特許第6907564号(P6907564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907564
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
   E03D9/08 B
   E03D9/08 A
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-16889(P2017-16889)
(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公開番号】特開2018-35656(P2018-35656A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年12月10日
(31)【優先権主張番号】特願2016-164632(P2016-164632)
(32)【優先日】2016年8月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】川田 賢志
(72)【発明者】
【氏名】持田 真之
(72)【発明者】
【氏名】山川 剛志
【審査官】 広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−162463(JP,A)
【文献】 特開2002−021154(JP,A)
【文献】 特開2015−055031(JP,A)
【文献】 特開2012−207498(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0083430(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0090110(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
洗浄水を吐水可能な洗浄ノズルと、
第1電動機を有する第1機能部と、第2電動機を有し前記第1機能部と剛体結合した第2機能部と、を有する多機能ユニットと、
前記多機能ユニットを支持する支持体と、
を備え、
前記多機能ユニットは、第1振動吸収体を介して前記支持体に支持され、
前記支持体は、第2振動吸収体を介して前記ケーシングに取り付けられていることを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記第2電動機は、前記多機能ユニットのうち最も重い部品となっており、前記多機能ユニットの最も下方に位置していることを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記多機能ユニットは、給水源から前記洗浄ノズルまで洗浄水を供給する流路機能部において、前記第1振動吸収体及び前記第2振動吸収体を介して前記ケーシングに支持されていない上流機能部と下流機能部との間に位置し、
前記多機能ユニットは、前記上流機能部及び前記下流機能部と可撓性を有するチューブを介して接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記可撓性を有するチューブは、所望の形態となっていることを特徴とする請求項記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記第1振動吸収体は、前記第2振動吸収体と離間していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記第1振動吸収体は、前記第2振動吸収体に対して水平方向にオフセットしていることを特徴とする請求項記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記第2振動吸収体は、少なくとも3つ設けられ、
前記第2振動吸収体の数は、前記第1振動吸収体の数以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
前記第2振動吸収体は、少なくとも3つ設けられ、前記多機能ユニットの重心を囲うように配置されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項9】
前記多機能ユニットの高さ方向の重心位置は、前記多機能ユニットの高さ方向の中心位置よりも下方に位置することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項10】
前記第1電動機の高さ方向の中心位置は、前記多機能ユニットの高さ方向の中心位置よりも下方に位置することを特徴とする請求項9記載の衛生洗浄装置。
【請求項11】
前記多機能ユニットは、前記洗浄ノズルに洗浄水を供給する水路の一部を構成し、
前記支持体は、前記多機能ユニットから漏れ出た洗浄水を排水する排水路を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
おしりなどの人体局部を洗浄する衛生洗浄装置において、水ポンプを含む洗浄水供給流路を構成する部材を設置するシャーシを備え、水ポンプのモータ部の振動が、衛生洗浄装置本体に伝達されることを抑制することが知られている(例えば、特許文献1)。例えば、水ポンプの固定箇所を選択することにより、外部に伝達される振動の強さを弱めることができる。
【0003】
衛生洗浄装置では、多機能化の要請からモータやソレノイドなどの種々の電動機を搭載するようになってきており、こうした電動機から発せられる振動の外部への伝達の抑制について、検討の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−055031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、電動機の振動の伝達を抑制した衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、ケーシングと、洗浄水を吐水可能な洗浄ノズルと、第1電動機を有する第1機能部と、第2電動機を有し前記第1機能部と剛体結合した第2機能部と、を有する多機能ユニットと、前記多機能ユニットを支持する支持体と、を備え、前記多機能ユニットは、第1振動吸収体を介して前記支持体に支持され、前記支持体は、第2振動吸収体を介して前記ケーシングに取り付けられていることを特徴とする衛生洗浄装置である。
第2の発明は、第1の発明において、前記第2電動機は、前記多機能ユニットのうち最も重い部品となっており、前記多機能ユニットの最も下方に位置していることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0007】
この衛生洗浄装置によれば、第1機能部に第2機能部を剛体結合させることにより、振動源である第1電動機に対して周囲の重量を増加させ、振動の伝達を抑制することができる。そして、多機能ユニットを第1振動吸収体を介して支持体に支持させるとともに、この支持体を第2振動吸収体を介してケーシングに取り付ける。すなわち、第1振動吸収体及び第2振動吸収体で二重に防振する。これにより、振動の伝達をより抑制することができる。従って、電動機の振動の伝達を抑制した衛生洗浄装置を提供することができる。
また、この衛生洗浄装置によれば、より多数の振動源を含む多機能ユニットにおいても、振動の伝達を適切に抑制することができる。
【0008】
の発明は、第1または第2の発明において、前記多機能ユニットは、給水源から前記洗浄ノズルまで洗浄水を供給する流路機能部において、前記第1振動吸収体及び前記第2振動吸収体を介して前記ケーシングに支持されていない上流機能部と下流機能部との間に位置し、前記多機能ユニットは、前記上流機能部及び前記下流機能部と可撓性を有するチューブを介して接続されていることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0009】
この衛生洗浄装置によれば、第1電動機の振動が、第1振動吸収体及び第2振動吸収体を介してケーシングに支持されていない上流機能部及び下流機能部に伝達することを吸収でき、より電動機の振動を抑制した衛生洗浄装置を提供することができる。
【0010】
の発明は、第の発明において、前記可撓性を有するチューブは、所望の形態となっていることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0011】
この衛生洗浄装置によれば、可撓性を有するチューブを取り付けた際に上流機能部及び下流機能部の相互に発生する弾性力を大幅に小さくすることができるので、多機能ユニットが保持される姿勢や配置への影響を小さくすることができる。そのため、複数の第1振動吸収体及び複数の第2振動吸収体のそれぞれに印加される荷重が不均等になるのを抑制することができる。その結果、第1振動吸収体及び第2振動吸収体に所望の防振性能を発揮させることが容易となる。
【0012】
の発明は、第1〜第のいずれか1つの発明において、前記第1振動吸収体は、前記第2振動吸収体と離間していることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0013】
この衛生洗浄装置によれば、振動の伝達をより抑制することができる。
【0014】
の発明は、第の発明において、前記第1振動吸収体は、前記第2振動吸収体に対して水平方向にオフセットしていることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0015】
この衛生洗浄装置によれば、振動の伝達をより抑制することができる。
【0016】
の発明は、第1〜第のいずれか1つの発明において、前記第2振動吸収体は、少なくとも3つ設けられ、前記第2振動吸収体の数は、前記第1振動吸収体の数以上であることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0017】
この衛生洗浄装置によれば、支持体をより確実にケーシングに取り付けることができ、振動の伝達もより抑制することができる。
【0018】
の発明は、第1〜第のいずれか1つの発明において、前記第2振動吸収体は、少なくとも3つ設けられ、前記多機能ユニットの重心を囲うように配置されていることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0019】
この衛生洗浄装置によれば、多機能ユニットをケーシングに対して、より安定的に取り付けることができ、振動の伝達もより抑制することができる。
【0022】
第9の発明は、第1〜第8のいずれか1つの発明において、前記多機能ユニットの高さ方向の重心位置は、前記多機能ユニットの高さ方向の中心位置よりも下方に位置することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0023】
この衛生洗浄装置によれば、振動の伝達をより抑制することができる。
【0024】
第10の発明は、第9の発明において、前記第1電動機の高さ方向の中心位置は、前記多機能ユニットの高さ方向の中心位置よりも下方に位置することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0025】
この衛生洗浄装置によれば、比較的重量物である第1電動機の中心位置を多機能ユニットの中心位置よりも下方に配置することにより、多機能ユニットの高さ方向の重心位置を下げ易くすることができる。多機能ユニットの重心位置をより低くし、振動の伝達をより抑制することができる。
【0026】
第11の発明は、第1〜第10のいずれか1つの発明において、前記多機能ユニットは、前記洗浄ノズルに洗浄水を供給する水路の一部を構成し、前記支持体は、前記多機能ユニットから漏れ出た洗浄水を排水する排水路を有することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0027】
この衛生洗浄装置によれば、多機能ユニットから漏れ出た洗浄水を適切に排水することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の態様によれば、電動機の振動の伝達を抑制した衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態にかかるトイレ装置及び衛生洗浄装置を表す斜視図である。
図2】実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図3】電磁ポンプを表す説明図である。
図4】流調・流路切替弁を表す説明図である。
図5】実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を表す平面図である。
図6】多機能ユニットを表す斜視図である。
図7】多機能ユニットを表す斜視図である。
図8】多機能ユニットを表す側面図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、第1振動吸収体及び第2振動吸収体の変形例を表す平面図及び底面図である。
図10】他の実施形態に係る多機能ユニットと洗浄水供給部との接続、及び多機能ユニットと噴霧ノズルとの接続を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態にかかるトイレ装置及び衛生洗浄装置を表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置2は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)4と、衛生洗浄装置10と、を備える。衛生洗浄装置10は、便器4の上に取り付けられる。衛生洗浄装置10は、便器4に対して一体的に取り付けてもよいし、便器4に対して着脱可能に取り付けてもよい。
【0031】
衛生洗浄装置10は、本体部12と、便座14と、便蓋16と、を有する。便蓋16は、衛生洗浄装置10に必要に応じて設けられ、省略可能である。便座14と便蓋16とは、本体部12に対して回転可能に軸支されている。
【0032】
ここで、本願明細書においては、便座14に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座14に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋16に背を向けて便座14に座った使用者からみて前方を「前方」とし、後方を「後方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
【0033】
便器4は、ボウル部4aを有する。ボウル部4aは、下方に凹む凹状である。便器4は、ボウル部4aにおいて使用者の尿や便などの排泄物を受ける。
【0034】
衛生洗浄装置10の本体部12は、便器4のボウル部4aよりも後方の部分の上に取り付けられる。本体部12は、ケーシング20を有する。ケーシング20は、ケースカバー22を有する。本体部12は、ケースカバー22において、便座14及び便蓋16を回転可能に軸支する。
【0035】
図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図2に表したように、衛生洗浄装置10は、洗浄水供給部28と、多機能ユニット30と、着座検知センサ31と、人体検知センサ32と、洗浄ノズル34と、ノズル洗浄室36と、ノズルモータ37と、噴霧ノズル38と、脱臭ユニット40と、制御部42と、を有する。
【0036】
洗浄水供給部28、多機能ユニット30、及び洗浄ノズル34は、給水源から洗浄ノズル34まで洗浄水を供給する流路機能部26を構成する。洗浄ノズル34は、人体局部などに洗浄水を吐水する吐水部35を有する。多機能ユニット30は、流路機能部26において、上流機能部である洗浄水供給部28と、下流機能部である吐水部35と、の間に位置する。流路機能部26を構成する部材は、上記に限ることなく、給水源と洗浄ノズル34との間に設けられる任意の部材でよい。上流機能部は、洗浄水供給部28に限ることなく、多機能ユニット30よりも上流(給水源側)に配置される任意の部材でよい。下流機能部は、吐水部35に限ることなく、多機能ユニット30よりも下流(洗浄ノズル34側)に配置される任意の部材でよい。
【0037】
着座検知センサ31は、使用者が便座14に着座する直前において便座14の上方に存在する人体や、便座14に着座した使用者を検知することができる。着座検知センサ31は、便座14に着座した使用者だけではなく、便座14の上方に存在する使用者を検知してもよい。このような着座検知センサ31としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサを用いることができる。着座検知センサ31は、使用者が着座した際の荷重によってON/OFFが行われるスイッチであってもよい。着座検知センサ31は、使用者の着座の検知に応答して、着座の検知を表す信号を制御部42に出力する。
【0038】
人体検知センサ32は、例えば赤外線信号を利用した焦電センサであり、トイレ装置2が設置された室内(以下、トイレルームと称す)に入室した入室者を検知する。人体検知センサ32は、制御部42に接続されている。人体検知センサ32は、検知結果を制御部42に入力する。
【0039】
人体検知センサ32は、例えばドップラーセンサなどのマイクロ波センサであってもよい。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅(強度)に基づいて被検知体を検出するセンサなどを人体検知センサ32として用いた場合には、人体検知センサ32は、トイレルームのドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、人体検知センサ32は、トイレルームに入室する前の使用者を検知することができる。
【0040】
制御部42は、洗浄水供給部28、多機能ユニット30、人体検知センサ32、洗浄ノズル34、ノズル洗浄室36、噴霧ノズル38、及び脱臭ユニット40のそれぞれの動作を制御する。制御部42は、例えば、操作部44から入力される操作指示に応じて、各部の動作を制御する。操作部44は、本体部12に設けてもよいし、本体部12とは別に設けてもよい。操作部44は、いわゆるリモコンでもよい。制御部42と操作部44との間の通信は、有線でもよいし、無線でもよい。
【0041】
洗浄水供給部28及び多機能ユニット30は、洗浄ノズル34に洗浄水を供給する水路46の一部を構成する。水路46は、水道や貯水タンクなどの給水源から洗浄ノズル34に至る。洗浄水供給部28及び多機能ユニット30は、給水源から供給された洗浄水を洗浄ノズル34に送る。
【0042】
洗浄水供給部28は、流路開閉弁50と、熱交換器51と、を有する。流路開閉弁50は、開閉可能な電磁バルブであり、制御部42からの指令に基づいて洗浄水の供給を制御する。流路開閉弁50は、給水源から供給される洗浄水の給水と止水とを切り替える。
【0043】
熱交換器51は、流路開閉弁50の下流に設けられている。熱交換器51は、ヒータにより、給水源から供給された洗浄水を加熱して例えば規定の温度まで昇温させる。熱交換器51は、給水源から供給された洗浄水を、設定された温度の温水に変換する。以下、本願明細書において、「洗浄水」は、給水源から供給された水(冷水)と、熱交換器51によって温められた温水と、を含むものとする。
【0044】
熱交換器51は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器でもよいし、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器でもよい。使用者は、操作部44を操作することにより温水温度を設定することができる。
【0045】
多機能ユニット30は、電解槽52と、大気解放式のバキュームブレーカ(VB)53と、電磁ポンプ54(第1機能部)と、流調・流路切替弁55(第2機能部)と、を有する。
【0046】
電解槽52は、可撓性を有するチューブT11を介して熱交換器51の下流に設けられている。電解槽52は、一対の電極を有し、制御部42から送信された通電の制御信号に基づいて、電極間に流れる洗浄水(水道水)を電気分解する。電解槽52は、洗浄水に含まれる塩素イオンを電気分解することにより、次亜塩素酸(HClO)を含む液(以下、「機能水」と称する)を生成する。
【0047】
バキュームブレーカ53は、電解槽52の下流に設けられている。バキュームブレーカ53は、例えば、水を流すための流路と、流路内に空気を取り込むための吸気口と、吸気口を開閉する弁機構と、を有する。弁機構は、例えば、流路に水が流れている時に吸気口を塞ぎ、水の流れの停止とともに吸気口を開放して流路内に空気を取り込む。すなわち、バキュームブレーカ53は、水路46に水の流れが無い時に、水路46内に空気を取り込む。弁機構には、例えば、フロート弁が用いられる。
【0048】
バキュームブレーカ53は、上記のように水路46内に空気を取り込むことにより、例えば、水路46のバキュームブレーカ53よりも下流の部分の水抜きを促進させる。バキュームブレーカ53は、例えば、洗浄ノズル34の水抜きを促進する。このように、バキュームブレーカ53は、洗浄ノズル34内の水を抜いて洗浄ノズル34内に空気を取り込むことにより、例えば、洗浄ノズル34内の洗浄水やボウル部4a内に溜まった汚水などが、給水源(上水)側に逆流してしまうことを抑制する。
【0049】
電磁ポンプ54は、バキュームブレーカ53の下流に設けられている。電磁ポンプ54は、水路46内の水の流れに脈動または加速を与え、洗浄ノズル34から吐水される水に脈動を与える。すなわち、電磁ポンプ54は、水路46内を流れる水の流動状態を変動させる。電磁ポンプ54は、制御部42に接続されている。電磁ポンプ54は、制御部42による制御に基づいて、水の流動状態を変動させる。本願明細書において「脈動」とは、電磁ポンプ54により生ずる水路46内の圧力の変動のことである。電磁ポンプ54は、水路46内の水の圧力を変動させる。
【0050】
洗浄ノズル34は、吐水部35を有する。吐水部35は、例えば、おしり洗浄吐水孔35aと、おしりソフト吐水孔35bと、ビデ洗浄吐水孔35cと、を有する。
【0051】
また、洗浄ノズル34は、おしり洗浄流路FC1と、おしりソフト流路FC2と、ビデ洗浄流路FC3と、ワイドビデ洗浄流路FC4と、を有する。おしり洗浄流路FC1は、おしり洗浄吐水孔35aに接続され、おしり洗浄吐水孔35aに洗浄水又は機能水を供給する。おしりソフト流路FC2は、おしりソフト吐水孔35bに接続され、おしりソフト吐水孔35bに洗浄水又は機能水を供給する。ビデ洗浄流路FC3及びワイドビデ洗浄流路FC4は、ビデ洗浄吐水孔35cに接続され、ビデ洗浄吐水孔35cに洗浄水又は機能水を供給する。但し、洗浄ノズル34が有する吐水孔及び流路は、これだけには限定されない。吐水孔の数は、上記のように流路の数と一致していなくてもよいし、流路の数と同じでもよい。
【0052】
洗浄ノズル34へ送られた洗浄水又は機能水は、吐水部35から上方に向かって吐水される。吐水部35から吐水された洗浄水は、便座14に着座した使用者の局部洗浄などに用いられる。また、洗浄ノズル34においては、ビデ洗浄流路FC3からビデ洗浄吐水孔35cに洗浄水を供給することにより、ビデ洗浄が行われ、ワイドビデ洗浄流路FC4からビデ洗浄吐水孔35cに洗浄水を供給することにより、ワイドビデ洗浄が行われる。機能水は、各吐水孔35a〜35c、及び各吐水孔35a〜35cへと至る水路の洗浄などに用いられる。このように、洗浄ノズル34は、4つの流路FC1〜FC4を有し、4つの流路FC1〜FC4のそれぞれから供給された洗浄水又は機能水を吐水可能に構成されている。
【0053】
流調・流路切替弁55は、電磁ポンプ54と洗浄ノズル34との間に設けられている。流調・流路切替弁55は、電磁ポンプ54を介して供給された洗浄水又は機能水の行き先を、おしり洗浄流路FC1、おしりソフト流路FC2、ビデ洗浄流路FC3、ワイドビデ洗浄流路FC4、ノズル洗浄室36、噴霧ノズル38、及び脱臭ユニット40のいずれかに切り替える。また、流調・流路切替弁55は、洗浄ノズル34の各吐水孔35a〜35cから吐水する洗浄水の吐水流量を変更する。
【0054】
ノズル洗浄室36は、吐水部36aを有する。ノズル洗浄室36は、吐水部36aから洗浄水又は機能水を吐水することにより、洗浄ノズル34の外面の洗浄、即ち胴体洗浄を行う。
【0055】
ノズルモータ37は、洗浄ノズル34に駆動力を供給し、洗浄ノズル34を便器4のボウル部4a内に進出させたり、ケーシング20の内部に後退させたりする。ノズルモータ37は、制御部42からの指令に基づいて洗浄ノズル34を進退させる。ノズルモータ37は、例えば、多機能ユニット30に含めてもよい。
【0056】
噴霧ノズル38は、可撓性を有するチューブT26を介して流調・流路切替弁55の下流に設けられている(図2図4を参照)。噴霧ノズル38は、便器4のボウル部4aの表面に洗浄水又は機能水を噴霧する。噴霧ノズル38は、ケーシング20の内部に設けてもよいし、ケーシング20の外部に取り付けてもよい。
【0057】
制御部42は、例えば、人体検知センサ32による使用者の入室の検知に応答して、噴霧ノズル38から便器4のボウル部4aの表面に水滴を噴霧する。すなわち、制御部42は、使用者が便器4を使用する前に、便器4のボウル部4aの表面を水滴で濡らす。これにより、ボウル部4aの表面に付着する汚物を軽減させることができる。
【0058】
また、制御部42は、例えば、人体検知センサ32がトイレルーム内の使用者を検知しなくなってから所定時間(例えば、90秒後)が経過した際に、噴霧ノズル38から便器4のボウル部4aの表面に機能水を噴霧する。すなわち、制御部42は、使用者が汚物を流し便器4の使用を終了した後に、ボウル部4aの表面を機能水(次亜塩素酸水)で濡らす。これにより、悪臭のもとになる菌が、ボウル部4aにおいて増えてしまうことを抑えることができる。便器4から悪臭が放出されることを抑えることができる。
【0059】
脱臭ユニット40は、トイレルーム内の空気を吸い込む。トイレルーム内の空気とは、主として便器4の外部の空気(ボウル部4a内以外の空気)をいう。脱臭ユニット40は、吸い込んだ空気に含まれる悪臭成分などを捕集又は分解する。「悪臭成分」は、例えば、アンモニアやトリメチルアミンなどの成分である。脱臭ユニット40は、悪臭成分などを捕集又は分解した空気を、ケーシング20の外部(トイレルーム)に吐き出す。
【0060】
脱臭ユニット40は、集塵フィルタ60と、ファン(送風部)61と、脱臭フィルタ62と、噴霧部63と、水受け部64と、吸気口65と、排気口66と、を有する。
【0061】
ファン61は、吸気口65からトイレルーム内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を排気口66からトイレルームへ吐き出す。集塵フィルタ60は、吸気口65とファン61との間に設けられ、吸い込んだ空気に含まれる塵や埃などが、ファン61へ送られることを抑制する。
【0062】
脱臭フィルタ62は、ファン61と排気口66との間に設けられる。噴霧部63は、脱臭フィルタ62よりも上方に設けられている。噴霧部63は、制御部42の制御に基づいて、流調・流路切替弁55から供給された洗浄水又は機能水を、脱臭フィルタ62の上方から脱臭フィルタ62に向けて噴霧する。
【0063】
脱臭フィルタ62は、例えば、多孔質構造を有し、噴霧部63から噴霧された洗浄水又は機能水を保持する。水受け部64は、脱臭フィルタ62の下方に設けられ、脱臭フィルタ62から滴下した水を受ける。
【0064】
ファン61が作動すると、吸気口65から吸い込まれたトイレルーム内の空気が、脱臭フィルタ62内を通過する。脱臭フィルタ62が水分を保持した状態において、空気が脱臭フィルタ62内を通過すると、空気の中に含まれる悪臭成分などが、脱臭フィルタ62に保持された水分に取り込まれる。例えば、空気中に含まれるアンモニア(NH)が、脱臭フィルタ62に保持された水分に溶解する。これにより、空気中に含まれる悪臭成分などを低減させることができる。
【0065】
悪臭成分などが低減された空気は、排気口66からトイレルームへ排出される。このように、脱臭ユニット40は、トイレルーム内に常在する悪臭成分などを捕集又は分解することができる。よって、使用者は、トイレルームに入室する際に、トイレルーム内に常在する悪臭成分などによる臭気を吸う可能性が低くなり、快適にトイレルームを利用できる。
【0066】
制御部42は、例えば、使用者のトイレ装置2の使用頻度の低い時間帯においては、ファン61の動作を停止させる。そして、制御部42は、使用者のトイレ装置2の使用頻度の高い時間帯においては、ファン61を動作させるとともに、定期的に噴霧部63を動作させ、脱臭フィルタ62に水分を保持させる。
【0067】
これにより、使用者がトイレルームに入室する可能性が高い時間帯において、トイレルーム内に常在する臭気を取り除くことができる。したがって、使用者が、トイレルーム内に常在する臭気を吸うことで、不快感を感じることを抑制することができる。
【0068】
図3は、電磁ポンプを表す説明図である。
図3に表したように、電磁ポンプ54は、ポンプ70(第1電動機)と、アキュムレータ71と、を有する。ポンプ70は、水路46の経路上に設けられ、洗浄ノズル34に向かって流れる水に脈動を与える。アキュムレータ71は、水路46の経路上において、ポンプ70の上流側に設けられ、ポンプ70よりも上流側の水路46内の圧力変動を抑制する。
【0069】
ポンプ70は、シリンダ72と、プランジャ73と、コイル74と、を有する。シリンダ72は、略筒状である。シリンダ72の一端には、開口72aが設けられている。シリンダ72の他端には、開口72bが設けられている。開口72aは、バキュームブレーカ53に接続される。開口72bは、流調・流路切替弁55に接続される。シリンダ72は、バキュームブレーカ53から供給された水を流調・流路切替弁55に流す。すなわち、シリンダ72は、水路46の一部を構成する。この例において、シリンダ72は、略L字状に屈曲した管路である。シリンダ72の形状は、これに限ることなく、直線状などでもよい。
【0070】
プランジャ73は、シリンダ72の内部に進退可能に設けられ、上流側(開口72a側)の位置と、下流側(開口72b側)の位置と、の間で進退移動する。図3では、プランジャ73が上流側の位置にある状態を図示している。プランジャ73は、筒状である。また、筒状のプランジャ73の内部には、図示を省略した逆止弁が設けられる。
【0071】
プランジャ73が上流側の位置から下流側の位置に移動する場合には、逆止弁が筒状のプランジャ73の開口端を塞ぐ。これにより、プランジャ73が上流側の位置から下流側の位置に移動する場合には、シリンダ72内の水が下流側に送られる。従って、プランジャ73が上流側の位置から下流側の位置に移動すると、電磁ポンプ54よりも下流の水路46内の圧力が上昇する。
【0072】
一方、プランジャ73が下流側の位置から上流側の位置に移動する場合には、逆止弁が筒状のプランジャ73の開口端を開放する。これにより、プランジャ73が下流側の位置から上流側の位置に移動する場合には、シリンダ72内のプランジャ73よりも下流の部分に水が流入する。このように、逆止弁は、プランジャ73内において、下流側から上流側への水の流入のみを規制する。従って、プランジャ73が停止している状態では、開口72aから開口72bに逆止弁を介して水を流すことができる。
【0073】
コイル74は、励磁により、プランジャ73の進退移動を制御する。コイル74が励磁されていない状態においては、プランジャ73は、スプリング75の弾性力により、上流側の位置に保持される。コイル74を励磁すると、スプリング75の弾性力に抗して、プランジャ73が下流側の位置に移動する。そして、コイル74の励磁を停止させると、スプリング75の弾性力により、プランジャ73が再び上流側の位置に復帰する。この際、スプリング76の弾性力により、プランジャ73の復帰の動作が緩衝される。
【0074】
このように、ポンプ70では、コイル74の励磁を制御することにより、水路46内の水の流れに脈動を与えることができる。コイル74は、制御部42と電気的に接続されている。コイル74の励磁は、制御部42によって制御される。ポンプ70の構成は、上記に限ることなく、洗浄ノズル34(下流側)に向かって水路46を流れる水に脈動を与えることができる任意の構成でよい。
【0075】
アキュムレータ71は、第1調整室71aと、第2調整室71bと、ダンパ71cと、を有する。第1調整室71aは、管路71dを介してプランジャ73よりも上流のシリンダ72に接続されている。これにより、第1調整室71a及び管路71dには、水が流入する。第2調整室71bには、例えば、空気や窒素などの気体が充満されている。ダンパ71cは、第1調整室71aと第2調整室71bとを仕切る。ダンパ71cには、例えば、ゴムなどの弾性材料が用いられる。ダンパ71cは、換言すれば、ゴム膜である。
【0076】
アキュムレータ71は、ポンプ70のプランジャ73が下流側の位置から上流側の位置に復帰する際に、上流側に向かって流れる水を第1調整室71a内に収容する。この際、アキュムレータ71は、ダンパ71cを第2調整室71b側に撓ませ、第2調整室71b内の気体を圧縮する。換言すれば、第2調整室71b内の気体の圧縮により、第2調整室71bに圧力を蓄積する。
【0077】
そして、アキュムレータ71は、ポンプ70のプランジャ73が上流側の位置から下流側の位置に移動する際に、第1調整室71a内に収容した水をシリンダ72内(ポンプ70側)に送り、第2調整室71bに蓄積した圧力を放出する。
【0078】
このように、アキュムレータ71は、ポンプ70により脈動が与えられた水の圧力に応じてダンパ71cを適宜作用させることにより、その脈動を吸収あるいは緩衝する。これにより、アキュムレータ71は、ポンプ70により与えれた水の脈動が上流側へ伝達することを抑制する。換言すれば、アキュムレータ71は、プランジャ73が下流側の位置から上流側の位置に復帰する際に、上流側に加わる圧力変動を吸収する。これにより、例えば、水路46の一部を形成するフレキホースなどが振動し、異音が発生することなどを抑制することができる。
【0079】
この例では、アキュムレータ71が、ポンプ70と略一体に設けられている。アキュムレータ71は、ポンプ70と別体に設けてもよい。アキュムレータ71は、水路46の経路上において、少なくともポンプ70のうちの脈動を発生させる部分よりも上流に接続されていればよい。アキュムレータ71は、例えば、ダンパ71cなどを含まない、いわゆるエアーチャンバを含んでもよい。
【0080】
図4は、流調・流路切替弁を表す説明図である。
図4に表したように、流調・流路切替弁55は、固定ディスク(ステータ)80と、可動ディスク(ロータ)82と、ハウジング84と、駆動機構86(第2電動機)と、を有する。
【0081】
固定ディスク80は、例えば、円板状であり、前面80a(上流側を向く面)と、前面80aの反対側の背面80b(下流側を向く面)と、を有する。固定ディスク80は、おしり洗浄流路FC1、おしりソフト流路FC2、ビデ洗浄流路FC3、ワイドビデ洗浄流路FC4、ノズル洗浄室36、噴霧ノズル38、及び脱臭ユニット40のそれぞれに対応した複数のポート(開口部)を有する。固定ディスク80の各ポートは、上記の各部と個別に接続されている。
【0082】
固定ディスク80は、可撓性を有するチューブT21〜T27を介して、おしり洗浄流路FC1、おしりソフト流路FC2、ビデ洗浄流路FC3、ワイドビデ洗浄流路FC4、ノズル洗浄室36、噴霧ノズル38、及び脱臭ユニット40のそれぞれと接続される。このように、多機能ユニット30は、可撓性を有するチューブT21〜T22を介して各下流機能部と接続される。
【0083】
可動ディスク82は、例えば、固定ディスク80と同程度の径を有する円板状である。可動ディスク82は、固定ディスク80の上流側に設けられる。可動ディスク82は、固定ディスク80の前面80aに当接する。可動ディスク82は、前面80aと直交する方向を軸(以下、回転軸RAと称す)に、前面80aの上で摺動回転する。可動ディスク82は、固定ディスク80の1つのポートに対応する開口部を有する。例えば、可動ディスク82の開口部が、固定ディスク80の1つのポートと重なると、固定ディスク80の別のポートが、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、可動ディスク82の開口部と重なった1つのポートのみに通水が可能となる。
【0084】
流調・流路切替弁55は、可動ディスク82を回転させることにより、通水可能となるポートを選択的に切り替える。これにより、選択するポートに応じて、おしり洗浄流路FC1、おしりソフト流路FC2、ビデ洗浄流路FC3、ワイドビデ洗浄流路FC4、ノズル洗浄室36、噴霧ノズル38、及び脱臭ユニット40のいずれかに、洗浄水又は機能水を選択的に供給することができる。
【0085】
ハウジング84は、例えば、筒状であり、内部の空間に固定ディスク80及び可動ディスク82を収容する。ハウジング84は、可動ディスク82を回転可能に支持する。ハウジング84の可動ディスク82よりも上流側の内部空間は、配管などを介して電磁ポンプ54と接続されている。電磁ポンプ54を介して供給された洗浄水又は機能水は、ハウジング84の内部空間から可動ディスク82及び固定ディスク80を介して各部に供給される。
【0086】
駆動機構86は、モータやソレノイドなどの電動機を有し、可動ディスク82に対して駆動力を供給することにより、可動ディスク82を回転させる。駆動機構86は、制御部42に接続されており、制御部42の制御に基づいて可動ディスク82を回転させる。制御部42は、駆動機構86を駆動して可動ディスク82を回転させ、固定ディスク80の各ポートのいずれかを選択することにより、洗浄水又は機能水の行き先を切り替える。なお、駆動機構86は、漏水を招くことなく可動ディスク82を回転させることができる任意の機構でよい。
【0087】
図5は、実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を表す平面図である。
図5に表したように、ケーシング20は、ベースプレート24を有する。ベースプレート24は、ケースカバー22の下端を塞ぐ。換言すれば、ケースカバー22は、ベースプレート24の上に取り付けられる。
【0088】
また、図5に表したように、流路開閉弁50、熱交換器51、多機能ユニット30、及び洗浄ノズル34などの各部は、ベースプレート24の上に取り付けられる。このように、上流機能部である洗浄水供給部28及び下流機能部である洗浄ノズル34(吐水部35)は、多機能ユニット30とは別にベースプレート24の上に取り付けられる。洗浄ノズル34は、例えば、ベースプレート24の左右方向の略中央に配置される。多機能ユニット30は、例えば、洗浄ノズル34に隣接して配置される。
【0089】
多機能ユニット30の電解槽52は、可撓性を有するチューブT11を介して熱交換器51と接続される。このように、多機能ユニット30は、可撓性を有するチューブT11を介して上流機能部と接続される。
【0090】
図6及び図7は、多機能ユニットを表す斜視図である。
図6及び図7に表したように、電解槽52は、バキュームブレーカ53と剛体結合している。バキュームブレーカ53は、電磁ポンプ54と剛体結合している。電磁ポンプ54は、流調・流路切替弁55と剛体結合している。このように、多機能ユニット30の各部は、互いに剛体結合し、略一体化している。
【0091】
ここで、剛体結合とは、例えば、実質的な剛体同士を互いに固定結合することである。剛体とは、例えば、力が加わった時に、その変形が無視できる程度に小さいものである。例えば、金属材料(例えば、鉄、アルミニウム、ステンレスなど)や樹脂材料(例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS樹脂など)で成形されたものである。
【0092】
多機能ユニット30は、第1電動機を有する第1機能部と、第1機能部と剛体結合した第2機能部と、を有する。第1機能部は、例えば、電磁ポンプ54である。第1電動機は、例えば、ポンプ70である。第2機能部は、例えば、流調・流路切替弁55である。第1機能部は、上記に限ることなく、衛生洗浄装置10に用いられ、電動機を有する任意の部材でよい。第2機能部は、上記に限ることなく、第1機能部と剛体結合する任意の部材でよい。多機能ユニット30に含まれる部材は、上記に限ることなく、衛生洗浄装置10に用いられる任意の部材でよい。例えば、ノズルモータ37を多機能ユニット30に含め、ノズルモータ37を第1機能部としてもよい。
【0093】
衛生洗浄装置10は、支持体25と、第1振動吸収体101と、第2振動吸収体102と、をさらに備える。支持体25は、多機能ユニット30を支持する。多機能ユニット30は、第1振動吸収体101を介して支持体25に支持される。換言すれば、第1振動吸収体101は、多機能ユニット30と支持体25との間に設けられ、多機能ユニット30を支持体25に支持する。
【0094】
第1振動吸収体101は、例えば、複数設けられる。これにより、多機能ユニット30を適切に支持することができる。この例において、第1振動吸収体101の数は、3つである。これにより、多機能ユニット30の3点支持が可能となり、多機能ユニット30をより適切に支持することができる。第1振動吸収体101の数は、3つに限ることなく、多機能ユニット30を適切に支持可能な任意の数でよい。
【0095】
支持体25は、第2振動吸収体102を介してベースプレート24に取り付けられる。換言すれば、第2振動吸収体102は、支持体25とベースプレート24との間に設けられ、支持体25をベースプレート24に支持する。
【0096】
第2振動吸収体102は、例えば、複数設けられる。これにより、支持体25を適切に支持することができる。この例において、第2振動吸収体102の数は、3つである。これにより、支持体25の3点支持が可能となり、支持体25をより適切に支持することができる。このように、第2振動球体102を少なくとも3つ設け、第2振動吸収体102の数を、第1振動吸収体101の数以上とする。これにより、支持体25をより確実にケーシング20に取り付けることができ、振動の伝達もより抑制することができる。第2振動吸収体102の数は、3つに限ることなく、支持体25を適切に支持可能な任意の数でよい。また、第2振動吸収体102の数は、第1振動吸収体101の数と同じでもよいし、異なってもよい。
【0097】
各第2振動吸収体102は、例えば、多機能ユニット30の重心GCを囲うように配置される(図9(b)参照)。各第2振動吸収体102は、例えば、各第2振動吸収体102及び多機能ユニット30の重心GCを水平面上に投影した時に、多機能ユニット30の重心GCを囲うように配置される。
【0098】
このように、多機能ユニット30は、支持体25、第1振動吸収体101、及び第2振動吸収体102を介してベースプレート24に取り付けられる。多機能ユニット30は、第1振動吸収体101を介してのみ支持体25及びベースプレート24に取り付けられる。多機能ユニット30は、支持体25及びベースプレート24に直接接しない。
【0099】
支持体25、第1振動吸収体101、及び第2振動吸収体102は、多機能ユニット30のポンプ70や駆動機構86などの電動機の駆動にともなって生じる振動が、ベースプレート24に伝達されることを抑制する。
【0100】
第1振動吸収体101及び第2振動吸収体102は、例えば、弾性変形により、振動の伝達を抑制する。第1振動吸収体101及び第2振動吸収体102の弾性率は、多機能ユニット30の各部(剛体)の弾性率よりも小さい。換言すれば、剛体とは、第1振動吸収体101及び第2振動吸収体102よりも弾性率の大きいものである。
【0101】
第1振動吸収体101及び第2振動吸収体102は、例えば、防振ゴムである。第1振動吸収体101及び第2振動吸収体102は、例えば、バネ、エアサスペンション機構、又はオイルサスペンション機構などでもよい。第1振動吸収体101及び第2振動吸収体102は、振動の伝達を抑制可能な任意の部材でよい。
【0102】
第1振動吸収体101は、第2振動吸収体102と離間している。第1振動吸収体101と第2振動吸収体102との間には、支持体25が介在しており、第1振動吸収体101は、第2振動吸収体102に直接接しない。換言すれば、第1振動吸収体101は、支持体25によって第2振動吸収体102と縁切りされている。
【0103】
また、第1振動吸収体101は、第2振動吸収体102に対して水平方向にオフセットして配置されていれる。第1振動吸収体101は、上下方向において第2振動吸収体102と一直線状に並ばない。
【0104】
支持体25は、多機能ユニット30のバキュームブレーカ53や他のシール部分などから漏れ出た洗浄水又は機能水を排水する排水路25aを有する。排水路25aの端部には、開口25bが設けられている。排水路25aは、多機能ユニット30から漏れ出た洗浄水又は機能水を開口25bに導き、開口25bからベースプレート24に滴下させる。ベースプレート24に滴下した洗浄水又は機能水は、ベースプレート24を介して便器4のボウル部4aに排水される。これにより、多機能ユニット30から洗浄水又は機能水が漏れ出た場合にも、漏れ出た洗浄水又は機能水を適切にボウル部4aに排水することができる。ケーシング20内の電子部品などに水がかかってしまうことを抑制することができる。
【0105】
図8は、多機能ユニットを表す側面図である。
図8に表したように、多機能ユニット30は、比較的軽量な電解槽52及びバキュームブレーカ53を上側に配置し、比較的重量のある電磁ポンプ54及び流調・流路切替弁55を下側に配置している。
【0106】
多機能ユニット30では、第1電動機である電磁ポンプ54のポンプ70の高さ方向の中心位置CP2が、多機能ユニット30の高さ方向の中心位置CP1よりも下方に位置する。また、多機能ユニット30では、最も重い流調・流路切替弁55の駆動機構86が、最も下方に位置する。多機能ユニット30において最も重い部品は、最も下方に位置する。
【0107】
これにより、多機能ユニット30の高さ方向の重心位置CGPを下げることができる。多機能ユニット30の高さ方向の重心位置CGPは、多機能ユニット30の高さ方向の中心位置CP1よりも下方に位置する。
【0108】
以上、説明したように、本実施形態に係る衛生洗浄装置10では、多機能ユニット30の各部を剛体結合させることにより、振動源であるポンプ70や駆動機構86に対して周囲の重量を増加させ、振動の伝達を抑制することができる。そして、多機能ユニット30を第1振動吸収体101を介して支持体25に支持させるとともに、この支持体25を第2振動吸収体102を介してケーシング20のベースプレート24に取り付ける。すなわち、第1振動吸収体101及び第2振動吸収体102で二重に防振する。これにより、振動が、ケーシング20や便座14に伝達してしまうことを抑制することができる。例えば、振動が便座14を介して使用者に伝わったり、振動音が発生したりすることを抑制することができる。従って、電動機の振動の伝達を抑制した衛生洗浄装置10を提供することができる。例えば、便座14の振動や振動音を抑制した、より快適な衛生洗浄装置10を提供することができる。
【0109】
また、衛生洗浄装置10では、多機能ユニット30が、給水源から洗浄ノズル34まで洗浄水を供給する流路機能部26において、第1振動吸収体101及び第2振動吸収体102を介してケーシング20に支持されていない洗浄水供給部28(上流機能部)と吐水部35(下流機能部)との間に位置する。そして、多機能ユニット30が、洗浄水供給部28及び吐水部35と可撓性を有するチューブT11、T21〜T27を介して接続されている。これにより、ポンプ70や駆動機構86の振動が、第1振動吸収体101及び第2振動吸収体102を介してケーシング20に支持されていない洗浄水供給部28及び吐水部35に伝達することを吸収することができる。これにより、電動機の振動をより抑制することができる。
【0110】
また、衛生洗浄装置10では、第1振動吸収体101が、第2振動吸収体102と離間している。これにより、振動の伝達をより抑制することができる。便座14の振動や振動音をより抑制することができる。
【0111】
また、衛生洗浄装置10では、第1振動吸収体101が、第2振動吸収体102に対して水平方向にオフセットしている。これにより、振動の伝達をより抑制することができる。便座14の振動や振動音をより抑制することができる。
【0112】
また、衛生洗浄装置10では、第2振動吸収体102が、少なくとも3つ設けられ、第2振動吸収体102の数が、第1振動吸収体101の数以上である。これにより、支持体25をより確実にケーシング20に取り付けることができ、振動の伝達もより抑制することができる。
【0113】
また、衛生洗浄装置10では、少なくとも3つの第2振動吸収体102が、多機能ユニット30の重心GCを囲うように配置されている。これにより、多機能ユニット30をケーシング20に対して、より安定的に取り付けることができ、振動の伝達もより抑制することができる。
【0114】
また、衛生洗浄装置10では、流調・流路切替弁55(第2機能部)が、駆動機構86(第2電動機)を有する。このように、より多数の振動源を含む多機能ユニット30においても、振動の伝達を適切に抑制することができる。
【0115】
また、衛生洗浄装置10では、多機能ユニット30の高さ方向の重心位置CGPが、多機能ユニット30の高さ方向の中心位置CP1よりも下方に位置する。これにより、振動の伝達をより抑制することができる。便座14の振動や振動音をより抑制することができる。
【0116】
また、衛生洗浄装置10では、ポンプ70(第1電動機)の高さ方向の中心位置CP2が、多機能ユニット30の高さ方向の中心位置CP1よりも下方に位置する。このように、比較的重量物であるポンプ70の中心位置CP2を多機能ユニット30の中心位置CP1よりも下方に配置することにより、多機能ユニット30の高さ方向の重心位置CGPを下げ易くすることができる。多機能ユニット30の重心位置CGPをより低くし、振動の伝達をより抑制することができる。
【0117】
また、衛生洗浄装置10では、多機能ユニット30が、洗浄ノズル34に洗浄水を供給する水路46の一部を構成し、支持体25が、多機能ユニット30から漏れ出た洗浄水を排水する排水路25aを有する。これにより、多機能ユニット30から漏れ出た洗浄水を適切に排水することができる。
【0118】
図9(a)及び図9(b)は、第1振動吸収体及び第2振動吸収体の変形例を表す平面図及び底面図である。
図9(a)及び図9(b)に表したように、この例では、第1振動吸収体101の数が3つで、第2振動吸収体102の数が4つである。この例では、第2振動吸収体102の数が、第1振動吸収体101の数よりも多い。
【0119】
このように、第2振動吸収体102の数を、第1振動吸収体101の数よりも多くしてもよい。これにより、支持体25をより確実にケーシング20に取り付けることができ、振動の伝達もより抑制することができる。便座14の振動や振動音をより抑制し、衛生洗浄装置10の快適性をより向上させることができる。
【0120】
図10は、他の実施形態に係る多機能ユニットと洗浄水供給部との接続、及び多機能ユニットと噴霧ノズルとの接続を表す斜視図である。
前述したように、多機能ユニット30は、支持体25、第1振動吸収体101、及び第2振動吸収体102を介してベースプレート24に取り付けられている。
また、前述した多機能ユニット30と洗浄水供給部28との接続においては、多機能ユニット30(電解槽52)は、可撓性を有するチューブT11を介して洗浄水供給部28(熱交換器51)と接続されている。また、多機能ユニット30(流調・流路切替弁55)は、可撓性を有するチューブT26を介して噴霧ノズル38と接続されている。
【0121】
ここで、一般的には、可撓性を有するチューブT11、T21の取り付け前の形態は直管状である。そして、チューブT11、T21を取り付ける際には、配設形態に合わせて直管状のチューブT11、T21を曲げるようにする。
また、図10に表すように、多機能ユニット30、洗浄水供給部28、及び噴霧ノズル38は互いに近接させて設けられる。そのため、チューブT11、T21の長さが短くなる。
この場合、可撓性を有するチューブT11、T21を曲げるとチューブT11、T21には元の形態に戻ろうとする弾性力が生じる。そして、チューブT11、T21の長さが短いと発生する弾性力が大きくなる。
【0122】
発生した弾性力は、多機能ユニット30、洗浄水供給部28、及び噴霧ノズル38に作用する。
洗浄水供給部28及び噴霧ノズル38は、ベースプレート24に取り付けられているので、弾性力が作用したとしても位置ずれなどが生じるおそれが少ない。
ところが、多機能ユニット30は、支持体25、第1振動吸収体101、及び第2振動吸収体102を介してベースプレート24に取り付けられている。そのため、多機能ユニット30に弾性力が作用すると第1振動吸収体101及び第2振動吸収体102が変形して、多機能ユニット30が傾く場合がある。多機能ユニット30が傾くと、複数の第1振動吸収体101及び複数の第2振動吸収体102のそれぞれに印加される荷重が不均等なものとなる。複数の第1振動吸収体101及び複数の第2振動吸収体102のそれぞれに印加される荷重が不均等になると、所望の防振性能が得られなくなるおそれがある。
【0123】
そのため、本実施の形態においては、可撓性を有するチューブT11、T21に代えて、所望の形態となっているチューブ39、47を用いるようにしている。
図10に表すように、多機能ユニット30(流調・流路切替弁55)は、チューブ39を介して噴霧ノズル38と接続される。
多機能ユニット30(電解槽52)は、チューブ47を介して洗浄水供給部28(熱交換器51)と接続される。
チューブ39の形態は、予め定められた多機能ユニット30(流調・流路切替弁55)と噴霧ノズル38との位置関係により適宜決定することができる。
チューブ47の形態は、予め定められた多機能ユニット30(電解槽52)と洗浄水供給部28(熱交換器51)との位置関係により適宜決定することができる。
チューブ39、47の材料には特に限定はない。ただし、チューブ39、47を取り付ける際の作業性、多機能ユニット30、噴霧ノズル38、及び洗浄水供給部28の取り付け位置精度、多機能ユニット30において発生した振動を吸収する効果などを考慮すると、チューブ39、47の材料は、シリコン樹脂などの可撓性を有する材料とすることが好ましい。なお、チューブ39、47は予め所望の形態に成形されているので取り付けの際に生じる変形量は僅かなものとなる。そのため、可撓性を有するチューブ39、47としても発生する弾性力は僅かなものとなる。
【0124】
所望の形態となっているチューブ39、47を用いれば、チューブ39、47を取り付けた際に上流機能部及び下流機能部の相互に発生する弾性力を大幅に小さくすることができる。そのため、多機能ユニット30が保持される姿勢や配置への影響を小さくすることができるので、複数の第1振動吸収体101及び複数の第2振動吸収体102のそれぞれに印加される荷重が不均等になるのを抑制することができる。その結果、第1振動吸収体101及び第2振動吸収体102に所望の防振性能を発揮させることが容易となる。
【0125】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置2や衛生洗浄装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0126】
2 トイレ装置、 4 便器、 10 衛生洗浄装置、 12 本体部、 14 便座、 16 便蓋、 20 ケーシング、 22 ケースカバー、 24 ベースプレート、 25 支持体、 28 洗浄水供給部、 30 多機能ユニット、 31 着座検知センサ、 32 人体検知センサ、 34 洗浄ノズル、 35 吐水部、 36 ノズル洗浄室、 37 ノズルモータ、 38 噴霧ノズル、 39 チューブ、 40 脱臭ユニット、 42 制御部、 44 操作部、 46 水路、 47 チューブ、 50 流路開閉弁、 51 熱交換器、 52 電解槽、 53 バキュームブレーカ、 54 電磁ポンプ(第1機能部)、 55 流調・流路切替弁(第2機能部)、 60 集塵フィルタ、 61 ファン、 62 脱臭フィルタ、 63 噴霧部、 64 水受け部、 65 吸気口、 66 排気口、 70 ポンプ(第1電動機)、 71 アキュムレータ、 72 シリンダ、 73 プランジャ、 74 コイル、 75、76 スプリング、 80 固定ディスク、 82 可動ディスク、 84 ハウジング、 86 駆動機構(第2電動機)、 101 第1振動吸収体、 102 第2振動吸収体、 T11、T21〜T27 可撓性を有するチューブ
図1
図2
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図5
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図8
図9
図10