし、測定に供する。
【0053】
F.ヤング率(MPa)
オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”を用いて、幅10mm、長さ150mmに切断したフィルムをチャック間距離50mmの装置にセットして、引張速度300mm/分、温度25℃、相対湿度65%の条件下で引張試験を行い、得られた荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線からヤング率を求めた。なお、ヤング率は、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向それぞれについてn=5で実施し、その平均値として算出する。
【0054】
G.固有粘度(IV)
ポリエステルフィルムを、オルトクロロフェノール100mlに溶解させ(溶液濃度C=1.2g/dl)、その溶液の25℃での粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定する。また、同様に溶媒の粘度を測定する。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(viii)により、[η](dl/g)を算出し、得られた値でもって固有粘度(IV)とする。
(x)ηsp/C=[η]+K[η]2・C(ここで、ηsp=(溶液粘度(dl/g)/溶媒粘度(dl/g))―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)。
積層ポリエステルフィルムの各層を構成する樹脂の融点を測定する場合は、積層ポリエステルフィルムからカッター等の刃物を用いて各層を構成する樹脂のみ削りだし、測定に供する。
【0055】
H.Δヘイズ(140℃90分処理前後でのヘイズ変化量)(%)
フィルムを1辺10cmの正方形状に切り出し、日本電色(株)製ヘイズメーターNDH−5000を用い、ランダムに3カ所のヘイズを測定して平均値を算出し、試験前のヘイズH0(%)とする。該サンプルを23℃相対湿度65%RHに保たれた部屋に静置したタバイエスペック(株)製オーブンにて、試料の4辺を固定して140℃相対湿度0%RH以下の乾熱条件下90分間熱処理する。熱処理した後のフィルムのヘイズを同様に測定し、H1(%)を求める。Δヘイズ(ΔH)を下記式(ix)により求める。
(xi)Δヘイズ(%)=H1−H0
Δヘイズの値で、以下のように判定する。
A;Δヘイズ1.0%以下
B;Δヘイズ1.0%を超えて3.0%以下
C;Δヘイズ3.0%を超えて5.0%以下
D;Δヘイズ5.0%を超える
Aが最も優れ、Dが最も劣る。
【0056】
I.COPフィルムとの貼り合わせ評価(しわ)
本発明のフィルムを20cm×20cmの大きさに切り出し、COPフィルムと貼り合わせた後、120℃のオーブン内に入れ、1時間静置した。その後、オーブンの温度を20℃/分の速度で室温まで冷却した。その後、本発明のフィルムとCOPフィルムを貼り合わせたシートの、3cm以上の長さを持つシワの数を計測し、以下のように判定する。
4本未満;A
4本以上9本以下;B
10本以上15本以下;C
16本以上;D
Aが最も優れ、Dが最も劣る。
COPフィルムとして、日本ゼオン社製“ゼオノアZF14”、厚み40μmのフィルムを用いる。貼り合わせには、粘着剤として東レコーテックス社製“レオコート”R5000を、粘着剤含有量が15%となるように調整したトルエン溶液に、該トルエン溶液100質量部に対して、東レコーテックス社製架橋剤“コロネートL”を3質量部添加したものを、乾燥後の塗布厚みが10μmとなるように塗布したものを用いる。
【0057】
J.COPフィルムとの貼り合わせ評価(熱処理前の気泡の数)
本発明のフィルムを20cm×20cmの大きさに切り出し、COPフィルムと貼り合わせた。その後、本発明のフィルムとCOPフィルムを貼り合わせたシートの、1mm以上10mm以下の大きさを持つ気泡の数を計測し、以下のように判定する。
5個未満;A
6個以上10個以下;B
11個以上15個以下;C
16個以上;D
Aが最も優れ、Dが最も劣る。
COPフィルムとして、日本ゼオン社製“ゼオノアZF14”、厚み40μmのフィルムを用いる。貼り合わせには、粘着剤として東レコーテックス社製“レオコート”R5000を、粘着剤含有量が15%となるように調整したトルエン溶液に、該トルエン溶液100質量部に対して、東レコーテックス社製架橋剤“コロネートL”を3質量部添加したものを、乾燥後の塗布厚みが10μmとなるように塗布したものを用いる。
【0058】
K.COPフィルムとの貼り合わせ評価(熱処理後の気泡の数)
本発明のフィルムを20cm×20cmの大きさに切り出し、COPフィルムと貼り合わせた後、120℃のオーブン内に入れ、1時間静置した。その後、オーブンの温度を20℃/分の速度で室温まで冷却した。その後、本発明のフィルムとCOPフィルムを貼り合わせたシートの、1mm以上10mm以下の大きさを持つ気泡の数を計測し、以下のように判定する。
10個未満;A
11個以上20個以下;B
21個以上30個以下;C
31個以上;D
Aが最も優れ、Dが最も劣る。
COPフィルムとして、日本ゼオン社製“ゼオノアZF14”、厚み40μmのフィルムを用いる。貼り合わせには、粘着剤として東レコーテックス社製“レオコート”R5000を、粘着剤含有量が15%となるように調整したトルエン溶液に、該トルエン溶液100質量部に対して、東レコーテックス社製架橋剤“コロネートL”を3質量部添加したものを、乾燥後の塗布厚みが10μmとなるように塗布したものを用いる。
【0059】
L.COPフィルムとの積層体のカール性
M.項で作製した積層体を、120℃のオーブン内に入れ、1時間静置した。その後、オーブンの温度を20℃/分の速度で室温まで冷却し、1時間放置した。その後、フィルムを水平な面の上に、COPフィルムが上側となるように置き、積層体の4隅の水平な面からの浮きの量を測定し、平均値を求め、カール量(mm)として以下のように判定する。上述の方法で水平な面から積層体の隅が浮かない場合、PETフィルムが上側になるように置き、負の値としてカール量を求める。
0mm以上20mm未満;A
20mm以上40mm未満又は、0mmを超え−5mm未満;B
40mm以上55mm未満又は、−5mm以上−10mm未満;C
55mm以上又は、−10mm以上;D
N.製膜性
製膜中にフィルムが1時間に破れる回数を数え、1回未満であるものをA、1回以上5回未満であるものをB、5回以上であるものをCとして評価する。Aが最も製膜性がよく、Cが最も劣る。
【0060】
なお、上記の測定において、測定するフィルムの長手方向や幅方向が分からない場合は、フィルムにおいて最大の屈折率を有する方向を長手方向、長手方向に直行する方向を幅方向とみなす。また、フィルムにおける最大の屈折率の方向は、フィルムの全ての方向の屈折率を屈折率計で測定して求めてもよく、位相差測定装置(複屈折測定装置)などにより遅相軸方向を決定することで求めてもよい。
【0061】
O.ポリエステルフィルムの表面に存在する環状三量体の量
ポリエステルフィルムを空気中、140℃で90分間加熱する。その後、熱処理をした当該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmになるように、測定面(塗布層)を内面として箱形の形状を作成する。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルスルホアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収し、液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製:LC−7A 移動相A:アセトニトリル、移動相B:2%酢酸水溶液、カラム:三菱化学株式会社製『MCI GEL ODS 1HU』、カラム温度:40℃、流速:1ml/分、検出波長:254nm)に供給して、DMF中の環状三量体量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面環状三量体量(mg/m
2)とした。DMF中のエステル環状三量体は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。なお、標準試料の作成は、予め分取したエステル環状三量体を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し、作成した。また、熱処理前の表面環状三量体量を同様に測定し、初期の表面環状三量体量(mg/m
2)を求める。熱処理前後の表面環状三量体析出量(mg/m
2)を下記式(x)により求める。
(x)熱処理前後の表面環状三量体析出量=熱処理後の表面環状三量体量−初期の表面環状三量体量
P.フィルムの環状三量体含有量
フィルム0.05gにヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルムの混合溶媒を加え、溶解させ、次いでこの溶液をアセトニトリルに投入し、ポリマー成分を沈殿させる。沈殿物をろ過し、上澄み液を乾固する。該乾固物をアセトニトリル2mlに溶解させて、液体クロマトグラム用サンプル溶液を得た。 株式会社島津製作所製液体クロマトグラムLC20Aを用い、野村化学株式会社製Develosil ODS−MG3をカラムとして使用し、展開液として水−アセトニトリル混合溶液を用いて波長254nmのUV光によりクロマトグラムを得、環状環状三量体はテレフタル酸ジメチルで作製した検量線を代用して定量した。
【0062】
Q.表面粗さ(Ra)、最大高さ粗さ(Rz)
触針法の高精細微細形状測定器(3次元表面粗さ計)を用いてJIS−B0601(1994年)に準拠して、下記条件にてポリエステルフィルムの表面形態を測定する。
・測定装置 :3次元微細形状測定器(型式ET−4000A)(株)小坂研究所製
・解析機器 :3次元表面粗さ解析システム(型式TDA−31)
・触針 :先端半径0.5μmR、径2μm、ダイヤモンド製
・針圧 :100μN
・測定方向 :フィルム長手方向、フィルム幅方向を各1回測定後平均
・X測定長さ:1.0mm
・X送り速さ:0.1mm/s(測定速度)
・Y送りピッチ:5μm(測定間隔)
・Yライン数:81本(測定本数)
・Z倍率 :2000倍(縦倍率)
・低域カットオフ:0.20mm(うねりカットオフ値)
・高域カットオフ:R+Wmm(粗さカットオフ値)R+Wとはカットオフしないことを
意味する。
・フィルタ方式:ガウシアン空間型
・レベリング:あり(傾斜補正)
・基準面積 :1mm
2。
一方の面の表面粗さRaをRaA、最大高さ粗さRzAとし、もう一方の面の表面粗さRaをRaB、最大高さ粗さRzBとした。
【実施例】
【0063】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
[PET−1の製造]テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、溶融重合PETを得た。得られた溶融重合PETのガラス転移温度は80℃、融点は255℃、固有粘度は0.62であった。
[PET−2の製造]PET−1を常法により固相重合せしめ、PET−2を得た。得られたPET−2のガラス転移温度は82℃、融点は255℃、固有粘度は0.85であった。
[PET−3の製造]
PET−1を常法により固相重合せしめ、PET−3を得た。得られたPET−3のガラス転移温度は82℃、融点は255℃、固有粘度は0.96であった。
[PET−4の製造]
PET−1を常法により固相重合せしめ、PET−4を得た。得られたPET−4のガラス転移温度は82℃、融点は255℃、固有粘度は0.80であった。
[PET−Aの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジガルボン酸成分全量に対して5mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は78℃、融点は245℃、固有粘度は0.74であった。
[PET−Bの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジガルボン酸成分全量に対して10mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は76℃、融点は235℃、固有粘度は0.74であった。
[PET−Cの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジガルボン酸成分全量に対して15mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は74℃、融点は230℃、固有粘度は0.74であった。
[PET−Dの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジガルボン酸成分全量に対して20mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は73℃、融点は220℃、固有粘度は0.74であった。
[PET−Eの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジガルボン酸成分全量に対して25mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は70℃、融点は観察されなかった。固有粘度は0.74であった。
[PET−Fの製造]テレフタル酸、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、シクロヘキサンジメタノール共重合量がジオール成分全量に対して10mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は72℃、融点は235℃、固有粘度は0.74であった。
[PET−Gの製造]テレフタル酸、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、シクロヘキサンジメタノール共重合量がジオール成分全量に対して20mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は70℃、融点は221℃、固有粘度は0.74であった。
[粒子マスターバッチAの製造]ポリエステル樹脂99質量部、炭酸カルシウム粒子(粒径1.1μm)1質量部をベントした押出機に投入し、280℃にて該押出機内で溶融混練せしめ、ポリエステル組成粒子マスターバッチAを作製した。
[粒子マスターバッチBの製造]ポリエステル樹脂50質量部、炭酸カルシウム粒子(粒径1.1μm)50質量部をベントした押出機に投入し、280℃にて該押出機内で溶融混練せしめ、ポリエステル組成粒子マスターバッチBを作製した。
【0064】
(実施例1)
A/B/Aの3層構成とし、表層を構成する樹脂として、PET−2を100質量部とし、160℃で2時間真空乾燥した後、押出機1に投入した。また、内層を構成する樹脂としてPET−B100質量部を160℃で2時間真空乾燥した後、押出機2に投入した。押出機内でそれぞれの原料を溶融させ、合流装置で押出機1に投入した樹脂がフィルムの両表層となるように合流させ、表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、3層構造をもつ積層シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.2倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の100℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.8倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで220℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムをフィルム巻きだしロールとフィルム巻き取りロールの間に設置された熱風オーブンにて、180℃の温度で張力50Nかけながら、フィルムが熱処理される時間が5分となるようにアニール処理を施し、厚み125μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例1のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に非常に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に非常に優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。
【0065】
(実施例2)
内層を構成する樹脂をPET−A100質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例2のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、COPとの貼り合わせ性に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さいフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生が少ないフィルムであった。
【0066】
(実施例3)
内層を構成する樹脂をPET−C100質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例3のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性にかなり優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性にかなり優れ、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生が少ないフィルムであった。
【0067】
(実施例4)
内層を構成する樹脂をPET−D100質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例4のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性にかなり優れ、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少ないフィルムであった。ただ、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量が多いため、加熱後の気泡の発生が多いフィルムであった。
【0068】
(実施例5)
積層比を変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例5のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性にかなり優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性にかなり優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さいフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。
【0069】
(実施例6)
積層比を変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例6のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に非常に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に非常に優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。
【0070】
(実施例7)
アニール処理の際の、熱風オーブン温度を200℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例7のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に非常に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に非常に優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。
【0071】
(実施例8)
アニール処理の際の、熱風オーブン温度を160℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例8のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に非常に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に非常に優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。
【0072】
(実施例9)
表層を構成する樹脂としてPET−3を100質量部と、内層を構成する樹脂をPET−A100質量部に変更し、積層比、製膜条件、アニール温度を表に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例9のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、COPとの貼り合わせ性に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さいフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生が少ないフィルムであった。
【0073】
(実施例10)
表層を構成する樹脂としてPET−4を100質量部に変更し、積層比、製膜条件、アニール温度を表に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例10のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に優れ、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。
【0074】
(実施例11)
内層を構成する樹脂をPET−F100質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例11のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性にかなり優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性にかなり優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さいフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。
【0075】
(実施例12)
内層を構成する樹脂をPET−G100質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例12のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、COPとの貼り合わせ性に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に優れ、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少ないフィルムであった。ただ、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量が多いため、加熱後の気泡の発生が多いフィルムであった。
【0076】
(実施例13)
PET−Bを、160℃で2時間真空乾燥した後押出機に投入し、押出機内で溶融させ、表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、3層構造をもつ積層シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.2倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の100℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.8倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで220℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムをフィルム巻きだしロールとフィルム巻き取りロールの間に設置された熱風オーブンにて、180℃の温度で張力50Nかけながら、フィルムが熱処理される時間が5分となるようにアニール処理を施し、厚み125μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例13のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に優れるフィルムであった。だが、加熱によるヘイズ変化が大きいフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。
【0077】
(実施例14)
表層を構成する樹脂としてPET−2を97.5質量部と粒子マスターバッチAを2.5質量部と、内層を構成する樹脂をPET−Aを50質量部とPET−C50質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例14のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に非常に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に非常に優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
【0078】
(実施例15)
表層を構成する樹脂としてPET−2を97.5質量部と粒子マスターバッチAを2.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例15のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に非常に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に非常に優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。
【0079】
(実施例16)
表層を構成する樹脂としてPET−2を97.5質量部と粒子マスターバッチAを2.5質量部と、内層を構成する樹脂をPET−A100質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例16のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性にかなり優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に非常に優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生が少ないフィルムであった。
【0080】
(実施例17)
表層を構成する樹脂としてPET−2を97.5質量部と粒子マスターバッチAを2.5質量部と、内層を構成する樹脂をPET−D100質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例17のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲であり、表面粗さと最大高さも粗さも好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に非常に優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。ただ、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量が多いため、加熱後の気泡の発生が多いフィルムであった。
【0081】
(実施例18)
表層を構成する樹脂としてPET−2を88質量部と粒子マスターバッチBを12質量部と、内層を構成する樹脂をPET−A100質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例18のフィルムは、表面粗さと最大高さも粗さも好適な範囲に劣るが、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲であり、140℃90分熱処理前後のポリエステルフィルムの表面におけるエステル環状三量体析出量も好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に非常に優れ、加熱によるヘイズ変化も非常に小さく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。ただ、表面粗さと最大高さ粗さが大きいため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が多く、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量が多いため、加熱後の気泡の発生が多いフィルムであった。
【0082】
(実施例19)
PET−Bを97.5質量部と粒子マスターバッチAを2.5質量部に変更した以外は、実施例13と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例19のフィルムは、140℃90分熱処理前後のポリエステルフィルムの表面におけるエステル環状三量体析出量に劣るが、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以上であり、フィルム寸法変化率も好適な範囲であり、表面粗さと最大高さも粗さも好適な範囲のため、COPとの貼り合わせ性に優れるフィルムであった。さらに、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に優れるフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。だが、加熱によるヘイズ変化が大きいフィルムであった。
【0083】
(比較例1)
内層を構成する樹脂としてPET−Aを80質量部とPET−2を20質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例1のフィルムは、加熱によるヘイズ変化が非常に小さいフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少ないフィルムであった。だが、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以下であり、COPとの貼り合わせ性に劣るフィルムであった。さらに、Yave/αaveが大きいため、カール性が悪く、加工性に劣るので、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。さらに、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量が多いため、加熱後の気泡の発生が多いフィルムであった。
【0084】
(比較例2)
内層を構成する樹脂をPET−E100質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例2のフィルムは、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に優れたフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少ないフィルムであった。だが、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以下であり、COPとの貼り合わせ性に劣るフィルムであった。さらに、加熱によるヘイズ変化が大きいフィルムであるので、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。さらに、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量が多いため、加熱後の気泡の発生が多いフィルムであった。
【0085】
(比較例3)
アニール処理を実施していない以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例2のフィルムは、加熱によるヘイズ変化は非常に小さいフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少ないフィルムであった。だが、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以下であり、COPとの貼り合わせ性に劣るフィルムであった。さらに、アニール処理を実施していないため、カール性テストの加熱時に熱収縮するため、カール性が悪く加工性に劣るので、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。さらに、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量が多いため、加熱後の気泡の発生が多いフィルムであった。
【0086】
(比較例4)
内層を構成する樹脂としてPET−Aを80質量部とPET−2を20質量部に変更した以外は、実施例13と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例4のフィルムは、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少ないフィルムであった。ただ、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以下であり、COPとの貼り合わせ性に劣るフィルムであった。さらに、Yave/αaveが大きいため、カール性が悪く、加工性に劣り、加熱によるヘイズ変化が大きいフィルムであるので、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。さらに、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量が多いため、加熱後の気泡の発生が多いフィルムであった。
【0087】
(比較例5)
フィルムを構成する樹脂をPET−E100質量部に変更した以外は、実施例13と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例5のフィルムは、Yave/αaveが好適な範囲のため加工性に優れたフィルムであった。だが、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以下であり、COPとの貼り合わせ性に劣るフィルムであった。さらに、加熱によるヘイズ変化が大きいフィルムであるので、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少ないフィルムであった。ただ、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量が多いため、加熱後の気泡の発生が多いフィルムであった。
【0088】
(比較例6)
フィルムを構成する樹脂としてPET−2を100質量部に変更した以外は、実施例13と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例6のフィルムは、加熱によるヘイズ変化が小さいフィルムであった。だが、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以下であり、COPとの貼り合わせ性に劣るフィルムであった。さらに、Yave/αaveが大きいため、カール性が悪く、加工性に劣るフィルムであるので、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少ないフィルムであった。ただ、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量が多いため、加熱後の気泡の発生が多いフィルムであった。
【0089】
(比較例7)
アニール処理を実施していない以外は、実施例13と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例7のフィルムは、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以下であり、COPとの貼り合わせ性に劣るフィルムであった。さらに、アニール処理を実施していないため、カール性テストの加熱時に熱収縮するため、カール性が悪く加工性に劣り、加熱によるヘイズ変化が大きいフィルムであるので、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。さらに、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少なく、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量も好適な範囲のため、加熱後の気泡の発生がかなり少ないフィルムであった。
【0090】
(比較例8)
フィルムを構成する樹脂としてPET−2を97.5質量部と粒子マスターバッチAを2.5質量部に変更した以外は、実施例13と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例6のフィルムは、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムであり、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。だが、MD方向、TD方向いずれもフィルム膨張率が0.5%以下であり、COPとの貼り合わせ性に劣るフィルムであった。さらに、Yave/αaveが大きいため、カール性が悪く、加工性に劣るフィルムであるので、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。さらに、加熱処理後のフィルム表面に存在する環状三量体の量が多いため、加熱後の気泡の発生が多いフィルムであった。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
【表5】
【0096】
【表6】
【0097】
【表7】
【0098】
【表8】
【0099】
【表9】
【0100】
【表10】