【実施例】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施例にかかる車両バンパ構造100が備えるバンパ102を示す図である。
図1(a)のバンパ102は車両後方側のリアバンパであり、この
図1(a)はバンパ102を車両後方から正対して示している。以下、
図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で例示する。
【0018】
バンパ102は、樹脂製であって、車体に着脱可能に取り付けられる。バンパ102には、車幅方向の中央のライセンスプレート108が配置される範囲に凹部104が設けられて、凹部104のさらに車幅方向の中央の範囲に開口106が設けられている。破線で示すライセンスプレート108は、開口106を通して車体(図示省略)に固定される。開口106の車幅方向の幅W1は、ライセンスプレート108の車幅方向の幅W2よりも車幅方向に広く形成されている。バンパ102は、ライセンスプレート108を車体に固定したまま取り外すことが可能になっていて、その際には開口106にライセンスプレート108を通すように移動させて車体から取り外す。
【0019】
図1(b)は、
図1(a)のバンパ102を車両前方の左上側から示した斜視図である。凹部104は、バンパ102の車幅方向中央の所定範囲に形成されていて、車体に向かって周囲よりも一段下がるように凹んでいる。
【0020】
開口106は、凹部104の上壁107から、ライセンスプレート108(
図1(a)参照)が重なる縦壁109にわたって、凹部104の角を切り取るように形成されている。上述したように、開口106は、ライセンスプレート108が車体に固定した状態のライセンスプレート108が通過できるよう、車幅方向においてライセンスプレート108よりも幅広に形成されている。開口106の周辺には、剛性を確保するために補強部110が設けられている。
【0021】
図2は、
図1(b)の補強部110を拡大して示した図である。
図2(a)は、
図1(b)と同じ方向から示した斜視図である。補強部110は、バンパ102の車体側に設けられていて、開口106の上側および両脇に沿ってバンパ102に接続され、開口106の周辺を補強している。補強部110は、樹脂製のバンパ102と一体成形されていて、バンパ102の上縁112と第1薄肉ヒンジ114でつながっている。
【0022】
補強部110の各部位を詳しく説明する。脚部領域116は、バンパ102の上縁112から第1薄肉ヒンジ114を介して延びている部位である。第1薄肉ヒンジ114は、周囲よりも肉厚が薄く、回動可能になっている。脚部領域116の先には、第2薄肉ヒンジ118を介して基礎領域120が設けられている。
【0023】
基礎領域120は、開口106の上縁に沿ってバンパ102に接続され、開口106よりも車幅方向外側にまで延びている。基礎領域120は、車幅方向の両端に設けられた接続部122a、122bでバンパ102に接続される。日本国の法規では、後方のライセンスプレートにはライセンスランプを併設することが義務付けられる。基礎領域120はライセンスランプ(図示省略)の設置場所としても利用され、車幅方向の両端側にランプ取付部124a、124bが設けられている。
【0024】
延長領域126a、126bは、基礎領域120の車幅方向の両端側に一対設けられている。延長領域126a、126bは、基礎領域120から凹部104の上壁107および縦壁109にわたり開口106の側縁に沿って屈曲しながら延び、下端側の接続部128a、128bでバンパ102に接続される。
【0025】
図2(b)は、
図2(a)の補強部110を車両前方から正対して示している。基礎領域120の接続部122a、122bと、延長領域126aの接続部128a、128bとによって、補強部110は開口106の角を囲むようにしてバンパ102に接続されている。
【0026】
図3は、
図2(b)のバンパ102のA−A断面図である。
図3に示すように、開口106の角付近(
図2(b)参照)を挟んで、接続部122aと接続部128aが上下に設けられている。特に、補強部110は、凹部104(
図2(b)参照)の上壁107および縦壁109に沿って屈曲した形状になっていて、断面2次モーメントが高い。これら構成によって、補強部110は、バンパ102の開口106の周辺を効率よく補強し、開口106の周辺の剛性向上を達成している。
【0027】
図4は、
図2(b)の補強部110を折り畳む過程を示した図である。
図4の各図は、補強部110を車幅方向の左側から見て概略的に示している。上述したように、補強部110は、樹脂製のバンパ102と一体成形されている。特に、補強部110は、第1薄肉ヒンジ114によってバンパ102に回転可能につながれていて、第1薄肉ヒンジ114さらには第2薄肉ヒンジ118を回転させるように折り畳むことで姿勢が変わり、バンパ102への接続位置に移動する。
【0028】
図4(a)は、折り畳む前の状態の補強部110を示している。補強部110は、第1薄肉ヒンジ114を介してバンパ102の上縁112(
図2(a)参照)から延長するように設けられている。
図4(b)は、
図4(a)の第2薄肉ヒンジ118を折り曲げた状態の補強部110を示している。第2薄肉ヒンジ118は、脚部領域116と基礎領域120との間に設けられていて、脚部猟奇116に対して基礎領域120を回転可能にする。
【0029】
図4(c)は、
図4(b)の第1薄肉ヒンジ114を折り曲げた状態の補強部110を示している。第1薄肉ヒンジ114は、脚部領域116の付け根に位置していて、脚部領域116を介して基礎領域120も回転可能にしている。第1薄肉ヒンジ114を折り曲げることで、補強部110の全体はバンパ102側に向かって移動し、基礎領域120および延長領域126a、126b(
図3参照)がバンパ102に接触した状態になる。例えば、基礎領域120は、バンパ102に設けた台座130(ライセンスランプの取付台座など)に接触し、接続部122a(
図3参照)にボルト等を使用してバンパ102に接続される。
【0030】
本実施例によれば、補強部110がバンパ102と一体成形されているため、補強部110をバンパ102との別部品として実施する場合に比べて構成が簡潔で部品点数も少なく、汎用性やコストの面で有利である。また、各薄肉ヒンジで折り畳むことで姿勢を変えて開口106の周辺に接続する構成によって、開口106の周辺をあらかじめ肉厚に形成する場合に比べて、材料歩留りや車両重量の面で有利である。
【0031】
再び
図2(b)を参照する。補強部110には、一対の遮蔽領域132a、132bも設けられている。遮蔽領域132a、132bは、一対の延長領域126a、126nからそれぞれ車幅方向内側に張り出してライセンスプレート108(
図1(a)参照)の背後へと延び、ライセンスプレート108の両脇にて開口106を遮る。したがって、補強部110は、バンパ102を補強しつつ、同時にライセンスプレート108の両脇の開口を遮ることで車体の露出を防ぐことができる。この構成であれば、補強部110を利用して遮蔽するため、部品点数を増やすことなく、車両の美観を維持することが可能になる。
【0032】
図2(a)を参照する。補強部110には、遮蔽領域132a、132bの上側に切欠部134a、134bも設けられている。切欠部134a、134bでは、一対の遮蔽領域132aのうち、凹部104の上壁107に沿って開口106を遮っている部分が切り欠かれた状態になっている。本実施形態では、後述する
図6(a)に示すように、バンパ102を車体に取り付けたときに、切欠部134a、134bは、ライセンスプレート108から上方へ延びる延長線L1の線上に設けられている。
【0033】
切欠部134a、134bは、バンパ102を車体から取り外すときに、開口106と共にライセンスプレート108が通過する経路として利用される。この構成であれば、補強部110によって開口106の周辺を補強しつつも、バンパ102の着脱作業時におけるライセンスプレート108の通過経路を好適に確保することが可能になる。
【0034】
図5は、
図2(b)の矢視B図である。遮蔽領域132a、132bは同じ構成であるため、遮蔽領域132aを挙げて説明する。
図5に示すように、遮蔽領域132aのうち、凹部104の縦壁109に沿って開口106を遮っている部分には、傾斜部136が設けられている。傾斜部136は、下方へ向かうほど次第にライセンスプレート108に近づくよう車両後方側へ傾斜している。
【0035】
図6は、
図2(b)のバンパ102を車体から取り外す過程を示した図である。
図6(a)は、
図2(b)のC−C断面に対応して示している。バンパ102は、上側を車両後方へ倒しつつ、ライセンスプレート108が切欠部134aを通るように、車両下方へと引き抜く。このとき、上述した傾斜部136がライセンスプレート108を案内するガイドとして機能する。
【0036】
図6(b)は、
図6(a)のバンパ102を車両後方へ倒した状態を示している。バンパ102を車両後方へ倒すと、傾斜部136にはライセンスプレート108の上端などが接触し、ライセンスプレート108は上端が切欠部134aを向くように案内される。このように、傾斜部136は、バンパ102の着脱作業時にライセンスプレート108が開口106を通過する際のガイドとして利用され、作業効率を向上させることが可能になっている。
【0037】
以上説明したように、本実施例であれば、部品点数を抑えた簡潔な構成の車両用バンパ構造100を実現可能である。このうち、バンパ102の開口106は、成形後に後加工によって設けてもよい。車両用バンパ構造100は、構成が簡潔であり、国内仕様の場合はバンパ102に開口106を設け、輸出仕様の場合は開口106を設けずそのまま運用するなど、国内仕様と輸出仕様とで構成の大部分を共通して運用することが可能である。
【0038】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。