(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電池の充電後に得られる前記電池の充電率と前記電池の開回路電圧との対応関係を示す充電用SOC−OCV曲線、前記電池の放電後に得られる前記充電率と前記開回路電圧との対応関係を示す放電用SOC−OCV曲線、及び、前記充電用SOC−OCV曲線と前記放電用SOC−OCV曲線との間の線分を所定の内分点で内分するときの内分比と、充放電開始時の前記電池の容量と充放電終了時の前記電池の容量との容量差との対応関係を示す内分比情報を記憶する記憶部と、
現在の前記容量差が閾値以上である場合、前記充電用SOC−OCV曲線または前記放電用SOC−OCV曲線を参照して、現在の前記開回路電圧に対応する充電率を、現在の前記充電率として推定し、現在の前記容量差が前記閾値未満である場合、前記内分比情報を参照して、現在の前記容量差に対応する内分比を求め、その求めた内分比と、現在の前記開回路電圧と、前記充電用SOC−OCV曲線と、前記放電用SOC−OCV曲線とを用いて、現在の前記充電率を推定する充電率推定部と、
を備え、
前記充電率推定部は、前記電池を搭載した車両が走行停止している場合、前記電池の自己放電電流値、及び、前記電池から補機へ流れる暗電流値の少なくとも1つを、前記車両の停止時間で積算することにより、現在の前記容量差を求める
ことを特徴とする電池パック。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態の電池パックの一例を示す図である。
図1に示す電池パック1は、車両Ve(例えば、エンジン車またはハイブリッド車など)に搭載され、電池Bと、リレーReと、電流検出部2と、電圧検出部3と、記憶部4と、充電率推定部5とを備える。
【0013】
なお、電圧検出部3及び充電率推定部5は、電池パック1の内部に設けられる補機であり、電池Bから供給される電力により駆動する。
また、車両Veは、電池パック1の他に、走行制御部6と、第1の負荷制御部7と、第2の負荷制御部8とを備える。
【0014】
なお、走行制御部6、第1の負荷制御部7、及び第2の負荷制御部8は、電池パック1の外部に設けられる補機であり、電池Bから供給される電力により駆動する。
走行制御部6は、例えば、車両Ve全体の動作制御を行うECU(Electronic Control Unit)であり、車両Veがエンジン車である場合、EFI(Electrical Fuel Injection)−ECUとし、車両Veがハイブリッド車である場合、HV(Hybrid Vehicle)−ECUとする。
【0015】
第1の負荷制御部7は、例えば、イモビライザーなど、車両Veが走行停止している場合に動作し続ける必要がある負荷の動作制御を行うECUである。なお、車両Veが走行停止している場合とは、例えば、イグニッションキーがオフの場合である。
【0016】
第2の負荷制御部8は、例えば、エアコンディショナなど、車両Veが走行停止している場合に動作し続ける必要がない負荷の動作制御を行うECUである。
電池Bは、例えば、1つ以上の二次電池(リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、または電気二重層コンデンサなど)により構成される。
【0017】
リレーReは、例えば、電磁式リレーにより構成され、電池Bと電池パック1の外部に設けられる補機(例えば、走行制御部6、第1の負荷制御部7、及び第2の負荷制御部8)との間に接続されている。
【0018】
例えば、リレーReが閉状態である場合で、かつ、車両Veが走行している場合、不図示のオルタネータから電池Bへ電力が供給されると、電池Bが充電される。
また、リレーReが閉状態である場合で、かつ、車両Veが走行停止している場合、不図示の救援車のバッテリや充電器から電池Bへ電力が供給されると、電池Bが充電される。
【0019】
また、リレーReが閉状態である場合で、かつ、車両Veが走行している場合、電池Bから電圧検出部3、充電率推定部5、走行制御部6、第1の負荷制御部7、及び第2の負荷制御部8へ電力が供給され、電池Bが放電される。
【0020】
また、リレーReが閉状態である場合で、かつ、車両Veが走行停止している場合、電池Bから電圧検出部3、充電率推定部5、走行制御部6、及び第1の負荷制御部7へ電力が供給され、電池Bが放電される。
【0021】
また、リレーReが開状態である場合で、かつ、車両Veが走行停止している場合、電池Bから電圧検出部3及び充電率推定部5へ電力が供給され、電池Bが放電される。
なお、車両Veが走行停止している場合、電池Bの自己放電により電池Bに流れる電流は、電流検出部2により検出することができないほど微小な電流であり、以下、自己放電電流値とする。
【0022】
また、車両Veが走行停止している場合で、かつ、電池Bから電圧検出部3、充電率推定部5、走行制御部6、及び第1の負荷制御部7へスリープ状態を維持するための電力が供給されている場合、電池Bに流れる電流は、電流検出部2により検出することができないほど微小な電流であり、以下、暗電流値とする。
【0023】
電流検出部2は、例えば、シャント抵抗またはホール素子により構成され、電池Bに流れる電流Iを検出する。
電圧検出部3は、電池Bの電圧Vを検出する監視ECUであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)など)により構成される。
【0024】
記憶部4は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成され、充電用SOC−OCV曲線、放電用SOC−OCV曲線、及び容量差と内分比との対応関係を示す内分比情報を記憶する。
【0025】
図2は、記憶部4に記憶される充電用SOC−OCV曲線及び放電用SOC−OCV曲線の一例を示す図である。なお、
図2に示すグラフの縦軸は電池Bの開回路電圧を示し
横軸は電池Bの充電率を示している。
【0026】
電池Bは、分極が大きく、かつ、分極解消に長時間を要するものであって、充電後に得られる電池Bの充電率SOC(State Of Charge)と開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)との対応関係を示す充電用SOC−OCV曲線と、放電後に得られる電池Bの充電率SOCと開回路電圧OCVとの対応関係を示す放電用SOC−OCV曲線とが互いに異なる特性を有しているものとする。なお、充電率SOCは、電池Bの満充電容量に対する電池Bの現在の容量の割合[%]を示すものとする。また、充電用SOC−OCV曲線及び放電用SOC−OCV曲線は、例えば、実験またはシミュレーションにより取得されるものであり、電池Bの充電または放電が終了してから所定時間T1経過後に取得されるものとする。
【0027】
図3(a)は、記憶部4に記憶される内分比情報の一例を示す図である。なお、
図3(a)に示すグラフの縦軸は内分比を示し横軸は容量差を示している。また、
図3(a)に示す曲線は内分比情報を示している。また、
図3(b)及び
図3(c)は、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線と内分比pとの関係を示す図である。
図3(b)及び
図3(c)に示すグラフの縦軸は開回路電圧を示し横軸は充電率を示している。また、
図3(b)に示す充電後の真の充電率は、例えば、実験またはシミュレーションにより取得される値であり、放電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点d1が放電用SOC−OCV曲線上に乗っている状態から予め決められた容量分充電したときに求められる充電率とする。また、
図3(b)に示す所定時間T1経過後の開回路電圧は、例えば、実験またはシミュレーションにより取得される値であり、予め決められた容量分充電してから所定時間T1経過後に取得される開回路電圧とする。また、
図3(c)に示す放電後の真の充電率は、例えば、実験またはシミュレーションにより取得される値であり、充電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点c1が充電用SOC−OCV曲線上に乗っている状態から予め決められた容量分放電したときに求められる充電率とする。また、
図3(c)に示す所定時間T1経過後の開回路電圧は、例えば、実験またはシミュレーションにより取得される値であり、予め決められた容量分放電してから所定時間T1経過後に取得される開回路電圧とする。
【0028】
充電後の電池Bの容量と充電前の電池Bの容量との容量差が
図3(a)に示す閾値Cth以上である場合、充電後の電池Bの開回路電圧に対応する充電後の電池Bの充電率は、
図2に示す充電用SOC−OCV曲線に示される充電率SOCと一致する。すなわち、電池Bが十分に充電された場合、充電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点は、
図2に示す充電用SOC−OCV曲線上に乗る。
【0029】
また、放電前の電池Bの容量と放電後の電池Bの容量との容量差が
図3(a)に示す閾値Cth以上である場合、放電後の電池Bの開回路電圧OCVに対応する放電後の電池Bの充電率は、
図2に示す放電用SOC−OCV曲線に示される充電率SOCと一致する。すなわち、電池Bが十分に放電された場合、放電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点は、
図2に示す放電用SOC−OCV曲線上に乗る。
【0030】
このように、電池Bが十分に充放電される場合では、充放電前の電池Bの容量や充放電後の電池Bの容量がどのような値であっても、充放電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点が
図2に示す充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線のどちらか一方に乗るため、
図2に示す充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線のどちらか一方を使用して、現在の充電率を精度良く推定することができる。
【0031】
また、
図3(a)に示す内分比情報に示される内分比は、例えば、
図3(b)に示すように、放電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点d1が放電用SOC−OCV曲線上に乗っている状態から予め決められた容量(閾値Cthよりも小さい値であって、例えば、
図3(a)に示す容量差a)分充電してから所定時間T1経過後の開回路電圧を所定の内分点として、交点d1が放電用SOC−OCV曲線上に乗っている状態から所定の充電率分充電された後の電池Bの真の充電率と放電用SOC−OCV曲線との交点に対応する第1の開回路電圧と、交点d1が放電用SOC−OCV曲線上に乗っている状態から所定の充電率分充電された後の電池Bの真の充電率と充電用SOC−OCV曲線との交点に対応する第2の開回路電圧との間の線分を、第1の開回路電圧を基準とするp:(1−p)に内分するときの内分比pとする。
【0032】
または、
図3(a)に示す内分比情報に示される内分比は、例えば、
図3(c)に示すように、充電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点c1が充電用SOC−OCV曲線上に乗っている状態から予め決められた容量(閾値Cthよりも小さい値であって、例えば、
図3(a)に示す容量差a)分放電してから所定時間T1経過後の開回路電圧を所定の内分点として、交点c1が充電用SOC−OCV曲線上に乗っている状態から所定の充電率分放電された後の電池Bの真の充電率と充電用SOC−OCV曲線との交点に対応する第3の開回路電圧と、交点c1が充電用SOC−OCV曲線上に乗っている状態から所定の充電率分放電された後の電池Bの真の充電率と放電用SOC−OCV曲線との交点に対応する第4の開回路電圧との間の線分を、第3の開回路電圧を基準とするp:(1−p)に内分するときの内分比pとする。
【0033】
放電後の電池Bの充電率と開回路電圧とが対応する点が放電用SOC−OCV曲線上に存在している状態から電池Bが充電された場合で、かつ、充電後の電池Bの容量と充電前の電池Bの容量との容量差が閾値Cth未満である場合、内分比情報から求められる内分比は、
図3(b)に示すように、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間の開回路電圧軸方向の線分において、充電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点d2が放電用SOC−OCV曲線からどのくらい離れているかを示している。
【0034】
充電後の電池Bの充電率と開回路電圧とが対応する点が充電用SOC−OCV曲線上に存在している状態から電池Bが放電された場合で、かつ、放電前の電池Bの容量と放電後の電池Bの容量との容量差が閾値Cth未満である場合、内分比情報から求められる内分比は、
図3(c)に示すように、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間の開回路電圧軸方向の線分において、放電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点c2が充電用SOC−OCV曲線からどのくらい離れているかを示している。
【0035】
このように、充電前後または放電前後の容量差が閾値Cth未満である場合では、充電前後または放電前後の容量差から内分比を求め、その求めた内分比から充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間に存在する開回路電圧と充電率との交点を一意に決めることができる。
【0036】
図1に示す充電率推定部5は、電池Bの充電または放電の制御を行う制御ECUであり、例えば、CPU、マルチコアCPU、またはプログラマブルなデバイス(FPGAやPLDなど)により構成される。
【0037】
また、充電率推定部5は、電池Bの充電終了時または電池Bの放電終了時、第1の充電率推定処理を行う。
また、充電率推定部5は、車両Veが走行停止している場合、所定時間T3経過毎に、第2の充電率推定処理を行う。例えば、充電率推定部5は、車両Veを走行停止させた旨の情報を走行制御部6から受信すると、車両Veの走行停止が開始したと判断し、車両Veを走行開始させた旨の情報を走行制御部6から受信すると、車両Veの走行停止が終了したと判断する。
【0038】
また、充電率推定部5は、車両Veが走行停止している場合、電圧検出部3により検出される電圧Vまたは電池Bの充電率が閾値以下になると、リレーReを閉状態から開状態にする。これにより、車両Veが走行停止している時、自己放電電流値や暗電流値により、電池Bが過放電状態になることを防止することができる。なお、充電率推定部5は、電池Bの電圧Vまたは電池Bの充電率が閾値より大きい時、リレーReを閉状態に保つ。
【0039】
図4は、第1の充電率推定処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図4は、充電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点が充電用SOC−OCV曲線上に乗っている状態から電池Bの放電が開始された後の充電率推定部5の動作の一例、または、放電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点が放電用SOC−OCV曲線上に乗っている状態から電池Bの充電が開始された後の充電率推定部5の動作の一例を示している。
【0040】
まず、充電率推定部5は、充電または放電が終了し(S41:Yes)、所定時間T2経過すると(S42:Yes)、現在の容量差が閾値Cth以上であるか否かを判断する(S43)。なお、所定時間T2は、上記所定時間T1と同じ時間でもよいし、異なる時間でもよい。また、例えば、充電率推定部5は、電池Bの充電開始から充電終了までの間、または、電池Bの放電開始から放電終了までの間において、検出タイミング毎に電流検出部2により検出される電流Iの積算値ΔI[Ah]を求め、その求めた積算値ΔIを、現在の容量差とする。または、例えば、充電率推定部5は、ΔV=|充放電前の電池Bの電圧−充放電後の電池Bの電圧|を計算し、その計算結果であるΔVを、現在の容量差とする。または、例えば、充電率推定部5は、ΔSOC[%]=(|充放電前の電池Bの容量[Ah]−充放電後の電池Bの容量[Ah]|/電池Bの満充電容量[Ah])×100を計算し、その計算結果であるΔSOCを、現在の容量差とする。
【0041】
次に、充電率推定部5は、現在の容量差が閾値Cth以上である場合(S43:Yes)、現在の開回路電圧を取得し(S44)、記憶部4に記憶されている充電用SOC−OCV曲線または放電用SOC−OCV曲線を参照して、現在の開回路電圧に対応する充電率SOCを求め、その求めた充電率SOCを、現在の充電率として推定する(S45)。
【0042】
例えば、充電率推定部5は、リレーReを閉状態にさせているときで、かつ、電流検出部2により検出される電流Iがゼロまたは略ゼロである場合、電圧検出部3により検出される電圧Vを現在の電池Bの開回路電圧として取得する。
【0043】
また、例えば、充電率推定部5は、充電終了時の電池Bの容量と充電開始時の電池Bの容量との容量差(現在の容量差)が閾値Cth以上である場合、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、充電用SOC−OCV曲線上に存在していると判断し、
図2に示す充電用SOC−OCV曲線を参照して、現在の開回路電圧に対応する充電率SOCを求め、その求めた充電率SOCを、現在の充電率として推定する。このように、充電終了時の電池Bの容量と充電開始時の電池Bの容量との容量差が閾値Cth以上である場合、現在の開回路電圧に対応する現在の充電率はすべて充電用SOC−OCV曲線に示される充電率SOCと一致するため、現在の開回路電圧から一意に現在の充電率を推定することができる。
【0044】
また、例えば、充電率推定部5は、放電開始時の電池Bの容量と放電終了時の電池Bの容量との容量差(現在の容量差)が閾値Cth以上である場合、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、放電用SOC−OCV曲線上に存在していると判断し、
図2に示す放電用SOC−OCV曲線を参照して、現在の開回路電圧に対応する充電率SOCを求め、その求めた充電率SOCを、現在の充電率として推定する。このように、放電開始時の電池Bの容量と放電終了時の電池Bの容量との容量差が閾値Cth以上である場合、現在の開回路電圧に対応する現在の充電率はすべて放電用SOC−OCV曲線に示される充電率SOCと一致するため、現在の開回路電圧から一意に現在の充電率を推定することができる。
【0045】
一方、充電率推定部5は、現在の容量差が閾値Cth未満であると判断すると(S43:No)、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間に存在していると判断し、現在の容量差を用いて内分比を求める(S46)。例えば、充電率推定部5は、
図3(a)に示す内分比情報を参照して、現在の容量差に対応する内分比を求める。
【0046】
次に、充電率推定部5は、S42で所定時間T2経過した後の現在の開回路電圧OCVを取得する(S47)。
そして、充電率推定部5は、内分比と、現在の開回路電圧と、充電用SOC−OCV曲線と、放電用SOC−OCV曲線とを用いて、現在の充電率を推定する(S48)。
【0047】
例えば、充電率推定部5は、電池Bの充電後、現在の容量差が閾値Cth未満である場合、
図5(a)に示すように、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間の開回路電圧軸方向の線分のうち、充電用SOC−OCV曲線を基準として内分比pにより求められる内分点と現在の開回路電圧とが互いに一致するときの線分に対応する充電率SOC1を、現在の充電率として推定する。
【0048】
または、例えば、充電率推定部5は、電池Bの放電後、現在の容量差が閾値Cth未満である場合、
図5(b)に示すように、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間の開回路電圧軸方向の線分のうち、放電用SOC−OCV曲線を基準として内分比pにより求められる内分点と現在の開回路電圧とが互いに一致するときの線分に対応する充電率SOC2を、現在の充電率として推定する。
【0049】
または、例えば、充電率推定部5は、電池Bの充電後、現在の容量差が閾値Cth未満である場合、
図6(a)に示すように、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間の現在の開回路電圧に対応する充電率軸方向の線分において、充電用SOC−OCV曲線を基準として内分比pにより求められる内分点に対応する充電率SOC1を、現在の充電率として推定する。言い換えると、
図6(a)において、現在の開回路電圧に対応する充電用SOC−OCV曲線上の点と内分点との長さと、現在の開回路電圧に対応する放電用SOC−OCV曲線上の点と内分点との長さの比が、内分比pと等しくなる内分点に対応する充電率SOC1を、現在の充電率として推定する。
【0050】
または、例えば、充電率推定部5は、電池Bの放電後、現在の容量差が閾値Cth未満である場合、
図6(b)に示すように、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間の現在の開回路電圧に対応する充電率軸方向の線分において、放電用SOC−OCV曲線を基準として内分比pにより求められる内分点に対応する充電率SOC2を、現在の充電率として推定する。言い換えると、
図6(b)において、現在の開回路電圧に対応する放電用SOC−OCV曲線上の点と内分点との長さと、現在の開回路電圧に対応する充電用SOC−OCV曲線上の点と内分点との長さの比が、内分比pと等しくなる内分点に対応する充電率SOC2を、現在の充電率として推定する。
【0051】
このように、実施形態の電池パック1では、充放電後の電池Bの開回路電圧と充電率との交点(=電池Bの充電率と開回路電圧とが対応する点)が充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間に存在する場合、充電前後または放電前後の容量差から内分比を求め、その求めた内分比から開回路電圧と充電率との交点を一意に求めることができるため、その求めた開回路電圧と充電率との交点から充電率を精度良く推定することができる。そのため、分極が大きく、かつ、分極解消に長時間を要するような電池Bにおいて、充電率の推定精度を向上させることができる。
【0052】
また、実施形態の電池パック1では、車両Veの走行停止時において、電池Bの充電または放電が終了したとき、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、充電用SOC−OCV曲線上、放電用SOC−OCV曲線上、及び充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間、のいずれか1つに存在していると判断することができる。
【0053】
図7は、第2の充電率推定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、充電率推定部5は、車両Veの走行停止時において、電池Bの放電が終了したとき、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、放電用SOC−OCV曲線上に存在していたと判断すると(S71:Yes)、現在の開回路電圧を取得し(S72)、記憶部4に記憶されている放電用SOC−OCV曲線を参照して、現在の開回路電圧に対応する充電率SOCを求め、その求めた充電率SOCを、現在の充電率として推定する(S73)。このように、車両Veの走行停止時において、電池Bの放電が終了したとき、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、放電用SOC−OCV曲線上に存在している場合、その後、車両Veが走行停止している時に容量差が閾値Cth以上になるまで電池Bが放電されたとしても、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、放電用SOC−OCV曲線上に存在し続けるため、放電用SOC−OCV曲線を参照して、開回路電圧に対応する充電率を一意に求めることができる。
【0054】
また、充電率推定部5は、車両Veの走行停止時において、電池Bの充電が終了したとき、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、充電用SOC−OCV曲線上に存在していたと判断すると(S71:No、S74:Yes)、電池Bの自己放電電流値及び暗電流値の少なくとも1つを、車両Veの停止時間で積算(乗算)することにより、現在の容量差を求める(S75)。すなわち、充電率推定部5は、現在の容量差=自己放電電流値×車両Veの停止時間の計算結果を、現在の容量差とする。または、充電率推定部5は、現在の容量差=暗電流値×車両Veの停止時間の計算結果を、現在の容量差とする。または、充電率推定部5は、現在の容量差=(自己放電電流値+暗電流値)×車両Veの停止時間の計算結果を、現在の容量差とする。なお、自己放電電流値は、記憶部4に記憶されているものとする。
【0055】
一方、充電率推定部5は、車両Veの走行停止時において、電池Bの充電または放電が終了したとき、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、放電用SOC−OCV曲線と充電用SOC−OCV曲線との間に存在していたと判断すると(S71:No、S74:No)、電池Bの自己放電電流値及び暗電流値の少なくとも1つを、車両Veの停止時間で積算(乗算)した値と、車両Veの走行停止時に求めた容量差(=充放電開始から充放電終了までの間に検出される電流Iの積算値ΔI)とを加算することにより、現在の容量差を求める(S76)。
【0056】
ここで、暗電流の計算例について説明する。
<暗電流値の計算例(その1)>
充電率推定部5は、車両Veが走行停止している時に電池パック1の外部に設けられる補機が動作するのに必要な電流値を走行制御部6から受信し、その受信した電流値を暗電流値とする。
【0057】
例えば、車両Veが走行停止している時に電圧検出部3が動作するのに必要な第1の電流値を0.25[mA]とし、車両Veが走行停止している時に充電率推定部5が動作するのに必要な第2の電流値を0.75[mA]とし、車両Veが走行停止している時に走行制御部6が動作するのに必要な第3の電流値を0.75[mA]とし、車両Veが走行停止している時に第1の負荷制御部7が動作するのに必要な第4の電流値を0.25[mA]とする。
【0058】
この場合、充電率推定部5は、第3の電流値0.75[mA]及び第4の電流値0.25[mA]を走行制御部6から受信し、暗電流値=(第1の電流値0.25[mA]+第2の電流値0.75[mA]+第3の電流値0.75[mA]+第4の電流値0.25[mA])の計算結果2.00[mA]を、暗電流値とする。
【0059】
または、充電率推定部5は、第3の電流値0.75[mA]及び第4の電流値0.25[mA]の合計値1.00[mA]を走行制御部6から受信し、暗電流値=(第1の電流値0.25[mA]+第2の電流値0.75[mA]+合計値1.00[mA])の計算結果2.00[mA]を、暗電流値とする。
【0060】
このように、車両Veが走行停止している時に電池パック1の外部に設けられる補機が動作するのに必要な電流値の合計処理を、電池パック1の外部の走行制御部6に行わせることができるため、電池パック1の内部の充電率推定部5の計算処理の負荷を低減することができる。また、充電率推定部5は、車両Veが走行停止している時に電池パック1の外部に設けられる補機(走行制御部6、第1の負荷制御部7、及び第2の負荷制御部8)のうち、電流が流れる補機(走行制御部6及び第1の負荷制御部7)がどれであるかを正確に知ることができる。
【0061】
<暗電流値の計算例(その2)>
記憶部4は、電池Bから電池パック1の外部に設けられる補機へ流れる電流の基準値を記憶する。
【0062】
充電率推定部5は、車両Veが走行停止している時に電流が流れる補機ごとに設定される係数を走行制御部6から受信し、その受信した係数と基準値との乗算結果を、暗電流値とする。
【0063】
例えば、記憶部4は、車両Veが走行停止している時に電池Bから電圧検出部3、充電率推定部5、走行制御部6、及び第1の負荷制御部7へそれぞれ流れる電流の基準値として0.5[mA]を記憶しているものとする。また、電圧検出部3に対応する第1の係数を0.5、充電率推定部5に対応する第2の係数を1.5、走行制御部6に対応する第3の係数を1.5、第1の負荷制御部7に対応する第4の係数を0.5とする。
【0064】
この場合、充電率推定部5は、第3の係数1.5及び第4の係数0.5を走行制御部6から受信し、暗電流値=(第1の係数0.5+第2の係数1.5+第3の係数1.5+第4の係数0.5)×基準値0.5の計算結果2.0[mA]を、暗電流とする。
【0065】
または、充電率推定部5は、第3の係数1.5と第3の係数0.5との合計値2.0を走行制御部6から受信し、暗電流値=(第1の係数0.5+第2の係数1.5+合計値2.0)×基準値0.5の計算結果2.0[mA]を、暗電流とする。
【0066】
このように、車両Veが走行停止している時に電流が流れる補機に対応する係数の合計処理を、電池パック1の外部の走行制御部6に行わせることができるため、電池パック1の内部の充電率推定部5の計算処理の負荷を低減することができる。また、充電率推定部5は、車両Veが走行停止している時に電池パック1の外部に設けられる補機(走行制御部6、第1の負荷制御部7、及び第2の負荷制御部8)のうち、電流が流れる補機(走行制御部6及び第1の負荷制御部7)がどれであるかを正確に知ることができる。
【0067】
<暗電流値の計算例(その3)>
記憶部4は、電池パック1の内部に設けられる補機の種類と、車両Veが走行停止している時に電池パック1の内部に設けられる補機に流れる電流値とが対応付けられた第1の対応情報を記憶する。
【0068】
充電率推定部5は、車両Veが走行停止している時に電流が流れている補機の種類に対応する電流値を第1の対応情報を参照して取得し、その取得した電流値を、暗電流値とする。
【0069】
例えば、記憶部4は、電圧検出部3を識別するための情報として「A」と、車両Veが走行停止している時に電池Bから電圧検出部3へ流れる電流として0.25[mA]とが対応付けられ、充電率推定部5を識別するための情報として「B」と、車両Veが走行停止している時に電池Bから充電率推定部5へ流れる電流として0.75[mA]とが対応付けられた第1の対応情報を記憶しているものとする。
【0070】
この場合、充電率推定部5は、「A」に対応する0.25[mA]を第1の対応情報を参照して取得し、「B」に対応する0.75[mA]を第1の対応情報を参照して取得し、それら取得した0.25[mA]及び0.75[mA]の合計値1.00[mA]を、暗電流とする。
【0071】
<暗電流値の計算例(その4)>
記憶部4は、電池パック1の外部に設けられる補機の種類と、車両Veが走行停止している時に電池パック1の外部に設けられる補機に流れる電流値とが対応付けられた第2の対応情報を記憶する。
【0072】
充電率推定部5は、車両Veが走行停止している時に電流が流れている補機の種類を走行制御部6から受信し、その受信した補機の種類に対応する電流値を第2の対応情報を参照して取得し、その取得した電流値を、暗電流値とする。
【0073】
例えば、記憶部4は、走行制御部6を識別するための情報として「C」と、車両Veが走行停止している時に電池Bから走行制御部6へ流れる電流として0.75[mA]とが対応付けられ、第1の負荷制御部7を識別するための情報として「D」と、車両Veが走行停止している時に電池Bから第1の負荷制御部7へ流れる電流として0.25[mA]とが対応付けられた第2の対応情報を記憶しているものとする。
【0074】
この場合、充電率推定部5は、「C」及び「D」を走行制御部6から受信し、「C」に対応する0.75[mA]を第2の対応情報を参照して取得し、「D」に対応する0.25[mA]を第2の対応情報を参照して取得し、それら取得した0.75[mA]及び0.25[mA]の合計値1.00[mA]を、暗電流とする。
【0075】
このように、車両Veが走行停止している時に電流が流れる補機に対応する識別情報のみを走行制御部6から充電率推定部5へ送信する構成であるため、車両Veが走行停止している時に補機に流れる電流値を走行制御部6から充電率推定部5へ送信する構成に比べて、走行制御部6から充電率推定部5へ送信されるデータ量を低減することができる、また、充電率推定部5は、車両Veが走行停止している時に電池パック1の外部に設けられる補機(走行制御部6、第1の負荷制御部7、及び第2の負荷制御部8)のうち、電流が流れる補機(走行制御部6及び第1の負荷制御部7)がどれであるかを正確に知ることができる。
【0076】
<暗電流値の計算例(その5)>
記憶部4は、電池パック1の内部に設けられる補機の種類と、車両Veが走行停止している時に電池パック1の内部に設けられる補機に流れる電流値とが対応付けられた第1の対応情報、及び電池パックの外部に設けられる補機の種類と、車両Veが走行停止している時に電池パックの外部に設けられる補機に流れる電流値とが対応付けられた第2の対応情報を記憶する。
【0077】
充電率推定部5は、リレーReが開状態である場合、車両Veが走行停止している時に電流が流れている補機の種類に対応する電流値を第1の対応情報を参照して取得し、その取得した電流値を、暗電流値とする。
【0078】
また、充電率推定部5は、リレーReが閉状態である場合、車両Veが走行停止している時に電流が流れる電池パック1外部の補機の種類を走行制御部6から受信し、車両Veが走行停止している時に電流が流れる電池パック1内部の補機の種類に対応する電流値を第1の対応情報を参照して取得するとともに、受信した補機の種類に対応する電流値を第2の対応情報を参照して取得し、それら取得した電流値の合計値を、暗電流値とする。
【0079】
例えば、記憶部4は、上記第1の対応情報及び上記第2の対応情報を記憶しているものとする。
この場合、充電率推定部5は、「C」及び「D」を走行制御部6から受信し、「A」に対応する0.25[mA]を第1の対応情報を参照して取得し、「B」に対応する0.75[mA]を第1の対応情報を参照して取得し、「C」に対応する0.75[mA]を第2の対応情報を参照して取得し、「D」に対応する0.25[mA]を第2の対応情報を参照して取得し、それら取得した0.25[mA]、0.75[mA]、0.75[mA]、及び0.25[mA]の合計値2.00[mA]を、暗電流とする。
【0080】
このように、車両Veが走行停止している時に電流が流れる補機に対応する識別情報のみを走行制御部6から充電率推定部5へ送信する構成であるため、暗電流値の計算例(その4)と同様に、走行制御部6から充電率推定部5へ送信されるデータ量を低減することができる、また、充電率推定部5は、車両Veが走行停止している時に電池パック1の外部に設けられる補機(走行制御部6、第1の負荷制御部7、及び第2の負荷制御部8)のうち、電流が流れる補機(走行制御部6及び第1の負荷制御部7)がどれであるかを正確に知ることができる。また、充電率推定部5は、リレーReの状態に応じて、車両Veが走行停止している時に電流が流れる補機がどれであるかを正確に知ることができる。
【0081】
次に、充電率推定部5は、現在の容量差が閾値Cth以上である場合(S77:Yes)、現在の開回路電圧を取得し(S72)、記憶部4に記憶されている放電用SOC−OCV曲線を参照して、現在の開回路電圧に対応する充電率SOCを求め、その求めた充電率SOCを、現在の充電率として推定する(S73)。このように、車両Veの走行停止時において、電池Bの充電が終了したとき、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、充電用SOC−OCV曲線上に存在していた場合、その後、車両Veが走行停止している時、容量差が閾値Cth以上になるまで電池Bが放電されると、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、放電用SOC−OCV曲線上に存在するようになるため、放電用SOC−OCV曲線を参照して、開回路電圧に対応する充電率を一意に求めることができる。
【0082】
一方、充電率推定部5は、現在の容量差が閾値Cth未満であると判断すると(S77:No)、現在の容量差を用いて内分比を求め(S78)、現在の開回路電圧OCVを取得し(S79)、内分比と、現在の開回路電圧と、充電用SOC−OCV曲線と、放電用SOC−OCV曲線とを用いて、現在の充電率を推定する(S80)。このように、車両Veの走行停止時において、電池Bの充電が終了したとき、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、充電用SOC−OCV曲線上に存在していた場合、その後、車両Veが走行停止している時、容量差が閾値Cth未満であると、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間に存在するようになるため、内分比と、現在の開回路電圧と、充電用SOC−OCV曲線と、放電用SOC−OCV曲線とを用いて、充電率を一意に求めることができる。
【0083】
図8(a)は、車両Veが走行停止した後の電池Bの充電率の変化の一例を示す図である。なお、
図8(a)に示すグラフの縦軸は電池Bの充電率を示し横軸は時間を示している。
【0084】
まず、充電率推定部5は、車両Veの走行停止時において、電池Bの放電が終了し(時刻t1)、放電前の電池Bの容量と放電後の電池Bの容量との容量差が閾値Cth以上であると、放電用SOC−OCV曲線を参照して、現在の開回路電圧OCVに対応する充電率SOCを、現在の充電率として推定する。また、充電率推定部5は、時刻t1において、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、放電用SOC−OCV曲線上に存在していると判断する。
【0085】
その後、車両Veが走行停止している時、自己放電電流値や暗電流値により、電池Bの放電が継続するため、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、放電用SOC−OCV曲線上に継続して存在する。
【0086】
次に、充電率推定部5は、車両Veが走行停止している場合において、所定時間T3経過すると(時刻t2)、放電用SOC−OCV曲線を参照して、現在の開回路電圧に対応する充電率を、現在の充電率として推定する。
【0087】
すなわち、充電率推定部5は、車両Veの走行停止時において放電開始時の電池Bの容量と放電終了時の電池Bの容量との容量差が閾値Cth以上であった場合で、かつ、車両Veが走行停止している場合、放電用SOC−OCV曲線を参照して、現在の開回路電圧に対応する充電率を、現在の前記充電率として推定する。
【0088】
図8(b)は、車両Veが走行停止した後の電池Bの充電率の変化の他の例を示す図である。なお、
図8(b)に示すグラフの縦軸は電池Bの充電率を示し横軸は時間を示している。
【0089】
まず、充電率推定部5は、車両Veの走行停止時において、電池Bの放電が終了し(時刻t1)、放電前の電池Bの容量と放電後の電池Bの容量との容量差が閾値Cth未満であると、内分比情報を参照して、現在の容量差に対応する内分比を求め、その求めた内分比と、現在の開回路電圧OCVと、充電用SOC−OCV曲線と、放電用SOC−OCV曲線とを用いて、現在の充電率を推定する。また、充電率推定部5は、時刻t1において、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間に存在していると判断する。
【0090】
その後、車両Veが走行停止している時、自己放電電流値や暗電流値により電池Bが放電されるため、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間、または、放電用SOC−OCV曲線上に存在するようになる。
【0091】
そして、充電率推定部5は、車両Veが走行停止している場合において、所定時間T3経過し(時刻t2)、自己放電電流値及び暗電流値の少なくとも1つを、車両Veの停止時間で積算した値と、時刻t1で求めた容量差とを加算することにより、現在の容量差を求め、その容量差が閾値Cth未満であると、内分比情報を参照して、現在の容量差に対応する内分比を求め、その求めた内分比と、現在の開回路電圧と、充電用SOC−OCV曲線と、放電用SOC−OCV曲線とを用いて、現在の充電率を推定する。
【0092】
なお、充電率推定部5は、時刻t2において、自己放電電流値及び暗電流値の少なくとも1つを、車両Veの停止時間で積算することにより、現在の容量差を求め、その容量差が閾値Cth未満であると、内分比情報を参照して、現在の容量差に対応する内分比を求め、その求めた内分比と、現在の開回路電圧と、充電用SOC−OCV曲線と、放電用SOC−OCV曲線とを用いて、現在の充電率を推定するように構成してもよい。
【0093】
すなわち、充電率推定部5は、車両Veの走行停止時において放電開始時の電池Bの容量と放電終了時の電池Bの容量との容量差が閾値Cth未満であった場合で、かつ、車両Veが走行停止している場合、自己放電電流値及び暗電流値の少なくとも1つを、停止時間で積算することにより、現在の容量差を求め、内分比情報を参照して、現在の容量差に対応する内分比を求め、その求めた内分比と、現在の開回路電圧と、充電用SOC−OCV曲線と、放電用SOC−OCV曲線とを用いて、現在の充電率を推定する。
【0094】
図8(c)は、電池Bの充電後の電池Bの充電率の変化のさらに他の例を示す図である。なお、
図8(c)に示すグラフの縦軸は電池Bの充電率を示し横軸は時間を示している。
【0095】
まず、充電率推定部5は、救援車両に搭載されるバッテリや充電器などによる電池Bの充電が終了し(時刻t1)、充電前の電池Bの容量と充電後の電池Bの容量との容量差が閾値Cth以上であると、充電用SOC−OCV曲線を参照して、現在の開回路電圧OCVに対応する充電率SOCを、現在の充電率として推定する。また、充電率推定部5は、時刻t1において、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、充電用SOC−OCV曲線上に存在していると判断する。
【0096】
その後、車両Veが走行停止している時、自己放電電流値や暗電流値により電池Bが放電されるため、電池Bの開回路電圧と充電率との交点が、充電用SOC−OCV曲線と放電用SOC−OCV曲線との間、または、放電用SOC−OCV曲線上に存在するようになる。
【0097】
そして、充電率推定部5は、車両Veが走行停止している場合において、所定時間T3経過し(時刻t2)、自己放電電流値及び暗電流値の少なくとも1つを、車両Veの停止時間で積算することにより、現在の容量差を求め、その容量差が閾値Cth未満であると、内分比情報を参照して、現在の容量差に対応する内分比を求め、その求めた内分比と、現在の開回路電圧と、充電用SOC−OCV曲線と、放電用SOC−OCV曲線とを用いて、現在の充電率を推定する。
【0098】
すなわち、充電率推定部5は、電池Bの充電終了時において充電終了時の電池Bの容量と充電開始時の電池Bの容量との容量差が閾値Cth以上であった場合で、かつ、車両Veが走行停止している場合、自己放電電流値及び暗電流値の少なくとも1つを、停止時間で積算することにより、現在の容量差を求め、内分比情報を参照して、現在の容量差に対応する内分比を求め、その求めた内分比と、現在の開回路電圧と、充電用SOC−OCV曲線と、放電用SOC−OCV曲線とを用いて、現在の充電率を推定する。
【0099】
このように、実施形態の電池パック1では、車両Veが走行停止している時の電池Bの自己放電電流値や暗電流値による充電率の変化を考慮して、車両Veの走行停止時に推定した充電率を補正することができるため、車両Veが走行停止している時の電池Bの充電率を精度良く推定することができる。すなわち、実施形態の電池パック1によれば、車両Veが走行停止している時、電池Bに流れる電流が電流検出部2により検知することができないほど小さい場合であっても、電池Bの充電率を精度良く推定することができる。
【0100】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
例えば、電池パック1の内部に設けられる補機は、電圧検出部3及び充電率推定部5に限らず、電池パック1の内部にある他の制御部や周辺機器を含んでもよく、または、電圧検出部3のみや、充電率推定部5のみでもよい。また、電池パックの外部に設けられる補機は、走行制御6、第1の負荷制御部7及び第2の負荷制御部8に限らず、その他の負荷制御部を含んでもよく、または、走行制御部6のみや、第1の負荷制御部7のみでもよい。