(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記注入部は、前記貫通部に流入する液状ゴムの容量が、前記貫通部の容量以下となるように、前記金型における前記第一型の前記軸方向一端部側から該第一型と前記芯材との間に液状ゴムを注入する、
請求項11に記載のゴムロール製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような金型では、例えば、第一型の軸方向一端部から注入された液状ゴムが第一型の軸方向他端部から流出し、その流出した液状ゴムを視認することで、液状ゴムが第一型に充填されたことを確認する方法がある。
【0005】
ここで、第二型の筒部の内周面に軸方向に沿って形成された溝のみにて、第一型の軸方向他端部から流出した液状ゴムを流通させる構成では、第一型と筒部の軸方向一端部との間からはみ出た液状ゴムを視認することで、液状ゴムが第一型に充填されたことが確認される。
【0006】
本発明は、第二型の筒部の内周面に軸方向に沿って形成された溝のみにて、第一型の軸方向他端部から流出した液状ゴムを流通させる構成に比べ、第一型の軸方向他端部から流出した液状ゴムが視認可能な位置に到達するまでの経路の長さを短くできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、芯材を囲む筒状とされ、軸方向一端部から該芯材との間に液状ゴムが注入される第一型と、該第一型の軸方向他端部に装着され、該軸方向他端部を囲む筒部を有する第二型と、該第二型に形成され、該筒部の内周面から外周面へ貫通する貫通部を有し、該軸方向他端部から流出した液状ゴムを流通させる流路と、を備える。
【0008】
請求項2の発明では、前記貫通部は、前記軸方向一端部側へ開口する切欠部である。
【0010】
請求項
3の発明では、前記切欠部は、内壁面が、前記筒部の外周面側から見てUの字状に形成されている。
【0011】
請求項
4の発明では、前記貫通部は、前記筒部の内周面から外周面へ貫通する孔である。
【0012】
請求項
5の発明では、前記孔は、円孔である。
【0013】
請求項
6の発明では、前記流路は、前記筒部の内周面に軸方向に沿って形成され、該軸方向他端部から流出した液状ゴムを前記軸方向一端部側へ流通させ、当該流通方向の下流端で前記貫通部と通じている溝を有する。
【0014】
請求項
7の発明では、前記溝の溝幅は、前記貫通部の前記溝幅に沿った方向の幅よりも狭い。
【0015】
請求項
8の発明は、前記第二型に形成され、前記軸方向他端部から流出した液状ゴムを流通させる複数の流通路を有し、前記複数の流通路の一部が、前記流路である。
【0016】
請求項
9の発明は、前記複数の流通路の1つが、前記流路である。
【0017】
請求項1
0の発明は、芯材を囲む筒状とされ、軸方向一端部から該芯材との間に液状ゴムが注入される第一型と、該第一型の軸方向他端部に装着され、該軸方向他端部を囲む筒部を有する第二型と、該第二型に形成され、該軸方向他端部から流出した液状ゴムを流通させ、該液状ゴムを該筒部の外周面側へ露出させる流路と、を備える。
【0018】
請求項1
1の発明は、請求項1〜
9のいずれか1項に記載の金型と、該軸方向他端部から流出した液状ゴムが前記貫通部に流入するように、前記金型における前記第一型の前記軸方向一端部側から該第一型と前記芯材との間に液状ゴムを注入する注入部と、前記液状ゴムを加熱して硬化させる加熱部と、を備える。
【0019】
請求項1
2の発明では、前記注入部は、前記貫通部に流入する液状ゴムの容量が、前記貫通部の容量以下となるように、前記金型における前記第一型の前記軸方向一端部側から該第一型と前記芯材との間に液状ゴムを注入する。
【0020】
請求項1
3の発明は、請求項1〜
9のいずれか1項に記載の金型を準備する準備工程と、前記金型の該軸方向他端部から流出した液状ゴムが前記貫通部に流入するように、前記金型における前記第一型の前記軸方向一端部側から該第一型と前記芯材との間に液状ゴムを注入する注入工程と、前記液状ゴムを加熱して硬化させる加熱工程と、を備える。
【0021】
請求項1
4における前記注入工程は、前記貫通部に流入する液状ゴムの容量が、前記貫通部の容量以下となるように、前記金型における前記第一型の前記軸方向一端部側から該第一型と前記芯材との間に液状ゴムを注入する。
【0022】
請求項1
5の発明は、前記注入工程の前に行われ、前記第一型における前記筒部の内周面に対向する外周面を被覆材で被覆する被覆工程、を備える。
【0023】
請求項1
6における前記被覆工程では、硬化後の液状ゴムが前記第二型よりも付着されやすくなっている外面を有する前記被覆材を用いる。
【0024】
請求項1
7の発明では、前記被覆材は離型層を有し、前記被覆工程では、前記離型層が剥離されている外面を有する前記被覆材を用いる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の請求項1の構成によれば、第二型の筒部の内周面に軸方向に沿って形成された溝のみにて、第一型の軸方向他端部から流出した液状ゴムを流通させる構成に比べ、第一型の軸方向他端部から流出した液状ゴムが視認可能な位置に到達するまでの経路の長さを短くできる。
【0026】
本発明の請求項2の構成によれば、貫通部の軸方向一端部側が閉じた構成に比べ、切欠部内に流入した液状ゴムを第二型から除去しやすい。
【0028】
本発明の請求項
3の構成によれば、切欠部の内壁面が、筒部の外周面側から見てVの字状に形成されている場合に比べ、切欠部内に流入した液状ゴムを第二型から除去しやすい。
【0029】
本発明の請求項
4の構成によれば、貫通部の軸方向一端部側が開口する構成に比べ、貫通部に流入した液状ゴムが第一型の軸方向一端部側へ流れにくい。
【0030】
本発明の請求項
5の構成によれば、四角形状の孔である構成に比べ、孔内に流入した液状ゴムを第二型から除去しやすい。
【0031】
本発明の請求項
6の構成によれば、流路が貫通部のみを有する構成に比べ、第一型と芯材との間に液状ゴムが注入される際の第一型の内圧を高く維持できる。
【0032】
本発明の請求項
7の構成によれば、溝の溝幅が、貫通部の溝幅に沿った方向の幅以上である構成に比べ、第一型と芯材との間に液状ゴムが注入される際の第一型の内圧を高く維持できる。
【0033】
本発明の請求項
8の構成によれば、複数の流通路の全部が流路である場合に比べ、液状ゴムが第一型に充填されたことを確認するために視認する流通路の数が少なくて済む。
【0034】
本発明の請求項
9の構成によれば、複数の流通路が複数の流路を有する場合に比べ、液状ゴムが第一型に充填されたことを確認するために視認する流通路の数が少なくて済む。
【0035】
本発明の請求項1
0の構成によれば、第二型の筒部の内周面に軸方向に沿って形成された溝のみにて、第一型の軸方向他端部から流出した液状ゴムを流通させる構成に比べ、第一型の軸方向他端部から流出した液状ゴムが視認可能な位置に到達するまでの経路の長さを短くできる。
【0036】
本発明の請求項1
1の構成によれば、第二型の筒部の内周面に軸方向に沿って形成された溝のみにて、第一型の軸方向他端部から流出した液状ゴムを流通させる構成に比べ、第一型の軸方向他端部から流出した液状ゴムが視認可能な位置に到達するまでの経路の長さを短くできる。
【0037】
本発明の請求項1
2の構成によれば、注入部が貫通部に流入する液状ゴムの容量が、貫通部の容量を超える構成に比べ、第一型の外周面に液状ゴムが付着することを抑制できる。
【0038】
本発明の請求項1
3の方法によれば、第二型の筒部の内周面に軸方向に沿って形成された溝のみにて、第一型の軸方向他端部から流出した液状ゴムを流通させる場合に比べ、第一型の軸方向他端部から流出した液状ゴムが視認可能な位置に到達するまでの経路の長さを短くできる。
【0039】
本発明の請求項1
4の方法によれば、貫通部に流入する液状ゴムの容量が、貫通部の容量を超える場合に比べ、第一型の外周面に液状ゴムが付着することを抑制できる。
【0040】
本発明の請求項1
5の方法によれば、第一型の外周面が筒部の内周面に直接対向する場合に比べ、流路を流通した液状ゴムが第一型の外周面に付着することを抑制できる。
【0041】
本発明の請求項1
6の方法によれば、被覆材の外面に対して硬化後の液状ゴムが第二型よりも付着されやすくなっている場合に比べ、貫通部内に流出した液状ゴムを第二型から除去しやすい。
【0042】
本発明の請求項1
7の方法によれば、被覆材の外面の全面に離型層を有する場合に比べ、貫通部内に流出した液状ゴムを第二型から除去しやすい。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0045】
(ゴムロール製造装置100)
本実施形態に係るゴムロール製造装置100について説明する。
図1、
図2及び
図3には、ゴムロール製造装置100(以下、単に「製造装置100」という)の構成が示されている。
【0046】
製造装置100は、ゴムロール200(
図4参照)を製造する装置である。具体的には、製造装置100は、
図1、
図2及び
図3に示されるように、金型10と、注入部80(
図3参照)と、加熱部の一例としての加熱器50と、を備えている。以下、製造装置100の製造対象であるゴムロール200、金型10、注入部80及び加熱器50の具体的な構成について説明する。
【0047】
(ゴムロール200)
ゴムロール200は、芯材の一例としての芯金202と、ゴム層204と、被覆材の一例としてのチューブ206と、を有している。
【0048】
芯金202は、円筒状とされている。芯金202の上端部には、ギヤ(図示省略)を装着するための切欠203が形成されている。この切欠203にギヤ(図示省略)が装着されたゴムロール200は、当該ギヤを通じて駆動モータから駆動力を受けて回転する駆動ロールとして用いられる。ゴムロール200を駆動ロールとして用いない場合は、切欠203は不要である。
【0049】
ゴム層204は、芯金202の軸方向中央側の外周に形成された円筒状に形成されている。すなわち、芯金202の軸方向両端部が、ゴム層204と軸方向両端部から軸方向外側に突出している。
【0050】
チューブ206は、円筒状に形成されている。チューブ206は、ゴム層204の外周に被覆されている。チューブ206の外周面206Bには、離型層が形成されている。具体的には、例えば、チューブ206の外周面206Bは、フッ素樹脂による表面加工(フッ素樹脂コーティング)がなされている。
【0051】
チューブ206の内周面206Aでは、離型層が剥離されている。具体的には、例えば、フッ素樹脂による表面加工された内周面206Aに対して、エキシマレーザ等のレーザを照射することで、フッ素樹脂を剥離して内周面206Aを改質している。チューブ206の内周面206Aは、硬化後のゴムが、金型10の後述の上金型14Aよりも付着されやすくなっている。
【0052】
(金型10)
金型10は、ゴムロール200のゴム層204を成型するための型である。金型10の内部に芯金202が装着された状態で、液状ゴムの一例としての未加硫ゴム(熱硬化性の液状ゴム)が金型10の内部に注入されてゴム層204が形成される。金型10は、例えば、ステンレス等の金属で形成されている。
【0053】
具体的には、金型10は、
図1、
図2及び
図3に示されるように、第一型の一例としての円筒形金型12と、第二型の一例としての上金型14Aと、下金型14Bと、を備えている。以下、円筒形金型12、上金型14A及び下金型14Bの具体的な構成について説明する。なお、以下では、上金型14A及び下金型14Bをまとめて上下金型14と称する場合がある。
【0054】
(円筒形金型12)
円筒形金型12は、芯金202を囲む筒状とされている(
図1及び
図3参照)。具体的には、円筒形金型12は、円筒状の芯金202を同軸状に囲む円筒状とされている。
【0055】
円筒形金型12の軸方向長さは、芯金202の軸方向長さもより短くなっている。円筒形金型12の内径は、芯金202の外径よりも大きくされている。
【0056】
芯金202が金型10に対して装着された状態において、芯金202の軸方向両端部は、円筒形金型12の両端部から突出する。また、芯金202が金型10に対して装着された状態において、芯金202の外壁(外周面)202Bと円筒形金型12の内壁(内周面)12Aとの間に円筒状(環状)の空間S1が形成されている。この空間S1は、未加硫ゴム(熱硬化性の液状ゴム)が充填される充填空間となっている。
【0057】
円筒形金型12に対しては、下金型14Bの後述の注入口18を通じて、軸方向一端部(下端部)から芯金202との間の空間S1に未加硫ゴムが注入される。
【0058】
(下金型14B)
下金型14Bは、円筒形金型12の軸方向一端部(下端部)に装着される金型である。なお、下金型14Bは「下」を付した名称となっているが、金型10の使用方法としては、下金型14Bを下側へ向けた状態で金型10を使用する場合に限られるものではない。
【0059】
下金型14Bは、
図1、
図2及び
図3に示されるように、円筒状に形成されている。下金型14Bの下端側(軸方向一端側)の内部には、芯金202の下端部(軸方向一端部)が嵌め込まれる嵌込孔17Bが形成されている。この嵌込孔17Bに対して芯金202の下端部が嵌め込まれることで、下金型14Bが芯金202の下端部を保持するようになっている。
【0060】
下金型14Bの上端側(軸方向他端側)の内部には、円筒形金型12の下端部(軸方向一端部)が嵌め込まれる嵌込孔17Aが形成されている。嵌込孔17Aに対して、円筒形金型12の下端部が嵌め込まれることで、下金型14Bが円筒形金型12の下端部に装着される。
【0061】
また、下金型14Bは、嵌込孔17Aに対して円筒形金型12の下端部が嵌め込まれた状態において、円筒形金型12の下端側の端面12Cに対向する対向面17Cを有している。この対向面17Cの内縁には、下金型14Bと芯金202との間を封止する封止部材としてのOリング21が装着される溝部17Dが形成されている。
【0062】
さらに、下金型14Bの嵌込孔17Bにおける径方向外側には、未加硫ゴムを注入するための注入口18が形成されている。この注入口18は、上下金型14の円筒形金型12に対する装着状態において、芯金202の外壁202Bと円筒形金型12の内壁12Aとの間の空間(充填空間)S1内と通じるようになっている。したがって、円筒形金型12には、下端部から芯金202との間に液状ゴムが注入される。下金型14Bには、注入口18を開閉可能な開閉部としてのシャッタ28が設けられている。
【0063】
なお、金型10では、下金型14Bの対向面17Cと、円筒形金型12の軸方向他端側の端面12Cとの間には、環状(リング状)の板部材27が挿入されている。板部材27は、注入口18から注入された未加硫ゴムを空間S1へ通過させる図示しない隙(溝)を有している。
【0064】
また、芯金202は、金型10(下金型14B)に対して下方側から挿入されるようになっている。
【0065】
(上金型14A)
上金型14Aは、円筒形金型12の軸方向他端部(上端部)に装着される金型である。なお、上金型14Aは、「上」を付した名称となっているが、金型10の使用方法としては、上金型14Aを上側へ向けた状態で金型10を使用する場合に限られるものではない。
【0066】
上金型14Aは、
図1、
図2及び
図3に示されるように、筒部の一例としての上金型本体部15と、上金型本体部15から上方へ突出する突出部16と、を有している。
【0067】
上金型本体部15は、円筒形金型12を囲む円筒状に形成されている。上金型本体部15の下端側(軸方向一端側)の内部には、円筒形金型12の上端部(軸方向他端部)が嵌め込まれる嵌込孔15Fが形成されている。上金型本体部15の嵌込孔15Fに対して円筒形金型12の上端部が嵌め込まれることで、上金型14Aが円筒形金型12の上端部に装着される。
【0068】
上金型本体部15は、嵌込孔15Fに対して円筒形金型12の上端部が嵌め込まれた状態において、円筒形金型12の外周面12Dを被覆するチューブ206に接触する内周面15Aを有している。換言すれば、内周面15Aは、円筒形金型12のチューブ206が被覆された外周面12Dに接触する。さらに換言すれば、内周面15Aは、チューブ206を介して、円筒形金型12の外周面12Dに接触する。
【0069】
また、上金型本体部15は、嵌込孔15Fに対して円筒形金型12の上端部が嵌め込まれた状態において、一部が円筒形金型12の上端面12Bを被覆するチューブ206に接触する接触面15Cを有している。換言すれば、接触面15Cは、円筒形金型12のチューブ206が被覆された上端面12Bに接触する。さらに換言すれば、接触面15Cは、チューブ206を介して、円筒形金型12の上端面12Bに接触する。
【0070】
この接触面15Cの内縁には、上金型14Aと芯金202との間を封止する封止部材としてのOリング19が装着される凹部15D(
図2参照)が形成されている。Oリング19によって、空間S1に充填された未加硫ゴムが、上金型14Aと芯金202との間から上方へ漏れ出さないようになっている。
【0071】
突出部16は、円筒状に形成されている。突出部16は、具体的には、上金型本体部15の上端から上方(上金型本体部15の軸方向外側)へ向けて同軸に突出している。
【0072】
突出部16の内部には、芯金202の上端部が嵌め込まれる嵌込孔16Aが形成されている。嵌込孔16Aの孔径は、嵌込孔15Fの孔径よりも小さくなっている。また、嵌込孔16Aと嵌込孔15Fは凹部15Dと介して繋がっている。突出部16の嵌込孔16Aに対して芯金202の上端部が嵌め込まれることで、上金型14Aが芯金202の上端部を保持するようになっている。
【0073】
(流通路20)
図5及び
図6に示されるように、上金型14Aには、円筒形金型12の上端部から流出した未加硫ゴムを流通させる複数の流通路20が形成されている。流通路20は、未加硫ゴムの空間S1への注入に伴い、ガスを抜くためのガスベントとしても機能する。
【0074】
流通路20は、例えば、上金型本体部15の周方向に沿って等間隔に複数配置されている。具体的には、流通路20は、上金型本体部15の周方向に沿って等間隔に(90度間隔に)4つ配置されている。なお、
図5及び
図6では、4つの流通路20のうち、3つの流通路20が図示されている。
【0075】
本実施形態では、4つの流通路20の全部が、それぞれ、流路40で構成されている。流路40は、第一溝41と、溝の一例としての第二溝42と、貫通部の一例としての切欠部44と、を有している。
【0076】
第一溝41は、上金型本体部15の径方向に沿って上金型本体部15の接触面15Cに形成されている。換言すれば、第一溝41は、上金型本体部15の内周側から外周側へ向かって上金型本体部15の接触面15Cに形成されている。具体的には、第一溝41は、凹部15Dの内周面15Eから上金型本体部15の内周面15Aへ達している。そして、第一溝41は、円筒形金型12の上端部から流出した未加硫ゴムを上金型本体部15の径方向外側へ向かって案内する。すなわち、第一溝41は、円筒形金型12の上端部から流出した未加硫ゴムを上金型本体部15の径方向外側へ向かって流通させる。なお、第一溝41の下側の開口は、円筒形金型12のチューブ206が被覆された上端面12Bで閉じられて、流路が形成される。すなわち、該流路の内壁の一部を上端面12Bが構成している。
【0077】
なお、上金型本体部15の径方向とは、上金型本体部15の軸方向に交差(具体的には直交)する交差方向である。
【0078】
第二溝42は、上金型本体部15の内周面15Aに上金型本体部15の軸方向に沿って形成されている。換言すれば、第二溝42は、上金型本体部15の上側から下側に向かって、上金型本体部15の内周面15Aに形成されている。第二溝42は、上金型本体部15の内周面15Aにおける上端から軸方向の中間部分に達しているが、上金型本体部15の内周面15Aの下端までは達していない。第二溝42の上端(流通方向の上流端)は、第一溝41の流通方向の下流端と通じている。
【0079】
そして、第二溝42は、第一溝41を上金型本体部15の径方向外側へ流通した未加硫ゴムを、上金型本体部15の軸方向に沿って、円筒形金型12の下端部側(下側)へ向かって案内する。すなわち、第二溝42は、第一溝41を上金型本体部15の径方向外側へ流通した未加硫ゴムを、上金型本体部15の軸方向に沿って、円筒形金型12の下端部側(下側)へ向かって流通させる。なお、第二溝42の開口は、円筒形金型12のチューブ206が被覆された外周面12Dで閉じられて、流路が形成される。すなわち、該流路の内壁の一部を外周面12Dが構成している。
【0080】
なお、未加硫ゴムは、空間S1内の内圧が予め定められた内圧に維持される流通抵抗を受けながら、第一溝41及び第二溝42を流通する。すなわち、第一溝41及び第二溝42は、流通(流動)する未加硫ゴムに対して、空間S1内の内圧が予め定められた内圧に維持される流通抵抗を付与する。
【0081】
換言すれば、本実施形態では、空間S1内の内圧が予め定められた内圧に維持された状態で、未加硫ゴムが第一溝41及び第二溝42を流通するように、第一溝41及び第二溝42の溝幅及び溝深さが設定されている。なお、第一溝41及び第二溝42の溝幅及び溝深さは、例えば、同じとされている。
【0082】
切欠部44は、上金型本体部15の内周面15Aから外周面15Bへ貫通している。すなわち、切欠部44は、上金型本体部15の径方向外側へ開口している。切欠部44は、円筒形金型12の下端部側(下側)へも開口している。切欠部44は、第二溝42の下流端(下端)と通じている。これにより、第二溝42を流通した未加硫ゴムが、切欠部44の内部に流入する。
【0083】
切欠部44の幅(上金型本体部15の周方向に沿った幅)は、第一溝41及び第二溝42の溝幅よりも広くされている。すなわち、第一溝41及び第二溝42の溝幅は、切欠部44の幅よりも狭くされている。
【0084】
切欠部44は、内壁面が、上金型本体部15の外周面側から見て角を有していない。具体的には、切欠部44は、内壁面が、上金型本体部15の外周面側から見てUの字状に形成されている。なお、Uの字状とは、円弧状部分と、円弧状部分における2つの端のそれぞれから伸びる直線部分と、を含む形状である。
【0085】
切欠部44は、流入した未加硫ゴムを上金型本体部15の外周面側へ露出させる機能を有している。すなわち、流路40は、未加硫ゴムが上金型本体部15の外周面側へ露出する位置へ未加硫ゴムを流通させる流路である。
【0086】
換言すれば、切欠部44は、未加硫ゴムを上金型本体部15の外周面側から視認させる機能を有している。すなわち、流路40は、未加硫ゴムが上金型本体部15の外周面側から視認される位置へ未加硫ゴムを流通させる流路である。
【0087】
(注入部80)
図3に示す注入部80は、円筒形金型12の下端部から円筒形金型12と芯金202との間の空間S1に未加硫ゴムを注入する注入部の一例である。注入部80は、具体的には、下金型14Bの注入口18を通じて、空間S1に未加硫ゴムを注入する。
【0088】
注入部80は、未加硫ゴムが注入口18から流路40の第二溝42まで流通する流通空間の容量よりも多い量の未加硫ゴムを注入する。換言すれば、注入部80は、円筒形金型12の上端部から流出した未加硫ゴムが切欠部44に流入するように注入する。
【0089】
注入部80は、未加硫ゴムが注入口18から流路40の切欠部44まで流通する流通空間の容量以下の量の未加硫ゴムを注入する。換言すれば、注入部80は、円筒形金型12の上端部から流出した未加硫ゴムが切欠部44に流入する容量が、切欠部44の容量以下となるように注入する。なお、注入部80は、例えば、未加硫ゴムを送液するポンプ等の送液部を有して構成されている。
【0090】
(加熱器50)
図1、
図2及び
図3に示す加熱器50は、未加硫ゴムを加熱して硬化させる機器である。本実施形態では、加熱器50は、芯金202を介して未加硫ゴムを加熱する。加熱器50は、具体的には、例えば、棒状の電熱式パイプヒーターで構成されている。加熱器50は、外周面が、芯金202の内周面に接触することで、芯金202を通じて未加硫ゴムを加熱する。加熱器50内には電熱線(図示せず)が挿入されており、電熱線には加熱器50の上端において電線50Aが結線されている。また、加熱器50には、加熱器50の温度を測定するための熱電対50Bが取付けられている。加熱器50では、熱電対50Bによって加熱器50の温度を測定し、未加硫ゴムの加熱温度を調整するようになっている。
【0091】
(ゴムロール製造方法)
次に、ゴムロール製造方法について説明する。
【0092】
本製造方法は、前述のゴムロールの製造装置100を用いて、ゴムロール200を製造する製造方法である。本製造方法は、具体的には、準備工程と、装着工程と、注入工程と、加熱工程と、清掃工程と、を有している。本製造方法では、準備工程、装着工程、注入工程、加熱工程及び清掃工程の順で、各工程行われる。
【0093】
(準備工程)
準備工程では、金型10を含むゴムロールの製造装置100を準備する。
【0094】
(装着工程)
装着工程は、被覆工程の一例としてのチューブ装着工程と、芯金装着工程と、を有している。
【0095】
チューブ装着工程では、円筒形金型12に対してチューブ206を装着する。具体的には、例えば、以下のように、チューブ206を装着する。
【0096】
まず、チューブ206の両端部が円筒形金型12の両端から突出するように、チューブ206を円筒形金型12に挿入する。そして、チューブ206の両端部における円筒形金型12の両端から突出した突出部分を円筒形金型12の両端の外周面(外壁)12Dに折り返すことにより、円筒形金型12に対してチューブ206が装着される。
【0097】
これにより、円筒形金型12における上金型本体部15の内周面に対向する外周面をチューブ206で被覆する。また、チューブ206は折り返されているため、チューブ206の内周面206A(外面の一例)が、上金型本体部15の内周面に対向する。
【0098】
チューブ206の内周面206Aは、前述のように、離型層が剥離された面である。また、チューブ206の内周面206Aは、硬化後のゴムが、金型10の後述の上金型14Aよりも付着されやすくなっている面である。
【0099】
芯金装着工程では、チューブ206が装着された円筒形金型12を含む金型10に対して、芯金202を装着する。具体的には、例えば、以下のように、芯金202を装着する。
【0100】
下金型14Bの嵌込孔17B側(下方)から芯金202を挿入して、芯金202を下金型14Bに対して装着し、その後、チューブ206が装着された円筒形金型12及び上金型14Aを、この順で、芯金202の上方から芯金202に対して被せて装着する。
【0101】
なお、本製造方法では、円筒形金型12にチューブ206が装着されることにより、未加硫ゴムが充填される空間(充填空間)S1は、芯金202の外壁202Bとチューブ206の内周面206Aとの間に形成されることになる。
【0102】
(注入工程)
注入工程では、シャッタ28が開けられた状態において、注入部80が、下金型14Bの注入口18を通じて、空間S1に未加硫ゴムを注入する。これにより、未加硫ゴムは、芯金202とチューブ206との間の空間(充填空間)S1内に充填される。
【0103】
具体的には、注入部80は、円筒形金型12の上端部から流出した未加硫ゴムが切欠部44に流入するように注入する。注入工程では、予め設定された注入時間(注入量)の未加硫ゴムが注入される。
【0104】
作業者は、未加硫ゴムが切欠部44に流入するか否かを目視にて確認する。また、作業者は、切欠部44に流入した未加硫ゴムの量が適量であるかを目視にて確認する。具体的には、切欠部44に流入した未加硫ゴムが切欠部44から溢れる量であるか否かを目視にて確認する。
【0105】
作業者が、切欠部44への未加硫ゴムの流入を視認することで、空間S1に未加硫ゴムが充填されたことが確認される。作業者が、切欠部44への未加硫ゴムの流入を視認できなかった場合は、作業者は、次回の注入工程の注入時間(注入量)の設定を変更する。すなわち、作業者は、次回の注入工程の注入時間(注入量)を長くする(多くする)。
【0106】
切欠部44に流入した未加硫ゴムが切欠部44から溢れる量である場合には、作業者は、次回の注入工程の注入時間(注入量)の設定を変更する。すなわち、作業者は、次回の注入工程の注入時間(注入量)を短くする(少なくする)。
【0107】
(加熱工程)
加熱工程では、芯金202の内部空間に加熱器50を挿入し、芯金202の内壁(内周面)202Aに加熱器50を接触させて芯金202をその内部から加熱する。
【0108】
加熱工程では、具体的には、未加硫ゴムを第1の温度(例えば、100℃〜160℃)に加熱して固形状態にする固形化工程と、当該固形化工程によって固形状態となった未加硫ゴムを第1の温度よりも高い第2の温度(例えば、190℃)で加熱して加硫する加硫工程と、を含んでいる。
【0109】
このように、未加硫ゴムが加熱されることにより、未加硫ゴムが硬化する。なお、上金型14Aの切欠部44に流入した未加硫ゴムも硬化する。
【0110】
そして、未加硫ゴムが硬化され、加硫ゴム(弾性ゴム)となったら、上下金型14を円筒形金型12から取り外し、加硫ゴム(弾性ゴム)が形成された芯金202を金型10から取り出す。このように、チューブ206が被覆されたゴムロール200(樹脂チューブ被覆ロール)が製造される。なお、ゴムロール200のゴム層204の軸方向両端から軸方向外側へはみ出したチューブ206が切断され、切断されたチューブ206は、そのチューブ206に付着したゴムともに廃棄される。
【0111】
(清掃工程)
清掃工程では、金型10を清掃する。具体的には、清掃工程では、金型10を分解して、上金型14Aの切欠部44で硬化した未加硫ゴムを除去する。
【0112】
(本実施形態の作用)
本実施形態では、
図3に示す注入部80が、下金型14Bの注入口18を通じて、円筒形金型12の下端部から芯金202とチューブ206との間の空間S1に未加硫ゴムを注入する(前述の注入工程参照)。
【0113】
円筒形金型12の下端部から空間S1に注入された未加硫ゴムは、空間S1内を円筒形金型12の上端部へ向かって流通して、空間S1に充填される。空間S1に充填された未加硫ゴムは、円筒形金型12の上端部から円筒形金型12の外側へ流出する。
【0114】
円筒形金型12の上端部から円筒形金型12の外側へ流出した未加硫ゴムは、
図6に示す各流路40の第一溝41、第二溝42及び切欠部44を、この順で流通する。第一溝41では、未加硫ゴムは、上金型本体部15の径方向外側へ向かって流通する。第二溝42では、未加硫ゴムは、上金型本体部15の軸方向に沿って、円筒形金型12の下端部側(下側)へ向かって流通する。そして、第二溝42を流通した未加硫ゴムが、切欠部44の内部に流入する。
【0115】
切欠部44は、上金型本体部15の内周面15Aから外周面15Bへ貫通している。このため、作業者によって、切欠部44の内部の未加硫ゴムが上金型14Aの外周側から視認される。作業者が、切欠部44の内部の未加硫ゴムを視認することで、未加硫ゴムが空間S1に充填されたことが確認される。
【0116】
なお、切欠部44は、円筒形金型12の下端部側(下側)へ開口しているので、作業者は、切欠部44の内部の未加硫ゴムを下側から視認してもよい。
【0117】
ここで、例えば、上金型本体部15には切欠部44が形成されておらず、流路40が第二溝42及び切欠部44に替えて、上金型本体部15の内周面15Aにおける上端から下端まで達する溝を有する構成(比較例)では、未加硫ゴムが以下のように視認される。すなわち、比較例の構成では、円筒形金型12と上金型本体部15の下端部との間から、上金型本体部15の下端部よりも下側へはみ出た未加硫ゴムが視認される。このように、比較例の構成では、未加硫ゴムが上金型本体部15の下端部よりも下側に到達しないと、未加硫ゴムが視認されない。
【0118】
これに対して、本実施形態では、切欠部44の内部に流入した未加硫ゴムを視認すればよい。すなわち、上金型本体部15の下端部よりも上側の位置で未加硫ゴムが視認される。したがって、本実施形態によれば、比較例の場合に比べ、円筒形金型12の上端部から円筒形金型12の外側へ流出した未加硫ゴムが視認可能な位置に到達するまでの経路の長さが短くなる。
【0119】
このように、未加硫ゴムが視認可能な位置に到達するまでの経路の長さが短くなるので、未加硫ゴムが注入口18から視認可能な位置へ到達するまでの時間が短縮される。このため、未加硫ゴムの注入時間が短縮される。この結果、ゴムロールの製造時間が短縮され、ゴムロールの生産性が向上する。
【0120】
また、上金型本体部15の下端部よりも上側の位置で未加硫ゴムを流通させればよいので、比較例の場合に比べ、チューブ206よりも下側に未加硫ゴムが垂れて、円筒形金型12の外周面12Dに付着することが抑制される。また、チューブ206が被覆されていないとしても、円筒形金型12の外周面12Dに付着する未加硫ゴムの軸方向に沿った範囲が小さくなる。このため、円筒形金型12の清掃が容易となる。
【0121】
本実施形態では、前述のように、切欠部44は、円筒形金型12の下端部側(下側)へ開口しているので、作業者は、切欠部44の内部の未加硫ゴムを下側から視認してもよい。このため、作業者が、二方向のいずれから未加硫ゴムの視認を行ってもよく、一方向からしか視認できない場合に比べ、視認方向の自由度が高い。
【0122】
さらに、切欠部44は、円筒形金型12の下端部側(下側)へも開口しているので、下側が閉じた構成に比べ、切欠部44の内部に流入した未加硫ゴム(硬化後のゴム)を上金型14Aから除去しやすい。
【0123】
また、本実施形態では、切欠部44は、内壁面が、上金型本体部15の外周面側から見て角を有していない。このため、切欠部44の内壁面が、上金型本体部15の外周面側から見て角を有する構成に比べ、切欠部44内部の角部分(隅部分)に未加硫ゴムが詰まりにくく、切欠部44の内部に流入した未加硫ゴム(硬化後のゴム)を上金型14Aから除去しやすい。
【0124】
具体的には、切欠部44は、内壁面が、上金型本体部15の外周面側から見てUの字状に形成されている。このため、切欠部44の内壁面が、上金型本体部15の外周面側から見てVの字状に形成されている場合に比べ、切欠部44内部の角部分(隅部分)に未加硫ゴムが詰まりにくく、切欠部44の内部に流入した未加硫ゴム(硬化後のゴム)を上金型14Aから除去しやすい。
【0125】
本実施形態では、注入部80は、円筒形金型12の上端部から流出した未加硫ゴムが切欠部44に流入する容量が、切欠部44の容量以下となるように未加硫ゴムを金型10に注入する。このため、切欠部44に流入する未加硫ゴムの容量が、切欠部44の容量を超える場合に比べ、未加硫ゴムが上金型本体部15の下端部よりも下側にはみ出しにくく、円筒形金型12の外周面12Dに未加硫ゴムが付着することが抑制される。
【0126】
本実施形態では、注入工程の前の被覆工程において、円筒形金型12における上金型本体部15の内周面に対向する外周面をチューブ206で被覆する。これにより、チューブ206は、第二溝42と、貫通部としての切欠部44に対向する。このため、円筒形金型12の外周面が上金型本体部15の内周面に直接対向する場合に比べ、第二溝42及び切欠部44を流通した未加硫ゴムが円筒形金型12の外周面に付着することが抑制される。
【0127】
また、本実施形態では、上金型本体部15の内周面に対向するチューブ206の内周面206Aは、離型層が剥離されているので、硬化後のゴムが上金型本体部15の内周面よりもチューブ206に付着しやすい。このため、切欠部44内部に流入した未加硫ゴム(硬化後のゴム)を上金型14Aから除去しやすい。
【0128】
本実施形態では、流路40は、上金型本体部15を貫通していない第一溝41及び第二溝42を有している。このため、例えば流路40が第二溝42を有せずに第一溝41及び切欠部44で構成されている場合に比べ、空間S1に未加硫ゴムが注入される際の円筒形金型12の内圧が高く維持される。
【0129】
本実施形態では、第一溝41及び第二溝42の溝幅が、切欠部44の幅よりも狭くされている。このため、第一溝41及び第二溝42の溝幅が、切欠部44の幅以上である構成に比べ、空間S1に未加硫ゴムが注入される際の円筒形金型12の内圧が高く維持される。
【0130】
このように、空間S1に未加硫ゴムが注入される際の円筒形金型12の内圧が高く維持されるので、製造されるゴム層204の外径が部分的に小さくなる形状不良が抑制される。
【0131】
(流路40の変形例としての流路140)
流通路20を構成する流路としては、
図7及び
図8に示されるように、流路40に替えて流路140を用いてもよい。流路140は、前述の切欠部44に替えて、貫通部の一例としての孔144を有している。すなわち、流路140は、第一溝41と、第二溝42と、孔144と、を有している。
【0132】
孔144は、上金型本体部15の下端部よりも上側の位置において、上金型本体部15の内周面15Aから外周面15Bへ貫通している。すなわち、孔144は、上金型本体部15の径方向外側へ開口している。孔144は、上金型本体部15の外周側から見て円形状とされた円孔である。
【0133】
孔144は、切欠部44と異なり、円筒形金型12の下端部側(下側)へは開口していない。すなわち、孔144は、円筒形金型12の下端部側(下側)に対して閉じている。孔144は、第二溝42の下流端(下端)と通じている。
【0134】
孔144の幅(直径)は、第一溝41及び第二溝42の溝幅よりも広くされている。すなわち、第一溝41及び第二溝42の溝幅は、 孔144の幅(直径)よりも狭くされている。
【0135】
孔144は、上金型本体部15の外周面側から見て円形状に形成された円孔とされている。換言すれば、孔144は、上金型本体部15の外周面側から見て角を有していない孔である。孔144は、未加硫ゴムを上金型本体部15の外周面側へ露出させる機能を有している。
【0136】
本変形例では、前述のように、流路140では、孔144が円筒形金型12の下端部側(下側)に対して閉じている。このため、円筒形金型12の下端部側(下側)に開口する構成に比べ、孔144に流入した未加硫ゴムが円筒形金型12の下端部側(下側)へ流れにくい。
【0137】
また、孔144は円孔であるので、四角形状の孔である構成に比べ、孔144内に流入した未加硫ゴムが、孔144内部の角部分に詰まりにくく、孔144内部に流入した未加硫ゴムを上金型14Aから除去しやすい。
【0138】
(流路40、140の他の変形例)
流路40は、第一溝41と、第二溝42と、切欠部44と、を有していたが、これに限られない。また、流路140は、第一溝41と、第二溝42と、孔144と、を有していたが、これに限られない。
【0139】
流路の一例としては、第一溝41を有さない構成であってもよい。すなわち、流路の一例としては、第二溝42と切欠部44(又は孔144)とで構成される流路であってもよい。この場合、上金型本体部15の接触面15Cは、例えば、平面状に形成される。
【0140】
また、流路の一例としては、第二溝42を有さない構成であってもよい。すなわち、流路の一例としては、第一溝41と切欠部44(又は孔144)とで構成される流路であってもよい。この場合では、例えば、切欠部44(又は孔144)は、第一溝41の下流端と通じるように構成される。
【0141】
さらに、流路の一例としては、第一溝41及び第二溝42を有さない構成であってもよい。すなわち、流路の一例としては、切欠部44(又は孔144)で構成される流路であってもよい。
【0142】
なお、第二溝42を有さない流路の場合では、切欠部44(又は孔144)は、上金型本体部15の内周面15Aにおける上端から下端まで達する構成であってもよい。
【0143】
切欠部44の内壁面は、上金型本体部15の外周面側から見てUの字状に形成されていたが、切欠部44の内壁面の形状は、これに限られない。例えば、切欠部44の内壁面の形状がV字状や、矩形状であってもよい。
【0144】
(流通路20の変形例)
前述の構成では、4つの流通路20の全部が、流路40で構成されていたが、4つの流通路20の一部が流路40で構成されていてもよい。したがって、4つの流通路20の一部であって、複数の流通路20が流路40で構成されていてもよい。また、4つの流通路20のうち、1つの流通路20が流路40で構成されていてもよい。
【0145】
4つの流通路20のうち、流路40以外の流通路20は、
図9に示されるように、例えば、流路70で構成される。流路70は、第一溝71と、第二溝72と、を有している。第一溝71は、第一溝41と同様に構成されているので、ここでは説明を省略する。
【0146】
第二溝72は、上金型本体部15の内周面15Aに上金型本体部15の軸方向に沿って形成されている。第二溝72は、上金型本体部15の内周面15Aにおける上端から下端まで達している。したがって、第二溝72の軸方向長さは、流路40の第二溝42の軸方向長さよりも長くなっている。第二溝72の上端(流通方向の上流端)は、第一溝71の流通方向の下流端と通じている。第一溝71及び第二溝72の溝幅及び溝深さは、同じとされている。第二溝72は、第一溝71を上金型本体部15の径方向外側へ流通した未加硫ゴムを円筒形金型12の下端部側(下側)へ向かって流通させる。
【0147】
流路40によれば、前述のように、未加硫ゴムが視認可能な位置に到達するまでの経路の長さが短くなるため、流路40以外の流通路20(例えば、流路70)を流通する未加硫ゴムよりも先に未加硫ゴムが視認される。このため、未加硫ゴムが円筒形金型12の空間S1に充填されたことを確認するために、流路40を視認すればよい。したがって、4つの流通路20の一部が流路40である構成では、複数の流通路20の全部が流路40である場合に比べ、未加硫ゴムが円筒形金型12の空間S1に充填されたことを確認するために視認する流通路の数が少なくて済む。
【0148】
さらに、4つの流通路20のうち、1つの流通路20が流路40である構成では、4つの流通路20が複数の流路40を有する場合に比べ、未加硫ゴムが円筒形金型12の空間S1に充填されたことを確認するために視認する流通路の数が少なくて済む。
【0149】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成しても良い。