特許第6907623号(P6907623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6907623立体画像形成システム、立体画像の製造方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907623
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】立体画像形成システム、立体画像の製造方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20210708BHJP
   B41M 3/06 20060101ALI20210708BHJP
   B41M 3/16 20060101ALI20210708BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   B41J29/00 H
   B41M3/06 C
   B41M3/06 F
   B41M3/16
   B41J3/407
【請求項の数】14
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-52432(P2017-52432)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-154010(P2018-154010A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】本柳 吉宗
(72)【発明者】
【氏名】堀内 雄史
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−010956(JP,A)
【文献】 特開2016−060090(JP,A)
【文献】 特開2013−132765(JP,A)
【文献】 特開2016−168695(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0206527(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101085579(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
B41J 3/407
B41M 3/06
B41M 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、を備え、
前記光照射装置は、前記プリンタで前記二次元画像を印刷してからの経過時間が短い場合に、前記経過時間が長い場合よりも、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、多くなるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像形成システム。
【請求項2】
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、を備え、
前記光照射装置は、前記二次元画像の印刷における光熱変換用インクのインク量が閾値以上である場合に、閾値未満であるときよりも、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、多くなるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像形成システム。
【請求項3】
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、を備え、
前記光照射装置は、
前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより前記二次元画像が前記光熱変換用インクで前記膨張性シートに印刷されてからの経過時間に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射し、
前記プリンタで前記二次元画像を印刷してからの経過時間が閾値未満である場合に、閾値以上であるときよりも、前記光照射装置の光照射ユニットに対する前記膨張性シートの相対速度、又は、前記膨張性シートに対する前記光照射ユニットの相対速度を遅くすることを特徴とする立体画像形成システム。
【請求項4】
前記光照射装置は、前記プリンタで前記二次元画像を印刷してからの経過時間が閾値未満である場合に、閾値以上であるときよりも、前記光照射装置の光照射ユニットの前記光量を増加することを特徴とする請求項1又は3に記載の立体画像形成システム。
【請求項5】
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、を備え、
前記光照射装置は、
前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクのインク量に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射し、
前記二次元画像の印刷における光熱変換用インクのインク量が閾値以上である場合に、閾値未満であるときよりも、前記光照射装置の光照射ユニットに対する前記膨張性シートの相対速度、又は、前記膨張性シートに対する前記光照射ユニットの相対速度を遅くすることを特徴とする立体画像形成システム。
【請求項6】
前記光照射装置は、前記二次元画像の印刷における1シート当たりに印刷される前記光熱変換用インクのインク量に応じて前記光の照射の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の立体画像形成システム。
【請求項7】
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、を備え、
前記プリンタは、前記光の照射の制御情報を含む識別子を前記膨張性シートに印刷し、
前記光照射装置は、
前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより前記二次元画像が前記光熱変換用インクで前記膨張性シートに印刷されてからの経過時間に対応した光量となるように、又は、前記プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクのインク量に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射し、
前記識別子の前記制御情報に応じて光の照射を行うことを特徴とする立体画像形成システム。
【請求項8】
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、を備え、
前記光照射装置は、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクに含まれる揮発成分の残存量であって該光の照射時における残存量に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像形成システム。
【請求項9】
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷する印刷工程と、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射工程と、を備え、
前記光照射工程は、前記二次元画像が印刷されてからの経過時間が短い場合に、前記経過時間が長い場合よりも、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、多くなるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像の製造方法。
【請求項10】
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷する印刷工程と、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射工程と、を備え、
前記光照射工程は、前記二次元画像の印刷における光熱変換用インクのインク量が閾値以上である場合に、閾値未満であるときよりも、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、多くなるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像の製造方法。
【請求項11】
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷する印刷工程と、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射工程と、を備え、
前記光照射工程は、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクに含まれる揮発成分の残存量であって該光の照射時における残存量に対応した光量となるように、光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像の製造方法。
【請求項12】
プリンタによって光熱変換用インクで膨張性シートに印刷された二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置に対し、
前記プリンタで前記二次元画像を印刷してからの経過時間が短い場合に、前記経過時間が長い場合よりも、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、多くなるように、前記二次元画像に対して光を照射する照射処理を行わせるプログラム。
【請求項13】
プリンタによって光熱変換用インクで膨張性シートに印刷された二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置に対し、
前記二次元画像の印刷における光熱変換用インクのインク量が閾値以上である場合に、閾値未満であるときよりも、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、多くなるように、前記二次元画像に対して光を照射する照射処理を行わせるプログラム。
【請求項14】
プリンタによって光熱変換用インクで膨張性シートに印刷された二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置に対し、
前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクに含まれる揮発成分の残存量であって該光の照射時における残存量に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射する照射処理を行わせるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像形成システム、立体画像の製造方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
造形技術の一つとして、基材に熱膨張層を積層した膨張性シートを用いた立体画像形成技術が知られている。この技術は、例えば、点字等の視覚障害者用の教材作成に使用される。特許文献1,2は、所望の領域を部分的に膨張させる際に用いる二次元画像(平面画像)を膨張性シートに印刷し、膨張性シートに対して光照射処理を行うことにより、二次元画像に対応する領域を膨張させて立体画像を形成する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−150812号公報
【特許文献2】特開昭64−28660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に開示された従来技術は、以下に説明するように、安定して立体画像の十分な膨張高さを確保することが望まれていた。
【0005】
立体画像形成システムは、二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、膨張性シートに印刷された二次元画像に対して光を照射することにより、膨張性シートにおける二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置とを有している。従来技術は、印刷された二次元画像の面積が比較的に広い場合(つまり、印刷に使用されたインクの使用量が比較的多い場合)に、十分な膨張高さの立体画像を形成するためにはその分だけ多くの熱量を膨張性シートに与える必要がある。しかしながら、従来技術は、光照射処理時に一定の熱量を膨張性シートに与える構成になっているため、十分な膨張高さの立体画像を形成することができないことがあった。特に、印刷直後の膨張性シートは、印刷に使用されたインクが十分に乾燥していないため、インクを気化させるための気化熱が必要となる。したがって、従来技術は、特に、二次元画像の面積が比較的に広い場合(つまり、インクの使用量が比較的多い場合)で、かつ、二次元画像が印刷されてからの経過時間が短いときに、十分な膨張高さの立体画像を形成することができないことがあった。
【0006】
本発明の課題は、安定して立体画像の十分な膨張高さを確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の立体画像形成システムは、二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、を備え、前記光照射装置は、前記プリンタで前記二次元画像を印刷してからの経過時間が短い場合に、前記経過時間が長い場合よりも、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、多くなるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の立体画像形成システムは、二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、を備え、前記光照射装置は、前記二次元画像の印刷における光熱変換用インクのインク量が閾値以上である場合に、閾値未満であるときよりも、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、多くなるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の立体画像形成システムは、二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、を備え、前記光照射装置は、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクに含まれる揮発成分の残存量であって該光の照射時における残存量に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安定して立体画像の十分な膨張高さを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る立体画像形成システムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係る光照射装置の構成を示す図である。
図3】印刷処理前における膨張性シートの構成を示す平面図である。
図4】比較例に係る立体画像形成システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図5】比較例に係る立体画像形成システムによって形成される立体画像の形状を示す説明図である。
図6】実施形態に係る立体画像形成システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図7】実施形態に係る立体画像形成システムによって形成される立体画像の形状を示す説明図である。
図8】本実施形態で行われる対応処理の一例を示す図である。
図9】対応処理設定時の第1動作を説明するためのフローチャートである。
図10】対応処理設定時の第1動作における熱量調整制御の一例を示す図である。
図11】対応処理設定時の第2動作を説明するためのフローチャートである。
図12】対応処理設定時の第2動作における熱量調整制御の一例を示す図である。
図13】対応処理設定時の第3動作を説明するためのフローチャートである。
図14】対応処理設定時の第3動作における熱量調整制御の一例を示す図である。
図15】対応処理設定時の第4動作を説明するためのフローチャートである。
図16】対応処理設定時の第4動作における熱量調整制御の一例を示す図である。
図17】熱量調整制御を行うタイミングを示す説明図である。
図18】印刷平均濃度と光照射処理時間との関係を示すグラフ図である。
図19】印刷平均濃度と光照射処理時間との関係を示す説明図である。
図20】膨張性シートに印刷するバーコードの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
[実施形態]
本実施形態は、安定して所望の膨張高さを確保することができる立体画像形成システムを提供することを意図している。
例えば、一般に、立体画像形成システムは、インクが十分に乾燥していない状態で光照射処理を行うと、所望の膨張高さを得られないことがある。この点について、各種の実験を行った結果、光照射処理ではインクに含まれている水分を気化させてインクを乾燥させるための気化熱を考慮した熱量調整制御を行うことが望ましいと推測される。本実施形態に係る立体画像形成システムは、このような熱量調整制御を行うことにより、安定して所望の膨張高さを確保するものである。
【0014】
また、本実施形態は、プリンタから光照射装置に通知すべき情報を膨張性シートに持たせる立体画像形成システムを提供することも意図している。
【0015】
例えば、十分な膨張高さの立体画像を形成する(つまり、立体画像の十分な膨張高さを確保する)ためには、光照射処理時に、例えば、膨張性シートの搬送速度や膨張性シートに照射する光量等の熱量調整制御を行うことが好ましい。
【0016】
しかしながら、立体画像形成システムの操作者は、稀にイレギュラーな操作を行ってしまうことがある。例えば、一枚の膨張性シートに対する立体画像の形成処理(つまり、印刷処理から光照射処理までの処理)が完了してから次の膨張性シートに対する立体画像の形成処理を行うことが正規の手順になっているものとする。この場合に、イレギュラーな操作として、一枚の膨張性シートに対する立体画像の形成処理が完了しないうちに、操作者が、次の膨張性シートに対する立体画像の形成処理を開始させる操作を行うことがある。つまり、イレギュラーな操作としては、操作者が、プリンタで印刷処理が行われた膨張性シートを複数枚溜め込み、溜め込まれた膨張性シートを光照射装置に順次セットして光照射処理を行わせる操作を行うことがある。仮に、膨張性シートに対して前記したような熱量調整制御を行うことを予定していた場合に、このようなイレギュラーな操作が行われると、予定していたものとは異なる膨張性シートに対して熱量調整制御が行われてしまう。そのため、このようなイレギュラーな操作が行われると、十分な膨張高さの立体画像を形成する(つまり、立体画像の十分な膨張高さを確保する)ことができなくなる。
【0017】
そこで、従来技術では、前記したような熱量調整制御を好適に行うことができるように、プリンタから光照射装置に通知すべき情報(例えば、印刷に関する情報やその他)を膨張性シートに持たせることが望まれていた。このような観点に鑑み、本実施形態は、プリンタから光照射装置に通知すべき情報を膨張性シートに持たせる立体画像形成システムを提供することも意図している。
【0018】
<立体画像形成システムの構成>
以下、図1を参照して、本実施形態に係る立体画像形成システム1000の構成につき説明する。図1は、本実施形態に係る立体画像形成システム1000の構成を示す図である。
【0019】
図1に示すように、立体画像形成システム1000は、制御装置100と、制御装置100に接続された表示操作部150と、光照射装置200と、二次元画像形成手段としてのプリンタ250とを備え、これらがネットワークNWを介して管理装置300と通信可能に接続されている。なお、プリンタ250と光照射装置200とは、立体画像形成装置290を構成する。
【0020】
制御装置100は、PC(Personal Computer)によって構成され、表示操作部150と接続された汎用の情報処理装置であり、光照射装置200、及びプリンタ250を制御する。
【0021】
表示操作部150は、制御装置100に接続されたタッチパネルディスプレイであり、二次元画像を表示する表示手段と、操作者が各種の情報を入力する入力手段とを備えている。
【0022】
光照射装置200は、光照射手段として機能する装置であり、膨張性シートに対して光照射処理を行うことにより、後記する光熱変換用インクで印刷された二次元画像に対応する領域を膨張させて立体画像を形成する。
【0023】
プリンタ250は、二次元画像形成手段として機能する装置であり、所望の領域を部分的に膨張させる際に用いる二次元画像を後記する光熱変換用インクで膨張性シートに印刷する。本実施形態では、プリンタ250が電子写真プリンタであるものとして説明する。ただし、プリンタ250はインクジェットプリンタ等で構成することもできる。
管理装置300は、汎用の情報処理装置であり、立体画像の形成に用いる代表的なコンテンツを格納し管理する。
【0024】
前記した制御装置100は、制御部10と、通信部40と、不揮発性記憶部50と、揮発性記憶部55とを備えている。
【0025】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムを実行することにより、立体画像形成制御手段20と、表示操作制御部31と、画像選択手段32と、通信制御部33との機能を実現する。
【0026】
立体画像形成制御手段20は、立体画像の形成処理における各部の動作を制御する手段であり、二次元画像形成制御手段21と、光照射制御手段23とから構成される。
【0027】
二次元画像形成制御手段21は、プリンタ250を、プリンタドライバ53を介して制御する機能部である。
【0028】
前記した表示操作制御部31は、表示操作部150に所定の画面を表示させ、操作者によるタッチ操作を受け付ける。
前記した画像選択手段32は、例えば、表示操作部150に立体画像のコンテンツ(サンプル画像)を複数表示させ、複数のコンテンツの中から一つを使用者に選択させる。
前記した通信制御部33は、通信部40を制御する。
【0029】
前記した通信部40は、光照射装置200と、プリンタ250と、管理装置300との間で通信を行うLAN(Local Area Network)インタフェース回路や、USB(Universal Serial Bus)インタフェース回路等によって構成されている。
【0030】
前記した不揮発性記憶部50は、ROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等によって構成されており、OS51、アプリケーションプログラム52、プリンタドライバ53等を格納する。
前記した揮発性記憶部55は、RAM(Random Access Memory)によって構成されており、ワーキングメモリとして使用される。
【0031】
前記した光熱変換用インクは、赤外光や近赤外光等の光を熱に変換する特性を有するインクである。換言すると、光熱変換用インクは、光加熱することで熱を帯び易い特性を有するインクである。ここでは、光熱変換用インクがカーボンブラックを含む黒色(K)インクであるものとして説明する。ただし、光熱変換用インクは、カーボンブラックを含む黒色インクの代わりに、別のインクを用いることができる。例えば、光熱変換用インクは、赤外光や近赤外光等の光を熱に変換する機能を有していれば、可視光領域で透明なインクを用いることもできる。
【0032】
なお、プリンタ250は、光熱変換用インクに加え、光を熱に変換する特性を有していないインク(以下、「非光熱変換用インク」と称する)を用いることができる。非光熱変換用インクは、例えばCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のカラーインクであり、カラーの二次元画像を印刷する場合に使用される。非光熱変換用インクのみの印刷領域は、光照射処理を行っても、ほとんど膨張しない。
【0033】
係る構成において、プリンタ250は、膨張性シート400(図2参照)の所望の領域を部分的に膨張させるために、光熱変換用インクで二次元画像を膨張性シート400に印刷する。また、プリンタ250は、カラーの二次元画像を印刷する場合に、前記した例えばCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の非光熱変換用インクでカラーの二次元画像を膨張性シート400に印刷する。
光照射装置200は、二次元画像が印刷された膨張性シート400(図2参照)に対して光照射処理を行う。
【0034】
<光照射装置の構成>
以下、図2を参照して、光照射装置200の構成につき説明する。図2は、光照射装置200の構成を示す図である。
【0035】
図2に示すように、光照射装置200は、給紙部220と、駆動ローラ231,232と、従動ローラ233,234と、光照射ユニット210と、モータ335と、上ガイド337と、下ガイド338と、室温センサ225と、バーコードリーダ340、入口センサ341と、出口センサ342とを備える。ここで、給紙部220は、膨張性シート400を搬送路に給紙するものである。なお、駆動ローラ231,232と、従動ローラ233,234と、モータ335と、上ガイド337と、下ガイド338とで、搬送ユニット(搬送手段)を構成する。
【0036】
光照射ユニット210は、反射鏡211と、ハロゲンランプ215と、冷却ファン213と、温度センサ214とを備える。ハロゲンランプ215は、その外周面から近赤外光、及び可視光を放射する線状光源である。反射鏡211は、アルミ製の放物面反射鏡であり、ハロゲンランプ215の放射光を平行光にする。ハロゲンランプ215、及び反射鏡211は、搬送面の上方に配設されているので、膨張性シート400の上方から近赤外光、及び可視光を照射する。冷却ファン213は、反射鏡211を空冷する。温度センサ214は、反射鏡211の背面に取り付けられており、その背面温度を検出する。
【0037】
駆動ローラ231,232、及び従動ローラ233,234は、搬送中の膨張性シート400を上下から挟み込んで搬送する。駆動ローラ231,232は、モータ335によって駆動される。上ガイド337と下ガイド338とは、格子状に形成されており、搬送面の上下から膨張性シート400をガイドする。なお、上ガイド337は、膨張性シート400に強い影を落とさないように、傾斜して設けられている。これによりハロゲンランプ215の直下において、上ガイド337と膨張性シート400とは所定距離だけ離れているので、強い影を落とすことはない。
【0038】
給紙部220は、膨張性シート400を載置し、載置された膨張性シート400を搬送ユニットまで給紙するものである。室温センサ225は、室温を検出するセンサである。バーコードリーダ340は、膨張性シート400に印刷されたバーコードを読み取る装置である。入口センサ341、及び出口センサ342は、搬送中の膨張性シート400の先端、及び後端を検出する。
【0039】
係る構成において、光照射装置200は、ハロゲンランプ215を点灯させた状態で二次元画像が印刷された膨張性シート400を搬送する。これにより、光照射装置200は、膨張性シート400に対して光照射処理を行う。このとき、膨張性シート400では、光熱変換用インクで二次元画像が印刷された印刷領域の直下の熱膨張層(二次元画像に対応する領域の熱膨張層)が膨張し、表面が凸状に急峻に変化する。その結果、2.5次元(2.5D)の立体画像が形成される。ここで、2.5Dの立体画像は、平面に厚み方向の凹凸が形成された立体構造物を意味する。
【0040】
<膨張性シートの構成>
以下、図3を参照して、膨張性シート400の構成につき説明する。図3は、膨張性シート400の構成を示す平面図である。図3(a)は、膨張性シート400の第1面の構成を示しており、図3(b)は、膨張性シート400の第2面の構成を示している。
【0041】
図3(a)に示すように、膨張性シート400は、基材415と熱膨張層410とが積層された構造になっている。基材415は、弾性変形可能な紙葉類である。熱膨張層410は、熱により膨張する樹脂層である。本実施形態では、熱膨張層410が設けられた側の面が膨張性シート400の第1面であり、基材415が設けられた側の面が膨張性シート400の第2面であるものとして説明する。したがって、本実施形態では、膨張性シート400は、一面側(第1面側)に熱膨張層410が面し、他面側(第2面側)に基材415が面している構造になっている。
【0042】
本実施形態では、膨張性シート400は、角部分の一か所が切り欠けられた矩形の形状を呈している。印刷処理前において、膨張性シート400の第1面は、無地な状態になっている。その膨張性シート400の第1面には、印刷処理時において、プリンタ250(図1参照)によって、光熱交換用インクで二次元画像502が印刷される。図示例では、大型円形の二次元画像502aと小型楕円形の二次元画像502bとが印刷されている。
【0043】
図3(b)に示すように、印刷処理前において、膨張性シート400の第2面の先端付近には、運用に応じて、事前付与バーコード501が予め印刷されている。事前付与バーコード501は、事前に付与された事前識別子である。ここでは、光照射装置200の給紙部220(図2参照)に挿入される側が膨張性シート400の先端側であるものとして説明する。なお、事前付与バーコード501は、印刷されない場合もある。その膨張性シート400の第2面には、印刷処理時において、プリンタ250(図1参照)によって、非光熱交換用インクで、事前付与バーコード501とは異なるバーコード503が印刷される。バーコード503は、後から印刷された印刷識別子である。以下、バーコード503を事前付与バーコード501と区別する場合に、「印刷バーコード503」と称する。
【0044】
事前付与バーコード501は、膨張性シート400の属性(例えば、シートの厚みや、シートの表面又は裏面の向き等)を表している。一方、印刷バーコード503は、運用に応じて設定された任意の情報を含むものである。印刷バーコード503としては、例えば、シートに与える光の照射条件(膨張シート400の搬送速度や膨張シート400に照射する光量等)の熱量調整制御の補正情報や、二次元画像502の印刷時刻情報、二次元画像502の印刷領域情報等を含むように構成することができる。
【0045】
光照射装置200(図1参照)は、赤外光や近赤外光等の光を膨張性シート400に照射して光照射処理を行う。このとき、膨張性シート400の先端付近は、光熱交換用インクが使用されていないため、ほとんど熱を帯びない。そのため、光照射処理後において、膨張性シート400の先端付近には立体画像が形成されず、膨張性シート400の先端付近は光照射処理前と同じ断面形状を維持する。
【0046】
一方、光照射装置200(図1参照)が光を膨張性シート400に照射して光照射処理を行うと、膨張性シート400の二次元画像502の印刷領域が熱を帯びる。そのため、光照射処理後において、二次元画像502の印刷領域の直下で膨張性シート400の熱膨張層410(二次元画像に対応する領域の熱膨張層410)が膨張し、その結果、立体画像が形成される。
【0047】
<立体画像形成システムの動作>
一般に、立体画像形成システムは、光照射処理時に一定の熱量を膨張性シート400に与える構成になっていると、十分な膨張高さの立体画像を形成することができないことがある。そこで、本実施形態に係る立体画像形成システム1000は、光照射処理時に光照射処理に対する熱量調整制御を行って、膨張性シート400に与える熱量を調整する構成になっている。
【0048】
以下、立体画像形成システム1000の動作につき説明する。ここでは、立体画像形成システム1000の動作を分かり易く説明するために、まず、比較例に係る立体画像形成システム1000Z(図示せず)の動作を説明し、その後に、本実施形態に係る立体画像形成システム1000の動作を説明する。
【0049】
比較例に係る立体画像形成システム1000Z(図示せず)は、光照射処理時に一定の熱量を膨張性シート400に与える構成になっているシステムであり、従来技術のシステムに相当する。
【0050】
なお、各装置は、図示せぬタイマによって計測された時間に基づいて動作する。また、各装置の動作は、各装置の記憶部に読み出し自在に予め格納されたプログラムによって規定されており、各装置の制御部によって実行される。以下、これらの点については、情報処理では常套手段であるので、その詳細な説明を省略する。
【0051】
(比較例に係る立体画像形成システムの動作)
以下、図4及び図5を参照して、比較例に係る立体画像形成システム1000Z(図示せず)の動作につき説明する。図4は、比較例に係る立体画像形成システムの動作を説明するためのフローチャートである。図5は、比較例に係る立体画像形成システム1000Z(図示せず)によって形成される立体画像1502zの形状を示す説明図である。
【0052】
ここでは、比較例に係る立体画像形成システム1000Z(図示せず)は、本実施形態に係る立体画像形成システム1000(図1参照)と比較すると、同様の構成になっているものの、光照射処理時に一定の熱量を膨張性シート400に与える点で相違しているものとして説明する。
【0053】
図4に示すように、比較例に係る立体画像形成システム1000Z(図示せず)の動作は、本実施形態に係る立体画像形成システム1000の動作(図6参照)と比較すると、以下の点で相違している。
(1)ステップS160〜ステップS180の処理(図6参照)を行わない点。つまり、印刷バーコード503(図3(b)参照)の印刷を行わない点。
(2)ステップS220〜ステップS230の処理(図6参照)を行わない点。つまり、印刷バーコード503(図3(b)参照)の読み取り、及び、対応処理設定を行わない点。
(3)ステップS250の処理(図6参照)の代わりに、ステップS250zの処理を行う点。つまり、設定された対応処理に基づく光照射処理(膨張処理)を行わずに、一定の熱量での光照射処理(膨張処理)を行う点。
【0054】
ここで、ステップS250zの処理(図4参照)とは、一定の熱量を膨張性シート400に与えることを特徴とする光照射処理(膨張処理)を実行するものである。
【0055】
図5に示すように、このような比較例に係る立体画像形成システム1000Z(図示せず)は、光照射処理時に一定の熱量を膨張性シート400に与える構成になっている。そのため、立体画像形成システム1000Z(図示せず)は、光照射処理を行った場合に、不十分な膨張高さの立体画像1502z(つまり、所望の高さまで膨張していない立体画像1502z)を形成することがある。
【0056】
このような現象は、印刷された二次元画像502の面積が比較的に広い場合(つまり、印刷に使用されたインクの使用量が比較的多い場合)に、発生し易い。それは、十分な膨張高さの立体画像1502zを形成するためにはその分だけ多くの熱量を膨張性シート400に与える必要があるのに対し、比較例に係る立体画像形成システム1000Z(図示せず)は、一定の熱量しか膨張性シート400に与えないからである。
【0057】
また、このような現象は、特に、印刷直後に発生し易い。それは、印刷に使用されたインクが十分に乾燥していないため、インクを気化させるための気化熱が必要となるからである。
【0058】
したがって、比較例に係る立体画像形成システム1000Z(図示せず)は、特に、二次元画像502の面積が比較的に広い場合(つまり、インクの使用量が比較的多い場合)で、かつ、二次元画像502が印刷されてからの経過時間が短いときに、不十分な膨張高さの立体画像1502zを形成することがある。
【0059】
(実施形態に係る立体画像形成システムの動作)
以下、図6及び図7を参照して、本実施形態に係る立体画像形成システム1000の動作につき説明する。図6は、立体画像形成システム1000の動作を説明するためのフローチャートである。図7は、本実施形態に係る立体画像形成システム1000によって形成される立体画像1502の形状を示す説明図である。
【0060】
なお、本実施形態では、光照射装置200は、膨張性シート400の1シート当たりのプリンタ250により印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量に応じて熱量調整制御を行うものとして説明する。ただし、光照射装置200は、膨張性シート400の搬送方向での所望面積当たりの印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量に応じて熱量調整制御を行うようにしてもよい。印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量は、プリンタ250の内部から外部に出されたインク量で管理することができる。
【0061】
なお、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量は、一定の密度以上で熱変換用インクが印刷された印刷領域の累積面積量で管理することもできる。又は、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量は、光熱変換用インクがカーボンブラックを含むインクである場合に、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクの累積濃度で管理することもできる。光熱変換用インクの累積濃度は、二次元画像における各画素の灰色又は黒色の階調値(K濃度)と印刷画素面積との積算量である。
【0062】
図6に示すように、本実施形態に係る立体画像形成システム1000では、操作者が膨張性シート400をプリンタ250の給紙部(図示せず)にセットする(ステップS110)。プリンタ250は、膨張性シート400のセットを検知すると、検知情報を制御装置100に通知する。これに応答して、制御装置100は、例えば、選択可能なコンテンツ(サンプル画像)が含まれているコンテンツ一覧表示画面(図示せず)を表示操作部150(図1参照)に表示する。
【0063】
ステップS110の後、操作者は、表示操作部150(図1参照)を操作して、コンテンツ一覧表示画面(図示せず)の中から所望のコンテンツ(サンプル画像)を選択し、印刷処理の開始を指示する。これに応答して、制御装置100は、サンプル画像データの選択結果を受け付けるとともに、印刷処理の開始指示を受け付ける(ステップS120,S130)。
【0064】
すると、制御装置100の二次元画像形成制御手段21(図1参照)は、選択されたサンプル画像データに基づいて二次元画像の印刷をプリンタ250に指示する。これに応答して、プリンタ250は、光熱変換用インクで二次元画像502(図3(a)参照)を膨張性シート400に印刷し(ステップS140)、印刷が完了したら、膨張性シート400を排出する(ステップS150)。ここでは、二次元画像502(図3(a)参照)が膨張性シート400の第1面に印刷されるものとして説明する。
【0065】
操作者は、排出された膨張性シート400の表裏を反転させて、膨張性シート400をプリンタ250の給紙部(図示せず)にセットする(ステップS160)。プリンタ250は、膨張性シート400のセットを検知すると、検知情報を制御装置100に通知する。これに応答して、制御装置100の二次元画像形成制御手段21(図1参照)は、印刷バーコード503(図3(b)参照)の印刷をプリンタ250に指示する。すると、プリンタ250は、非光熱変換用インクで印刷バーコード503(図3(b)参照)を膨張性シート400に印刷し(ステップS170)、印刷が完了したら、膨張性シート400を排出する(ステップS180)。ここでは、印刷バーコード503(図3(b)参照)が膨張性シート400の第2面に印刷されるものとして説明する。印刷バーコード503(図3(b)参照)に含まれている情報の詳細については、後記する「本実施形態で行われる対応処理の一例」の章で説明する。
【0066】
ステップS180の後、操作者は、排出された膨張性シート400を光照射装置200の給紙部220(図2参照)にセットする(ステップS210)。光照射装置200は、膨張性シート400のセットを検知すると、バーコードリーダ340(図2参照)で膨張性シート400の印刷バーコード503(図3(b)参照)を読み取り(ステップS220)、バーコードの読取情報を制御装置100に通知する。これに応答して、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、バーコードの読取情報に基づいて対応処理を設定する(ステップS230)。対応処理の詳細については、後記する「本実施形態で行われる対応処理の一例」の章で説明する。
【0067】
操作者は、表示操作部150(図1参照)を操作して、光照射処理の開始を制御装置100に指示する。これに応答して、制御装置100は、光照射処理の開始指示を受け付ける(ステップS240)。
【0068】
すると、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に、設定された対応処理に基づく光照射処理(膨張処理)を実行させる(ステップS250)。これにより、膨張性シート400に立体画像が形成される。光照射装置200は、光照射処理(膨張処理)が終了したら、膨張性シート400を排出する(ステップS260)。
【0069】
図7に示すように、このような本実施形態に係る立体画像形成システム1000は、光照射処理時に光照射処理に対する熱量調整制御を行って、膨張性シート400に与える熱量を調整する構成になっている。そのため、立体画像形成システム1000は、光照射処理を行った場合に、安定して十分な膨張高さの立体画像1502(つまり、所望の高さまで膨張している立体画像1502)を形成することができる。
【0070】
なお、図6に示す例では、立体画像形成システム1000は、熱膨張層410が設けられた側の面(第1面)に二次元画像502を印刷し、基材415が設けられた側の面(第2面)に印刷バーコード503を印刷している。
【0071】
しかしながら、二次元画像502や印刷バーコード503を印刷する面は、運用に応じて、変更することができる。これに応じて、立体画像形成システム1000によって実行される処理も、適宜変更される。
【0072】
例えば、立体画像形成システム1000は、第2面に二次元画像502の鏡像と印刷バーコード503とを同時に印刷するようにしてもよい。
【0073】
また、例えば、立体画像形成システム1000は、第1面に二次元画像502を印刷し、第1面に光照射処理を行い、第2面に他の二次元画像の鏡像と印刷バーコード503とを印刷し、第2面に光照射処理を行うようにしてもよい。
【0074】
また、例えば、立体画像形成システム1000は、第1面に二次元画像502を印刷し、第2面に他の二次元画像の鏡像と印刷バーコード503とを印刷し、第1面に光照射処理を行い、第2面に光照射処理を行うようにしてもよい。
【0075】
また、例えば、立体画像形成システム1000は、第1面に二次元画像502と印刷バーコード503とを印刷し、第2面に他の二次元画像の鏡像と印刷バーコード503とを印刷し、第1面に光照射処理を行い、第2面に光照射処理を行うようにしてもよい。
【0076】
<本実施形態で行われる対応処理の一例>
以下、図8を参照して、本実施形態で行われる対応処理の一例につき説明する。図8は、本実施形態で行われる対応処理の一例を示す図である。
【0077】
図8に示すように、印刷バーコード503(図3(b)参照)は、運用に応じて、例えば、熱量調整制御の補正情報や、二次元画像502の印刷時刻情報、二次元画像502の印刷領域情報等を含む構成にすることができる。
【0078】
例えば、印刷バーコード503(図3(b)参照)が熱量調整制御の補正情報を含んでいたとする。又は、例えば、印刷バーコード503(図3(b)参照)が二次元画像502の印刷時刻情報を含んでいたとする。これらの場合に、ステップS230(図6参照)において、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、対応処理として、「光照射処理に対して熱量制御を行う」ことを特徴とする設定を行う。
【0079】
ここで、「光照射処理に対して熱量制御を行う」ことを特徴とする設定とは、光照射装置200に対して、光照射処理時に膨張性シート400に与える熱量を増加させたり低減させたりする制御を行うことを意味している。
【0080】
又は、例えば、印刷バーコード503(図3(b)参照)が二次元画像502の印刷領域情報を含んでいたとする。この場合に、ステップS230(図6参照)において、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、対応処理として、「二次元画像の印刷領域に対して集中的に光照射処理を行う」ことを特徴とする設定を行う。
【0081】
<熱量調整制御の詳細>
以下、熱量調整制御の詳細につき説明する。
熱量調整制御は、膨張性シート400の搬送速度や膨張性シート400に照射する光量等を調整(変更)することによって行われる。例えば、膨張性シート400に印刷された二次元画像が立体画像の十分な膨張高さを確保し難い画像である場合に、光照射装置200は、立体画像の十分な膨張高さを確保するために、光照射処理時に膨張性シート400に与える熱量を増加させる。
【0082】
ここで、立体画像の十分な膨張高さを確保し難い画像は、光熱変換用インクが十分に乾燥していない場合に発生し易い。例えば、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が大きい場合や、二次元画像が印刷されてからの経過時間が短い場合に、立体画像は、十分な膨張高さを確保し難い。このような立体画像の十分な膨張高さを確保し難い画像に対しては、光熱変換用インクの気化熱の分だけ光熱変換用インクに熱量を余分に与えて、光熱変換用インクの乾燥を促進させることが望ましい。
【0083】
そこで、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、膨張性シート400に印刷された二次元画像が立体画像の十分な膨張高さを確保し難い画像である場合に、ステップS230(図6参照)で、対応処理として、膨張性シート400の搬送速度を遅くする設定、又は、光照射装置200のハロゲンランプ215の光量を増加させる設定を行う。
【0084】
例えば、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が閾値以上である場合に、膨張性シート400の搬送速度を遅くする補正量を設定する。又は、例えば、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が閾値以上である場合に、膨張性シート400に照射する光量を増加する補正量を設定する。
【0085】
又は、例えば、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、二次元画像502を印刷してからの経過時間が閾値未満である場合に、膨張性シート400の搬送速度を遅くする補正量を設定する。又は、例えば、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、二次元画像502を印刷してからの経過時間が閾値未満である場合に、膨張性シート400に照射する光量を増加する補正量を設定する。
【0086】
これにより、光照射装置200は、ステップS230(図6参照)で設定された対応処理に基づく光照射処理(膨張処理)を、ステップS250(図6参照)で行う。
【0087】
例えば、図9及び図10に示すように、本実施形態に係る立体画像形成システム1000は、ステップS230の対応処理設定時において、以下のような処理を行う。図9は、対応処理設定時の第1動作を説明するためのフローチャートである。図10は、対応処理設定時の第1動作における熱量調整制御の一例を示す図である。第1動作は、膨張性シート400の搬送速度を変更することにより、熱量調整制御を行う動作である。第1動作では、立体画像形成システム1000は、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が閾値以上であるか否かを判定することによって、熱量調整制御を行うか否かを決定する。
【0088】
図9に示す例では、ステップS230(図6参照)において、まず、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、印刷バーコード503の読取情報に基づいて、印刷されることで二次元画像とされた光熱交換用インクのインク量が第1閾値TLow(図10参照)以上であるか否かを判定する(ステップS310)。
【0089】
ステップS310で、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が第1閾値TLow(図10参照)以上であると判定された場合(“Yes”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が第2閾値THigh(図10参照)以上であるか否かを判定する(ステップS320)。
【0090】
ステップS320で、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が第2閾値THigh(図10参照)以上であると判定された場合(“Yes”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対して膨張性シート400の搬送速度を遅くする補正量を設定する(ステップS330)。その結果、膨張性シート400の搬送速度が、通常速度VStよりも遅い低速VLowに変更される(図10参照)。なお、通常速度VStは、熱量調整制御を行わない場合の搬送速度である。
【0091】
また、ステップS320で、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が第2閾値THigh(図10参照)以上でないと判定された場合(“No”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対して膨張性シート400の搬送速度を通常速度VStに維持する(ステップS340)。
【0092】
また、ステップS310で、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が第1閾値TLow(図10参照)以上でないと判定された場合(“No”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対して膨張性シート400の搬送速度を速くする補正量を設定する(ステップS350)。その結果、膨張性シート400の搬送速度が、通常速度VStよりも速い高速VHighに変更される(図10参照)。
【0093】
ステップS330,S340,S350のいずれかの処理の後、処理は、ステップS240(図6参照)に進む。
【0094】
又は、例えば、図11及び図12に示すように、本実施形態に係る立体画像形成システム1000は、ステップS230の対応処理設定時において、以下のような処理を行ってもよい。図11は、対応処理設定時の第2動作を説明するためのフローチャートである。図12は、対応処理設定時の第2動作における熱量調整制御の一例を示す図である。第2動作は、ハロゲンランプ215(図2参照)の光量を変更することにより(つまり、膨張性シート400に与える光量を変更することにより)、熱量調整制御を行う動作である。第2動作では、第1動作と同様に、立体画像形成システム1000は、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が閾値以上であるか否かを判定することによって、熱量調整制御を行うか否かを決定する。
【0095】
図11に示す例では、ステップS230(図6参照)において、まず、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、印刷バーコード503の読取情報に基づいて、印刷されることで二次元画像とされた光熱交換用インクのインク量が第1閾値TLow(図12参照)以上であるか否かを判定する(ステップS310)。
【0096】
ステップS310で、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が第1閾値TLow(図12参照)以上であると判定された場合(“Yes”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が第2閾値THigh(図12参照)以上であるか否かを判定する(ステップS320)。
【0097】
ステップS320で、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が第2閾値THigh(図12参照)以上であると判定された場合(“Yes”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対してハロゲンランプ215の光量を増加する補正量を設定する(ステップS330a)。その結果、ハロゲンランプ215の光量が、通常光量LStよりも大きな大光量LHighに変更される(図12参照)。なお、通常光量LStは、熱量調整制御を行わない場合の光量である。なお、通常光量LStは、熱量調整制御を行わない場合の光量である。
【0098】
また、ステップS320で、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が第2閾値THigh(図12参照)以上でないと判定された場合(“No”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対してハロゲンランプ215の光量を通常光量LStに維持する(ステップS340a)。
【0099】
また、ステップS310で、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が第1閾値TLow(図12参照)以上でないと判定された場合(“No”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対してハロゲンランプ215の光量を減少する補正量を設定する(ステップS350a)。その結果、ハロゲンランプ215の光量が、通常光量LStよりも小さな小光量LLowに変更される(図12参照)。
【0100】
ステップS330a,S340a,S350aのいずれかの処理の後、処理は、ステップS240(図6参照)に進む。
【0101】
又は、例えば、図13及び図14に示すように、本実施形態に係る立体画像形成システム1000は、ステップS230の対応処理設定時において、以下のような処理を行ってもよい。図13は、対応処理設定時の第3動作を説明するためのフローチャートである。図14は、対応処理設定時の第3動作における熱量調整制御の一例を示す図である。第3動作は、膨張性シート400の搬送速度を変更することにより、熱量調整制御を行う動作である。第3動作では、立体画像形成システム1000は、二次元画像が印刷されてからの経過時間が閾値未満であるか否かを判定することによって、熱量調整制御を行うか否かを決定する。
【0102】
図13に示す例では、ステップS230(図6参照)において、まず、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、印刷バーコード503の読取情報に基づいて、膨張性シート400に二次元画像が印刷されてからの経過時間が第1閾値TiLow(図14参照)未満であるか否かを判定する(ステップS410)。
【0103】
ステップS410で、経過時間が第1閾値TiLow(図14参照)未満であると判定された場合(“Yes”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対して膨張性シート400の搬送速度を遅くする補正量を設定する(ステップS420)。その結果、膨張性シート400の搬送速度が、通常速度VStよりも遅い低速VLowに変更される(図14参照)。
【0104】
また、ステップS410で、経過時間が第1閾値TiLow(図14参照)未満でないと判定された場合(“No”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、経過時間が第2閾値TiHigh(図14参照)未満であるか否かを判定する(ステップS430)。
【0105】
ステップS430で、経過時間が第2閾値TiHigh(図14参照)未満であると判定された場合(“Yes”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対して膨張性シート400の搬送速度を通常速度VStに維持する(ステップS440)。
【0106】
また、ステップS430で、経過時間が第2閾値TiHigh(図14参照)未満でないと判定された場合(“No”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対して膨張性シート400の搬送速度を速くする補正量を設定する(ステップS450)。その結果、膨張性シート400の搬送速度が、通常速度VStよりも速い高速VHighに変更される(図14参照)。
【0107】
ステップS420,S440,S450のいずれかの処理の後、処理は、ステップS240(図6参照)に進む。
【0108】
又は、例えば、図15及び図16に示すように、本実施形態に係る立体画像形成システム1000は、ステップS230の対応処理設定時において、以下のような処理を行ってもよい。図15は、対応処理設定時の第4動作を説明するためのフローチャートである。図16は、対応処理設定時の第4動作における熱量調整制御の一例を示す図である。第4動作は、ハロゲンランプ215(図2参照)の光量を変更することにより(つまり、膨張性シート400に与える光量を変更することにより)、熱量調整制御を行う動作である。第4動作では、第3動作と同様に、立体画像形成システム1000は、二次元画像が印刷されてからの経過時間が閾値未満であるか否かを判定することによって、熱量調整制御を行うか否かを決定する。
【0109】
図15に示す例では、ステップS230(図6参照)において、まず、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、印刷バーコード503の読取情報に基づいて、膨張性シート400に二次元画像が印刷されてからの経過時間が第1閾値TiLow(図16参照)未満であるか否かを判定する(ステップS410)。
【0110】
ステップS410で、経過時間が第1閾値TiLow(図16参照)未満であると判定された場合(“Yes”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対してハロゲンランプ215の光量を増加する補正量を設定する(ステップS420a)。その結果、ハロゲンランプ215の光量が、通常光量LStよりも大きな大光量LHighに変更される(図16参照)。
【0111】
また、ステップS410で、経過時間が第1閾値TiLow(図16参照)未満でないと判定された場合(“No”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、経過時間が第2閾値TiHigh(図16参照)未満であるか否かを判定する(ステップS430)。
【0112】
ステップS430で、経過時間が第2閾値TiHigh(図16参照)未満であると判定された場合(“Yes”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対してハロゲンランプ215の光量を通常光量LStに維持する(ステップS440a)。
【0113】
また、ステップS430で、経過時間が第2閾値TiHigh(図16参照)未満でないと判定された場合(“No”の場合)に、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、光照射装置200に対してハロゲンランプ215の光量を減少する補正量を設定する(ステップS450a)。その結果、ハロゲンランプ215の光量が、通常光量LStよりも小さな小光量LLowに変更される(図16参照)。
【0114】
ステップS420a,S440a,S450aのいずれかの処理の後、処理は、ステップS240(図6参照)に進む。
【0115】
このような立体画像形成システム1000は、膨張性シート400に印刷された二次元画像が立体画像の十分な膨張高さを確保し難い画像であっても、光熱変換用インクに熱量を余分に与えて、光熱変換用インクの乾燥を促進させることができる。その結果、立体画像形成システム1000は、立体画像の十分な膨張高さを確保することができる。
【0116】
なお、立体画像形成システム1000は、膨張性シート400に印刷された二次元画像の乾燥度が低い場合に、光熱変換用インクに熱量を余分に与えて、立体画像の十分な膨張高さを確保するために、光照射処理に対する熱量調整制御を行う。したがって、立体画像形成システム1000は、例えば、図17に示すように、光照射処理の直前に印刷処理が行われているか否かによって、熱量調整制御を行うか否かのタイミングが変化する。図17は、熱量調整制御を行うタイミングを示す説明図である。
【0117】
(1)図17の処理1のように、例えば、立体画像形成システム1000は、光熱変換用インクを膨張性シート400の第1面にのみ印刷した後に、第1面への光照射処理を行ったとする。この場合に、立体画像形成システム1000は、第1面への光照射処理に対して熱量調整制御を行う(処理1の手順2参照)。
(2)図17の処理2のように、例えば、立体画像形成システム1000は、光熱変換用インクを膨張性シート400の第1面に印刷した後に、第1面への光照射処理を行い、さらに、光熱変換用インクを膨張性シート400の第2面に印刷した後に、第2面への光照射処理を行ったとする。この場合に、立体画像形成システム1000は、第1面への光照射処理と第2面への光照射処理との双方に対して熱量調整制御を行う(処理2の手順2,4参照)。
(3)図17の処理3のように、例えば、立体画像形成システム1000は、光熱変換用インクを膨張性シート400の第1面と第2面との双方に印刷した後に、第1面への光照射処理と第2面とへの光照射処理とを行ったとする。この場合に、立体画像形成システム1000は、第1面への光照射処理と第2面への光照射処理とのうち、先に行われる光照射処理に対して熱量調整制御を行う(処理3の手順3参照)。
【0118】
なお、本実施形態では、前記した通り、熱膨張層410(図3(a)参照)が設けられた側の面が膨張性シート400の第1面であり、基材415(図3(a)参照)が設けられた側の面が膨張性シート400の第2面であるものとして説明する。しかしながら、立体画像の形成形態によっては、基材415(図3(a)参照)が設けられた側の面を膨張性シート400の第1面とし、熱膨張層410(図3(a)参照)が設けられた側の面を膨張性シート400の第2面とする場合もある。図17に示す例は、このような場合にも適用することができる。
【0119】
また、図17に示す例は、カラー画像を印刷する場合に、カラー画像を印刷するタイミングに応じて、熱量調整制御を行うか否かのタイミングが変化する。
【0120】
なお、本実施形態では、例えば、膨張性シート400に印刷された二次元画像が立体画像の十分な膨張高さを確保し易い画像である場合に、光照射装置200は、消費電力を低減するために、光照射処理時に膨張性シート400に与える熱量を低減させる。立体画像の十分な膨張高さを確保し易い画像は、光熱変換用インクが十分に乾燥している場合に発生し易い。例えば、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が小さい場合や、二次元画像が印刷されてからの経過時間が長い場合に、立体画像は、十分な膨張高さを確保し易い。立体画像の十分な膨張高さを確保し易い画像に対しては、光熱変換用インクに与える熱量を抑制して、消費電力を低減することや、処理時間を短縮することが望ましい。
【0121】
そこで、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、膨張性シート400に印刷された二次元画像が立体画像の十分な膨張高さを確保し易い画像である場合に、ステップS230(図6参照)で、対応処理として、膨張性シート400の搬送速度を速くする設定、又は、光照射装置200のハロゲンランプ215の光量を減少させる設定を行う。
【0122】
例えば、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が閾値未満である場合に、膨張性シート400の搬送速度を速くする補正量を設定する。又は、例えば、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量が閾値未満である場合に、膨張性シート400に照射する光量を減少する補正量を設定する。
【0123】
又は、例えば、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、二次元画像502を印刷してからの経過時間が閾値以上である場合に、膨張性シート400の搬送速度を速くする補正量を設定する。又は、例えば、制御装置100の光照射制御手段23(図1参照)は、二次元画像502を印刷してからの経過時間が閾値以上である場合に、膨張性シート400に照射する光量を減少する補正量を設定する。
【0124】
これにより、光照射装置200は、ステップS230(図6参照)で設定された対応処理に基づく光照射処理(膨張処理)を、ステップS250(図6参照)で行う。
【0125】
このような立体画像形成システム1000は、膨張性シート400に印刷された二次元画像が立体画像の十分な膨張高さを確保し易い画像である場合に、光熱変換用インクに与える熱量を抑制して、消費電力を低減することや、処理時間を短縮することができる。
【0126】
なお、前記した印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量は、膨張性シート400の1シートにおけるインクの総使用量を意味している。ただし、前記した印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量は、1シートの前半部分や後半部分等のように、1シートを分割して熱量調整制御を行う場合に、膨張性シート400の搬送方向での所望の面積(例えば1シートの前半部分や後半部分等)におけるインクの総使用量を意味するものとしてもよい。なお、インクの総使用量は、光熱変換用インクがカーボンブラックを含むインクである場合に、二次元画像が灰色又は黒色の画像になるため、灰色又は黒色の階調値(K濃度)と印刷領域の面積との積算量で表すことができる。ただし、インクの総使用量は、光熱変換用インクが可視光領域で透明なインクである場合に、二次元画像が無色透明になるため、灰色又は黒色の階調値(K濃度)とは無関係なパラメータになる。
【0127】
なお、前記した熱量調整制御に対する補正量は、プリンタ250における画像の印刷形態によって変化する。例えば、プリンタ250は、膨張性シート400の熱膨張層410(図3(a)参照)を有する側の面と熱膨張層410(図3(a)参照)を有していない側の面とのいずれか一方の面に光熱変換用インクを印刷したり、双方の面に光熱変換用インクを印刷したり、又は、いずれか一方の面にカラーインクを印刷したりする。補正量は、このような画像の印刷形態によって変化する。補正量の適正な値は、各種の実験によって得ることができる。
【0128】
<本実施形態に係る立体画像形成システムの主な特徴>
(1)本実施形態に係る立体画像形成システム1000は、プリンタ250と、光照射装置200と、を備えている。光照射装置200は、立体画像の膨張条件に応じて光照射処理に対して熱量調整制御を行う。
【0129】
このような立体画像形成システム1000は、光照射処理時に膨張性シート400に与える熱量を調整することができるため、安定して立体画像の十分な膨張高さを確保することができる。
【0130】
(2)本実施形態では、プリンタ250は、二次元画像に係る情報を含む印刷バーコード503を膨張性シート400に印刷する。光照射装置200は、印刷バーコード503に含まれている情報に応じて任意の処理(好適な処理)を行う。
【0131】
このような立体画像形成システム1000は、プリンタ250から光照射装置200に通知すべき情報を膨張性シート400に持たせることができる。これにより、立体画像形成システム1000は、利便性を向上させることができる。
【0132】
なお、立体画像形成システム1000で作成された立体構造物は、二次元画像502と、印刷バーコード503とが印刷されているとともに、立体画像が形成された構成になっている。また、その立体構造物は、印刷バーコード503とは異なる事前付与バーコード501が予め印刷された構成になっている。ただし、事前付与バーコード501は、必ずしも必須のものではなく、予め印刷しないようにこともできる。
【0133】
(3)本実施形態では、プリンタ250は、光照射処理に先立って、二次元画像に係る情報を含む識別子としての印刷バーコード503(図3(b)参照)を膨張性シート400に印刷する。このとき、好ましくは、プリンタ250は、光照射装置200にセットする際に先端側となる膨張性シート400の端部付近に印刷バーコード503(図3(b)参照)を印刷するとよい。なお、その膨張性シート400の端部付近には、事前付与バーコード501が予め印刷されている。プリンタ250は、膨張性シート400の事前付与バーコード501が印刷された側の面で、かつ、事前付与バーコード501を避けた位置に印刷バーコード503(図3(b)参照)を印刷する。
【0134】
印刷バーコード503(図3(b)参照)は、例えば、光照射処理に対する熱量調整制御の補正情報を含む構成にすることができる。この場合に、光照射装置200は、印刷バーコード503の補正情報に応じて、光照射処理に対して熱量調整制御を行うことができる。
【0135】
また、印刷バーコード503(図3(b)参照)は、例えば、プリンタ250で印刷された二次元画像502の印刷時刻情報を含む構成にすることができる。この場合に、光照射装置200は、印刷バーコード503の印刷時刻情報に応じて、光照射処理に対して熱量調整制御を行うことができる。
【0136】
また、印刷バーコード503(図3(b)参照)は、例えば、光熱変換用インクで印刷された二次元画像502の印刷領域情報を含む構成にすることができる。この場合に、光照射装置200は、印刷バーコード503の印刷領域情報に応じて、印刷領域に対して集中的に光照射処理を行うことができる。
【0137】
なお、印刷バーコード503は、光照射装置200に読み取らせるものであるために、無色透明なインクではなく、色を有するインクによって一定以上の濃さで印刷される。ただし、バーコードは、光照射装置200が正確に読み取ることができるように、膨張させない方がよい。そのため、好ましくは、プリンタ250は、光を熱に変換する機能を有していない非光熱変換用インクで印刷バーコード503を印刷するとよい。さらに、好ましくは、プリンタ250は、視認することができるものの、膨張性シート400を膨張させない程度の濃さで印刷バーコード503を印刷するとよい。
【0138】
以上の通り、本実施形態に係る立体画像形成システム1000によれば、プリンタ250から光照射装置200に通知すべき情報を膨張性シート400に持たせることができる。
【0139】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、前記した実施形態は、本発明の要旨を分かり易く説明するために詳細に説明したものである。そのため、本発明は、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、本発明は、ある構成要素に他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に変更したりすることができる。また、本発明は、一部の構成要素を削除することもできる。
【0140】
また、例えば、前記した実施形態では、立体画像形成システム1000は、第1閾値TLow(又は、TiLow)と第2閾値の2つ閾値THigh(又は、TiHigh)に基づく判定結果により、熱量調整制御の制御量を変更している(図10図12図14、及び図16参照)。しかしながら、立体画像形成システム1000は、1つ閾値に基づく判定結果により、熱量調整制御の制御量を変更するようにしてもよい。又は、立体画像形成システム1000は、3つ以上の閾値に基づく判定結果により、熱量調整制御の制御量を変更するようにしてもよい。
【0141】
また、例えば、前記した実施形態では、光照射装置200が膨張性シート400の1シート当たりのプリンタ250により印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量に応じて熱量調整制御を行うものとして説明している。ただし、光照射装置200は、膨張性シート400の搬送方向での所望面積当たりの印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量に応じて熱量調整制御を行うようにしてもよいものとなっている。しかしながら、光照射装置200は、例えば図18及び図19に示すように、膨張性シート400に印刷された二次元画像の平均印刷濃度に応じて、熱量調整制御を行うようにしてもよい。なお、二次元画像の平均印刷濃度は、その二次元画像の印刷に使用された光熱交換用インクの平均濃度を意味している。二次元画像の平均印刷濃度は、例えば、二次元画像における各画素の灰色又は黒色の階調値(K濃度)と印刷画素面積との積算量を1シートの面積(又は、膨張性シート400の搬送方向での所望の面積)で割った値である。
【0142】
図18は、印刷平均濃度と光照射処理時間との関係を示すグラフ図である。図19は、印刷平均濃度と光照射処理時間との関係を示す説明図である。図18に示す例では、濃度の薄い方から濃い方に向けて順に3段階の印刷平均濃度K1,K2,K3が示されている。また、印刷平均濃度K1,K2,K3に対応する光照射処理時間として、時間の短い方から長い方に向けて順に光照射処理時間T1,T2,T3が示されている。
【0143】
なお、光照射処理時間が長いものほど、膨張性シート400の搬送速度が遅いことを意味している。したがって、光照射処理時間T1,T2,T3の中では、光照射処理時間T3が一番目に搬送速度が遅く、光照射処理時間T2が二番目に搬送速度が遅く、光照射処理時間T1が三番目に搬送速度が遅くなっている。
【0144】
又は、光照射処理時間が長いものほど、ハロゲンランプ215(図2参照)の光量が大きいこと(つまり、膨張性シート400に与える光量が大きいこと)を意味している。したがって、光照射処理時間T1,T2,T3の中では、光照射処理時間T3が一番目に光量が大きく、光照射処理時間T2が二番目に光量が大きく、光照射処理時間T1が三番目に光量が大きくなっている。
【0145】
このような関係において、図19には、膨張性シート400の光照射処理される領域が、低濃度大領域、中濃度大領域、低濃度小領域、高濃度大領域、中濃度小領域の順番になっており、各領域に対して順番に光照射処理時間T1、T2、T1、T3、T1を適用する例が示されている。このような図18及び図19に示す例のように、光照射装置200は、膨張性シート400に印刷された二次元画像の平均印刷濃度に応じて、熱量調整制御を行うようにしてもよい。
【0146】
また、例えば、前記した実施形態では、光照射装置200は、バーコードリーダ340(図2参照)で事前付与バーコード501や印刷バーコード503を読み取っている。しかしながら、光照射装置200は、バーコードリーダ340(図2参照)の代わりに、スキャナやカメラ等の読取手段でバーコードを読み取るようにしてもよい。
【0147】
また、例えば、印刷バーコード503(図3(b)参照)は、図20に示すように、二次元バーコード(QRコード(登録商標))504に変更することができる。二次元バーコード504は、印刷バーコード503(図3(b)参照)と同様に非光熱変換用インクで印刷される。
【0148】
また、前記した通り、例えば、光熱変換用インクは、カーボンブラックを含むインクの代わりに、別のインクを用いることができる。例えば、光熱変換用インクは、赤外光や近赤外光等の光を熱に変換する機能を有し、かつ、可視光領域で透明なインクを用いることもできる。
【0149】
また、例えば、立体画像形成システム1000は、光照射装置200での光照射処理に対する熱量調整制御に関する情報(例えば、熱量調整制御の補正情報等)をプリンタ250や光照射装置200に設けられた表示部(図示せず)に表示して、その表示情報で熱量調整制御を管理する構成にしてもよい。
【0150】
また、例えば、前記した実施形態では、プリンタ250は、膨張性シート400の第1面にのみ二次元画像502を印刷している。しかしながら、プリンタ250は、膨張性シート400の第1面と第2面とに二次元画像502を印刷することができる。又は、プリンタ250は、膨張性シート400の第2面にのみ二次元画像502を印刷することができる。さらに、プリンタ250は、膨張性シート400の第1面にカラー画像を印刷することができる。光照射装置200は、これらの形態に応じて、膨張性シート400の第1面と第2面のいずれか一方又は双方に光を照射する。その際に、光照射装置200は、熱量調整制御を行う。
【0151】
なお、カラー画像を印刷する場合に、立体画像形成システム1000は、光熱変換用インクの乾燥度(光熱変換用インクを乾燥させるために必要な気化熱量)に応じて熱量調整制御を行う。
【0152】
また、例えば、光照射装置200は、光照射処理の開始時刻と時刻情報との双方に基づいて、光照射処理を制御するようにしてもよい。
【0153】
また、例えば、前記した実施形態では、立体画像形成装置290は、光照射装置200とプリンタ250とが一体化された構成になっている(図1参照)。しかしながら、光照射装置200とプリンタ250とは、別々に分かれた構成であってもよい。この構成の場合に、光照射装置200とプリンタ250とは、異なる場所に独立して設置することができる。
【0154】
また、例えば、前記した実施形態では、光照射装置200は、ハロゲンランプ215が固定設置されており、膨張性シート400を搬送することで、光照射処理を行っている(図2参照)。しかしながら、ハロゲンランプ215が移動可能に設置されており、膨張性シート400を定位置に保持した状態で、点灯状態のハロゲンランプ215を移動させることで、光照射処理を行う構成にしてもよい。このような構成を考慮した場合に、光照射処理は、光量の制御、膨張性シートの搬送速度(光照射ユニットに対する膨張性シートの相対速度)の制御、光を発する光照射部の移動速度(膨張性シートに対する光照射ユニットの相対速度)の制御の少なくとも一つを行うようにしてもよい。
【0155】
また、例えば、光照射装置200は、二次元画像に対して照射される光の光量が、プリンタ250により印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクに含まれる揮発成分の残存量であって光の照射時における残存量に対応した光量となるように、二次元画像に対して光を照射する構成になっていてもよい。ここで、「揮発成分の残存量」とは、十分に乾燥していない状態で膨張性シート400の上に残っているインク量を意味している。揮発成分の残存量は、印刷されることで二次元画像とされた光熱変換用インクのインク量で管理することができる。
【0156】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
[付記]
《請求項1》
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、
を備え、
前記光照射装置は、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより前記二次元画像が前記光熱変換用インクで前記膨張性シートに印刷されてからの経過時間に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像形成システム。
《請求項2》
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、
を備え、
前記光照射装置は、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクのインク量に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像形成システム。
《請求項3》
前記光照射装置は、前記プリンタで前記二次元画像を印刷してからの経過時間が閾値未満である場合に、閾値以上であるときよりも、前記光照射装置の光照射ユニットに対する前記膨張性シートの相対速度、又は、前記膨張性シートに対する前記光照射ユニットの相対速度を遅くすることを特徴とする請求項1に記載の立体画像形成システム。
《請求項4》
前記光照射装置は、前記プリンタで前記二次元画像を印刷してからの経過時間が閾値未満である場合に、閾値以上であるときよりも、前記光照射装置の光照射ユニットの前記光量を増加することを特徴とする請求項1又は3に記載の立体画像形成システム。
《請求項5》
前記光照射装置は、前記二次元画像の印刷における光熱変換用インクのインク量が閾値以上である場合に、閾値未満であるときよりも、前記光照射装置の光照射ユニットに対する前記膨張性シートの相対速度、又は、前記膨張性シートに対する前記光照射ユニットの相対速度を遅くすることを特徴とする請求項2に記載の立体画像形成システム。
《請求項6》
前記光照射装置は、前記二次元画像の印刷における光熱変換用インクのインク量が閾値以上である場合に、閾値未満であるときよりも、前記光照射装置の光照射ユニットの前記光量を増加することを特徴とする請求項2又は5に記載の立体画像形成システム。
《請求項7》
前記光照射装置は、前記二次元画像の印刷における1シート当たりに印刷される前記光熱変換用インクのインク量に応じて前記光の照射の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の立体画像形成システム。
《請求項8》
前記プリンタは、前記光の照射の制御情報を含む識別子を前記膨張性シートに印刷し、
前記光照射装置は、前記識別子の前記制御情報に応じて光の照射を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の立体画像形成システム。
《請求項9》
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷するプリンタと、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置と、
を備え、
前記光照射装置は、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクに含まれる揮発成分の残存量であって該光の照射時における残存量に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像形成システム。
《請求項10》
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷する印刷工程と、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射工程と、
を備え、
前記光照射工程は、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、プリンタにより前記二次元画像が前記光熱変換用インクで前記膨張性シートに印刷されてからの経過時間に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像形成方法。
《請求項11》
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷する印刷工程と、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射工程と、
を備え、
前記光照射工程は、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクのインク量に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像形成方法。
《請求項12》
二次元画像を光熱変換用インクで膨張性シートに印刷する印刷工程と、
前記膨張性シートに印刷された前記二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射工程と、
を備え、
前記光照射工程は、前記二次元画像に対して照射される光の光量が、プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクに含まれる揮発成分の残存量であって該光の照射時における残存量に対応した光量となるように、光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射することを特徴とする立体画像形成方法。
《請求項13》
プリンタによって光熱変換用インクで膨張性シートに印刷された二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置に対し、
前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより前記二次元画像が前記光熱変換用インクで前記膨張性シートに印刷されてからの経過時間に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射する照射処理を行わせるプログラム。
《請求項14》
プリンタによって光熱変換用インクで膨張性シートに印刷された二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置に対し、
前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクのインク量に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射する照射処理を行わせるプログラム。
《請求項15》
プリンタによって光熱変換用インクで膨張性シートに印刷された二次元画像に対して光を照射することにより、前記膨張性シートにおける前記二次元画像に対応する領域を膨張させる光照射装置に対し、
前記二次元画像に対して照射される光の光量が、前記プリンタにより印刷されることで前記二次元画像とされた前記光熱変換用インクに含まれる揮発成分の残存量であって該光の照射時における残存量に対応した光量となるように、前記二次元画像に対して光を照射する照射処理を行わせるプログラム。
【符号の説明】
【0157】
10 制御部(CPU)
20 立体画像形成制御手段
21 二次元画像形成制御手段
23 光照射制御手段
31 表示操作制御部
32 画像選択手段
50 不揮発性記憶部(ROM)
52 アプリケーションプログラム
55 揮発性記憶部(RAM)
100 制御装置
150 表示操作部
200 光照射装置(光照射手段)
250 プリンタ(二次元画像形成手段)
290 立体画像形成装置
300 管理装置
400 膨張性シート
410 熱膨張層
415 基材
501 事前付与バーコード(事前付与識別子)
502 二次元画像
503 バーコード(印刷バーコード(印刷識別子))
1000 立体画像形成システム
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